JP4038899B2 - 電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば電気自動車の走行モ−タを制御する三相インバータ装置に関し、特に電源平滑用コンデンサをスイッチング素子上方に搭載する電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
実公平4−45233号公報は、偏平筒状の偏平形コンデンサを提案している。
本出願人の出願になる特公平7−298641号公報は、三相インバータ回路が基板に実装されてなるインバータ部の上方に円筒形コンデンサを配置した電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置を提案している。
【0003】
この円筒形コンデンサは、上アームおよび下アームのスイッチング素子が直列接続されてなる三個の相インバータ回路を並列接続してなる三相インバータ回路の高低直流入力端間に接続される電源平滑用コンデンサであって、三相インバータ回路のスイッチング素子の断続に伴う上記高低直流入力端間の電圧変動を低減するためのものである。
【0004】
上記電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置では、円筒形コンデンサの正、負の電極端子と三相インバータ回路の高低直流入力端とを接続する接続ラインのインダクタンスに起因するスイッチングノイズや電圧変動を低減するために、各相インバータ回路ごとにそれらの直上に円筒形コンデンサを個別に設け、各相インバータ回路の高低直流入力端と円筒形コンデンサの正、負の電極端子とを上下にできるだけ近接させている。
【0005】
上述した電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置の従来例を図5に示す。
101は三相インバータ回路が実装された基板の端子台部、102は制御回路基板、103は基板上方(インバータ部の構造)に設けられた3個の円筒形コンデンサからなる電源平滑用コンデンサ、104はブスバー、105は基板に立設された電源平滑用コンデンサ支持用の台座、106は電源平滑用コンデンサ103を台座105に固定する金具である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置でもなお、大電力高速スイッチング時には上記接続ラインのインダクタンスに起因するスイッチングノイズや電圧変動が大きく、その結果、三相インバータ回路に給電するバッテリへの悪影響や外部放射電磁波ノイズが大きいという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、高速大電力スイッチングを行う場合でも入力直流電源電圧の変動や外部放射電磁波ノイズを低減することができる電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置を提供することをその解決すべき課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置は、上アームおよび下アームのスイッチング素子が直列接続されてなる相インバータ回路を多数有する多相インバータ回路が基板に実装されてなるインバータ部、前記多相インバータ回路を制御する制御回路が実装される制御回路基板、電源平滑用コンデンサ、及び、前記各相インバータ回路の高低直流入力端と前記電源平滑用コンデンサの正、負の電極端子とを導通可能に接続する高位側接続部材及び低位側接続部材を備える電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において、前記電源平滑用コンデンサは、その厚さ方向が前記基板の主面方向と略直角となる姿勢で互いに隣接配置されて前記スイッチング素子を共同して覆う複数の偏平形コンデンサからなり、前記制御回路基板は、前記電源平滑用コンデンサと前記インバータ部との間に前記インバータ部の基板とほぼ平行に配設されていることをその特徴としている。
本発明によれば、多相インバータ回路が基板に実装されたインバータ部の上方(反基板側)に設ける電源平滑用コンデンサとして偏平形コンデンサを採用し、更に、偏平形コンデンサを、その厚さ方向(寸法最小方向)が基板の主面方向と略直角(ここでは80度以上を指定する)となる姿勢でスイッチング素子を覆うように配置する。
【0009】
このようにすれば、高速大電力スイッチングを行う場合でも入力直流電源電圧の変動や外部放射電磁波ノイズを低減することができる電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置を実現することができる。
以下、更に詳しく説明する。
その厚さ方向(最も寸法が小さい方向)が基板と直角となるように、インバータ部上方に偏平形コンデンサを設けているので、この偏平形コンデンサは、同一容量の円筒形コンデンサに比較して正、負の電極端子をよりインバータ部側に偏位させることができ、その分だけコンデンサの正、負の電極端子とインバータ部(更に言えばその高低直流入力端子)との間の距離を短縮することができるので、これにより両者を接続する接続ラインのインダクタンスを減らすことができる。その結果、高速大電力スイッチングを行う場合でも入力直流電源電圧の変動や外部放射電磁波ノイズを低減することができる。また同様に接続ラインの抵抗損失も低減することができ、更に装置の高さを減らすことができる。
【0010】
また、金属ケースに収容される偏平形コンデンサが良好にその下方のスイッチング素子をカバーするので、スイッチング素子の断続に伴う外部放射電磁波ノイズを大幅に低減することができ、近接する他の電子回路の誤動作などを抑止することができる。
更に、多相インバータ回路を制御する制御回路が実装される制御回路基板は、電源平滑用コンデンサとインバータ部との間にインバータ部の基板と平行に配設されているので、制御用回路基板は、装置必要スペースを低減できるとともに、外部から制御回路基板上の回路素子に影響する外部放射電磁波ノイズが電源平滑用コンデンサ、基板(金属冷却板)により電磁シールドされるので、電磁波ノイズ耐性を向上することができる。
請求項2記載の構成によれば請求項1記載の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において更に、共同してスイッチング素子を覆う複数の扁平形コンデンサの底部は一個の電源平滑用コンデンサ支持部材により一括して支持される。
【0011】
このようにすれば、従来のように、三つの電源平滑用コンデンサを別々に固定する場合に比較して、部品点数および電源平滑用コンデンサ固定作業を簡素化することができる。特に、各電源平滑用コンデンサの位置決めが容易となる。
請求項3記載の構成によれば請求項2記載の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において更に、電源平滑用コンデンサ支持部材は、金属部材からなるので、その電磁シールド効果によりインバータ部のスイッチング素子などから放射される外部放射電磁波ノイズを一層低減することができ、更に、電源平滑用コンデンサの熱をインバータ部の基板に良好に伝達することができる。
【0012】
請求項4記載の構成によれば請求項2又は3記載の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において更に、電源平滑用コンデンサ保持部は、各扁平形コンデンサの底部が嵌入する凹部を有するので、各扁平形コンデンサの組み付けに際し、それらの位置合わせが良好となり、部品点数も低減することができる。更に、電源平滑用コンデンサ支持部材を金属で製作した場合には各扁平形コンデンサから電源平滑用コンデンサ支持部材への放熱を一層良好にできる他、電源平滑用コンデンサおよび電源平滑用コンデンサ支持部材によるインバータ部のスイッチング素子の囲覆性が一層向上するので、外部放射電磁波ノイズを一層低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置の好適例を以下の実施例により具体的に説明する。
【0015】
【実施例】
この電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置を電気自動車の走行モータ駆動用のものである。
(回路構成)
このインバータ装置の回路図を図1に示す。
【0016】
1は電気自動車の走行電力を供給する主バッテリ、2は主バッテリ1から供給される直流電力を三相交流電力に変換して走行用モータ3に給電するインバータ装置である。
インバータ装置2は、電源平滑用コンデンサ4、6個のIGBTモジュール5を有する三相インバータ回路6、三相インバータ回路6を制御する制御回路7、二つの電流センサ8を有している。三相インバータ回路6は後述する基板に実装されて本発明で言うインバータ部を構成している。制御回路7も後述する制御回路基板に実装されている。
【0017】
IGBTモジュール5は、IGBT素子51とフライバックダイオード52とを並列接続しモジュール化してなり、各IGBTモジュール5は三相インバータ回路6の各アームを構成している。上アームを構成する一つのIGBTモジュール5と同相の下アームを構成するIGBTモジュール5とは、直列接続されて相インバータ回路を構成し、結局、三相インバータ回路6は三つの相インバータ回路を並列接続してなる。三相インバータ回路6の構成および動作自体は周知であるので、これ以上の説明は省略する。それぞれの相インバータ回路の交流出力端子は3本の出力ライン9〜11を通じて走行用モータ3に給電し、そして、二つの出力ラインの電流を検出することにより三相交流モータである走行用モータの相電流を検出している。
【0018】
制御回路7は、検出した上記相電流や必要なライン電圧に基づいて三相インバータ回路6の各IGBT51をPWM制御し、必要な三相交流電流を走行用モータ3に給電している。
各相インバータ回路は、それぞれ高位直流入力端子12及び低位直流入力端子13をもち、各高位直流入力端子12は接続部材14を通じて電源平滑用コンデンサ4の正の電極端子に接続されるとともに、更にケーブル導体15を通じて主バッテリ1の高位端に接続されている。同様に、各低位直流入力端子13は接続部材16を通じて電源平滑用コンデンサ4の負の電極端子に接続されるとともに、更にケーブル導体17を通じて主バッテリ1の低位端に接続されている。電源平滑用コンデンサ4は、各IGBT51の高速スイッチングに伴う電流変動を吸収するものである。
(インバータ部の構造)
インバータ装置2の組み立て状態を図2に示す。
【0019】
金属又は複合材からなる基板20上に三相インバータ回路6が実装され、この基板20は図示しないアルミプレート上に搭載されている。また、図2では図示されていないものの、電流センサ8やブスバーなどの他の部材も基板20に設けられている。なお、このアルミプレートは、三相インバータ回路(インバータ部)6が実装される上記した基板20とともに本発明でいう基板を構成している。
【0020】
基板20の上面周縁には、角枠形状の樹脂フレーム21が締結され、樹脂フレーム21の一辺の上面には、三相インバータ回路6の各相インバータ回路の高位直流入力端子12及び低位直流入力端子13が設けられている。更に具体的に説明すると、高位直流入力端子12または低位直流入力端子13をなす樹脂フレーム21内部の各IGBTモジュール5のコレクタ端子またはエミッタ端子は、図示しない複数のブスバーに個別に接続され、これらブスバーの端部が樹脂フレーム21の一辺の上面にて、三相インバータ回路6の各相インバータ回路の高位直流入力端子12及び低位直流入力端子13となっている。
【0021】
樹脂フレーム21の上面には、樹脂フレーム21の上側の開口を遮蔽するように、制御回路7が実装された制御回路基板70が締結されている。
(電源平滑用コンデンサの取り付け構造)
電源平滑用コンデンサ4の取り付け構造を図2〜図4を参照して説明する。
電源平滑用コンデンサ4は、並列接続される三つの偏平形コンデンサ40からなり、各偏平形コンデンサ40は、その厚さ方向が基板20の面方向と直角となるように、制御回路基板70から小間隔を隔てて制御回路基板70に対面している。これにより、樹脂フレーム21の上側の開口をほぼ覆う制御回路基板70は、更に三つの偏平形コンデンサ40にてほぼ覆われている。
【0022】
各偏平形コンデンサ40の一端からは、正、負の電極端子41,42がそれぞれ突出しており、樹脂フレーム21の上面の各高位直流入力端子12および各低位直流入力端子13は、各偏平形コンデンサ40の正、負の電極端子41,42にそれぞれ最も近接する位置に設けられている。これは、正、負の電極端子41,42と高位直流入力端子12または低位直流入力端子13との間の接続部材14,16のインダクタンスおよび電気抵抗を最小とするためである。
【0023】
樹脂フレーム21の反端子取り出し側から柱部22が立設されており、ホルダ23がこの柱部22の上端面に締結されている。
ホルダ23は、この実施例ではアルミダイキャストで製造されており、各偏平形コンデンサ40の底部が嵌入、密着される凹部を三個有する保持部231と、この保持部231から柱部22の上端面まで突出する締結部232とを有している。
【0024】
接続部材14は、各偏平形コンデンサ40の正の電極端子41と高位直流入力端子12とを接続するものであり、正の電極端子41が締結される立壁部141と、高位直流入力端子12が接続される端子部142とを有している。
接続部材16も同様に、各偏平形コンデンサ40の負の電極端子42と低位直流入力端子13とを接続するものであり、負の電極端子42が締結される立壁部161と、低位直流入力端子13が接続される端子部162とを有している。
【0025】
18は、両接続部材14,16間に介挿される樹脂薄板からなる絶縁スペーサであり、絶縁スペーサ18は両接続部材14,16に密着している。
(作用効果)
以下、上記説明した実施例の装置の作用効果を説明する。
・三相インバータ回路6の上方に三つの偏平形コンデンサ40を、その厚さ方向が基板20の面方向と直角となるように並べたので、三相インバータ回路6から外部に放射される電磁波ノイズを低減することができる。なお、三相インバータ回路6の底面側からの電磁波ノイズの放射は基板20により、側面からの放射はホルダ23、接続部材14,16で低減される。
・たとえばエンジンの点火ノイズなどの外部から制御回路7に入射する電磁波ノイズは上記と同様に偏平形コンデンサ40、基板20、ホルダ23、接続部材14,16により良好に低減される。
・偏平形コンデンサ40の正、負の電極端子41,42は、同一容量の円筒形コンデンサに比較して、電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において、高位直流入力端子12および低位直流入力端子13からの高さを減らすことができ、その分だけ、接続部材14,16のインダクタンス、電気抵抗を低減し、IGBTモジュール5の高速スイッチング時のサージ電圧を低減することができ、電磁放射も低減することができる。
・上記と同一理由で、偏平形コンデンサ40を上記姿勢で配置することにより、インバータ装置2の体格を縮小することができる。
・ホルダ23は一体に形成されているので、従来のように三つの電源平滑用コンデンサを別々に固定する場合に比較して、部品点数および電源平滑用コンデンサ固定作業を簡素化することができる。特に、各電源平滑用コンデンサの位置決めが容易となる。
・ホルダ23をアルミ製とするので、偏平形コンデンサ40の放熱性を向上し、その寿命を延長することができる。
・電源平滑用コンデンサの保持部231は、各偏平形コンデンサ40の底部が嵌入する凹部を有するので、組み付けの際の位置合わせも良好となるとともに、この実施例ではホルダ23をアルミ製としたので、各電源平滑用コンデンサからホルダ(電源平滑用コンデンサ支持部材)23への放熱を一層良好にできる。
・制御回路基板70は各偏平形コンデンサ40と基板20との間にて基板20と平行に配設されているので、必要スペースを低減できるとともに、電磁波ノイズ耐性を向上することができる。
・大面積の板からなる接続部材14,16は、間に薄い誘電板(樹脂板)18を挟んで密着されているので、それらの間の静電容量を増加させて、この接続部材14,16のインダクタンスによりサージ電圧発生を良好に抑止することができる。なお、この意味で、樹脂板18はできるだけ静電容量が大きい素材で形成するほうが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置を採用するハイブリッド車の走行モ−タ制御装置の一実施例を示す回路図である。
【図2】図1に示す電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置の端子側からみた模式斜視図である。
【図3】図2に示す電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置の側面図である。
【図4】図2に示す電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置のホルダ側からみた摸式斜視図である。
【図5】従来の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置の斜視図である。
【符号の説明】
4は電源平滑用コンデンサ、
6は三相インバータ回路(インバータ部)、
7は制御回路、
12は相インバータ回路の高位直流入力端子、
13は相インバータ回路の低位直流入力端子、
14は接続部材(高位側接続部材)、
16は接続部材(低位側接続部材)、
20は基板、
22は柱部(金属部材)、
23はホルダ(電源平滑用コンデンサ支持部材)、
41は偏平形コンデンサ40の正の電極端子、
42は偏平形コンデンサ40の負の電極端子、
40は電源平滑用コンデンサ4をなす偏平形コンデンサ、
70は制御回路基板、
231はホルダ23の保持部
Claims (4)
- 上アームおよび下アームのスイッチング素子が直列接続されてなる相インバータ回路を多数有する多相インバータ回路が基板に実装されてなるインバータ部、
前記多相インバータ回路を制御する制御回路が実装される制御回路基板、
電源平滑用コンデンサ、及び、
前記各相インバータ回路の高低直流入力端と前記電源平滑用コンデンサの正、負の電極端子とを導通可能に接続する高位側接続部材及び低位側接続部材、
を備える電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において、
前記電源平滑用コンデンサは、その厚さ方向が前記基板の主面方向と略直角となる姿勢で互いに隣接配置されて前記スイッチング素子を共同して覆う複数の偏平形コンデンサからなり、
前記制御回路基板は、前記電源平滑用コンデンサと前記インバータ部との間に前記インバータ部の基板とほぼ平行に配設されていることを特徴とする電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置。 - 請求項1記載の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において、
前記複数の扁平形コンデンサの底部にそれぞれ固着されるコンデンサ保持部を有して前記扁平形コンデンサを支持する電源平滑用コンデンサ支持部材を有することを特徴とする電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置。 - 請求項2記載の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において、
前記電源平滑用コンデンサ支持部材は、金属部材からなることを特徴とする電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置。 - 請求項2又は3記載の電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置において、
前記電源平滑用コンデンサ保持部は、
前記各扁平形コンデンサの底部が嵌入する凹部を有することを特徴とする電源平滑用コンデンサ搭載型インバータ装置。
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