JP4037962B2 - 部品試験装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバの内部でICチップなどの電子部品を常温以下(常温またはそれ以下の温度)の状態で試験する部品試験装置に係り、さらに詳しくは、チャンバの内部に結露が発生することを有効に防止することができる部品試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置などの製造課程においては、最終的に製造されたICチップなどの部品を試験する試験装置が必要となる。このような試験装置の一種として、常温または常温よりも低い温度条件で、ICチップを試験するための装置が知られている。ICチップの特性として、常温または低温でも良好に動作することが保証されるからである。
【0003】
このような試験装置においては、テストヘッドの上部をチャンバで覆い、内部を密閉空間とし、ICチップがテストヘッドの上に搬送され、そこで、ICチップをテストヘッドに押圧して接続し、チャンバ内部を一定温度範囲内の常温または低温状態にしながら試験を行う。このような試験により、ICチップは良好に試験され、少なくとも良品と不良品とに分けられる。
【0004】
このような従来の試験装置では、特に低温試験に際して、チャンバ内部の温度を所定の温度範囲内の低温に維持できなくなる異常が発生する場合がある。このような温度異常が生じた場合には、従来の試験装置では、温度アラーム信号を出力するようになっている。
【0005】
温度アラーム信号が発せられると、従来の試験装置では、全ての温度制御を停止し、その異常を試験装置のオペレータに知らせるようになっている。オペレータは、試験装置の異常を調べ、適切な処理を行うことが要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、オペレータが適切な処理を行わない場合や、近くにオペレータがいない場合などには、試験装置の温度制御が停止したままの状態となり、チャンバの内部に結露が生じるおそれがあった。チャンバの内部に結露が生じると、その結露水がテストヘッド側の端子やICチップの端子などに付着し、短絡現象を生じさせるおそれがあり、試験装置およびICチップに悪影響を与えるおそれがある。したがって、チャンバの内部に結露が発生することを有効に防止する必要がある。
【0007】
また、低温試験(たとえば−55.0゜C〜15.9゜C)以外に、常温試験(たとえば16.0゜C〜39.9゜C)においても、チャンバ内部を所定の温度範囲に維持する必要があり、チャンバ内部がチャンバの外部よりも低温状態になることがある。この場合に、温度アラームが発生して、試験装置の温度制御が停止し、それを放置した場合には、低温試験時と同じように、チャンバ内部に結露が発生するおそれがある。
【0008】
さらに、試験装置を長期間連続運転して低温試験を行う場合には、チャンバ内部へのICチップの出し入れなどに伴う外気の導入などにより、チャンバの内部に湿気が蓄積するなどの理由により、温度アラームがない場合でも、チャンバ内部に結露が発生するおそれがある。
【0009】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、温度アラームの発生や長期間の連続運転に際しても、チャンバの内部に結露が発生することを有効に防止することができる部品試験装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る部品試験装置は、部品を試験するためのテストステージを内部に有するチャンバと、前記チャンバの内部を常温以下の温度に冷却することが可能な冷却装置と、前記チャンバの内部を常温に戻すように加熱することが可能な加熱装置と、前記チャンバ内部の温度を検出する温度センサと、前記温度センサからの出力に応じて、前記冷却装置および/または加熱装置の出力を制御する温度制御装置とを有する部品試験装置であって、前記温度制御装置は、前記チャンバ内の異常に関する復帰アラーム信号が発生したか否かを検出する復帰アラーム検出手段と、常温復帰処理信号が発生したか否かを検出する復帰処理信号検出手段と、前記復帰アラーム検出手段で検出された復帰アラーム信号、又は、前記復帰処理信号検出手段で検出された復帰処理信号に基づき、前記冷却装置による冷却を停止し、前記加熱装置を起動させて、前記チャンバの内部を常温に戻すように加熱する常温復帰手段と、を有しており、前記復帰処理信号検出手段は、部品試験装置の連続運転時間を計測し、当該計測された連続運転時間が、所定時間以上であることを検出し、その場合に発生される復帰処理信号を検出し、前記温度制御装置は、前記復帰アラーム信号又は前記復帰処理信号に基づく前記常温復帰手段による常温復帰処理が終了した後、常温復帰手段による常温復帰処理が適切に終了したか否かを判断し、適切に終了した場合には、通常の温度制御を再開するように構成してあり、前記常温復帰手段は、前記復帰アラーム信号に基づいた常温復帰処理を終了した場合に、常温復帰処理モードを解除し、前記復帰処理信号に基づいた常温復帰処理を終了した場合に、常温復帰処理モードを解除しない復帰処理モード解除手段を有することを特徴とする。
【0012】
上記試験装置において、前記常温復帰手段、常温復帰処理中に、復帰中断アラーム信号が発生したか否かを判断する復帰中断アラーム検出手段と、前記復帰中断アラーム検出手段により復帰中断アラーム信号が検出された場合に、前記常温復帰手段による常温復帰処理を中断させる復帰中断手段とを有することが好ましい。また、上記試験装置において、復帰処理モード解除手段は、前記復帰中断手段により常温復帰処理が中断された後、常温復帰処理モードを解除することが好ましい。
【0014】
上記試験装置において、前記温度制御装置が、常温復帰処理条件に合致しているか否かを判断し、条件に合致している場合のみに、前記常温復帰手段による常温復帰処理を開始させる条件判断手段をさらに有することが好ましい。
【0015】
上記試験装置において、前記復帰アラーム信号としては、特に限定されないが、前記チャンバ内の温度が所定温度(たとえば設定温度+α)以上であることを知らせる温度アラーム信号、前記チャンバ内の温度が所定温度(たとえば設定温度+α)以下であることを知らせる温度アラーム信号、チャンバ内の温度を検出する温度センサの異常を示すアラーム信号、チャンバ内の冷却を開始してからの温度下降が遅すぎることを示す異常アラーム信号、冷却装置および/または加熱装置の異常を示すアラーム信号などを例示することができる。
【0016】
上記試験装置において、前記復帰中断アラーム信号としては、特に限定されないが、チャンバのカバーが開いていることを知らせるカバーアラーム信号、チャンバ内部が所定温度異常に加熱されていることを示す温度アラーム信号などを例示することができる。
【0018】
または、上記部品試験装置において、前記復帰処理検出手段が、部品試験装置により試験した部品のロット数を計測し、当該計測されたロット数が、所定ロット数の区切りであることを検出し、その場合に発生される復帰処理信号を検出しても良い。
【0019】
または、上記部品試験装置において、前記復帰処理検出手段が、試験用メイン装置から発せられる復帰処理信号を検出しても良い。
【0020】
さらにまたは、上記部品試験装置において、前記復帰処理検出手段が、ホストコンピュータから発せられる復帰処理信号を検出しても良い。
【0021】
【作用】
本発明の部品試験装置では、温度制御装置の復帰アラーム検出手段により、チャンバ内の異常に関する復帰アラーム信号を検出する。その信号に基づき、制御装置の常温復帰手段が、冷却装置および加熱装置を制御し、冷却装置による冷却を停止し、加熱装置を起動させて、チャンバの内部を常温に戻すように加熱する。すなわち、本発明に係る第1の部品試験装置では、チャンバ内部の温度異常などのアラーム信号が検出された場合に、温度制御を単に停止させるのみでなく、自動的に常温復帰処理を行う。常温復帰処理を自動的に行うことで、チャンバ内部が低温試験時または常温試験時の温度(チャンバの外部よりも低い温度)のままに放置されることがなくなり、チャンバ内部に結露が発生することを有効に防止することができる。
【0022】
また、本発明の部品試験装置では、部品試験装置の連続運転時間が所定時間以上であることなどを示す復帰処理信号を検出した場合に、自動的に常温復帰処理を行う。試験装置を長期間連続運転して低温試験を行う場合には、チャンバ内部へのICチップの出し入れなどに伴う外気の導入などにより、チャンバの内部に湿気が蓄積することがある。このため、温度アラームなどによる温度制御停止がない場合でも、チャンバ内部に結露が発生するおそれがある。本発明の第2の部品試験装置では、所定時間毎、所定ロット数毎などの条件で、常温復帰処理を自動的に行うことで、チャンバ内部の湿気を有効に除去し、チャンバ内部に結露が発生することを有効に防止することができる。
【0023】
なお、本発明において、常温復帰処理における常温とは、常温試験時の常温よりも高い温度も含み、たとえば60゜C以上程度の温度も含む意味で用いる。すなわち、常温復帰処理における常温とは、チャンバ内部の結露を防止できる程度の温度の意味である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0025】
図1は本発明の1実施形態に係るICチップ部品試験装置の概略構成図、図2はICチップ部品試験装置のテストヘッド付近を示す要部概略断面図、図3および4は自動常温復帰動作のフローチャート図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るICチップ部品試験装置2は、試験すべき部品としてのICチップを、常温、低温または高温状態で試験するための装置であり、ハンドラ4と、図示省略してある試験用メイン装置とを有する。ハンドラ4は、試験すべきICチップを、順次テストヘッドに設けたICソケットに搬送し、試験が終了したICチップをテスト結果に従って分類して所定のトレイに格納する動作を実行する。
【0027】
本実施形態では、ハンドラ4には、チャンバ6が具備してあり、チャンバ6内のテストステージ8に、テストヘッド10の上部が露出している。テストヘッド10の上部を図2に示す。テストヘッド10の上部には、マザーボード12が装着してあり、マザーボード12の上には、このマザーボード12に対して、着脱自在に交換用アダプタ14が装着してある。交換用アダプタ14の上には、ボードスペーサ16およびソケットボード18が装着してあり、その上にソケット20が装着してある。ソケット20には、吸着ヘッド24により搬送された試験すべきICチップ22が着脱自在に順次装着される。
【0028】
テストヘッド10に設けたICソケット20は、ケーブルを通じて試験用メイン装置(図示省略)に接続してあり、ICソケット20に着脱自在に装着されたICチップ22をケーブルを通じて試験用メイン装置に接続し、試験用メイン装置からの試験用信号によりICチップ22をテストする。
【0029】
試験すべきICチップ22の種類が変わった場合には、交換用アダプタ14をマザーボード12から取り外して、別のアダプタ14を取り付けることで、異なるICチップ22の検査に対応することができる。なお、試験の内容が大幅に変更される場合には、テストヘッド10を、ハンドラ4から取り外して、別のテストヘッド10をハンドラ4の下部空間部分に配置することで対応することができる。
【0030】
図1に示すように、ハンドラ4は、これから試験を行なうICチップを格納し、また試験済のICチップを分類して格納するIC格納部30を有する。IC格納部30には、試験すべきICチップが搭載してあるローダ用トレイ32Aと、試験済みのICチップが分類されて搭載される分類用トレイ32B〜32Eと、空トレイ32Fと、オプショントレイ32Gとが配置してある。これらトレイ32A〜32Gは、X軸方向に沿って所定間隔で配置してあり、Z軸方向(高さ方向)に積み重ねられて配置してある。
【0031】
ローダ用トレイ32Aに搭載されたICチップは、ハンドラ4に装着してある第1XY搬送装置34を用いて、チャンバ6内部のソークステージ36上に搬送されるようになっている。また、テストヘッド10においてテストされた試験済みのICチップは、最終的に第2XY搬送装置35を用いて、IC格納部30の分類用トレイ32B〜32Eに分類されて搭載される。分類用トレイ32B〜32Eのうち、たとえばトレイ32Cが良品用のトレイであり、その他のトレイが不良品または再試験のためのトレイである。
【0032】
空トレイ32Fは、分類用トレイ32B〜32Eが試験済みのICチップで満杯になると、その上に、搬送されて積み重ねられ、分類用トレイとして利用される。オプション用トレイ32Gは、その他の用途に用いられる。
【0033】
チャンバ6の内部は、ICチップの受け渡し部がシャッタなどにより開平自在に構成してあることを除き、密閉構造であり、たとえば室温から160゜C程度の高温または室温から−60゜C程度の低温状態に維持可能にしてある。このチャンバ6の内部は、ソークステージ36と、テストステージ8と、出口ステージ40とに分けられている。
【0034】
ソークステージ36には、ターンテーブル38が配置してある。ターンテーブル38の表面には、ICチップが一時的に収容される凹部42が円周方向に沿って所定ピッチで配置してある。本実施形態では、ターンテーブル38の半径方向には2列の凹部42が形成してあり、2列の凹部42が、円周方向に沿って所定ピッチで配置してある。ターンテーブル38は、時計回りに回転する。第1XY搬送装置34により搭載位置44でターンテーブル38の凹部42内に搭載されたICチップは、ターンテーブル38が回転方向にインデックス送りされる間に、試験すべき温度条件まで熱ストレスが加えられる。
【0035】
ターンテーブル38の回転中心を基準として、搭載位置44から回転方向に約230度の位置にある取り出し位置46では、ターンテーブル38の上に、3つのコンタクトアーム48の内の一つに装着してある吸着ヘッドが位置し、その位置で、吸着ヘッドにより凹部42からICチップを取り出し可能になっている。3つのコンタクトアーム48は、回転軸50に対して円周方向略等間隔の角度で装着してあり、回転軸50を中心として、時計回りの回転方向に120度ずつインデックス送り可能にしてある。なお、インデックス送りとは、所定角度回転後に停止し、その後、再度、所定角度回転することを繰り返すことである。コンタクトアーム48のインデックス送りに際して、アーム48が停止している時間は、テストヘッド10上のソケットにICチップが装着されて試験されている時間に、ICチップをソケットに着脱する時間を加えた時間に相当する。このインデックス送りの停止時間は、ターンテーブル38におけるインデックス送りの停止時間と同じであり、ターンテーブル38とコンタクトアーム48とは、同期してインデックス送りするように回転する。
【0036】
本実施形態では、三つのコンタクトアーム48の内の一つの吸着ヘッドが、ソークステージ36の取り出し位置46上に位置し、他のコンタクトアーム48の吸着ヘッドがテストステージ8のコンタクトヘッド10上に位置し、さらに他のコンタクトアーム48の吸着ヘッドが出口ステージ40の入り口52上に位置する。
【0037】
ターンテーブル38の搭載位置44でターンテーブル38の凹部42に搭載されたICチップは、搭載位置44から取り出し位置46までインデックス送りされる間に、所定の熱ストレスが印加され、取り出し位置46にて、コンタクトアーム48の吸着ヘッドに吸着される。吸着ヘッドに吸着されたICチップは、コンタクトアーム48が時計回りにインデックス送りされることにより、テストヘッド10の上に配置される。その位置で、図2に示すように、吸着ヘッド24により吸着保持されたICチップ22はソケット20に装着され、試験が行われる。
【0038】
テストヘッド10の上のソケット20に装着されて試験が済んだICチップ22は、吸着ヘッド24に再度吸着され、図1に示すコンタクトアーム48が時計回りにインデックス送りされることで、出口ステージ40の入り口52の上部に位置する。その位置で、試験済みのICチップは、矢印A方向に出口シフタにより出口位置54にスライド移動される。出口ステージ40の出口位置では、出口シフタ上に配置されたICチップは、試験時の温度である低温または高温から常温までに戻される。低温試験の場合には、この出口ステージ40において、ICチップを常温まで戻すことで、チャンバ6から取り出した直後のICチップに結露が生じることを有効に防止することができる。
【0039】
出口ステージ40の出口位置54で、出口シフタ上に配置されたICチップは、常温まで戻された後、図示省略してある出口アームにより矢印B方向にシフト移動され、受け位置56に配置してある出口ターンに移される。出口ターンは、矢印C方向に回動し、受け位置56と排出位置58との間で、往復移動可能になっている。出口ターンの排出位置58には、第2XY搬送装置35の吸着ヘッドが移動可能に構成してあり、出口ターンにより排出位置に配置された試験済みのICチップを、搬送装置35が、試験結果に基づき、分類用トレイ32B〜32Eのいずれかに搬送する。
【0040】
本実施形態に係る部品試験装置2では、ハンドラ4のチャンバ6内において、ソークステージ36の天井部に、ソークステージ用熱交換装置60が配置してあると共に、テストステージ8の側壁部にテストステージ用熱交換装置62が配置してある。これら熱交換装置60および62は、試験装置2が低温試験が可能なものであれば、冷媒として液体窒素などを用いた冷却装置と、チャンバ内に冷風を循環させる送風装置とを有する。試験装置が、高温試験が可能である場合には、これら熱交換装置60および62は、加熱装置と送風装置とを有する。試験装置が、低温試験および高温試験が可能である場合には、これら熱交換装置60および62は、冷却装置と加熱装置と送風装置とを有し、冷却装置と加熱装置とを切り換えて使用する。これら熱交換装置60および62は、温度制御装置70により制御される。温度制御装置70には、テストステージ8に配置された温度センサ72と、ソークステージ36に配置された温度センサ74と、その他のセンサからの出力信号が入力され、これらセンサからの出力信号に応じて、熱交換装置60および62の熱交換量(出力)を制御可能になっている。
【0041】
以下の説明では、試験装置2が、高温試験と低温試験との双方が可能な試験装置であり、その装置を用いて、主として低温試験を行う場合について説明する。図1に示す試験装置2を用いてチャンバ6の内部を低温とし、テストステージ8において、ICチップの低温試験を行う場合に、何らかの異常により、チャンバ6の内部を所定温度以下に維持できない場合がある。そのような場合には、通常、温度アラームが発せられ、温度制御装置70による温度制御が停止する。従来の装置では、単に温度制御を停止するのみであったため、チャンバ6の内部に結露が生じることがあった。また、チャンバ内の結露は、試験装置2を長期間運転することでも生じることがある。
【0042】
本実施形態に係る試験装置2では、図1に示す温度制御装置70に、図3および4に示す制御フローを実行させることにより、チャンバ内に発生するおそれがある結露を有効に防止している。
【0043】
図3に示すステップS1にて制御がスタートすると、ステップS2にて、図1に示す温度制御装置70が熱交換装置60,62およびその他の熱交換装置に制御信号を送り、チャンバ6の内部の低温制御または常温制御を行う。低温制御では、たとえば−55.0゜Cから15.9゜Cの範囲にあるいずれかの設定温度でチャンバ6の内部温度制御を行う。また、常温制御では、たとえば16.0゜Cから39.9゜Cの範囲にあるいずれかの設定温度でチャンバ6の内部温度制御を行う。その設定温度を基準とし、たとえば±α(3゜C〜7゜C)の温度範囲に収まるように、チャンバ6の内部温度を制御する。
【0044】
チャンバ6の内部が上記の温度条件に維持された状態で、図1に示すローダ用トレイ32Aから第1XY搬送装置34を用いてICチップをチャンバ6の内部にあるソークステージ36の搭載位置44にある凹部42に順次移し、ターンテーブル38をインデックス回転させる。ターンテーブル38がインデックス回転する間に、ICチップは、十分に冷却される。ICチップは、ターンテーブル38の取り出し位置46にて、コンタクトアーム48を用いて、テストステージ8のテストヘッド10の上に移され、図2に示すように、コンタクトアームの吸着ヘッド24によりソケット20に装着され、そこで試験される。試験が終了したICチップ22は、図1に示すコンタクトアーム48により、出口ステージ40の入り口52に移され、そこで、矢印A方向に出口シフタにより出口位置54にスライド移動される。出口ステージ40の出口位置では、出口シフタ上に配置されたICチップは、試験時の温度である低温から外気温度近くまでに戻される。この出口ステージ40において、ICチップを外気温度近くまで戻すことで、チャンバ6から取り出した直後のICチップに結露が生じることを有効に防止することができる。
【0045】
出口ステージ40の出口位置54で、出口シフタ上に配置されたICチップは、外気温度近くまで戻された後、図示省略してある出口アームにより矢印B方向にシフト移動され、受け位置56に配置してある出口ターンに移される。出口ターンは、矢印C方向に回動し、受け位置56と排出位置58との間で、往復移動可能になっている。出口ターンの排出位置58には、第2XY搬送装置35の吸着ヘッドが移動可能に構成してあり、出口ターンにより排出位置に配置された試験済みのICチップを、搬送装置35が、試験結果に基づき、分類用トレイ32B〜32Eのいずれかに搬送し、トレイ毎に分類される。
【0046】
このような試験に際して、図1に示す温度制御装置70は、図3に示すステップS3に示すように、常時、アラーム信号が発生しているかを検出する。アラーム信号としては、たとえばチャンバ6内の温度が所定温度(たとえば設定温度+α)以上であることを知らせる温度アラーム信号、チャンバ6内の温度が所定温度(たとえば設定温度+α)以下であることを知らせる温度アラーム信号、チャンバ内の温度を検出する温度センサの異常を示すアラーム信号、チャンバ内の冷却を開始してからの温度下降が遅すぎることを示す異常アラーム信号、熱交換装置60および62の異常を示すアラーム信号、チャンバ以外での異常を示すアラーム信号などである。
【0047】
これらのアラーム信号が検出されない場合には、ステップS4へ行き、検出された場合には、ステップS5へ行く。ステップS5(復帰アラーム検出手段)では、検出されたアラーム信号が、温度制御を停止させるための復帰アラーム信号か否かを判断する。チャンバ以外での異常を示すアラーム信号などの復帰アラーム信号でない場合には、温度制御を停止させるためのアラームではないので、ステップS6へ行き、温度制御以外のアラームに対する処理を行い、ステップS2へ戻る。ステップS5にて、復帰アラーム信号であると判断された場合には、ステップS7にて、図1に示す温度制御装置70は、通常試験時の温度制御を停止し、ステップS8へ行く。
【0048】
ステップS8(条件判断手段)では、試験装置2が、自動復帰処理条件に合致しているか否かを判断する。自動復帰処理条件に合致している場合とは、たとえば次の全ての条件を満たす場合である。すなわち、▲1▼自動常温復帰処理機能の設定値が有効であり、▲2▼温度制御装置70のスイッチがオンであり、▲3▼チャンバ6のカバーが全て閉まっており、▲4▼ステップS5にて復帰アラーム信号であると判断され、これらの全ての条件を満足する場合である。ただし、本発明では、自動復帰処理条件に合致している場合としては、上記の▲1▼〜▲4▼の全ての条件を必ずしも全て満足することなく、いずれか1以上、または他の条件であっても良い。
【0049】
ステップS8にて自動常温復帰処理条件が合致しないと判断された場合には、ステップS9へ行き、自動常温復帰処理を行うことなく、そのままの状態を維持する。その場合には、装置のオペレータが、手動により、チャンバ6の内部で結露が発生することを防止する。
【0050】
ステップS8にて、条件が合致すれば、ステップS10(常温復帰手段)にて、自動常温復帰処理を行い、その後、ステップS11にて、通常温度制御状態に戻ったか否かを判断し、戻った場合にのみ、ステップS2へ戻り、前述した制御を繰り返す。
【0051】
図3に示す自動常温復帰処理の詳細を図4に示す。図4に示すように、自動常温復帰処理では、まで、ステップS20にて、図1に示すハンドラ4の動作を停止し、ICチップの搬送を停止する。次に、ステップS21では、自動常温復帰処理を開始する。具体的には、図1に示す温度制御装置70が、熱交換装置60,62に内蔵してある加熱装置としてのヒータ、およびチャンバ6の内部に配置してある全てのヒータに制御信号を送り、チャンバ6の内部を急速に加熱し、チャンバ6の内部を常温まで戻す。なお、ここで、常温とは、常温試験時の常温(16.0〜39.9゜C)よりも高い温度も含み、たとえば60゜C以上程度の温度も含む意味で用いる。すなわち、常温復帰処理における常温とは、チャンバ内部の結露を防止できる程度の温度の意味である。この常温復帰に必要な処理時間は、チャンバ6の内容積、チャンバ6の初期温度およびヒータの能力などにもよるが、数分ないし十数分程度である。
【0052】
ステップS21にて自動常温復帰処理が開始すると、次に、ステップS22(復帰中断アラーム検出手段)にて、その復帰処理中に、中断アラーム信号が発生したか否かを検出する。中断アラーム信号としては、チャンバ6の扉が開いたアラーム信号や、チャンバ6の内部温度が異常に上昇したことを示す温度アラーム信号などが例示される。このような中断アラーム信号を、図1に示す制御装置70が受けた場合には、図4に示すステップS25へ行き、全ての温度制御を停止し、ステップS26(復帰中断手段)にて、常温復帰処理を中断する。ステップS22にて、中断アラームを検出しない場合には、ステップS23へ行き、自動常温復帰処理を継続し、ステップS24にて、常温復帰処理制御が終了か否かを判断する。常温復帰処理制御が終了か否かは、チャンバ6の内部温度が、結露防止可能な程度の常温まで十分に上昇したか否かにより判断され、具体的には、温度センサ72および74の出力信号を基準として制御装置70が判断する。ステップS24にて、常温復帰処理が終了と判断された場合には、ステップS27へ行き、そうでない場合には、ステップS23を継続する。
【0053】
ステップS26にて常温復帰処理が中断された場合と、ステップS24にて、常温復帰処理が終了した場合とには、ステップS27にて、これらの復帰処理が、図3に示すステップS5により判断された復帰アラーム信号による復帰処理か否かを判断する。その場合には、ステップS28(復帰処理モード解除手段)へ行き、自動常温復帰処理モードを解除する。すなわち、復帰アラーム信号に基づく自動常温復帰処理モードは、1回のみ行われる。このような事態が何度も継続して続くことを防止するためである。なお、復帰アラーム信号に基づく自動常温復帰処理モードを、再度設定すれば、復帰アラーム信号に基づく自動常温復帰処理モードとなり、前述した制御を行うことができる。
【0054】
本実施形態では、このような復帰アラーム信号に基づく自動常温復帰処理に加えて、図3に示すステップS4以降に示す自動常温復帰動作も行う。
図3に示すステップS4に行く場合とは、ステップS3にてアラームが発生することなく、図1に示す試験装置2を長時間運転した場合であり、そのような場合には、ステップS4(復帰処理信号検出手段)にて、図1に示す制御装置70は、自動常温復帰処理信号が発生しているか否かを検出し、発生していない場合には、ステップS2へ戻り、それ以降の制御を繰り返す。発生している場合には、ステップS10へ行き、上述した図4に示す自動常温復帰処理を行う。ただし、図4に示すステップS27では、復帰アラーム信号に基づく復帰処理でないと判断され、ステップS28へ行くことなくステップS11へ行き、常温復帰処理モードは解除されない。すなわち、この場合には、繰り返し自動常温復帰処理が成される可能性がある。
【0055】
ステップS4にて、自動常温復帰処理信号が発生している場合とは、たとえば部品試験装置2の連続運転時間を計測し、当該計測された連続運転時間が、所定時間以上である場合である。
【0056】
または、部品試験装置2のハンドラ4の制御装置が、試験した部品のロット数を計測し、当該計測されたロット数が、所定ロット数の区切りであることを検出し、その場合に、復帰処理信号を、図1に示す制御装置70へ送信することで、自動常温復帰処理信号を検出しても良い。
【0057】
または、図1および2に示すテストヘッド10に接続される試験用メイン装置(図示省略)から発せられる復帰処理信号を、図1に示す制御装置70が検出することで、判断しても良い。試験用メイン装置では、測定条件、測定結果、測定時間などの管理を行っているので、その情報に基づき、自動常温復帰処理信号(復帰処理要求)を出しても良い。
【0058】
さらにまた、図1に示す部品試験装置2をネットワーク上で生産管理および監視しているシステムでは、ホストコンピュータから発せられる復帰処理信号を、図1に示す制御装置70が検出することで、判断しても良い。ホストコンピュータでも、試験用メイン装置と同様に、測定条件、測定結果、測定時間などの管理を行っているので、その情報に基づき、自動常温復帰処理信号(復帰処理要求)を出しても良い。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0060】
たとえば、上述した実施形態では、図1に示すチャンバ6の内部で低温試験を行う場合について主として説明したが、そのチャンバ6の内部で常温試験を行う場合にも、本発明を適用することができる。また、図1に示す試験装置2は、チャンバ6の内部で、常温試験および/または高温試験も行うことができるタイプであるが、本発明に係る試験装置は、低温試験のみを行う試験装置または常温試験のみを行う装置にも適用することができる。また、本発明に係る試験装置では、ハンドラ4におけるICチップの取り回し方法は、図示する実施形態に限定されない。
【0061】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係る部品試験装置によれば、温度アラームの発生や長期間の連続運転に際しても、チャンバの内部に結露が発生することを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の1実施形態に係るICチップ部品試験装置の概略構成図である。
【図2】 図2はICチップ部品試験装置のテストヘッド付近を示す要部概略断面図である。
【図3】 図3は自動常温復帰動作の全体フローチャート図である。
【図4】 図4は自動常温復帰動作の要部フローチャート図である。
【符号の説明】
2… 部品試験装置
4… ハンドラ
6… チャンバ
8… テストステージ
10… テストヘッド
20… ソケット
22… ICチップ(部品)
24… 吸着ヘッド
30… IC格納部
32A〜32G… トレイ
34… 第1XY搬送装置
35… 第2XY搬送装置
36… ソークステージ
38… ターンテーブル
40… 出口ステージ
48… コンタクトアーム
60… ソークステージ用熱交換装置(冷却装置+加熱装置)
62… テストステージ用熱交換装置(冷却装置+加熱装置)
70… 温度制御装置
72,74… 温度センサ

Claims (9)

  1. 部品を試験するためのテストステージを内部に有するチャンバと、
    前記チャンバの内部を常温以下の温度に冷却することが可能な冷却装置と、
    前記チャンバの内部を常温に戻すように加熱することが可能な加熱装置と、
    前記チャンバ内部の温度を検出する温度センサと、
    前記温度センサからの出力に応じて、前記冷却装置および/または加熱装置の出力を制御する温度制御装置とを有する部品試験装置であって、
    前記温度制御装置は、
    前記チャンバ内の異常に関する復帰アラーム信号が発生したか否かを検出する復帰アラーム検出手段と、
    常温復帰処理信号が発生したか否かを検出する復帰処理信号検出手段と、
    前記復帰アラーム検出手段で検出された復帰アラーム信号、又は、前記復帰処理信号検出手段で検出された復帰処理信号に基づき、前記冷却装置による冷却を停止し、前記加熱装置を起動させて、前記チャンバの内部を常温に戻すように加熱する常温復帰手段と、を有しており、
    前記復帰処理信号検出手段は、部品試験装置の連続運転時間を計測し、当該計測された連続運転時間が、所定時間以上であることを検出し、その場合に発生される復帰処理信号を検出し、
    前記温度制御装置は、前記復帰アラーム信号又は前記復帰処理信号に基づく前記常温復帰手段による常温復帰処理が終了した後、常温復帰手段による常温復帰処理が適切に終了したか否かを判断し、適切に終了した場合には、通常の温度制御を再開するように構成してあり、
    前記常温復帰手段は、前記復帰アラーム信号に基づいた常温復帰処理を終了した場合に、常温復帰処理モードを解除し、前記復帰処理信号に基づいた常温復帰処理を終了した場合に、常温復帰処理モードを解除しない復帰処理モード解除手段を有する部品試験装置。
  2. 前記常温復帰手段
    常温復帰処理中に、復帰中断アラーム信号が発生したか否かを判断する復帰中断アラーム検出手段と、
    前記復帰中断アラーム検出手段により復帰中断アラーム信号が検出された場合に、前記常温復帰手段による常温復帰処理を中断させる復帰中断手段とを有する請求項1に記載の部品試験装置。
  3. 前記復帰処理モード解除手段は、前記復帰中断手段により常温復帰処理が中断された後、所定の条件で、常温復帰処理モードを解除する請求項2に記載の部品試験装置。
  4. 前記温度制御装置が、
    常温復帰処理条件に合致しているか否かを判断し、条件に合致している場合のみに、前記常温復帰手段による常温復帰処理を開始させる条件判断手段をさらに有する請求項1〜のいずれかに記載の部品試験装置。
  5. 前記復帰アラーム信号が、前記チャンバ内の温度が所定温度以上であることを知らせる温度アラーム信号である請求項1〜のいずれかに記載の部品試験装置。
  6. 前記復帰中断アラーム信号が、チャンバのカバーが開いていることを知らせるカバーアラーム信号である請求項2に記載の部品試験装置。
  7. 前記復帰処理検出手段が、部品試験装置により試験した部品のロット数を計測し、当該計測されたロット数が、所定ロット数の区切りであることを検出し、その場合に発生される復帰処理信号を検出することを特徴とする請求項に記載の部品試験装置。
  8. 前記復帰処理検出手段が、試験用メイン装置から発せられる復帰処理信号を検出することを特徴とする請求項に記載の部品試験装置。
  9. 前記復帰処理検出手段が、ホストコンピュータから発せられる復帰処理信号を検出することを特徴とする請求項に記載の部品試験装置。
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