JP4037603B2 - エポキシ樹脂組成物および、これを用いるインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物および、これを用いるインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物および、これを用いるインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、非接触にて記録材を直接記録紙上に記録することができる点、また、プロセスが非常にシンプルである点など、多くの特徴を有する。さらに、インクジェット記録方式は、カラー記録方式としても非常に注目されている。このようなインクジェット記録方式にも各種の方式が提案されてきたが、急速に商品化が進んでいるのは、Drop On Demand(DOD)方式である。
【0003】
このDOD方式は、記録信号が入力された時のみインクを吐出する方式であり、最も構成がシンプルである。そして、DOD方式の中にも、バブルジェット方式とピエゾアクチュエータ方式の二つの方式がある。前者バブルジェット方式の提案は、特公昭61−59913号公報などでなされている。この方式は、熱エネルギーにより発生するバブルを利用するものであり、アクチュエータに相当するヒーターがインク流路の中にある。すなわち、インクを直接瞬間加熱することでヒーター表面にバブルを発生させ、このときの流路内のインク圧力上昇により滴化インクを飛翔させる方式である。
【0004】
もう一方のインクジェット記録方式であるピエゾアクチュエータ方式の提案は、特公昭60−8953号公報等でなされている。この方式は、前記のバブルジェット方式の構成に対し、アクチュエータであるピエゾ素子がインク流路の外に設けられている点を特徴としている。このピエゾ素子方式の動作概要は、加圧液室の壁面の一部が変形可能な構造を有し、該壁面の外側に設けたピエゾ素子が印加電圧によって変位することにより加圧液室内のインクに圧力を与え、ノズルを通して該インクを噴射するものである。この時の圧力上昇は、パルス的な上昇によって行なわれ、インク噴射後は、ピエゾ素子の変位を元の位置に戻すことで、インクタンク側から前記加圧室内にインクが補給される。この方式の特徴は、ピエゾ素子が直接インクに接しないため、該ピエゾ素子の部材選定に対インク適性の制約を受けず、また、ピエゾ素子の効率的な設計を実施することにより、該ピエゾ素子の発熱を抑えることができ、使用するインクについても耐熱性の制約が無い等の利点を有することである。
【0005】
また、半導体の微細加工技術を用いて形成された微小構造のアクチュエータとしては、その駆動源として静電気力を利用したものが知られている。例えば静電気力を利用してインク液滴の吐出を行う静電インクジェットヘッドが特開平5−50601号公報、特開平6−71882号公報に開示されている。この形式のインクジェットヘッドは、ノズルに連通しているインク流路の底面が弾性変形可能な振動板として形成され、前記振動板には、一定の間隔で基板が対向配置され、これら振動板及び基板にそれぞれ対向電極が配置された構成となっている。対向電極の間に電圧を印加すると、それらの間に発生する静電気力によって、振動板は基板の側に静電吸引されて振動する。この振動板の振動によって発生するインク流路の内圧変動によって、ノズルからインク液滴が吐出される。
【0006】
このようなインクジェット記録方式を用いるインクジェットヘッドにおいて、前記バブルジェット方式、ピエゾアクチュエータ方式、静電方式を問わず、インクの通る流路部、液室部は常に弱アルカリ性であるインクに浸漬された状態になるため、これらを構成する材料同士、材料自体の部材間及び該材料と基板との接合における信頼性が極めて重要である。従って、このような流路部、液室部を接着する材料には、まず、前記のような耐インク性を有していることが要求され、更に接着強度、作業性なども要求される。
【0007】
これまで、これら部材を接着する方法として、各々のインクジェットヘッドに対応した方法が種々検討されてきている。実際にドライフィルムや感光性接着剤など熱可塑性樹脂によって熱圧着したり(特開平7−314675号公報等)、溶媒希釈型接着剤を塗布後、溶媒揮発させ高粘度接着剤として接着したり(特開平7−314697号公報等)、主剤と硬化剤とからなる2液性接着剤を別々に部材(被着体)に塗布し、貼り合わせ硬化後、溶剤洗浄したり(特開平10−235875号公報)、紫外光を含む光により硬化する接着剤を使用したり(特開平6−143568、特開平5−155017号公報等)するなど、種々の接着工法が検討されている。しかし、実際のところ、種々の要求仕様に十分に対応出来ていないのが現状である。
【0008】
例えば、これまで、前記流路部や液室部に使用する材料には、金属や樹脂プレート、Si基板、感光性樹脂などが使用されてきた。これらの材料の中で、前記感光性樹脂は、フォトリソグラフィープロセスにより、所望の形状のインク流路を容易に得ることができるため、前記流路部や液室部の材料として広く使用されている。このような感光性樹脂としては印刷板、プリント配線等におけるパターン形成用として用いられてきたもの、あるいはガラス、金属、セラミックス等に用いる光硬化型の塗料や、接着剤として知られているものが用いられているが、作業能率などの面からドライフィルムタイプの感光性樹脂フィルム(DFR)が主に利用されてきた。
【0009】
しかしながら、このようなDFRにあっては、主成分がアクリル樹脂であるために、耐インク性、特に耐アルカリ性や基板への密着性が、長期インク浸漬後には完全でなくなるという問題が生じている。これは、インク自身が染料の溶解度を向上させるために弱アルカリ性になっており、これにより架橋度の比較的低いアクリル樹脂が膨潤したり、残留未反応成分が溶解したりすることに起因している。
【0010】
また、溶媒揮発型の高粘度接着においては、もともと粘度の高い接着剤組成であり、溶媒を揮発させた後に均一に塗布膜を形成するのは困難でむらになる可能性が高く、接着不均一になるという問題や、揮発の際に塗膜中にボイドを発生するという問題を抱えている。また、2液型接着剤で主剤と硬化剤をそれぞれの被着体面に塗布する方法には、ポットライフは長いが作業性が悪いという問題がある。更にUV硬化型接着剤においては、UV光が照射されない部分で硬化不十分の部分が出来やすく、そのままでは接着剤としては使用できず、熱硬化性接着剤との併用で改善を試みているが、未反応モノマーが多く硬化物中に残ってしまう可能性があり、耐インク性に問題があり、接着強度が低下する可能性がある。また、接着性を高めるために弾性シリコーン接着剤を使用している例もあるが、このような弾性シリコーン接着剤はアルカリや溶媒に弱く、膨潤してしまうという欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みなされたもので、優れた接着機能を有し、特にインクジェットヘッドの構成部材同士を接合するのに有効なエポキシ樹脂組成物および、これを用いるインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。とりわけ本発明の目的は、インクジェットヘッドのインク流路部と液室部を構成する部材を接着する接着剤の耐インク性、特に耐アルカリ性と、長期浸漬後の部材間の密着性を改善し、剥離強度が高く、作業性良好なインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物と、これを接着剤として用いるインクジェットヘッド製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的達成のため鋭意検討した結果、少なくとも液状エポキシ樹脂および液状硬化剤を含有し、無溶媒系であることにより、硬化性を高め、耐インク性を向上させ、部材間の密着性を高め、接着強度を向上させ、作業性良好な、インクジェットヘッド製造用に特に有用なエポキシ樹脂組成物を見出し、本発明に至った(請求項1)。なお、他の接着剤主剤に比べ、エポキシ樹脂は硬化収縮率が小さく、微細接着に有効である。
【0013】
請求項1に係るエポキシ樹脂組成物は、少なくとも液状エポキシ樹脂と液状硬化剤とを含有し、無溶媒であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項1に係るエポキシ樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂として、少なくともエラストマー添加ビスフェノールA型の可撓性エポキシ樹脂、液状ウレタン樹脂添加ビスフェノールA型の可撓性エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、芳香環を有するフッ素化エポキシ樹脂のいずれかを含有することを特徴とする。
【0015】
請求項に係るエポキシ樹脂組成物は、液状硬化剤が、硬化物に少なくとも可撓性を付与する機能を有することが好ましい。請求項に係るエポキシ樹脂組成物は、請求項において液状硬化剤が、ポリアミドアミン系硬化剤、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤、複素環式アミン系硬化剤のいずれかであることを特徴とする。
【0016】
請求項1又は2に係るエポキシ樹脂組成物は、充填剤として少なくとも無機充填剤が配合されていることが好ましい。請求項に係るエポキシ樹脂組成物は、請求項1において、充填剤として少なくとも高分子粒子が配合されていることを特徴とする。
【0017】
請求項1〜3のいずれかのエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤が配合されていること、またエポキシ樹脂反応性希釈剤が添加されていることが好ましい
【0018】
また、請求項に係るインクジェットヘッドの製造方法は、インクジェットヘッドの構成部材同士を、請求項1〜のいずれかに係るエポキシ樹脂組成物を用い、このエポキシ樹脂組成物を常温硬化させて接着することを特徴とする。インクジェットヘッドの製造方法においては、インクジェットヘッドの構成部材同士を、エポキシ樹脂組成物を常温または、これより低い温度で1次硬化させた後、アフターキュアして接着することもできる
【0019】
さらに、請求項に係るインクジェットヘッドの製造方法は、Ni−鉄系合金からなるノズルプレートと、シリコンからなるヘッド本体とを、請求項に係る接着方法によって接着することを特徴とする。
【0020】
請求項1の発明によれば、極めて優れた接着効果を有するエポキシ樹脂組成物が提供できる。このため例えば、インクジェットヘッドの構成部材同士を均一接着をさせ、硬化性を高め、耐インク性を向上させ、部材間の密着性を高め、剥離強度を向上させることができ、作業性良好なインクジェットヘッドを提供することができる。
【0021】
請求項の発明では、液状エポキシ樹脂として、少なくともビスフェノール系エポキシ樹脂を含有することで、耐インク性を向上させ、部材間の密着性を高めたインクジェットヘッドを製造するのに特に有用なエポキシ樹脂組成物を提供することができる。また、液状エポキシ樹脂として少なくとも可撓性エポキシ樹脂を含有することで、剥離強度を増加させ、耐インク性の良好なインクジェットヘッドを製造するのに特に有用なエポキシ樹脂組成物を提供することができる。また、液状エポキシ樹脂として少なくともグリシジルアミン系エポキシ樹脂を含有することで、ポットライフを調整することが出来、作業性良好なインクジェットヘッドの製造に特に有用なエポキシ樹脂組成物を提供することができる。さらに、液状エポキシ樹脂として少なくともフッ素化エポキシ樹脂を含有することで、剥離強度を良好とし、耐インク性が向上したインクジェットヘッドの製造の特に有用なエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【0022】
本発明では、液状硬化剤として硬化物に少なくとも可撓性を付与する硬化剤を使用することで、剥離強度が向上したインクジェットヘッドの製造に特に有用なエポキシ樹脂組成物が提供される。また、請求項の発明では、液状硬化剤がポリアミドアミン系硬化剤、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤、複素環式アミン系硬化剤のいずれかであるため、剥離強度を向上させ、耐インク性が良好なインクジェットヘッドの製造に特に有用なエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【0023】
本発明では、充填剤として少なくとも無機充填剤を配合することにより粘度調整が出来、作業性が良好で、硬化接着する際の染み出し防止となる、インクジェットヘッド製造用として特に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することができる。また、請求項の発明では、充填剤として少なくとも高分子粒子が配合されているため、粘度調整が出来、作業性が良好で、硬化接着する際の染み出し防止し、更に可撓性を付与し、剥離強度が良好となる、インクジェットヘッド製造用として特に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【0024】
本発明では、硬化促進剤を添加することで、硬化性を向上させ、耐インク性向上させ、より剥離強度向上させる、インクジェットヘッド製造用として特に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することができる。また、本発明では、エポキシ樹脂反応性希釈剤を添加することで、粘度調整が出来、作業性が良好な、インクジェットヘッド製造用として特に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【0025】
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法では、インクジェットヘッドの構成部材同士を、請求項1〜のいずれかに係るエポキシ樹脂組成物を用いて接着することにより、インクジェットヘッドの構成部材同士を均一接着をさせ、硬化性を高め、耐インク性を向上させ、部材間の密着性を高め、剥離強度を向上させることができ、作業性良好なインクジェットヘッドを製造することができる。
【0026】
また、請求項に係るインクジェットヘッドの製造方法では、上記のインクジェットヘッド製造において、インクジェットヘッドの構成部材同士を、エポキシ樹脂組成物を常温硬化させて接着することで、熱硬化接着の際の熱応力を緩和し、液室及びノズルプレート等の接着歪みを軽減したインクジェットヘッドを製造することができる。
【0027】
さらに、上記のインクジェットヘッドの製造方法では、インクジェットヘッドの構成部材同士を、エポキシ樹脂組成物を常温または、これより低い温度で1次硬化させた後、アフターキュアして接着するようにしたので、硬化性を向上させ、耐インク性向上させ、より剥離強度向上させたインクジェットヘッドを製造することができる。
【0028】
さらに、請求項に係るインクジェットヘッドの製造方法では、Ni−鉄系合金からなるノズルプレートと、シリコンからなるヘッド本体とを、上記接着方法で接着するようにしたので、インクジェットヘッドの歪みが小さく、インクジェットヘッド本体にかかる応力を小さくすることが可能なインクジェットヘッドを製造することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明に使用される液状エポキシ樹脂としては、一般的に液状であれば良く、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。特にこれらに限定されるわけではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。
【0030】
また、硬化剤は液状硬化剤であれば良く、例えば芳香族アミン系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、脂環族アミン系硬化剤、エポキシ変性アダクトアミン系硬化剤、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤、複素環式アミン系硬化剤、3官能チオール系硬化剤、イミダゾール系硬化剤などが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。このような液状エポキシ樹脂を使用することは溶媒を使用しなくても良く、塗膜中にボイドなどの発生もなく、低粘度組成を与え、均一接着に有効である(請求項1)。
【0031】
また、特にビスフェノール系エポキシ樹脂を用いた場合、液状であることにより硬化剤との混合性も良く、反応性が高いため硬化性が良く、硬化物の耐インク性が良好で、接着強度が良好となる。具体的には特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が硬化物の硬化性が良く、耐インク性も良く、接着強度も良好である(請求項)。
【0032】
可撓性エポキシ樹脂としては、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂(CTBN,ATBN等による変性)、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、エラストマー添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ウレタン樹脂添加添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良く、更にビスフェノール系エポキシ樹脂と混合して用いても良い。
【0033】
可撓性エポキシ樹脂を用いた場合、特に硬化物が他のエポキシ樹脂に比べ、硬化物に可撓性があるため、接着強度が高くなる。更にポリスルフィド変性エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂はビスフェノール系に比べ、硬化性はやや劣る反面、ポットライフを長くすることが出来、作業性も向上する。
【0034】
また、可撓性エポキシ樹脂の中でも特にビスフェノールA型エポキシ樹脂にエラストマー添加、液状ウレタン樹脂添加の可撓性エポキシ樹脂は非常に剥離強度が大きく、なお且つ硬化性も高く、耐インク性も良好でインクジェットヘッドエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂として好適である(請求項1)。
【0035】
また、グリシジルアミン系エポキシ樹脂としては、N,N,N‘,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−グリシジル−o−トルイジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良く、更にビスフェノール系エポキシ樹脂と混合して用いても良い。
【0036】
グリシジルアミン系エポキシ樹脂を用いた場合、特にアミン系硬化剤との組み合わせの場合、硬化反応速度が遅くなり、ポットライフが長くなり、工程での作業性が良好となる。その上、架橋密度が向上することにより、耐インク性、特にインクによる膨潤に効果がある(請求項)。
【0037】
フッ素化エポキシ樹脂としては、ビスフェノールヘキサフルオロイソプロピルグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシポロポキシ)オクタフルオロビフェニル、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)ジグリシジルエーテルや、下記式(1)のようなフッ素化エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良く、更にビスフェノール系エポキシ樹脂と混合して用いても良い。
【0038】
【化1】
Figure 0004037603
【0039】
フッ素化エポキシ樹脂であるビスフェノールヘキサフルオロイソプロピルグリシジルエーテルと、ビスフェノール系エポキシ樹脂とを混合して用いた場合、特に硬化物は低い表面張力で被着体を濡らすので接着強度が向上する。また、上記一般式のようなフッ素化エポキシ樹脂組成物のフッ素含有量は25wt%以上あり、フッ素元素を導入した硬化物となり、耐インク性向上に効果がある(請求項)。
【0040】
硬化物に可撓性を付与する硬化剤としては、ポリアミドアミン系硬化剤、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤、複素環式アミン系硬化剤、3官能チオール系硬化剤(THEIC−BMPA等)、脂肪族アミン(例えばメチルペンタンジアミン)などで、硬化物に可撓性を付与し、硬化物の架橋密度を低めにするものであれば、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良く、他のアミン系硬化剤、例えば芳香族アミン、脂環族アミンなどを混合して用いても良い。
【0041】
可撓性を付与する硬化剤を使用した場合、エポキシ樹脂は上記記載のエポキシ樹脂であれば何れでも良く、好ましくはビスフェノール系エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂であれば、更に接着強度が向上する。特に、エラストマー添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ウレタン樹脂添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂と組み合わせた場合、接着強度、耐インク性が良好となる。なお、硬化物に硬化剤で可撓性付与の際も柔かい硬化物を与え、架橋密度が低めの硬化物を与えるため、接着強度が良好となる。
【0042】
更に可撓性を与える硬化剤がポリアミドアミン系硬化剤(富士化成:トーマイド、ヘンケルジャパン:バーサミド等)、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤(HUNTSMAN:ジェファーミン等)、複素環式アミン系硬化剤(油化シェルエポキシ:エポメート等)である場合、特に硬化性が良好で、剥離強度を向上させ、耐インク性が良好となる。なお、ポリオキシアルキレンアミン系のポリオキシプロピレンジアミン及びポリオキシプロピレントリアミンはメチル基を有し、立体障害となり反応性を抑制することでポットライフを長くすることが出来、混合や塗布などの作業性を改善することができる(請求項)。
【0043】
なお、これら上記記載の硬化剤は硬化性を向上させる際には使用するエポキシ当量より過剰に加えるのが好ましい。また、可撓性を与えるには逆に硬化剤当量よりもエポキシ樹脂を過剰に加えることで達成することができる。
【0044】
また、無機充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の酸化物、カオリン、タルク、アスベスト粉、石英粉、雲母、ガラス繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中で種々の点から酸化チタン、シリカを一種または二種以上使用することが好ましい。また、これら無機充填剤の粒径は小さい方が好ましく、粒径が1μm以下、1次粒子が30nm以下程度のものであることが特に好ましい。粒径が1μmを超えると微細塗布接着が困難となり、更に硬化接着時における染み出しの防止効果が少なくなる。無機充填剤を混合する場合、エポキシ樹脂組成物の粘度調整が容易にでき、種々塗布粘度に対応することができる。更に無機充填剤添加は硬化物の耐インク性を向上させる。
【0045】
これら充填剤の添加量は、本発明のエポキシ樹脂組成物および、特に充填剤の種類により大きく変化するが、エポキシ樹脂100重量部に対して、100重量部以内が望ましい。更に硬化物の耐インク性の面からもこの範囲内が好ましい。但し、100重量部を超えると、粘度上昇でエポキシ樹脂組成物の塗布性が損なわれる。その上、接着性が劣化する傾向にある。なお、充填剤の混合に当たっては、均一分散するために三本ロール等で混練し、微細化して使用することが望ましい。
【0046】
無機充填剤を使用する際に、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤などを使用することが望ましい。具体的にはシランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシランカップリング剤、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランカップリング剤、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシランカップリング剤、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン等の一般式 RSi(OR’)3 〔式中、Rは1個又は2個以上のハロゲン原子が置換してもよい、炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、R’は炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。〕で表されるアルキルトリアルコキシシラン等を挙げることができる。なお、特にこれらに限定されるものではない。
【0047】
チタンカップリング剤の具体例としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス−イソデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス−n−デシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピル−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)−ビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等を挙げることができる。なお、特にこれらに限定されるものではない。
【0048】
これらのカップリング剤の添加量は、本発明のエポキシ樹脂剤組成物により大きく変化するが、無機充填剤を添加したエポキシ樹脂組成物の合計を100重量部とした際、5重量部以下が好ましい。また、5重量部を超えると、樹脂の凝集力が低下し、結果として接着力や信頼性が低下する。
【0049】
高分子粒子としては、例えば具体的にはポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリスチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、メラミン−グアナミン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子等などが挙げられる。特にこれらに限定されるものではない。高分子粒子を使用することで、硬化接着時の染み出しを防止することができ、更に硬化物に可撓性を与えることができ、接着強度が向上する。
【0050】
特に、架橋ポリアクリレート系粒子においてはエポキシ樹脂の硬化の際、流動性の増したエポキシ樹脂をゲル化し、染み出し防止に寄与するだけでなく、柔軟性を硬化物に付与することもでき、接着強度を増加させる効果もある。エポキシ樹脂組成物の粘度調整も混合量で任意に調整でき、塗布工程などの作業性を良好にする。また、理由は不明だが、架橋ポリアクリレート系粒子の添加がエポキシ樹脂の硬化を促進する効果もあり、混合しない場合に比べ、より低温硬化接着を可能にしている。これら高分子粒子の粒径は小さい方が好ましく、特に1μm以下であることが特に好ましい。粒径が1μm以上である場合、微細塗布接着が困難となり、更に硬化接着時における染み出しの防止効果が少なくなり、接着強度も低下する。
【0051】
なお、高分子粒子の混合量としては、染み出し防止の点などからエポキシ樹脂100重量部に対して40重量部以下が好ましい。40重量部を超えると粘度上昇でエポキシ樹脂組成物の塗布性が損なわれる。その上、耐インク性が劣化する傾向にある。なお、充填剤の混合に当たっては、均一分散するために三本ロール等で混練し、微細化して使用することが望ましい(請求項)。
【0052】
また、硬化促進剤としては、液状であることが望ましく、例えば、3級アミン系化合物やアルコール類、フェノール類などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。3級アミン化合物としては2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、N,N’−ジメチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどが挙げれられる。また、アルコール類、フェノール類としてはベンジルアルコール、フルフリルアルコール、ノニルフェノールなどが挙げられる。
【0053】
特に耐インク性を考慮した場合、硬化促進剤自体も反応し、硬化物となる3級アミン系化合物が好ましい。なお、硬化促進剤を用いることで、硬化性が向上し接着強度が良好となる。更に硬化温度の低下をもたらし、低温硬化による歪みを抑えることもできる。これらの効果から、インクジェットヘッド作製工程の簡素化(セル作製時における省エネ)、コストダウンへも寄与することもできる。
【0054】
硬化促進剤の量は、エポキシ樹脂100重量部に対して10重量部以下が好ましい。この量が10重量部を超えると、硬化性はよいものの、3級アミン系化合物の場合は硬化物の架橋密度が高くなり、硬い硬化物を与え、接着強度低下となる。
【0055】
エポキシ樹脂反応性希釈剤としては、低粘度なエポキシ反応性希釈剤であれば使用することができ、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジリエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。特に反応性基が2官能以上であることが好ましく、例えば、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。
【0056】
反応性希釈剤を添加することで、エポキシ樹脂組成物の粘度調整が容易にでき、種々の塗布工程に対応できる。また、2官能以上であれば、硬化反応で硬化物の架橋密度を向上させ、耐インク性を向上させることができるので、より好ましい。また、理由は不明だが、これら反応性希釈剤をエポキシ樹脂組成物に添加して用いた場合、ポットライフが長くなる傾向にあり、作業性を向上させることができる。
【0057】
反応性希釈剤の量は、エポキシ樹脂100重量部に対して30重量部以下が好ましい。この量が30重量部を超えると、希釈効果はあるものの、ベースエポキシ樹脂組成物の硬化物のそのもの特性が変化し、接着強度が低下したり、耐インク性が低下したりする。
【0058】
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物は、バブルジェット方式,ピエゾアクチュエータ方式、静電方式のどの方式にも使用可能であり、インクジェットヘッド製造における、各部材同士の接着に使用できる。特にインクに接する部材同士の接着に効果がある。
【0059】
つぎに、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いるインクジェットヘッド製造法を説明する。ここでは、エポキシ樹脂組成物を用いる静電方式のインクジェットヘッド製造方法について説明するが、この方式に限定されるものではない。
【0060】
Si基板を用意し、その上に電極部およびギャップ部を形成する。次に別のSi基板を用意し、これを、前記電極部およびギャップ部を形成したSi基板(電極基板)と直接接合により接合し、100μmの厚さになるまで研磨を行う。なお、Si/Si直接接合に代えて、本発明のエポキシ樹脂組成物を使用して硬化接着することもできる。
【0061】
次に、この接合ウエハすなわち、上記電極基板および上記Si基板にエッチングマスクとなる窒化膜をデポし、裏面流路部、液室部をウェットエッチングにより形成する。次に、この接合ウエハをダイシングにより切断して、多数のチップに分割する。その後、各チップに電極取り出し部をドライエッチングにて開口し、露出した個別電極にFPCケーブルを異方性導電膜によって電気的に接続することにより、静電アクチュエータを構成する。なお、FPCケーブルには、あらかじめドライバICがワイヤーボンドによって搭載されている。次に、Ni電鋳により形成されたノズルプレートと上記静電アクチュエータを接着する為に、上記液室部(シリコン液室)の上面にエポキシ樹脂組成物を塗布する。また、静電アクチュエータの振動板のギャップ(振動室の入り口)を封止する為に、エポキシ樹脂組成物を塗布する。その後、上記ノズルプレートと、エポキシ樹脂組成物が塗布された静電アクチュエータを位置合わせし、加圧を行い加熱硬化させ、静電方式インクジェットヘッドを作製する(後に説明する図1、図2を参照)。
【0062】
このような製造方法で静電方式インクジェットヘッドを製造するが、その際の接着方法について、更に詳しく説明する。
【0063】
まず、エポキシ樹脂組成物の硬化接着温度は、エポキシ樹脂組成物が硬化する温度、すなわち硬化物の耐インク性、接着強度が良好となる温度であれば良い。硬化条件としては、気流中、常温〜130℃で30分〜7日間であり、室温〜120℃で60分〜2日間の範囲が好適である。なお、ステップキュアを行っても良い。例えば、60℃で圧着仮硬化し、圧力フリーにして120℃で本硬化するなどの多段階硬化接着を行うことも可能である。
【0064】
なお、異種部材同士の接着の場合、例えばノズルプレートがNi電鋳により形成されたものである場合、Si基板との加熱接着の際に各部材の線膨張係数が異なるため硬化温度を高くすると反りが発生してしまい、内部応力によりアクチュエータが破壊してしまう可能性があるため、硬化接着温度は低い方が好ましく、常温硬化接着が特に好ましい。また、硬化時間は硬化温度とエポキシ樹脂組成物により変化するため、それぞれの硬化条件によって決定される(請求項)。
【0065】
なお、ポットライフは作業性、コストの点で、主剤と硬化剤を混合した後、1時間以上であることが好ましい。また混合後、素早く凍結し、硬化反応を止め、保存すれば、更にポットライフを伸ばすこともできる。
【0066】
1次硬化でも十分であるが、常温硬化や低温硬化(1次硬化)後に、アフターキュアすることで硬化性、架橋密度を、したがって耐インク性、接着性を向上させることができる。アフターキュア温度は通常のエポキシ樹脂組成物の硬化温度域であれば良い。なお、1次硬化接着を常温、低温で行うことで、線膨張係数の異なる異種部材接着の場合において、アフターキュアが高温のときでも反りの発生が抑制され、問題はない。アフターキュア時間は硬化温度とエポキシ樹脂組成物により変化するが、この組成物の標準硬化温度、時間であることが好ましい。このようなアフターキュアによれば、水分や被着有機物がエージングされ、インク注入前のプレ処理が行われるという効果がある。
【0067】
なお、硬化接着の際の各部材の接着圧は、エポキシ樹脂組成物の粘度によって異なるが、0.5〜10kgf/cm2 (4.9×104 Pa〜9.8×105Pa)であることが好ましい。0.5kgf/cm2 より低い圧力で加圧接着すると、接着層厚を制御することが困難となり、接着ムラを引き起こし、接着強度の低下につながる。また、10kgf/cm2 を超えると、エポキシ樹脂組成物が加熱硬化接着の際に流動し、接着面より流れ出てしまい、各部材間にエポキシ樹脂組成物がほとんど残らないため、接着強度が低下し、更にはインク流路に接している部位ではインクの滲み出しが起こる可能性もあり、好ましくない。
【0068】
これらエポキシ樹脂組成物の塗布方法について述べると、各部位、部材によって異なるが、一般に使用される均一塗布方法であれば良く、例えばスクリーン印刷法、スピンコート法、転写法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
更に、エポキシ樹脂組成物の塗布膜厚は、各部材の接着およびインクジェットヘッドの性能に影響を及ぼさない範囲であれば良く、例えば静電方式インクジェットヘッドのノズルプレートと液室の接着の場合、エポキシ樹脂組成物の染み出しが噴射特性に影響を与える為、塗布膜厚を1μm前後にする必要がある。なお、液室上面に塗布する場合には、転写法により塗布膜厚をコントロールする。すなわち、エポキシ樹脂組成物をローラーにドクターブレードで薄膜化して塗布し、転写パッドによりローラーからエポキシ樹脂組成物を転写し、更に転写パッドから液室上面にエポキシ樹脂組成物を転写する方法により行う。
【0070】
Ni電鋳やSUSで形成されたノズルプレートを加熱硬化接着する場合には、線膨張係数の違いにより反りが発生し、内部応力によりアクチュエータが破壊してしまう可能性がある。そこで、ノズルプレートの線膨張係数を同等とした部材を使用することで反りの発生を抑え、更に硬化温度をフレキシブルにすることができる。つまり、硬化温度を上昇させることが可能となり、更に耐インク性、接着強度を向上させることができる。
【0071】
このことは、ノズルプレートの材料としてNi−鉄合金を使用することで可能となる。このノズルプレートの線膨張係数を、接着相手であるSi基板のそれと同等にするNi含有率は30〜50%であり、特に好ましくは32〜40%である。なお、この範囲以外では線膨張係数がNi単独と同等になるので、Ni−鉄合金を使用する意味がなくなる。なお、硬化剤は2液型だけでなく、潜在性硬化剤を選択することも可能であり、ポットライフの向上、作業性向上、コストダウン等に寄与することができる(請求項)。
【0072】
【実施例】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物、これを用いたインクジェットヘッド製造方法の実施例、および比較例について詳細に説明する。以下において、「部」と「%」は重量基準である。なお、得られたエポキシ樹脂組成物は以下の方法で試験・評価した。
【0073】
[エポキシ樹脂組成物の評価方法]
(1)接着性:剥離強度試験および引っ張り強度試験
(1−1)剥離試験
厚さ50μmのNiフィルムを、厚さ50μmのSiウエハにエポキシ樹脂組成物で接着(硬化接着)してNi/Si接着フィルム(接着面積:1cm2 )のサンプルとし、2.0mm/minの速度(剥離角度は90°)で剥離強度を測定した。
評価基準は以下のとおり。
○:200gf/cmを超える
△:100〜200gf/cm
×:100gf/cm未満
【0074】
(1−2)引っ張り強度試験
上記Ni/Si接着フィルムのサンプルを、SUSブロック(厚さ×縦×横=10mm×30mm×10mm)に接合し、5.0mm/minの速度で引っ張り強度を測定した。評価基準は以下のとおり。
○:50kgf/cm2 (4.9×106 Pa)を超える
△:10〜50kgf/cm2 (9.8×105 〜4.9×106 Pa)
×:10kgf/cm2 (9.8×105 Pa)未満
【0075】
(2)接着信頼性:剥離強度試験および引っ張り強度試験
上記サンプルについて耐インク試験(サンプルをインクに浸漬:50℃・40h、超音波振動を付加)を実施後、剥離試験および引っ張り強度試験を行った。この場合の剥離角度および引っ張り強度は上記と同じである。また評価基準は、剥離試験で100gf/cmを超え、かつ引っ張り強度試験で10kgf/cm2 を超えるものを○とし、それ以外のものを×とした。
【0076】
(3)耐インク性
エポキシ樹脂組成物の硬化物を、以下の各インクに浸漬(50℃・40h、超音波)し、膨潤率が5%未満のものを○とし、これ以上のものは×とした。この場合、下記組成で処方した各インク組成物を室温で撹拌溶解し、水酸化リチウムにてpHを10.5に調整した後、厚さ0.22μmのテフロンフィルターで濾過し、さらに約30分間の脱気を行って、耐インク性試験用のインクとした。
【0077】
〔ブラックインクの組成〕
C.I.Direct Black 168(ゼネカ染料) 4重量%
ジエチレングリコール 15重量%
グリセリン 5重量%
ECTD−3NEX(日光ケミカルズ) 1重量%
プロキセルXL(I.C.I 製) 0.4重量%
イオン交換水 74.6重量%
【0078】
〔イエローインクの組成〕
Pro-jet Fast Yellow 2 (ゼネカ染料) 1.5重量%
C.I.Direct Yellow 142 (ダイワ化成染料) 0.5重量%
ジエチレングリコール 15重量%
グリセリン 5重量%
ECTD−3NEX(日光ケミカルズ) 1重量%
サンアイバックAP(三愛石油社製) 0.4重量%
イオン交換水 76.6重量%
【0079】
(4)エポキシ樹脂組成物の塗布性:連続塗布が可能で、塗布膜が均一であるものを○とし、そうでないものを×とした。
(5)エポキシ樹脂組成物の染みだし:硬化接着後、染みだしのないものを○とし、そうでないものを×とした。
(6)エポキシ樹脂組成物の硬化温度:130℃以下のものを○とし、そうでないものを×とした。
(7)エポキシ樹脂組成物のポットライフ:当該組成物を調製(エポキシ樹脂と硬化剤を混合)後、室温で1時間以上のポットライフがあるものを○とし、そうでないものを×とした。
【0080】
[インクジェットヘッド製造例]
ここでは、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いる静電方式のインクジェットヘッド製造方法について説明するが、本発明はこの製造方法に限定されるものではない。図1(a)〜(f)はインクジェットヘッドの製造工程を示す平面図、図2(a)〜(g)はアクチュエータ部の製造工程を示す断面図である。また、図3は静電方式インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【0081】
まず、図1(a)に示すようにP型(100)Si基板201を用意し、このSi基板201上に電極部202およびギャップ部203を形成する。この図1(a)において右側の図はSi基板201(シリコンウエハ)であり、左側の図は、その一部を拡大して示したものである〔以下の図1(b)についても同じ)〕。
【0082】
図1(b)に示すように、ボロンを注入した(110)Si基板204を用意し、このSi基板204と上記Si基板(電極基板)201を直接接合により接合する。この接合ウエハを厚さ100μmになるまで研磨する。次に、この接合ウエハの電極基板201およびSi基板204にエッチングマスクとなる窒化膜をデポし、図1(c)に示すように、電極基板201の電極部202形成側の面に裏面流路部205および液室部206を、ウェットエッチングにより形成した後、この接合ウエハをダイシングにより切断して多数のチップに分割する。
【0083】
その後図1(d)に示すように、Si基板204の上下面のうち、電極基板201の電極部202形成側と同じ側の面の両端部に電極取り出し部(開口)209を、上記液室部206に平行にドライエッチングにて形成する。その後図1(e)に示すように、上記電極取り出し部(開口)209すなわち露出した個別電極と、FPCケーブル210とを異方性導電膜によって電気的に接続することにより、アクチュエータ〔静電アクチュエータ220:図1(f)〕を構成する。上記FPCケーブル210には、あらかじめドライバICをワイヤーボンドによって搭載しておく。
【0084】
次に、ノズルプレートと上記アクチュエータを、以下のようして接合する。アクチュエータに形成された液室部206(シリコン液室)の上面にエポキシ樹脂組成物を塗布する。また、上記アクチュエータに形成された振動板のギャップ(振動室の入り口)を封止する為に、エポキシ樹脂組成物を塗布する。その後図1(f)に示すようにNi電鋳により形成されたノズルプレート212と、エポキシ樹脂組成物が塗布された上記静電アクチュエータ220を位置合わせし、加圧を行い加熱硬化させて接着する。
【0085】
ここで、上記静電アクチュエータ220の製造工程の一例について、更に詳細に説明する。図2は各工程を示す断面図である。図3は、この静電アクチュエータにより構成した静電方式インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【0086】
図2(a)に示すように、電極基板とするべきP型(100)Si基板301(厚さ625μm)を用意し、その表面に、厚さ2μmのシリコン酸化膜302をウェット酸化により形成した。酸化条件は、例えば1050℃、18.5hとした。次に、図2(b)に示すようにグラデーションマスクを用いてレジストのパターニングを行い、ドライエッチングおよびウェットエッチングによりシリコン酸化膜のパターニングを行った。グラデーションマスクを使用して、電極形状を形成することにより、非平行のギャップを形成することができ、低電圧化に有利な電極形状を形成することが可能となる。
【0087】
次に、図2(c)に示すように、シリコン酸化膜302上に、電極となるTiN膜303を200nmの厚さにスパッタ法で形成した。その後、TiN膜303を個別電極用にエッチングにより分離し、電極保護膜としてシリコン酸化膜304を150nmの厚さに積層形成した。次に、電極部位以外の前記シリコン酸化膜304ドライエッチングにより、TiN膜303をウェットエッチングによりそれぞれ除去した。その後図2(d)に示すように、ボロンを注入した厚さ400μmの(110)Si基板305をSi基板301に酸化膜302を介して、直接接合により900〜1000℃で接合を行い、その後Si基板305を研磨して該基板305の厚さを100μmにした。
【0088】
次に、電極基板301およびSi基板305について窒化膜の積層・パターニングを行い、図2(e)に示すように電極基板301に裏面流路306をウェットエッチングにより形成した。その後図2(f)に示すように、Si基板305に液室部307をウェットエッチングにより形成し、ボロン注入Si(Si基板305)およびシリコン酸化膜304をエッチングして裏面流路306の開口を行った。つづいて、メタルマスクを介してアルミをデポすることにより、液室部307の共通電極部を形成した。ここでダイシングによりチップ単位に切断し、その後図2(g)に示すように、電極取り出し部308をドライエッチングにて開口した。更に電極取り出し領域のTiN膜303上のシリコン酸化膜304をドライエッチングにより除去した。以上により静電方式インクジェットヘッドのアクチュエータ部(図3の符号401で示すもの)を作製した。
【0089】
次に(図3を参照)、上記構成の静電アクチュエータ401とFPCケーブル402を、異方性導電膜によって電気的に接続した。FPCケーブル402にはあらかじめ、ドライバIC403がワイヤーボンドによって搭載されている。Ni電鋳により形成されたノズルプレート404と静電アクチュエータ401を接着する為に、このアクチュエータ401のシリコン液室上面にエポキシ樹脂組成物を塗布した。
【0090】
なお、静電方式インクジェットヘッドの場合、シリコン液室とノズルプレート404をエポキシ樹脂組成物により接着する際、エポキシ樹脂組成物の染み出しがインク噴射特性に影響を与える為、塗布膜厚を1μm前後にする必要があるので、シリコン液室上面に接着剤を塗布する際、転写法により塗布膜厚をコントロールした。すなわち、エポキシ樹脂組成物をローラー表面に、ドクターブレードで薄膜状に塗布し、ローラー上のエポキシ樹脂組成物を転写パッドに転写し、更に転写パッドからシリコン液室上面にエポキシ樹脂組成物を転写した。
【0091】
また、振動板のギャップ(振動室の入り口)を封止する為に、エポキシ樹脂組成物を塗布した。なお、振動室内部に湿気が入り込むと振動板が変位しなくなってしまうが、エポキシ樹脂組成物を使用すれば、耐湿性も良好となる。
【0092】
また、ノズルプレート404とシリコン液室を位置決めする為に、エポキシ樹脂組成物をシリコン液室のエポキシ樹脂組成物塗布領域405に、ディスペンサーにより塗布した。そして、ノズルプレート404と、接着剤が塗布された静電アクチュエータ401を位置合わせし、エポキシ樹脂組成物を加圧加熱硬化させた。また、インク供給タンクまたはインクカートリッジからインクを供給する為のジョイント部406を、フィルター407が熱溶着されたフレーム408に接着した。フレーム408にアクチュエータ401とノズルプレート404を接着する為にエポキシ樹脂組成物を塗布し、アクチュエータ401の位置合わせをして接着を行った。
【0093】
上記構成のインクジェットヘッドでは、個別電極にパルス電圧を印加することにより、振動板が静電気力によって電極側に変形して、インクが共通液室から流体抵抗部を通り、圧力発生室に流入し、圧力発生室の体積が増加する。ここで、パルス電圧が解除されることで静電気力が無くなり、振動板がもとの状態に戻る。この振動板の弾性力によって圧力発生室の圧力が上昇し、ノズル孔からインクが噴射される。
【0094】
〔実施例1〕
液状可撓性エポキシ樹脂 100部
(油化シェルエポキシ社製、エピコートYX310)
液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミン 30部
(HUNTSMAN社製、ジェファーミンD230)
上記組成を攪拌混合してエポキシ樹脂組成物を作製し、これを用いて以下の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧2kgf/cm2 (19.6×104 Pa)で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製し、このサンプルについて前記した評価方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0095】
〔比較例1〕
実施例1の液状可撓性エポキシ樹脂の代りに、主剤として固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート1001)を100部、硬化剤として固形硬化剤ポリアミン変性アダクト(旭電化社製:アデカハードナー EH−4070S)26部を使用し、溶媒としてメチルカルビトールを40部使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製し、この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥したのち、実施例1と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0096】
〔実施例2〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100部
(油化シェルエポキシ社製、エピコート828)
2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成製) 4部
上記組成を攪拌混合してエポキシ樹脂組成物を作製し、これを用いて以下の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:100℃・2時間、加圧1.5kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0097】
〔比較例2〕
実施例2の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂の代りに、主剤として固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート1001)を100部、硬化剤として固形硬化剤ポリアミン変性アダクト(旭電化社製:アデカハードナーEH−3731S)を26部、溶媒としてメチルカルビトールを40部、それぞれ使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。この組成物を塗布し、溶媒を温風送風乾燥した後、実施例2と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて、前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0098】
参考例1
可撓性エポキシ樹脂 100部
(東レ・チオコール社製:フレップ50)
芳香族アミン 37部
(エアプロダクツ社製:アンカミンLVS)
上記組成を攪拌混合してエポキシ樹脂組成物を作製し、これを用いて以下の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧2kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0099】
〔比較例3〕
実施例3の液状可撓性エポキシ樹脂の代りに、主剤として固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート1001)を100部、アンカミンLVSを28部、溶媒としてメチルカルビトールを40部、それぞれ使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製し、この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥したのち、実施例3と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて、前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0100】
〔実施例4〕
液状可撓性エポキシ樹脂 90部
(油化シェルエポキシ社製、エピコートYX310)
液状グリシジルアミン系エポキシ樹脂 10部
(三菱瓦斯化学社製、TETERAD−X)
液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミン 22部
(HUNTSMAN社製、ジェファーミンEDR148)
上記組成を攪拌混合してエポキシ樹脂組成物を作製し、これを用いて以下の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧2kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて、前記剤評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0101】
〔比較例4〕
実施例4の液状可撓性エポキシ樹脂の代りに、主剤として固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート1001)を90部、固形フェノール・ノボラック型樹脂(油化シェルエポキシ社製:エピコート154)を10部、ジェファーミンEDR148を20部、溶媒としてメチルカルビトールを40部、それぞれ使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製し、この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥したのち、実施例4と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて、前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0102】
参考例2
ビスフェノールヘキサフルオロイソプロピルグリシジルエーテル30部
液状可撓性エポキシ樹脂 70部
(油化シェルエポキシ社製、エピコートYX310)
液状硬化剤ポリアミドアミン 41部
(富士化成社製、♯296)
上記組成を攪拌混合してエポキシ樹脂組成物を作製し、これを用いて下記の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧1.5kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0103】
〔比較例5〕
実施例5の液状可撓性エポキシ樹脂の代りに、主剤として固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート1001)を100部、ポリアミドアミン♯296を18部、溶媒としてメチルカルビトールを40部、それぞれ使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥したのち、実施例5と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0104】
〔実施例6〕
液状可撓性エポキシ樹脂 100部
(油化シェルエポキシ社製、エピコートYX310)
液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミン 53部
(HUNTSMAN社製、ジェファーミンD400)
上記組成を攪拌混合してエポキシ樹脂組成物を作製した。これを用いて下記の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧2kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0105】
〔比較例6〕
実施例6の液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミンの代りに、固形硬化剤ポリアミン変性アダクト(旭電化社製:アデカハードナー EH−4070S)26部を使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製し、実施例6と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0106】
〔実施例7〕
液状可撓性エポキシ樹脂 100部
(油化シェルエポキシ社製、エピコートYX310)
液状硬化剤複素環式アミン 60部
(油化シェルエポキシ社製、エポメートN001)
上記組成を攪拌混合してエポキシ樹脂組成物を作製し、これを用いて下記の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧2kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0107】
〔比較例7〕
実施例7の液状硬化剤複素環式アミンの代りに、固形硬化剤ジシアンジアミド8部を使用し、溶媒としてメチルカルビトールを10部使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥したのち、実施例7と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0108】
参考例3
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100部
(油化シェルエポキシ社製、エピコート828)
液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミン 30部
(HUNTSMAN社製、ジェファーミンD230)
無機充填剤:無定型シリカ 10部
(日本エアロジル社製:R972)
シランカップリング剤 全重量に対して3重量%
(信越シリコーン社製:KBM403)
上記組成の硬化剤以外を攪拌混合し、更に3本ロールミルにて混練し、主剤組成物を得た。これに硬化剤を加えて攪拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて下記の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧3kgf/cm2 (29.4×104 Pa)で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0109】
〔比較例8〕
実施例8の無機充填剤を添加せず、液状硬化剤ジェファーミンD230の代わりに、固形硬化剤ジシアンジアミド8部を使用し、溶媒としてメチルカルビトールを10部使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥したのち、実施例8と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0110】
〔実施例9〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100部
(油化シェルエポキシ社製、エピコート828)
液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミン 40部
(HUNTSMAN社製、ジェファーミンT403)
高分子粒子 10部
(アクリル粒子:日本ゼオン社製:F351)
無機充填剤:無定型シリカ 5部
(日本エアロジル社製:R972)
シランカップリング剤 全重量に対して3重量%
(信越シリコーン社製:KBM403)
上記組成の硬化剤以外を攪拌混合し、更に3本ロールミルにて混練して主剤組成物を得た。これに硬化剤を加えて攪拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて下記の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧3kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0111】
〔比較例9〕
実施例9の高分子粒子、無機充填剤のいずれも添加せず、固形硬化剤ポリアミン変性アダクト(旭電化社製:アデカハードナー EH−4070S)60部を使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製し、実施例9と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0112】
〔実施例10〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100部
(油化シェルエポキシ社製、エピコート828)
液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミン 38部
(HUNTSMAN社製、ジェファーミンD400)
液状硬化剤ポリオキシアルキレンアミン 25部
(HUNTSMAN社製、ジェファーミンD2000)
硬化促進剤 10部
(HUNTSMAN社製、AC399)
無機充填剤:無定型シリカ 5部
(日本エアロジル社製:R972)
シランカップリング剤 重量に対して3重量%
(信越シリコーン社製:KBM403)
上記組成の硬化剤以外を攪拌混合し、更に3本ロールミルにて混練して主剤組成物を得た。これに硬化剤を加えて攪拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて以下の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧3kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0113】
〔比較例10〕
実施例10の高分子粒子、無機充填剤、硬化促進剤のいずれも添加せず、硬化剤として酸無水物(旭電化、EH3326)85部を使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥したのち、実施例10と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0114】
〔実施例11〕
可撓性エポキシ樹脂 90部
(油化シェルエポキシ社製、エピコート292)
液状硬化剤複素環式アミン 57部
(油化シェルエポキシ社製、エポメートN001)
反応性希釈剤(旭電化ED503) 10部
無機充填剤:無定型シリカ 10部
(日本エアロジル社製:R972)
シランカップリング剤 全重量に対して3重量%
(信越シリコーン社製:KBM403)
上記組成の硬化剤以外を攪拌混合し、更に3本ロールミルにて混練して主剤組成物を得た。これに硬化剤を加えて攪拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて以下の接着試験を行った。Ni板とSiウエハを重ね合わせ、硬化条件:60℃・8時間、加圧3kgf/cm2 で接着強度試験サンプルおよび耐インク性試験用サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0115】
〔比較例11〕
実施例11の無機充填剤、反応性希釈剤のいずれも添加せず、可撓性エポキシ樹脂の代りに、主剤として固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート1001)を100部使用し、溶媒としてメチルカルビトールを40部使用する以外は同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製した。この組成物を塗布後、溶媒を温風送風乾燥した後、実施例11と同様の硬化条件で硬化サンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0116】
〔実施例12〕:常温硬化接着
実施例1のエポキシ樹脂組成物を常温(室温)で48時間硬化する以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。また、インクジェットヘッド製造例に従ってインクジェットヘッドを作製したところ、ノズル孔からインクが精度良く噴射され、インクジェットヘッドの歪みがないことが確認された。
【0117】
〔比較例12〕
比較例10のエポキシ樹脂組成物を180℃で2時間硬化する以外は実施例12と同様にしてサンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。また、インクジェットヘッド製造例に従ってインクジェットヘッドを作製したところ、インクジェットヘッドの歪みが確認された。
【0118】
参考例4〕:1次硬化接着後、アフターキュア硬化
実施例6のエポキシ樹脂組成物を常温(室温)で48時間硬化した後、120℃でアフターキュアする以外は実施例6と同様にしてサンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。また、インクジェットヘッド製造例に従ってインクジェットヘッドを作製したところ、ノズル孔からインクが高精度に噴射され、インクジェットヘッドの歪みがないことが確認できた。
【0119】
〔比較例13〕
比較例8のエポキシ樹脂組成物を180℃で2時間硬化する以外は、実施例12と同様にしてサンプルを作製した。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。また、インクジェットヘッド製造例に従ってインクジェットヘッドを作製したところ、インクジェットヘッドの歪みが確認された。
【0120】
〔実施例14〕:Ni−鉄合金ノズルプレート接着
Ni−鉄合金ノズルプレート(Ni含有率38%)を使用し、実施例7のエポキシ樹脂組成物を使用し、150℃・2時間硬化接着を行った。このサンプルについて前記評価方法に従い評価した。結果を表1に示す。また、インクジェットヘッド製造例に従ってインクジェットヘッドを作製したところ、ノズル孔からインクが高精度に噴射され、インクジェットヘッドの歪みがないことが確認された。
【0121】
〔比較例14〕
Ni−鉄合金ノズルプレート(Ni含有率38%)を使用する代わりにNiノズルプレートを使用するとともに、実施例7のエポキシ樹脂組成物を使用し、150℃・2時間硬化接着を行った。また、インクジェットヘッド製造例に従ってインクジェットヘッドを作製したところ、インクジェットヘッドの歪みが確認された。
【0122】
【表1】
Figure 0004037603
【0123】
【発明の効果】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物によれば、高度の接着機能・接着効果が得られる。例えば、インクジェットヘッドのインク流路部を形成する部材と、液室部を構成する部材とを接着するための接着剤として用いた場合には耐インク性、特に耐アルカリ性と、長期浸漬後の部材間の密着性が改善され、剥離強度が高く、作業性良好なインクジェットヘッド製造用のエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【0124】
また、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記エポキシ樹脂組成物を使用してヘッド構成部材同士を接着することで、高精度・高性能のインクジェットヘッドを提供することができる。以下、本発明の効果を請求項毎に説明する。
【0125】
〔請求項1の効果〕
少なくとも液状エポキシ樹脂および液状硬化剤を含有し、無溶媒であることによって、接着が均一で硬化性の高い、高度の接着機能を有する接着剤を提供することができる。このため、このエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いることにより耐インク性が向上し、部材間の密着性が高まり、剥離強度が向上し、作業性良好なインクジェットヘッドを提供することができる。
【0126】
液状エポキシ樹脂として、少なくともビスフェノール系エポキシ樹脂を含有するため、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いることにより、耐インク性が向上し、部材間の密着性が高いインクジェットヘッドを提供することができる。
【0127】
液状エポキシ樹脂として、少なくとも可撓性エポキシ樹脂を含有するため、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いることにより、ヘッド構成部材同士の剥離強度が増加し、耐インク性の良好なインクジェットヘッドを提供することができる。
【0128】
液状エポキシ樹脂として、少なくともグリシジルアミン系エポキシ樹脂を含有するため、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いた場合には、ポットライフを調整することができ、作業性良好なインクジェットヘッドを提供することができる。
【0129】
液状エポキシ樹脂として少なくともフッ素化エポキシ樹脂を含有するため、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いた場合には、ヘッド構成部材同士の剥離強度が良好となり、耐インク性が向上したインクジェットヘッドを提供することができる。
【0130】
本発明においては、液状硬化剤として、硬化物に少なくとも可撓性を付与する機能をもつ硬化剤を使用することにより、発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いた場合には、ヘッド構成部材同士の剥離強度が向上したインクジェットヘッドを提供することができる。
【0131】
〔請求項の効果〕硬化物に可撓性を付与する機能を有する液状硬化剤として、ポリアミドアミン系硬化剤、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤、複素環式アミン系硬化剤のいずれかを使用したため、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いた場合には、ヘッド構成部材同士の剥離強度の高く、耐インク性が向上したインクジェットヘッドを提供することができる。
【0132】
本発明においては、充填剤として少なくとも無機充填剤を混合することで、エポキシ樹脂組成物の粘度調整ができ、作業性が良好となる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いることで、硬化接着する際の染み出しが防止され、高性能のインクジェットヘッドを提供することができる。
【0133】
〔請求項の効果〕充填剤として少なくとも高分子粒子を混合することで、エポキシ樹脂組成物の粘度調整ができ、作業性が良好となる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いることで、硬化接着する際の染み出しが防止されるうえ、接着剤に可撓性が付与される。このため、ヘッド構成部材同士の剥離強度の高いインクジェットヘッドを提供することができる。
【0134】
本発明においては、硬化促進剤を添加することで、エポキシ樹脂組成物の硬化性が向上する。このため、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いることで、耐インク性向上し、剥離強度が向上したインクジェットヘッド提供することができる。
【0135】
本発明においては、エポキシ樹脂反応性希釈剤を添加することで、エポキシ樹脂組成物の粘度調整ができるので、接着時の作業性が良好な接着剤を提供することができる。このため、本発明のエポキシ樹脂組成物をインクジェットヘッド製造用の接着剤として用いた場合には、インクジェットヘッドを作業性良く製造することができる。
【0136】
本発明においては、インクジェットヘッドの構成部材同士を請求項1〜のいずれかのエポキシ樹脂組成物を用いて接着するようにしたので、耐インク性が向上し、部材間の密着性が高まり、剥離強度が向上し、作業性良好なインクジェットヘッドを提供することができる。
【0137】
〔請求項の効果〕インクジェットヘッドの構成部材同士を、エポキシ樹脂組成物を常温硬化させて接着するようにしたので、熱硬化接着の際の熱応力が緩和される。このため液室、ノズルプレート等の接着歪みが軽減したインクジェットヘッドを提供することができる。
【0138】
本発明によれば、インクジェットヘッドの構成部材同士を、エポキシ樹脂組成物を常温または、これより低い温度で1次硬化させた後、アフターキュアして接着するようにしたので、硬化性・耐インク性が向上し、剥離強度がより向上したインクジェットヘッドを提供することができる。
【0139】
〔請求項の効果〕Ni−鉄系合金からなるノズルプレートと、シリコンからなるヘッド本体とを、請求項12〜14のいずれかの接着方法で接着するようにしたので、硬化温度による影響が減少し、インクジェットヘッドの歪みが小さくなり、ヘッド本体にかかる応力が小さいインクジェットヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットヘッドの製造工程を示す平面図である。
【図2】アクチュエータ部の製造工程を示す断面図である。
【図3】静電方式インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【符号の説明】
201 Si基板(電極基板)
202 電極部
203 ギャップ部
204 Si基板
205 裏面流路部
206 液室部
209 電極取り出し部(開口)
210 FPCケーブル
212 ノズルプレート
220 静電アクチュエータ
301 Si基板(電極基板)
302 シリコン酸化膜
303 TiN膜
304 シリコン酸化膜
305 Si基板
306 裏面流路
307 液室部
308 電極取り出し部
401 アクチュエータ部
(静電アクチュエータ)
402 FPCケーブル
403 ドライバIC
404 ノズルプレート
405 エポキシ樹脂組成物塗布領域
406 ジョイント部
407 フィルター
408 フレーム

Claims (5)

  1. 液状エポキシ樹脂と液状硬化剤を含有し、無溶媒であり、かつ該液状エポキシ樹脂が少なくともエラストマー添加ビスフェノールA型の可撓性エポキシ樹脂、液状ウレタン樹脂添加ビスフェノールA型の可撓性エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、芳香環を有するフッ素化エポキシ樹脂のいずれかを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記液状硬化剤が硬化物に少なくとも可撓性を付与する機能を有する硬化剤であり、複素環式アミン硬化剤であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 充填剤として少なくとも高分子粒子が配合され、該高分子粒子が架橋ポリアクリレート系粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. インクジェットヘッドの構成部材同士を、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて硬化させて接着するインクジェットヘッドの製造方法において、常温硬化させて接着することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  5. インクジェットヘッドの構成部材同士を、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて硬化させて接着するインクジェットヘッドの製造方法において、Ni−鉄合金からなるノズルプレートと、シリコンからなるヘッド本体とを接着させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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