JP2002302536A - インクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物及びインクジェットヘッド製造方法 - Google Patents
インクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物及びインクジェットヘッド製造方法Info
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Abstract
部の構成部材を接着する接着剤として用いられ、耐イン
ク性、特に耐アルカリ性を有し、長期浸漬後の部材間の
密着性を改善でき、剥離強度が高く、作業性良好なイン
クジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物、及びその
エポキシ樹脂組成物を用いたインクジェットヘッド製造
方法の提供。 【解決手段】 (1)ビスフェノール型エポキシ樹脂及
び/又は脂環式エポキシ樹脂、硬化剤として光カチオン
重合開始剤、及びイオン捕捉剤を含有することを特徴と
するインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物。 (2)請求項1〜9の何れかに記載のエポキシ樹脂組成
物を、光透過性の無いインクジェットヘッド部材の片面
又は両面に塗布し、塗布面に硬化膜が発生しないような
光量の光照射をした後、貼り合わせ、熱アフターキュア
で硬化接着することを特徴とするインクジェットヘッド
製造方法。
Description
ド製造用エポキシ樹脂組成物及びインクジェットヘッド
製造方法に関するものである。
録材を直接記録紙上に記録することができる点、プロセ
スが非常にシンプルである点など、多くの特徴を有し、
更に、カラー記録方式としても非常に注目されている。
これまでインクジェット記録方式として各種の方式が提
案されてきたが、急速に商品化が進んでいるのは、Dr
op On Demand(DOD)方式である。この
DOD方式は、記録信号が入力された時のみインクを吐
出する方法であり、最も構成がシンプルであって、バブ
ルジェット(登録商標)方式とピエゾアクチュエータ方
式の二つの方式がある。バブルジェット(登録商標)方
式の提案は、特公昭61−59913号公報などでなさ
れている。この方式は、熱エネルギーにより発生するバ
ブルを利用するものであり、アクチュエータに相当する
ヒーターがインク流路の中に設置される。即ち、インク
を直接瞬間加熱することによりヒーター表面にバブルを
発生させ、このときの流路内のインク圧力上昇により滴
化インクを飛翔させる方式である。
昭60−8953号公報等でなされている。この方式
は、前記のバブルジェット(登録商標)方式の構成に対
し、アクチュエータであるピエゾ素子がインク流路の外
に設けられる点に特徴がある。このピエゾ素子方式の動
作概要は、加圧液室の壁面の一部が変形可能な構造を有
し、該壁面の外側に設けたピエゾ素子が印加電圧によっ
て変位することにより加圧液室内のインクに圧力を与
え、ノズルを通して該インクを噴射するものである。こ
の時の圧力上昇は、パルス的な上昇によって行なわれ、
インク噴射後は、ピエゾ素子の変位を元の位置に戻すこ
とで、インクタンク側から前記加圧室内にインクが補給
される。この方式の特徴は、ピエゾ素子が直接インクに
接しないため、該ピエゾ素子の部材選定に対インク適性
の制約を受けず、また、ピエゾ素子の効率的な設計を実
施することにより、該ピエゾ素子の発熱を抑えることが
でき、使用するインクについても耐熱性の制約が無い等
の利点を有することである。
された微小構造のアクチュエータとしては、その駆動源
として静電気力を利用したものが知られている。例えば
静電気力を利用してインク液滴の吐出を行う静電方式イ
ンクジェットヘッドが特開平5−50601号公報、同
6−71882号公報に開示されている。この方式のイ
ンクジェットヘッドは、ノズルに連通しているインク流
路の底面が弾性変形可能な振動板として形成され、前記
振動板には、一定の間隔で基板が対向配置され、これら
振動板及び基板にそれぞれ対向電極が配置された構成と
なっている。対向電極の間に電圧を印加すると、それら
の間に発生する静電気力によって、振動板は基板の側に
静電吸引されて振動し、この振動により発生するインク
流路の内圧変動によって、ノズルからインク液滴が吐出
される。
るインクジェットヘッドにおいて、前記バブルジェット
(登録商標)方式、ピエゾアクチュエータ方式、静電方
式を問わず、インクの通る流路部や液室部は、常に弱ア
ルカリ性であるインクに浸漬された状態になるため、こ
れらを構成する材料同士、材料自体の部材間及び該材料
と基板との接合における信頼性が極めて重要である。従
って、このような流路部と液室部を接着する材料には、
まず耐インク性が要求され、更に接着強度、作業性など
も要求される。これまで、これらの部材を接着する方法
としては、各々のインクジェットヘッドに対応した方法
が種々検討されてきており、例えば、ドライフィルムや
感光性接着剤などの熱可塑性樹脂によって熱圧着したり
(特開平7−314675号公報等)、溶媒希釈型接着
剤を塗布後、溶媒を揮発させて高粘度接着剤とすること
により接着したり(特開平7−314697号公報
等)、主剤と硬化剤からなる2液性接着剤を別々に部材
(被着体)に塗布し、張り合わせ硬化後、溶剤洗浄した
り(特開平10−235875号公報)、エポキシ樹脂
接着剤を使用したり(特開平7−285223号公報、
特開平7−314671号公報、特開平8−16910
8号公報、特開平8−336975号公報等)、紫外光
を含む光により硬化する接着剤(アクリル系やシリコー
ン系接着剤)を使用してインクジェットヘッド構成部材
を光透過性部材として接着する(特開平6−14356
8号公報、特開平8−25629号公報)、紫外線硬化
型接着剤と熱硬化型接着剤をインクジェットヘッド接着
部分によって使い分けて接着する(特開平10−217
489号公報等)など、種々の接着工法が検討されてき
た。
は対応できていないのが現状である。例えば、これま
で、前記流路部や液室部に使用する材料には、金属や樹
脂プレート、Si基板、感光性樹脂などが使用されてき
たが、これらの材料の中で、感光性樹脂は、フォトリソ
グラフィープロセスにより、所望の形状のインク流路を
容易に得ることができるため、前記流路部や液室部の材
料として広く使用されている。このような感光性樹脂と
しては、印刷板、プリント配線等におけるパターン形成
用として用いられてきたもの、或いはガラス、金属、セ
ラミックス等に対する光硬化型の塗料や接着剤として知
られているものがあるが、作業能率などの面からドライ
フィルムタイプの感光性樹脂フィルム(DFR)が主に
利用されてきた。しかしながら、このようなDFRの主
成分がアクリル樹脂であるために、長期に亘りインクに
浸漬すると、耐インク性、特に耐アルカリ性や基板への
密着性が低下するという問題が生じている。というの
は、染料の溶解度を向上させるためにインク自身が弱ア
ルカリ性になっており、これにより架橋度の比較的低い
アクリル樹脂が膨潤したり、残留未反応成分が溶解した
りすることに起因している。
元々粘度の高い接着剤組成であり、溶媒を揮発させた後
に均一に塗布膜を形成するのは困難であってムラになる
可能性が高く、接着が不均一になるという問題や揮発の
際に塗膜中にボイドを発生するという問題を抱えてい
る。また、2液型接着剤を用いて主剤と硬化剤をそれぞ
れの被着体面に塗布する場合は、ポットライフは長いが
作業性が悪いという問題がある。また、UV(紫外線)
硬化型接着剤においては、UV光が照射されない部分で
硬化不十分の部分が出来易く、そのままでは接着剤とし
て使用できず、熱硬化性接着剤との併用により改善を試
みているが、未反応モノマーが多量に硬化物中に残って
しまう可能性があり、耐インク性にも問題があり、接着
強度が低下する可能性もある。また、UV光透過性部材
をインクジェットヘッドに使用して、UV硬化接着を行
っている例もあるが、UV透過性部材が高価であった
り、加工が困難であるなどの種々問題がある。また、接
着性を高めるために弾性シリコーン接着剤を使用してい
る例もあるが、この種の接着剤はアルカリや溶媒に弱
く、膨潤してしまうという欠点がある。
ットヘッドのインク流路部と液室部の構成部材を接着す
る接着剤として用いられ、耐インク性、特に耐アルカリ
性を有し、長期浸漬後の部材間の密着性を改善でき、剥
離強度が高く、作業性良好なインクジェットヘッド製造
用エポキシ樹脂組成物、及びそのエポキシ樹脂組成物を
用いたインクジェットヘッド製造方法の提供を目的とす
る。
を解決するために鋭意検討した結果、ビスフェノール型
エポキシ樹脂及び/又は脂環式エポキシ樹脂に、硬化剤
として熱カチオン重合開始剤、及びイオン捕捉剤を含有
させることによって、均一接着させ、硬化性を高め、耐
インク性を向上させ、部材間の密着性を高め、特に剥離
強度を向上させることが出来る作業性良好なインクジェ
ットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物が得られることを
見出し、本発明に至った。即ち、上記課題は次の1)〜
10)の発明(以下、本発明1〜10という)によって
解決される。 1) ビスフェノール型エポキシ樹脂及び/又は脂環式
エポキシ樹脂、硬化剤として光カチオン重合開始剤、及
びイオン捕捉剤を含有することを特徴とするインクジェ
ットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物。 2) 前記エポキシ樹脂の少なくとも1種が、固形又は
半固形エポキシ樹脂であることを特徴とする1)記載の
インクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物。 3) 前記エポキシ樹脂の少なくとも1種が、硬化物に
可撓性を与える可撓性エポキシ樹脂であることを特徴と
する1)又は2)記載のインクジェットヘッド製造用エ
ポキシ樹脂組成物。 4) 可撓性エポキシ樹脂が、エーテルエラストマー添
加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ウレタン樹脂
添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ
樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とす
る3)記載のインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂
組成物。 5) 更に光増感剤を添加することを特徴とする1)〜
4)の何れかに記載のインクジェットヘッド製造用エポ
キシ樹脂組成物。 6) 更にポリオール化合物を添加することを特徴とす
る1)〜5)の何れかに記載のインクジェットヘッド製
造用エポキシ樹脂組成物。 7) 更に反応性希釈剤を添加することを特徴とする
1)〜6)の何れかに記載のインクジェットヘッド製造
用エポキシ樹脂組成物。 8) 更に充填剤として無機充填剤及び/又は高分子粒
子を混合することを特徴とする1)〜7)の何れかに記
載のインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物。 9) 光カチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム
塩を含有することを特徴とする1)〜8)の何れかに記
載のインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物。 10) 1)〜9)の何れかに記載のエポキシ樹脂組成
物を、光透過性の無いインクジェットヘッド部材の片面
又は両面に塗布し、塗布面に硬化膜が発生しないような
光量の光照射をした後、貼り合わせ、熱アフターキュア
で硬化接着することを特徴とするインクジェットヘッド
製造方法。
る。エポキシ樹脂は、他の接着剤用主剤に比べて硬化収
縮率が小さく、微細接着に有効である。本発明で用いる
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹
脂、アルキル置換ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA
型エポキシ樹脂などが挙げられる。本発明で用いる脂環
式エポキシ樹脂としては、例えば4〜7員環の環状脂肪
族基を有する脂環式エポキシ化合物が挙げられ、リモネ
ンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサ
イド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−
3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビ
ス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、
ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、
(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチ
ル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等
の環状脂肪族基とエポキシ基をそれぞれ1〜2個有する
5員環又は6員環の脂環族エポキシ化合物が好ましい。
また、多官能脂環式エポキシ樹脂、3官能、4官能の脂
環式エポキシ樹脂を使用すれば、架橋密度を向上させる
ことができ、耐インク性を向上させることも出来る。更
に、オキセタン環を有する脂環式エーテル化合物も使用
することができ、例えば、3−メチル−3−ヒドロキシ
メチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−
オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン等が挙げられ
る。
エポキシ樹脂よりもカチオン重合反応性が高く、硬化反
応性を向上させるのに有効であり、ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂に比べて接着強度を
高くできる。また、脂環式エポキシ樹脂とビスフェノー
ル型エポキシ樹脂を混合することにより、混合比を変化
させて硬化反応を制御することが可能となり、所要の接
着条件に合わせることが出来る。更に、他のエポキシ樹
脂としては、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型
エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリスルフ
ィド変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂((例え
ばCTBN=末端にカルボキシル基を持つブタジエン−
アクリロニトリル共重合液状ゴムや、ATBN=末端に
アミノ基を持つ同様のゴム、等による変性)、ポリアル
キレングリコール型エポキシ樹脂、エーテルエラストマ
ー添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ウレタン
樹脂添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられ
る。しかし、特に限定されるわけではない。
て用いても良い。特に、可撓性エポキシ樹脂を他のエポ
キシ樹脂に添加して使用すると、反応性を落とさずに接
着強度を向上させることが出来るが、これは、他のエポ
キシ樹脂単独の場合と比較し、硬化物に可撓性が付与さ
れるためである。また、ポリスルフィド変性エポキシ樹
脂、ポリアルキレングリコール系エポキシ樹脂は、ビス
フェノール系エポキシ樹脂に比べて、硬化性がやや劣る
ものの、ポットライフを長くすることが出来、作業性も
向上する。また、可撓性エポキシ樹脂の中でも特に、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂にエーテルエラストマー
又は液状ウレタン樹脂を添加したものは、エラストマー
やウレタン樹脂を混合しているために非常に剥離強度が
大きく、且つ硬化性も高く、耐インク性も良好であって
インクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物に用い
るエポキシ樹脂として好適である。
て、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環
式エポキシ樹脂としてはワックス状脂環式可撓性エポキ
シ樹脂(ダイセル化学社製:セロキサイド2085)、
脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル化学社製:EHPE
3150)等が挙げられ、これらも混合して用いても良
い。また、これら固形又は半固形エポキシ樹脂は液状エ
ポキシ樹脂と混合するのが好ましい。混合は、例えば、
加熱した液状エポキシ樹脂中に粉砕した固形エポキシ樹
脂を投入し溶解した後、放冷することにより行う。場合
によっては、放冷過程で反応性希釈剤などを混合するこ
ともある。固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂の混合
比は特に限定されない。
開始剤であれば良く、常温で液体又は固体のものを用い
ることができ、その例として、芳香族ヨードニウム塩や
芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩を挙げることがで
きる。芳香族ヨードニウム塩としては、例えばジフェニ
ルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホス
フェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアン
チモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘ
キサフルオロホスフェート等が挙げられる。芳香族スル
ホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウム
ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウ
ムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホ
ニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレー
ト、4,4′−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニ
ルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、4,
4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルス
ルホニオ〕ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロ
アンチモネート、4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシ
エトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド
−ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−ト
ルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサント
ンヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トル
イル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−
フェニルカルボニル−4′−ジフェニルスルホニオ−ジ
フェニルスルフィド−ヘキサフルオロホスフェート、4
−(p−ter−ブチルフェニルカルボニル)−4′−
ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサ
フルオロアンチモネート、4−(p−ter−ブチルフ
ェニルカルボニル)−4′−ジ(p−トルイル)スルホ
ニオ−ジフェニルスルフィド−テトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート等を挙げることができる。しか
し、何れも上記のものに限定される訳ではない。
いても混合して用いてもよい。光カチオン重合開始剤を
使用することにより常温硬化が可能となり、部材の熱膨
張率の差による接着時の剥がれ、歪みを起こすことなく
インクジェットヘッド部材を良好に接着することが出来
る。また、光カチオン重合開始剤は触媒的に作用するた
め、エポキシ樹脂に混合して使用する量が少なくて済
み、インクジェットヘッド部材を接着する際の耐インク
性が良好となる。特に芳香族スルホニウム塩は300n
m以上の長波長域にも紫外線吸収特性を有することか
ら、紫外線硬化性に優れ、接着性、耐インク性の良好な
硬化物を得ることが出来るので好ましい。光カチオン重
合開始剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し
て、1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部であ
る。1重量部未満であると硬化が不十分となり接着強度
不足となる。また、20重量部以上であると硬化物中の
イオン性物質が多くなり、耐インク性やインクジェット
ヘッド構成部材を腐食する可能性が高くなり好ましくな
い。また、場合によっては熱カチオン重合開始剤を併用
することもできる。
ェット部材の腐食防止や硬化物の耐インク性向上のため
に混合されるものであり、例えば粉末状のビスマス系、
アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジル
コニウム系、カルシウム系、チタン系、ズズ系及びこれ
らの混合系等の無機化合物が挙げられる。具体例として
は、東亜合成(株)製のイオン捕捉剤、商品名、IXE
−300(アンチモン系/両イオン捕捉剤)、IXE−
500(ビスマス系/陰イオン捕捉剤)、IXE−60
0(アンチモン、ビスマス混合系/両イオン捕捉剤)、
IXE−700(マグネシウム、アルミニウム混合
系)、IXE−800(ジルコニウム系/陰イオン捕捉
剤)、IXE−1100(カルシウム系)等がある。こ
れらは単独でも、必要に応じて2種以上を組み合わせて
用いてもよい。また、イオン捕捉剤は、光カチオン重合
開始剤の種類にもよるが、光カチオン重合開始剤1重量
部に対して好ましくは2重量部より多く8重量部未満、
より好ましくは4重量部以上6重量部以下とする。2重
量部以下とすると耐インク性が不良となり、また8重量
部以上とすると硬化性が低下し、接着強度が不足するの
で好ましくない。
カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドッ
クス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ウラニル化合
物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。
具体例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フ
ェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフ
ェノン、2,4−ジクロルベンゾフェノン、o−ベンゾ
イル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミ
ノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミ
ノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−ク
ロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン
等のチオキサントン誘導体;2−クロルアントラキノ
ン、2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導
体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン等の
アクリドン誘導体;α,α−ジエトキシアセトフェノ
ン;フルオレノン等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。また、これらは単独で用いても混合し
て用いても良い。光増感剤を使用すると、光硬化性や光
反応性が向上し、接着性や耐インク性を向上させること
が出来る。使用量としては、光カチオン重合エポキシ樹
脂組成物を100重量部に対して0.1〜20重量部含
有させれば効果が増進され有効である。
ル化合物や分子中に2個以上の水酸基を有する化合物を
添加することが出来、これにより硬化速度の調整や可撓
性が高くなることによる接着強度の向上を図ることが出
来る。更に紫外線照射後の塗布膜表面の皮膜形成をより
強く抑制することができ、表面の粘着性を妨げないた
め、貼り合わせ面が不均一にならない接着剤を得ること
ができる。分子中に2個以上の水酸基を有する化合物と
しては、フェノール性水酸基以外の酸性基の存在しない
ものが好ましく、例えば水酸基以外の官能基を有しない
ポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、ポ
リカプロラクトンポリオール化合物、フェノール性水酸
基を有するポリオール化合物、ポリカーボネートポリオ
ール等を挙げることができる。これらの化合物の分子量
は、48以上、好ましくは62以上、更に好ましくは2
00以上であり、1000以下程度である。その混合量
は、エポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤、イオン捕捉
剤の総量を100重量部とした場合に60重量部以下、
好ましくは50重量部以下である。
を添加することも出来る。反応性希釈剤としては、低粘
度のエポキシ反応性希釈剤であれば何でも良いが、2官
能以上のものであると、硬化反応で硬化物の架橋密度を
向上させ、耐インク性を向上させることが出来るので好
ましい。その例としては、ジグリシジルエーテル、ブタ
ンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリ
ン、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シク
ロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキ
レンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられ
る。これらは単独で用いても混合して用いても良い。な
お、硬化性を向上させる場合は、低粘度の脂環式エポキ
シ樹脂であるリモネンジオキサイド、4−ビニルシクロ
ヘキセンモノオキサイド等を用いると良い。また固形エ
ポキシ樹脂を混合する場合は粘度調整が必要であるか
ら、粘度調整剤の使用は有効である。反応性希釈剤の量
は、固形又は半固形エポキシ樹脂100重量部に対して
100重量部以下が好ましい。100重量部を超える
と、希釈効果はあるものの、ベースエポキシ樹脂組成物
の硬化物そのものの特性が変化し、接着強度が低下した
り、耐インク性が低下するので好ましくない。
加することも出来る。無機充填剤としては、カチオン重
合性を抑制する塩基性充填剤でさえなければ何を用いて
も構わないが、塩基性充填剤を使用すると硬化不十分に
なったり硬化性にバラツキが生じたりして接着強度低下
を引き起こすので好ましくない。特に好ましいのは、4
%水分散液のPHが塩基性でない酸化チタン及びシリカ
を一種又は二種以上併用することである。その具体例と
しては、シリカ(R972:PH=4.0〜5.5、A
200:PH=4.0〜4.5等)、酸化チタン(P2
5:PH=3.5〜4.5、T805:PH=3.0〜
4.0等)が挙げられる。また、これら無機充填剤の粒
径は小さい方が好ましく、特に1μm以下、1次粒子の
粒径が30nm程度以下のものが好ましい。粒径が1μ
mを超えると微細塗布接着が困難となり、更に硬化接着
時における染み出し防止効果が少なくなるので好ましく
ない。無機充填剤を混合すると、エポキシ樹脂組成物の
粘度調整が容易に出来るので、種々の塗布粘度に対応で
きると共に、硬化物の耐インク性を向上させることが可
能となる。
成物や充填剤の種類により大きく変化するが、硬化物の
耐インク性などの面からもエポキシ樹脂100重量部に
対して100重量部以内が望ましい。100重量部を越
えると、粘度上昇によりエポキシ樹脂組成物の塗布性が
損なわれるし、接着性が劣化する傾向にあるので好まし
くない。充填剤の混合に際しては、均一分散するために
三本ロール等で混練し、微細化して併用することが望ま
しい。また、無機充填剤を使用する際にシランカップリ
ング剤及びチタンカップリング剤などを使用することが
望ましい。カップリング剤の添加量は、エポキシ樹脂組
成物の種類により大きく変化するが、無機充填剤を添加
したエポキシ樹脂組成物100重量部に対して5重量部
以下が好ましい。5重量部を越えると、樹脂の凝集力が
低下し、結果として接着力や信頼性が低下する。
することが出来る。また、本発明で用いる高分子粒子と
しては、例えば、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒
子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリスチ
レン粒子、ポリウレタン粒子、フェノール樹脂粒子、エ
ポキシ樹脂粒子等などが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。高分子粒子を使用することにより、
硬化接着時の染み出しを防止したり硬化物に可撓性を与
えることができるので接着強度が向上する。特に、架橋
ポリアクリレート系粒子においてはエポキシ樹脂の硬化
の際、流動性の増したエポキシ樹脂をゲル化し、染み出
し防止に寄与するだけでなく、柔軟性を硬化物に付与す
ることもでき、接着強度を増加させる効果もある。エポ
キシ樹脂組成物の粘度調整も混合量で任意に調整でき、
塗布工程などの作業性を良好にする。また、理由は不明
であるが、架橋ポリアクリレート系粒子の添加がエポキ
シ樹脂の硬化を促進する効果もあり、混合しない場合に
比べて、より低温での硬化接着が可能となる。
しく、特に1μm以下が好ましい。粒径が1μmを超え
ると、微細塗布接着が困難になると共に、硬化接着時に
おける染み出しの防止効果が少なくなり、接着強度も低
下する。高分子粒子の混合量は、染み出し防止などの点
からエポキシ樹脂100重量部に対して40重量部以下
が好ましい。40重量部を超えると粘度上昇によりエポ
キシ樹脂組成物の塗布性が損なわれる上に、耐インク性
が劣化する傾向にある。また、前記無機充填剤と高分子
粒子を併用することによって、一層効果が向上する。本
発明のエポキシ樹脂組成物は、バブルジェット(登録商
標)方式、ピエゾアクチュエータ方式、静電方式の何れ
の方式に対しても使用可能であり、インクジェットヘッ
ド製造における各部材の接着に使用できる。特にインク
に接する部材の接着において効果を発揮する。
るインクジェットヘッド製造法について説明する。ここ
では、エポキシ樹脂組成物を用いる静電方式のインクジ
ェットヘッド製造法を説明するが、この方式に限定され
るものでない。まずSi基板を用意し、その上に電極部
及びギャップ部を形成する。次に別のSi基板を用意
し、これと前記電極部及びギャップ部を形成したSi基
板とを直接接合により接合した後、100nmの厚さに
なるまで研磨するが、その際、Si/Si直接接合以外
に、本発明によるエポキシ樹脂組成物を使用して硬化接
着する場合もある。次に電極基板及びSi基板にエッチ
ングマスクとなる窒化膜をデポジション(付着)させ、
裏面流路部と液室部をウェットエッチングにより形成す
る。次にダイシングによりウエハ(Wafer)から各
チップに切断する。次いで、ドライエッチングにより電
極取り出し部を作成(開口)する。次いで、露出した個
別電極とFPCケーブルを異方性導電膜によって電気的
に接続する。ケーブルにはドライバICがワイヤーボン
ドによって搭載されている。次にノズルプレートとアク
チュエータを接着するために、シリコン液室の上面にエ
ポキシ樹脂組成物を塗布する。次いで、塗布面に硬化膜
が発生しないような光量の光を照射して光カチオン重合
を開始させ、塗布面に粘着物を形成する。次いで、Ni
電鋳により形成されたノズルプレートと、エポキシ樹脂
組成物が塗布・紫外線照射された静電アクチュエータを
位置合わせし、貼り合わせて加圧を行い、熱アフターキ
ュアで加熱硬化させ、静電方式インクジェットヘッドを
作製する。
ットヘッドを製造するが、その際の接着方法について、
更に詳しく説明する。まず、エポキシ樹脂組成物の紫外
線照射量については、エポキシ樹脂組成物により変化す
るので、それぞれの硬化条件に従って決定するが、エポ
キシ樹脂組成物が硬化する照射量であれば良く、硬化物
の耐インク性、接着強度が良好である硬化条件を満たし
ていれば良い。インクジェットヘッド部材が紫外線透過
性部材で構成されている場合には、特に硬化が促進され
るので有効である。次に塗布面に硬化膜が発生しないよ
うな光量の光を照射し、光カチオン重合を開始させた
後、貼り合わせを行う場合、塗布されたエポキシ樹脂組
成物中のエポキシ基残存率(IRスペクトル分析等によ
り定量した、処方エポキシ基に対する照射後のエポキシ
基の残存率)が50〜95%、好ましくは60〜90%
の範囲になるように照射する。エポキシ基残存率が95
%以上の場合、硬化不充分となり、残存率が50%以下
の場合、塗布面に硬化膜が形成され接着性が悪くなる。
次いでインクジェットヘッド部材の紫外線照射面両面又
は片面の塗布面と塗布照射していない部材の表面とを貼
り合わせる。その後の熱アフターキュアは、通常のエポ
キシ樹脂組成物の硬化温度域で行えば良い。例えば常温
〜130℃で30分〜7日間、好ましくは室温〜120
℃で60分〜2日間の範囲が好適である。なお、光カチ
オン重合開始剤を配合しているので、光照射がないと重
合が開始され難く、ポットライフが長くて作業性が良
い。
えばノズルプレートがNi電鋳により形成されたものの
場合には、Si基板との加熱接着の際に各部材の線膨張
係数が異なるため硬化温度を高くすると反りが発生して
しまい、内部応力によりアクチュエータを破壊してしま
う可能性があり、硬化接着温度は低い方が好ましいが、
その点、光硬化接着は有効性が高く、線膨張係数の異な
る異種部材接着においても、高温のアフターキュアを行
っても反りの発生が少なく問題はない。なお、アフター
キュア時間は硬化温度とエポキシ樹脂組成物の種類によ
り変化するが、その組成物の標準硬化温度、時間である
ことが好ましい。このようなアフターキュアにより、水
分や被着有機物がエージングされ、インク注入前のプレ
処理になるという効果もある。硬化接着における各部材
の接着圧は、エポキシ樹脂組成物の粘度によって変動す
るが、0.5〜10kgf/cm2であることが好まし
い。0.5kgf/cm2より小さい圧力で加圧接着す
ると、接着層厚を制御することが困難となり、接着ムラ
を引き起こし、接着強度の低下につながる。また、10
kgf/cm2を超えると、エポキシ樹脂組成物がアフ
ターキュア加熱硬化接着の際に流動し、接着面より流れ
出てしまい、各部材間にエポキシ樹脂組成物が殆ど残ら
ないため接着強度が低下する。更にインク流路に接して
いる部位ではインクの滲み出しが起こる可能性もあり好
ましくない。
法について述べると、各部位又は部材によって異なる
が、一般に使用される均一塗布方法であれば良く、例え
ばスクリーン印刷法、スピンコート法、転写法などが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。更にエ
ポキシ樹脂組成物塗布膜の厚みは、各部材の接着及びイ
ンクジェットヘッドの性能に影響を及ぼさない範囲であ
れば良い。しかし、液室上面に塗布する場合は、転写法
により塗布膜厚をコントロールする必要があるので、ド
クターブレードでローラー上にエポキシ樹脂組成物を薄
膜状に塗布し、転写パッドによりローラーからエポキシ
樹脂組成物を転写し、更に転写パッドから液室上面にエ
ポキシ樹脂組成物を転写する方法を採用する。また、ノ
ズルプレートがNi電鋳やSUSで形成されたものであ
る場合、加熱硬化接着すると、線膨張係数の違いにより
反りを発生し、内部応力によりアクチュエータを破壊し
てしまう可能性がある。その対策として、ノズルプレー
トの線膨張係数を同等とした部材を使用すれば、反りの
発生を押さえ、更に硬化温度をフレキシブルにすること
ができ、つまり硬化温度を上昇させることが可能とな
り、更に耐インク性や接着強度を向上させることが可能
となる。具体例としてはNi−鉄合金を使用すればよ
く、特にSi基板と線膨張係数を同等にするNi含有率
は30〜50%であり、特に好ましくは32〜40%で
ある。この範囲以外では線膨張係数がNi単独の場合と
同等であり、Ni−鉄合金を使用する意味がない。
発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及
び製造例により限定されるものではない。また、実施例
及び比較例中「部」とあるのは「重量部」である。な
お、得られたインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂
組成物は以下のような試験により評価した。 ≪エポキシ樹脂組成物評価方法≫ (i)塗布面評価:紫外線照射後の塗布面状態観察 評価基準は次のとおりである。 ○:塗布面は液状状態のまま。 ×:塗布面に硬化物が発生。 (ii)接着性:剥離強度試験、引っ張り強度試験 ・剥離強度試験: 厚さ50μmのNi/Siウエハを
エポキシ樹脂組成物により接着し、20mm/minの
速度で剥離強度を測定した。評価基準は次のとおりであ
る。 ○:200gf/cm2以上 △:100−200gf/cm2 ×:100gf/cm
2以下 ・引っ張り強度試験: Ni/Siウエハを接着(接着
面積:1cm2)後、SUSブロック(10mm×10
mm×30mm)に接合し、50mm/minの速度で
引っ張り強度を測定した。評価基準は次のとおりであ
る。 ○:50kgf/cm2以上 △:10−50kgf/cm2 ×:10kgf/cm2 (iii)接着信頼性:剥離強度試験、引っ張り強度試験 硬化接着後、サンプルの耐インク試験(インク浸漬、5
0℃40時間超音波)を行い、次いで剥離強度試験及び
引っ張り強度試験を行った。評価基準は、剥離強度試験
100gf/cm2以上、且つ、引っ張り強度試験10
kgf/cm2以上のものを○とし、それ以外のものを
×とした。 (iv)耐インク性 エポキシ樹脂組成物の硬化物を、市販のインクジェット
用インクに浸漬し(50℃、40時間、超音波)、膨潤
率を測定した。評価基準は次のとおりである。 ○:膨潤率5%以下 ×:膨潤率が5%を超えるもの (v)塗布性:連続塗布が可能で、塗布膜が均一である
ものを○とし、そうでないものを×とした。 (vi)染み出し:硬化接着後、染み出しのないものを○
とし、染み出しのあるものを×とした。
は、エポキシ樹脂組成物を用いる静電方式のインクジェ
ットヘッド製造方法について説明するが、この方式に限
定されるものではない。図1及び図2は静電方式インク
ジェットヘッドの製造工程を示す平面図である。まず、
図1(a)に示すように、P型(100)Si基板20
1を用意し、その上に電極部202及びギャップ部20
3を形成する。次に、図1(b)に示すように、ボロン
を注入した(110)Si基板204を用意し、前記電
極部及びギャップ部を形成したP型(100)Si基板
201とボロンを注入した(110)Si基板204を
直接接合により接合し、100nmの厚さになるまで研
磨を行う。次に、電極基板201及びSi基板にエッチ
ングマスクとなる窒化膜をデポジション(付着)させ、
図1(c)に示すように裏面流路部205、液室部20
6をウェットエッチングにより形成する。次に、ダイシ
ングによりウエハ(Wafer)から各チップに切断す
る。次に、図2(a)に示すように電極取り出し部20
9をドライエッチングにより形成(開口)する。次に、
図2(b)に示すように、露出した個別電極210とF
PCケーブルを異方性導電膜によって電気的に接続す
る。ケーブルにはドライバICがワイヤーボンドによっ
て搭載されている。次に、ノズルプレートとアクチュエ
ータを接合するために、シリコン液室の上面にエポキシ
樹脂組成物を塗布する。また、振動板のギャップ(振動
室の入り口)を封止するために、エポキシ樹脂組成物を
塗布する。最後に、図2(c)に示すように、Ni電鋳
により形成されたノズルプレート212と、エポキシ樹
脂組成物が塗布された静電アクチュエータを位置合わせ
し加圧を行い加熱硬化させる。
断面図である。また、図4は静電方式インクジェットヘ
ッドの斜視図である。図3(a)に示すように、P型
(100)Si基板301(厚さ625nm)を用意
し、2nmの厚さの酸化膜302をウェット酸化により
形成した。酸化条件は1050℃、18.5時間であ
る。次に、図3(b)に示すように、グラデーションマ
スクを用いてレジストのパターンニングを行い、ドライ
エッチング及びウェットエッチングにより酸化膜のパタ
ーンニングを行った。グラデーションマスクを用いて電
極形状を形成することにより非平行のギャップを形成す
ることができ、低電圧化に有利な電極形状とすることが
可能となる。次に図3(c)に示すように、電極となる
TiN303を200nmの厚さにスパッタ法で形成し
た。次に、TiNを個別電極用とするためにエッチング
により分離し、次いで電極保護膜としてシリコン酸化膜
304を150nmの厚さに形成した。次に、電極部以
外の前記シリコン酸化膜及びTiNを各々ドライエッチ
ング、ウェットエッチングにより除去した。次に、図3
(d)に示すようにボロンを注入した厚さ400nmの
(110)Si基板305を900〜1000℃で直接
接合により接合し、次いで100nmの厚さになるまで
研磨した。次にSi基板301及びSi基板305に窒
化膜を積層後、パターンニングをして図3(e)に示す
ように、ウェットエッチングによりSi基板301に裏
面流路306を形成した。次に、図3(f)に示すよう
に液室部307をウェットエッチングにより形成した。
次に、ボロン注入Si基板及びシリコン酸化膜をエッチ
ングして裏面流路の開口を行った。続いて、メタルマス
クを介してアルミをデポジション(付着)させることに
より液室の共通電極部を形成した。ここでダイシングに
よりチップ単位に切断し、次いで、図3(g)に示すよ
うに、電極取り出し部308をドライエッチングにより
形成(開口)した。更に電極取り出し領域のTiN上の
シリコン酸化膜をドライエッチングにより除去した。以
上のようにして静電方式インクジェットヘッドのアクチ
ュエータ部の作製を行った。
ュエータ401とFPCケーブル402を異方性導電膜
によって電気的に接続した。FPCケーブルにはドライ
バIC403がワイヤーボンドによって搭載されてい
る。そして、ノズルプレート404とアクチュエータを
接着するために、シリコン液室の上面にエポキシ樹脂組
成物を塗布した。また、振動板のギャップ(振動室の入
り口)を封止するために、市販の常温硬化型エポキシ樹
脂組成物を塗布した。なお、振動室内部に湿気が入り込
むと振動板が変位しなくなってしまうが、エポキシ樹脂
組成物を使用すれば、耐湿性も良好となる。また、ノズ
ルプレートとシリコン液室の位置決めをするために、デ
ィスペンサーを用いてシリコン液室のエポキシ樹脂組成
物塗布領域405にエポキシ樹脂組成物を塗布し、その
エポキシ樹脂組成物に硬化膜が発生しないように光を照
射した。そして、Ni電鋳により形成されたノズルプレ
ートと、エポキシ樹脂組成物が塗布された静電アクチュ
エータを位置合わせし、エポキシ樹脂組成物を加圧し、
次いで、所定温度、所定時間アフターキュアを行い、完
全硬化させて接着した。また、インク供給タンク又はイ
ンクカートリッジからインクを供給するためのジョイン
ト部406と、フィルター407が熱溶着されたフレー
ム408を接着した。フレームにアクチュエータとノズ
ルプレートを接着するための市販の常温硬化型エポキシ
樹脂組成物を塗布し、アクチュエータの位置合わせをし
て接着を行った。上記静電方式インクジェットでは、個
別電極にパルス電圧を印加することにより、振動板が静
電気力によって電極側に変形し、インクが共通液室から
流体抵抗部を通って圧力発生室に流入し、圧力発生室の
体積が増加する。そして、パルス電圧が解除されると静
電気力が無くなり、振動板が元の状態に戻るので、振動
板の弾性力によって圧力発生室の圧力が上昇し、ノズル
孔からインクが噴射される。
得た。この組成物を用いて塗布した後、高圧水銀灯によ
り200mJ/cm2の光を照射し、Ni板とSiウエ
ハを重ね合わせ、アフターキュア硬化条件:100℃、
1時間、加圧1.5kgf/cm2で接着強度試験用サ
ンプル及び耐インク性試験用サンプルを作製した。この
サンプルに対し、前記評価方法に従って評価した結果を
表1に示した。また、このエポキシ樹脂組成物を使用す
ると、特に引っ張り強度が向上した。
シリコーン系接着剤(スリーボンド社製、TB316
1)を用いた点以外は、実施例1と同様にしてサンプル
を作製した。このサンプルに対し、前記評価方法に従っ
て評価した結果を表1に示した。
得た。この組成物を用いて塗布した後、高圧水銀灯によ
り150mJ/cm2の光を照射し、Ni板とSiウエ
ハを重ね合わせ、アフターキュア硬化条件:100℃、
1時間、加圧2.0kgf/cm2で接着強度試験用サ
ンプル及び耐インク性試験用サンプルを作製した。この
サンプルに対し、前記評価方法に従って評価した結果を
表1に示した。また、このエポキシ樹脂組成物を使用す
ると、硬化物に可撓性が付与され、特に剥離強度向上し
た。また、光硬化性が向上し、引っ張り強度も向上し
た。
接着剤(セメダイン社製、Y−877)を用いた点以外
は、実施例2と同様にしてサンプルを作製した。このサ
ンプルに対し、前記評価方法に従って評価した結果を表
1に示した。
得た。この組成物を用いて塗布した後、高圧水銀灯によ
り200mJ/cm2の光を照射し、Ni板とSiウエ
ハを重ね合わせ、アフターキュア硬化条件:120℃、
1時間、加圧2.0kgf/cm2で接着強度試験用サ
ンプル及び耐インク性試験用サンプルを作製した。この
サンプルに対し、前記評価方法に従って評価した結果を
表1に示した。また、このエポキシ樹脂組成物を使用す
ると、硬化物特性の他に、特に反応性希釈剤が粘度調整
に効果を発揮し、塗布性を向上させることが出来、作業
性が良好となった。
シリコーン系接着剤(スリーボンド社製、TB316
4)を用いた点以外は、実施例3と同様にしてサンプル
を作製した。このサンプルに対し、前記評価方法に従っ
て評価した結果を表1に示した。
得た。この組成物を用いて塗布した後、高圧水銀灯によ
り100mJ/cm2の光を照射し、Ni板とSiウエ
ハを重ね合わせ、アフターキュア硬化条件:120℃、
1時間、加圧1.5kgf/cm2で接着強度試験用サ
ンプル及び耐インク性試験用サンプルを作製した。この
サンプルに対し、前記評価方法に従って評価した結果を
表1に示した。また、このエポキシ樹脂組成物を使用す
ると、特に硬化性・反応性が向上し、照射光量を低減す
ることが出来た。
接着剤(セメダイン社製、Y−878−1)を用いた点
以外は、実施例4と同様にしてサンプルを作製した。こ
のサンプルに対し、前記評価方法に従って評価した結果
を表1に示した。
得た。この組成物を用いて塗布した後、高圧水銀灯によ
り100mJ/cm2の光を照射し、Ni板とSiウエ
ハを重ね合わせ、アフターキュア硬化条件:50℃、2
時間+120℃、1時間、加圧2.0kgf/cm2で
接着強度試験用サンプル及び耐インク性試験用サンプル
を作製した。このサンプルに対し、前記評価方法に従っ
て評価した結果を表1に示した。また、このエポキシ樹
脂組成物を使用すると、特に無機充填剤、高分子粒子に
より硬化時の染み出しが防止でき、更に高分子粒子併用
で硬化物に可撓性が付与され、剥離強度が向上した。更
に、ポリオール化合物により、硬化速度を調整でき、可
撓性が高くなり、塗布皮膜形成を抑制した硬化物が得ら
れた。
シリコーン系接着剤(スリーボンド社製、TB316
5)を用いた点以外は、実施例5と同様にしてサンプル
を作製した。このサンプルに対し、前記評価方法に従っ
て評価した結果を表1に示した。
後、貼り合わせて熱アフターキュアする前記インクジェ
ットヘッド製造例に従ってインクジェットヘッドを作製
したところ、ノズル孔からインクが噴射され、インクジ
ェットヘッドの歪みがないものが得られた。また、この
製造方法を採用することにより、貼り合せが良好で、諸
特性に変化なく、光硬化で仮接着し、熱アフターキュア
で本硬化することで、歪みを低減したインクジェットヘ
ッドが得られた。
様にしてサンプルを作製し、実施例6と同様のインクジ
ェットヘッド製造例に従って、インクジェットヘッドを
作製したところ、インクジェットヘッドの噴射の際に剥
がれ落ちてしまった。
トヘッドのインク流路部と液室部を構成する部材を接着
する接着剤として用いられる、耐インク性、特に耐アル
カリ性を有し、長期浸漬後の部材間の密着性が改善さ
れ、剥離強度が高く、作業性良好なインクジェットヘッ
ド製造用エポキシ樹脂組成物を提供することが出来、更
にその樹脂組成物を使用した本発明の製造方法により優
れたインクジェットヘッドを提供できる。個別的には、
本発明1によれば、均一接着させ、硬化性を高め、耐イ
ンク性を向上させ、部材間の密着性を高め、特に引っ張
り強度を向上させることが出来る作業性良好なインクジ
ェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物を提供できる。
本発明2によれば、耐インク性を向上させ、部材間の密
着性を高め、特に剥離強度を向上させることが出来るイ
ンクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物を提供で
きる。本発明3によれば、部材間の密着性を高め、特に
剥離強度を向上させたインクジェットヘッド製造用エポ
キシ樹脂組成物を提供することが出来る。本発明4によ
れば、特に硬化性を高め、剥離強度を増加させ、耐イン
ク性の良好なインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂
組成物を提供することが出来る。本発明5によれば、硬
化性、反応性が向上し、接着性、耐インク性の良好なイ
ンクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物を提供で
きる。本発明6によれば、硬化速度の調整が可能であ
り、可撓性が高くなることより接着強度を向上させるこ
とが出来、更に紫外線照射後の塗布膜表面の皮膜形成を
より強く抑制することが出来、表面の粘着性を妨げない
ため、貼り合わせ面が不均一にならないインクジェット
ヘッド製造用エポキシ樹脂組成物を提供できる。本発明
7によれば、粘度調整が出来、作業性が良好なインクジ
ェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物を提供すること
が出来る。本発明8によれば、充填剤として無機充填剤
及び/又は高分子粒子を混合することで、粘度調整が出
来、作業性が良好で、硬化接着する際の染み出し防止が
でき、その上高分子粒子の併用により、可撓性を更に付
与でき、剥離強度が良好となるインクジェットヘッド製
造用エポキシ樹脂組成物を提供することが出来る。本発
明9によれば、特に300nm以上の長波長域にも紫外
線吸収特性を有することから、紫外線硬化性に優れ、接
着性、耐インク性の良好なインクジェットヘッド製造用
エポキシ樹脂組成物を提供できる。本発明10によれ
ば、光透過性の無いインクジェットヘッド部材を接着
し、インクジェットヘッドの歪みが小さく、インクジェ
ットヘッド本体にかかる応力を小さくすることが可能な
耐インク性の良好なインクジェットヘッド製造方法を提
供できる。
す平面図。 (a) P型(100)Si基板201の上に、電極部
202及びギャップ部203を形成する工程。 (b) 電極部及びギャップ部を形成したP型(10
0)Si基板201とボロンを注入した(100)Si
基板204を接合する工程。 (c) 裏面流路部205及び液室部206をウェット
エッチングにより形成する工程。
す平面図(図1の続き)。 (a) 電極取り出し部209を形成(開口)する工
程。 (b) 露出した個別電極210とFPCケーブルを異
方性導電膜によって電気的に接続する工程。 (c) ノズルプレート212と、静電アクチュエータ
を位置合わせし加圧を行い加熱硬化させる工程。
を形成する工程。 (b) 非平行のギャップを形成する工程。 (c) 電極となるTiN303を形成する工程、及び
TiNを分離し、次いでシリコン酸化膜304を形成す
る工程、及び電極部以外の前記シリコン酸化膜及びTi
Nを除去する工程。 (d) ボロンを注入した(110)Si基板305を
接合し、次いで研磨する工程。 (e) 電極基板301に裏面流路306を形成する工
程。 (f) 液室部307を形成し、裏面流路の開口を行
い、続いて、液室の共通電極部を形成し、ダイシングに
よりチップ単位に切断する工程。 (g) 電極取り出し部308を形成(開口)し、電極
取り出し領域のTiN上のシリコン酸化膜を除去する工
程。
のジョイント部 407 フィルター 408 フレーム
Claims (10)
- 【請求項1】 ビスフェノール型エポキシ樹脂及び/又
は脂環式エポキシ樹脂、硬化剤として光カチオン重合開
始剤、及びイオン捕捉剤を含有することを特徴とするイ
ンクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項2】 前記エポキシ樹脂の少なくとも1種が、
固形又は半固形エポキシ樹脂であることを特徴とする請
求項1記載のインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂
組成物。 - 【請求項3】 前記エポキシ樹脂の少なくとも1種が、
硬化物に可撓性を与える可撓性エポキシ樹脂であること
を特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッ
ド製造用エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項4】 可撓性エポキシ樹脂が、エーテルエラス
トマー添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ウレ
タン樹脂添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを
特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッド製造用
エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項5】 更に光増感剤を添加することを特徴とす
る請求項1〜4の何れかに記載のインクジェットヘッド
製造用エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項6】 更にポリオール化合物を添加することを
特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェッ
トヘッド製造用エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項7】 更に反応性希釈剤を添加することを特徴
とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェットヘ
ッド製造用エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項8】 更に充填剤として無機充填剤及び/又は
高分子粒子を混合することを特徴とする請求項1〜7の
何れかに記載のインクジェットヘッド製造用エポキシ樹
脂組成物。 - 【請求項9】 光カチオン重合開始剤として芳香族スル
ホニウム塩を含有することを特徴とする請求項1〜8の
何れかに記載のインクジェットヘッド製造用エポキシ樹
脂組成物。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れかに記載のエポキ
シ樹脂組成物を、光透過性の無いインクジェットヘッド
部材の片面又は両面に塗布し、塗布面に硬化膜が発生し
ないような光量の光照射をした後、貼り合わせ、熱アフ
ターキュアで硬化接着することを特徴とするインクジェ
ットヘッド製造方法。
Priority Applications (1)
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