JP4037116B2 - 遅延調整回路装置、これを用いた半導体集積回路装置および遅延調整方法 - Google Patents

遅延調整回路装置、これを用いた半導体集積回路装置および遅延調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遅延調整回路装置、これを用いた半導体集積回路装置および遅延調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の高速化に伴い、クロック間あるいはクロック-データ間の信号のスキューが問題となっている。クロック間あるいはクロック-データ間に信号のスキューが存在すると動作周波数の低減やデータの受け渡しのミス等による回路の誤動作の原因となるため、信号のスキューを削減することが必要である。
【0003】
信号のスキューを削減する一つの方法として、信号配線に遅延調整回路を設けてプログラマブルに遅延時間を変更する方法が提案されている(US 6192092)。この技術ではトランジスタサイズを変えた駆動回路を複数設け、その中のどれが信号配線を駆動するかを選択することにより信号配線を駆動するトランジスタサイズを選択できるようになっており、それにより信号配線の遅延値を数十ピコ秒単位で調整することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、クロック間あるいはクロック-データ間の信号にスキューが存在すると、動作周波数の低減やデータの受け渡しのミス等による回路の誤動作の原因となるため、信号のスキューを削減するため信号配線に遅延調整回路を設けてプログラマブルに遅延時間を変更する必要がある。半導体集積回路の高速化に伴い、今後数ピコ秒単位での信号のスキューが問題になると考えられる。
【0005】
しかし、従来の遅延調整回路の構成では数百〜数十ピコ秒単位で遅延時間を変更することはできるが、、数ピコ秒単位という非常に小さな時間単位で遅延時間を調整することは非常に困難であり、実現しようとすると非常に多くのトランジスタサイズを変えた駆動回路を設ける必要があり、回路規模が非常に大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような従来の技術の問題点を解消するべく創案されたものであり、その目的は、回路規模の増大を招くことなく、数ピコ秒単位で信号の遅延を調整することができる半導体集積回路の遅延調整回路装置および遅延調整方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の遅延調整回路装置は、信号配線と、前記信号配線に隣接させて形成された隣接配線と、前記信号配線の信号の立ち上がり期間中に立ち下がり、前記信号の立ち下がり期間中に変化しない信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の遅延調整回路装置は、信号配線と、前記信号配線に隣接させて形成された隣接配線と、前記信号配線の信号の立ち下がり期間中立ち上がり、前記信号の立ち上がり期間中に変化しない信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
このように、信号配線に隣接させて隣接配線を設け、当該隣接配線の信号を制御することにより、隣接配線とのクロストークを利用して信号配線の信号の遅延時間を数ピコ秒単位で変えることができる。よって、回路規模を増大させずに、数ピコ秒単位で信号の遅延を調整することができる半導体集積回路の遅延調整回路装置を実現できる。
また、前記信号配線の信号の立ち上がり時のみ、あるいは前記信号配線の信号の立ち下がり時のみに、前記信号配線の信号と逆相の信号を前記隣接配線に入力することで、前記信号配線の信号のHIGHの期間を短くすることができ、前記信号配線の信号と同相の信号を前記隣接配線に入力することで前記信号配線の信号のHIGHの期間を長くすることができる。
【0008】
本発明の遅延調整回路装置において、前記制御回路は、前記信号配線の信号と逆相の信号を出力してもよい。前記隣接配線に前記信号配線と逆相の信号を入力することで、信号配線の信号の遅延を大きくすることができる。
【0009】
また、本発明の遅延調整回路装置において、前記制御回路は、前記信号配線の信号と同相の信号を出力してもよい。前記隣接配線に前記信号配線と同相の信号を入力することで、前記信号配線の信号の遅延を小さくすることができる。
【0010】
また、本発明の遅延調整回路装置において、前記制御回路は、前記信号配線の信号と同相および逆相の信号を出力してもよい。前記隣接配線に前記信号配線と同相の信号を入力したり逆相の信号を入力したりすることで、前記信号配線の信号の遅延を小さくしたり大きくしたりすることができる。
【0015】
また、本発明の遅延調整回路装置において、前記隣接配線は、複数の部分配線からなり、前記制御回路は、前記隣接配線の部分配線毎に前記信号配線の信号に対応して変化する信号または固定した信号(たとえば電圧が0Vの信号)を入力するようにしてもよい。前記隣接配線を複数の部分配線で構成することにより、前記信号配線と隣接配線との間隔を部分配線毎に設定変更することができ、段階的に配線間隔を広げることにより、前記信号配線の信号に対するクロストークの影響を高精度で制御することが可能となる。そのため前記信号配線の信号の遅延変化量を非常に小さな時間単位で精度よく変更することができる。そして、部分配線毎に入力信号を変化させたり固定したりすることで、前記信号配線の信号の遅延をプログラマブルに変更することができる。
【0016】
また、本発明の遅延調整回路装置において、前記隣接配線は、前記信号配線との配線間隔が互いに等しい部分配線を複数備えてもよい。前記部分配線の長さを設定変更することにより、部分配線の信号が信号配線の信号に及ぼすクロストークの影響を変化させることができる。
【0017】
また、本発明の遅延調整回路装置において、前記隣接配線は、前記信号配線との配線間隔が各々異なる部分配線を複数備えてもよい。信号配線と各々の部分配線との間隔を異ならせることで、信号配線の信号に対し各々の部分配線の信号が及ぼすクロストークの影響が変化するため、クロストークによる遅延変化量を段階的に変化させることができる。
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の遅延調整方法は、信号配線に隣接させて隣接配線を設け、前記隣接配線に、立ち上がり期間中に立ち下がり、前記信号の立ち下がり期間中に変化しない信号を入力するようにした。このように、信号配線に隣接させて隣接配線を設け、当該隣接配線の信号を制御することにより、隣接配線とのクロストークを利用して信号配線の信号の遅延時間を数ピコ秒単位で変えることができる。よって、回路規模を増大させずに、数ピコ秒単位で信号の遅延を調整することができる半導体集積回路の遅延調整方法を実現できる。
また、前記信号配線の信号の立ち上がり開始時に前記信号配線と逆相の信号に対応して変化する信号を前記隣接配線に入力することで、前記信号配線の信号のHIGHの期間を短くすることができ、前記信号配線の信号と同相の信号を前記隣接配線に入力することで、前記信号配線の信号のHIGHの期間を長くすることができる。
また、本発明の遅延調整方法において、前記隣接配線に、前記信号配線の信号の立ち下がり期間中立ち上がり、前記信号の立ち上がり期間中に変化しない信号を入力するようにしてもよい。すなわち、前記信号配線の信号の立ち下がり時のみに前記信号配線の信号と逆相の信号を前記隣接配線に入力することで、前記信号配線の信号のHIGHの期間を長くすることができ、前記信号配線の信号と同相の信号を前記隣接配線に入力することで前記信号配線の信号のHIGHの期間を短くすることができる。
【0019】
本発明の遅延調整方法において、前記隣接配線に、前記信号配線の信号と逆相の信号を入力するようにしてもよい。前記隣接配線に前記信号配線と逆相の信号を入力することで、信号配線の信号の遅延を大きくすることができる。
【0020】
また、本発明の遅延調整方法において、前記隣接配線に、前記信号配線の信号と同相の信号を入力するようにしてもよい。前記隣接配線に前記信号配線と同相の信号を入力することで、前記信号配線の信号の遅延を小さくすることができる。
【0021】
また、本発明の遅延調整方法において、前記隣接配線に、前記信号配線の信号と同相および逆相の信号を入力するようにしてもよい、前記隣接配線に前記信号配線と同相の信号を入力したり逆相の信号を入力したりすることで、前記信号配線の信号の遅延を小さくしたり大きくしたりすることができる。
【0026】
また、本発明の遅延調整方法において、前記隣接配線を、複数の部分配線で構成し、前記隣接配線の部分配線毎に前記信号配線の信号に連動した信号または固定した信号(たとえば電圧が0Vの信号)を入力するようにしてもよい。前記隣接配線を複数の部分配線で構成することにより、前記信号配線と隣接配線との間隔を部分配線毎に設定変更することができ、段階的に配線間隔を広げることにより、前記信号配線の信号に対するクロストークの影響を高精度で制御することが可能となる。そのため前記信号配線の信号の遅延変化量を非常に小さな時間単位で精度よく変更することができる。そして、部分配線毎に入力信号を変化させたり固定したりすることで、前記信号配線の信号の遅延をプログラマブルに変更することができる。
【0027】
また、本発明の遅延調整方法において、前記隣接配線を、前記信号配線との配線間隔が等しい複数の部分配線で構成してもよい。前記部分配線の長さを設定変更することにより、部分配線の信号が信号配線の信号に及ぼすクロストークの影響を変化させることができる。
【0028】
また、本発明の半導体集積回路装置は、信号配線を含む半導体集積回路と、前記信号配線の少なくとも一部の信号配線に隣接して形成された隣接配線と、前記信号配線の信号に対応して変化する信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とで構成された遅延調整回路を具備してなることを特徴とする。
遅延調整回路は通常、同一基板上に形成され、当該信号配線と同一配線層上か、層間絶縁膜を介してその上層または下層に形成される。
また前記制御回路が、前記信号配線の信号と前記信号配線の信号を遅延させて生成される信号とが少なくとも入力されるNAND回路を備えることを特徴とする。
また前記制御回路が、前記信号配線の信号と前記信号配線の信号を遅延させて生成される信号とが少なくとも入力されるAND回路を備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の半導体集積回路装置は、信号配線を含む半導体集積回路と、前記信号配線の少なくとも一部の信号配線に隣接して形成された隣接配線と、前記信号配線の信号に対応して変化する信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とで構成された遅延調整回路を具備してなることを特徴とする。
遅延調整回路は通常、同一基板上に形成され、当該信号配線と同一配線層上か、層間絶縁膜を介してその上層または下層に形成される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明にかかる遅延調整回路装置および遅延調整方法の原理説明図である。図示するように、本発明の遅延調整回路装置100は、他の配線および素子を備えた半導体集積回路チップC内に、信号配線110と、信号配線110に隣接する隣接配線120と、隣接配線120の信号を制御する制御回路130とを備えて構成される。信号配線110と隣接配線120との間には寄生容量Cが存在し、隣接配線120の信号が変化することによるクロストーク効果によって信号配線110の信号の遅延値が変化することになる。
隣接配線120は、信号配線110と同一の導体層上、または信号配線110と層間絶縁体膜を介して上層または下層に形成された配線パターンからなり、この配線パターンは、信号配線110の信号調整用に設けられた専用の領域に形成される。
そしてこの遅延調整回路装置を、半導体集積回路の当該信号配線の近傍に搭載して、半導体集積回路装置が形成される。
【0031】
図2は本発明にかかる遅延調整回路装置における信号配線と隣接配線とのクロストーク効果の説明図である。
図2(a)の回路図において、14、15、16、17はバッファである。バッファ14は信号配線1によりバッファ15と接続され、バッファ16は隣接配線2によりバッファ17と接続されている。信号配線1と隣接配線2は互いに並列に配線されており、2つの配線1、2間には寄生容量Cが存在している。
【0032】
図2(b)は信号遷移図であり、信号配線1の信号S1の変化時に隣接配線2の信号S2が変化しない場合、信号配線1の信号S1は点線で示す波形となる。信号配線1の信号S1の立ち上がり時に隣接配線2の信号S2も立ち上がると、クロストーク効果により信号配線1の信号S1の遅延は小さくなる。また信号配線1の信号S1の立ち上がり時に隣接配線2の信号S2が立ち下がるとクロストーク効果により信号配線1の信号S1の遅延は大きくなる。
【0033】
図3に本発明にかかる遅延調整回路装置の第1の実施の形態を示す。
図3(a)の回路図において、13は制御回路、18、19はバッファである。バッファ18は入力信号CLKを入力としており、信号配線3によりバッファ19と接続されている。制御回路13は、入力信号CLKと制御信号ENを入力としており、隣接配線4に接続されている。制御回路13は、2入力NAND回路20で構成されており、制御信号ENがHIGHの場合は隣接配線4の信号S4は信号配線3の信号S3と逆相となる。
【0034】
図3(b)は信号遷移図であり、制御信号ENがHIGHの場合は隣接配線4の信号S4は信号配線3の信号S3と逆相となり、信号配線3の信号S3は隣接配線4の信号S4とのクロストーク効果により信号の遅延が大きくなり、実線で示す信号波形となる。また、制御信号ENがLOWの場合は、隣接配線4の信号S4はHIGHに固定されるため信号配線3の信号S3の遅延は変化せず点線で示す波形となる。よって制御信号ENを制御することにより信号配線3の信号S3の遅延を大きくすることが可能となる。
【0035】
図3の構成によれば、信号配線3に対し、隣接配線4と2入力NAND回路20からなる制御回路13を付加するだけで遅延調整回路を構成できるので、回路規模を増大させずに、数ピコ秒単位で信号の遅延を調整することができる半導体集積回路の遅延調整回路装置を実現できる。
【0036】
なお、上記の例では、隣接配線4の信号S4を信号配線3の信号S3と逆相にすることで信号配線S3の信号S3の遅延を大きくする方法について説明したが、制御回路13を2入力NAND回路から2入力AND回路に変更することにより、隣接配線4の信号S4を信号配線3の信号S3と同相にすることができ、信号配線3の信号S3の遅延を小さくすることができる。
【0037】
また、制御回路13を信号配線3の信号S3と同相の信号と逆相の信号を出力する回路で構成することより、信号配線3の信号S3の遅延を大きくしたり小さくしたりすることが可能となる。
【0038】
図4に、本発明にかかる遅延調整回路装置の第2の実施の形態を示す。
図4(a)の回路図において、21、22はバッファであり、バッファ21は入力信号CLKを入力とし信号配線5によりバッファ22と接続されている。
制御回路13は、入力信号CLKと入力信号CLKをインバータ23で反転した反転信号CLK_Bと制御信号ENを入力としており、隣接配線6に接続されている。この制御回路13は、3入力NAND回路24で構成されており、制御信号ENがHIGHの場合、隣接配線6の信号S6は入力信号CLKの立ち上がり時に立ち下がり、反転信号CLK_Bの立ち下がり時に立ち上がる信号パルスとなる。
【0039】
図4(b)は信号遷移図であり、制御信号ENがHIGHの場合、信号配線5の信号S5の立ち上がり時に隣接配線6の信号S6が立ち下がるためクロストーク効果により信号配線5の信号S5の遅延が大きくなり、信号配線5の信号S5の立ち下がりでは隣接配線6の信号S6は変化しないため、信号配線5の信号S5の遅延は変化せず実線で示す波形となる。そのため信号配線5の信号S5立ち上がり時のみ信号の遅延が大きくなり、信号配線5の信号S5のHIGHの期間を短くすることができる。信号配線5の信号S5のデューティー比は、信号S5のHIGHの期間を信号S5のLOWの期間で割った値で表される。したがって、信号S5がHIGHの期間を短くし、LOWの期間を長くすることにより、信号配線5の信号S5のデューティー比を変更することができる。
【0040】
ここで信号配線5の信号S5立ち上がりの間に隣接配線6の信号S6が立ち上がると、信号配線5の信号S5が隣接配線6の信号S6の立ち上がりでのクロストークの影響を受けてしまい、信号配線5の信号S5の遅延値が変化してしまう。そのため信号配線5の信号S5が完全に立ちあがった後で隣接配線6の信号S6が立ち上がるようにインバータ23の遷移時間を大きくすることにより、隣接配線6の信号S6の立ち上がりでのクロストークの影響をなくすことができる。
【0041】
また、制御信号ENがLOWの場合は隣接配線6の信号S6はHIGHに固定されるため、信号配線5は信号配線S6のクロストークの影響を受けない。このため信号の遅延は変化せず、点線で示す波形となる。よって制御信号ENを制御することにより信号配線5の信号S5のHIGHの期間を短くすることが可能である。
【0042】
このように、図4の構成によれば、信号配線5に対し、隣接配線6、3入力NAND回路24からなる制御回路13およびインバータ23を付加するだけで遅延調整回路を構成できるので、回路規模を増大させずに、数ピコ秒単位で信号の遅延を調整することができる半導体集積回路の遅延調整回路装置を実現できる。
【0043】
なお、図4では隣接配線6の信号S6を信号配線5の信号S5の立ち上がり時に立ち下がる信号パルスとすることで信号配線5の信号S5の立ち上がり時のみ信号を大きくして信号配線5の信号S5のHIGHの期間を短くする方法について述べたが、制御回路13を3入力NAND回路から3入力AND回路に変更することにより、隣接配線6の信号S6を信号配線5の信号S5の立ち上がり時に立ち上がる信号パルスとすることができ、信号配線5の信号S5の立ち上がり時のみ信号の遅延を小さくして信号配線5の信号S5のHIGHの期間を長くすることができる。
【0044】
また、図4では信号配線5の信号S5の立ち上がり時に、制御回路13で信号パルスを出力することで立ち上がり時のみ信号の遅延を変化させて信号配線5の信号S5のHIGHの期間を変化させているが、信号配線5の信号S5の立ち下がり時に制御回路13により信号パルスを出力することで、立ち下がり時のみ信号の遅延を変化させて信号配線5の信号S5のLOWの期間を変化させることもできる。
【0045】
また、制御回路13を信号配線5の信号S5の立ち上がり時と立ち下がり時に信号パルスを出力する回路で構成することにより、信号配線5の信号S5の立ち上がり時と立ち下がり時とで別々に信号の遅延を大きくしたり小さくしたりすることが可能となる。
【0046】
図5に本発明にかかる遅延調整回路装置の第3の実施の形態を示す。
この回路図において、25、26はバッファであり、バッファ25は入力信号CLKを入力としており、信号配線7によりバッファ26と接続されている。制御回路13は、入力信号CLKと制御信号EN1、EN2、EN3、EN4を入力としており、隣接回線を構成する複数(この例では4本)の部分配線8、9、10、11に接続されている。部分配線8、9、10、11と信号配線7との間隔はすべて等しく設定されている。
【0047】
制御回路13は、2入力NAND回路27、28、29、30で構成されており、制御信号EN1、EN2、EN3、EN4がHIGHの場合は部分配線8、9、10、11の信号はそれぞれ信号配線7の信号と逆相になり、制御信号EN1、EN2、EN3、EN4がLOWの場合は部分配線8、9、10、11の信号はそれぞれHIGHに固定される。部分配線8、9、10、11の信号が信号配線7の信号に及ぼすクロストークの影響は、部分配線8、9、10、11の長さを設定変更することにより変化させることができる。
【0048】
また、図5の回路構成によれば、部分配線8、9、10、11の信号が全てHIGHに固定されている状態から全て信号配線7と逆相の信号となる状態まで5段階に変化させることができるため、信号配線7の信号の遅延変化量を5段階に変化させることができる。
【0049】
このように、図5の構成によれば、信号配線7に対し、部分配線8、9、10、11からなる隣接配線、2入力NAND回路27、28、29、30からなる制御回路13を付加するだけで遅延調整回路を構成できるので、回路規模を増大させずに、数ピコ秒単位で信号の遅延を調整することができる半導体集積回路の遅延調整回路装置を実現できる。
【0050】
なお、図5では、部分配線8、9、10、11の長さを互いに等しくしているが、これを1:2:4:8の割合の長さとしてこれらを組み合わせ、それぞれの部分配線8、9、10、11について制御信号EN1、EN2、EN3、EN4を与えることにより、信号配線7の信号の遅延変化量を16段階に変化させることができる。
【0051】
また、部分配線8、9、10、11の長さを各々異ならせる代わりに、図6に示す第4の実施の形態のように、信号配線7と部分配線13、14、15、16との間隔を各々異ならせるようにしてもよい。信号配線7と部分配線13、14、15、16との間隔が変わることで、信号配線7の信号に対し各々の部分配線13、14、15、16の信号が及ぼすクロストークの影響も変化するため、クロストークによる遅延変化量を5段階に変化させることができる。
【0052】
信号配線7の信号に対し各々の部分配線13、14、15、16の信号が及ぼすクロストークの影響は、信号配線7と各々の部分配線13、14、15、16との間隔が小さいほど大きくなり、信号配線7と各々の部分配線13、14、15、16との間隔が大きいほど小さくなるため、信号配線7との間隔がより大きい部分配線の信号を制御することにより信号配線7の信号に対するクロストークの影響を高精度に制御することが可能となる。
【0053】
また、プロセスバラツキ等により配線長や配線間隔が変わる場合でも、信号配線と隣接配線との間隔を広くとることにより、非常に小さなクロストークでも高精度で与えることが可能となるので、信号配線の信号の遅延変化量を非常に小さな時間単位で精度よく変更することができる。
【0054】
以上の実施の形態によれば、クロック間やクロック-データ間の信号のスキューを削減することができ、そのことにより半導体集積回路の動作周波数を向上することができ、回路動作も安定させることができる。
また、遅延調整回路装置の制御回路をNAND回路等の単純な回路で構成でき、遅延調整回路装置を隣接配線と制御回路のみの追加で実現できるため、遅延調整回路を設けたことによる回路面積への影響を小さくすることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、信号配線に隣接させて隣接配線を設け、当該隣接配線の信号を制御するように構成したことにより、回路規模を増大させずに、信号配線の信号の遅延時間を数ピコ秒単位で変えることができる。
また、信号配線の信号の立ち上がりと立ち下がりで隣接配線の信号を変化させることにより、信号配線の信号のHIGHの期間とLOWの期間を数ピコ秒単位で変えることができるので、信号配線の信号のデューティー比を高精度で変更することができる。
また、隣接配線を複数の部分配線で構成し、部分配線毎に入力する信号を制御することにより、信号配線の信号の遅延時間を数ピコ秒単位でプログラマブルに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる遅延調整回路装置および遅延調整方法の原理説明図である。
【図2】本発明にかかる遅延調整回路装置における信号配線と隣接配線とのクロストーク効果の説明図であり、図(a)は回路図、図2(b)は信号遷移図である。
【図3】本発明にかかる遅延調整回路装置の第1の実施の形態を示す図であり、図3(a)は回路図、図3(b)は信号遷移図である。
【図4】本発明にかかる遅延調整回路装置の第2の実施の形態を示す図であり、図4(a)は回路図、図4(b)は信号遷移図である。
【図5】本発明にかかる遅延調整回路装置の第3の実施の形態を示す回路図である。
【図6】本発明にかかる遅延調整回路装置の第4の実施の形態を示す回路図である。
【符号の説明】
1:信号配線
2:隣接配線
3:信号配線
4:隣接配線
5:信号配線
6:隣接配線
7:信号配線
8、9、10、11:部分配線
13:制御回路
14、15、16、17:バッファ
18、19:バッファ
21、22:バッファ
25、26:バッファ
100:遅延調整回路装置
110:信号配線
120:隣接配線
130:制御回路

Claims (16)

  1. 半導体集積回路の遅延調整回路装置であって、
    信号配線と、
    前記信号配線に隣接させて形成された隣接配線と、
    前記信号配線の信号の立ち上がり期間中に立ち下がり、前記信号の立ち下がり期間中に変化しない信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする遅延調整回路装置。
  2. 半導体集積回路の遅延調整回路装置であって、
    信号配線と、
    前記信号配線に隣接させて形成された隣接配線と、
    前記信号配線の信号の立ち下がり期間中立ち上がり、前記信号の立ち上がり期間中に変化しない信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする遅延調整回路装置
  3. 請求項1または2に記載の遅延調整回路装置において、
    前記隣接配線は、複数の部分配線からなり、
    前記制御回路は、前記隣接配線の部分配線毎に前記信号配線の信号に対応して変化する信号または固定した信号を出力することを特徴とする遅延調整回路装置。
  4. 請求項に記載の遅延調整回路装置において、
    前記隣接配線は、前記信号配線との配線間隔が等しい部分配線を複数備えていることを特徴とする遅延調整回路装置。
  5. 請求項に記載の遅延調整回路装置において、
    前記隣接配線は、前記信号配線との配線間隔が異なる部分配線を複数備えていることを特徴とする遅延調整回路装置。
  6. 半導体集積回路の遅延調整方法であって、
    信号配線に隣接させて隣接配線を設け、
    前記隣接配線に、前記信号配線の立ち上がり期間中に立ち下がり、前記信号の立ち下がり期間中に変化しない信号を入力するようにしたことを特徴とする遅延調整方法。
  7. 半導体集積回路の遅延調整方法であって、
    信号配線に隣接させて隣接配線を設け、
    前記隣接配線に、前記信号配線の立ち下がり期間中立ち上がり、前記信号の立ち上がり期間中に変化しない信号を入力するようにしたことを特徴とする遅延調整方法。
  8. 請求項6または7に記載の遅延調整方法において、
    前記隣接配線を、複数の部分配線で構成し、
    前記隣接配線の部分配線毎に前記信号配線の信号に対応して変化する信号または固定した信号を入力するようにしたことを特徴とする遅延調整方法。
  9. 請求項に記載の遅延調整方法において、
    前記隣接配線を、前記信号配線との配線間隔が等しい複数の部分配線で構成したことを特徴とする遅延調整方法。
  10. 請求項に記載の遅延調整方法において、
    前記隣接配線を、前記信号配線との配線間隔が異なる複数の部分配線で構成したことを特徴とする遅延調整方法。
  11. 信号配線を含む半導体集積回路と、
    前記信号配線の少なくとも一部の信号配線が、
    前記信号配線に隣接して形成された隣接配線と、
    前記信号配線の信号の立ち上がり期間中に立ち下がり、前記信号の立ち下がり期間中に変化しない信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とで構成された遅延調整回路を具備してなることを特徴とする半導体集積回路。
  12. 信号配線を含む半導体集積回路と、
    前記信号配線の少なくとも一部の信号配線が、
    前記信号配線に隣接して形成された隣接配線と、
    前記信号配線の信号の立ち下がり期間中立ち上がり、前記信号の立ち上がり期間中に変化しない信号を出力するように、前記隣接配線の信号を制御する制御回路とで構成された遅延調整回路を具備してなることを特徴とする半導体集積回路。
  13. 請求項1又は2に記載の遅延調整回路であって、
    前記制御回路が、前記信号配線の信号と前記信号配線の信号を遅延させて生成される信号とが少なくとも入力されるNAND回路を備えることを特徴とする遅延調整回路。
  14. 請求項11又は12に記載の半導体集積回路であって、
    前記制御回路が、前記信号配線の信号と前記信号配線の信号を遅延させて生成される信号とが少なくとも入力されるNAND回路を備えることを特徴とする半導体集積回路。
  15. 請求項1又は2に記載の遅延調整回路であって、
    前記制御回路が、前記信号配線の信号と前記信号配線の信号を遅延させて生成される信号とが少なくとも入力されるAND回路を備えることを特徴とする遅延調整回路。
  16. 請求項11又は12に記載の半導体集積回路であって、
    前記制御回路が、前記信号配線の信号と前記信号配線の信号を遅延させて生成される信号とが少なくとも入力されるAND回路を備えることを特徴とする半導体集積回路。
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