JP3048471B2 - クロック供給回路及びクロックスキュー調整方法 - Google Patents

クロック供給回路及びクロックスキュー調整方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体集積回路装置
に用いられるクロック供給回路及びクロックスキュー調
整方法に関するものである。詳しくは、ユーザが配線を
決めることにより回路設計が出来るセミカスタムLS
I、特に全面素子敷き詰め型(シーオブゲート型)LS
Iに用いられるクロック供給回路及びクロックスキュー
調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロックパルスで動作する論理回路にク
ロックパルスを供給するクロック供給回路において、そ
れぞれの論理回路に入力されるクロックパルスに論理回
路間で遅延時間のずれが生じることがある。これは、ク
ロック供給回路から各論理回路までの配線経路や回路負
荷が異なることに起因する。
【0003】そこで、特開平1−157115号および
特願平4−094184号公報に示される方法が提案さ
れている。前者は、論理回路が存在する領域を複数の領
域に分割し、各分割した領域の中心部にクロックパルス
供給回路を設け、クロックパルスの入力からそれが供給
される最終的な論理回路までの配線経路がほぼ全て等価
になるようにしている。後者では、論理回路配置位置の
略中央部にクロックパルス供給回路を設け、幅広の主配
線およびブランチ配線を介して論理回路にクロックパル
スを供給する。この方法では、ユーザ設計領域の垂直方
向に主配線を、また、そこから水平方向にブランチ配線
を形成し、各ブランチ配線にほぼ同数の論理回路をほぼ
同等の配線長で接続することにより、クロックパルスの
入力からそれが供給される最終的な論理回路までの配線
経路、および回路負荷をほぼ全て等価になるようにして
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら集積回路
が大規模化していくにつれ、レイアウト設計の解くべき
問題が複雑化しその最適解を得ることが困難になる。そ
のため、設計期間が長くなったり、またチップ面積が増
大するという問題が生じる。この問題を解決するために
は回路を複数のモジュールに分割し、個々のモジュール
に対しレイアウト設計を行なうことが有効である。
【0005】上述のようなレイアウト設計が行なわれた
場合、分割されたモジュールは個々のユーザ設計領域を
有することになり、これら複数のユーザ設計領域に同一
クロックを供給するクロック供給回路が必要となる。ま
たこのようなクロック供給回路では、チップ面積の縮
小、また高速なクロックパルスを供給するという目的か
ら、集積回路全体のクロックスキュー最小化を、個々の
ユーザ設計領域に対するクロックスキュー最小化とユー
ザ設計領域間のクロックスキュー最小化との2段階に分
けて行なうことが有効である。ここで、設計領域間のク
ロックスキュー最小化を実現するためには、クロックパ
ルスの入力から各設計領域までの配線経路の違い、また
各設計領域内の配線経路、回路負荷、および駆動能力の
違い等に起因する遅延時間差を考慮する必要がある。さ
らに、クロックスキュー最小化のために設計期間を増加
させてはならない。
【0006】一般に、大規模集積回路の配線処理では、
上述のような遅延時間に影響を与える要因をすべて考慮
しつつそれを行なうことが不可能であり、正確な遅延時
間はレイアウト終了後まで知ることが困難である。すな
わち、従来のクロック供給回路では、対象とする設計領
域内における遅延時間のずれをなくすことは出来たとし
ても、設計領域間におけるクロックパルスの遅延時間ず
れを制御することが出来ないことから、複数の設計領域
にクロック供給回路が分割された場合、集積回路全体の
クロックパルスの遅延時間ずれを抑えることが出来な
い。
【0007】この発明の目的は、以上に述べた問題を除
去するため、クロックパルスの入力からそれが供給され
る論理回路までのクロックパルスの遅延時間を制御する
ことが出来るクロック供給回路およびこの回路を有する
集積回路を提供すること、および、上述の回路を実現す
るための設計手法であるクロックスキュー調整方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、第1の発明であ
るクロック供給回路では、複数の論理回路及びこれら論
理回路に供給するクロック信号入力用の入力端子を有
し、複数の論理回路に与えられるクロック信号間のスキ
ューが小さくなるようそれぞれ配線された複数の論理回
路領域と、この論理回路領域にクロック信号を供給する
クロック供給源と、このクロック供給源と複数の論理回
路領域の入力端子との間に設けられ、複数の論理回路領
域に供給されるクロックパルスの遅延を調整するため、
あらかじめ形成された複数の遅延素子のうちその一部を
選択可能とした調整回路とを設けた。
【0009】また、第2の発明であるクロックスキュー
調整方法では、クロックパルス源と遅延時間の調整可能
な遅延素子群を準備する工程と、複数の論理回路領域に
おいて、それぞれの領域内で論理回路間のクロックスキ
ューを小さくするよう配線を施す工程と、この配線の施
された複数の論理回路領域のそれぞれの論理回路におい
て、クロックパルス源から受け取るクロックパルスの遅
延をシュミレートする工程と、このシュミレート結果に
基づき、遅延素子の遅延時間を調整する工程と、この調
整された遅延素子を前記クロックパルス源と論理回路領
域との間に接続し、前記複数の論理回路領域にある論理
回路が受け取るクロックパルスの遅延差を小さくする工
程とを設けた。
【0010】
【作用】遅延素子は、論理回路領域に形成された論理回
路が受け取るクロックパルスを遅延させ、結果として全
ての論理回路が最小の遅延時間内にあるクロックパルス
を受け取れるよう作用する。
【0011】
【実施例】図1はこの発明の一実施例であるセミカスタ
ムLSIを示す図であり、以下、図1を参照しつつ説明
する。
【0012】この実施例のセミカスタムLSIは論理上
における回路のモジュール構造を保存した形で配置して
おり、各モジュールに対してユーザ設計領域(論理回路
領域)130,150,170を有している。ユーザ設
計領域150,170にはユーザによって設計された同
一クロックCLKlによって動作する論理回路159,
179が複数個配置されている。
【0013】I/Oエリア101にはクロックCLKl
が入力されるクロック入力端子103と、このクロック
入力端子103に接続された入力バッファ105とが設
けられている。ユーザ設計領域150には、クロックパ
ルスを受け取るバッファ回路151と、上記論理回路1
59にクロックパルスを供給する配線153,155が
存在し、ユーザ領域150内においては、特願平4−9
4184で開示されたようにバッファ回路151と論理
回路159の間のクロックスキュー最小化が施されてい
る。ユーザ設計領域170においても同様にクロックス
キュー最小化が施されている。また、上記入力バッファ
105とユーザ設計領域150内のバッファ回路151
は、その間に遅延調整回路152を介して接続されてい
る。入力バッファ105とユーザ設計領域170内のバ
ッファ回路171との間にも同様に遅延調整回路172
を介している。この遅延調整回路152,172は、入
力バッファ105の十分近くに配置されている。入力バ
ッファ105からユーザ設計領域150内の論理回路1
59までの最大遅延時間と、入力バッファ105からユ
ーザ設計領域170内の論理回路179までの最大遅延
時間のずれは遅延調整回路によってなくされ、結果とし
て、クロックCLKlが供給されるすべての論理回路に
おいて、遅延ずれのないクロックCLKlが供給され
る。
【0014】図2は遅延調整回路を示す図である。図2
は内部遅延時間または駆動能力の異なる遅延調整回路を
示しており、すべて同一トランジスタ上に同一サイズか
つ同一端子位置で実現されている。図2(a)、(b)
は遅延調整回路の第1の実施例を示しており、遅延素子
201の段数を変えることにより内部遅延時間を変える
ものである。図2(c)、(d)は遅延調整回路の第2
の実施例を示しており、遅延素子203を並列に接続し
その並列数を変えることにより駆動能力を変えている。
この駆動能力の差によりバッファ回路までのクロックパ
ルスの遅延時間を制御するのである。
【0015】図2(e)は遅延調整回路の第3の実施例
を示した図である。第3の実施例では遅延素子205に
負荷207を与え、この負荷数を変えることにより駆動
能力を調整するものである。
【0016】なお、図2(a)〜(e)において、IN
は入力であり、バッファ回路105の出力に接続され
る。OUTは出力であり、バッファ回路151,171
の入力に接続される。
【0017】次に上述のセミカスタムLSIの設計方法
について述べる。図3には、この設計フローを示してい
る。
【0018】まず論理設計を行なう際に、入力バッファ
105と各ユーザ設計領域に含まれるバッファ回路15
1,171との間に、遅延調整回路152,172を配
置する。このとき遅延調整素子は入力バッファ105の
近傍に配置する。この時点では、その内部遅延時間およ
び駆動能力は同一のものを選んでおく。(ステップ30
1)。そして、各設計領域150,170内でのクロッ
クスキュー最小化を施した自動配置、配線を行なう。
(ステップ303,305)配置、配線終了後、各配線
の抵抗値、容量値を抽出し、(ステップ307)入力バ
ッファ105からクロックパルスCLKlが供給される
論理回路159,179までのクロックパルスCLKl
の遅延時間を回路シミュレーション等により得る。(ス
テップ309)この値をもとに各ユーザ設計領域間にお
ける遅延時間のずれをなくすよう遅延調整回路152ま
たは172の入れ換え(選択)を論理回路上(シュミレ
ーション上)で行ない、(ステップ311,313)各
ユーザ設計領域150,170間における遅延時間のず
れをなくす遅延調整回路が見つかるまで繰り返す。(ス
テップ309〜313)そして、それが実現した時点で
レイアウト上(実際上)の遅延調整回路を確定する。
(ステップ315)図4は、図1の実施例を用いて集積
回路上でのクロックパルスの動作を示している。ユーザ
設計領域150およびユーザ設計領域170内で発生す
るクロックパルスの遅延時間ずれtS 150(ユーザ設
計領域150における最小遅延クロックパルスMin(1
50)と最大遅延クロックパルスMax(150)との
差)及びts 170(ユーザ設計領域170における最
小遅延クロックパルスMin(170)と最大遅延クロッ
クパルスMax(170)との差)は上述したようにユー
ザ設計領域150,170内で個別に施すクロックスキ
ュー最小化によって抑えられている。
【0019】本願発明ではクロックパルスMin(15
0)とMin(170)との差であるユーザ設計領域間に
おけるクロックパルスの遅延時間のずれtS 160を抑
えることを目的としている。このため、図4のような場
合、ユーザ設計領域170へ供給されるクロックパルス
CLKlをユーザ設計領域150へ供給されるものより
時間tS 160だけ相対的に遅延させれば、集積回路全
体での遅延時間のずれtS 180を最小化することが出
来る。
【0020】なお、図4の説明では遅延時間のずれtS
150とtS 170がほぼ等しいとして説明した。しか
しながら、正確には設計領域間のクロックパルスの遅延
時間のずれは各ユーザ設計領域における最小遅延クロッ
クパルスと最大遅延クロックパルスとの中間値を基準と
して算出するのが望ましい。このような設定にすれば集
積回路全体としての遅延時間のずれは、ユーザ設計領域
内における遅延時間のずれの最大値と等しいものとな
る。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、クロックパルスの入力端子に接続される入力バッフ
ァと、それが供給される各ユーザ設計領域内のバッファ
回路との間に遅延調整回路を設けることにより、クロッ
クパルスの遅延時間制御を可能とし、クロック供給回路
が複数ユーザ設計領域に分割された場合においても集積
回路全体で遅延時間差のないクロックパルスを供給する
ことが可能となる。
【0022】また、各設計領域に対し個別にクロックス
キューの最小化を施すことにより、必要最小限のクロッ
ク配線により集積回路全体のクロックスキュー最小化を
実現することが出来る。これに伴い、クロック配線の負
荷を軽減することが出来、高速なクロックパルスを論理
回路に供給することが可能となる。また、同様の理由で
配線容易度の向上を図ることが可能となり、このことは
チップサイズの縮小につながる。
【0023】さらに、この発明によれば、レイアウト設
計終了後に配置、配線形状を変えることなくクロックパ
ルスの遅延時間差の調整が可能となり、レイアウト設計
期間の増加なしに遅延時間の調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のセミカスタムLSIを示す
【図2】遅延調整回路を示す図
【図3】セミカスタムLSIの設計フロー図
【図4】設計領域間のクロックパルスの遅延を示す図
【符号の説明】
130,150,170 ユーザ設計領域 159,179 論理回路 151,171 バッファ回路 152,172 遅延調整回路 201,203,205 遅延素子

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユーザーが設計する複数の論理回路及び
    これら論理回路に供給するクロック信号入力用の入力端
    子を有し、前記複数の論理回路に供給されるクロック信
    号間のスキューが小さくなるよう配線された複数のユー
    ザー設計領域と、 このユーザー設計領域に前記クロック信号を供給するク
    ロック供給源と、 このクロック供給源と前記複数のユーザー設計領域との
    間に設けられ、前記複数のユーザー設計領域に供給され
    るクロック信号間のスキューを調整するため、ユーザー
    設計領域内で発生するクロック信号の最小遅延及び最大
    遅延をシュミレートし、このシュミレート結果に基づい
    同一の大きさのトランジスタが準備された遅延調整回
    路領域においてトランジスタの接続を選定することによ
    り遅延時間を調整できる遅延回路とを有するクロック供
    給回路。
  2. 【請求項2】 前記遅延回路は、シュミレートされたユ
    ーザー設計領域内でのクロック信号の最小遅延及び最大
    遅延の中間値を計算し、この中間値を基準にしてユーザ
    ー設計領域のクロック信号間のスキューを最小化させる
    請求項1記載のクロック供給回路。
  3. 【請求項3】 前記遅延回路は、前記同一の大きさのト
    ランジスタで構成される遅延素子を並列に複数個接続し
    た請求項1記載のクロック供給回路。
  4. 【請求項4】 前記遅延回路は、前記同一の大きさのト
    ランジスタで構成される遅延素子に、前記同一の大きさ
    のトランジスタで構成される負荷を加えた請求項1記載
    のクロック供給回路。
  5. 【請求項5】 遅延時間の調整可能な遅延回路用の同一
    の大きさのトランジスタ群をクロック供給源と複数のユ
    ーザ設計領域との間に準備する工程と、前記複数のユーザー設計領域内での論理回路間のクロッ
    クスキューが最小になるよう設計する工程と、 このクロックスキューが最小になるよう設計されたユー
    ザー設計領域間におけるクロック信号の最小遅延及び最
    大遅延をシュミレートする工程と、 このシュミレート結果に基づき、前記遅延回路用の同一
    の大きさのトランジスタ群を配線して遅延素子を形成
    し、この遅延素子の接続を選択することにより前記遅延
    回路の遅延時間を調整する工程と、 この調整された遅延回路を前記クロック供給源と前記複
    数のユーザー設計領域との間に接続し、前記複数のユー
    ザー設計領域に供給されるクロック信号間のスキューを
    小さくする工程とを有するクロックスキュー調整方法。
  6. 【請求項6】 前記遅延時間を調整する工程は、シュミ
    レートされたユーザー設計領域内でのクロック信号の最
    小遅延及び最大遅延の中間値を計算し、この中間値を基
    準にしてユーザー設計領域のクロック信号間のスキュー
    を最小化させる工程を含む請求項5記載のクロックスキ
    ュー調整方法。
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