JP4036550B2 - 感放射線性ポリエステル樹脂及びそれを用いるネガ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感放射線性ポリエステル樹脂及び、特にフレキシブルプリント配線基板用レジストに有用な組成物並びにその硬化物に関する。更に詳しくは、フレキシブルプリント配線基板製造の際のソルダーレジスト、メッキレジスト及び層間絶縁膜等に使用でき、光に対する感度が高く、希アルカリ水溶液で現像が可能であり、その硬化物は、密着性、耐薬品性、耐金メッキ性、耐熱性等に優れたレジストインキに適した組成物、その硬化物及びそれを用いたプリント配線基板に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、省資源、省エネルギー、作業性向上、生産性向上などの理由により各種分野において紫外線硬化型組成物が多用されてきている。プリント配線基板加工分野においても同様の理由によりソルダーレジストインキ、マーキングインキ等種々のインキが従来の熱硬化型組成物から紫外線硬化型組成物へと移行している。例えば、特公昭56−40329号公報には、エポキシ樹脂の光重合性α,β−不飽和カルボン酸付加生成物と二塩基性カルボン酸無水物との反応生成物、光重合性単量体及び光重合開始剤を含有する硬化性感光材料が記載されている。また、カラーフィルター分野において特開平9−325494号広報には、重合性不飽和基を有するジオール化合物と酸二無水物とを反応させて得られたカルボキシ基含有交互共重合体が提案されている。また、特開平9−325493号公報には、重合性不飽和基を有するジオール化合物と酸二無水物とを反応させて得られたカルボキシ基含有交互共重合体の末端水酸基にジイソシアネート化合物を反応させ、可撓性(フレキシブル性)を持たせた樹脂が提案されている。
【0003】
これまで、フレキシブルプリント配線基板といわれているポリイミド基板に用いるソルダーレジストは、カバーレイフィルムと呼ばれるポリイミドフィルムをパターンに合わせた金型を作製し、打ち抜いた後接着剤を用いて貼り付けるタイプや、可撓性を持たせた紫外線硬化型又は熱硬化型のソルダーレジストインキをスクリーン印刷法により塗布するタイプのものであった。一方リッジド(硬質)基板と呼ばれる一般のプリント配線基板は、エレクトロニクスの進歩に伴う高密度化実現のため、ソルダーレジストに対しても高精度、高解像性の要求が高まってきている。従来のスクリーン印刷法では、パターン精度が得られないため、液状フォトレジスト法が提案され、現在50%以上導入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フレキシブルプリント配線基板の分野でも高密度化が近年要求されているが、従来の液状フォトソルダーレジストではパターン精度は得られるものの塗膜が硬くポリイミドとの接着性が悪いため、十分な可撓性や耐折性が得られず、又可撓性はある程度得られるものの作業性が悪く耐薬品性、耐熱性が不十分であり問題が有る。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の課題を解決するため鋭意研究の結果、特定のポリエステル樹脂を使用することによって、希アルカリ水溶液での現像が可能であり、その硬化皮膜も可撓性、耐折性、密着性、耐薬品性、耐熱性等に優れたフレキシブルプリント配線基板用レジストインキ組成物を見出した。すなわち本発明は、
(1) 2つの芳香族グリシジルエーテルが直接もしくは結合鎖を介して結合しているエポキシ化合物(a)と分子中に不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)との反応物(I)と下記式(1)
【0006】
【化5】
【0007】
(式中Xはグリコール残基である。)
で示されるカルボン酸無水物(c)との反応物である感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(2) エポキシ化合物(a)における結合鎖が置換基を有していても良いメチレン基、スルホニル基またはカルボニル基である(1)に記載の感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(3) エポキシ化合物(a)がビスフェノール型エポキシ化合物である(1)に記載の感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(4) ビスフェノール型エポキシ化合物が、下記式(2)
【0008】
【化6】
【0009】
(式中R1,R2,R3R4は、それぞれ、水素原子、C1〜C4のアルキル基、もしくはハロゲン原子を示し、Yは、置換基を有していても良いメチレン基、スルホニル基またはカルボニル基を示す。)
で表される化合物である(2)に記載の感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(5)エポキシ化合物(a)がビフェニルジグリシジルエーテル化合物である(1)に記載の感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(6)ビフェニルジグリシジルエーテル化合物が、下記式(3)
【0010】
【化7】
【0011】
(式中R5,R6,R7,R8は、それぞれ、水素原子、C1〜C4アルキル基、もしくは、ハロゲン原子を示す。)
で表される化合物である(5)に記載の感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(7)分子中に不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物及び桂皮酸の中から選ばれた少なくとも一種類のモノカルボン酸である(1)ないし(6)のいずれか一項に記載の感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(8) 式(1)におけるXが、下記式(4)
【0012】
【化8】
【0013】
(式中Rは水素原子またはメチル基であり、nが0または1である。)
で表されるグリコール残基である(1)ないし(7)のいずれか一項に記載の感放射線性ポリエステル樹脂(A)。
(9) (1)ないし(8)のいずれか一項に記載のアルカリ可溶性ポリエステル樹脂(A)、光重合開始剤(B)、希釈剤(C)、及び硬化成分(D)を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物。
(10) (9)に記載の組成物の硬化物。
(11) (10)に記載の硬化物の層を有するプリント基板。
を提供することにある。
【0014】
本発明の感放射線性ポリエステル樹脂(A)は、2つの芳香族グリシジルエーテルが直接もしくは結合鎖を介して結合しているエポキシ化合物(a)と分子中に不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)との反応物(I)と上記一般式(1)で示されるカルボン酸無水物(c)との反応物である。感放射線性とは、電子線、紫外線等のエネルギー線の照射により、重合開始剤の存在下若しくは不存在下に重合硬化する性質のことである。エポキシ化合物(a)における結合鎖としては、例えば置換基を有していても良いメチレン基、スルホニル基、カルボニル基等があげられる。置換基を有していても良いメチレン基における置換基としては、例えばメチル基、エチル基等のC1〜C4のアルキル基、トリフルオロメチル基等のトリハロゲノメチル基等が挙げられ、具体的にはイソプロピリデン基、(1,1,1,3,3,3)ヘキサフルオロイソプロピリデン基等が挙げられる。
【0015】
エポキシ化合物(a)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、ビフェニルジグリシジルエーテル化合物等を挙げることができる。ビスフェノール型エポキシ化合物は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンおよび/またはメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られる化合物で、例えば上記一般式(2)で表される化合物があげられる。市販品としては、例えばエピコート828(油化シェルエポキシ(株)製)、YD−8125、YDF−8170C(いずれも東都化成(株)製)等が挙げられる。
【0016】
上記一般式(2)のR1,R2,R3,R4において、C1〜C4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。上記一般式(2)のYとしては、例えば上記の結合鎖と同一のものがあげられる。上記一般式(2)のベンゼン環上の置換基の位置は、Yの結合位置を1位とすると、R1,R2及びR3,R4の置換位置が、それぞれ3位と5位、グリシジルエーテル基が4位であることが好ましい。
【0017】
ビスフェノール型エポキシ化合物製造に使用するビスフェノール類としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)等があげられる。
【0018】
また、ビフェニルジグリシジルエーテル化合物は、ビフェニル化合物類とエピクロルヒドリンおよび/またはメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られる化合物で、例えば上記一般式(3)で表される化合物があげられる。上記一般式(3)のR5,R6,R7,R8において、C1〜C4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。R5,R6及び,R7,R8置換位置は、グリシジルエーテル基の結合位置を4位として、それぞれ3位と5位が好ましい。市販品としては、油化シェルエポキシ(株)製のYX−4000等が挙げられる。ビフェニルジグリシジルエーテル化合物製造に使用するビフェニル化合物類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラブロモ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等があげられる。
【0019】
本発明に用いられる分子中に不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)としては、例えばアクリル系モノカルボン酸、桂皮酸類、及びこれらの化合物とカプロラクトンを常法により開環付加させることにより得られる化合物等が挙げられる。アクリル系モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと多塩基酸無水物との半エステル類、グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の反応物と多塩基酸無水物との半エステル類等が挙げられる。半エステル類を製造するための多塩基酸無水物としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いられるカルボン酸無水物(c)は、例えば上記一般式(1)で示される。式中のXは例えば、グリコール残基であり、上記式(4)で示される。このカルボン酸無水物(c)としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール系ジオール類と無水トリメリット酸との縮合物が挙げられる。市販品としては例えば,新日本理化(株)製のTMEG−100、TMEG−200、TMEG−300、TMEG−500、TMTA−C等が挙げられる。
【0021】
前記、エポキシ化合物(a)と一分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)から反応物(I)を得る方法は、エポキシ化合物(a)のエポキシ基1当量に対して、一分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)を好ましくは、0.6〜1.3当量、特に好ましくは、0.8〜1.1当量使用する。反応時には、後述の希釈剤(C)を使用することもできる。また反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して0.1〜10重量%である。反応中の熱重合を防止するために、熱重合禁止剤を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは0.01〜1重量%である。その際の反応温度は60〜150℃であり、また反応時間は、好ましくは5〜60時間である。この反応で使用する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等があげられる。また、熱重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、第三ブチルカテコール、ピロガロール等があげられる。
【0022】
次に、反応物(I)とカルボン酸無水物(c)から本発明の感放射線性ポリエステル樹脂(A)を得る方法としては、反応物(I)1当量当り、カルボン酸無水物(c)を0.3〜1.7当量、好ましくは0.5〜1.5当量使用する。この仕込み比は、生成するポリエステルの分子量及び、酸価に影響する。理論的な取り扱いは、化学同人社発行の「改訂 高分子合成の化学:大津隆行著」、重縮合反応の項に詳細に書かれている。反応時には、後述の希釈剤(C)を使用することができる。また反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して0.1〜10重量%である。反応中の熱重合を防止するために、例えば上記のような熱重合禁止剤を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは0.01〜1重量%である。その際の反応温度は60〜150℃であり、また反応時間は、好ましくは5〜60時間である。この反応で使用する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリフェニルフォスフィン等があげられる。
【0023】
本発明で使用する光重合開始剤(B)としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p,p−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アントラキノン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの光重合開始剤(B)は、単独でまた2種以上を組み合わせて使用することができる。そ使用量は組成物中、0.1〜30重量%が好ましく、特に好ましくは、1〜20重量%である。
【0024】
また更に、光重合開始剤(B)は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ペンチルエステル等の三級アミノ化合物のような増感剤を組み合わせて用いることができる。
【0025】
本発明では希釈剤(C)を使用する。希釈剤(C)としては、光重合性を有しない希釈剤(C−1)や光重合性反応性希釈剤(C−2)等を挙げることができる。光重合性を有しない希釈剤(C−1)としては、例えばエチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤類が挙げられる。
【0026】
また、光重合性反応性希釈剤(C−2)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモノホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等のアクリレート類等を挙げることができる。希釈剤(C−1)及び(C−2)は、単独あるいは混合して使用することができる。
【0027】
前述の希釈剤(C)の使用目的は、希釈剤(C−1)の場合、感放射線性ポリエステル樹脂(A)成分を希釈溶解せしめ液状として塗布し、次いで乾燥させることにより造膜させることであり、希釈剤(C−2)の場合、感放射線性ポリエステル樹脂(A)を希釈し塗布しやすい性状とするとともに、光硬化性を増強するためである。希釈剤(C)の使用量は、塗布方法にもよるが組成物中、5〜80重量%が好ましい。
【0028】
本発明で使用する硬化成分(D)としては、不飽和基を有しないものでそれ自身が熱や紫外線等により硬化するものや、本発明の組成物中の主成分である(A)成分の残存水酸基やカルボキシル基等と熱や紫外線等で反応するものでもよい。具体的には、例えば1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、メラミン誘導体(例えば、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン、縮合ヘキサメトキシメラミン等)、尿素化合物(例えば、ジメチロール尿素等)、ビスフェノールA系化合物(例えば、テトラメチロール・ビスフェノールA等)、オキサゾリン化合物等を挙げることができる。
【0029】
1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂や次のエポキシ化合物があげられる。即ち、EPPN−201、EOCN−103、EOCN−1020、BREN(いずれも日本化薬(株)製)等のノボラック型エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンN−880等のビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、YL−931、YL−933(いずれも油化シェル(株)製)等のアミノ基含有エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンTSR−601、エー・シー・アール(株)製のR−1415−1等のゴム変性エポキシ樹脂、日本化薬(株)製のEBPS−200、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンEXA−1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、日本油脂(株)製のプレンマーDGT等のジグリシジルテレフタレート、日産化学(株)製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレート、油化シェル(株)製のYX−4000等のビフェニル型エポキシ樹脂、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021等の脂環式エポキシ樹脂等。
【0030】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば次のエポキシ化合物があげられる。即ち、油化シェル(株)製:エピコート1009、1031(いずれも油化シェル(株)製)、エピクロンN−3050、N−7050(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)、DER−642U、DER−673MF(いずれもダウケミカル(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ST−2004、ST−2007(いずれも東都化成(株)製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YDF−2004、YDF−2007(いずれも東都化成(株)製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、坂本薬品工業(株)製:SR−BBS、SR−TBA−400(いずれも坂本薬品工業(株)製)、YDB−600、YDB−715(いずれも東都化成(株)製)等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェル(株)製のYL−6056等。
【0031】
前記の硬化成分(D)は、単独または2種以上の混合物として用いられ、本発明の組成物に含まれる硬化成分(D)の量は組成物中、1〜50重量%が好ましく、特に好ましくは3〜45重量%である。またこれらの使用目的は、密着性、耐熱性、耐メッキ性等のソルダーレジストとしての諸特性を向上させるものである。
【0032】
前記硬化成分(D)の中でエポキシ化合物を使用する場合には、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性により一層向上するためにエポキシ樹脂硬化(促進)剤を併用することが特に好ましい。エポキシ樹脂硬化(促進)剤の使用量は、前記エポキシ化合物100重量部に対して、0.01〜25重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜15重量部である。
【0033】
このようなエポキシ樹脂硬化(促進)剤としては、例えばイミダゾール誘導体、グアナミン類、ポリアミン類と有機酸との塩、該ポリアミン類のエポキシアダクト、該ポリアミン類と三フッ化ホウ素との錯体、トリアジン誘導体、三級アミン類、ポリフェノール類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩類、4級アンモニウム塩類、多塩基酸無水物、光カチオン重合触媒、スチレン−無水マレイン酸樹脂、フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンとの当量反応物等が挙げられる。これらの硬化(促進)剤類は単独または2種以上混合して用いる。
【0034】
イミダゾール誘導体としては、例えば2MZ、2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ、1B2MZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、C11Z−CN、2PZ−CN、2PHZ−CN、2MZ−CNS、2E4MZ−CNS、2PZ−CNS、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11Z−AZINE、2MA−OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZ(いずれも四国化成工業(株)製)、等があげられる。グアナミン類としては、例えばアセトグアナミン、ベンゾグアナミン等があげられる。 ポリアミン類と有機酸との塩、該ポリアミン類のエポキシアダクト、該ポリアミン類と三フッ化ホウ素との錯体におけるポリアミン類としては、例えばジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等があげられる。トリアジン誘導体としては、例えばエチルジアミノ−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−s−トリアジン等があげられる。
【0035】
三級アミン類としては、例えばトリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等があげられる。ポリフェノール類としては、例えばポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等があげられる。有機ホスフィン類としては、例えばトリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等があげられる。
【0036】
ホスホニウム塩類としては、例えばトリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等があげられる。4級アンモニウム塩類としては、例えばベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等があげられる。多塩基酸無水物としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。光カチオン重合触媒としては、例えばジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、チバ・ガイギー社製のイルガキュアー261、旭電化(株)製のオプトマーSP−170等があげられる。
【0037】
本発明の組成物は、更に、塗布適性、耐熱性、密着性、硬度等の特性を向上する目的で、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、テフロン粉等の充填剤が使用できる。その使用量は、本発明の組成物中の60重量%以下が好ましく、特に好ましくは5〜40重量%である。
【0038】
更に、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/または、レベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような添加剤類を用いることができる。
【0039】
また、本発明の組成物における引火性の低下のために水を添加することもできる。水を添加する場合には、(A)成分のカルボキシル基をトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド,N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート化合物で造塩することにより、(A)成分を水に溶解するようにすることが好ましい。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)及び(D)成分、又、必要に応じて無機充填剤、その他前記の配合成分を、好ましくは前記の割合で配合し、ロールミル等で均一に混合、溶解、分散等することにより得られる。この本発明の樹脂組成物は通常液状であるが、ドライフィルムとしてもよい。
【0041】
ドライフィルムを製造するには、例えばベースフィルム(離型フィルム)上にロールコーターやドクターバー、ワイヤーバー方式、ディッピング方式、スピンコート方式、クラビア方式及びドクターブレート方式等を用いて上記の本発明の樹脂組成物を塗布した後、60〜100℃に設定した乾燥炉で乾燥し、所定量の溶剤を除去することにより、又必要に応じて離型フィルム等を張り付けることにより得ることができる。この際、ベースフィルム上のレジストの厚さは、5〜160μm、好ましくは10〜60μmに調製される。上記、ベースフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等のフィルムが好適に使用される。
【0042】
本発明の樹脂組成物は、レジストインキ、特にフレキシブルプリント配線板用のレジストインキとして有用である他、塗料、コーティング剤、接着剤等としても使用できる。
【0043】
本発明の硬化物は、紫外線等の放射線照射により上記の本発明の樹脂組成物を硬化させたものである。紫外線等の放射線照射による硬化は常法により行うことができる。紫外線を照射する場合、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レーザー(例えばエキシマーレーザー)等の紫外線発生機を用いればよい。本発明の樹脂組成物の硬化物は、柔軟性を有しており、例えば永久レジストとしてスルホールを有するフレキシブルプリント配線板のような電気・電子部品に利用される。
【0044】
本発明のプリント基板は、上記の樹脂組成物の硬化物層を有する。この硬化物層の膜厚は5〜160μm程度で、10〜60μm程度が好ましい。上記の樹脂組成物の硬化物層の特徴である柔軟性を十分に利用する観点から、プリント基板としてはフレキシブルプリント配線板が好ましい。このフレキシブルプリント配線板は、例えば次のようにして得ることができる。即ち、液状の樹脂組成物を使用する場合、フレキシブルプリント配線板用基板に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により5〜160μmの膜厚で本発明の組成物を塗布し、塗膜を60〜110℃で乾燥後、ネガフィルムを塗膜に直接に接触させ(又は接触しない状態で塗膜の上に置く)、紫外線を照射し、未露光部分を後述する希アルカリ水溶液を用いて、例えばスプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等により現像する。その後、必要に応じて紫外線を照射し、次いで100〜200℃で加熱処理をすることにより諸特性を満足する永久保護膜を有するフレキシブルプリント配線板が得られる。
【0045】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム,炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム,メタケイ酸ナトリウム,メタケイ酸カリウムのような無機塩の水溶液や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのような有機アミン水溶液,テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、その温度は、15〜45℃の間で任意に調節することができる。この現像液中に界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
【0046】
本発明のフレキシブルプリント配線板を、ドライフィルムを用いて製造する場合は、例えば離型フィルムをはがした上記のドライフィルムを上記のフレキシブルプリント配線板用基板に転写し、上記と同様に露光、現像、加熱処理をすればよい。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例により更に具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0048】
感放射線性ポリエステル樹脂(A)の合成
(合成例1)
1Lフラスコ中に、2つの芳香族グリシジルエーテルが、直接もしくは結合鎖を介して結合しているエポキシ化合物(a)として、エピコート828(商品名:油化シェルエポキシ(株)製 ビスフェノール−A型エポキシ樹脂 エポキシ当量186.3g/eq.)を573.5g、一分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)としてアクリル酸を226.4g、熱重合禁止剤としてメチルハイドロキノンを0.4g、触媒としてトリフェニルフォスフィン2.4gを仕込み、98℃の温度で24時間反応させ、反応物(I)を得た。
【0049】
次に、1Lフラスコ中に、ここで得られた反応物を332.4g、カルボン酸無水物(c)として、TMEG−200(商品名:新日本理化(株)製 エチレングリコール−ビス(アンハイドロトリメリテート))を187.6g、希釈剤(C)として、カルビトールアセテートを280.0g、熱重合禁止剤として、メチルハイドロキノンを0.4g仕込み、95℃の温度で12時間反応させ、本発明の感放射線製ポリエステル樹脂を得た。酸価を測定したところ、65mgKOH/g(固形分換算酸価:100mgKOH/g)であった。この樹脂溶液をA−1とする。
【0050】
(合成例2)
1Lフラスコ中に、希釈剤(C)として、カルビトールアセテートを120g、2つの芳香族グリシジルエーテルが、直接もしくは結合鎖を介して結合しているエポキシ化合物(a)として、YX−4000(商品名:油化シェルエポキシ(株)製 ビフェニル型エポキシ樹脂 エポキシ当量185.0g/eq.)を343.4g、一分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)としてアクリル酸を136.6g、熱重合禁止剤としてメチルハイドロキノンを0.3g、触媒としてトリフェニルフォスフィン1.83gを仕込み、98℃の温度で24時間反応させ、反応物(I)を得た。
【0051】
次に、1Lフラスコ中に、ここで得られた反応物を366.2g、カルボン酸無水物(c)として、TMEG−200(商品名:新日本理化(株)製 エチレングリコール−ビス(アンハイドロトリメリテート))を161.9g、希釈剤(C)として、カルビトールアセテートを171.8g、熱重合禁止剤として、メチルハイドロキノンを0.35g仕込み、95℃の温度で12時間反応させ、本発明の感放射線製ポリエステル樹脂を得た。酸価を測定したところ、63mgKOH/g(固形分換算酸価:97mgKOH/g)であった。この樹脂溶液をA−2とする。
【0052】
(合成例3)
1Lフラスコ中に、2つの芳香族グリシジルエーテルが、直接もしくは結合鎖を介して結合しているエポキシ化合物(a)として、YDF−8170C(商品名:東都化成(株)製 ビスフェノール−F型エポキシ樹脂 エポキシ当量159.1g/eq.)を342.2g、一分子中に少なくとも1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)としてアクリル酸を158.1g、熱重合禁止剤としてメチルハイドロキノンを0.3g、触媒としてトリフェニルフォスフィン1.5gを仕込み、98℃の温度で24時間反応させ、反応物(I)を得た。
【0053】
次に、1Lフラスコ中に、ここで得られた反応物を162.6g、カルボン酸無水物(c)として、TMEG−200(商品名:新日本理化(株)製 エチレングリコール−ビス(アンハイドロトリメリテート))を97.4g、希釈剤(C)として、カルビトールアセテートを140g、熱重合禁止剤として、メチルハイドロキノンを0.2g仕込み、95℃の温度で12時間反応させ、本発明の感放射線製ポリエステル樹脂を得た。酸価を測定したところ、70mgKOH/g(固形分換算酸価:108mgKOH/g)であった。この樹脂溶液をA−3とする。
【0054】
実施例1、参考例1、2、比較例1
表1に示す配合組成(数値は重量部である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルで混練し、本発明のネガ型レジスト組成物を調製した。これをスクリーン印刷法により、100メッシュのスクリーンを用いて15〜25μmの厚さになるようにパターン形成されている銅張ポリイミドフイルム基板(銅厚/12μm・ポリイミドフィルム厚/25μm)に全面塗布し、塗膜を70℃の熱風乾燥器で30分乾燥させる。次いで、レジストパターンを有するネガフイルムを塗膜に密着させ紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用いて、紫外線を照射した(露光量500mJ/cm2 )。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、1.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、未露光部分を溶解除去した。得られたものについて、後述のとおり現像性および光感度の評価を行った。その後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、得られた硬化膜を有する試験片について、後述のとおり密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐屈性、耐折性の試験を行なった。それらの結果を表2に示す。なお、試験方法及び評価方法は次のとおりである。
【0055】
(現像性)下記の評価基準を使用した。
○・・・・現像時、完全にインキが除去され、現像できた。
△・・・・現像時、わずかに残渣のあるもの。
×・・・・現像時、現像されない部分がある。
【0056】
(光感度)乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(コダック社製)を密着させ積算光量500mJ/cm2 の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、1.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認する。下記の基準を使用した。
○・・・・9段以上
△・・・・6〜8段
×・・・・5段以下
【0057】
(密着性)JIS K5400に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作りセロテープによりピーリング試験を行った。ごばん目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
〇・・・・100/100で剥れのないもの
△・・・・50/100〜99/100
×・・・・0/100〜49/100
【0058】
(鉛筆硬度)JIS K5400に準じて評価を行った。
【0059】
(耐溶剤性)試験片をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0060】
(耐酸性)試験片を10%塩酸水溶液に室温で30分浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0061】
(耐熱性)試験片にロジン系プラックスを塗布し260℃の半田槽に5秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
〇・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0062】
(耐屈曲性)JIS K5400に準じて行った。試験片を用いて、心棒の直径は2mmとし、クラック発生の有無を観察した。
【0063】
(耐折性)JIS K5016に準じて行った。折り曲げ面の曲率半径は0.38mmとし、クラックが入るまでの折り曲げ回数を測定した。
【0064】
【表1】
表1
参考例 実施例 参考例 比較例
注 1 1 2 1
ポリエステル(A)
A−1 45.8
A−2 45.8
A−3 45.8
ポリカルボン酸樹脂
CCR *1 45.8
光重合開始剤(B)
イルガキュアー907 *2 4.3 4.3 4.3 4.3
DETX−S *3 0.4 0.4 0.4 0.4
希釈剤(C)
DPHA *4 8.6 4.3 8.6
TMPTA *5 4.3 8.6
カルビトールアセテート 0.5 0.5 0.5 0.5
ソルベントナフサ 13.5 13.5 13.5 13.5
硬化成分(D)
TEPIC−S *6 4.3 8.6 4.3
YX−4000 *7 4.3 8.6 4.3
硬化促進剤
メラミン 1.3 1.3 1.3 1.3
添加剤
BYK−354 *8 0.8 0.8 0.8 0.8
BYK−057 *9 0.8 0.8 0.8 0.8
フィラー
硫酸バリウム 8.6 8.6 8.6 8.6
シリカ 5.2 5.2 5.2 5.2
タルク 0.9 0.9 0.9 0.9
フタロシアニングリーン 0.7 0.7 0.7 0.7
【0065】
注
*1 日本化薬製クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂(固形分酸価100mgKOH/g):EOCN−103(日本化薬製エポキシ樹脂)にアクリル酸を反応させ、更に無水こはく酸を付加させて得られた樹脂
*2 チバガイギー製:2−メチル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパン
*3 日本化薬製 :2,4−ジエチルチオキサントン
*4 日本化薬製 :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*5 日本化薬製 :トリメチロールプロパントリアクリレート
*6 日産化学工業製:トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート
*7 油化シェル製 :3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’− ジ(2,3−エポキシプロピルオキシ)ビフェニル
*8 ビックケミー製:レベリング剤
*9 ビックケミー製:消泡剤
【0066】
【表2】
表2
参考例 実施例 参考例 比較例
注 1 1 2 1
評価項目
現像性 ○ ○ ○ ○
光感度 ○ ○ ○ ○
密着性 ○ ○ ○ ○
鉛筆硬度 7H 6H 6H 8H
耐屈曲性(クラックの有無) 無 無 無 有
耐折性(回数) 1000以上 1000以上 1000以上 1
耐溶剤性 ○ ○ ○ ○
耐酸性 ○ ○ ○ ○
耐熱性 ○ ○ ○ ○
【0067】
表2の結果から明らかなように、本発明の感放射線性ポリエステル樹脂(A)を使用したレジストインキ組成物は、現像性、感光性に優れ、その硬化物は、耐屈曲性、耐折性、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性等に優れ、特に耐屈曲性、耐折性に優れている。
【0068】
【発明の効果】
本発明の感放射線性ポリエステル樹脂(A)を使用したレジストインキ組成物は、パターンを形成したフイルムを通した選択的に紫外線により露光し、未露光部分を現像することによるソルダーレジストパターンの形成において、現像性、光感度に優れ、得られた硬化物が耐屈曲性、耐折性に優れ、密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性等も十分に満足するものであり、特に、フレキシブルプリント配線板用液状ソルダーレジストインキ組成物に適している。
Claims (5)
- 下記式(3)
- 分子中に不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、及び桂皮酸の中から選ばれた少なくとも一種類のモノカルボン酸である請求項1に記載のネガ型レジスト組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組成物の硬化物。
- 請求項4に記載の硬化物の層を有するプリント基板。
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