JP4036137B2 - 改良されたメタクリル酸およびメタクリル酸エステルの製造法 - Google Patents
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Description
本発明は一般に、メタクリル酸(「MAA」)およびメタクリレートエステル、たとえば、メチルメタクリレート(「MMA」)の改良された高収率の製造法に関する。より詳細には、好ましい態様によると、本発明はすなわち少なくとも95%の純度の実質的に純粋なMAAの高収率な製造のための改良された方法に関する。
【0002】
メタクリル酸(「MAA」)およびメタクリレートエステル、たとえば、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートは広範囲の用途において用いられる。典型的な最終用途としては:アクリル系プラスチックシート;成形用樹脂;ポリ塩化ビニル改質剤;加工助剤;アクリル系ラッカー;床磨き剤;シーラント;オートトランスミッション液;クランクケースオイル改質剤;自動車コーティング;イオン交換樹脂;セメント改質剤;水処理ポリマー;電子用接着剤;金属コーティングおよびアクリル繊維が挙げられる。MAAおよびメタクリレートエステルは、これらが用いられている生成物に付与する硬度のためにこれらの用途および他の用途において特に貴重である。これらはさらに、ある種の生成物において用いられる場合、化学安定性および光安定性、ならびに紫外線耐性を向上させる。従って、MAAおよびメタクリレートエステルは、優れた透明度、強度および耐候性を有する樹脂を要求する用途において用いられることが多い。MAAおよびメタクリレートエステル市場は、非常にコストに敏感であり、従ってプロセス収率における改良はわずかであっても、有意なコスト節減につながり得る。
【0003】
様々なC4ベースのフィードストックをはじめとする他のフィードストックを用いることができるが、MAAおよびメタクリレートエステルの最も一般的なフィードストックはアセトンシアノヒドリン(「ACH」)である。
【0004】
公知MAAプロセスおよびメタクリレートエステルプロセスは反応および精製工程が非常に異なるが、これらは初期加工および有価物回収操作は類似している。たとえば、初期加工工程である加水分解およびクラッキング反応は実質的に類似している。アルカノールを用いたエステル化工程はメタクリレートエステル反応および精製操作に含まれているが、MAAの反応および精製においては必要のない工程である。
【0005】
通常、MAAおよびメタクリレートエステルがどちらも同じ設備で製造される場合、二つのプロセス間でクロスオーバーまたは「統合(integration)」のない分離した製造装置が必要とされる(初期加工から精製まで)。独立した製造装置ラインに加えて、通常、該製造ラインを運転するために別の操作員が従事する。かくして、各化合物の独立した製造の結果、運転費、資本費用、および製造費が高くなる。従って、MAAとメタクリレートエステル製造トレイン間の適当な工程を組み合わせるかまたは「統合」して、両生成物をより経済的に製造できるプロセスが必要とされている。
【0006】
さらに、広範囲に用いられる、MAAおよびメタクリレートエステルを製造するACH法は、いくつかの欠点を有する。たとえば、この方法は多量の廃棄硫酸および重硫酸アンモニウムを生じ;これらの副生成物の処理は製造費を増大させる。もう一つの欠点は、最終粗MAA生成物流れは、15%もの望ましくない不純物、たとえば、水、酢酸、アクリル酸、アセトン、メタクリルアミド(MAM)、およびα−ヒドロキシイソ酪酸(HIBA)を含み、これらは下流プロセスにおいて問題である。これらの望ましくない副生成物は、プロセスの加水分解、クラッキング、および/または反応工程において形成され、下流装置において相互作用し得るポリマー固体を形成し、その結果、装置のよごれ、追加の動作不能時間および関連するクリーンアップコストが生じる。これまで公知の方法は、これらの不純物を粗MAA流れから有効に除去することができず、所望の実質的に純粋なMAAを有効に製造することができなかった。
【0007】
従って、統合された加工工程を用いて、両プロセスが最大の経済効率に達するようなMAAおよびメタクリレートエステルを効率的に製造する方法が必要とされている。5%以下の不純物を有する実質的に純粋なMAAをACHから経済的かつ効率的に製造することも必要とされている。
【0008】
本発明は、統合された加水分解トレイン、統合されたクラッキングトレイン、またはその組み合わせを含む統合された加工工程を用いてMAAおよびメタクリレートエステルを製造する方法を提供することにより、従来法に内在する問題を解決する。本発明の一態様において、MAAプロセスおよびメタクリレートエステルプロセスのさらなる態様も統合される。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、粗メタクリル酸流れから、5%以下の不純物を有する実質的に純粋なMAAを製造する方法および装置を提供することである。
【0010】
従って、メタクリル酸およびそのエステルの調製法であって:
(i)連続的に、アセトンシアノヒドリンを含む第一の原料および硫酸、オレウムまたはその混合物を含む第二の原料を第一加水分解システム中に連続的に供給し;
(ii)アセトンシアノヒドリンを含む第三の原料および硫酸、オレウムまたはその混合物を含む第四の原料を第二加水分解システム中に連続的に供給し;
(iii)前記第一加水分解システムにおいて前記第一原料および前記第二原料を連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む第一加水分解生成物を形成し;
(iv)前記第二加水分解システムにおいて前記第三原料および前記第四原料を連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む第二加水分解生成物を形成し;
(v)前記第一加水分解生成物および前記第二加水分解生成物をクラッキングシステム中に連続的に供給し;
(vi)前記第一加水分解生成物および前記第二加水分解生成物を前記クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含むクラッキング生成物を形成し;
(vii)前記クラッキング生成物の第二の部分およびアルコールをエステル形成リアクターに連続的に供給している間に、前記クラッキング生成物の第一の部分および水を酸形成リアクターへ連続的に供給し;
(viii)前記クラッキング生成物の前記の第一の部分および前記水を前記酸形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸を含む酸形成生成物を形成し;
(ix)前記クラッキング生成物の前記の第二の部分および前記アルコールを前記エステル形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸のエステルを含むエステル形成生成物を形成することを含み;
前記クラッキングシステムが2以上のクラッキングリアクターを並列に含むならば、前記のクラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第一の部分および水を前記酸形成リアクターに連続的に供給し、前記のクラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第二の分およびアルコールを前記エステル形成リアクターに連続的に供給する方法が提供される。
【0011】
さらに、メタクリル酸およびそのエステルの調製法であって:
(i)アセトンシアノヒドリンを含む第一原料およびオレウムを含む第二原料を加水分解システム中に連続的に供給し;
(ii)前記第一原料および前記第二原料を前記加水分解システムにおいて連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む加水分解生成物を形成し;
(iii)前記加水分解生成物の第二の部分を第二クラッキングシステムに連続的に供給している間に、前記加水分解生成物の第一の部分を第一クラッキングシステムに連続的に供給し;
(iv)前記加水分解生成物の第一の部分を前記第一クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含む第一クラッキング生成物を形成し;
(v)前記加水分解生成物の第二の部分を前記第二クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含む第二のクラッキング生成物を形成し;
(vi)前記第一クラッキング生成物および水を酸形成リアクターに連続的に供給し;
(vii)前記第二のクラッキング生成物およびアルコールをエステル形成リアクターに連続的に供給し;
(viii)前記第一クラッキング生成物および前記水を前記酸形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸を含む酸形成生成物を形成し;
(ix)前記第二クラッキング生成物および前記アルコールを前記エステル形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸のエステルを含むエステル形成生成物を形成することを含む方法が提供される。
【0012】
さらに、メタクリル酸およびそのエステルの調製法であって:
(i)アセトンシアノヒドリンを含む第一原料および硫酸、オレウム、またはその混合物を含む第二原料を加水分解システム中に連続的に供給し;
(ii)前記第一原料および前記第二原料を前記加水分解システムにおいて連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む加水分解生成物を形成し;
(iii)前記加水分解生成物をクラッキングシステムに連続的に供給し;
(iv)前記加水分解生成物を前記クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含むクラッキング生成物を形成し;
(v)前記クラッキング生成物の第二の部分およびアルコールをエステル形成リアクターに連続的に供給している間に、前記クラッキング生成物の第一の部分および水を酸形成リアクターに連続的に供給し;
(vi)前記クラッキング生成物の第一の部分および前記水を前記酸形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸を含む酸形成生成物を形成し;
(vii)前記クラッキング生成物の第二の部分および前記アルコールを前記エステル形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸のエステルを含むエステル形成生成物を形成することを含み;
前記クラッキングシステムが2以上のクラッキングリアクターを並列に含むならば、前記クラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第一の部分および水は前記酸形成リアクターに連続的に供給され、前記クラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第二の部分およびアルコールは前記エステル形成リアクターに連続的に供給される方法が提供される。
【0013】
添付の図面と共に以下の記載を参照することにより、本発明の態様およびその利点をさらに完全に理解できる。図中、同じ参照番号は同じ機構を示す。
図1は、本発明のプロセスの全体像を提供するプロセス流れ図である。
図2は、加水分解およびクラッキングシステムが統合された本発明の一態様を示すプロセス流れ図である。
図3は、加水分解システムが統合された本発明の一態様を示すプロセス流れ図である。
図4は、クラッキングシステムが統合された本発明のもう一つの態様を示すプロセス流れ図である。
図5は、少なくとも95%の純度を有するメタクリル酸を製造するための本発明の方法の一態様を示す。
【0014】
図1は、10に示すように本発明のプロセスの全体像を一般に提供するプロセス流れ図である。MAAおよびメタクリレートエステルを製造するプロセスにおいて5の基本的な工程、すなわち、加水分解、クラッキング、反応、分離および精製がある。MAAプロセスのこれらの工程は、図1においてそれぞれ12、18、22、26、および30で示される。メタクリレートエステルについてのこれらの工程は、図1においてそれぞれ32、38、42、46、および50で示される。図1においてメタクリレートエステルトレインを一つだけメタクリル酸トレインと並べて示すが、複数のメタクリレートトレインが本発明により提供される方法において有利に用いられることは本発明の範囲に含まれる。たとえば、エチルメタクリレートトレインをメチルメタクリレートトレインとメタクリル酸トレインと共に用いることができる。
【0015】
MAAまたはメタクリレートエステルのいずれかをACHから製造する第一段階は、加水分解システムにおけるACHの加水分解を含み;MAAおよびメタクリレートエステルの両方の加水分解プロセスの一般的化学反応は非常に類似している。図1において12および32で示すのは、α−スルファトブチルアミド(「SIBAM」)およびα−ヒドロキシイソブチルアミド(「HIBAM」)を含む加水分解混合物を製造するための加水分解システムにおけるACHの加水分解である。ACHおよび過剰の硫酸が加水分解リアクター12に供給される。水および加水分解工程における他の不純物を低レベルで含むACHを使用するのが好ましい。硫酸は、反応の特定の反応物質および溶媒の両方の働きをする。95%より高い濃度の硫酸を用いることも好ましい。もう一つの具体例において、オレウムまたは硫酸とオレウムの組み合わせを硫酸のかわりに用いることができる。いずれかの加水分解システムは単一のリアクターまたは直列に連結された複数のリアクターを含むことができ、1以上の反応物質添加点を採用することもできる。
【0016】
加水分解反応において、SIBAMよりもメタクリルアミド(MAM)に変換することが困難であるHIBAMの形成を最小限に押さえるために無水条件が好ましい。
【0017】
公知の独立したMAAおよびメタクリレートエステルの製造ラインと反対に、本発明の一具体例において、全てのプロセスの加水分解反応は、加水分解リアクター12において組み合わせることができる。これが行われる場合、加水分解工程は「統合された加水分解システム」である。従って、12のMAAおよび32のメタクリレートエステルの平行な加水分解トレインを有し、本質的に少なくとも2つの同じ装置のラインを含むのではなく、本発明の一態様のプロセスにおいては一つの統合された加水分解システムだけが必要である。メタクリレートエステルおよびMAAの反応工程は異なるので、この共有はクラッキング工程中および反応工程まで継続することができる。この装置の共有の結果、資本費用の減少、人員の削減、および長期運転の減少により、製造業者にとって実質的にコストが削減される。さらに、製造業者は、プロセスを組み合わせることにより達成される規模の節約によりさらなる節約を達成できる。
【0018】
本発明の一態様において、1〜5の加水分解リアクターが直列に連結されて、MAAおよびメタクリレートエステル製造の両方についての統合された加水分解システムが形成される。複数のリアクターが用いられるならば、連続した2から3のリアクターが用いられるのが好ましい。当該分野において公知の加水分解反応を行うために好適な任意のリアクター、たとえば、連続撹拌槽リアクターを本発明の一態様において加水分解リアクター12として用いることができる。しかしながら、このようなリアクターは反応の腐食作用に対して耐性でなければならず、従って、加水分解リアクターおよびリアクター付属部品は腐食に対して耐性の材料で構成されているのが好ましい。「リアクター付属部品」なる用語は、あらゆる二次的装置、たとえば、交換器、器械、ミキサーおよびポンプ、ならびにリアクターを連結する結合管を意味する。「結合管(associated piping)」なる用語は、これらに限定されないが、フィードライン、ボトムライン、オーバーフローライン、ベントライン、禁止剤添加ライン、および酸素添加ラインを包含する。
【0019】
腐食作用に耐性の好適な構成物質としては、これらに限定されないが:ステンレス鋼(たとえば、300シリーズ、904L、6−moly)、HASTELLOY(たとえば、B、B−2、B−3、C−22、およびC−276)、タンタル、およびジルコニウムが挙げられる。いくつかの態様において、製造業者は被覆された基材を用いることにより組み立て費用を減少させることができる。「被覆された基材」とは、ガラス、エポキシ、エラストマー、フルオロポリマー(たとえば、TEFLON)、または前記金属のうちのひとつなどの腐食に耐えられるカバーと組み合わされた、炭素鋼などの一般に腐食耐性でないと考えられる物質である。被覆された基材は、腐食に耐えられるカバーをベース金属上に配置し、任意にベース金属とカバーを接着させることにより構築される。カバーはベース金属がプロセス流れと接触するのを防止する。被覆されたベース金属構築物は、大直径パイプ(3.8cm以上の公称直径)および高流速運転における熱交換器チューブ(0.15メートル/秒以上の流体速度)および、構造強度を提供するために相当な厚さの金属(3mm以上の金属の厚さ)が用いられる他の成分について特に好ましい。前記の物質、たとえば、ステンレス鋼(たとえば、300シリーズ、904L、6−moly、HASTELLOY(たとえば、B、B−2、B−3、C−22、およびC−276)、タンタル、およびジルコニウム、ならびに被覆されたベース金属を本明細書において「腐食耐性物質」と称する。
【0020】
加水分解は、典型的には70℃から135℃、好ましくは75℃〜105℃の範囲の温度で行われる。温度は、当該分野において公知の様々な手段、たとえば、内部冷却コイルを使用するかまたはリアクター内容物の一部を熱交換器をとおして再循環させることにより制御することができる。温度は、加水分解反応中一定に維持することができるかまたは反応中、特に複数の加水分解リアクターを直列で用いる場合に変化させることができる。1以上のリアクターを用いるならば、第一リアクターの温度は75℃から90℃の範囲であり、それに続くリアクターの温度は90℃から105℃の範囲である。加水分解反応は、MAM、SIBAM、およびHIBAMの収率を最大にするために十分な時間行われる。従って、反応時間は、1分から1時間まで変化し得る。
【0021】
さらに、重合を防止するために重合禁止剤を加水分解システムに添加することができる。禁止剤を加水分解システムに添加するために好適な位置としては、これらに限定されないが、加水分解システム上流の原材料流れ、加水分解リアクターそれ自体、およびそのリアクター付属部品が挙げられる。複数のリアクターが用いられ、直列に連結されているならば、禁止剤を第一リアクターに添加するのが好ましい。しかしながら、所望により、各リアクターそれぞれに異なる禁止剤を一つの禁止剤添加点または複数の禁止剤添加点で添加することができる。
【0022】
加水分解システムの水溶性またはアルコール溶解性重合禁止剤の好適な例としては、これらに限定されないが:
ヒドロキノン(HQ);
4−メトキシフェノール(MEHQ);
4−エトキシフェノール;
4−プロポキシフェノール;
4−ブトキシフェノール;
4−ヘプトキシフェノール;
ヒドロキノンモノベンジルエーテル;
1,2−ジヒドロキシベンゼン;
2−メトキシフェノール;
2,5−ジクロロヒドロキノン;
2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン;
2−アセチルヒドロキノン;
ヒドロキノンモノベンゾエート;
1,4−ジメルカプトベンゼン;
1,2−ジメルカプトベンゼン;
2,3,5−トリメチルヒドロキノン;
4−アミノフェノール;
2−アミノフェノール;
2−N,N−ジメチルアミノフェノール;
2−メルカプトフェノール;
4−メルカプトフェノール;
カテコールモノブチルエーテル;
4−エチルアミノフェノール;
2,3−ジヒドロキシアセトフェノン;
ピロガロール−1,2−ジメチルエーテル;
2−メチルチオフェノール;
t−ブチルカテコール;
ジ−tert−ブチルニトロキシド;
ジ−tert−アミルニトロキシド;
2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ;
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ;
4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ;
4−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ;
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ;
4−エタノールオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ;
2,2,5,5−テトラメチル−ピロリジニルオキシ;
3−アミノ−2,2,5,5−テトラメチル−ピロリジニルオキシ;
2,2,5,5−テトラメチル−1−オキサ−3−アザシクロペンチル−3−オキシ;
2,2,5,5−テトラメチル−3−ピロリニル−1−オキシ−3−カルボン酸;
2,2,3,3,5,5,6,6−オクタメチル−1,4−ジアザシクロヘキシル−1,4−ジオキシ;
4−ニトロソフェノレートの塩;
2−ニトロソフェノール;
4−ニトロソフェノール;
銅ジメチルジチオカルバメート;
銅ジエチルジチオカルバメート;
銅ジブチルジチオカルバメート;
銅サリチレート;
メチレンブルー;
鉄;
フェノチアジン(PTZ);
3−オキソフェノチアジン;
5−オキソフェノチアジン;
フェノチアジンダイマー;
1,4−ベンゼンジアミン;
N−(1,4−ジメチルペンチル)−N’−フェニル−1,4−ベンゼンジアミン;
N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−1,4−ベンゼンジアミン;
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンおよびその塩;
酸化窒素;
ニトロベンゼン;
p−ベンゾキノン;または
その異性体、その2以上の混合物;前記の1以上と分子酸素の混合物が挙げられる。重合禁止剤は、典型的には100ppmから4000ppm(重量)の範囲の量で用いられる。
【0023】
禁止剤は加水分解リアクターに単独で添加することもできるし、あるいは適当な溶媒と組合わせてからリアクターに添加することもできる。好ましい溶媒としては、これらに限定されないが、アセトン、ACH、トリフルオロ酢酸、ニトロメタン、および/または硫酸が挙げられる。フェノチアジン禁止剤と共に使用するのに好ましい溶媒としては、1以上のイオウ化合物が挙げられる。このようなイオウ化合物としては、これらに限定されないが、硫酸、二酸化硫黄、メチルスルホン、テトラメチレンスルホン(「スルホラン」)、およびジメチルスルホキシド(「DMSO」)が挙げられる。
【0024】
加水分解システムにより製造される生成物は、SIBAMおよびHIBAMを含む加水分解混合物である。
【0025】
本発明のプロセスの一態様における次の工程は、クラッキングトレインにおける加水分解混合物のクラッキングである。本発明の一態様において、MAA製造およびメタクリレートエステル製造の統合されたクラッキングトレインが提供される。共通の加水分解プロセスが用いられなくても統合されたクラッキングトレインが用いられること、またはその逆は本発明に含まれる。図2は、加水分解およびクラッキングの両方がMAA製造ラインおよびメタクリレートエステル製造ライン間の統合されたプロセスである本発明の一態様を示す。加水分解が唯一の統合されたプロセス工程であるならば、加水分解リアクター流れは17で分岐する。図3にはこのようなプロセス、すなわち、加水分解が統合されたプロセスであるものを示す。クラッキング反応も統合されているならば、クラッカーリアクタークーラー混合物は管17ではなく、20で分岐する。図2に、加水分解およびクラッキングの両方が統合されているプロセスを示す。図4は、クラッキングは統合されたプロセスであるが、加水分解はそうではない本発明のもう一つの態様を示す。
【0026】
共通の統合された、クラッキングトレインがMAAおよびメタクリレートエステルについて用いられるならば、その容量は、体積が増大したクラッカーリアクター混合物を有効に処理できるものでなければならない。別の態様において、統合されたクラッキングシステムに必要な容量を提供するために、一つの大きなトレインの代わりに、複数のより小さなクラッキングトレインを並列に用いることができる。しかしながら、このような別の態様において、クラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物は、MAA製造ラインおよびメタクリレートエステル製造ライン間で分離される。
【0027】
特に、少なくとも一つの予熱器および少なくとも一つのヒーターまたはその組み合わせを含み一つの加熱ユニットを形成する加熱ユニットがクラッカーリアクター18内に組み入れられる。予熱器およびヒーターは典型的には加水分解混合物の温度をクラッキング反応を促進するために十分なレベルにするために用いられる熱交換器である。クラッカー予熱器から出る混合物の出口温度は、典型的には110℃から135℃である。クラッカーヒーターから出る混合物の出口温度は135℃から165℃の範囲である。任意の公知熱交換器が前記のような高温腐食環境に対して耐性であるならば、本発明において用いることができる。適当な熱交換器の例としては、プレートおよびフレーム熱交換器、プレートおよびフィン熱交換器、スパイラル熱交換器、およびシェル−アンド−チューブ熱交換器が挙げられる。このような熱交換器は好ましくは前記のような腐食耐性物質で構成されている。
【0028】
クラッカーリアクター18の第二の部分は、熱変換装置、好ましくはプラグフローリアクターである。本発明の一態様のクラッキングトレインにおいて有用なクラッカーリアクターの一例は、欧州特許出願番号EP999200A1(1999年10月22日出願)において開示されている。ここでは適当なプラグフローリアクターが開示されている。クラッカーリアクター18の第三の部分は、クラッカーリアクター混合物を冷却するために用いられるクラッカーリアクタークーラーである。反応前(22または42)にクラッカーリアクター混合物を冷却することにより、クラッキングされた混合物の分解が防止される。クラッカーリアクタークーラーは、高温での腐食環境に対して耐性である限り、前記のような任意の種類の熱交換器であってよい。クラッカーリアクタークーラー混合物の出口温度は、典型的には90℃から110℃の範囲である。
【0029】
管21は、クラッカーリアクタークーラー混合物をMAAリアクターに運び、MAAプロセスに続くが、管41はメタクリレートエステルプロセスまで続く。メタクリレートエステルプロセスにおいて、次の工程はクラッカーリアクタークーラー混合物を、管44を通してエステル化リアクター42に導入される1以上のC1−C30アルカノールおよび任意に水を含む少なくとも一つの他の流れと接触させ、それぞれのメタクリレートエステルを形成することである。管44は、かかるアルカノール流れの1以上の添加点を含み、エステル化リアクター42に関して任意の望ましい場所に位置する。このようなアルカノールとしては、これらに限定されないが:メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールが挙げられる。一方、MAA反応工程において、強酸性クラッカーリアクタークーラー混合物(なかでもMAMを含む)をMAAリアクター22において、管24をとおってMAAリアクター22中に導入される水成分と反応させる。MAAリアクター22は、3.7気圧から7.8気圧;より好ましくは4.4気圧から7.1気圧;最も好ましくは5.1気圧から6.4気圧で操作される。反応は、50℃から210℃、より好ましくは70℃から190℃、最も好ましくは80℃から170℃の温度で行われる。
【0030】
MAA反応プロセスにおいて、MAAリアクター22への水の化学量論的リアクターフィード比を、加水分解リアクター12に対するACHフィードに対して測定するのが好ましい。好ましくは、この比はACH1モルにつき9モルの水からACH1モルにつき4モルの水;より好ましくはACH1モルにつき8モルの水からACH1モルにつき5モルの水;最も好ましくはACH1モルにつき7モルの水からACH1モルにつき6モルの水である。しかしながら、本発明者らは、4より低い比で、リアクター混合物の腐食度は高くなり、従って、その結果、MAAリアクター22およびそのリアクター付属部品が著しく損傷されることを見いだした。添加される水は新鮮なもの、再循環されたもの、または新鮮なものと再循環された水の組み合わせであってもよい。「再循環された水」なる用語は、水および相溶性の回収された有機物、たとえば、MAAを含む流れを包含する。再循環水の好適な供給源は、有価物回収器28である。再循環水を用いるならば、製造業者は全体的な収率の向上を達成するであろう。また、再循環水が用いられるならば、これをMAAリアクター22に操作可能に連結されたタンク中に貯蔵するのが好ましい。この再循環水槽は、その表面上の凝集を防止するために、蒸気空間(vapor space)の内部表面からの凝縮した重合可能なモノマーの除去を促進するためにタンクの蒸気空間においてスプレーリング装置を含むことができる。かかる装置を用いるならば、これは、装置からタンクの屋根および内部表面に向けられる気体または液体を含む流体スプレーであるのが好ましい。スプレー装置は、所望により連続的または間欠的に操作される。MAAリアクターの操作に適合する任意の物質を含む気体または液体を流体スプレーに用いることができ;好適な物質の例としては、これらに限定されないが、空気、気相禁止剤、水、MAAおよびアセトンが挙げられる。いくつかの例において、流体スプレーは再循環水を含むことができる。流体スプレーは、任意にその温度を制御するために熱交換器を通すことができ、任意に1以上の重合禁止剤、たとえば、前記のようなものを含むことができる。さらに、このようなスプレーシステムは、加水分解リアクター、連続撹拌槽リアクター、水平セパレーター、コンデンサー、蒸留カラム、および/または生成物貯蔵槽のいずれかまたは全てを含むMAAまたはメタクリレートエステルを製造するために用いられる本発明のプロセスに関与する他の容器において有利に用いることができる。さらに、この概念は、縮合重合にともなう問題がある他のモノマーの製造および貯蔵に適用できると考えられる。このようなプロセスの例としては、これらに限定されないが、他のビニルモノマーの製造が挙げられる。
【0031】
別の例において、再循環水(たとえば、有価物回収器28もより供給される再循環水槽から得られる)を、MAAプロセスリアクターではなく、エステル化リアクター42でメタクリレートエステルプロセスに供給することができる。好ましい例において、再循環水槽は統合された水槽であり、MAAおよびメタクリレート製造の両方に対して再循環水を供給する。同様に、再循環水槽、たとえば、前記のようなものをメタクリレートエステル製造において用いることができる。再循環水の好適な供給源は、有価物回収器48である。このようなタンクを用いるならば、流れ44の使用に加えて、またはその代わりにこのタンクにアルカノールを直接添加するのも有利である。再循環水槽が統合された水槽であるならば、再循環水はメタクリレートエステルプロセスにおけるエステル化リアクターならびにMAAプロセスにおけるMAAリアクターの両方に供給される。しかしながら、MAAおよびそのエステル間の化学的相違のために、統合された再循環水槽は、再循環水がMAA製造プロセス(たとえば、有価物回収器28)およびエステル製造プロセス(たとえば48)の両方により生じるが、メタクリレートエステルプロセスにおいてのみ消費される場合に最も有用である。メタクリレートエステルプロセスにおいて生じる再循環水中の有機物は、MAAリアクターにおける使用に適していない。
【0032】
いくつかの例において、再循環水槽、たとえば、前記のようなものを他の製造プロセス、たとえば、ACH、(メタ)アクリロニトリル(たとえば、シアニド含有水流れ)、またはエステル交換プロセス(たとえば、メタノール含有蒸留物)における供給源から再循環水流れを回収するために用いることができる。多くの他の相溶水流れが本発明の方法において同様に好適であると考えられる。
【0033】
重合禁止剤をMAAリアクター22またはメタクリレートエステルプロセスエステル化リアクター42の上流またはこれに直接添加することは、重合を防止するために有用である。禁止剤は、水溶性またはアルコール溶解性重合禁止剤であってもよい。適当な例は、前記のものを包含する。2以上のこれらの禁止剤の混合物、またはこれらの禁止剤の1以上と分子酸素を組み合わせたものを用いることができる。重合禁止剤は典型的には100ppmから4000ppm(重量)の範囲の量で用いられる。禁止剤は適当な希釈剤の有無にかかわらず用いることができる。
【0034】
公知の連続撹拌槽リアクターは、MMAリアクター22およびエステル化リアクター42についての本発明の一態様において好適である。しかしながら、MAAリアクター22について、本発明者らは、MMA反応混合物は実際には混合を必要としない一相系であり、従って、より単純で、安価なプラグフローリアクターを使用することがMAAリアクター22としては好ましいことを見いだした。一態様において、かかるプラグフローリアクターは、任意の内部構造物、たとえば、ディストリビューターまたはバッフルを有する円筒状容器を含む。本発明の一態様は、1以上のまっすぐな配管を含むプラグフローリアクターを使用する。かかるプラグフローリアクターを用いるならば、管の長さはMAAに対するMAMの収率を最大にするために十分なものであることができる。従って、滞留時間は、1分から30分またはそれ以上である。MAAリアクター22におけるプラグフローは、一般にクラッキング部分に関して記載したようなデザイン機構の使用により維持される。最適のリアクターデザインに関して、最小の曲部を有する管が好ましい。プラントスペースまたはその他の理由で曲部が必要とされるならば、かかる曲部は、プラグフローに近くなるように設計されなければならない。管の直径は、プラグフローにも有利になるように選択される。管はまっすぐで、たとえば曲部がなくてもよく、この場合、プラグフローが維持される。プラグフローを維持しながら管においてスムーズな曲を有する別法は、各曲部においてCRVを有することである。熱処理ジルコニウムは、MAAリアクター22およびエステル化リアクター42の構築材料に特に適した腐食耐性物質である。
【0035】
反応工程後、MAAリアクター混合物(MAAを含む)は分離工程26を経て、少なくとも一つの熱交換器において50℃から95℃に冷却される。この温度範囲で、単一相MAAリアクター混合物は、MAA生成物流れおよび下層イオウ含有残留物流れに分離される。分離は本質的に浮力分離である。適当な分離容器としては、これらに限定されないが、沈殿槽、サイクロン、および重力分離器が挙げられる。分離容器は、内部構成部品を含んでもよい。内部構成部品としては、これらに限定されないが、パッキング、バッフル、静水板、スプレーリング、スプレーノズル、または堰が挙げられる。前記のような高温腐食環境に対して耐性であれば、任意の種類の公知熱交換器を分離工程において用いることができる。好適な熱交換器の例としては、プレートおよびフレーム熱交換器、プレートおよびフィン熱交換器、スパイラル熱交換器、およびシェル・アンド・チューブ熱交換器が挙げられる。かかる熱交換器は、好ましくは腐食耐性材料で構成される。熱処理ジルコニウムは、これらの熱交換器に特に適した腐食耐性物質である。熱交換器/分離器におけるポリマー形成の影響を低減するために、分離中に任意に短い間隔で分離容器の温度を上昇させることができる。
【0036】
分離26からの下層イオウ含有流れを有価物回収器28において処理することができる。有価物回収器28は、いくつかの態様を有する:本発明における使用に適した有価物回収器の態様の例は、米国特許仮出願番号60/298251(2001年6月14日出願;米国特許出願公開第2002/0192132号;公開日2002年12月19日)に開示されている。有価物回収器28において回収される有機物および水は、全体的収率を増大させるために再循環される(たとえば、MAAリアクター22に戻される)。処理後、イオウ含有残留物流れの残りから回収された有機物および水を差し引いたものを、硫酸製造および硫酸アンモニウム製造を含むさらなる処理操作に送るか、または廃棄することができる。
【0037】
しかしながら、メタクリレートエステル製造におけるイオウ含有残留物処理プロセスと異なり、本発明者らは、分離工程後のMAAプロセスにおいて下層イオウ含有残留物流れ処理容器に消泡剤を添加することが有用であることを見いだした。好適な消泡剤の一例は、Nalco−Exxonから入手可能であるMapEC9055Aであるが、他の商業的に入手可能な薬剤を用いることもできる。一般的ガイドラインとして、十分な量の消泡剤は、有価物回収プロセスに供給されるイオウ含有残留物流れ100000kgあたり4.2リットルである。しかしながら、処理される流れの組成によっては、消泡剤の量を減少させるかまたは排除することができる。典型的には、分離26からの粗MAA生成物流れは80%以上のMAA、ならびにMAM、ヒドロキシイソ酪酸(「HIBA」)、水、および他の微量成分を含む。所望により、粗MAAは、これが5%を超える不純物を含んでいても最終生成物として用いることができるが;粗MAAをさらに処理して、95%以上の純度の生成物流れにすることが有利である。さらに、非ACHプロセス由来の粗MAA流れはこれらにおいて著しく異なるMAA濃度を有し、このような流れは、本発明の精製態様の恩恵を享受し、95%以上の純度の生成物流れを生じる。
【0038】
さらなる精製の前に、分離26からの粗MAA流れを任意にMAA貯蔵システム中に貯蔵することができる。貯蔵するならば、重合を抑制し、貯蔵装置に対する粗MAAの腐食作用を低減するために、貯蔵前に粗MAA流れを冷却することが好ましい。貯蔵用円錐底粗タンクが好ましく、腐食耐性物質、たとえば、ステンレス鋼(たとえば、300シリーズ、904L、6−moly)、Hastelloys(たとえば、B、B−2、B−3、C−22、およびC−276)、タンタル、グラファイト、ビニルエステル樹脂、テフロン(登録商標)、ガラス繊維、ガラス、エポキシなどで構築するか、またはライニングすることができる。粗MAAの貯蔵により、さらなるイオウ含有残留物下層が形成される沈殿時間が生じる。これが形成されるならば、このさらなる下層は、タンクの円錐底出口から容易に除去することができ、もとの下層イオウ含有残留物流れに関して前記のように有価物回収器28に戻すことができる。このようにしてさらなる下層を除去することにより、このイオウ含有残留物流れの腐食作用から下流精製装置が保護される。さらに、このような貯蔵タンクにより、製造業者はバック精製エンドから独立してプロセスのフロントエンドを運転することができる。MAAおよび不純物を含む粗MAA流れは、実質的に純粋なMAA,すなわち少なくとも95%の純度のMAAを得るために所望により精製システム30においてさらに処理することができ;このような実質的に純粋なMAA流れを本明細書において氷メタクリル酸(「GMAA」)と称する。精製システム30の一態様を図5において概略的に示す。粗MAAフィード流れ300は、非ACHベースプロセス、たとえば、イソブタン/イソブチレンベースのプロセス、エチレンベースのプロセス、または統合された処理工程を含まないACHベースのプロセスからも由来することに注意する。
【0039】
GMAAを製造するために、図5に示す本発明の精製態様の一具体例において、連続したカラムを使用することができる。精製システムにおいて用いられる第一のカラムは、GMAA脱水カラムである。粗MAA生成物流れがライン300を通ってGMAA脱水カラム310に供給され、ここでライトエンド、たとえばアセトンおよび水がライン305を通ってオーバーヘッドで除去される。GMAA脱水カラムおよびその脱水カラム付属部品は、好ましくは腐食耐性材料で構築される。GMAA脱水カラム付属部品は、あらゆる二次的装置、たとえば真空装置、リボイラー、コンデンサーおよびポンプ、ならびに関連する配管を含む。関連する配管とは、フィードライン、ボトムライン、オーバーヘッドラインオーバーフローライン、ベントライン、禁止剤添加ライン、酸素添加ライン、還流ライン、およびランダウンラインを含むが、これらに限定されないカラムまたは任意の二次的装置に連結する配管を意味する。
【0040】
GMAA脱水カラムおよびそのカラム付属部品の構築に好適な材料としては、これらに限定されないが:ステンレス鋼(たとえば300シリーズ、904L、6−moly)、HASTELLOY(たとえば、B、B2、B3、C−22およびC−276)、タンタルおよびジルコニウムが挙げられる。
【0041】
いくつかの態様において、製造業者は、構築材料として、腐食耐性カバー、たとえば、ガラス、エポキシ、エラストマー、フルオロポリマー(たとえば、TEFLON)、または前記金属の一つと組み合わせたベース金属、たとえば、炭素鋼を用いることにより、建築費を減少させることができる。このような例において、ベース金属がプロセス流れと接触するのを防止するために、カバーをベース金属上に設置し、任意にベース金属と接着することができ;これを本明細書において被覆されたベース金属構築物と称する。被覆されたベース金属構築物は、大直径配管(3.8cm以上の公称直径)および高流体速度運転における熱交換器チューブ(流体速度0.15メートル/秒以上)について好ましい。被覆されたベース金属構築物は、圧力保持容器、ならびにマンウェイカバー、フランジカバー、熱交換器チューブシート、および他の成分について特に好ましく、ここでは構造的強度を提供するために著しい厚さの金属(3mm以上の金属厚さ)が用いられる、。
【0042】
内部成分、たとえば、トレイまたはパッキングはGMAA脱水カラム310において有用である。用いるならば、トレイが好ましく;トレイを用いるならば、2〜10の有孔プレートトレイを用いるのが好ましい。もし存在するならば、内部構造物はカラムそれ自体と同じ材料から作ることができ、あるいは1以上の異なる物質から構築することもできる;たとえば、300シリーズステンレス鋼をトレイについて用いることができ、カラムはHASTELLOYから作ることができる。
【0043】
好ましくは、GMAA脱水カラムは、底部温度が最小限に抑えられるように、たとえば真空下で操作される。好ましい具体例において、カラムの底部での圧力は、50mmHGから80mmHgに維持され、これによりカラムの底部は70℃から110℃の温度で操作される。GMAA脱水カラムの加熱装置として少なくとも一つの熱交換器を用いることができる。デスパーヒーティド蒸気(desuperheated steam)がかかる熱交換器の好ましい熱源である。リボイラーを熱交換器として用いるならば、これは蒸留カラムの内側または外側にあってもよい。渦ブレーカーもGMAA脱水カラムの底部において有用である。
【0044】
1以上の禁止剤、たとえば、前記のものをGMAA脱水カラムに希釈剤と共に、または希釈剤なしで添加するのが有用であることが多い。ヒドロキノン(「HQ」)禁止剤が好ましい禁止剤であり、直接、あるいは水などの希釈剤と共に蒸留カラムおよびその付属部品全体にわたって1以上の位置において添加することができる。用いられる場合、HQ禁止剤を10000kgのGMAA脱水カラムフィードあたり1kg〜10kgのHQの割合で添加することが好ましく;より好ましくは10000kgのGMAA脱水カラムフィードにつき1.3kg〜8kgのHQであり;最も好ましくは、10000kgのGMAA脱水カラムフィードにつき1.5kg〜5kgのHQである。HQを用いるならば、HQ禁止剤の有効性を向上させるために、酸素含有ガスをGMAA脱水カラムおよびその付属部品全体にわたって1以上の位置において添加するのがさらに好ましい。本明細書において用いられる「酸素含有ガス」なる用語は、酸素を含む任意のガスを意味する。
【0045】
ライトエンドはGMAA脱水カラム310の頭頂部からライン305を通って除去され、MAAプロセスまたはメタクリレートエステルプロセス(MAAおよびメタクリレートエステルの両方を製造する統合された設備において)中のどこかで使用するために再循環される。流れは、アセトン回収容器に送ることができる。しかしながら、流れ305が、少なくとも一つのMAA/水流れおよび一つの水/アセトン流れを含む2以上の流れに分割される場合、分縮装置が好ましい。このようにして、MAA/水流れをMAAプロセスおよび/またはメタクリレートエステルプロセス中に直接再循環することができ、水/アセトン流れをもう一つのプロセス、たとえば、アセトン回収操作、スクラバー、またはフレアに送ることができる。GMAA脱水カラムから除去した後、MAA/水流れを凝縮させるならば、流れにおいてMAAが凍結するのを回避するために、16℃より高い温度を有するよう調整された水をコンデンサーにおいて用いることができる。調整された水の好ましい範囲は、16℃から35℃である。好ましい具体例において、汚れを最小限に抑え、コンデンサー効率を向上させるために、凝縮物の一部をコンデンサーに戻し、任意に蒸気インレットラインに戻す。凝縮物を再循環ラインの外へ自由に流出させるてもよいし、あるいたはチューブシート、コンデンサー内部表面、および/またはインレット蒸気ライン内壁上にスプレーすることができる。禁止剤をコンデンサーに添加するならば、禁止剤の分布を向上させるためにこの凝集物再循環流れに添加することができる。特に好ましい具体例において、GMAA脱水カラム、そのコンデンサー、および/または内部連結蒸気ラインの内部表面から重合可能な凝縮物を洗浄するために、この凝集物再循環流れの少なくとも一部は前記のような種類のスプレーリングを通過する。縮合重合を最小限に抑えるために、GMAA脱水カラム、そのコンデンサー、および内部連結蒸気ライン上の蒸気空間は、好ましくはMAAの露点より高い温度に維持され;断熱および電気または蒸気トレースはこの目的について有効である。
【0046】
氷メタクリル酸脱水カラム生成物流れ315は、多少HIBAを含むが、アセトンおよび水の実質的な量を失っている。これは、本明細書においてGMAA生成物カラム330と称する第二の蒸留カラムへ供給される。GMAA生成物カラム330において、MAAはさらに様々な不純物から分離されてGMAAを生じる。GMAA生成物カラム330およびそのカラム付属部品は、好ましくは腐食耐性物質で構成される。GMAA脱水絡む付属部品は、あらゆる二次的装置、たとえば真空装置、リボイラー、コンデンサおよびポンプ、ならびに関連する配管を含む。関連する配管とは、カラムおよびフィードライン、ボトムライン、オーバーヘッドラインオーバーフローライン、ベントライン、禁止剤添加ライン、酸素添加ライン、還流ライン、およびランダウンラインを含むが、これらに限定されない任意の二次的装置に連結された配管を意味する。
【0047】
GMAA脱水カラムおよびそのカラム付属部品の構築に適した材料としては、これらに限定されないが:ステンレス鋼(300シリーズ、904L、6−moly)、HASTELLOY(たとえば、B、B2、B3、C−22、C−276)、タンタルおよびジルコニウムが挙げられる。
【0048】
いくつかの例において、製造業者は、腐食耐性カバー、たとえば、ガラス、エポキシ、エラストマー、フルオロポリマー(たとえば、TEFLON)、または前記金属の一つと組み合わせたベース金属、たとえば、炭素鋼を構築材料として用いることにより建築費を減少させることができる。このような例において、カバーはベース金属上に設置され、任意にベース金属と接着させて、ベース金属がプロセス流れと接触するのを防止し;これを本明細書において被覆されたベース金属構築物と称する。被覆されたベース金属構築物は、大直径パイプ(3.8cm以上の公称直径)および高流体速度運転の熱交換チューブ(流体速度0.15メートル/秒以上)について好ましい。被覆されたベース金属構築物は圧力保持容器、ならびにマンウェイカバー、フランジカバー、熱交換器チューブシート、および他の成分に特に好ましく、ここにおいて構造の強度を提供するために著しい金属の厚さ(3mm以上の金属の厚さ)が用いられる。内部成分、たとえば、トレイまたはパッキングを所望によりGMAA生成物カラム330において用いることができる。トレイが好ましく;トレイを用いるならば、5から15の有孔プレートトレイを用いるのが好ましい。もし存在するならば、内部部品はカラム自体と同じ物質で作ることができるか、または1以上の異なる物質から作ることができる。たとえば、300シリーズステンレス鋼を内部部品およびカラムの両方について用いることができる。
【0049】
HIBAの分解を回避するようにGMAA生成物カラム330を操作することができる。好ましくは、カラムの底部での温度を最小限に抑えるために、生成物カラムを真空下(すなわち、大気圧以下)で操作することができる。たとえば、一例において、カラムの底部での圧力は150mmHgより低く維持され、カラムの底部は125℃より低い温度で操作される。好ましい具体例において、カラムの底部での圧力は70mmHgより低く維持され、カラムの底部は110℃より低い温度で操作される。少なくとも一つの熱交換器はGMAA生成物カラムの加熱装置として用いることができる。デスパーヒーティド蒸気が熱交換器の熱源として好ましい。リボイラーを熱交換器として用いるならば、これはカラムの内部であっても、外部であってもよい。渦ブレーカーもGMAA生成物カラムの底部において有用である。
【0050】
GMAA脱水カラムおよびGMAA生成物カラムを組み合わせること、あるいはこれらの一つを1以上の連続したカラムに細分することは本発明の一態様の範囲内に含まれるが、2つの蒸留カラムが一般的に該プロセスにおいて最も好ましい。単一のカラムを用いるならば、これを氷メタクリル酸脱水生成物カラムと称する。
【0051】
95%以上の純度を有するGMAAがライン320を通って生成物カラム330を出る。これは少なくとも部分的に凝縮される。流れ中のMAAが凍結するのを回避するために、前記のような調整された水をコンデンサーにおいて用いる。GMAA生成物の必要とされる純度を維持するために、凝縮物の一部を還流ライン335を通って生成物カラムへ戻す必要がある場合が多く;戻される凝縮物のフラクションは、生成物カラムの操作条件および所望のGMAA純度レベルに応じて0%〜100%まで変わり得る。残存する凝縮物を次いでライン350を通ってGMAA生成物貯蔵所に移す。好ましい具体例において、汚れを最小限に抑え、コンデンサー効率を向上させるために、凝縮物の一部をコンデンサーに再循環させ、任意に蒸気インレットラインへ戻す。凝縮物は再循環ラインの外側へ自由に流動するか、あるいはチューブシート、コンデンサー内部表面、および/またはインレット蒸気ライン上にスプレーしてもよい。禁止剤をコンデンサーに添加するならば、禁止剤の分布を向上させるために凝縮物再循環流れに添加することが出来る。特に好ましい具体例において、この還流凝縮物再循環流れの少なくとも一部は、生成物カラムの内部表面から重合可能な凝縮物を洗浄するためにすでに記載した種類のスプレーリング、そのコンデンサー、および/または内部連結蒸気ラインを通過する。
【0052】
MAA、HIBA、および他の不純物(ヘビーエンドということが多い)はライン325を通って生成物カラムの底部から除去され、有価物回収器28(図1)において他のイオウ含有残留物流れと組み合わせることが出来るか、またはメタクリレートエステルプロセス(MAAおよびメタクリレートエステルの両方を製造する統合された設備において)において再循環流れに向けることが出来る。ボトムライン325は好ましくは腐食耐性物質で構築される。GMAA生成物カラムボトム流れは捨てることも出来るが、好ましくは廃棄する前に燃料有価物を回収することが出来る。任意に、GMAA生成物カラム底部をイオウ含有残留物流れと組み合わせる前に、独立したストリッピングシステムにおいてさらに処理して、残留するMAAを回収することが出来る。独立したストリッピングシステムの一態様において、GMAA生成物カラム底部を1以上のガラスでライニングされたストリッピング容器中で生蒸気で加熱する。生蒸気は、MAA含有生成物カラムボトム流れと直接接触する蒸気である。MAAの回収を最大にするために、ストリッピング容器を減圧下で操作するのが好ましい。回収されたMAAをMAAプロセス中に、たとえば再循環水タンクを通って再循環することが出来る。ストリッピング容器からの残留物は、実質的に残留するMAAがなく、次いで有価物回収器28(図1)に関してイオウ含有残留物流れと組み合わせることができるか、あるいはMAAおよびメタクリレートエステルの両方を製造する統合された設備においてメタクリレートエステルプロセスに向けることも出来る。
【0053】
縮合重合を最小限に抑えるため、GMAA生成物カラム、そのコンデンサー、および内部連結蒸気ライン上の蒸気空間は、好ましくはMAAの露点より高い温度に維持され;断熱および電気または蒸気トレースはこの目的に関して好ましい。
【0054】
禁止剤、たとえば前記のものをGMAA生成物カラムに、任意に希釈剤とともに添加することが有用であることが多い。ヒドロキノンのメチルエーテル(「MEHQ」)禁止剤が特に好ましく、GMAA生成物カラムおよびその付属部品全体におよぶ1以上の位置において、直接またはMAAなどの希釈剤と共に添加することが出来る。用いるならば、禁止剤を10000kgのGMAA脱水カラムフィードあたり1kg〜15kgのMEHQの割合で添加するのが好ましく;より好ましくは、10000kgのGMAA脱水カラムフィードにつき1.5kg〜12kgのMEHQ;最も好ましくは10000kgのGMAA脱水カラムフィードにつき2kg〜9kgのMEHQの割合で添加する。任意に、生成物流れ禁止剤濃度が最終生成物の規格の範囲内であることを確実にするために、様々な量の追加の禁止剤を生成物ランダウンラインに直接添加することが出来る。生成物流れのサンプルを禁止剤濃度について手作業で、またはインラインプロセスアナライザーを用いて分析し、添加率を調節することにより、添加される特定量の禁止剤を決定することが出来る。1以上の禁止剤を生成物カラム中に直接導入するならば、各禁止剤の添加率は前記の率と比較して減少させることが出来る。MEHQ禁止剤を用いるならば、MEHQ禁止剤の効力を向上させるために、酸素含有ガスを蒸留カラムに添加することがさらに好ましい。蒸留カラムおよびその付属部品全体にわたって酸素含有ガスを1以上の位置において添加することが出来る。
【0055】
酸素含有ガスの添加は、フェノール系禁止剤、たとえば、HQおよびMEHQについて特に有利である。操作温度および圧力は可燃限界および精製システム内の酸素溶解度に影響を及ぼし、これらの特性は、酸素含有ガスについて用いられる適当な酸素濃度を決定する場合に考慮すべきである。このような因子の考慮は、当業者の能力範囲内であり、純粋な酸素または大気のいずれかが通常用いられる。
【0056】
驚くべきことに、本発明者らは、酸素添加に関して従来考慮されない精製システム内の抑制の効率に影響を及ぼす重要な因子があること、すなわち、モノマー含有溶液それ自体の中の高酸素濃度の回避を見いだした。酸素濃度が禁止剤濃度と比較して高い場合、過酸化物および、最終的にはモノマーラジカルの形成を促進することにより、酸素は実際に重合速度を増大させることが出来る。この理由から、禁止剤が存在しない場合に酸素含有ガスを添加することは推奨されない。本発明者らは、最適の酸素対禁止剤比は使用される禁止剤、ならびに精製システム内での滞留時間により変わるであろうことを確認した。特に、HQが選択された禁止剤である場合、精製システムに添加される酸素含有ガスフィードとHQ禁止剤フィードの比が好ましくは0.65モルから10モルO2/モルHQに維持され;より好ましくは1モルから8.5モルO2/モルHQ;最も好ましくは1.5モルから6モルO2/モルHQに維持される。MEHQが選択された禁止剤である場合、精製システムに添加される酸素含有ガスフィードとMEHQ禁止剤フィードの比は、1モルから11.5モルO2/モルMEHQに維持されるのが好ましく;より好ましくは1.5モル〜9モルO2/モルMEHQ;最も好ましくは2モルから6モルのO2/モルMEHQに維持される。
【0057】
限定ではなく例示のため、酸素含有ガスと組み合わせて禁止剤の使用を説明するために本発明の範囲内のGMAA精製システムの操作に関する次の記載を提供する。
【0058】
実施例1:
80%以上のMAAを含む粗MAAフィード流れをGMAA脱水カラムに4545kg/時の速度で添加する。カラムの底部での圧力は65mmHgであり、カラムの底部での温度は90℃から100℃に維持される。全体的溶液フィード速度23kg/時を得るために、水中3.5%HQを含む禁止剤溶液を、GMAA脱水カラムおよびその付属部品全体にわたって複数の位置において添加する。大気をリボイラー循環ラインに5kg/時の速度で添加する。結果として得られる禁止剤への酸素含有ガス添加の比率は、HQ1モルあたり4.5モルO2であり、蒸留カラムにおけるポリマー形成は有効に抑制される。
【0059】
実施例2:
90%以上のMAAを含むMAAフィード流れを、GMAA生成物カラムへ9090kg/時の速度で供給する。カラムの底部での圧力は60mmHGであり、カラムの底部での温度は100℃から105℃に維持される。GMAA中2.5%MeHQを含む禁止剤溶液をGMAA生成物カラムおよびその付属部品全体にわたって複数の位置において添加して、126kg/時の全体的な溶液供給速度を得る。大気はリボイラー循環ラインに9kg/時の速度で添加される。結果として得られる禁止剤への酸素含有ガス添加比率は、2.6モルO2/モルMeHQであり、蒸留カラムにおけるポリマー形成は有効に抑制される。
【0060】
本発明は、従って、目的を実行するため、および記載された目的および利点の両方、ならびにこれに固有の他の利点を達成するためよく適用される。本発明を本発明の特定の態様に関連して示し、記載し、定義するが、このような参照は本発明を制限せず、このような制限は考慮されない。本発明は、当業者が思いつく相当の修正、変更、および形態および/または機能における同等物の置換が可能である。例示し、記載された本発明の具体例は、例示のみであり、本発明の範囲を網羅するものではない。従って、本発明はあらゆる点における等価物を確認する添付の請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のプロセスの全体像を提供するプロセス流れ図である。
【図2】 図2は、加水分解およびクラッキングシステムが統合された本発明の一態様を示すプロセス流れ図である。
【図3】 図3は、加水分解システムが統合された本発明の一態様を示すプロセス流れ図である。
【図4】 図4は、クラッキングシステムが統合された本発明のもう一つの態様を示すプロセス流れ図である。
【図5】 図5は、少なくとも95%の純度を有するメタクリル酸を製造するための本発明の方法の一態様を示す。
Claims (16)
- メタクリル酸およびそのエステルの調製法であって:
(i)アセトンシアノヒドリンを含む第一の原料および硫酸、オレウムまたはその混合物を含む第二の原料を、第一の加水分解システム中に連続的に供給し;
(ii)アセトンシアノヒドリンを含む第三の原料および硫酸、オレウムまたはその混合物を含む第四の原料を第二の加水分解システム中に連続的に供給し;
(iii)前記第一加水分解システムにおいて前記第一原料および前記第二原料を連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む第一加水分解生成物を形成し;
(iv)前記第二加水分解システムにおいて前記第三原料および前記第四原料を連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む第二加水分解生成物を形成し;
(v)前記第一加水分解生成物および前記第二加水分解生成物を統合されたクラッキングシステム中に連続的に供給し;
(vi)前記第一加水分解生成物および前記第二加水分解生成物を前記統合されたクラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含むクラッキング生成物を形成し;
(vii)前記クラッキング生成物の第二の部分およびアルコールをエステル形成リアクターに連続的に供給している間に、前記クラッキング生成物の第一の部分および水を酸形成リアクターへ連続的に供給し;
(viii)前記クラッキング生成物の前記の第一の部分および前記水を前記酸形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸を含む酸形成生成物を得;
(ix)前記クラッキング生成物の前記の第二の部分および前記アルコールを前記エステル形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸のエステルを含むエステル形成生成物を形成することを含み、
前記統合されたクラッキングシステムが2以上のクラッキングリアクターを並列に含むならば、前記のクラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第一の部分および水を前記酸形成リアクターに連続的に供給し、前記のクラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第二の部分およびアルコールを前記エステル形成リアクターに連続的に供給することを含む方法。 - さらに、酸形成生成物をメタクリル酸生成物流れおよび下層イオウ含有残留物流れに分け;第一蒸留カラムにおいて前記メタクリル酸生成物流れを蒸留して、アセトンおよび水を含むライトエンドオーバーヘッド流れおよびボトム流れを生じ、次いで第二の蒸留カラムにおいて前記ボトム流れを蒸留して、少なくとも95%メタクリル酸を含むオーバーヘッド生成物流れおよびヘビーエンドを含むボトム流れを形成することを含む請求項1記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- さらに:前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方にMEHQ禁止剤を提供し;O2含有ガスを前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方に提供し;カラムフィードへのMEHQ添加率を1kgMEHQ/10000kgカラムフィード〜15kgMEHQ/10000kgカラムフィードの間に維持するために前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのMEHQの添加率を調節し;O2とMEHQのモル比を1.0モルO2/モルMEHQ〜11.5モルO2/モルMEHQの間に維持するために、前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのO2含有ガスの添加速度を調節することを含む請求項2記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- さらに:前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へHQ禁止剤を供給し;前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へO2含有ガスを供給し;カラムフィードへのHQ添加比を1kgHQ/10000kgカラムフィード〜10kgHQ/10000kgカラムフィードの間に維持するために前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのHQの添加率を調節し;O2とHQのモル比を0.65モルO2/モルMEHQ〜10モルO2/モルMEHQの間に維持するために前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのO2含有ガスの添加速度を調節することを含む請求項2記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- カラムの底部の圧力が50mmHg〜80mmHgの間であり、カラムの底部での温度が70℃〜110℃であるように前記第一蒸留カラムを作動させ、カラムの底部での圧力が70mmHgより低く、カラムの底部での温度が110℃よりも低くなるように第二蒸留カラムを作動させる請求項2記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- メタクリル酸およびそのエステルの調製法であって:
(i)アセトンシアノヒドリンを含む第一原料およびオレウムを含む第二原料を統合された加水分解システム中に連続的に供給し;
(ii)前記第一原料および前記第二原料を前記統合された加水分解システムにおいて連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む加水分解生成物を形成し;
(iii)前記加水分解生成物の第二の部分を第二クラッキングシステムに連続的に供給している間に、前記加水分解生成物の第一の部分を第一クラッキングシステムに連続的に供給し;
(iv)前記加水分解生成物の第一の部分を前記第一クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含む第一クラッキング生成物を形成し;
(v)前記加水分解生成物の第二の部分を前記第二クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含む第二のクラッキング生成物を形成し;
(vi)前記第一クラッキング生成物および水を酸形成リアクターに連続的に供給し;
(vii)前記第二クラッキング生成物およびアルコールをエステル形成リアクターに連続的に供給し;
(viii)前記第一クラッキング生成物および前記水を前記酸形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸を含む酸形成生成物を形成し;
(ix)前記第二のクラッキング生成物および前記アルコールを前記エステル形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸のエステルを含むエステル形成生成物を形成することを含む方法。 - さらに、酸形成生成物をメタクリル酸生成物流れおよび下層イオウ含有残留物流れに分け;第一蒸留カラムにおいて前記メタクリル酸生成物流れを蒸留して、アセトンおよび水を含むライトエンドオーバーヘッド流れおよびボトム流れを生じ、次いで第二蒸留カラムにおいて前記ボトム流れを蒸留して、少なくとも95%のメタクリル酸を含むオーバーヘッド生成物流れおよびヘビーエンドを含むボトム流れを形成することを含む請求項6記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- さらに、MEHQ禁止剤を前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方に供給し;O2含有ガスを前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方に供給し;カラムフィードへのMEHQ添加率を1kgMEHQ/10000kgカラムフィード〜15kgMEHQ/10000kgカラムフィードの間に維持するために前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのMEHQの添加率を調節し;O2とMEHQのモル比を1.0モルO2/モルMEHQ〜11.5モルO2/モルMEHQに維持するために、前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのO2含有ガスの添加率を調節することを含む請求項7記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- さらに:HQ禁止剤を前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方に供給し;O2含有ガスを前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方に供給し;カラムフィードに対するHQの添加率を1kgHQ/10000kgカラムフィード〜10kgHQ/10000kgカラムフィードの間に維持するために前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方に対するHQ添加率を調節し;O2とHQのモル比を0.65モルO2/モルHQ〜10モルO2/モルHQの間に維持するためにO2含有ガスの前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方への添加率を調節することを含む請求項7記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- カラムの底部の圧力が50mmHgから80mmHgであり、カラムの底部の温度が70℃から110℃になるように前記第一蒸留カラムを操作し、カラムの底部の圧力が70mmHgより低く、カラムの底部の温度が110℃より低くなるように前記第二蒸留カラムを操作する請求項7記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- メタクリル酸およびそのエステルの調製法であって:
(i)アセトンシアノヒドリンを含む第一原料および硫酸、オレウム、またはその混合物を含む第二原料を統合された加水分解システム中に連続的に供給し;
(ii)前記第一原料および前記第二原料を前記統合された加水分解システムにおいて連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む加水分解生成物を形成し;
(iii)前記加水分解生成物を統合されたクラッキングシステムに連続的に供給し;
(iv)前記加水分解生成物を前記統合されたクラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含むクラッキング生成物を形成し;
(v)前記クラッキング生成物の第二の部分およびアルコールをエステル形成リアクターに連続的に供給している間に、前記クラッキング生成物の第一の部分および水を酸形成リアクターに連続的に供給し;
(vi)前記クラッキング生成物の第一の部分および前記水を前記酸形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸を含む酸形成生成物を形成し;
(vii)前記クラッキング生成物の第二の部分および前記アルコールを前記エステル形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸のエステルを含むエステル形成生成物を形成することを含み;
前記統合されたクラッキングシステムが2以上のクラッキングリアクターを並列に含むならば、前記クラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第一の部分および水は前記酸形成リアクターに連続的に供給され、前記クラッキングリアクターのそれぞれから得られるクラッキング生成物の第二の部分およびアルコールは前記エステル形成リアクターに連続的に供給される方法。 - さらに、酸形成生成物をメタクリル酸生成物流れおよび下層イオウ含有残留物流れに分け;第一蒸留カラムにおいて前記メタクリル酸生成物流れを蒸留して、アセトンおよび水を含むライトエンドオーバーヘッド流れおよびボトム流れを生じ、次いで第二蒸留カラムにおいて前記ボトム流れを蒸留して、少なくとも95%のメタクリル酸を含むオーバーヘッド生成物流れおよびヘビーエンドを含むボトム流れを形成することを含む請求項11記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- さらに:前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方にMEHQ禁止剤を供給し;O2含有ガスを前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方に供給し;カラムフィードへのMEHQ添加率を1kgMEHQ/10000kgカラムフィード〜15kgMEHQ/10000kgカラムフィードの間に維持するために前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのMEHQの添加速度を調節し;O2とMEHQのモル比を1.0モルO2/モルMEHQ〜11.5モルO2/モルMEHQの間に維持するために、前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのO2含有ガスの添加速度を調節することを含む請求項12記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- さらに:前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へHQ禁止剤を提供し;前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へO2含有ガスを提供し;カラムフィードへのHQ添加率を1kgHQ/10000kgカラムフィード〜10kgHQ/10000kgカラムフィードの間に維持するために前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのHQの添加率を調節し;O2とHQのモル比を0.65モルO2/モルHQから10モルO2/モルHQの間に維持するために、前記第一蒸留カラムおよび前記第二蒸留カラムの少なくとも一方へのO2含有ガスの添加率を調節することを含む請求項12記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- カラムの底部の圧力が50mmHg〜80mmHgの間であり、カラムの底部での温度が70℃〜110℃であるように前記第一蒸留カラムを作動させ、カラムの底部での圧力が70mmHgより低く、カラムの底部での温度が110℃よりも低くなるように第二蒸留カラムを作動させる請求項12記載のメタクリル酸およびそのエステルの調製法。
- メタクリル酸およびそのエステルの調製法であって:
(i)アセトンシアノヒドリンを含む第一原料および硫酸、オレウム、またはその混合物を含む第二原料を統合された加水分解システム中に連続的に供給し;
(ii)重合禁止剤およびその溶媒を含む禁止剤組成物を前記統合された加水分解システム中に供給し(前記溶媒は、硫酸、二酸化硫黄、メチルスルホン、テトラメチレンスルホンまたはジメチルスルホキシドを含む);
(iii)前記第一原料および前記第二原料を前記統合された加水分解システムにおいて連続的に加水分解して、α−スルファトイソブチルアミドおよびα−ヒドロキシイソブチルアミドを含む加水分解生成物を形成し;
(iv)前記加水分解生成物の第二の部分を第二クラッキングシステムに連続的に供給している間に、前記加水分解生成物の第一の部分を第一クラッキングシステムに連続的に供給し;
(v)前記加水分解生成物の第一の部分を前記第一クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含む第一クラッキング生成物を形成し;
(vi)前記加水分解生成物の第二の部分を前記第二クラッキングシステムにおいて連続的にクラッキングして、メタクリルアミドを含む第二のクラッキング生成物を形成し;
(viii)前記第一クラッキング生成物および水を酸形成リアクターに連続的に供給し;
(ix)前記第二のクラッキング生成物およびアルコールをエステル形成リアクターに連続的に供給し;
(x)前記第一クラッキング生成物および前記水を前記酸形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸を含む酸形成生成物を形成し;
(xi)前記第二クラッキング生成物および前記アルコールを前記エステル形成リアクターにおいて連続的に反応させて、メタクリル酸のエステルを含むエステル形成生成物を形成することを含む方法。
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