JP4035894B2 - テープ巻取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、テープ巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印字装置には、供給リールと巻取リールを備えたテープカセットを装置本体に装着し、供給リールに巻かれたインクテープを繰り出し、このインクテープを印字ヘッドによってプラテンローラに記録紙を介して押し付けて印字し、印字したインクテープを巻取リールで巻き取るようにしたものが知られている。
このような印字装置のテープ巻取装置は、駆動モータの回転を伝達手段である歯車列を介して巻取歯車に伝達し、この巻取歯車の回転を摩擦クラッチを介して巻取軸に伝達し、この巻取軸の回転により巻取リールを回転させることにより、インクテープを巻き取るように構成されている。
【0003】
この場合、テープ巻取装置は、通常、インクテープがたるまないようにプラテンローラによる搬送速度よりも速い速度でインクテープを巻き取るように設定され、これによりプラテンローラによる搬送速度に対し、速度差をもってインクテープを巻き取っている。
また、このテープ巻取装置では、インクテープが幅広から幅狭まで複数種類用意されており、幅広のインクテープでは巻き取る際の負荷(つまりインクテープが引っ張られるときに必要な力)が大きく、逆に幅狭のインクテープでは巻き取る際の負荷が小さいため、巻取軸の駆動トルクをインクテープの幅に応じて設定する必要がある。例えば、幅広のインクテープの場合には巻取軸の駆動トルクを大きく設定し、逆に幅狭のインクテープの場合には巻取軸の駆動トルクを小さく設定する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなテープ巻取装置では、幅広のインクテープを巻き取るために巻取軸の駆動トルクが大きく設定されていると、幅狭のインクテープを巻き取る際、幅広のインクテープに比べて幅狭のインクテープの耐力(引張に耐えられる力)が小さいため、幅広のインクテープを巻き取る駆動トルクが幅狭のインクテープの耐力を大きく越える力が発生し、幅狭のインクテープの耐力を越える力でインクテープを巻き取ろうとするので、幅狭のインクテープが切れてしまうことがある。
また、幅狭のインクテープを巻き取るために巻取軸の駆動トルクが小さく設定されていると、幅広のインクテープを巻き取る際、幅狭のインクテープに比べて幅広のインクテープの負荷が大きく、幅狭のインクテープを巻き取る駆動トルクが幅広のインクテープを巻き取るのに必要な駆動トルクに満たないため、幅広のインクテープを確実に巻き取ることができないなどの問題がある。
【0005】
この発明の課題は、テープの幅が異なっていても、確実かつ良好にテープを巻き取ることができるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、駆動回転する駆動手段と、この駆動手段の回転が伝達されて回転する伝達手段と、幅または巻き径の異なる種類のテープに対応して2つ設けられ、前記伝達手段を介して前記駆動手段の回転が伝達されて前記テープを各種類ごとに巻き取る巻取軸と、これら2つの巻取軸それぞれに前記テープの異なる幅または巻き径に応じた異なる伝達トルクを伝達させ、前記テープにそれぞれの伝達トルク以上の負荷が加わると空転する2つのクラッチ手段とを備えたことを特徴する。
この発明によれば、テープを各種類ごとに巻き取る2つの巻取軸それぞれにテープの異なる幅または巻き径に応じた異なる伝達トルクを2つのクラッチ手段により伝達するので、例えば幅広のテープを巻き取る際には、伝達トルクの大きいクラッチ手段によって駆動手段の回転が伝達される巻取軸で巻き取り、また幅狭のテープを巻き取る際には、伝達トルクの小さいクラッチ手段によって駆動手段の回転が伝達される巻取軸で巻き取ることにより、テープ幅に応じた伝達トルクでテープを巻き取ることができ、このためテープ幅が異なっていても、テープが切れたりせずに、確実かつ良好にテープを巻き取ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、図1〜図3を参照して、この発明のテープ巻取装置を印字装置に適用した第1実施形態について説明する。
図1はテープ幅の狭いテープカセットを印字装置に装着した状態の要部の拡大平面図、図2はテープ幅の広いテープカセットを印字装置に装着した状態の要部の拡大平面図、図3は図1および図2のテープ巻取装置の側面図である。
この印字装置は、図1および図2に示すように、プラテンローラ1、印字ヘッド2、およびテープ巻取装置3を備え、これらが図3に示す基台4上に設けられ、この基台4が図示しない装置本体のカセット収納部の下に配設され、プラテンローラ1、印字ヘッド2、およびテープ巻取装置3の後述する第1、第2巻取軸5、6がカセット収納部内に突出し、この状態で種類の異なる2つのテープカセット7、8のいずれかがカセット収納部内に着脱可能に装着されるように構成されている。
【0008】
プラテンローラ1は、基台4上に立設されたローラ支持軸10に回転自在に取り付けられ、図示しない駆動モータからの駆動力がローラ支持軸10に伝達されて回転するように構成されている。
印字ヘッド2は、基台4上に立設されたヘッド支持軸11に回動可能に取り付けられ、このヘッド支持軸11を中心に回動してプラテンローラ1に圧接離間する構成になっている。この場合、印字ヘッド2は、プラテンローラ1に圧接する面に発熱部2aがローラ支持軸10に沿って設けられ、この発熱部2aが選択的に発熱駆動されるように構成されている。
テープ巻取装置3は、駆動モータ(駆動手段)12、歯車列(伝達手段)13、第1、第2巻取軸5、6、および第1、第2摩擦クラッチ(クラッチ手段)14、15を備えている。
【0009】
歯車列13は、駆動モータ12の回転が伝達されて回転するものであり、駆動モータ12の出力軸に設けられた駆動歯車16と、基台4に立設された支持軸17aに回転自在に取り付けられて駆動歯車16に噛み合って回転する第1中間歯車17と、第1巻取軸5に回転自在に取り付けられて第1中間歯車17に噛み合って回転する第1巻取歯車18と、基台4に立設された支持軸19aに回転自在に取り付けられて第1巻取歯車18に噛み合って回転する第2中間歯車19と、第2巻取軸6に回転自在に取り付けられて第2中間歯車19に噛み合って回転する第2巻取歯車20とからなっている。
第1、第2巻取軸5、6は、図3に示すように、それぞれ基台4上にほぼ同じ高さで回転自在に取り付けられ、その各上部にスプール21、22が取り付けられ、歯車列13を構成する第1巻取歯車18と第2巻取歯車20とを介して駆動モータ12からの駆動力がそれぞれ第1、第2摩擦クラッチ14、15によって伝達されて回転するように構成されている。
【0010】
第1、第2摩擦クラッチ14、15のうち、第1摩擦クラッチ14は、図3に示すように、第1巻取歯車18の下面側に位置し、第1巻取軸5の下部に一体に取り付けられたクラッチ板23と、このクラッチ板23の上面に配置されて第1巻取歯車18の下面に当接するフェルトなどの摩擦材24と、第1巻取軸5の上部に取り付けられたスプール21と第1巻取歯車18との間に配置されて第1第1巻取歯車18を摩擦材24を介してクラッチ板23に押し付けるように付勢する第1コイルばね25とを備えている。
この第1摩擦クラッチ14は、第1コイルばね25のばね力によって第1巻取歯車18が摩擦材24に押し付けられることにより、第1巻取歯車18と摩擦材24との摩擦力によって第1巻取歯車18の回転がクラッチ板23を介して第1巻取軸5に伝達され、これにより第1巻取軸5が第1コイルばね25のばね力に応じた伝達トルクAで回転することになり、この伝達トルクA以上の負荷が第1巻取軸5に加わると、第1巻取歯車18に対し摩擦材24がスリップし、第1巻取歯車18が空転するように構成されている。
【0011】
また、第2摩擦クラッチ15は、第1摩擦クラッチ14と同様、第2巻取歯車20の下面側に位置し、第2巻取軸6の下部に一体に取り付けられたクラッチ板26と、このクラッチ板26の上面に配置されて第2巻取歯車20の下面に当接するフェルトなどの摩擦材27と、第2巻取軸6の上部に取り付けられたスプール22と第2巻取歯車20との間に配置されて第2巻取歯車20を摩擦材27を介してクラッチ板26に押し付けるように付勢する第2コイルばね28とを備えている。
この第2摩擦クラッチ15は、第2コイルばね28のばね力によって第2巻取歯車20が摩擦材27に押し付けられることにより、第2巻取歯車20と摩擦材27との摩擦力によって第2巻取歯車20の回転がクラッチ板26を介して第2巻取軸6に伝達され、これにより第2巻取軸6が第2コイルばね28のばね力に応じた伝達トルクBで回転することになり、この伝達トルクB以上の負荷が第2巻取軸6に加わると、第2巻取歯車20に対し摩擦材27がスリップし、第2巻取歯車20が空転するように構成されている。
【0012】
このように、第1、第2摩擦クラッチ14、15は、第1、第2コイルばね25、28のばね力を調節することにより、各伝達トルクA、Bが設定される。すなわち、第1摩擦クラッチ14は、その伝達トルクAが後述するテープ幅の狭いインクテープ36の耐力よりも小さくなるように第1コイルばね25のばね力によって設定されている。また、第2摩擦クラッチ15は、その伝達トルクBが後述するテープ幅の広いインクテープ45の耐力よりも小さくなるように第2コイルばね28のばね力によって設定されている。この場合、幅広のインクテープ45の耐力は、幅狭のインクテープ36の耐力よりも大きいため、第2摩擦クラッチ15の伝達トルクBは、第1摩擦クラッチ14の伝達トルクAよりも大きく(B>A)設定されている。因みに、第1摩擦クラッチ14の伝達トルクAは、幅狭のインクテープ36の耐力よりも小さい、例えば100gcm以内に設定されており、第2摩擦クラッチ15の伝達トルクBは、幅広のインクテープ45の耐力よりも小さい、例えば200gcm以内に設定されている。
【0013】
ところで、このような印字装置に装着される種類の異なる2つのテープカセット7、8のうち、一方のテープカセット7は、テープ幅の狭いものであり、図1に示すように、カセットケース30を備えている。このカセットケース30内には、印字用テープ供給リール31、インクテープ供給リール32、およびインクテープ巻取リール33がそれぞれ回転自在に設けられており、このインクテープ巻取リール33は第1巻取軸5に対応し、この第1巻取軸5の上部のスプール21と係脱可能に設けられている。また、このカセットケース30の上辺部には、印字ヘッド2が挿入する切欠部34が形成されている。この場合、カセットケース30は、図3に示すように、その厚さT1が後述する他方のテープカセット8の厚さT2に比べて薄く形成されており、これに伴って印字用テープ供給リール31に巻かれた印字用テープ35およびインクテープ供給リール32に巻かれたインクテープ36は、その各テープ幅が後述するインクテープ45の幅よりも狭く形成されている。また、このカセットケース30は、図1に示すように、その縦方向(同図では上下方向)の幅が小さく形成され、第2巻取軸6に当接しないように構成されている。なお、このカセットケース30は、その3隅部に鍔部30aが設けられ、この鍔部30aが図3に示すカセット収納部の位置決め部37に当接し、これによりカセット収納部内の所定高さ位置に配置される。
【0014】
このテープ幅の狭いテープカセット7は、第1巻取軸5がインクテープ巻取リール33に挿入し、印字ヘッド2が切欠部34に挿入した状態で、印字装置のカセット収納部(図示せず)に装着される。このときには、第2巻取軸6がカセットケース30の外部に位置し、カセットケース30が第2巻取軸6に当接することがない。また、カセットケース30は、その鍔部30aが図3に示すカセット収納部の位置決め部37に当接して所定高さ位置に配置される。この状態では、印字用テープ供給リール31から印字用テープ35が繰り出されるとともに、インクテープ供給リール32からインクテープ36が繰り出された上、印字用テープ35とインクテープ36とが重なり合って切欠部34に送り出され、プラテンローラ1と印字ヘッド2との間を通過した後、印字用テープ35とインクテープ36とが分離され、印字用テープ35がカセットケース30から装置本体の外部に送り出されるとともに、インクテープ36がインクテープ巻取リール33に巻き取られる。この場合、印字用テープ35とインクテープ36とが重なり合ってプラテンローラ1と印字ヘッド2との間を通過するときに、印字ヘッド2の発熱部2aの発熱によりインクテープ36のインクが印字用テープ35に印字される。
【0015】
一方、種類の異なる他方のテープカセット8は、テープ幅の広いものであり、図2に示すように、カセットケース40を備えている。このカセットケース40内には、インクテープ供給リール41、ガイドリール42、およびインクテープ巻取リール43がそれぞれ回転自在に設けられており、ガイドリール42は第1巻取軸5に対応して設けられ、インクテープ巻取リール43は第2巻取軸6に対応し、この第2巻取軸6の上部のスプール22と係合可能に設けられている。また、カセットケース40の上辺部には、印字ヘッド2が挿入する切欠部44が形成されている。この場合、カセットケース40は、図3に示すように、その厚さT2がテープ幅の狭いテープカセット7の厚さT1に比べて厚く形成されており、これに伴ってインクテープ供給リール41に巻かれたインクテープ45は、その各テープ幅がインクテープ36の幅よりも広く形成されている。また、このカセットケース40は、図2に示すように、その縦方向(同図では上下方向)の幅がテープ幅の狭いテープカセット7に比べて大きく形成され、これにより収納量が多く、しかも印字用テープ35が収納されないため、インクテープ供給リール41にインクテープ45が大きな巻き径で巻かれて収納されている。なお、このカセットケース40においても、3個所に鍔部40aが設けられ、この鍔部40aが図3に示すカセット収納部の位置決め部37に当接し、これによりカセット収納部内の所定高さ位置に配置される。
【0016】
このテープ幅の広いテープカセット8は、第1巻取軸5がガイドリール42に空転可能に挿入し、第2巻取軸6がインクテープ巻取リール43に挿入し、印字ヘッド2が切欠部44に挿入した状態で、印字装置のカセット収納部(図示せず)に装着される。このときにも、カセットケース40は、その鍔部40aが図3に示すカセット収納部の位置決め部37に当接して所定高さ位置に配置される。この状態では、インクテープ供給リール41からインクテープ45が切欠部44に繰り出され、プラテンローラ1と印字ヘッド2との間を記録紙46と共に重なり合って通過した後、インクテープ45がガイドリール42にガイドされてインクテープ巻取リール43に巻き取られる。この場合、インクテープ45が記録紙46と重なり合ってプラテンローラ1と印字ヘッド2との間を通過するときに、印字ヘッド2の発熱部2aの発熱によりインクテープ45のインクが記録紙46に印字される。
【0017】
次に、このような印字装置の作用について説明する。
まず、図1に示すテープ幅の狭いテープカセット7を用いて印字をする場合には、テープカセット7を印字装置のカセット収納部(図示せず)に装着する。すると、図1に示すように、第1巻取軸5がインクテープ巻取リール33に挿入し、第2巻取軸6がカセットケース30の外部に位置し、印字ヘッド2が切欠部34に挿入し、印字ヘッド2とプラテンローラ1との間に印字用テープ35とインクテープ36とが重ね合わされて配置される。この状態で、印字ヘッド2をプラテンローラ1にインクテープ36と印字用テープ35とを介して圧接させた後、プラテンローラ1を回転させて、印字用テープ35とインクテープ36とを重ね合わせた状態で搬送するとともに、印字ヘッド2の発熱部2aを印字データに基づいて発熱駆動する。これにより、インクテープ36のインクが溶融して印字用テープ35に順次印字される。
【0018】
このように印字が行われるときには、テープ巻取装置3の駆動モータ12が回転し、この回転が歯車列13の駆動歯車16および第1中間歯車17を介して第1巻取歯車18に伝達され、この第1巻取歯車18の回転が図3に示す第1摩擦クラッチ14を介して第1巻取軸5に伝達され、これにより第1巻取軸5が回転し、この第1巻取軸5の上部のスプール21と係合したインクテープ巻取リール33が印字されたインクテープ36を巻き取る。このときには、印字されたインクテープ36がたるまないように、インクテープ巻取リール33の巻取速度がプラテンローラ1の搬送速度よりも速く設定されているため、その速度差によりインクテープ36が引っ張られて第1巻取軸5に負荷が加わることになる。この場合、テープカセット7内に収納されたインクテープ36は、そのテープ幅が狭く、その耐力が小さいが、第1摩擦クラッチ14の伝達トルクAが幅狭のインクテープ36の耐力よりも小さく設定されているので、インクテープ36に伝達トルクA以上の負荷が加わると、第1巻取歯車18に対し摩擦材24がスリップして第1巻取歯車18が空転する。このため、インクテープ36が切れたりせず、確実かつ良好にインクテープ36を巻き取ることができる。
【0019】
また、図2に示すテープ幅の広いテープカセット8を用いて印字をする場合には、テープカセット8を印字装置のカセット収納部(図示せず)に装着する。すると、図2に示すように、第2巻取軸6がガイドリール42に挿入し、第2巻取軸6がインクテープ巻取リール43に挿入し、印字ヘッド2が切欠部44に挿入し、印字ヘッド2とプラテンローラ1との間にインクテープ45が記録紙46と共に重ね合わされて配置される。この状態で、印字ヘッド2をプラテンローラ1にインクテープ45と記録紙46とを介して圧接させた後、プラテンローラ1を回転させて、記録紙46とインクテープ45とを重ね合わせた状態で搬送するとともに、印字ヘッド2の発熱部2aを印字データに基づいて発熱駆動する。これにより、インクテープ45のインクが溶融して記録紙46に順次印字される。
【0020】
このように印字が行われるときには、テープ幅の狭いテープカセット7と同様、テープ巻取装置3の駆動モータ12が回転し、この回転が歯車列13の駆動歯車16、第1中間歯車17、第1巻取歯車18、および第2中間歯車19を介して第2巻取歯車20に伝達され、この第2巻取歯車20の回転が図3に示す第2摩擦クラッチ15を介して第2巻取軸6に伝達され、これにより第2巻取軸6が回転し、この第2巻取軸6の上部のスプール22と係合したインクテープ巻取リール43が印字されたインクテープ45を巻き取る。このときにも、印字されたインクテープ45がたるまないように、インクテープ巻取リール43の巻取速度がプラテンローラ1の搬送速度よりも速く設定されているため、その両者の速度差によりインクテープ45が引っ張られて第2巻取軸6に負荷が加わることになる。
【0021】
この場合、テープカセット8内に収納されたインクテープ45は、そのテープ幅が広く、その耐力が大きいので、第2摩擦クラッチ15の伝達トルクBは、幅広のインクテープ45の耐力よりも小さく、かつ幅狭のインクテープ36の耐力よりも大きく設定されている。このため、第2巻取軸6には、第1巻取軸5の伝達トルクAよりも大きな伝達トルクBが伝達されることになり、これによりインクテープ45がたるまないように確実かつ良好にインクテープ巻取リール43で巻き取ることができる。しかも、この幅広のインクテープ45に伝達トルクB以上の負荷が加わった際には、第2巻取歯車20に対し摩擦材27がスリップして、第2巻取歯車20が空転するため、インクテープ45が切れたりすることがない。
【0022】
このように、このテープ巻取装置3によれば、幅狭のインクテープ36と幅広のインクテープ45をその種類ごとに巻き取る第1、第2巻取軸5、6それぞれにインクテープ36、45の幅に応じた異なる伝達トルクA、Bを第1、第2摩擦クラッチ14、15により伝達するので、例えば幅狭のインクテープ36を巻き取る際には、伝達トルクAが小さい第1摩擦クラッチ14によって駆動モータ12の回転が伝達される第1巻取軸5で巻き取ることができ、また幅広のインクテープ45を巻き取る際には、伝達トルクBが大きい第2摩擦クラッチ15によって駆動モータ12の回転が伝達される第2巻取軸6で巻き取ることができ、このためインクテープ36、45の各幅に応じた伝達トルクA、Bでインクテープ36、45を巻き取ることができるので、インクテープ36、45の幅が異なっていても、インクテープ36、45が切れたりせずに、確実かつ良好にインクテープ36、45を巻き取ることができる。
【0023】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、この発明のテープ巻取装置の第2実施形態について説明する。なお、図1〜図3に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
このテープ巻取装置50は、第2巻取軸51および第2摩擦クラッチ52が異なる以外は第1実施形態と同じ構成になっている。
すなわち、第2巻取軸51は、基台4上に回転自在に取り付けられ、その上部に取り付けられたスプール53が第1実施形態と異なった構成になっている。このスプール53は、テープカセット8のインクテープ巻取リール43に挿入してインクテープ巻取リール43を回転させるものであり、その高さが第1巻取軸5のスプール21の高さの半分程度に低く形成されている。
【0024】
この場合、テープ幅の広いテープカセット8は、第1実施形態と同様、カセットケース40の鍔部40aがカセット収納部の位置決め部37によって所定高さ位置に配置され、このときに第2巻取軸51のスプール53がインクテープ巻取リール43のほぼ下半分に挿入して係合する。また、テープ幅の狭いテープカセット7は、カセットケース30の鍔部30aがカセット収納部に設けられた別の位置決め部54によって、図4に示すように、第2巻取軸51のスプール53の上方に位置した状態で配置され、このときに第1巻取軸5のスプール21のほぼ上半分がインクテープ巻取リール33に挿入して係合する。なお、テープ幅の広いテープカセット8のカセットケース40には、別の位置決め部54の逃げ部(図示せず)が設けられいる。
【0025】
また、第2摩擦クラッチ52は、第2中間歯車19が回転自在に取り付けられた支持軸19aの上部に回転自在に取り付けられたクラッチ歯車55と、このクラッチ歯車55の下面に設けられて第2中間歯車19の上面に当接するフェルトなどの摩擦材56と、支持軸19aの上端部に設けられた押え板57とクラッチ歯車55との間に設けられてクラッチ歯車55を摩擦材56を介して第2中間歯車19に押し付ける第2コイルばね58を備え、クラッチ歯車55が第2巻取軸51に一体的に取り付けられた第2巻取歯車20に常に噛み合って回転するように構成されている。
【0026】
この第2摩擦クラッチ52は、第2コイルばね58のばね力によってクラッチ歯車55が摩擦材56を第2中間歯車19に押し付けることにより、第2中間車19と摩擦材56との摩擦力によって第2中間車19の回転がクラッチ歯車55に伝達され、これによりクラッチ歯車55の回転が第2巻取歯車20を介して第2巻取軸51に伝達され、この第2巻取軸51が第2コイルばね58のばね力に応じた伝達トルクBで回転することになり、この伝達トルクB以上の負荷が第2巻取軸51および第2巻取歯車20を介してクラッチ歯車55に加わると、第2中間歯車19に対し摩擦材56がスリップし、第2中間歯車19が空転するように構成されている。この場合、第2摩擦クラッチ52は、第1実施形態と同様、その伝達トルクBが幅広のインクテープ45の耐力よりも小さく、かつ幅狭のインクテープ36の耐力よりも大きい、例えば200gcm以内になるように第2コイルばね58のばね力によって設定されている。
【0027】
このようなテープ巻取装置50を備えた印字装置によって、図1に示すテープ幅の狭いテープカセット7を用いて印字をする場合には、カセット収納部に装着されるテープカセット7の高さ位置が第1実施形態のときよりも高く配置されるが、これ以外は第1実施形態と同様に印字を行ってテープ巻取装置50により印字された幅狭のインクテープ36を巻き取ることができる。
また、図2に示すテープ幅の広いテープカセット8を用いた場合には、第1実施形態とほぼ同様、テープカセット8がカセット収納部に装着され、この状態で印字を行ってテープ巻取装置50により印字された幅広のインクテープ45を巻き取ることができる。
【0028】
この幅広のインクテープ45を巻き取るときにも、幅広のインクテープ45がたるまないように、巻取速度が搬送速度よりも速く設定されており、これに伴って第2摩擦クラッチ52の伝達トルクBが幅広のインクテープ45の耐力よりも小さく、かつ幅狭のインクテープ36の耐力よりも大きく設定されている。このため、第2巻取軸51には、第1巻取軸5の伝達トルクAよりも大きな伝達トルクBが伝達されることになり、これによりインクテープ45がたるまないように確実かつ良好にインクテープ巻取リール43で巻き取ることができる。しかも、この幅広のインクテープ45に伝達トルクB以上の負荷が加わった際には、第2中間歯車19に対し摩擦材56がスリップして、第2中間歯車19が空転するため、インクテープ45が切れたりすることがない。
【0029】
このように、このテープ巻取装置50においても、第1実施形態と同様、幅狭のインクテープ36と幅広のインクテープ45をその種類ごとに巻き取る第1、第2巻取軸5、51それぞれにインクテープ36、45の幅に応じた異なる伝達トルクA、Bを第1、第2摩擦クラッチ14、52によって伝達するので、インクテープ36、45の各幅に応じた伝達トルクA、Bでインクテープ36、45を巻き取ることができ、これによりインクテープ36、45の幅が異なっていても、インクテープ36、45が切れたりせずに、確実かつ良好にインクテープ36、45を巻き取ることができる。
【0030】
また、このテープ巻取装置50では、第2巻取軸51のスプール53の高さが第1巻取軸5のスプール21の高さよりも低く形成され、テープ幅の狭いテープカセット7がカセット収納部に装着された際に、このテープカセット7が第2巻取軸51の上方に配置されるので、第2巻取軸51の設置個所が制約を受けず、所望の個所に第2巻取軸51を設置することができる。このため、例えば、第2巻取軸51を第1巻取軸5に近づけた個所に設置することにより、図2に示すテープ幅の広いテープカセット8をコンパクトに形成することができ、また図1に示すテープカセット7が第2巻取軸51によって制約を受けることがないので、テープカセット7の縦方向(同図では上下方向)の幅を大きくすることができ、これにより印字用テープ35およびインクテープ36の収納量を大きくすることが可能になる。
【0031】
なお、上記第1、第2実施形態では、第1、第2摩擦クラッチ14、15、52の各伝達トルクが各コイルばね25、28、58のばね力によって調節されているが、これに限らず、各コイルばね25、28、58のばね力を一定にし、各摩擦材24、27、56の材質を変えることにより、各伝達トルクを適宜設定するようにしても良い。
また、上記第1、第2実施形態では、クラッチ手段として、第1、第2摩擦クラッチ14、15、52を用い、これらを第1、第2巻取軸5、6、または第2中間歯車19の支持軸19aに設けたが、これに限らず、歯車列13の各歯車16〜20のうちのいずれかの歯車にクラッチ機構をもたせても良い。
【0032】
また、上記第1、第2実施形態では、テープ幅が2種類であり、これに伴って巻取軸が、第1、第2巻取軸5、6、または5、51のそれぞれ2つずつである場合について述べたが、これに限らず、テープ幅が3種類以上であれば、その種類の数に応じて適宜巻取軸を増設すれば良い。例えば、テープ幅が3種類であれば、3種類のテープ幅に応じた伝達トルクによって回転する巻取軸を3つに増設すれば良く、また4種類であれば、その種類に応じた伝達トルクによって回転する巻取軸を4つに増設すれば良い。
【0033】
さらに、上記第1、第2実施形態では、テープ幅の異なるインクテープを巻き取る場合について述べたが、これに限らず、例えばテープ幅が同じで巻き径が異なるインクテープの巻き取りにも適用することができる。すなわち、テープ幅が同じである場合、インクテープ供給リールに巻かれるテープの巻き径が小さいときには、テープを巻き取る際の負荷が小さく、逆にテープの巻き径が大きいときには、テープを巻き取る際の負荷が大きいため、インクテープを巻き取る際の負荷の大きさに応じた伝達トルクによって回転する複数の巻取軸を設置し、テープの引張力に応じた伝達トルクで回転する巻取軸で巻き取るようにすれば良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、テープを各種類ごとに巻き取る2つの巻取軸それぞれにテープの異なる幅または巻き径に応じた異なる伝達トルクを2つのクラッチ手段により伝達するので、例えば幅広のテープを巻き取る際には、伝達トルクの大きいクラッチ手段によって駆動手段の回転が伝達される巻取軸で巻き取り、また幅狭のテープを巻き取る際には、伝達トルクの小さいクラッチ手段によって駆動手段の回転が伝達される巻取軸で巻き取ることにより、テープ幅に応じた伝達トルクでテープを巻き取ることができ、このためテープ幅が異なっていても、テープが切れたりせずに、確実かつ良好にテープを巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のテープ巻取装置の第1実施形態を用いた印字装置にテープ幅の狭いテープカセットを装着した状態の要部の拡大平面図。
【図2】図1の印字装置にテープ幅の広いテープカセットを装着した状態の要部の拡大平面図。
【図3】図1および図2に示されたテープ巻取装置の側面図。
【図4】この発明のテープ巻取装置の第2実施形態を示した側面図。
【符号の説明】
3、50 テープ巻取装置
5 第1巻取軸
6、51 第2巻取軸
12 駆動モータ
13 歯車列
14 第1摩擦クラッチ
15、52 第2摩擦クラッチ
36 幅狭のインクテープ
45 幅広のインクテープ

Claims (4)

  1. 駆動回転する駆動手段と、
    この駆動手段の回転が伝達されて回転する伝達手段と、
    幅または巻き径の異なる2種類のテープに対応して2つ設けられ、前記伝達手段を介して前記駆動手段の回転が伝達されて前記テープを各種類ごとに巻き取る巻取軸と、
    これら2つの巻取軸それぞれに前記テープの異なる幅または巻き径に応じた異なる伝達トルクを伝達させ、前記テープにそれぞれの伝達トルク以上の負荷が加わると空転する2つのクラッチ手段と
    を備えたことを特徴するテープ巻取装置。
  2. 前記2つのクラッチ手段は、それぞれ前記2つの巻取軸に設けられていることを特徴する請求項1記載のテープ巻取装置。
  3. 前記クラッチ手段のうち、少なくとも1つのクラッチ手段は、前記伝達手段に設けられていることを特徴する請求項1記載のテープ巻取装置。
  4. 前記2つの巻取軸のうち、一方の巻取軸の高さ寸法は他方の巻取軸の高さ寸法よりも低く設定され、前記一方の巻取軸の伝達トルクは前記他方の巻取軸の伝達トルクよりも大きく設定されていることを特徴する請求項1〜3のいずれか記載のテープ巻取装置。
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