JP4033592B2 - Sf6ガス回収装置 - Google Patents

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  • Separation By Low-Temperature Treatments (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はSF6ガス(6フッ化硫黄ガス、以下同じ)の回収に関する。
【0002】
【従来の技術】
SF6ガスは高電圧電力用トランスや電力回路の遮断器に充填し、その熱的安定性,電気的安定性,高絶縁耐圧性を生かして装置の小型化を可能にし、都市の変電所の小容積化でその貢献は大きい。それ等に用いられている機器の保守,修理のときはこれ等のガスを抜出さなければならないが従来はこれ等のガスによる人体等への害は少ないので大気中に放出していた。しかし、地球温暖化防止による炭酸ガス等の放出が規制されるようになってきた1997年世界環境会議が京都で開催され、その結果炭酸ガスの24000倍の温暖化係数を持つSF6ガスもその放出を厳しく規制されるようになった。
【0003】
従来、加圧圧縮冷却による液化回収の方法はあったが、被回収容器に残留するガスや混合ガスの厳密な分離放出はされていなかった。
従来、SF6ガスが分解してできたガスであるSF4ガスや亜硫酸ガス,SOF2は使用機器の特性劣化をまねくが、これを防止するための除去装置はあったが回収時に分離精製する装置はなかった。トランスや遮断器に充填されるSF6ガスはその純度が100%のものや窒素ガスにより適度にうすめて充填されるものがある。これ等の装置のガスをSF6ガスのみを分離しながら回収するに当たってこの濃度を考慮するとともに装置の故障による空気の混入もあるので、これ等を考えたガスの回収が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
被回収容器よりSF6ガスを大気中に漏出することなくほぼ全量回収すること。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は上記課題を解決するため、臨界温度45.64℃,臨界圧力3.76MPa・G,融点−50.8℃,昇華点−63.8度のSF6ガスの特徴を考慮し、さらに被回収容器としてのトランス又は電路の遮断器は密閉容器でありその中にSF6ガスが高圧(約0.7MPa・G)で充填されている。
【0006】
この被回収ガスはSF6ガス100%のものと窒素ガス等の混入ガスによりうすめられている場合がある。
この混入ガスが存在していてもこれをSF6ガスと分離するガス分離部を設ける。
このガス分離部は特定ガスを吸着する吸着剤を用いたPSA法(Pressure Swing Adosorption)により行う。特定ガスを含む混合ガスを、該吸着剤を充填した吸着筒に圧力を加えながら送り込むとこの吸着剤に特定ガスが吸着して除かれ、吸着されないガスが吸着筒の他端から分離されて取り出される。この工程を吸着工程という。そして吸着剤に吸着ガスが吸着されていっぱいになる少し前に混合(原料)ガスの送入を止め、その吸着筒の入口より吸着筒の圧力を減じてやると、吸着剤に吸着した特定ガスが吸着剤より離脱して排出され、吸着剤の吸着能力が再生する。これを再生工程という。この吸着剤を用いて吸着工程と再生工程を繰り返しながら、すなわち吸着筒に圧力を加えたり、減じたりしながらガスを分離するのでPressure Swing Adosorption(圧力変動吸着)法という。
【0007】
そして吸着剤には対象ガスであるSF6ガスを吸着して、混合ガスを吸着しない吸着剤と、対象ガスであるSF6ガスを吸着せず混合している他のガスを吸着する吸着剤とがある。その使用する吸着剤により、対象ガスを取り出す方法が異なる。
例えばSF6ガスを対象ガスとし、前者は活性炭に分子篩炭機能を持たせた分子篩炭がある。後者にはゼオライトの5Aタイプ,4Aタイプ他がある。前者の場合は対象ガスであるSF6ガスが吸着剤に吸着し、分離されているのであるから、減圧再生工程で吸着剤より離脱する工程内でSF6ガスを回収する。後者では加圧吸着工程でSF6ガスが吸着筒の他端より分離されて出てくるので吸着工程で得られる。これ等両方の吸着剤を用いたPSA法によるガス分離部が含まれる。
例えばゼオライトは、SF6ガスはほとんど吸着せず窒素ガスや炭酸ガス,水分をよく吸着除去する、酸素ガスはわずかに吸着するので、SF6ガスとこれ等のガスが混合しているガスからSF6ガスを分離するガス分離部にこのゼオライトを吸着剤として使用することができ、この場合の例を次に示す。
【0008】
原料ガスを一定の圧力にするガス一定圧化部により圧力を一定化した後、該原料ガスを加圧ポンプにより加圧し、液化部へ圧送し、該液化部は冷却器と液化タンクで構成したものでSF6ガスを液化分離し、液化タンクより不液化ガスを取出し、吸着剤を充填した吸着筒と弁類で構成するPSAガス分離部に導入し、窒素ガスなどの混合ガスをSF6ガスと分離して排出しSF6ガスを該加圧ポンプの前の工程に戻すようにした。SFガスの大気への漏出を可能な限り零に近づけるため、混合ガスとSF6ガスを分離させるPSAガス分離部における工夫が必要であり、分離排気するガスを吸着除去した吸着工程の終了した吸着筒内の吸着剤中の空隙にSF6ガスが残留しているため、これをも回収する必要がある。すなわち原料ガスを一定の圧力にするガス一定圧化部により圧力を一定化した後、該原料ガスを加圧ポンプにより加圧し、液化部へ圧送し、該液化部は冷却器と液化タンクで構成されSF6ガスを液化分離し、液化タンクより不液化ガスを取出し、吸着剤を充填した吸着筒と弁類で構成するPSAガス分離部に導入し、窒素ガスなどをSF6ガスと分離して排出しSF6ガスを該加圧ポンプの前の工程に戻すようにしたSF6ガス回収装置において、該PSAガス分離部は該吸着筒を2本有し、それぞれの入口にはガス供給弁と排気弁と該吸着筒出口には取出弁を有する吸着筒のそれぞれの弁の開閉を制御して2本の吸着筒を交互に吸着工程と再生工程を行ってSF6ガスを分離する際、吸着工程から再生工程に切替る間に両吸着筒間の各々のガス供給弁と取出弁を同時に開いて吸着工程完了後の吸着筒から再生工程完了後の吸着筒にガスを一部移す均圧工程を行った後、吸着工程終了後の吸着筒を再生工程に入ることにより吸着筒内の空隙内のSF6ガスと導入パイプ,排出パイプ内に存在するSF6ガスを再生後の吸着筒内に導入され2筒間の圧力が均圧される。その圧力は吸着工程終了後の吸着筒内の圧力がほぼ1/2になるので一部吸着している窒素ガスまでも脱離して再生後の吸着筒に移動する。そして吸着工程終了後の吸着筒内にはSF6ガスは残留しないのでこれを減圧して離脱する窒素ガスなどを大気中に放出し、吸着筒内の吸着剤を再生する。これは真空ポンプによって真空領域まで減圧し再生することもある。
【0009】
但し、吸着工程時に加圧する圧力値や使用する吸着剤の種類や吸着剤の製造メーカーによりその特性が多少異なるので真空ポンプまで必要としない場合もある。被回収容器であるトランス筐体や電路遮断器内に充填したSF6ガスは当初圧力が約0.7MPa・Gで充填されているが、SF6ガス回収装置に導出されるに従って圧力が下がってくる。加圧ポンプは一次側の圧力により二次側の圧力や加圧ポンプにかかる負荷量が大きく変わるので必ず必要であるというわけではないが一次側の圧力を一定化することが重要である。すなわち原料ガスを一定の圧力にするガス一定圧化部により圧力を一定化した後、該原料ガスを加圧ポンプにより加圧し、液化部へ圧送し、該液化部は冷却器と液化タンクで構成されSF6ガスを液化分離し、液化タンクより不液化ガスを取出し、吸着剤を充填した吸着筒と弁類で構成するPSAガス分離部に導入し、該窒素ガスなどをSF6ガスと分離して排出しSF6ガスを該加圧ポンプの前の工程に戻すようにしたSF6ガス回収装置において、ガス一定圧化部は減圧弁,弁,真空ポンプを組合せた並列回路により構成し原料ガス源の圧力値によりそのガスの通路を切替えて制御することにより、被回収容器の圧力が高いときは減圧弁により圧力を下げガス回収作業の進行に伴って所定値以下まで下がると弁により被回収容器から直接に、そして大気圧以下になると真空ポンプによりガス圧を一定圧化するものである。
【0010】
液化部に加圧されて入ってくるガスは窒素ガスとSF6ガスの混合ガスである。SF6ガスを液化するためには臨界温度以下である所定の温度と一定の圧力が必要となるので原料ガス中のSF6ガスの濃度(分圧)により決まる一定の圧力が必要となる。温度は低い方がその圧力は低くなるので、液化部の冷却を−195.81℃に沸点を持つ液体窒素の気化潜熱とその冷気を用いて加圧ガスの冷却器と液化タンクを冷却する。すなわち原料ガスを一定の圧力にするガス一定圧化部により圧力を一定化した後、該ガスを加圧ポンプにより加圧し、液化部へ圧送し、該液化部は冷却器と液化タンクで構成されSF6ガスを液化分離し、液化タンクより不液化ガスを取出し、吸着剤を充填した吸着筒と弁類で構成するPSAガス分離部に導入し、窒素ガスなどをSF6ガスと分離して排出しSF6ガスを該加圧ポンプの前の工程に戻すようにしたSF6ガス回収装置において、該液化部は加圧ガスの冷却器と液化タンクよりなり、これ等の冷却を液体窒素の気化潜熱を用いて冷却するようにする。
【0011】
液化部の温度を−40℃になるように調節設定し、そのときの加圧ポンプによる加圧値は3MPa・G以上になるように加圧する。 被回収容器内の原料ガスが導出され減ってくるに従い、PSAガス分離部に液化タンクより導出されるガス量も減ってくるので一定時間毎のサイクルを切替える方法では十分なガスが入らないうちに切替えるようになる。そのため、所定圧力に吸着筒の圧力が達したとき、サイクルを切替えるようにする。すなわち、原料ガスを一定の圧力にするガス一定圧化部により圧力を一定化した後、該原料ガスを加圧ポンプにより加圧し、液化部へ圧送し、該液化部は冷却器と液化タンクで構成されSF6ガスを液化分離し、液化タンクより不液化ガスを取出し、吸着剤を充填した吸着筒と弁類で構成するPSAガス分離部に導入し、窒素ガスなどをSF6ガスと分離して排出しSF6ガスを該加圧ポンプの前の工程に戻すようにしたSF6ガス回収装置において、該PSAガス分離部は該吸着筒を2本有し、それぞれの入口にはガス供給弁と排気弁と該吸着筒出口には取出弁を有する吸着筒のそれぞれの弁の開閉を制御して2本の吸着筒を交互に吸着工程と再生工程を行ってSF6ガスを分離する際、吸着工程から再生工程に切替る間に両吸着筒間の各々のガス供給弁と取出弁を同時に開いて吸着工程完了後の吸着筒から再生工程完了後の吸着筒にガスを一部移した後、吸着工程終了後の吸着筒を再生工程に入るサイクルにおいて、吸着工程にある吸着筒内の圧力が所定の圧力になったとき、サイクルを切替るようにする。
また、吸着剤にSF6ガスを吸着する分子篩炭を用いる場合は、吸着筒内の吸着剤にSF6ガスが吸着して除去されるので吸着筒の他端よりSF6ガスを含まない窒素ガスが出るのでこれを廃棄し、再生工程で減圧され排気されるガスにSF6ガスが濃縮して取り出されるので、これを加圧ポンプに加える。減圧する際真空ポンプを用いる場合もある。
【0012】
【実施例】
図1に実施例のフローチャートを示す。
被回収容器1から取出したガスをガス一定圧化部2により圧力を一定化した後に、バッファタンク4を介して加圧ポンプ5により加圧した圧力を3MPa・G以上に加圧し、液化部6に圧送する。液化部6はガスの冷却器7と液化タンク8より構成され、その冷却を−195.81℃に沸点を持つ液体窒素の気化潜熱とその冷気を用いて行い、その温度を−40℃になるよう調節して設定している。
【0013】
これによりSF6ガスは液化タンク8内で液化し、魔法瓶(保温容器)から成る貯留タンク9に貯留する。窒素ガスを主体とする除去ガスは不液化ガスとして液化タンク8の空間に溜まる。これを弁18によりPSAガス分離部3に導入し、弁19を開いて吸着筒23に導入すると吸着剤であるゼオライトに窒素が吸着される。吸着剤に吸着されないSF6ガスは吸着筒23の他端より弁25を通って、バッファタンク4に入り、再び加圧ポンプ5により加圧されるサイクルに入っていく。吸着筒は窒素ガスの吸着が進むにつれて内圧が高まっていき、所定の圧力に達すると、弁27,18,20,22を閉とし、弁19,21と弁25,26を開とし、再生工程の終了している吸着筒24と均圧(均圧工程)を行い吸着筒23の吸着剤の空隙にあるSF6ガス及び、導入パイプ,取出パイプの空間にあるSF6ガスを吸着筒24に移した後、弁19,22,25を閉、弁18,21,26,20,31を開き遅れて弁27を開いて、不液化ガスは吸着工程に入った吸着筒24に導入される。濃縮されたSF6ガスは弁26,27を通ってバッファタンク4に導出される。
【0014】
再生工程に入った吸着筒23は弁20,31及び放出口33により大気圧に開放されて減圧し、吸着筒内の吸着剤に吸着している窒素ガスなどの除去ガスが脱離し吸着剤が再生する。
尚、吸着剤を更に十分な再生をかける場合は弁31を閉とし、弁32を開き真空ポンプ35により真空まで排気する。この吸着工程,均圧工程,再生工程を繰り返して連続してSF6ガスを回収する。
なお、PSAガス分離部3の吸着剤にSF6ガスを吸着する分子篩炭を用いる場合はPSA操作の再生工程で真空ポンプ35の出口34から抜出される方にSF6ガスが濃縮されるのでこれを弁27の入口に接続し、弁25,26より導出する方がSF6ガスを含まない廃ガスとなる。
このときは弁31の回路は取除かれる。分子篩炭を吸着剤とする場合の均圧工程を実施するとSF6ガスが吸着している吸着筒の吸着剤の間に浮遊している窒素ガスを再生済みの吸着筒に移すことになる。この場合、再生工程で取出すSF6ガスの濃度を上げることになる。真空ポンプでSF6ガスを十分にくみ出すとともに吸着剤の再生を十分に行う方がよい。
【0015】
【発明の効果】
本装置によればSF6ガスをほぼ純度100%で液化回収するので再利用できる。
また原料ガスに含まれる窒素ガス他はPSAガス分離によりSF6ガスを含まないので分離して廃棄できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例のフローシートを示す。
【符号の説明】
1 被回収容器
2 ガス一定圧化部
3 PSAガス分離部
4 バッファタンク
5 加圧ポンプ
6 液化部
7 冷却器
8 液化タンク
9 貯留タンク
10 真空ポンプ
12〜15 弁
17 減圧弁
18〜22 弁
23〜24 吸着筒
25〜27 弁
29〜32 弁
33 放出口
34 放出口
35 真空ポンプ

Claims (5)

  1. 原料ガスを加圧ポンプにより加圧し、液化部へ圧送し、該液化部は冷却器と液化タンクで構成されSF6ガスを液化分離し、液化タンクより不液化ガスを取出し、吸着剤を充填した吸着筒と弁類で構成するPSAガス分離部に導入し、該不液化ガス中の一部のガスをSF6ガスと分離して排出しSF6ガスを該加圧ポンプの前の工程に戻すようにしたSF6ガス回収装置。
  2. 前記PSAガス分離部は前記吸着筒を2本有し、それぞれの吸着筒の入口にはガス供給弁と排気弁とを配し、それぞれの吸着筒出口には取出弁を配し、ガス供給弁と排気弁と取出弁の開閉を制御して2本の吸着筒吸着工程と再生工程とを交互に行わせることによりSF6ガスを分離するようにし、吸着工程から再生工程に切替わる間に両吸着筒間を各々の供給弁と取出弁を同時に開いて吸着工程完了後の吸着筒から再生工程完了後の吸着筒にガスを一部移す均圧工程を行った後、吸着工程終了後の吸着筒再生工程に入るようにした請求項1記載のSF6ガス回収装置。
  3. 再生工程に入った吸着筒を真空ポンプにより真空領域まで減圧排気するようにした請求項2記載のSF6ガス回収装置。
  4. 前記加圧ポンプよりも上流側に原料ガスを一定の圧力にするためのガス一定圧化部を設け、ガス一定圧化部を、減圧弁を介在させた第一の流路と、真空ポンプを介在させた第二の流路と、減圧弁及び真空ポンプのいずれも介在させていない第三の流路とを並列に接続した並列回路を有するものとし、原料ガスの圧力が所定値よりも高い場合には原料ガスを第一の流路に流し、原料ガスの圧力が前記所定値以下で大気圧よりも高い場合には原料ガスを第三の流路に流し、原料ガスの圧力が大気圧以下である場合には原料ガスを第二の流路に流すことにより、PSAガス分離部に導入される原料ガスの圧力を一定にするようにした請求項1〜3いずれか記載のSF6ガス回収装置。
  5. 液化部は加圧ガスの冷却器と液化タンクよりなり、冷却器と液化タンクを液体窒素の気化潜熱を用いて冷却するようにした請求項1〜4いずれか記載のSF6ガス回収装置。
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