JP2644823B2 - ヘリウムガス精製用吸着器の再生方法 - Google Patents

ヘリウムガス精製用吸着器の再生方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は吸着器の再生方法に係り、特にヘリウム冷凍
装置に用いられる吸着器の再生方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
従来、He冷凍機用の吸着器は初期の系内の不純物の除
去等を目的にしたものが多く、ヘリウム冷凍装置では連
続的に系内のCO2,H2Oの除去をするものはなかった。し
かし、吸着器自体は各分野で使用されており、ヘリウム
冷凍装置でも従来のTSA方式の吸着器を用いてHeガスの
精製を行なっていた。また、吸着器の再生にあたっては
加温したN2ガスを用いて脱着再生していた。
なお、この種の再生に関するものとしては、例えば、
特開昭55−127122号,特開昭61−90720号等が挙げられ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、吸着器の再生用の加温ガスとして、
加温ガス中に不純物(例えば、CO2,水分等)が無いガス
を用いる必要があり、通常、空気分離装置等で採用され
る吸着塔は、深冷分離した排ガスを再生ガスとして使用
しており、比較的容易に再生できていた。
ところが、ヘリウム冷凍装置の場合、このような排ガ
スが無いので、再生ガスとして比較的入手し易い液体窒
素を蒸発,加熱させて使用している。しかし、この再生
ガスであるN2ガスが吸着剤に若干吸着され、吸着器内の
N2ガスを排出しただけでは吸着されたN2ガスを完全に脱
着することができないという問題があった。
本発明の第1の目的は、吸着器の再生を効率良く行な
うとともに、吸着器再生ガスを効率良く吸着剤から脱着
することのできるヘリウムガス精製用吸着器の再生方法
を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、精製したヘリウムガス
内に加温ガスを含む不純ガスを残すことのないヘリウム
冷凍装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記第1の目的は、吸着器内へ加温した再生ガスを供
給し吸着された不純ガスを脱着する工程と、不純ガスの
脱着終了後に再生ガスを温度の高いまま真空排気除去す
る工程とを有することにより、達成される。
また、上記第2の目的は、ヘリウムガスを圧縮循環す
る圧縮機と、圧縮機によって加圧された高圧ヘリウムガ
スを断熱膨張させて極低温冷媒を生成する冷凍機と、高
圧ヘリウムガスのラインで圧縮機と冷凍機との間に並列
に設けられ交互に切り替え可能な吸着器と、吸着器に加
温した再生ガスを供給する手段と、吸着器内を真空排気
する手段と、吸着器に他の吸着器で精製したヘリウムガ
スを供給する供給ラインと、供給ラインによって吸着器
に送られたヘリウムガスを圧縮機の吸込側に回収する回
収ラインとから構成することにより、達成される。
〔作用〕
ヘリウム精製用吸着器の再生方法においては、吸着器
によってヘリウムガス中から吸着除去した不純ガスは、
加温した再生ガスを吸着器内に供給することによって脱
着されて、再生ガスとともに排出される。次に、吸着剤
からの不純ガスの脱着が終了すると、吸着器内に残って
いる再生ガスを温度の高いまま真空排気する。これによ
り、吸着剤の温度が高いまま再生ガスの排気が行われる
ので、吸着剤に再生ガスが吸着されることがない。
また、ヘリウム冷凍装置においては、吸着器の一方で
圧縮機から送られる高圧ヘリウムガス中の不純物を吸着
除去して冷凍機に供給し、他方の吸着器に加温した再生
ガスを供給して吸着剤に吸着された不純ガスを脱着,排
出する。再生ガスによる不純ガスの脱着が終了すると、
吸着器内の再生ガスを温度の高いまま真空排気して排出
する。その後、一方の吸着器で精製されたヘリウムガス
の一部を供給ラインを介して再生側の吸着器へ供給し、
該吸着器内を通ったヘリウムガスを回収ラインを介して
圧縮機の吸込側に戻す。これにより、再生側の吸着器を
冷却するとともに、吸着器内に残った再生ガスがあった
場合、圧縮機を介して一方の吸着器に通され再生ガスは
吸着除去される。
〔実 施 例〕
以下、本発明の一実施例を第1図および第2図により
説明する。
第1図は吸着器を備えた冷凍装置を示し、この場合、
吸着器は連続精製可能なように2個の吸着器を切替使用
できるようにしてある。
圧縮機1の吐出側は冷凍機3に冷媒ガス、この場合、
ヘリウムガスを供給する高圧ガス供給配管2につなげて
ある。圧縮機1の吸込側は冷凍機3からの戻り冷媒ガス
を回収する低圧ガス戻り配管4につなげてある。高圧ガ
ス供給配管2の途中には、第1吸着装置10と第2吸着装
置20とが並列に設けてある。第1吸着装置10および第2
吸着装置20には、吸着器11および21が設けてあり、吸着
装置10,20の最上流側に弁12および22を設け、吸着装置1
0,20の最下流側に弁17および27を設けてある。
第1吸着装置10および第2吸着装置20の吸着器11,21
よりも上流側には、弁13および23を介してガス回収管31
が引き出され低圧ガス戻り配管4に接続してあり、弁14
および24を介して真空引管32が引き出され真空ポンプ33
に接続してあり、弁15および25を介して大気放出管34が
引き出してある。また、第1吸着装置10および第2吸着
装置20の吸着器11,21よりも下流側には、弁16および26
を介して加温ガス供給管35が接続してあり、加温ガス供
給管35には加温器36を介してガスタンク、この場合、液
体窒素タンク37が接続してある。また、第1吸着装置10
と第2吸着装置20との間で吸着器11,21よりも下流側に
は、弁39を介した微量ガス供給管38と、弁41を介した冷
却用バイパス管40とが接続してある。
次に、上記のように構成された冷凍装置の作用につい
て説明する。
例えば、第1吸着装置10側で圧縮機1から冷凍機3へ
送るヘリウムガスを精製し、第2吸着装置20側は吸着器
21の再生を行なう場合、第1吸着装置10側の弁12および
弁17を開いて圧縮機1からのヘリウムガスを吸着器11へ
流し、第2吸着装置20側の弁22および弁27を閉じてヘリ
ウムガスが流れ込まないようにする。このとき、第1吸
着装置10側の弁13,14,15および16は閉じておく。
第2吸着装置20側で吸着器21の再生を行なう場合、最
初の状態は、弁22ないし27,39および41が閉じられてお
り、吸着器21内には高圧ヘリウムガスが封じ込められた
状態となっているので、まず、弁25を開いて吸着器21内
のヘリウムガスを大気放出管34から出す。
次に、弁26を用いて再生ガスを吸着器21内に送り込
む。この場合、再生ガスは液体窒素タンク37からの液体
窒素を加温器36によって蒸発,加温させて使用し、吸着
器21内の吸着剤を加温する。このとき、加温窒素ガスは
例えば250℃まで加温して供給し、吸着器21を通った窒
素ガスは大気放出管34から排出され、吸着器21内の吸着
剤は時間とともに加温される(これを第2図の“a"に示
す)。
吸着器21内の温度が所定温度まで加温されたなら、そ
の状態で一定時間継続し(これを第2図の“b"に示
す)、吸着剤に吸着されていた不純ガスを放出させ、窒
素ガスとともに排出する。
所定の時間が経過して不純ガスの脱着が終わると、弁
26を閉じて加温窒素ガスの供給を停止するとともに弁25
を閉じ、次に、弁24を開いて真空ポンプ33によって吸着
器21内に残った窒素ガスを真空排気する(れを第2図の
“c"に示す)。このとき、真空排気される窒素ガスは加
温されたままのものを排気するので、吸着剤は温度が高
い状態にあり、吸着剤が再生ガス、すなわち、窒素ガス
を吸着することなく、窒素ガスは真空排気されるので、
完全な再生が可能となる。
吸着器21内の窒素ガスの真空排気が終了したら弁24を
閉じ、次に、弁41および弁23を開いて、吸着器11で精製
された常温のヘリウムガスの一部を吸着器21へ流し、吸
着器21内を冷却する(これを、第2図の“d"に示す)。
吸着器21内を通ったヘリウムガスはガス回収管31を通っ
て圧縮機1の吸込側に戻される。これによって、吸着器
21内に再生ガスや不純ガスが残っていたにしても、冷却
用のヘリウムガスとともに圧縮機1に戻り、再生ガスや
不純ガスは吸着器11で吸着除去されるので、冷凍機3側
へ流れることはない。
吸着器21の冷却後は弁23を閉じて、吸着器21内の圧力
を予冷用バイパス管40からのヘリウムガスで、吸着器11
側の圧力と同じにしておき、弁41を閉じて再生運転を終
了する。
吸着装置20側で精製を行ない、吸着装置10を再生する
場合は、上記した弁操作を交替して行なうことにより行
なえる。
以上、本一実施例によれば、再生側の吸着器におい
て、再生ガスを温度が高いまま排気するので、吸着剤に
再生ガスが吸着されることなく、吸着器の再生が効率良
く行なわれるという効果がある。
また、再生側の吸着器を他の吸着器で精製したヘリウ
ムガスにより冷却し、そのヘリウムガスを圧縮機の吸込
側に戻すことにより、再生側の吸着器に流したヘリウム
ガスに不純ガスまたは再生ガスが混ざっても、他の吸着
器で精製できるので、冷凍機側へ不純ガスを流すことが
ない。
次に、本発明の他の実施例を第3図により説明する。
第3図は再生運転の過程を示すもので、冷凍装置は第1
図に示す装置を用いて説明する。
吸着器21に加温再生ガスを送って一定時間高温のまま
保持する工程(第3図に示す“a",“b")は、前記一実
施例と同様である。
所定の時間が経過して不純ガスの脱着が終わると、加
温器36による窒素ガスの加温温度を下げ、吸着器21内を
所定の温度、例えば、200℃まで冷却する(これを第3
図の“e"に示す)。このときの所定の温度は、不純ガス
脱着後に吸着剤に吸着された再生ガスの吸着量(吸着剤
に残った残留量)が所定の許容値以内に納まる温度とす
る。
吸着器21の冷却が所定温度まで行なわれたら、弁26を
閉じて窒素ガスの供給を停止するとともに弁25を閉じ、
次に、弁24を用いて真空ポンプ33によって吸着器21内に
残った窒素ガスを真空排気する(これを第3図の“f"に
示す)。このとき、弁39を開いて吸着器11で精製された
ヘリウムガスを微量吸着器21へ流す。これにより、吸着
器21内の窒素ガスの分圧が下がり、吸着剤からの窒素ガ
スの脱着が容易となる。なお、この場合は、吸着器11で
精製したヘリウムガスを吸着器21内へ供給するようにし
たが、別のヘリウムガスタンクから供給するようにして
も良い。
吸着器21内の窒素ガスの真空排気が終了したら、弁24
および弁39を閉じ、弁41および弁23を開いて前記一実施
例と同様に吸着器21内にヘリウムガスを流し、吸着器21
を冷却する(これを第3図の“g"に示す)。その後も前
記一実施例と同様に行なわれる。
以上、本実施例によれば、前記一実施例と同様の効果
があるとともに、所定温度まで再生ガスで冷却するの
で、冷却ガスが多く流せ、冷却時間が短縮されて全体の
再生時間を短縮することができる。
また、再生ガスを真空排気する際にヘリウムガスを吸
着器内に導入することにより、再生ガスの分圧が下がる
ので、吸着剤からの再生ガスの脱着が容易になるという
効果がある。
なお、本実施例ではもう一方の吸着器にヘリウムガス
を供給するラインを、目的によって制御しやすいように
冷却用バイパス管40と微量ガス供給管38とに分けている
が、広範囲に制御できる弁を用いて一本のラインで共用
するようにしても良い。
また、再生ガスの真空排気時にヘリウムガスを供給す
るのは、ヘリウムガスを捨てることになるので微量にし
ているが、ヘリウムガスの供給量を多くすればさらに効
果が上がる。また、このヘリウムガスの供給は、前記一
実施例で行なっても良い。
さらに、これら一実施例および他の実施例では、単
に、吸着器内に加温ガスや冷却ガスを流して再生するよ
うにしているが、吸着器内に伝熱管を設けて、加温また
は冷却等を併用して行なうようにしても良い。これによ
れば、さらに再生時間を短縮することができる。また、
この場合、ヘリウムガスの精製について述べたが、他の
ガスの精製についても同様に行なうことができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、温度の高いまま再生ガスを排気する
ので、吸着器内に再生ガスや不純ガスを残すことなく効
率良く再生を行なうことができ、また、冷却に用いたヘ
リウムガスを圧縮機側へ戻すので、精製したヘリウムガ
ス内に再生ガスや不純ガスを残すことがない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のヘリウムガス精製用吸着器の再生方法
を実施するための装置の一例を示す構成図、第2図は本
発明の再生方法の一実施例を示す工程図、第3図は本発
明の再生方法の他の実施例を示す工程図である。 11,21……吸着器、12ないし17,22ないし27,41……弁、3
1……ガス回収管、32……真空引管、34……大気放出
管、35……加温ガス供給管、40……冷却用バイパス管

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘリウムガス内の不純ガスを吸着除去する
    吸着器の再生方法において、前記吸着器内へ加温した再
    生ガスを供給し吸着された不純ガスを脱着する工程と、
    前記不純ガスの脱着終了後に前記再生ガスを温度の高い
    まま真空排気除去する工程とを有することを特徴とする
    ヘリウムガス精製用吸着器の再生方法。
  2. 【請求項2】前記不純ガスはCO2,H2Oであり、前記再生
    ガスはN2である特許請求の範囲第1項記載のヘリウムガ
    ス精製用吸着器の再生方法。
  3. 【請求項3】前記再生ガスの真空排気は前記再生ガス温
    度を、前記不純ガスの脱着終了後の再生ガスの残留量が
    設定された許容値内に維持可能な温度域まで下げて行な
    う特許請求の範囲第1項記載のヘリウムガス精製用吸着
    器の再生方法。
  4. 【請求項4】前記再生ガスの真空排気除去時にヘリウム
    ガスを前記吸着器内へ流す特許請求の範囲第1項記載の
    ヘリウムガス精製用吸着器の再生方法。
  5. 【請求項5】前記再生ガスの真空排気除去後に前記吸着
    器を、精製されたヘリウムガスで冷却する特許請求の範
    囲第1項記載のヘリウムガス精製用吸着器の再生方法。
  6. 【請求項6】ヘリウムガスを圧縮循環する圧縮機と、該
    圧縮機によって加圧された高圧ヘリウムガスを断熱膨張
    させて極低温冷媒を生成する冷凍機と、前記高圧ヘリウ
    ムガスのラインで前記圧縮機と前記冷凍機との間に並列
    に設けられ交互に切り替え可能な吸着器と、該吸着器に
    加温した再生ガスを供給する手段と、前記吸着器内を真
    空排気する手段と、前記吸着器に他の吸着器で精製した
    ヘリウムガスを供給する供給ラインと、該供給ラインに
    よって前記吸着器に送られたヘリウムガスを前記圧縮機
    の吸込側に回収する回収ラインとを有することを特徴と
    するヘリウム冷凍装置。
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