JP2507653B2 - ヘリウム冷凍機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、極低温で作動し不純物を吸着する内部吸着
器を有するヘリウム冷凍機に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の装置を第２図を用いて説明する。

ヘリウム圧縮機１で圧縮されたヘリウムガスはコール
ドボックス２に送られ、戻りヘリウムガスおよび補助寒
冷である液体窒素と熱交換器３で熱交換して、液体窒素
温度レベルまで冷却され、内部吸着器４に至る。内部吸
着器４には、活性炭等の吸着剤が充填されており、ヘリ
ウムガス中の不純物を吸着除去する。内部吸着器４を通
過したヘリウムガスは、さらに、熱交換器５で戻りヘリ
ウムガスと熱交換し、冷却される。一部のヘリウムガス
は分岐して、膨張タービン６で断熱膨張し、寒冷を発生
し、戻りヘリウムガスと合流する。他のヘリウムガス
は、さらに、熱交換器５で戻りヘリウムガスと熱交換
し、冷却される。極低温下のヘリウムガスは、JT弁で膨
張し、一部液体へヘリウムとなって、低温移送管８を経
由して、超伝導マグネット等の被冷却体９に至る。被冷
却体９を冷却し、ガスとなった極低温のガスヘリウム
は、低温移送管11を経由してコールドボックスに戻り、
熱交換器５および熱交換器３を経由して、ヘリウム圧縮
機１の吸入側に戻る。

補助寒冷である液体窒素は、液体窒素貯槽21から、低
温配管22を経て、コールドボックス２に入り、熱交換器
３で、ヘリウムガスと熱交換し大気放出される。

また、液体窒素の一部は窒素蒸発器23で加温して窒素
ガスとし、計装空気圧縮機24で作られる弁類作動用の計
装空気のバックアップとして弁25a,25bの切替で、系内
の配管26を介して系装空気の代わりに空気作動弁類へ供
給される。これによって計装空気圧縮機24が故障したよ
うな場合でも、空気作動弁類を作動させることができ
る。

冷却運転中には、系内で発生した、あるいは、当初よ
り残存した不純物が、内部吸着器４で低温吸着される。

一連の冷却運転の後に、被冷却体９を加温する加温運
転の必要が生じる。被冷却体９の内部機器10として、代
表的なものは超伝導マグネットであるが、一般に、急激
な加温はマグネットに悪影響を与えるため、弁36と弁34
を調整して極低温ヘリウムガスと液体窒素温度レベルヘ
リウムガスを混合し、適切な温度レベルにしてマグネッ
トに供給する。さらに、高温レベルになれば、膨張ター
ビン６を停止し、弁34と弁33を調整して液体窒素温度レ
ベルヘリウムガスと常温ヘリウムガスを混合して、適切
な温度レベルにしてマグネットに供給する。

加温が完了すれば、冷却運転中に吸着した不純物を脱
着させるために、内部吸着器４の再生を行なう。弁31,3
2,34,35,36を閉止し、弁39を開け、内部吸着器コイル13
に、常温ガスを流し、吸着器の温度を上げ、吸着剤の脱
着を促進させる。さらに、真空ポンプ40を作動させ、弁
32を開け、内部吸着器から脱着した不純物を系外に放出
し、再生を完了させる。

なお、ここで、12は中圧タンク、37および38は弁であ
る。

なお、この種の装置として関連するものには、例え
ば、特開昭60−253769号公報，特開昭62−102818号公
報，特開昭63−169448号公報等が挙げられる。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術は、被冷却体を加温している際に内部吸
着器の温度を完全に液体窒素温度レベルに保持すること
について、配慮されておらず、冷却運転中に吸着した不
純物の一部を脱着してしまうという問題があった。

すなわち、加温運転中、常温ヘリウムガスと液体窒素
温度レベルとの間には、約200Kの温度差が存在し、マグ
ネットへの供給温度が、例えば200Kでマグネットからの
戻り温度が150K程度の場合が存在し、マグネットの戻り
温度が液体窒素温度レベル（80K）より高い状態が長い
時間ある。一方、熱交換器３は、主として、ヘリウムガ
スの熱交換を中心に設計されており、補助寒冷の液体窒
素の影響は相対的に少ない。したがって、内部吸着器へ
入るヘリウムガスの温度は、マグネットからの戻りヘリ
ウムガスの温度に大きく影響され、加温運転中、内部吸
着器を液体窒素温度に保持できなくなる。

また、内部吸着器を加温する際に流すヘリウムガスは
少量ではあるが、ヘリウム圧縮機を運転する必要があ
り、実際には、ヘリウム圧縮機で圧縮されたヘリウムガ
スは中圧タンクをバイパスして、ほんの一部が、内部吸
着器内のコイルを流れるという非効率の問題があった。

本発明の目的は、被冷却体の加温運転中も内部吸着器
を液体窒素温度に保持すること、および、内部吸着器の
再生を効率的に行なうことのできるヘリウム冷凍機を提
供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、被冷却体を加温する加温
運転においても、補助寒冷である液体窒素が、内部吸着
器内に巻かれたコイルの中を通ってから、液体窒素温度
レベルより高温の熱交換器に導かれるようにし、再生時
の加温には、上記コイルに窒素ガスを流せるようにした
ものである。

〔作用〕

被冷却体の加温運転中で、被冷却体からの戻りガスが
液体窒素温度レベル以上になる場合でも、比較的少量の
ヘリウムガスを内部吸着器内コイルを流れる液体窒素に
より冷却することができるので、内部吸着器の温度を液
体窒素温度レベルに保つことができる。

また、内部吸着器の再生時には、ヘリウム圧縮機を停
止させ、窒素ガスを内部吸着器内コイルに流すので、ヘ
リウム圧縮機を無駄に運転する必要がなく、効率的に内
部吸着器を加温できる。

〔実 施 例〕

以下、本発明の一実施例を第１図により説明する。

第１図において第２図と同符号は同一部材を示し、説
明を省略する。本図が第２図と異なる点を以下に述べ
る。

冷却運転中、補助寒冷である液体窒素は、コールドボ
ックス２に入った後、内部吸着器４内のコイル13を経由
して流れ、内部吸着器４を流れるヘリウムガスをより完
全に液体窒素温度レベルにならしめる。

被冷却体９である。例えば、マグネットの加温運転時
で、弁34,弁33を調整して、液体窒素温度レベルおよび
常温のヘリウムガスを混合して、マグネットに供給し、
マグネットからの戻りガスが、液体窒素温度レベルより
高温の場合においても、液体窒素は、内部吸着器４内の
コイル13を流れて、内部吸着器４を流れる比較的少量の
ヘリウムガスを流体窒素温度レベルに保つことができ
る。

内部吸着器４を再生する際には、弁31,32,34,35,36を
閉止し、窒素蒸発器23で加温した窒素ガスを弁27bを介
して内部吸着器４内のコイル13に導き入れ、吸着器の温
度を上げ、吸着剤の脱着を促進させる。さらに、真空ポ
ンプ40を作動させ、弁32を開け、内部吸着器４から脱着
した不純物を系外に放出し、再生を完了させる。

本実施例によれば、マグネット加温時も、内部吸着器
温度を液体窒素温度に保持でき、系内の不純物をより多
く吸着し、内部吸着器再生時に系外へ放出できるので、
ヘリウム冷凍機の信頼性を高める効果がある。また、内
部吸着器再生時に、ヘリウム圧縮機を運転する必要がな
いので、効率的に再生できるという効果がある。

なお、内部吸着器加温用の窒素ガスをバックアップ用
として設けた配管26を介して、計装空気圧縮機24から空
気作動弁類への配管と兼用させることにより、コールド
ボックス２内に設置されている空気作動弁用の計装空気
配管を用いることができ、配管の布設を簡略化すること
ができる。例えば、弁34を作動させるための計装空気を
供給する配管を用いて、窒素ガスを弁25a,27aを介して
弁34の空気作動弁部に送り、該空気作動弁部で窒素ガス
を分岐させて、弁29を介してコイル13に供給するように
しても良い。

これにより、窒素ガス配管に計装空気配管が兼用で
き、配管の布設を簡略化することができるので、経済的
効果がある。

〔発明の効果〕

本発明は、以上説明したように構成されているので以
下に記載されるような効果を奏する。

被冷却体加温時も、内部吸着器温度を液体窒素温度に
保持でき、系内の不純物をより多く吸着し、内部吸着器
再生時に不純物を系外へ放出できるので、ヘリウム冷凍
機の信頼性を高めることができる。

また、内部吸着器再生時に、ヘリウム圧縮機を運転す
る必要がないので、効率的に再生できる。

さらに、窒素ガス配管に計装空気配管が兼用できるの
で、配管の布設を簡略化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例であるヘリウム冷凍機のフロ
ー図、第２図は従来例のヘリウム冷凍機のフロー図であ
る。 １……圧縮機、２……コールドボックス、3,5……熱交
換器、４……内部吸着器、９……被冷却体、13……コイ
ル、21……液体窒素貯槽、23……窒素蒸発器、24……計
装空気圧縮機、25a,25b,27a,27b,28,29……弁、40……
真空ポンプ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘリウムガスを圧縮循環する圧縮機と、高
   温側および低温側熱交換器と、これら高温側および低温
   側熱交換器の間に設けられ、高温側熱交換器を通過した
   高圧ヘリウムガス中の不純物を液体窒素温度レベルで吸
   着除去する内部吸着器と、補助寒冷として用いられる液
   体窒素を貯蔵する液体窒素貯蔵槽とを有するヘリウム冷
   凍機において、 上記内部吸着器の内部には窒素が流れるコイルが設けら
   れ、 上記内部吸着器の再生時に上記内部吸着器および高温側
   熱交換器を含むプロセスラインを封じ切る弁と、 封じ切られたプロセスラインを真空引きする真空引き手
   段とが設けられ、 上記低温側熱交換器の低温側に設けられた被冷却体を冷
   却する冷却運転時および上記被冷却体を加温する加温運
   転時には、上記液体窒素を上記コイルに供給して上記内
   部吸着器の温度を液体窒素温度レベルに保持するとも
   に、上記コイルを出た液体窒素を上記高温側熱交換器に
   おいて熱交換により寒冷回収し、 上記加温運転が完了した後に上記内部吸着器の再生時に
   は、上記内部吸着器および高温側熱交換器を含むプロセ
   スラインを上記弁により封じ切り、上記コイルに加温用
   窒素ガスを供給して上記内部吸着器および高温側熱交換
   器を加温し、この加温の後上記封じ切られたプロセスラ
   インを上記真空引き手段により真空引きする ことを特徴とするヘリウム冷凍機。
2. 【請求項２】バルブ作動用の計装用圧縮空気と切替えて
   窒素ガスをバルブ作動用に供給し、該窒素ガスの一部を
   吸着器加温用窒素ガスとして上記コイルに供給すること
   を特徴とする請求項１記載のヘリウム冷凍機。