JP4030802B2 - 液体容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体容器として、収納液の減少に伴い内層が剥離してその容積を減少する如く構成した二層構成の容器体と、該容器体に装着した注出具とからなるものが知られている。これら注出具としては、例えば、容器体口頸部外周に螺着させた装着筒により容器体に固定したものが挙げられ、それらの代表として、ポンプ形態のもの、或いは注出キャップ形態のもの等が知られている。
【0003】
これらの従来の液体容器は、容器体の口頸部外層の螺子部下方位置に透孔を穿設し、そこから外気を内層との隙間に供給する如く構成している。即ち、収納液の注出により容器体内の液が減少すれば、容器体内は負圧化してその容積を減少する如く内層が外層より剥離する。従来この透孔は容器体を形成した後口頸部内に棒状の芯金を挿入し、外面より筒状の刃を押圧して穿設する所謂パンチング方法により形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら透孔の穿設は内層を破損しないという条件があるため高精度のパンチングマシンが要求されるが、それでも切断不良等の事故が比較的あり、歩留りが悪く、また、多くの切断くずが生じるという不都合もある。更に、芯金があまり細いと強度等の問題で効率の良い切断が行えないという問題もあり、その結果、容器体の径があまり細いものは製造しにくく、その大きさに限定を生じるという問題もある。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、製造上の歩留りが良く、従来品と比較して製造時の切削くずが極端に少なくて済み、しかも容器体の口頸部の大きさにそれ程の制限がなく汎用性に富み、しかも外見上も従来品と比較して何ら変化することもない優れた液体容器を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本請求項1発明の液体容器は上記課題を解決するため、胴部4より肩部5を介して口頸部6を起立するとともに、保形性を備えた外層a及び該外層aに剥離可能に積層した可撓性の内層bよりなる容器体2と、上記口頸部6外周に係止手段9を介して装着筒8を嵌合係止することにより容器体2に装着した注出具3とからなる液体容器に於いて、上記外層aに外気導入用のスリット10を穿設するとともに、装着した注出具3により容器体外表面を押圧してスリット10を広げる拡開手段Aを設けたことを特徴とする液体容器として構成した。
【0007】
また、請求項2発明の液体容器は、上記スリット10が、口頸部外層aの係止手段9下方位置に設けたスリットであり、上記拡開手段Aが、装着筒8下端によりスリット10下方の容器体肩部5上面に突設した押圧用突部12を押し下げてスリット10を拡開する拡開手段である請求項1記載の液体容器として構成した。
【0008】
また、請求項3発明の液体容器は、上記スリット10が、口頸部外層aの係止手段9下方位置に設けたスリットであり、上記拡開手段Aが、スリット10両側の口頸部6外面に一対の押圧用突部12a を突設するとともに、注出具3より垂設した押圧用筒32を各押圧用突部12a 外面に強制的に嵌合してスリット10を拡開する拡開手段である請求項1記載の液体容器として構成した。
【0009】
また、請求項4発明の液体容器は、上記スリット10が、容器体肩部5の上に膨出形成した膨出部33の頂部の外層aに設けたスリットであり、上記拡開手段Aが、上記注出具3より垂設した押圧用筒32下端により膨出部33上面を押し下げてスリット10を拡開する拡開手段である請求項1記載の液体容器として構成した。
【0010】
また、請求項5発明の液体容器は、上記容器体2が、上端より底部中央に亘り縦設した複数の帯状接着部7により内外層間を連結し、各帯状接着部7間にそれぞれ上記スリット10を設けてなる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液体容器として構成した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
本発明の液体容器1は、容器体2と、注出具3とを備えている。
【0013】
容器体2は合成樹脂等により形成されたもので、筒状の胴部4上端縁より肩部5を介して口頸部6を起立しており、また、保形性を有する外層aと、可撓性の内層bとから構成している。
【0014】
また、容器体2は、図2に示す如く、上端より底部中央に亘り縦設した複数の帯状接着部7により内外層間を連結したものを採用しても良い。図示例の容器体2は、180度離間位置に一対の帯状接着部7を設けた例を示す。また、後述するスリット及び押圧用突部を各帯状接着部間に設けている。この様な容器体2を使用する場合には、液の注出後の内層bの収縮が均一に行えて収納液の無駄のない排出を行えるものである。
【0015】
注出具3は、容器体2の口頸部6に装着筒8を嵌合係止したものであれば、図1に例を示す如き容器体胴部の圧搾により収納液を注出する如く構成した注出キャップ形態のものであっても、或いは図示しないが容器の倒立により収納液を注出する如く構成した注出キャップ形態のものであっても、更には図4及び図6に例を示す如き容器体内の液を吸い上げて注出するポンプ形態のものであっても良い。また、装着筒を口頸部に嵌合した際の係止手段9としては、図示例の如き螺合であっても、図示しないが、突条相互の乗越え係合による係止手段であっても、その他公知の係止手段を採用できる。これら注出具は主として合成樹脂により形成でき、必要に応じてエラストマー,金属等他の材料を併用して形成することができる。
【0016】
本発明ではこの種の液体容器に於いて、上記外層aに外気導入用のスリット10を形成するとともに、該スリット10を広げる拡開手段Aを設けている。
【0017】
スリット10を設ける場所は上記拡開手段Aと連係し、拡開手段によりスリット10を広げることができる位置であればその位置は問わないが、口頸部6の外層或いは肩部5の外層等が適切な位置として挙げられる。
【0018】
また、上記拡開手段Aとしては、装着した注出具3により容器体外表面を押圧してスリットを広げる如く構成した手段であれば、どの様な具体的手段であっても良く、例えば、スリットを係止手段下方の口頸部外層に設けた場合には、装着筒下端が容器体肩部を押し下げることによりスリットを拡開する手段、或いはスリット両側の口頸部外面対向位置に突設した一対の押圧用突部の外面に、注出具3より垂設した押圧用筒を強制的に嵌合して口頸部を変形することによりスリットを拡開する手段、また、スリットを肩部に設けた場合には、装着筒或いは注出具より垂設した押圧用筒下端により容器体肩部を押し下げる手段等が挙げられるがこれに限られない。
【0019】
上記スリット10を形成するに当たっては種々の方法を採用できるが、図2に示す如き加工ナイフ11により容器体2形成後、後加工により形成できる。外気導入孔としてスリットを採用した場合、従来のパンチングによる透孔穿設と比較して切断カスが極端に少なく、また、一部に未切断部分があっても拡開手段により確実に広げることができ、加工刃の押込み幅等の精度がそれ程要求されない。
【0020】
図1の実施例では上記スリット10を口頸部6と装着筒8との係止手段9下方の口頸部外層に設け、また、注出具3として注出キャップ3aを採用している。
【0021】
本実施例に於ける容器体2は、スリット10下方の肩部5上面に押圧用突部12を突設している。この突部は容器体2成形時に一体に膨出形成した中空のものであるが、中実の突部であっても良い。また、口頸部6外周には装着筒8の係止手段を構成する螺条13を周設するとともに、注出キャップのシール性付与のために肩部5に段部14を形成している。
【0022】
上記注出キャップ3aは、内周に上記係止手段を構成する螺条15を周設して装着筒8を口頸部6外周に螺着させ、装着筒8上端から内方へ延設した頂板16中央にノズル17を起立しており、ノズル17基端部には吐出弁18を設けて口頸部6とノズル17内とを一方的に連通させ、また、吐出弁18外方の装着筒8内上端部には外気導入弁19を設けて外部と螺合部分とを一方的に連通する如く構成している。また、装着筒8外周上部より二重筒状に垂設した外周壁20の下端部を上記段部14上方の肩部縮径部外周に密嵌させてこの部分での気密性を図り、螺合部分が外気導入弁19以外の部分で外部と連通しない様構成している。
【0023】
更に詳述すると、装着筒8内上端部に閉塞部材及び弁部材を設けて上記構成を形成している。閉塞部材は、装着筒8内周上端部に嵌着させた嵌合筒部21の下端縁より口頸部6上端開口を被覆する被覆板22を延設するとともに、被覆板22中央に弁孔23を穿設し、また、嵌合筒部21に被覆板22上下を連通させる連通孔24を穿設している。
【0024】
また、弁部材は、被覆板22上面中央部に下端部を嵌着するとともに、上端部をノズル17下端部に嵌着させた筒部25内面より上記弁孔23を開閉可能に閉塞する弁板26を突設して上記吐出弁18を形成し、また、筒部25外周より周縁部を上記頂板16下面に圧接した環状の吸気弁板27を延設し、頂板16に穿設した透孔28を開閉可能に閉塞して外気導入弁19を形成している。尚、ノズル17は二部材で構成し、外周よりスカート状のカバーを延設している。
【0025】
そして、容器体2上方より注出キャップ3aを装着した際に、図3に示す如きスリット閉塞状態から、装着筒8下端が押圧用突部12上面を押し下げることにより図1に示す如くスリット10が開いた状態で維持され、胴部4の圧搾により液を注出した後、外気導入弁19より開口したスリット10を介して外層aと内層bとの間に外気が導入される如く構成している。
【0026】
図4は他の実施例を示すもので、本実施例に於いて容器体2は、図5に示す如く、係止手段9下方の口頸部外層aに上記スリット10を設けている。また、スリット10両側の口頸部6外面に一対の押圧用突部12a を突設している。各押圧用突部12a は、スリット10形成位置と同レベルで、スリット10を挟んだ両側の比較的離間位置に突設すると良く、図示例では各押圧用突部12a をスリット10から90度回動位置にそれぞれ設けている。また、各押圧用突部12a は後述する押圧用筒の嵌合をより容易に行える如く、外周上縁部にテーパ29を形成している。
【0027】
また、本実施例では注出具3としてポンプ3bを採用している。ポンプ3bは、装着筒8の上部に於いて上端部を嵌着固定したシリンダ30を口頸部6内に垂下させ、また、シリンダ30内より上方付勢状態で上下可能に突設したステム(図示せず)の上端に押下げヘッド31を嵌着しており、押下げヘッド31を上下動させることにより公知の内蔵ポンプ機構により容器体内の液を吸い上げてヘッドの噴出口より噴出する如く構成している。装着筒外周上部より二重筒状に押圧用筒32を垂設している。この押圧用筒32は、装着筒8よりも下方へ突出させて各押圧用突部12a 外周に嵌合できる長さを有し、また、各押圧用突部12a 外周面よりやや小径に形成している。
【0028】
また、本実施例に於ける拡開手段Aは、上記一対の押圧用突部12a 外面に上記押圧用筒32を強制的に嵌合することによりスリット10を拡開する如く構成したものである。上記押圧用筒32は嵌合時に各押圧用突部12a を中心側に押圧し、口頸部6を変形させてスリット10を開く如く構成している。尚、この押圧用筒32は本実施例の如く構成するほかに、装着筒8の下端部をフランジ等を介して拡径し、装着筒8を兼ねる押圧用筒として構成することも可能である。
【0029】
図6は更に他の実施例を示すもので、本実施例に於ける容器体2は、図7に示す如く、肩部5の上に膨出形成した膨出部33の頂部の外層aに上記スリット10を設けている。また、注出具3は図4の実施例と基本的に同様のポンプ3bを使用しており、スリット10の形成位置外方に位置併せした押圧用筒32を垂設している。本実施例に於ける拡開手段Aは、装着筒8の嵌合時に押圧用筒32下端が膨出部上面を押し下げることによりスリット10を拡開する如く構成している。
【0030】
また、容器体2が図2に示す如き帯状接着部7を備えたものである場合、各帯状接着部7間にそれぞれ上記スリット10を設け、また、各スリットを拡開できる拡開手段Aを設ける。例えば、図1の実施例に応用する場合には、例えば、左右に帯状接着部7を縦設した容器体2に、その口頸部前後にスリット10を形成し、その下方の肩部5に押圧用突部12を形成すれば良い。注出具3に関しては図1の実施例と同様のものを使用できる。
【0031】
また、図4の実施例に応用する場合には、例えば、帯状接着部7を各押圧用突部12a 部分を通過する前後部分にそれぞれ縦設し、スリット10を左右一対形成すれば良い。この場合注出具3は図4のものと同様のものを使用できる。また、図6に示す実施例でに応用する場合には、前後に同様の膨出部33及びスリット10を形成し、注出具3は図6の実施例と同様のものを使用できる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明の液体容器は、既述構成としたことにより、容器体2のスリット10は単純構成であるため形成が容易であり、細い芯金であってもその衝撃に充分耐えて口頸部の小さい容器体への適用も充分可能であり、また、容器体2のスリット10に一部が連結状態の部分があっても拡開手段Aにより切り離して確実に開口させることができるため、不良品の率をより確実に減じることができ、また、簡単な構造変更により形成できるため、製造も煩雑化しない。
【0033】
また、請求項2記載の容器では、押圧用突部12部分の口頸部6を局部的に押し下げることができるため、スリット10をより確実に且つ大きく拡開することができる利点を兼ね備えている。
【0034】
また、請求項3発明の容器も、押圧用突部12a の存在で、スリット10をより確実に且つ大きく拡開することができる利点を兼ね備えている。
【0035】
また、請求項4発明の容器も、膨出部33の存在で、スリット10をより確実に各大きく拡開することができる利点を兼ね備えている。
【0036】
また、請求項5発明の容器では、帯状接着部7を設けているため、液の注出に伴い収縮する内層bの収縮状態が均一に行えて、液の無駄のない排出を行える利点を兼ね備える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部切欠半断面図である。
【図2】本発明の容器体の他の一例を示す斜視図である。
【図3】図1の実施例に使用する容器体の要部縦断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す一部切欠半断面図である。
【図5】同実施例の容器体の要部斜視図である。
【図6】本発明の更に他の実施例を示す一部切欠半断面図である。
【図7】同実施例の容器体の要部斜視図である。
【符号の説明】
2…容器体,3…注出具,4…胴部、5…肩部,6…口頸部,7…帯状接着部,8…装着筒,9…係止手段,10…スリット, 12,12a …押圧用突部,32…押圧用筒,33…膨出部,A…拡開手段,a…外層,b…内層,
Claims (5)
- 胴部4より肩部5を介して口頸部6を起立するとともに、保形性を備えた外層a及び該外層aに剥離可能に積層した可撓性の内層bよりなる容器体2と、上記口頸部6外周に係止手段9を介して装着筒8を嵌合係止することにより容器体2に装着した注出具3とからなる液体容器に於いて、上記外層aに外気導入用のスリット10を穿設するとともに、装着した注出具3により容器体外表面を押圧してスリット10を広げる拡開手段Aを設けたことを特徴とする液体容器。
- 上記スリット10が、口頸部外層aの係止手段9下方位置に設けたスリットであり、上記拡開手段Aが、装着筒8下端によりスリット10下方の容器体肩部5上面に突設した押圧用突部12を押し下げてスリット10を拡開する拡開手段である請求項1記載の液体容器。
- 上記スリット10が、口頸部外層aの係止手段9下方位置に設けたスリットであり、上記拡開手段Aが、スリット10両側の口頸部6外面に一対の押圧用突部12a を突設するとともに、注出具3より垂設した押圧用筒32を各押圧用突部12a 外面に強制的に嵌合してスリット10を拡開する拡開手段である請求項1記載の液体容器。
- 上記スリット10が、容器体肩部5の上に膨出形成した膨出部33の頂部の外層aに設けたスリットであり、上記拡開手段Aが、上記注出具3より垂設した押圧用筒32下端により膨出部33上面を押し下げてスリット10を拡開する拡開手段である請求項1記載の液体容器。
- 上記容器体2が、上端より底部中央に亘り縦設した複数の帯状接着部7により内外層間を連結し、各帯状接着部7間にそれぞれ上記スリット10を設けてなる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液体容器。
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