JP4030463B2 - Led光源及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上面に配置したLEDチップを透光性樹脂によってモ−ルドしたLED光源、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光源の小型化要求に伴って、既製の樹脂モールドLEDランプに代わり、基板に直接LEDチップを配置してそれを透光性樹脂によってモ−ルドしたLED光源が提案され、実用化されている。
【0003】
この種のLED光源においては、LEDチップを樹脂モ−ルドするため、流動状態の樹脂を基板に直接所定量滴下させ、この流動状態の樹脂を硬化させる手法が用いられている。ところが、基板上面は前記樹脂となじみが良いので、滴下された流動状態の樹脂が基板表面に沿って広がりやすく、樹脂形状を一様にできない、樹脂の厚みを厚くできないなどの問題があった。このような点を考慮し、本願出願人は、LED用パッドの全周を囲む溝を形成し、この溝との境界部分における表面張力によって樹脂の流れを規制する手法(特許文献1)を開発し、ある程度の改善を行うことができた。しかしながら、光学特性の向上とワイヤボンド線の安定的な埋没を図るために、樹脂の高さを更に高めるべく滴下する樹脂量を多くしたところ、パッドと溝の境界部分の表面張力を越える力が作用し、樹脂の流れ出しが発生する個所が現れた。そして、樹脂の流れ出しが生じた個所においては、逆に樹脂の高さが低くなり、光学特性の不均一化、ワイヤボンド線の露出の要因になることが分かった。
【0004】
【特許文献1】
特願平7−151823号(特開平9−6259号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記の点を考慮し、光学特性の均一化、ワイヤボンド線の露出防止を図ったLED光源を提供することを主な課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のLED光源は、チップ配置用及びワイヤボンド用パッドからなるLED用パッドを基材上面に形成した基板と、前記チップ配置用パッドに配置されて前記ワイヤボンド用パッドにワイヤボンド線を介して接続されるLEDチップと、前記LEDチップをモ−ルドする透光性樹脂を備えるLED光源において、前記基板上面の前記LED用パッドとその周囲の配線パターン間に前記基材が露出する所定幅の間隔を設けることによって前記LED用パッドを囲むように環状の凹部を設け、この環状の凹部よりも内側のパッドあるいは外側の配線パターンの上に位置して撥油性被膜を設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明のLED光源は、チップ配置用及びワイヤボンド用パッドからなるLED用パッドを基材上面に形成した基板と、前記チップ配置用パッドに配置されて前記ワイヤボンド用パッドにワイヤボンド線を介して接続されるLEDチップと、前記LEDチップをモ−ルドする透光性樹脂を備えるLED光源において、前記LED用パッドを囲むように前記基材が露出する所定幅の間隔を設けることによって前記基板上面に環状の凹部を設け、この凹部内に撥油性被膜を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明のLED光源の製造方法は、基材上面にチップ配置用及びワイヤボンド用パッドからなり周囲に前記基材が露出する所定幅の間隔を設けることによって環状の凹部を有するLED用パッドを形成した基板を準備する工程と、前記環状の凹部内に撥油性被膜をメッシュ版あるいはメタル版を用いて設ける工程と、前記被膜が形成された前記基板の前記チップ配置用パッドにLEDチップを固定して前記ワイヤボンド用パッドにワイヤボンド線を接続する工程と、前記撥油性被膜によって規定される領域内に前記LEDチップを埋めるように流動状態の樹脂を配置し、該樹脂を硬化させる工程を備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図1に示す線状のLED光源1に適用した場合を例にとって説明する。このLED光源1は、基板2の上面に複数のLED発光部3を直線的に配置して構成している。
【0010】
まず基板2の構造、並びにその製造手順について図2〜図4を参照して説明する。基板2は、ガラスエポキシ等の長尺基材21の表面に銅箔が形成されたものが用意され、それをエッチング処理することにより、複数のLED用パッド22とこれらを接続する配線パターン23を導電パターンとして備えて構成される。各LED用パッド22は、それぞれが半円形状を成すチップ配置用のパッド22aとワイヤボンド用のパッド22bを備え、全体が円ないし楕円形状を成している。このLED用パッド22の周囲を凹部24が環状に囲むように、LED用パッド22とその周囲に位置する配線パターン23の間には、基材21が露出する所定幅の間隔が設けられている。
【0011】
次に、上記の基板2は、その表面の光反射性を高めるために、図3に示すように、チップ配置用のパッド22aとワイヤボンド用のパッド22bの必要部分、その他の回路素子配置に必要な部分のみを露出させ、残りの大部分を絶縁性を有する白色系のレジスト膜25によって被覆する処理が施される。このレジスト膜25によって被覆されない導電パターン部分は、必要に応じてメッキ処理を施すことが望ましい。
【0012】
このように基板2を準備し、次にこの基板2の表面にLED用パッド22を囲むように撥油性被膜26を形成する。撥油性被膜26は、撥油剤の撥油性を粒状に滴下されたn−ヘキサデカンの接触角度で表す(撥水剤の撥水性を水滴の接触角度で表すのと同様)場合に、その接触角度がより大きい、すなわち撥油性の高い材料が選択して用いられる。尚、前記白色系のレジスト膜25や、導電パターンの撥油性を前記接触角度で表すと、材料にもよるが概ね10度以下であり撥油性は低い。この例では、撥油性被膜26として前記接触角度が30度以上であるシリコンを主成分とする白色シリコン樹脂を用いている。このシリコン樹脂を例えばメッシュ版を用いたスクリーン印刷によって前記導電パターン部分の厚みと略同じ30μm前後の厚みとなるように形成し、前記凹部24内に収まるように配置している。このように撥油性被膜26をメッシュ版を用いたスクリーン印刷によって形成する場合は、撥油性被膜26の幅を狭くしすぎると目詰まりの要因になりやすいので、撥油性被膜26の幅は、0.3mm以上に設定するのが好ましく、より好ましくは、0.5mm前後に設定するのがよい。
【0013】
次に、LED発光部3の構造、並びにその製造手順について図4、図5を参照して説明する。図3に示す状態の基板2を用意し、この基板2に一辺が0.3mm前後の立方体形状をしたLEDチップ31の固定とワイヤボンド配線を行う。すなわち、各LED用パッド22のチップ配置用パッド22aにLEDチップ31を導電性接着剤を介して接着固定する。次いで各LEDチップ31とワイヤボンド用パッド22bの間にワイヤボンド線32をワイヤボンド接続する。図4はこの状態を示している。LEDチップ31に接続されたワイヤボンド線32の頂上部分の高さは基板2表面から0.7mm前後となる。
【0014】
引き続き図4、図5を参照して硬化時に透光性を有する樹脂33によるLEDチップ31の樹脂モールドについて説明する。流動状態にある透光性樹脂33をLEDチップ31の上から所定量滴下させると、樹脂33はその流動性によって四方に拡がっていくが、その裾野部分が環状の撥油性被膜26に達すると、撥油性被膜26によってその拡がりが阻止される。透光性樹脂33は、例えばエポキシ系の樹脂等を油性の溶媒に溶かされ形成されるので、撥油性被膜26と接触すると、撥油性被膜26にはじかれて撥油性被膜26と接触する面積を小さくするような力、すなわち樹脂33の表面張力を大きくする力が作用し、樹脂33の拡がりが阻止される。その結果、撥油性被膜26によって裾野部分の拡がりが規制された樹脂33は、その拡がりが高さ方向に向けられ、厚みを厚くすることができる。
【0015】
従来構造における樹脂の厚みは1mm程度が限度であったのに対して、従来と同一条件下で厚さが30μ前後と極めて薄い撥油性被膜26を追加するのみで、樹脂33の厚みを最高でその4倍の4mm以上にすることができることを確認した。しかしながら、樹脂33の厚みを必要以上に厚くすると、逆にLED光源1の厚み増加になるので、この例では、ワイヤボンド線32の頂上部分(基板2表面から0.7mm前後)を完全に埋没でき、しかもLED光源1の厚みを薄く設定できる最適範囲として、硬化後の樹脂33の厚みが1.5mm前後になるように設定している。その後、この樹脂33は硬化のために加熱処理される。
【0016】
このように樹脂33の厚みを厚くすることによって、ワイヤボンド線32を樹脂33に完全に埋没することができるようになり、露出ワイヤボンド線の断線等の問題を解消することができた。また、撥油性被膜26によって、流動状態の樹脂33の形状を互いに独立した一定の形状に保つことができ、各LED発光部3の光学特性を均一に揃えることができる。さらにまた、樹脂33と基板2の接触部分付近における気泡の発生を抑制することもできる。
【0017】
上記実施例は、撥油性被膜26をLED用パッド22を囲むように環状に形成した凹部24内に配置して基板2の表面と撥油性被膜26の表面をほぼ同じ高さ(配線パターン23の存在によって基板2の表面よりも突出する部分も存在)にする場合を示したが、図6に示すように、LED用パッド22を囲む撥油性被膜26を環状の凹部24の外に配置したり、図7に示すように、撥油性被膜26を環状の凹部の内、すなわちLED用パッド22の外周縁部分上に配置してもよい。このようにすれば、図5に示す場合に比べて撥油性被膜26によるLEDチップの光の遮光が多少増大する恐れがあるが、撥油性被膜26自体の厚みによる堰止め効果が加わって樹脂の流れ出しをより確実に阻止することができる。
【0018】
また、上記実施例はメッシュ版により撥油性被膜26を形成する例を示したが、図4〜図7に示す撥油性被膜26を、メタル版等を用いて例えば図8(a),(b)に示すように複数の撥油性被膜要素26a,26bを用いて形成することもできる。この場合、撥油性被膜26は図4に示すような切れ目のないものではなく、切れ目部分26cが存在した環状になる。この切れ目部分26cは、撥油性被膜26をメタル版を用いて形成する場合に、LED用パッド22に相応する部分を覆う部材を保持するための連結片が必要となり、その連結片の存在する部分によって形成される。
【0019】
この切れ目部分26cは、存在しない方が好ましいが、設ける必要がある場合はその幅を樹脂33の流れ出しを阻止するに必要とされる幅以内に設定して形成する。この図8に示す例では、直径(長軸)が3.2mm程度の環状を成す撥油性被膜26に対して、その切れ目部分26cの幅を0.3mmに設定しているが、被膜26で囲まれる領域内に流動状態の樹脂33を高さが3mm程度になるまで流しても、切れ目部分26cからの樹脂33の流れ出しは全く生じなかった。また、同様に、直径(長軸)が4.4mm程度の環状を成す撥油性被膜26に対して、その切れ目部分26cの幅を0.5mmに設定した場合においても、切れ目部分26cからの樹脂33の流れ出しは全く生じなかった。また、撥油性被膜26に形成する切れ目26cは、その幅が1mm程度以下であれば樹脂33の流れ出しを防止することができ、樹脂の流れ出しを防止する幅以内に設定されたものであれば、撥油性被膜26に複数個設けることができる。すなわち、撥油性被膜26は、樹脂33の裾野部分の外郭形状を規定するように樹脂33の外周縁に沿って配置されていれば、分割された複数の要素を集合して環状に形成してもよいし、連続する1つの要素によって形成してもよい。
【0020】
また,上記実施例は撥油性被膜26としてシリコンを主成分とする撥油剤を用いる場合を例示したが、撥油性の高い部材、すなわち上記接触角度が30度以上、好ましくは50度以上、より好ましくは70度以上の撥油剤をこれに代えて用いることもでき、例えばフッ素系ポリマ−を主成分とする撥油剤やそれに類する撥油剤を用いても同様の効果が得られる。
【0021】
また,上記実施例は線状のLED光源1を例に取ったが、これ以外の面状のLED光源等も対象とすることもでき、例えばLED発光部3を1個備えるものや、LED発光部3を複数個を備える他のLED光源にも適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、薄い撥油性被膜によってモ−ルド用樹脂の形状の安定化を図ることができ、光学特性の均一なLED光源を提供することができる。撥油性被膜によってモ−ルド用樹脂の厚みを厚くすることができ、ワイヤボンド線を樹脂に埋没してワイヤボンド線を確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す線状LED光源の平面図である。
【図2】 同実施例の基板(導電パターン形成済)の要部を示す平面図である。
【図3】 同実施例の基板(レジスト形成済)の要部を示す平面図である。
【図4】 同実施例の基板(LEDチップ配置済)の要部を示す平面図である。
【図5】 図1の要部断面図である。
【図6】 他の実施例の要部断面図である。
【図7】 さらに他の実施例の要部断面図である。
【図8】 (a),(b)は撥油性被膜の他の構成例を示す平面図である
【符号の説明】
1 線状LED光源
2 基板
21 基材
22 LED用パッド
22a チップ配置用パッド
22b ワイヤボンド用パッド
25 レジスト膜
26 撥油性被膜
3 LED発光部
31 LEDチップ
32 ワイヤボンド線
33 透光性樹脂

Claims (3)

  1. チップ配置用及びワイヤボンド用パッドからなるLED用パッドを基材上面に形成した基板と、前記チップ配置用パッドに配置されて前記ワイヤボンド用パッドにワイヤボンド線を介して接続されるLEDチップと、前記LEDチップをモ−ルドする透光性樹脂を備えるLED光源において、前記基板上面の前記LED用パッドとその周囲の配線パターン間に前記基材が露出する所定幅の間隔を設けることによって前記LED用パッドを囲むように環状の凹部を設け、この環状の凹部よりも内側のパッドあるいは外側の配線パターンの上に位置して撥油性被膜を設けたことを特徴とするLED光源。
  2. チップ配置用及びワイヤボンド用パッドからなるLED用パッドを基材上面に形成した基板と、前記チップ配置用パッドに配置されて前記ワイヤボンド用パッドにワイヤボンド線を介して接続されるLEDチップと、前記LEDチップをモ−ルドする透光性樹脂を備えるLED光源において、前記LED用パッドを囲むように前記基材が露出する所定幅の間隔を設けることによって前記基板上面に環状の凹部を設け、この凹部内に撥油性被膜を設けたことを特徴とするLED光源。
  3. 基材上面にチップ配置用及びワイヤボンド用パッドからなり周囲に前記基材が露出する所定幅の間隔を設けることによって環状の凹部を有するLED用パッドを形成した基板を準備する工程と、前記環状の凹部内に撥油性被膜をメッシュ版あるいはメタル版を用いて設ける工程と、前記被膜が形成された前記基板の前記チップ配置用パッドにLEDチップを固定して前記ワイヤボンド用パッドにワイヤボンド線を接続する工程と、前記撥油性被膜によって規定される領域内に前記LEDチップを埋めるように流動状態の樹脂を配置し、該樹脂を硬化させる工程を備えることを特徴とするLED光源の製造方法。
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