JP4027759B2 - 衝撃吸収構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の車両において車両衝突時の安全対策として採用される、特に乗員の膝まわりを拘束して安全を図るためのニーエアバッグモジュールを取り付ける構造、特に衝撃を吸収する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等の車両には、車両衝突時にフロントシートの乗員の膝まわりを拘束することで特に胸部の傷害値を低減させるために、シートベルトの補助拘束装置としてニーエアバッグモジュールが座席前方のインストルメントパネルロアの裏側に取り付けられている。
図3は従来のニーエアバッグモジュールの取付構造例を示しており、従来のニーエアバッグモジュール10はニーパネル11に分離不可能に取り付けられている。これら一体化した2つの部材10,11は、ブラケット13を介してボディ側のリインフォース12に取り付けられ、インストルメントパネルロア14の裏側に配設されるようになっている。
【0003】
なお、この例ではインストルメントパネルロア14は、運転席前方に配置される部分(以下、Dロアパネル14Aという)が分割構成されており、このロアパネル14Aがカバーとしてエアバッグモジュール10およびニーパネル11を覆うように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示した場合を含めこの種のニーエアバッグモジュールの取付構造において、衝突時におけるニーパネル11の変形挙動は、衝撃荷重に対する吸収作用に著しく影響する。すなわち、ニーパネル11それ自体の特性に加えて、周辺部材特にブラケット13との間の荷重バランスを最適化し、安定かつ適切な拘束力を得るようにするのは必ずしも容易でない。
【0005】
本発明は以上の点に鑑み、有効かつ適正に衝撃荷重を吸収し得るニーエアバッグ装置における衝撃吸収構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、座席前方のインストルメントパネルロアの内部においてボディ側に横架されたリインフォースと、上記リインフォースのブラケットに連結されたニーパネルと、上記ニーパネルに連結されたニーエアバッグモジュールと、を備えた衝撃吸収構造であって、上記ニーパネルには作業スペース用開口部が、上記インストルメントパネルロアにはワイヤーハーネスを挿通させるための開口部が、それぞれ設けられ、上記作業スペース用開口部及び上記開口部に対応して、カバー部材が上記インストルメントパネルロアに被着されており、さらに、上記カバー部材の裏側に、上記ニーパネルを補強する板金材が添設されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の衝撃吸収構造において、前記作業スペース用開口部と並設されたフランジが二つの前記ブラケットで支持されていることを特徴とする。
また、本発明のニーエアバッグ装置における衝撃吸収構造において、前記カバー部材は樹脂カバーであり、前記板金材は薄鋼板であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ニーパネルは作業スペース用として開設された開口部を有するが、この開口部に対応して、インストルメントパネルロアに被着するカバー部材の裏側に板金材が添設される。この板金材によって開口部を補強することができる。また、開口部の上部両側がボディ側のリインフォースに結合固定されることで、衝突時の衝撃力を分担し分散させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基き、従来例と実質的に同一または対応する部材には同一符号を用いて、本発明によるニーエアバッグモジュール取付衝撃吸収構造の好適な実施の形態を説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態におけるニーエアバッグモジュール取付衝撃吸収構造例を示している。
樹脂製のインストルメントパネルロア14は、各種の操作スイッチなどが取り付けられるスイッチ取付パネル14aと、エアコンやオーディオなどが設置されるセンターコンソールパネル14bと、内部を遮蔽するカバーパネル14cとを備えている。
カバーパネル14cとスイッチ取付パネル14aとは離隔配置されるようにそれらの縁部間に樹脂製の横架材14dが介装されており、また、このカバーパネル14cとスイッチ取付パネル14aとの間はニーエアバッグモジュール10を収容する領域として用いられる。
【0012】
このため、インストルメントパネルロア14には収容凹部18が形成されており、この収容凹部18はニーエアバッグモジュール本体10aを囲繞するように橋渡し状に形成されている。すなわち、この収容凹部18は、カバーパネル14cの縁部とスイッチ取付パネル14aの縁部との間に架設されており、概略直方体形状のニーエアバッグモジュール本体10aの側面(エアバッグドア10b面を除く3面)を囲む側壁部18a,18a,18aとその底面部に位置する底壁部18bとで構成され、ニーエアバッグモジュール10は点線矢印のように収容凹部18内に収容される。
【0013】
また、インストルメントパネルロア14のスイッチ取付パネル14aには、ワイヤーハーネスなどを挿通させるための開口部14a1が形成されている。
この開口部14a1や後述するニーパネル11に形成された開口部11dに対応して、インストルメントパネルロア14にカバー部材16が被着される。このカバー部材16の裏側には板金材17が添設される。本実施形態ではカバー部材16は樹脂板で、板金材17は薄鋼板で構成されている。
【0014】
また、カバー部材16は、図2に示すように、ニーパネル11の開口部11dの外側に対応配置され、さらに、板金材17の幅W1はニーパネル11の開口部11dの幅W2よりも広く設定されて衝突時に変形した際に板金材17がニーパネル11に衝接するように構成されている。
【0015】
次に、金属製のニーパネル11は、乗員の膝幅長を有する板状のパネル部材11aとその中間の門型に切り欠かれた開口部11bから後方へ箱状に形成された覆い11cとで構成されている。この覆い11cは、収容凹部18を上方から覆うように、収容凹部18の側壁部18aを囲む側壁部11c1,11c1,11c1とその上面部に位置する上壁部11c2とで構成されている。
なお、覆い11cは概略箱型を呈するが、薄鋼板材料等を用いてプレス加工によりニーパネル11に一体にしぼりとして形成される。
【0016】
また、ニーパネル11のパネル部材11aには、ニーエアバッグモジュール10と締結用の一対の孔11hが形成されており、これらの孔11h,11hにニーエアバッグモジュール10の上面に設けられたブラケット10cを挿通したボルト等が嵌合し、ニーパネル11とニーエアバッグモジュール10とが連結される。
【0017】
さらに、ニーパネル11のパネル部材11aには、図示のように作業スペース用として開設された開口部11dが形成され、また、パネル部材11aの上縁にはフランジ11e,11fが延設されている。なお、図1に示すように、開口部11d近傍に並設されたフランジ11fの幅L1は開口部11dの幅W2よりも幅広に形成されている。
また、各フランジ11e,11fには、リインフォース12との連結用の孔11g,11g,11gが設けられている。
【0018】
次に、金属製のリインフォース12はインストルメントパネルロア14の内部においてボディ側に横架されており、このリインフォース12に対して3つの金属製のブラケット15a,15b,15cが乗員側、すなわち車両後方へ突出するように固着されている。
【0019】
これらのブラケット15a,15b,15cは、所定量の荷重で変形するように構成されていることを特徴としている。このため、各ブラケット15a,15b,15cは、リインフォース12と連結する基部側からニーパネル11が連結される先端側に向けてその厚みが次第に薄くなるように形成されるとともに、その中間部位から先端まで一定の厚みで形成されている。
なお、ブラケット15a,15b,15cと各フランジ11e,11fとはボルト等の締結具を用いて連結されており、こららのブラケットの内の二本15b,15cは図1に示すように開口部11dが近傍位置に形成されたフランジ11fに連結される。
【0020】
このように構成された本発明の実施形態に係るニーエアバッグモジュール取付衝撃吸収構造によれば、ニーパネル11に開設された開口部11dを利用して取付作業等を容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明では開口部11dに対応して樹脂カバー16に添設された薄鋼板17によって開口部11dを有するニーパネル11を補強することができる。また、開口部11dに並設したフランジ11fを二つのブラケット15b,15cで支持することによっても、開口部11dを有するニーパネル11を補強することができる。
【0022】
さらに、ニーパネル11が二つのフランジ11e,11fにてブラケット15a,15b,15cを介してリインフォース12に支持されていることで、ニーパネル11に作用する荷重を、すなわち衝突時の衝撃力を分担し分散させることができる。
【0023】
したがって、衝突時にエアバッグが展開し、その衝撃荷重によりニーパネル11全体が撓み、つぎにブラケット15a,15b,15cに作用する荷重が所定量に至るとブラケット15a,15b,15cが変形する。
このようにニーパネル11およびブラケット15a,15b,15cの相互作用で荷重バランスを最適化し、衝撃をコントロールすることができる。これにより作業スペース用として開口部11dが大きく開設されたニーパネル11にあっても必要強度を確保し、衝突時における乗員に対する拘束力を安定的に高めることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、この種のニーエアバッグモジュール取付構造において衝突時における荷重バランスを最適化し、衝撃をコントロールし、乗員に対する拘束力を有効に高めることができ、安全性を確保向上することができる等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるニーエアバッグモジュール取付衝撃吸収構造例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】従来のニーエアバッグモジュールの取付構造例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 エアバッグモジュール
10a ニーエアバッグモジュール本体
10b エアバッグドア
10c ブラケット
11 ニーパネル
11a パネル部材
11b 開口部
11c 覆い
11c1 側壁部
11c2 上壁部
11d 開口部
11e,11f フランジ
11g,11h 孔
12 リインフォース
14 インストルメントパネルロア
14a スイッチ取付パネル
14a1 開口部
14b センターコンソールパネル
14c カバーパネル
14d 横架材
15a,15b,15c ブラケット
16 樹脂カバー
17 薄鋼板(板金材)
18 収容凹部
18a 側壁部
18b 底壁部

Claims (3)

  1. 座席前方のインストルメントパネルロアの内部においてボディ側に横架されたリインフォースと、上記リインフォースのブラケットに連結されたニーパネルと、上記ニーパネルに連結されたニーエアバッグモジュールと、を備えた衝撃吸収構造であって、
    上記ニーパネルには作業スペース用開口部が、上記インストルメントパネルロアにはワイヤーハーネスを挿通させるための開口部が、それぞれ設けられ、
    上記作業スペース用開口部及び上記開口部に対応して、カバー部材が上記インストルメントパネルロアに被着されており、さらに、
    上記カバー部材の裏側に、上記ニーパネルを補強する板金材が添設されていることを特徴とする、衝撃吸収構造。
  2. 前記作業スペース用開口部と並設されたフランジが二つの前記ブラケットで支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の、衝撃吸収構造。
  3. 前記カバー部材は樹脂カバーであり、前記板金材は薄鋼板であることを特徴とする、請求項1〜2の何れかに記載の衝撃吸収構造。
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