JP4026791B2 - 剥離紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、剥離紙に関し、更に詳しくは、グラシン紙等を基紙とし、離型性、リサイクル性、(塗布される離型剤に対する)耐溶剤性等に優れた剥離紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、剥離紙は、粘着ラベル、粘着テープ、粘着シート等の基材として多方面に利用されている。
かかる剥離紙は、一般的には、基紙の表面に離型剤の層を設けた構成であり、通常はかかる離型剤が紙の中に浸透せずに基紙の表面で良好な離型剤の層を形成できるように、その界面にポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂層を設けたり、或いはポリビニルアルコール系樹脂、カルボキシメチルセルロース、ガゼイン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等のバリヤー層を設けることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂層を設けた場合には、バリヤー効果は十分であるが、最近の紙のリサイクルを考えると該樹脂の処理が大きな問題となる。一方、従来のポリビニルアルコール系樹脂等による層の場合には、リサイクル問題はクリアするもののバリヤー性能が十分ではなく、リサイクル性とバリヤー性を同時に満足するバリヤー層が設けられ、更には離型性にも優れた剥離紙が望まれるところである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者がかかる事情に鑑みて鋭意検討した結果、基紙に、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、ポリアクリル酸塩を0.1〜20重量部配合した樹脂組成物(a)が塗工されてなる剥離紙が上記の課題を解決することを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明を以下に詳しく説明する。
本発明の剥離紙は、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、ポリアクリル酸塩を0.1〜20重量部配合してなる樹脂組成物(a)が基紙に塗工されてなるもので、かかるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂としては、カルボキシル基を含有しているポリビニルアルコール系樹脂であれば特に限定されず、その製造も特に限定されず、例えば、カルボキシル基を有する不飽和単量体及びビニルエステル系化合物より共重合体を得た後、該共重合体をケン化する方法が樹脂の製造面、性能面から実用的である。
【0006】
以下、前者の方法について具体的に説明する。
カルボキシル基を有する不飽和単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸)、又はエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル)、又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸)、あるいは(メタ)アクリル酸等の単量体、及びこれらの塩が挙げられ、エチレン性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好適に使用される。
【0007】
また、ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独又は併用で用いることができるが、酢酸ビニルが特に実用性が高い。
【0008】
本発明においては、かかる重合の際に上記の如きカルボキシル基を有する単量体、ビニルエステル系化合物以外に、飽和カルボン酸のアリルエステル(ステアリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ヤシ油脂肪酸アリル、オクチル酸アリル、酪酸アリル等)、α−オレフィン(エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オクタデセン等)、アルキルビニルエーテル(プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等)、アルキルアリルエーテル(プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル等)、更には、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アリルスルホン酸塩、エチレン性不飽和スルホン酸塩、スチレン、塩化ビニルなどの(ビニルエステルと)共重合しうる単量体を50モル%以下存在せしめて重合を行なっても良い。
共重合するに当たっては特に制限はなく、公知の重合方法が任意に用いられるが、普通メタノールあるいはエタノール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。
【0009】
かかる方法において単量体の仕込み方法としては、まずビニルエステル系化合物の全量と前記カルボキシル基含有不飽和単量体の一部を仕込んで重合を開始し、残りの不飽和単量体を重合期間中に連続的に又は分割的に添加する方法、一括仕込みする方法等任意の手段を用いて良い。共重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行なわれる。又反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
【0010】
上記の如くして得られた共重合体は、次にケン化されてカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂となる。
ケン化に当たっては、共重合体をアルコールや酢酸エステルまたはこれらの混合溶媒に溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、また、酢酸エステルとしては酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。
アルコール中の共重合体の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることが必要である。かかる触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1〜100ミリモル当量にすることが必要である。
【0011】
かかる場合、ケン化温度は特に制限はないが、通常は10〜70℃、更には30〜40℃の範囲から選ぶのが好ましい。反応は通常2〜3時間にわたって行なわれ、好ましいケン化度は10〜100モル%で、特に好ましくは50〜100モル%、殊に好ましくは70〜100モル%の範囲から選択される。
尚、ビニルアルコール成分を含有させる場合は上記方法に限られるものではなく、例えばポリビニルアルコール(部分ケン化物、完全ケン化物)に酸化アルキレン類を後反応させる方法等も実施可能である。
かくして、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂が得られるわけであるが、かかるカルボキシル基の含有量は0.1〜10モル%が好ましく、更には0.5〜5モル%で、かかるカルボキシル基の含有量が0.1モル%未満では塗布される溶剤系の離型剤に対する耐溶剤性が低く、逆に10モル%を越えると塗工液とした時の溶解性が不良となって好ましくない。
【0012】
また、本発明においては、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の40℃のせん断速度2.5×105sec-1における10重量%の水溶液粘度が1〜40mPa・s(更には5〜30mPa・s)であることが好ましく、かかる水溶液粘度が1mPa・s未満では紙のバリヤー性が低下して離型剤の浸透量が多くなり、逆に40mPa・sを越えると塗工液の塗工性が低下して好ましくない。
また、上記のカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂と共に配合されるポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等を挙げることができ、またポリアクリル酸の重合度としては500〜30000、更には1000〜7000のものが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0013】
本発明においては、上記の如きカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂及びポリアクリル酸塩を含有する樹脂組成物(a)を用いるのであるが、かかるポリアクリル酸塩の配合量は、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、0.1〜20であり、更には1〜7重量部で、特に2〜5重量部が好ましく、かかる配合量が0.1重量部未満では、配合効果に乏しく、逆に20重量部を越えると紙のバリヤー性が低下して離型剤の浸透量が多くなると同時にその上に塗布される離型剤との接着性が低下して好ましくない。
【0014】
かかる樹脂組成物(a)を基紙に塗工するにあたっては、一般には水に溶解した塗工液として用いられるが、溶剤系でも使用可能である。溶剤の種類は、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の特性、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂及び該ポリアクリル酸塩の配合割合等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、比較的ケン化度の低いものはペースト状で得られるので重合又はケン化に用いた溶媒をそのまま用いても良いし、必要ならば溶媒置換を行なっても良い。
【0015】
かかる塗工液の調製に当たっては特に制限はなく、要するに水(または溶剤)と上記の樹脂組成物(a)を混合すれば良い。濃度は適宜調節すれば良いが、特に好ましい樹脂組成物(a)の濃度は作業性等を考慮して、通常は0.1〜20重量%、更には1〜10重量%程度の範囲から選ばれる。また、本発明においては、かかる塗工液に、更に必要に応じてグリオキザール、エピクロルヒドリン、炭酸ジルコニウムアンモニウム、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−イソプロピルチタネート、尿素樹脂等の耐水化剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、防虫剤、防錆剤、増粘剤等の公知の添加剤を添加することもでき、又本発明の特徴を損なわない範囲でならば他の紙加工剤、例えば、従来公知の他のポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース、アクリル系ラテックス、SBRラテックス等の樹脂も混合することができる。
【0016】
かくして、かかる塗工液が基紙に塗工されるのであるが、塗工にあたっては、サイズプレスコート、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、ゲートロールコーター法等の公知の任意の方法が採用され、その塗工量は、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂が0.1〜10g/m2(固形分換算)、特に好ましくは0.5〜5g/m2(同上)程度になるようにするのが適当である。
また、基紙としては、特に限定されず、グラシン紙、セミグラシン紙、クラフト紙、和紙、上質紙、不織布等を挙げることができ、特にグランシン紙、セミグラシン紙が好適に用いられる。
かくして基紙に樹脂組成物(a)の層が形成されるのであるが、通常はこの表面に離型剤の層が形成されて剥離紙となる。かかる離型剤としては、特に限定されず、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を示す。
【0018】
実施例1
[カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の調製]
重合缶に酢酸ビニル500部、マレイン酸3.4部、メタノール85部を仕込んで、系内を撹拌下、窒素気流中で昇温して60℃で30分間還流後、アゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニルに対して0.08モル%加え、マレイン酸のメタノール溶液を仕込み変性度が1.0モル%になるように滴下して6時間重合を行って反応終了後メタノール蒸気を吹き込んで未反応のモノマーを除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、得られたメタノール溶液を40%にメタノールで希釈した。更に共重合体中の酢酸ビニルに対して水酸化ナトリウムを40ミリモル%加えてケン化して、得られたケン化物を濾過し、70℃で乾燥してカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(ケン化度94.0モル%)を得た。得られたカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の40℃のせん断速度2.5×105cm-1における10重量%の水溶液粘度は、ハーキュレス型回転粘度計(三井電気精機社製)で測定したところ、20mPa・sであった。
【0019】
上記のカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂6.00部及びポリアクリル酸ナトリウム(重合度3000)0.12部(カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してポリアクリル酸ナトリウムが2部)を水93.88部に溶解させて塗工液とし、該塗工液を坪量65g/m2、透気度100秒のグラシン紙の片面に樹脂固形分で0.7g/m2になるように塗工し、円筒回転式ドライヤーにて105℃で2分間乾燥し、更にスーパーカレンダー(温度:80℃,線圧:40kg/cm)を通し、次いで、塗工・乾燥面に離型剤液(電子線硬化型無溶剤シリコーン[信越化学工業(株)製、『X−52−131』]100部及び白金触媒30部)を固形分換算で1.0g/m2になるように塗工した後、電子線を照射して離型剤層を形成させて剥離紙を得た。
【0020】
得られた剥離紙について、バリヤー性(透気度)及び離型性の評価を以下の要領で行った。
(バリヤー性)
JIS P 8117の透気度に準拠して、王研式透気度試験器(旭精工(株)製)に試験片を固定し、100mlの空気が通過する時間(秒)を測定した。
(離型性)
剥離紙の離型剤層表面にアクリル系エマルジョン粘着剤(日本カーバイド社製、『ニカゾール L−145』)を塗工量が25g/m2になるようにリバースロールコーターで塗工し、130℃で熱風乾燥した後、坪量65g/m2の上質紙を張り合わせて、標準状態で0.3m/minで剥離させた時の剥離強度(g/50mm)を測定して、以下のとおり評価した。
○ −−−100g/50mm未満
△ −−−100〜200g/50mm未満
× −−−200g/50mm以上
また、得られた剥離紙は、通常のリサイクル作業により容易に水に溶解し、古紙として回収することも可能であった。
【0021】
実施例2〜5、比較例1〜2
実施例1に準じて表1及び2に示される如きカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂及びポリアクリル酸塩を用いて、同様に評価を行った。
評価結果を表3に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
注)表1及び2のそれぞれの含有量はカルボキシル基含有ポリビニルアルコール
系樹脂100部に対するポリアクリル酸塩の含有量を表したものである。
【0024】
【表3】
【0025】
【発明の効果】
本発明の剥離紙は、基紙に特定の樹脂組成物(a)が塗工されているため、バリヤー性が良好なため離型剤の浸透性を防ぐことができ、離型性も良好で、更には通常のリサイクル作業により容易に水に溶解し、古紙として回収することができ、粘着ラベル、感熱ラベル、粘着テープ、粘着シート等の基材として有用である。
Claims (3)
- 基紙にカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、ポリアクリル酸塩を0.1〜20重量部配合した樹脂組成物(a)が塗工されてなることを特徴とする剥離紙。
- カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂中のカルボキシル基の含有量が0.1〜10モル%であることを特徴とする請求項1記載の剥離紙。
- カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の40℃のせん断速度2.5×105sec-1における10重量%の水溶液粘度が1〜40mPa・sであることを特徴とする請求項1または2記載の離型紙。
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