JP4026233B2 - 4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法 - Google Patents
4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4026233B2 JP4026233B2 JP17083198A JP17083198A JP4026233B2 JP 4026233 B2 JP4026233 B2 JP 4026233B2 JP 17083198 A JP17083198 A JP 17083198A JP 17083198 A JP17083198 A JP 17083198A JP 4026233 B2 JP4026233 B2 JP 4026233B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dichloro
- pyrimidine
- fluoroalkyl
- fluoroethyl
- pyrimidone
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、殺センチュウ剤として有用なアミノピリミジン誘導体(特開平5−230036号公報、特開平6−25187号公報、特開平6−116247号公報、特開平6−247939号公報、特開平7−258223号公報)の合成中間体として重要な4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの新規な製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでに4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの内、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの製法(特開平5−194417号公報、特開平6−25187号公報、特開平6−116247号公報、特開平6−247939号公報)のみ知られており、次に示すように、4,5−ジクロロ−6−(1−ヒドロキシエチル)ピリミジンをジエチルアミノサルファートリフルオライドと反応させて4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンを得ている。
【0003】
【化3】
【0004】
しかし、この方法は、4,5−ジクロロ−6−(1−ヒドロキシエチル)ピリミジンの合成が煩雑なこととフルオロ化剤のジエチルアミノサルファートリフルオライドが非常に高価で工業的な製法には適さない。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、有用なアミノピリミジン誘導体の合成中間体として重要な4,5−ジクロロ−1−(α−フルオロアルキル)ピリミジンを安価にかつ収率良く工業的に製造するための新規な製法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの新規な製法を確立して、本発明を完成した。
即ち、本発明は、次式(1):
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、R1はアルキル基を表し、R2は水素原子又はアルキル基を表す。)
で示される5−クロロ−6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドンを塩素化剤で塩素化することを特徴とする
次式(2):
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R1、R2は前記と同義である。)
で示される4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法に関するものである。
さらに詳しくは、塩素化剤として塩化チオニル又は塩化スルフリルを使用するとき、N,N−ジメチルホルムアミドを添加することを特徴とする、式(2)で示される4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
目的化合物である前記の式(2)で示される4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジン[化合物(2)]及び、その製造原料である式(1)で示される5−クロロ−6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン[化合物(1)]における、R1及びR2は次の通りである。
【0012】
R1としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。
R1におけるアルキル基としては、炭素原子数が1〜10個、好ましくは1〜4個のものである。
R2としては、水素原子又は、直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。
R2におけるアルキル基としては、炭素原子数が1〜10個、好ましくは1〜4個のものであり、さらに好ましくはメチル基である。
【0013】
本発明に使用する原料の化合物(1)は対応する2−フルオロカルボン酸エステル(Tetrahedron Lett.,1993,293、Tetrahedron;Asymmetry,1994,981)とカルボン酸エステルから4−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステルを得た(特願平9−342342号公報)後、ホルムアミジンで環化し(特願平10−055174号公報)、さらに塩素化して得ることができる(特願平10−142662号公報)。
【0014】
【化6】
【0015】
本発明に用いる塩素化剤は、塩化チオニル、塩化スルフリル、オキシ塩化リン、三塩化リン及び五塩化リンが好ましい。
本発明に用いる塩素化剤の使用量は化合物(1)に対して1倍モル以上であるが、好ましくは1.0〜2.0倍モルである。
本発明に用いる塩素化剤に塩化チオニル又は塩化スルフリルを選ぶ場合は、N,N−ジメチルホルムアミドを添加する必要がある。
添加するN,N−ジメチルホルムアミドの量は化合物(1)に対して0.1重量%以上であるが、好ましくは0.3重量%以上である。
【0016】
本発明の化合物(2)の合成において、溶媒は使用しても使用しなくても良いが、溶媒を使用する場合は、本反応に関与しないものであれば特に限定されず、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類等を挙げることができる。また、これらの溶媒は単独又は混合して使用することができる。
【0017】
溶媒の使用量は、化合物(1)に対して0〜50倍容量であるのが良く、更に好ましくは2〜20倍量である。
本発明の化合物(2)の合成において、使用される反応温度は10〜120℃であるが、好ましくは30〜100℃が良い。
本発明の化合物(2)の合成における反応時間は濃度、温度、使用量によって変化するが、通常0.5〜10時間で終了する。
以上のようにして製造された目的化合物(2)は、反応終了後、洗浄、抽出、濃縮等の通常の後処理を行い、必要に応じて蒸留や各種クロマトグラフィー等の公知の手段で精製することができる。
【0018】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものでない。
実施例1 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン1.00gを1,2−ジクロロエタン10mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド1滴(約0.02g)と塩化チオニル0.81gを添加し、2時間加熱還流(76℃)を行った。反応液を10℃まで冷却し、10mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが1.09g生成していた(収率98%)。有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが0.76g得られた。
【0019】
・沸点
84〜88℃/5mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=195(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.66〜1.78(3H,dd)、5.89〜6.14(1H,dq)、
8.92(1H,s)
【0020】
実施例2 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン8.22gを1,2−ジクロロエタン33mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.17gを加え、塩化チオニル6.46gを添加し、3時間加熱還流(76℃)を行った。反応液を10℃まで冷却し、20mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが8.93g生成していた(収率98.3%)。
【0021】
実施例3 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン0.88gを1,2−ジクロロエタン8mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド1.46gを加え、塩化スルフリル0.74gを添加し、40℃で3時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し、5mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが0.90g生成していた(収率92.8%)。
【0022】
実施例4 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン1.02gを1,2−ジクロロエタン10mlに懸濁した溶液にオキシ塩化リン1.04gを加え、40℃で1時間、60℃で2時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し10mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが1.05g生成していた(収率93.1%)。
【0023】
実施例5 [4,5−ジクロロ−6−(2−フルオロ−2−プロピル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(2−フルオロ−2−プロピル)−4−ピリミドン1.20gを1,2−ジクロロエタン10mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.005gと塩化チオニル0.82gを加えて、70℃で4時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し10mlの水で洗浄し、有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると、4,5−ジクロロ−6−(2−フルオロ−2−プロピル)ピリミジンが0.97g得られた(73.6%)。
【0024】
・沸点
56〜57℃/2mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=209(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.79(6H,dd)、8.81(1H,s)
【0025】
実施例6 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロ−1−ペンチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロ−1−ペンチル)−4−ピリミドン1.10gをトルエン10mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.005gと塩化チオニル0.65gを加えて、85℃で2時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し10mlの水で洗浄し、有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロ−1−ペンチル)ピリミジンが0.94g得られた(78.7%)。
【0026】
・沸点
81〜82℃/1.5mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=237(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
0.94(3H,t)、1.35〜1.62(4H,m)、
1.85〜2.12(2H,m)、5.77〜5.92(1H,dq)、
8.92(1H,s)
【0027】
参考例1 [4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステルの合成]
62.8%水素化ナトリウム1.31gをテトラヒドロフラン10mlに懸濁させた溶液に2−フルオロプロピオン酸メチル2.00gと酢酸メチル2.10gの混合溶液を10分で滴下した後、30〜35℃で4時間加熱した。反応終了後室温に冷却し、1N−塩酸で中和して、分液し、有機層をガスクロマトグラフィー内部標準法で定量すると4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステルが2.57g生成していた(収率92%)。この有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステルが2.03g得られた。
【0028】
・沸点
80〜81℃/24〜25mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=149(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.47〜1.60(3H,m)、3.66〜3.67(1.7H,d)、
3.76〜3.77(3H,d)、4.87〜5.12(1H,m)、
5.33(0.15H,s)、11.80〜12.00(0.15H,bs)
1H−NMR分析ではケト−エノールフォームが存在する。
【0029】
参考例2 [6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンの合成]
4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル9.33gをメタノール115mlに溶解した溶液に28%ナトリウムメチラート・メタノール溶液36.5gとホルムアミジン酢酸塩9.84gを室温下に順時加え、40℃で12時間加熱撹拌した。さらにホルムアミジン酢酸塩0.66gを追加し、50℃で2時間加熱撹拌した後、10℃以下に冷却し、濃硫酸9.51gと水8.5gの混合物を添加した。50℃で30分撹拌した後、不溶物を濾別し、濾液を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンが7.99g生成していた(収率89.2%)。濾液を減圧下に濃縮後、濃縮液を40mlの2−プロパノールで再結晶し、6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンを5.82g得た。
【0030】
・融点
170〜171.5℃
・質量分析値
CI−MS m/e=143(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.60〜1.67(3H,dd)、5.34〜5.47(1H,dq)、
6.62〜6.63(1H,t)、8.13(1H,s)、13.3(1H,bs)
【0031】
参考例3 [5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンの合成]
6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン16.0gをジクロロエタン160mlに懸濁した溶液を60℃に加熱し、塩素8.76gを20分で吹き込んだ後、さらに60℃で1時間撹拌した。反応液を5℃に冷却し、析出した結晶を濾別したところ、粗結晶25.6gを得た。液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンが17.6g含まれていた(収率88.6%)。この粗結晶を70mlの水で洗浄後、70mlのイソプロパノールで再結晶し、5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンの精結晶15.4gを得た。
【0032】
・融点
190〜191℃
・質量分析値
CI−MS m/e=177(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.49〜1.60(3H,dd)、5.76〜6.00(1H,dq)、
8.27(1H,s)、13.15(1H,bs)
【0033】
【発明の効果】
殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺センチュウ剤として有用なアミノピリミジン誘導体の合成中間体として重要な4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンを、本発明の製法によって得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、殺センチュウ剤として有用なアミノピリミジン誘導体(特開平5−230036号公報、特開平6−25187号公報、特開平6−116247号公報、特開平6−247939号公報、特開平7−258223号公報)の合成中間体として重要な4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの新規な製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでに4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの内、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの製法(特開平5−194417号公報、特開平6−25187号公報、特開平6−116247号公報、特開平6−247939号公報)のみ知られており、次に示すように、4,5−ジクロロ−6−(1−ヒドロキシエチル)ピリミジンをジエチルアミノサルファートリフルオライドと反応させて4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンを得ている。
【0003】
【化3】
【0004】
しかし、この方法は、4,5−ジクロロ−6−(1−ヒドロキシエチル)ピリミジンの合成が煩雑なこととフルオロ化剤のジエチルアミノサルファートリフルオライドが非常に高価で工業的な製法には適さない。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、有用なアミノピリミジン誘導体の合成中間体として重要な4,5−ジクロロ−1−(α−フルオロアルキル)ピリミジンを安価にかつ収率良く工業的に製造するための新規な製法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの新規な製法を確立して、本発明を完成した。
即ち、本発明は、次式(1):
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、R1はアルキル基を表し、R2は水素原子又はアルキル基を表す。)
で示される5−クロロ−6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドンを塩素化剤で塩素化することを特徴とする
次式(2):
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R1、R2は前記と同義である。)
で示される4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法に関するものである。
さらに詳しくは、塩素化剤として塩化チオニル又は塩化スルフリルを使用するとき、N,N−ジメチルホルムアミドを添加することを特徴とする、式(2)で示される4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
目的化合物である前記の式(2)で示される4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジン[化合物(2)]及び、その製造原料である式(1)で示される5−クロロ−6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン[化合物(1)]における、R1及びR2は次の通りである。
【0012】
R1としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。
R1におけるアルキル基としては、炭素原子数が1〜10個、好ましくは1〜4個のものである。
R2としては、水素原子又は、直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。
R2におけるアルキル基としては、炭素原子数が1〜10個、好ましくは1〜4個のものであり、さらに好ましくはメチル基である。
【0013】
本発明に使用する原料の化合物(1)は対応する2−フルオロカルボン酸エステル(Tetrahedron Lett.,1993,293、Tetrahedron;Asymmetry,1994,981)とカルボン酸エステルから4−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステルを得た(特願平9−342342号公報)後、ホルムアミジンで環化し(特願平10−055174号公報)、さらに塩素化して得ることができる(特願平10−142662号公報)。
【0014】
【化6】
【0015】
本発明に用いる塩素化剤は、塩化チオニル、塩化スルフリル、オキシ塩化リン、三塩化リン及び五塩化リンが好ましい。
本発明に用いる塩素化剤の使用量は化合物(1)に対して1倍モル以上であるが、好ましくは1.0〜2.0倍モルである。
本発明に用いる塩素化剤に塩化チオニル又は塩化スルフリルを選ぶ場合は、N,N−ジメチルホルムアミドを添加する必要がある。
添加するN,N−ジメチルホルムアミドの量は化合物(1)に対して0.1重量%以上であるが、好ましくは0.3重量%以上である。
【0016】
本発明の化合物(2)の合成において、溶媒は使用しても使用しなくても良いが、溶媒を使用する場合は、本反応に関与しないものであれば特に限定されず、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類等を挙げることができる。また、これらの溶媒は単独又は混合して使用することができる。
【0017】
溶媒の使用量は、化合物(1)に対して0〜50倍容量であるのが良く、更に好ましくは2〜20倍量である。
本発明の化合物(2)の合成において、使用される反応温度は10〜120℃であるが、好ましくは30〜100℃が良い。
本発明の化合物(2)の合成における反応時間は濃度、温度、使用量によって変化するが、通常0.5〜10時間で終了する。
以上のようにして製造された目的化合物(2)は、反応終了後、洗浄、抽出、濃縮等の通常の後処理を行い、必要に応じて蒸留や各種クロマトグラフィー等の公知の手段で精製することができる。
【0018】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものでない。
実施例1 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン1.00gを1,2−ジクロロエタン10mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド1滴(約0.02g)と塩化チオニル0.81gを添加し、2時間加熱還流(76℃)を行った。反応液を10℃まで冷却し、10mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが1.09g生成していた(収率98%)。有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが0.76g得られた。
【0019】
・沸点
84〜88℃/5mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=195(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.66〜1.78(3H,dd)、5.89〜6.14(1H,dq)、
8.92(1H,s)
【0020】
実施例2 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン8.22gを1,2−ジクロロエタン33mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.17gを加え、塩化チオニル6.46gを添加し、3時間加熱還流(76℃)を行った。反応液を10℃まで冷却し、20mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが8.93g生成していた(収率98.3%)。
【0021】
実施例3 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン0.88gを1,2−ジクロロエタン8mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド1.46gを加え、塩化スルフリル0.74gを添加し、40℃で3時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し、5mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが0.90g生成していた(収率92.8%)。
【0022】
実施例4 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン1.02gを1,2−ジクロロエタン10mlに懸濁した溶液にオキシ塩化リン1.04gを加え、40℃で1時間、60℃で2時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し10mlの水で洗浄した後、有機層を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが1.05g生成していた(収率93.1%)。
【0023】
実施例5 [4,5−ジクロロ−6−(2−フルオロ−2−プロピル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(2−フルオロ−2−プロピル)−4−ピリミドン1.20gを1,2−ジクロロエタン10mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.005gと塩化チオニル0.82gを加えて、70℃で4時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し10mlの水で洗浄し、有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると、4,5−ジクロロ−6−(2−フルオロ−2−プロピル)ピリミジンが0.97g得られた(73.6%)。
【0024】
・沸点
56〜57℃/2mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=209(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.79(6H,dd)、8.81(1H,s)
【0025】
実施例6 [4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロ−1−ペンチル)ピリミジンの合成]
5−クロロ−6−(1−フルオロ−1−ペンチル)−4−ピリミドン1.10gをトルエン10mlに懸濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.005gと塩化チオニル0.65gを加えて、85℃で2時間加熱した。反応液を10℃まで冷却し10mlの水で洗浄し、有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると、4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロ−1−ペンチル)ピリミジンが0.94g得られた(78.7%)。
【0026】
・沸点
81〜82℃/1.5mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=237(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
0.94(3H,t)、1.35〜1.62(4H,m)、
1.85〜2.12(2H,m)、5.77〜5.92(1H,dq)、
8.92(1H,s)
【0027】
参考例1 [4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステルの合成]
62.8%水素化ナトリウム1.31gをテトラヒドロフラン10mlに懸濁させた溶液に2−フルオロプロピオン酸メチル2.00gと酢酸メチル2.10gの混合溶液を10分で滴下した後、30〜35℃で4時間加熱した。反応終了後室温に冷却し、1N−塩酸で中和して、分液し、有機層をガスクロマトグラフィー内部標準法で定量すると4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステルが2.57g生成していた(収率92%)。この有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステルが2.03g得られた。
【0028】
・沸点
80〜81℃/24〜25mmHg
・質量分析値
CI−MS m/e=149(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.47〜1.60(3H,m)、3.66〜3.67(1.7H,d)、
3.76〜3.77(3H,d)、4.87〜5.12(1H,m)、
5.33(0.15H,s)、11.80〜12.00(0.15H,bs)
1H−NMR分析ではケト−エノールフォームが存在する。
【0029】
参考例2 [6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンの合成]
4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル9.33gをメタノール115mlに溶解した溶液に28%ナトリウムメチラート・メタノール溶液36.5gとホルムアミジン酢酸塩9.84gを室温下に順時加え、40℃で12時間加熱撹拌した。さらにホルムアミジン酢酸塩0.66gを追加し、50℃で2時間加熱撹拌した後、10℃以下に冷却し、濃硫酸9.51gと水8.5gの混合物を添加した。50℃で30分撹拌した後、不溶物を濾別し、濾液を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンが7.99g生成していた(収率89.2%)。濾液を減圧下に濃縮後、濃縮液を40mlの2−プロパノールで再結晶し、6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンを5.82g得た。
【0030】
・融点
170〜171.5℃
・質量分析値
CI−MS m/e=143(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.60〜1.67(3H,dd)、5.34〜5.47(1H,dq)、
6.62〜6.63(1H,t)、8.13(1H,s)、13.3(1H,bs)
【0031】
参考例3 [5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンの合成]
6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン16.0gをジクロロエタン160mlに懸濁した溶液を60℃に加熱し、塩素8.76gを20分で吹き込んだ後、さらに60℃で1時間撹拌した。反応液を5℃に冷却し、析出した結晶を濾別したところ、粗結晶25.6gを得た。液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンが17.6g含まれていた(収率88.6%)。この粗結晶を70mlの水で洗浄後、70mlのイソプロパノールで再結晶し、5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンの精結晶15.4gを得た。
【0032】
・融点
190〜191℃
・質量分析値
CI−MS m/e=177(m+1)
・1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)
1.49〜1.60(3H,dd)、5.76〜6.00(1H,dq)、
8.27(1H,s)、13.15(1H,bs)
【0033】
【発明の効果】
殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺センチュウ剤として有用なアミノピリミジン誘導体の合成中間体として重要な4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンを、本発明の製法によって得ることができる。
Claims (2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17083198A JP4026233B2 (ja) | 1998-06-18 | 1998-06-18 | 4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17083198A JP4026233B2 (ja) | 1998-06-18 | 1998-06-18 | 4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000007662A JP2000007662A (ja) | 2000-01-11 |
JP4026233B2 true JP4026233B2 (ja) | 2007-12-26 |
Family
ID=15912148
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17083198A Expired - Fee Related JP4026233B2 (ja) | 1998-06-18 | 1998-06-18 | 4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4026233B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012096129A1 (ja) | 2011-01-14 | 2012-07-19 | 株式会社エス・ディー・エス バイオテック | 4-(3-ブチニル)アミノピリミジン誘導体を含む農園芸用有害生物防除剤組成物 |
CN103772369B (zh) | 2012-10-25 | 2016-12-21 | 沈阳中化农药化工研发有限公司 | 胡椒乙胺类化合物及其用途 |
CN104684900B (zh) | 2012-10-25 | 2017-04-12 | 沈阳中化农药化工研发有限公司 | 取代嘧啶类化合物及其用途 |
CN104710409B (zh) | 2013-12-13 | 2019-06-04 | 沈阳中化农药化工研发有限公司 | 吡唑基嘧啶胺类化合物及用途 |
US11008339B2 (en) | 2015-05-18 | 2021-05-18 | Shenyang Sinochem Agrochemicals R&D Co., Ltd. | Substituted pyrazole compounds containing pyrimidine and preparation method and use thereof |
WO2019105275A1 (zh) | 2017-11-29 | 2019-06-06 | 沈阳中化农药化工研发有限公司 | 取代嘧啶类化合物及其制备方法和用途 |
-
1998
- 1998-06-18 JP JP17083198A patent/JP4026233B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000007662A (ja) | 2000-01-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2023027091A (ja) | アミノピリミジン誘導体を調製するための改善されたプロセス | |
JP4026233B2 (ja) | 4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製法 | |
US9695124B2 (en) | Method of producing 2-aminonicotinic acid benzyl ester derivatives | |
JPH0583550B2 (ja) | ||
JP2826646B2 (ja) | 3−置換−5−ハロゲノピリジン誘導体 | |
JP3564982B2 (ja) | 4−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステル及びその製法 | |
EP1065202B1 (en) | 6-(alpha-fluoroalkyl)-4-pyrimidones and process for producing the same | |
JP4055246B2 (ja) | 5−クロロ−6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン及びその製法 | |
JP4123606B2 (ja) | 4,5−ジクロロ−6−(α−フルオロアルキル)ピリミジンの製造方法 | |
JP4110633B2 (ja) | 3−アミノ−4−フルオロ−2−不飽和カルボン酸エステル及びその製法 | |
JP4449211B2 (ja) | 6−(1−フルオロエチル)−5−ヨード−4−ピリミドン及びその製法 | |
JPS621392B2 (ja) | ||
JP4123609B2 (ja) | 6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドンの製造方法 | |
JP3536648B2 (ja) | 6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン及びその製法 | |
KR20170050453A (ko) | 싸이에노피리미딘 화합물의 신규 제조방법 및 이에 사용되는 중간체 | |
JP2805114B2 (ja) | α,β−不飽和ケトエステル誘導体 | |
JPS6372684A (ja) | ピロキシカムおよびその合成中間体の製法 | |
JPS6051180A (ja) | 1,2,4−トリアゾリン−5−オン類の製造方法 | |
JP2784920B2 (ja) | 1,3−シクロヘキサンジオン誘導体 | |
JP2937387B2 (ja) | 5―置換2―アミノ―3―シアノピラジン類の製法 | |
JPS61200978A (ja) | 3−置換アミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン誘導体及びその製造法 | |
JPS6110569A (ja) | 2−(2−アミノチアゾ−ル)−酢酸誘導体の製造法 | |
JPH1112254A (ja) | 3−(3−ピリジルメチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2(1h)−キナゾリノン誘導体及びその中間体の製造方法 | |
JP2003089691A (ja) | 6−(1−フルオロエチル)ピリミジン類及びその製法 | |
JPH11217372A (ja) | 2−アルコキシ−6−アミノ−5−ハロゲノ−3−ピリジンカルボン酸誘導体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070918 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070921 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071001 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101019 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |