JP3536648B2 - 6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン及びその製法 - Google Patents

6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺虫剤,殺ダニ
剤,殺菌剤,殺センチュウ剤として有用なアミノピリミ
ジン誘導体(特開平5−230036号公報、特開平6
−25187号公報、特開平6−116247号公報、
特開平6−247939号公報、特開平7−25822
3号公報に記載)の合成中間体として重要な、新規な6
−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン及びその
製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明の合成中間体は知られておらず、
よってその製法も知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、合成中間体
として重要な、新規な6−(α−フルオロアルキル)−
4−ピリミドン及びその製法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために検討した結果、新規な化合物である
6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドンが前記
の有用なアミノピリミジン誘導体の重要な中間体となる
ことを見い出し、さらにその製法を確立して、本発明を
完成した。即ち、第1の発明は、次式(1):
【0005】
【化3】
【0006】(式中、R1 はアルキル基を表し、R2
びR3 は水素原子又はアルキル基を表す。)で示される
6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドンに関す
るものである。第2の発明は、次式(2):
【0007】
【化4】
【0008】(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同義
である。R4 はアルキル基を表す。)で示される4−フ
ルオロ−3−オキソカルボン酸エステルを塩基存在下に
ホルムアミジンと反応させることを特徴とする前記の式
(1)で示される6−(α−フルオロアルキル)−4−
ピリミドンの製法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。前記の式(1)で示されるR1 〜R4 は、次の通
りである。目的化合物である前記の式(1)で示される
6−(α−フルオロアルキル)−4−ピリミドン〔化合
物(1)〕及び、その製造原料である式(2)で示され
る4−フルオロ−3−オキソカルボン酸エステル〔化合
物(2)〕における、R1〜R4 は次の通りである。
【0010】R1 としては、直鎖状又は分岐状のアルキ
ル基を挙げることができる。R1 におけるアルキル基と
しては、炭素原子数が1〜10個、好ましくは1〜4個
のものである。R2 及びR3 としては、水素原子又は、
直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。
2 及びR3 におけるアルキル基としては、炭素原子数
が1〜10個、好ましくは1〜4個のものであり、さら
に好ましくはメチル基である。R4 としては、直鎖状又
は分岐状のアルキル基を挙げることができる。R4 にお
けるアルキル基としては、炭素原子数が1〜10個のも
のであり、好ましくは1〜4個のものである。
【0011】本発明の化合物(1)を次に例示する。6
−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン、6−(1
−フルオロ−1−プロピル)−4−ピリミドン、6−
(2−フルオロ−2−プロピル)−4−ピリミドン、6
−(1−フルオロ−1−ブチル)−4−ピリミドン、6
−(2−フルオロ−2−ブチル)−4−ピリミドン、6
−(1−フルオロ−1−ペンチル)−4−ピリミドン、
6−(2−フルオロ−2−ペンチル)−4−ピリミド
ン、6−(2−フルオロ−2−ヘキシル)−4−ピリミ
ドン、
【0012】6−(1−フルオロエチル)−5−メチル
−4−ピリミドン、6−(1−フルオロ−1−プロピ
ル)−5−メチル−4−ピリミドン、6−(2−フルオ
ロ−2−プロピル)−5−メチル−4−ピリミドン、6
−(1−フルオロ−1−ブチル)−5−メチル−4−ピ
リミドン、6−(2−フルオロ−2−ブチル)−5−メ
チル−4−ピリミドン、6−(1−フルオロ−1−ペン
チル)−5−メチル−4−ピリミドン、6−(2−フル
オロ−2−ペンチル)−5−メチル−4−ピリミドン、
6−(2−フルオロ−2−ヘキシル)−5−メチル−4
−ピリミドンが挙げられる。本発明に使用する原料の化
合物(2)は2−フルオロカルボン酸エステル(Tet
rahedron Lett.,1993,293、T
etrahedron;Asymmetry,199
4,981)とカルボン酸エステルから容易に得ること
ができる(特願平9−342342号公報)。
【0013】
【化5】
【0014】本発明に用いるホルムアミジンは、塩とし
て使用するが、例えば、ホルムアミジン酢酸塩,塩酸
塩,硫酸塩等を挙げることができる。ホルムアミジン塩
の使用量は、化合物(2)に対して1倍モル以上である
が、好ましくは1〜3倍モルである。使用する塩基は、
ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリ
ウムブチラート、カリウム−t−ブチラート等のアルカ
リ金属アルコラート類が好ましい。塩基の使用量はホル
ムアミジン塩に対して1倍モル以上であるが、好ましく
は1〜3倍モルである。
【0015】化合物(1)の合成は、溶媒は使用しても
使用しなくても良いが、溶媒を使用する場合は、本反応
に関与しないものであれば特に限定されず、例えば、メ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、1−ブタノール等のアルコール類、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等
のアミド類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等
のエーテル類等を挙げることができる。また、これらの
溶媒は単独又は混合して使用することができる。溶媒の
使用量は、化合物(2)に対して1〜50倍容量である
のが良く、更に好ましくは2〜30倍量である。化合物
(1)の合成において、使用される反応温度は−10〜
100℃、好ましくは0〜70℃である。
【0016】化合物(1)の合成における反応時間は濃
度、温度、使用量によって変化するが、通常0.5〜1
5時間である。以上のようにして製造された目的化合物
(1)は、反応終了後、洗浄、抽出、濃縮等の通常の後
処理を行い、必要に応じて再結晶や各種クロマトグラフ
ィー等の公知の手段で精製することができる。このよう
にして得られた化合物(1)から、殺虫剤、殺ダニ剤、
殺菌剤、殺センチュウ剤として有用なアミノピリミジン
誘導体を得ることができる。例えば、次に示すように、
化合物(1)の一つである6−(1−フルオロエチル)
−4−ピリミドンの5位、4位をクロル化することによ
って、有用なアミノピリミジン誘導体の重要な合成中間
体である4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチ
ル)ピリミジンを得ることができる。
【0017】
【化6】
【0018】
【実施例】以下に本発明を実施例及び参考例によって具
体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範
囲を限定するものでない。 実施例1 [6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミ
ドンの合成] 4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル
9.33gをメタノール115mlに溶解した溶液に2
8%ナトリウムメチラート・メタノール溶液36.5g
とホルムアミジン酢酸塩9.84gを室温下に順時加
え、40℃で12時間加熱撹拌した。さらにホルムアミ
ジン酢酸塩0.66gを追加し、50℃で2時間加熱撹
拌した後、10℃以下に冷却し、濃硫酸9.51gと水
8.5gの混合物を添加した。50℃で30分撹拌した
後、不溶物を濾別し、濾液を液体クロマトグラフィー内
部標準法で定量すると、6−(1−フルオロエチル)−
4−ピリミドンが7.99g生成していた(収率89.
2%)。濾液を減圧下に濃縮後、濃縮液を40mlの2
−プロパノールで再結晶し、6−(1−フルオロエチ
ル)−4−ピリミドンを5.82g得た。
【0019】・融点 170〜171.5℃ ・質量分析値 CI−MS m/e=143(m+1) ・ 1H−NMR(CDCl3 ) δ(ppm)
【0020】1.60〜1.67(3H,dd)、5.
34〜5.47(1H,dq)、6.62〜6.63
(1H,t)、8.13(1H,s)、13.3(1
H,bs)
【0021】実施例2 [6−(1−フルオロエチル)
−4−ピリミドンの合成] 4−フルオロ−3−オキソペンタン酸エチルエステル2
4.3gをメタノール330mlに溶解した溶液に28
%ナトリウムメチラート・メタノール溶液72.3gと
ホルムアミジン酢酸塩15.6gを加え、50℃で3時
間加熱撹拌した。さらにホルムアミジン酢酸塩を7.8
1g追加し、50℃で4時間加熱撹拌した後、10℃以
下に冷却し、濃硫酸18.8gと水13.5gの混合物
を添加した。50℃で15分撹拌した後、不溶物を濾別
し、濾液を液体クロマトグラフィー内部標準法で定量す
ると、6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンが
18.0g生成していた(収率84.6%)。
【0022】実施例3 [6−(1−フルオロエチル)
−4−ピリミドンの合成] 4−フルオロ−3−オキソペンタン酸ブチルエステル
1.90gをメタノール5mlに溶解した溶液に28%
ナトリウムメチラート・メタノール溶液4.82gとホ
ルムアミジン酢酸塩2.0gを加え、50℃で7時間加
熱撹拌した。反応終了後、反応液を10℃以下に冷却
し、液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、
6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドンが1.1
5g生成していた(収率80.9%)。
【0023】実施例4 [6−(2−フルオロ−2−プ
ロピル)−4−ピリミドンの合成] 4−フルオロ−4−メチル−3−オキソペンタン酸エチ
ルエステル5.52gをメタノール20mlに溶解した
溶液に28%ナトリウムメチラート・メタノール溶液1
1.6gとホルムアミジン酢酸塩4.0gを加え、50
℃で6時間加熱撹拌した後、10℃以下に冷却し、濃塩
酸7.1gを添加して、減圧下に濃縮した。濃縮液にア
セトン100mlを加えて60℃で30分撹拌した後、
不溶物を濾別した。濾液を減圧下に濃縮し、濃縮液を2
0mlのアセトンで再結晶して6−(2−フルオロ−2
−プロピル)−4−ピリミドンを2.0g得た(単離収
率64.0%)。
【0024】・融点 177〜179℃ ・質量分析値 CI−MS m/e=157(m+1) ・ 1H−NMR(CDCl3 ) δ(ppm) 1.55(6H,d)、6.30(1H,t)、8.2
0(1H,s)、12.1(1H,bs)
【0025】実施例5 [6−(1−フルオロ−1−ペ
ンチル)−4−ピリミドンの合成] 4−フルオロ−3−オキソオクタン酸エチルエステル
3.80gをメタノール10mlに溶解した溶液に28
%ナトリウムメチラート・メタノール溶液8.97gと
ホルムアミジン酢酸塩3.72gを加え、60℃で5時
間加熱撹拌した後、減圧下に濃縮した。濃縮液に水30
mlと濃塩酸5.0gを加えて10℃に冷却し析出した
結晶を濾別した。この結晶をを20mlの2−プロパノ
ールで再結晶して6−(1−フルオロ−1−ペンチル)
−4−ピリミドンを2.30g得た(単離収率67.1
%)。
【0026】・融点 147.5〜148.5℃ ・質量分析値 CI−MS m/e=185(m+1) ・ 1H−NMR(CDCl3 ) δ(ppm) 0.87(3H,t)、1.25〜1.40(4H,
m)、1.70〜2.00(2H,m)、5.18〜
5.40(1H,m)、6.29(1H,t)、8.1
9(1H,s)、12.6(1H,bs)
【0027】実施例6 [6−(1−フルオロエチル)
−5−メチル−4−ピリミドンの合成] 4−フルオロ−2−メチル−3−オキソペンタン酸エチ
ルエステル2.09gをメタノール20mlに溶解した
溶液に28%ナトリウムメチラート・メタノール溶液
4.59gとホルムアミジン酢酸塩1.61gを加え、
3時間加熱環流(64℃)した後、10℃以下に冷却
し、濃塩酸2.5gを添加して、減圧下に濃縮した。濃
縮液にアセトン50mlを加えて60℃で10分撹拌し
た後、不溶物を濾別した。濾液を減圧下に濃縮し、濃縮
液を10mlのアセトンで再結晶して6−(1−フルオ
ロエチル)−5−メチル−4−ピリミドンの合成を1.
10g得た(単離収率59.2%)。
【0028】・融点 108〜109℃ ・質量分析値 CI−MS m/e=157(m+1) ・ 1H−NMR(CDCl3 ) δ(ppm) 1.46〜1.58(3H,dd)、2.00(3H,
d)、5.63〜5.88(1H,dq)、8.08
(1H,s)、11.8(1H,bs)
【0029】参考例1 [4−フルオロ−3−オキソペ
ンタン酸メチルエステルの合成] 62.8%水素化ナトリウム1.31gをテトラヒドロ
フラン10mlに懸濁させた溶液に2−フロロプロピオ
ン酸メチル2.00gと酢酸メチル2.10gの混合溶
液を10分で滴下した後、30〜35℃で4時間加熱し
た。反応終了後室温に冷却し、1N−塩酸で中和して、
分液し、有機層をガスクロマトグラフィー内部標準法で
定量すると4−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチル
エステルが2.57g生成していた(収率92%)。こ
の有機層を減圧下に濃縮後、減圧下に蒸留すると4−フ
ルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステルが2.0
3g得られた。
【0030】・沸点 80〜81℃/24〜25mmHg ・質量分析値 CI−MS m/e=149(m+1) ・ 1H−NMR(CDCl3 ) δ(ppm) 1.47〜1.60(3H,m)、3.66〜3.67
(1.7H,d)、3.76〜3.77(3H,d)、
4.87〜5.12(1H,m)、5.33(0.15
H,s)、11.80〜12.00(0.15H,b
s)1 H−NMR分析ではケト−エノールフォームが存在す
る。
【0031】参考例2 [5−クロロ−6−(1−フル
オロエチル)−4−ピリミドンの合成] 6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミドン16.0
gをジクロロエタン160mlに懸濁した溶液を60℃
に加熱し、塩素8.76gを20分で吹き込んだ後、さ
らに60℃で1時間撹拌した。反応液を5℃に冷却し、
析出した結晶を濾別したところ、粗結晶25.6gを得
た。液体クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミ
ドンが17.6g含まれていた(収率88.6%)。こ
の粗結晶を70mlの水で洗浄後、70mlのイソプロ
パノールで再結晶し、5−クロロ−6−(1−フルオロ
エチル)−4−ピリミドンの精結晶15.4gを得た。
【0032】・融点 190〜191℃ ・質量分析値 CI−MS m/e=177(m+1) ・ 1H−NMR(CDCl3 ) δ(ppm) 1.49〜1.60(3H,dd)、5.76〜6.0
0(1H,dq)、8.27(1H,s)、13.15
(1H,bs)
【0033】参考例3 [4,5−ジクロロ−6−(1
−フルオロエチル)ピリミジンの合成] 5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−ピリミ
ドン1.00gを1,2−ジクロロエタン10mlに懸
濁した溶液にN,N−ジメチルホルムアミド1滴と塩化
チオニル0.81gを添加し、2時間加熱還流を行っ
た。反応液を10mlの水で洗浄した後、有機層を液体
クロマトグラフィー内部標準法で定量すると、4,5−
ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが
1.09g生成していた(収率98%)。有機層を減圧
下に濃縮後、減圧下に蒸留すると、4,5−ジクロロ−
6−(1−フルオロエチル)ピリミジンが0.76g得
られた。
【0034】・沸点 84〜88℃/5mmHg ・質量分析値 CI−MS m/e=195(m+1) ・ 1H−NMR(CDCl3 ) δ(ppm) 1.66〜1.78(3H,dd)、5.89〜6.1
4(1H,dq)、8.92(1H,s)
【0035】
【発明の効果】殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺センチュ
ウ剤として有用なアミノピリミジン誘導体の合成中間体
として重要な、新規な6−(α−フルオロアルキル)−
4−ピリミドンを、本発明の製法によって得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 恩塚 克孝 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 (72)発明者 横田 尚之 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 239/36 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(1): 【化1】 (式中、R1 はアルキル基を表し、R2 及びR3 は水素
    原子又はアルキル基を表す。)で示される6−(α−フ
    ルオロアルキル)−4−ピリミドン。
  2. 【請求項2】 次式(2): 【化2】 (式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同義である。R4
    はアルキル基を表す。)で示される4−フルオロ−3−
    オキソカルボン酸エステルを塩基存在下にホルムアミジ
    ンと反応させることを特徴とする請求項1記載の式
    (1)で示される6−(α−フルオロアルキル)−4−
    ピリミドンの製法。
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