JP4024922B2 - 水性ゲル及びその製造方法 - Google Patents

水性ゲル及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ゲル及びその製造方法に関する。より詳しくは、魚介類、ハム、野菜等の生鮮食料品及びジュース、ワイン、血液等の流通時の鮮度保持及び保冷の目的に供される保冷剤、車、トイレに用いられる芳香剤、皮膚に貼付することにより該部分に対して清涼感や冷感を与えるパップ剤等としての使用に適する、均一性及び強度に優れ、離水が少なく、しかもゲル化時間の調節が可能な水性ゲル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりアニオン性水溶性高分子を多価金属イオンで架橋させた水性ゲルやその製造方法については、ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩を主体としたゲル(特開昭53-15413号公報)や、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(以下「CMC」と略す)を主体としたゲル(特開平7-90121号公報)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのようなアニオン性水溶性高分子を多価金属イオンで架橋させたゲルにおいては、架橋反応が極めて速いため、多価金属塩を添加すると同時にゲル化が進行する。そのため不均一なゲルが生じやすく、またゲル化反応が速すぎるため、ゲルの展延あるいは袋や容器への充填等の作業を迅速に行わなければならないなどの問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記のごとき問題点を解決する方法として、アニオン性水溶性高分子とアルミニウム塩を含むアルカリ性の水溶液を調製した後、有機酸又は無機酸を添加してゲル化を進行させることにより、ゲルの均一性及び強度に優れ、しかも袋や容器に充填しやすい水性ゲルを製造できることを見出した。
通常、アルミニウムイオンは水溶液中において、アルカリ性領域ではアルミン酸イオン([Al(OH)4]-)、酸性領域ではアルミニウムイオン(Al3+)の形で存在する。したがって、CMC等のアニオン性水溶性高分子は、水溶液中で、アルカリ性領域ではアルミニウムと架橋を起こさずに均一な溶液状態で存在するが、酸性領域では静電的な相互作用により架橋を生じゲル化を起こす。本発明者らは、この原理を用いてアニオン性水溶性高分子をゲル化させることによって均一で透明な水性ゲルを得ることができることを見出した。例えばアニオン性水溶性高分子溶液を予め水酸化ナトリウム等によりアルカリ性に調節し、その後アルミニウムを含む無機塩を所定量溶解させ、しかる後に有機酸等によって溶液を酸性化させることによりゲル化させることができることを見出した。
【0005】
即ち本発明は、必須成分として、(A)1種以上のアニオン性水溶性高分子、(B)アルミニウムイオン及び(C)有機酸を含有することを特徴とする水性ゲルを提供する。
また本発明は、必須成分として、(A)1種以上のアニオン性水溶性高分子及び(B)アルミニウムを含む無機塩を含む水溶液と、(C)有機又は無機の酸を混合して、ゲルを生成させることを特徴とする水性ゲルの製造方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水性ゲルに含有されている(A)成分のアニオン性水溶性高分子は、ゲル化基材となる成分である。(A)成分としては、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、アルギン酸ナトリウム、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体の加水分解物、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩であるCMC等から選ばれる1種以上を挙げることができる。これらの中でもCMCが好ましい。
【0007】
CMCとしては、カルボキシメチル基の置換度(以下「DS」と略す)が0.4〜2.5のものが適しており、好ましくは0.6〜1.5、特に好ましくは、0.7〜1.0のものである。DSが0.4以上であると、水溶性が高まるため、均一なゲルを得ることができる。DSが2.5以下であると、アルミニウムとの架橋を分子間で進行させ、均一なゲルを生成させることができる。
【0008】
CMCの分子量としては、CMCの1重量%濃度の水溶液の粘度として、好ましくは10〜5000mPa・sであり、特に好ましくは10〜1000mPa・sであり、さらに好ましくは10〜500mPa・sである。CMCの1重量%水溶液の粘度が100mPa・s以上であると、3次元架橋が円滑に進行して、ゲルの強度を高めることができる。5000mPa・s以下であると、ゲル化前の粘度を適正に保持することができ、容器への注入や基材への塗布等の加工性を高めることができる。
【0009】
水性ゲル中における(A)成分の含有量は、好ましくは1〜10重量%であり、特に好ましくは2〜6重量%である。
【0010】
本発明の水性ゲルに含有されている(B)成分のアルミニウムイオンは、水性ゲル中において(A)成分を三次元架橋している成分であり、製造時に添加したアルミニウムの無機塩に起因するものである。
【0011】
水性ゲル中における(B)成分の含有量は、アルミニウム元素として、好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは0.2〜3重量%である。
【0012】
水性ゲル中において、(B)成分中のアルミニウムのモル量と(A)成分のアニオン基のモル当量との比X(アルミニウムのモル量/アニオン性水溶性高分子のアニオン基のモル当量)の値は、好ましくは0.15〜0.5であり、特に好ましくは0.20〜0.40である。Xが0.15以上であるとゲル強度を高めることができ、0.5以下であるとゲルからの離水量を抑制することができる。
【0013】
本発明の水性ゲルに含有されている(C)成分の有機酸は、ゲル生成前の水溶液のpHを酸性領域に保持し、アルミニウムイオンを生成させ、静電的な相互作用により架橋を生じさせてゲル化を起こすための成分である。(C)成分としては、水への溶解性が悪いもの、換言すれば溶解速度が遅いものが望ましく、無水コハク酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、アスパラギン酸等から選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0014】
水性ゲル中における(C)成分の含有量は、好ましくは0.5〜3.0重量%であり、特に好ましくは0.7〜1.5重量%である。
【0015】
水性ゲル中において、(B)成分のアルミニウム元素と(C)成分の有機酸とのモル比Y(アルミニウム元素モル比/有機酸モル比)の値は、好ましくは0.003〜50であり、特に好ましくは0.005〜10である。Yが0.003以上であると、実用上充分な強度を得ることができ、Yが50以下であると、ゲルからの離水量を抑制することができる。
【0016】
水性ゲル中における水の含有量は、好ましくは80〜97重量%であり、特に好ましくは85〜95重量%である。
【0017】
本発明の水性ゲルには、上記成分以外にも本発明の目的を損なわない種類及び量の他の成分、例えば、着色剤、香料、抗菌剤、防黴剤等を配合することができる。
【0018】
本発明の水性ゲルは、その水溶液のpHが1〜6であることが好ましく、特に3.0〜6.0であることが好ましい。
【0019】
本発明の水性ゲルは、テクスチャーアナライザーを用いて測定したゲル強度が、好ましくは20〜6000g/cm2であり、特に好ましくは100〜3000g/cm2である。
【0020】
本発明の水性ゲルは、テクスチャーアナライザーを用いて、直径90mmで高さ20mmの円柱状水性ゲルの20箇所のゲル強度を測定した場合において、得られるゲル強度値の標準偏差が20箇所のゲル強度の平均値に対して、即ち、(標準偏差/ゲル強度の平均値)×100が、好ましくは10%以下であり、特に好ましくは7%以下である。
【0021】
次に、本発明の水性ゲルの製造方法について説明する。水性ゲルの製造方法においては、まず第1工程として、(A)成分のアニオン性水溶性高分子と(B)成分のアルミニウムを含む無機塩を含む水溶液を得る。この水溶液はアルカリ性であり、好ましくはpHが6〜13になるように、水酸化ナトリウム等のpH調整剤で調整する。
【0022】
(A)成分としては、上記したものと同じものを挙げることができる。(B)成分のアルミニウムを含む無機塩としては、塩基性酢酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、乳酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等から選ばれる1種以上を挙げることができる。なお、アルミン酸ナトリウムを用いる場合は、それ自体で溶液はアルカリ性を示すため、溶液をアルカリ性にする目的で添加する水酸化ナトリウム等のpH調整剤は不要となる。
【0023】
(B)成分の添加量は、アルミニウム塩中のアルミニウムのモル量と(A)成分のアニオン量(アニオン基のモル当量)との比X(アルミニウムのモル量/アニオン性水溶性高分子のアニオン基のモル当量)の値が0.15〜0.5となるように添加することが好ましい。
【0024】
(A)成分と(B)成分を含む水溶液の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、pH調整剤としての水酸化ナトリウムの水溶液に、(B)成分を添加して溶解し、さらにその溶液に(A)成分を添加して溶解させる方法等を適用することができる。
【0025】
(A)成分と(B)成分を含む水溶液は、pHが6〜13の範囲に保持することが好ましい。pHが6以上であると、アルミニウムイオンの生成を防止して、ゲル化の進行を停止させることができる。pHが13以下であると、(C)成分の添加量を適正に保ち、製造コストを低下できる。
【0026】
このように(A)成分と(B)成分を含む水溶液のpHを6〜13の範囲で調節するが、特にpHを6〜10の範囲に調節することにより、ゲル化時間((C)成分の有機又は無機酸を添加後、溶液が流動しない状態になるまでの時間)調節を容易にすることができる。即ち、pHが高いとゲル化時間が短く、pHが低いとゲル化時間が長くなる。その原因として、次のように考えられる。(B)成分を含む水溶液のpHが6〜10の範囲では、水酸化アルミニウムが生成する。したがって、次工程において、水酸化アルミニウムが生成している(A)成分の水溶液を酸性にすると、水酸化アルミニウムが溶解して徐々にアルミニウムイオンを溶液中に放出し、その結果、(A)成分のゲル化が徐々に進行していると考えられる。
【0027】
また、(A)成分及び(B)成分を含む水溶液のpHにより、ゲルの透明性も制御することができる。上記に述べたように、pHが6〜10の範囲では水酸化アルミニウムが生成する。したがって、透明性の高いゲルを得るためには、(A)成分及び(B)成分を含む水溶液のpHを10〜13の範囲にすることが好ましい。
【0028】
なお、水溶液をアルカリ性にするためのpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。また、pHの調節は、添加するアルカリの量を変えてもよいし、アルカリに付け加えて有機酸又は無機酸を添加して調節してもよい。
【0029】
次に、第2工程として、(A)成分と(B)成分を含む水溶液に、(C)成分としてゲル化開始剤となる有機酸又は無機酸を添加し、液のpHを酸性領域に保持する。
【0030】
(C)成分の有機酸又は無機酸としては、水への溶解性が悪いもの、換言すれば溶解速度が遅いものが望ましい。(C)成分としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、アスパラギン酸等から選ばれる1種以上の有機酸が好ましい。塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や酢酸等の水に易溶の有機酸は、それらを用いた場合には、即座にゲル化し、不均一なゲルとなってしまうため単独で用いることは好ましくない。しかし、上記の有機酸と併用し、ゲル化速度の調節等に利用することができる。
【0031】
(A)成分と(B)成分を含む水溶液に(C)成分を添加する方法は特に限定されるものではないが、例えば、(C)成分を予め親水性有機溶剤や疎水性有機溶剤で懸濁させた後、前記水溶液中に添加する方法を適用することができる。このように添加することにより、(C)成分として有機酸を用いた場合、固体である有機酸を溶液中に均一に分散させることができる。
【0032】
(C)成分の添加後の水溶液のpHは、好ましくは1〜6であり、特に好ましくは3.0〜6.0である。pHが1以上であると、(C)成分の添加量を適正に保ち、製造コストを低下できる。pHが6以下であると、アルミン酸イオンを十分にアルミニウムイオンに変化させることができるため、ゲル強度を高めることができる。
【0033】
このようなpH範囲において、(B)成分のアルミニウム元素と(C)成分の有機酸とのモル比Yの値は、好ましくは0.01〜50であり、特に好ましくは0.1〜10である。
【0034】
本発明の水性ゲルの製造方法では、(C)成分添加後の溶液のpHを低くすることにより、(A)成分や(B)成分の濃度を増やすことなく、ゲルの強度をより高くすることができる。その理由は、溶液のpHを低くするほどアルミン酸イオンが反応して生成するアルミニウムイオンの濃度が高くなり、その結果架橋点が増えてゲル強度が高くなるためである。
【0035】
本発明により製造された水性ゲルは、均一かつ強度に優れ、離水がほとんど起こらない。また製造プロセス上、アルミン酸イオン含有のアニオン性高分子水溶液と有機酸のライフポットをそれぞれ別個に設けることができ、工業的にも非常に有利である。またアルミン酸塩を用いた場合は、アルミン酸イオン含有のアニオン性高分子水溶液と有機酸を混合し、ゲル化を開始させた後の溶液全体の粘度上昇は適度に遅く、容器への注入、基剤の塗布等の加工性にも非常に優れている。
【0036】
【実施例】
以下に実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお以下に使用する%は全て重量%を示す。
【0037】
(実施例1)
アルミン酸ナトリウム0.3%水溶液にCMC(DS 0.70、1%水溶液粘度 75mPa・s)を3%となるように溶解し、撹拌する。この溶液に無水コハク酸の濃度が0.5%になるように無水コハク酸/グリセリン懸濁液を添加し、ゲルを調製した。この場合X=0.38となる。その結果均一なゲルが得られた。
【0038】
(実施例2)
実施例1のCMCの性状をDS 0.90、1%水溶液粘度40mPa・sに代える以外は、実施例1と同様にゲルを調製したところ、実施例1と同様に均一なゲルが得られた。
【0039】
(実施例3)
実施例1の無水コハク酸をフマル酸に代える以外は、実施例1と同様にゲルを調製したところ、実施例1と同様に均一なゲルが得られた。
【0040】
(比較例1)
無水コハク酸/グリセリン懸濁液を添加せずに、実施例1と同様にゲルを調製しようとしたが、ゲル化せず流動状態を保ったままであった。
【0041】
(比較例2)
無水コハク酸の濃度が0.3%になるように、無水コハク酸/グリセリン懸濁液を添加する以外は、実施例1と同様にゲルを調製したが、十分に酸性化されていないためゲル化せず流動状態を保ったままであった。
【0042】
(実施例4)
ポリアクリル酸ナトリウム(以下「PANa」と略す)(ナカライテスク(株)製)5%水溶液にアルミン酸ナトリウムをX値が0.30になるように溶解した後、無水コハク酸の濃度が0.5%になるように無水コハク酸/グリセリン30%懸濁液を添加し、撹拌後静置し、ゲルを調製した。その結果均一なゲルが得られた。
【0043】
(比較例3)
実施例4と同じ濃度に調整したPANaとアルミン酸ナトリウムを含む水溶液を、無水コハク酸/グリセリン懸濁液を添加することなく静置したが、ゲル化は起こらなかった。
【0044】
(実施例5)
DS 0.70、1%粘度75mPa・sのCMC 4%水溶液をA液とする。水酸化ナトリウム1.8%、硫酸アルミニウム水和物5.0%水溶液をB液とする。このときB液中の水酸化ナトリウムの濃度を変えることによりpHを調節した。A液にX値が0.16となるようにB液を添加し、これをC液とする。このC液に無水コハク酸の濃度が1.0%になるように無水コハク酸/グリセリン30%懸濁液を添加し、撹拌後1日静置し、ゲルを調製した。その結果均一なゲルが得られた。
【0045】
(比較例4)
水酸化ナトリウムを添加しない以外は実施例5と同じ組成及び方法でゲルを調製しようとしたが、A液とB液を混合した時点で即座にゲル化し、不均一なゲルとなった。
【0046】
(実施例6)
実施例5の硫酸アルミニウム水和物を硫酸アルミニウムアンモニウムに代えた以外は、実施例5と同様にゲルを調製したところ、実施例5と同様に均一なゲルが得られた。
【0047】
(実施例7〜10及び比較例5)
DS 0.70、1%粘度75mPa・sのCMC 4%水溶液をA液とする。水酸化ナトリウム及び硫酸アルミニウム水和物5.0%水溶液をB液とする。このときB液中の水酸化ナトリウムの濃度を変えることによりpHを調節した。A液にX値が0.16となるようにB液を添加し、これをC液とする。このC液に無水コハク酸の濃度が1.0%になるように無水コハク酸/グリセリン30%懸濁液を添加し、撹拌後1日静置し、ゲルを調製した。
その結果、実施例7〜10についてはいずれも均一なゲルが得られた。一方比較例5については即座にゲル化し、不均一なゲルとなった。
【0048】
(比較例6)
無水コハク酸の濃度が0.3%になるように無水コハク酸/グリセリン懸濁液を添加する以外は、実施例7と同様にゲルを調製したが、酸性化後のpHが6よりも高くなったため、ゲル化せず流動状態を保ったままであった。
【0049】
(比較例7)
無水コハク酸の濃度が5.0%になるように無水コハク酸/グリセリン懸濁液を添加する以外は、実施例10と同様にゲルを調製したが、酸性化後のpHが3よりも低くなったため、即座にゲル化し、不均一なゲルとなった。
【0050】
(評価)
実施例により得られたゲルに対し、以下の評価項目について評価した。
【0051】
▲1▼ゲル強度:直径50mm、高さ20mmの円柱形のゲルを容器中で調製し、ゲル化開始から1日後のゲル強度を物性解析IPCシステム(形式IPC-134、飯尾電機製)にて測定を行った。
【0052】
▲2▼ゲル化時間:内径30mmのスクリュー管瓶に酸性化直後の溶液を10g入れた。酸性化後10分おきにスクリュー管瓶を1分間倒置し、溶液の流動が観察されなくなった時間をゲル化時間とした。
【0053】
▲3▼離水量:100ccのゲルを容器内で調製し、ゲル調製から7日後に容器から取り出し、キムワイプでゲル表面の遊離水を拭き取り、その重量増分で評価を行った。
【0054】
▲4▼透明性:目視で評価した。透明性に優れるものは◎、良いものは○、やや劣るものは△、劣るものは×とした。
【0055】
表1及び表2にゲルの最終組成及び評価結果を示す。表1及び表2から、本発明の製造方法を用いれば、均一かつ離水の少ないゲルを調製することができることが分る。また表2から、溶液のpHを調節することにより、ゲル強度、ゲル化時間及びゲルの透明性を調節できることが分る。
【0056】
【表1】
Figure 0004024922
【0057】
【表2】
Figure 0004024922
【0058】
実施例11
DS 0.70、1%粘度75mPa・sのCMC 4%水溶液をA液とする。水酸化ナトリウム3.4%、硫酸アルミニウム水和物9.4%水溶液をB液とする。A液にX値が0.30となるようにB液を添加し、これをC液とする。このC液に無水コハク酸の濃度が1.0%になるように無水コハク酸/グリセリン30%懸濁液を添加し、撹拌後1日静置し、外観上均一なゲルを得た。
【0059】
比較例8
水酸化ナトリウムを添加しない以外は実施例11と同様にしてゲルを調製しようとしたが、A液とB液を混合した時点で即座にゲル化して、外観上も明らかな不均一なゲルになった。
【0060】
実施例11及び比較例8により得られたゲルについて、下記の方法によりゲル強度の均一性を評価した。
実施例11のゲルを内径90mm、高さ20mmのシャーレ中でゲル化させた。一方、比較例8の不均一ゲルは、内径90mm、高さ20mmのシャーレ中に詰め、表面を平らにならした。次に、ゲルをシャーレに入れた状態で、ゲル強度の測定を15mm間隔の格子点20点について行った。なお、測定装置は、物性解析IPCシステム(テクスチャーアナライザー)(形式IPC-134、飯尾電機製)を用いた。得られた測定値20個について、平均値及び標準偏差を求めた。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0004024922
【0062】
表3から明らかなとおり、実施例11のゲルは比較例8のゲルに比べると、均一性が高かった。
【0063】
【発明の効果】
本発明の製造方法を用いれば均一性及び強度に優れ、しかも離水の少なく、各用途に適した物性のゲルが調整することができる。また工業的な製造においてもゲル化速度のコントロールが可能なために各用途での加工性が非常に良く、生産性も向上される。

Claims (3)

  1. 必須成分として(A)1種以上のアニオン性水溶性高分子及び(B)アルミニウムを含む無機塩を含む水溶液のpHを6〜13に調節した後
    (C)有機酸を混合して、pHを低下させて3.0〜6.0にすることによりゲルを生成させることを特徴とする水性ゲルの製造方法。
  2. (A)及び(B)成分を含む溶液のpHを6〜10の範囲で調節することにより、ゲル化時間を調節する請求項記載の水性ゲルの製造方法。
  3. (A)及び(B)成分を含む溶液のpHを10〜13の範囲で調節することにより、透明性に優れた水性ゲルを得る請求項記載の水性ゲルの製造方法。
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