JP3981448B2 - 新規なカルボキシメチルセルロースナトリウム塩含有水性ゲル組成物及びその製造法 - Google Patents
新規なカルボキシメチルセルロースナトリウム塩含有水性ゲル組成物及びその製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(以下、CMCという)を主成分として含有する、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない新規な水性ゲル組成物及びその製造法に関する。さらに詳しくは、魚介類、ハム、野菜等の生鮮食品やジュース、ワイン、血液等に対して流通時の鮮度保持、保冷のために用いられる保冷剤や、取り扱い性、安全性を高めた含水爆薬や、土砂等の流出を阻止する土木用逸泥防止剤や、皮膚に貼付することにより該部分に対して清涼感、冷感を与える湿布剤や、車、トイレに用いられる消臭剤や芳香剤等の基材として用いるのに適した、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない新規なカルボキシメチルセルロースナトリウム塩含有水性ゲル組成物及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性ゲル組成物は、従来から含水爆薬、土木用逸泥防止剤、保冷剤、消臭剤、芳香剤等の基材として広く用いらている。これら水性ゲル組成物に要求される必要機能は、使用される用途により少しは異なるが、ゲル強度(硬さ)、非離水性、ゲル化速度コントロール、徐放性等が必須とされている。
従来、含水爆薬の基材の場合、ゲル組成物にプロピレンオキサイドを付加した低重合度のグアガムが使用されていたが、天然素材であるグアガムを使用していることから、価格上、品質上の問題があった。
また、芳香剤の基材の場合、ゲル組成物にカラギーナンが使用されていたが、やはり天然素材であることから、価格上、品質上の問題があった。
このため、より低価格で品質管理の容易なゲル素材として合成素材であるポリアクリル酸やポリアクリル酸塩等が検討されてきた。ポリアクリル酸やポリアクリル酸塩を用いた水性ゲル組成物は、例えば、特開昭59−110616、特開昭59−110617、特開昭61−043678、特開平2−311549、特開平3−070707等に記載されている。
しかし、近年、保冷剤、消臭剤、芳香剤等の生活化学用品用途の分野においては、環境問題の観点から、廃棄等が容易で自然分解性に優れた天然素材に近い材料が求められるようになってきた。
【0003】
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(以下、CMCという)は、天然素材であるセルロースを用いた半合成の水溶性高分子物質であって、用途に応じた形でいろいろな置換度、分子量(水溶液粘度)を有する製品が製造、販売されている。このCMCは、上記した如く、半合成の高分子物質で食品添加物としても認められた物質であるため、保冷剤、消臭剤、芳香剤等の生活化学用品用途にCMCを適用することは、社会的要望に適ったものとして一躍脚光を浴びるようになった。
そのため、CMCを使用した水性ゲル組成物を調製する試みは、これまで数多くなされ、その中でも、アルミニウム等の多価金属イオンを含有する無機塩をゲル化剤として用いることにより、ゲル化反応を促進させ、イオン結合による網目状構造を有する3次元の水性ゲル組成物を調製する方法は、既に知られていた。しかしながら、この方法によると、ゲル化剤として用いられる無機塩の水への溶解性が高いため、ゲル化速度が非常に速くなり、その結果、水性ゲル組成物に要求される必要機能である、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない水性ゲル組成物を得ることができなかった。
かかる状況の下に、上述した従来の無機塩をゲル化剤として用いたCMC含有の水性ゲル組成物の問題点を解消するため、保冷剤、含水爆薬、土木用逸泥防止剤、湿布剤、消臭剤、芳香剤等の基材として用いるのに適した、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ないCMC含有の水性ゲル組成物の出現が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保冷剤、含水爆薬、土木用逸泥防止剤、湿布剤、消臭剤、芳香剤等の基材として用いるのに適した、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない新規なカルボキシメチルセルロースナトリウム塩含有水性ゲル組成物及びその製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述したゲル化剤として3価以上の多価金属イオンを含有する無機塩を用いた従来のCMC含有水性ゲル組成物の問題点を解消するため、鋭意研究を重ねた結果、主成分のCMCとして特定の置換度、及び粘度のものを特定の濃度で使用し、かつ、多価金属イオン含有のゲル化剤として塩基性酢酸アルミニウムを選定し、ゲル化速度を制御することにより、以下の新規なCMC含有ゲル水性組成物を製造し、このCMC含有水性ゲル組成物により上記課題を解決できることを見出した。 本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明によれば、CMCの水溶液と、塩基性酢酸アルミニウムとを含有する水性ゲル組成物であって、
(A)CMCの置換度(エーテル化度)が0.6〜1.0であること、
(B)CMCの1重量%水溶液で測定した粘度(25℃)が10〜1000cpsであること、
(C)CMCの含有量が水溶液濃度の基準で2〜5重量%であること、及び
(D)ゲル化剤として使用する塩基性酢酸アルミニウムのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩に対するイオン当量比(アルミニウムイオン/カルボキシメチルイオンの当量比)が0.7〜1.0であることを特徴とする、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない新規な水性ゲル組成物が提供される。
ここで、上記のイオン当量比とは、(CMC単位重量当りの塩基性酢酸アルミニウムのモル数×3)/(CMC単位重量当りの置換基(カルボキシメチル基)のモル数)の比を意味する。
【0007】
また、本発明によれば、CMC水溶液とゲル化剤である塩基性酢酸アルミニウムの分散液をそれぞれ別個に調製したのち、これらの2液を混合、撹拌することを特徴とする上記の新規な水性ゲル組成物の製造法が提供される。
【0008】
本発明は、上記した如く、CMCを主成分として含有する、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない新規な水性ゲル組成物及びその製造法に係わるものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)CMCを主成分として含有する水性ゲル組成物であって、上記した如く、特定の置換度、粘度、濃度及びイオン当量比を有することを特徴とする、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない新規な水性ゲル組成物。
(2) カルボキシメチルセルロースナトリウム塩以外に、さらに、湿潤剤、界面活性剤、香料、着色剤等の添加剤を含有することを特徴とする上記(1)記載の水性ゲル組成物。
(3)CMC水溶液とゲル化剤である塩基性酢酸アルミニウムの分散液をそれぞれ別個に調製したのち、これらの2液を混合、撹拌することを特徴とする上記(1)記載の水性ゲル組成物の製造法。
(4)塩基性酢酸アルミニウムの分散液に、さらに、湿潤剤、界面活性剤、香料、着色剤等の添加剤を添加することを特徴とする上記(3)記載の水性ゲル組成物の製造法。
(5)塩基性酢酸アルミニウム分散液の溶媒がグリセリン等の炭素数4以下のアルコール類であることを特徴とする上記(3)又は(4)記載の水性ゲル組成物の製造法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
1.CMC
本発明で用いられるCMCは、特定の置換度(エーテル化度)と分子量を有するものである必要がある。
置換度(エーテル化度)は、一般にセルロースの水酸基がどの程度エーテル化(カルボキシメチル化)されるいるかを示す数値であるため、0〜3の数値のものが存在するが、本発明で用いられるCMCは、0.6〜1.0の置換度を有するものが適しており、好ましくは、0.65〜0.90、さらに好ましくは、0.70〜0.80のものが望ましい。その際、置換度が0.6より低いと、水溶性が不十分であり、均一なゲルが得られない。一方、置換度が1.0より高いと、アルミニウムイオンによる架橋が分子内で進行し、均一なゲルを生じないまま沈降してしまう場合が生じる。
また、分子量としては、CMCの1重量%水溶液をB型粘度計(回転型粘度計)、60RPM(回/分)で測定した粘度(25℃)が10〜1000cpsであるものが適している。好ましくは、20〜500cps、さらに好ましくは、50〜200cpsのものが望ましい。その際、粘度が10cpsより小さいと、有効に3次元架橋が進まずにゲルの強度が弱くなる。一方、粘度が1000cpsより大きいと、ゲル化前の粘度が非常に高くなり、容器への注入や基材への塗布等の加工性に劣るといった問題点がある。
水性ゲル組成物を調製する場合、CMCは、水溶性であるため、水に溶解させて水溶液の状態で使用される。その際、CMCの含有量は、水溶液濃度の基準で2〜5重量%となるようにする必要があり、好ましくは、2〜4.5重量%、より好ましくは、2.5〜4重量%であることが望ましい。水溶液濃度が2重量%より低いと、十分なゲル強度が得られず、一方、水溶液濃度が5重量%より高いと、ゲル化前の粘度が非常に高くなり、容器への注入や基材への塗布等の加工性に劣るといった問題点がある。
【0011】
2.ゲル化剤
本発明で用いられるゲル化剤は、塩基性酢酸アルミニウムである。一般に市販されている塩基性酢酸アルミニウムは、製造条件により溶解度に若干の違いがあるが、市販品であれば、特に純粋なものである必要がない。
本発明においては、使用するゲル化剤の量は、得られる水性ゲル組成物の物性に影響を与えるため、重要である。そのため、ゲル化剤として使用する塩基性酢酸アルミニウムは、水性ゲル組成物中でイオン当量比が0.7〜1.0となるようにする必要がある。好ましくは、0.75〜1.0、より好ましくは、0.8〜1.0であることが望ましい。
ここで、上記のイオン当量比とは、(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩単位重量当りの塩基性酢酸アルミニウムのモル数×3)/(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩単位重量当りの置換基(カルボキシメチル基)のモル数)の比を意味し、使用するCMCの量及び置換度と、塩基性酢酸アルミニウムの量とから容易に求められる。
その際、イオン当量比が0.7より小さいと、十分なゲル強度が得られないといった問題点がある。一方、イオン当量比が1.0より大きいと、離水量が多くなるといった問題点がある。
水性ゲル組成物を調製する場合、塩基性酢酸アルミニウムは、水に難溶性であるため、適当な溶媒に分散させた状態で使用される。用いられる溶媒は、通常難溶性の金属塩を分散させるのに使われているものならば何でもよいが、グリセリン、炭素数4以下のアルコール等の有機系溶媒が特に好ましい。その際、溶媒の使用量は、塩基性酢酸アルミニウムに対して5〜20倍の重量で用いることが好ましい。また、分散液には、必要に応じ湿潤剤、界面活性剤、香料等の通常用いられる添加剤を添加してもよい。
【0012】
3.水性ゲル組成物
本発明の水性ゲル組成物は、上記したCMC水溶液と塩基性酢酸アルミニウム分散液から調製される。CMC水溶液と塩基性酢酸アルミニウム分散液は、それぞれ別個に調製され、その後、これらの2液は、混合、撹拌される。
本発明の場合、ゲル化反応は、塩基性酢酸アルミニウムの水への溶解性が律速となるが、塩基性酢酸アルミニウムが水に対して難溶性であるため、非常にゆっくりと進行する。その際、両液は、ゲル化反応が円滑に進行できるようにするため、それぞれ撹拌しながら混合される。両液の混合は、通常常温下で行われるが、反応温度は、適宜選択できる。ゲル化反応は、両液の混合と同時に開始するが、瞬時に終了することなくゆっくりと進行し、その結果、非離水性、ゲル強度 及び均一性 に優れた水性ゲル組成物が得られる。
本発明の水性ゲル組成物は、非離水性、ゲル強度 及び均一性 に優れているため、魚介類、ハム、野菜等の生鮮食品やジュース、ワイン、血液等に対して流通時の鮮度保持、保冷のために用いられる保冷剤や、取り扱い性、安全性を高めた含水爆薬や、土砂等の流出を阻止する土木用逸泥防止剤や、皮膚に貼付することにより該部分に対して清涼感、冷感を与える湿布剤や、車、トイレに用いられる消臭剤や芳香剤等の基材として適している。
【0013】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に使用する%は、全て重量%を示す。
【0014】
実施例1
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が75cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで29.8g秤量し、これに820.2gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.5%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を5.0g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで3.5%のCMC水溶液に塩基性酢酸アルミニウムの分散液を3〜5秒程度の間に添加し、混合液を得た。この際、両液は、ゲル化反応が円滑に進行できるようにするため、それぞれ撹拌しながら添加した。
得られた混合液は、直ちにその粘度を測定したのち、各種物性を評価するために100ccのプリン状カップ(3個)に流し込み、各種物性評価用試料を調製した。
評価用試料は、24時間放置したのち、ゲル組成物の非離水性、ゲル強度、及びゲル均一性について評価した。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(2290[g/cm2])
ゲル均一性 ○
なお、上述した非離水性、ゲル強度、及びゲル均一性の評価方法は、以下に述べる基準で行った。
▲1▼非離水性
プリン状カップから取り出したゲル組成物の上部と側面を目視観察し、ゲル組成物の表面に浮き出ている水の有無を観る。この時、表面に水が浮き出ていれば、△又は×とし、水が浮き出ていなければ、○とする。
△又は×の場合は、更にプリン状カップから取り出したゲル組成物の底部から水が滲み出てきているかどうかを観る。水が滲み出てきている場合は、×とし、水が滲み出てきてきない場合は、△とする。
一般にはゲル物性として非離水性が優れている程、水の保持性が良いことになるので、物性としてはより好ましいと考えられる。
▲2▼ゲル強度(硬さ)
ゲル強度の測定は、ゲル強度計を用いて評価する。
ゲル強度の単位は、[g/cm2]で示され、1500以上の値があれば、実質上の問題が無いことから、適宜的にゲル強度が1500以上の場合は、○とし1500未満の場合は、×とする。
▲3▼ゲル均一性
プリン状カップから取り出したゲル組成物の外観と切断面を目視観察し、ゲル組成物の均一性を判定する。この時、透明感があれば、○とし、濁りや曇りがああれば、×とする。
【0015】
実施例2
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が161cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで25.5g秤量し、これに824.5gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を5.3g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(4450[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0016】
実施例3
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が20cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで34.0g秤量し、これに816.0gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、4.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を5.9g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(2190[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0017】
実施例4
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が160cps、置換度が0.90であるCMCを絶乾ベースで25.5g秤量し、これに824.5gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を6.1g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(3960[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0018】
実施例5
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が175cps、置換度が0.90であるCMCを絶乾ベースで25.5g秤量し、これに824.5gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を6.1g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(44930[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0019】
実施例6
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が143cps、置換度が0.60であるCMCを絶乾ベースで25.5g秤量し、これに824.5gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を4.9g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(1700[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0020】
実施例7
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が75cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで34.0g秤量し、これに816.0gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、4.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を5.7g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(3090[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0021】
実施例8
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が75cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで25.5g秤量し、これに824.5gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を4.3g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(1830[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0022】
比較例1
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が75cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで29.8g秤量し、これに820.2gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.5%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を7.5g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ×
ゲル強度 ○(5100[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0023】
比較例2
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が20cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで51.0g秤量し、これに799.0gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、6.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を8.5g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ○(6300[g/cm2])
ゲル均一性 ×
【0024】
比較例3
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が75cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで29.8g秤量し、これに820.2gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、3.5%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を3.8g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ×(730[g/cm2])
ゲル均一性 ○
【0025】
比較例4
1%水溶液で測定した粘度(25℃)が20cps、置換度が0.75であるCMCを絶乾ベースで8.5g秤量し、これに841.5gの水を加えたのち、撹拌、混合することにより、1.0%のCMC水溶液を得た。他方、塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:Al2O(CH3CO2)4・4H2O、和光純薬工業株式会社製)を1.4g秤量し、これに50gのグリセリンを加えたのち、撹拌、混合することにより、塩基性酢酸アルミニウムの均一な分散液を得た。
次いで、実施例1の場合と同様の操作を行い、評価用試料を調製したのち、所定の物性評価を行った。
評価結果は、以下の通りであった。
非離水性 ○
ゲル強度 ×(710[g/cm2])
ゲル均一性 ○
以上、実施例1〜8及び比較例1〜4に記載の条件と、得られた評価結果を表1に一覧表にして示す。
【0026】
【表1】
【0027】
上記の表1から明らかなように、得られた水性ゲル組成物の物性である非離水性、ゲル強度 及び均一性 は、主成分として使用されるCMCの置換度、粘度及び濃度と、ゲル化剤として使用される塩基性酢酸アルミニウムのイオン当量比とによって大きく影響を受ける。そして、本発明では、主成分のCMCとして特定の置換度、及び粘度のものを特定の濃度で使用し、かつ、ゲル化剤として塩基性酢酸アルミニウムを特定のイオン当量比で使用することにより、非離水性、ゲル強度 及び均一性 の3つの面で優れた水性ゲル組成物が得られる。このことからみて、本発明では、CMCの置換度、粘度、濃度、及び塩基性酢酸アルミニウムのイオン当量比がいかに重要であるかが明らかである。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、主成分のCMCとして特定の置換度、及び粘度のものを特定の濃度で使用し、かつ、ゲル化剤として塩基性酢酸アルミニウムを特定のイオン当量比で使用することにより、従来困難とされていたゲル化速度を制御し、その結果、非離水性、ゲル強度 及び均一性 の3つの面で優れた水性ゲル組成物が得られる。そして、得られた水性ゲル組成物は、非離水性、ゲル強度 及び均一性 に優れているため、保冷剤、含水爆薬、土木用逸泥防止剤、湿布剤、消臭剤、芳香剤等の基材として適している。
Claims (2)
- カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の水溶液と、塩基性酢酸アルミニウムとを含有する水性ゲル組成物であって、
(A)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の置換度が0.6〜1.0であること、
(B)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の1重量%水溶液で測定した粘度(25℃)が10〜1000cpsであること、
(C)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の含有量が水溶液濃度の基準で2〜5重量%であること、及び
(D)ゲル化剤として使用する塩基性酢酸アルミニウムのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩に対するイオン当量比(アルミニウムイオン/カルボキシメチルイオンの当量比)が0.7〜1.0であることを特徴とする、ゲル強度に優れかつ均一で離水量の少ない新規な水性ゲル組成物。 - カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液とゲル化剤である塩基性酢酸アルミニウムの分散液をそれぞれ別個に調製したのち、これらの2液を混合、撹拌することを特徴とする請求項1記載の水性ゲル組成物の製造法。
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