JP2002179935A - 透明性水性ゲル及びその製造方法 - Google Patents

透明性水性ゲル及びその製造方法

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JP2002179935A
JP2002179935A JP2001150773A JP2001150773A JP2002179935A JP 2002179935 A JP2002179935 A JP 2002179935A JP 2001150773 A JP2001150773 A JP 2001150773A JP 2001150773 A JP2001150773 A JP 2001150773A JP 2002179935 A JP2002179935 A JP 2002179935A
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gel
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aqueous gel
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Application number
JP2001150773A
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English (en)
Inventor
Akira Kamimura
明良 上村
Yoshiyuki Harano
芳行 原野
Yoshitaka Aoto
吉隆 青砥
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲル強度、離水性、透明性及び均一性に優
れ、臭気が気にならなく、ゲル安定性にすぐれ、ゲル化
時間が調節可能であり、かつ、室温での反応により、透
明性ゲルが形成可能であるため、温度の影響を受け易い
添加剤などを用いた透明ゲルへの利用が可能であるバラ
ンスのとれた水性ゲルおよびその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 1種以上のアニオン性水溶性高分子
(A)の水溶液と、水に対する溶解性の異なる2種以上
の多価金属化合物(B)と、あるいはこれら(A)、
(B)にさらに少なくとも1種の酸性化合物(C)とを
含有する透明性水性ゲルであって、所定の測定法で測定
されるゲル強度(G)、離水性(R)、透明性(T)及
び均一性(U)が、下記の式(1)、(2)、(3)、
及び(4)を満足することを特徴とする透明性水性ゲル
およびその製造方法にて提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性水性ゲル及
びその製造方法に関し、さらに詳しくは、ゲル強度、離
水性、透明性及び均一性に優れ、臭気が気にならなく、
ゲル安定性にすぐれ、ゲル化時間が調節可能であり、か
つ、室温での反応により、透明性ゲルが形成可能である
ため、温度の影響を受け易い添加剤などを用いた透明ゲ
ルへの利用が可能であるバランスのとれた水性ゲルおよ
びその製造方法に関する。そして、本発明の透明性水性
ゲルは、こうした特性を活かし、魚介類、ハム、野菜な
どの生鮮食料品およびジュース、ワイン、血液などの流
通時の鮮度保持並びに保冷の目的に供される保冷剤、
車、室内、トイレなどに用いられる芳香剤、皮膚に貼付
することにより該部分に対して清涼感や冷感を与えるパ
ップ剤や、冷却シート、また、特にゲル強度の低めのも
のについては、ヘアーシャンプー、ヘアーコンディショ
ナーなどのヘアージェル、スキンクリーム、スキンケア
ローション、顔面処理剤、身体及び顔面クレンザーなど
のスキンケアジェル、軟膏、歯みがき、ジェル状石鹸な
どとしての使用に適する。
【0002】
【従来の技術】水性ゲルは、従来から含水爆薬、土木用
逸泥防止剤、保冷剤、消臭剤、芳香剤などの基材として
広く用いられている。これら水性ゲルに要求される機能
は、使用される用途により異なるものの、ゲル化速度、
ゲル強度(保形性)、ゲル透明性、ゲル安定性(保持
率)、ゲル臭気、非離水性、徐放性などである。従来、
含水爆薬の基材の場合、ゲル組成物にプロピレンオキサ
イドを付加した低重合度のグアガムが使用されていた
が、天然素材であるグアガムを使用していることから、
価格上、品質上の問題があった。また、芳香剤の基材の
場合、ゲル組成物にカラギーナンが使用されていたが、
やはり天然素材であることから、価格上、品質上の問題
があった。このため、より低価格で品質管理の容易なゲ
ル素材として合成素材であるポリアクリル酸やポリアク
リル酸塩などが検討されてきた。ポリアクリル酸やポリ
アクリル酸塩を用いた水性ゲル組成物は、例えば、特開
昭59−110616、同59−110617、同61
−043678、特開平2−311549、同3−07
0707号公報などに開示されている。しかし、近年、
保冷剤、消臭剤、芳香剤などの生活化学用品用途の分野
においては、環境問題の観点から、廃棄などが容易で自
然分解性に優れた天然素材に近い材料が求められるよう
になってきた。
【0003】カルボキシメチルセルロースおよび/また
はカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩(以
下、CMCと略す。)は、天然素材であるセルロースを
用いた半合成の水溶性高分子であって、用途に応じた種
々の置換度、分子量(水溶液粘度)を有する製品が製
造、販売されている。該CMCは、上記のように、半合
成の高分子であって食品添加物としても認められた物質
であるため、保冷剤、消臭剤、芳香剤などの生活化学用
品用途にCMCを適用することは、社会的要望に適った
ものとして一躍脚光を浴びるようになった。そのため、
CMCを使用した水性ゲル組成物を調製する試みは、こ
れまで数多くなされ、アルミニウムなどの多価金属化合
物をゲル化剤として用いることにより、ゲル化反応を促
進させ、イオン結合による網目状構造を有する3次元の
水性ゲルを調製する方法は、既に知られている。
【0004】しかしながら、多価金属化合物である、あ
る種のゲル化剤は、透明なゲルを与えるものの、該多価
金属化合物の水への溶解性が高いため、ゲル化速度が非
常に速くなり、ゲル製品の製造における作業性が悪いと
いう問題があった。一方、多価金属化合物である、他の
ある種のゲル化剤は、ゲル強度(保形性)を維持するた
めに必要な量のゲル化剤を添加すると、ゲル内に未溶解
の多価金属化合物が残存してしまい、ゲルの透明性を著
しく低下させるという問題を有していた。
【0005】また、ゲル化速度が調節できれば、非加熱
にてゲルを形成でき、熱に弱い添加剤なども使用可能と
なり添加剤などの選択範囲が広くなる。水溶性高分子を
用いた透明ゲルは、種々のものが知られているが、殆ど
のものは、その製造工程に加熱工程があり、熱に弱いタ
イプの添加剤などが使用不能である。従って、常温にお
いて均一なゲル形成が可能で、ゲル化にある程度の時間
が必要とされる透明性の高いゲルの製造方法が開発でき
れば、ゲルに添加でき得る添加剤種類などの選択範囲が
広がり非常に有用なものとなる。上記の理由より、ゲル
化速度が調節可能であって、かつ、透明性と強度(保形
性)のバランスに優れたゲルを形成し得る水性ゲル及び
その製造方法の出現が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ゲル
強度、離水性、透明性及び均一性に優れ、臭気が気にな
らなく、ゲル安定性にすぐれ、ゲル化時間が調節可能で
あり、かつ、室温での反応により、透明性ゲルが形成可
能であるため、温度の影響を受け易い添加剤などを用い
た透明ゲルへの利用が可能であるバランスのとれた水性
ゲルおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み、鋭意研究を行った結果、1種以上のアニオン
性水溶性高分子の水溶液と、水に対する溶解性の異なる
2種以上の多価金属化合物(B)と、あるいはこれら成
分ににさらに少なくとも1種の酸性化合物とを含有する
透明性水性ゲルにおいて、強度、離水性、透明性及び均
一性に係わる特性値を同時に特定の数値範囲内に入るよ
うに調整すると、特性面でバランスのとれた新規な水性
ゲルが得られることを見出し、さらには、アニオン性水
溶性高分子の水溶液に、水により溶け難い特定の多価金
属化合物、水により溶け易い他の多価金属化合物、特定
の酸性化合物等を添加すると、上記した特性を有するバ
ランスのとれた水性ゲルが得られることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
1種以上のアニオン性水溶性高分子(A)の水溶液と、
水に溶解性の2種以上の多価金属化合物(B)と、ある
いはこれら(A)、(B)にさらに少なくとも1種の酸
性化合物(C)とを含有する透明性水性ゲルであって、
所定の測定法で測定される該透明性水性ゲルのゲル強度
(G)、離水性(R)、透明性(T)及び均一性(U)
が、下記の式(1)、(2)、(3)、及び(4)を満
足することを特徴とする透明性水性ゲルが提供される。 1g/cm≦G≦100g/cm ...(1) R≦0.1wt% ...(2) T≧7.0cm ...(3) U≦0.35mm ...(4)
【0009】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、該透明性水性ゲルを構成する各成分
は、カルボキシメチルセルロースおよび/またはそのア
ルカリ金属塩1〜5重量%、アルミニウムイオン0.0
1〜0.1重量%、カリウムイオン0.004〜0.0
5重量%、硫酸イオン0.01〜0.1重量%、酢酸イ
オン0.02〜0.2重量%、オキシ酸(乳酸値換算)
0〜10重量%、及び水(残分)からなることを特徴と
する透明性水性ゲルが提供される。
【0010】また、本発明の第3の発明によれば、第2
の発明において、該透明性水性ゲルを構成する各成分
は、カルボキシメチルセルロースおよび/またはそのア
ルカリ金属塩2.5重量%、アルミニウムイオン0.0
3重量%、カリウムイオン0.01重量%、硫酸イオン
0.03重量%、酢酸イオン0.07重量%、オキシ酸
(乳酸値換算)0.2重量%、及び水(残分)からなる
ことを特徴とする透明性水性ゲルが提供される。
【0011】また、本発明の第4の発明によれば、1種
以上のアニオン性水溶性高分子(A)の水溶液と、水に
対する溶解性の異なる2種以上の多価金属化合物(B)
とを含有する透明性水性ゲルを製造する方法において、
アニオン性水溶性高分子(A)の水溶液に、水により溶
け難い少なくとも1種の多価金属化合物(B1)を添加
し、その多価金属化合物(B1)がアニオン性水溶性高
分子(A)の水溶液に完全に溶解し終わる前に、水によ
り溶け易い少なくとも1種の多価金属化合物(B2)を
添加することを特徴とする第1の発明に記載の透明性水
性ゲルの製造方法が提供される。
【0012】また、本発明の第5の発明によれば、1種
以上のアニオン性水溶性高分子(A)の水溶液と、水に
対する溶解性の異なる2種以上の多価金属化合物(B)
と、少なくとも1種の酸性化合物(C)とを含有する透
明性水性ゲルを製造する方法において、アニオン性水溶
性高分子(A)の水溶液に、水により溶け難い少なくと
も1種の多価金属化合物(B1)を添加し、その多価金
属化合物(B1)がアニオン性水溶性高分子(A)の水
溶液に完全に溶解し終わる前に、水により溶け易い少な
くとも1種の多価金属化合物(B2)を添加し、かつ、
酸性化合物(C)を水により溶け易い少なくとも1種の
多価金属化合物(B2)を添加すると同時もしくはそれ
以前に添加する第1の発明に記載の透明性水性ゲルの製
造方法が提供される。
【0013】また、本発明の第6の発明によれば、第4
または第5の発明において、アニオン性水溶性高分子
(A)が、カルボキシメチルセルロースおよび/または
そのアルカリ金属塩である透明性水性ゲルの製造方法が
提供される。
【0014】さらに、本発明の第7の発明によれば、第
4〜第6のいずれかの発明において、上記アニオン性水
溶性高分子(A)が、カルボキシメチル基の置換度(D
S)、及び1重量%水溶液の粘度(V)が下記の式
(5)、および(6)式を満足するカルボキシメチルセ
ルロースまたはそのアルカリ金属塩である透明性水性ゲ
ルの製造方法が提供される。 0.5≦DS≦1.5 ...(5) 5mPa.s≦V≦1000mPa.s ...(6)
【0015】さらに、本発明の第8の発明によれば、第
4または5の発明において、アニオン性水溶性高分子
(A)が、脂肪族カルボン酸および/またはそのアルカ
リ金属塩の水溶性重合体である透明性水性ゲルの製造方
法が提供される。
【0016】さらに、本発明の第9の発明によれば、第
4または第5の発明において、多価金属化合物(B1)
および多価金属化合物(B2)の中、少なくとも一方が
アルミニウム化合物である透明性水性ゲルの製造方法が
提供される。
【0017】また、本発明の第10の発明によれば、第
4または第5の発明において、多価金属化合物(B1)
が、水に難溶性のアルムニウム化合物(b1)であり、
一方、多価金属化合物(B2)が、水に易溶性のアルミ
ニウム化合物(b2)である透明性水性ゲルの製造方法
が提供される。
【0018】さらに、本発明の第11発明によれば、第
10の発明において、アルムニウム化合物(b1)が、
塩基性酢酸アルミニウムであり、一方、アルミニウム化
合物(b2)が、カリミョウバンである透明性水性ゲル
の製造方法が提供される。
【0019】また、本発明の第12の発明によれば、第
5の発明において、酸性化合物(C)がオキシ酸である
透明性水性ゲルの製造方法が提供される。
【0020】さらに、本発明の第13の発明によれば、
第12の発明において、オキシ酸が乳酸である透明性水
性ゲルの製造方法が提供される。
【0021】さらにまた、本発明の第14の発明によれ
ば、第4〜13のいずれかの発明において、室温で水性
ゲルを形成させることを特徴とする透明性水性ゲルの製
造方法が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の透明性水性ゲル
及びその製造方法について詳細に説明する。
【0023】1.透明性水性ゲル 本発明の透明性水性ゲルの最も大きな特徴は、1種以上
のアニオン性水溶性高分子(A)の水溶液と、水に溶解
性の2種以上の多価金属化合物(B)と、あるいはこれ
ら(A)、(B)にさらに少なくとも1種の酸性化合物
(C)とを含有する透明性水性ゲルであって、後述する
測定法で測定されるゲル強度(G)、離水性(R)、透
明性(T)及び均一性(U)が、次の式(1)、
(2)、(3)、及び(4)を同時に満足するところに
ある。 1g/cm≦G≦100g/cm ...(1) R≦0.1wt% ...(2) T≧7.0cm ...(3) U≦0.35mm ...(4) そして、本発明の透明性水性ゲルは、ゲル強度(G)、
離水性(R)、透明性(T)及び均一性(U)の面で上
記数値範囲を満たすことにより、従来の透明性水性ゲル
にみられなかったバランスのとれた特性をもち、優れた
実用性と利便性を示す結果となり、その利用分野も飛躍
的に広がる。すなわち、ゲル強度(G)が1g/cm
より小さいとゲル状態を保てない。また、ゲル強度
(G)が100g/cmより大きいとゲルが硬くな
り、その結果、本発明の透明性水性ゲルの使用範囲は限
定されることとなり、ヘアージェルやスキンクリーム、
顔面クレンザーなどの用途には使えない。離水性(R)
が0.1wt%より多くなると、ゲル表面に水が分離し
て出てくるのでゲルの外観が悪くなる。さらに、透明性
(T)が7.0cmより小さくなったり、均一性(U)
が0.35mmより大きくなったりすると、透明性にお
ける外観が悪くなる。
【0024】一方、本発明の透明性水性ゲルにおける代
表的な組成は、カルボキシメチルセルロースまたはその
アルカリ金属塩が1〜5重量%、好ましくは1.5〜
3.5重量%、アルミニウムイオンが0.01〜0.1
重量%、好ましくは0.01〜0.05重量%、カリウ
ムイオンが0.004〜0.05重量%、好ましくは
0.005〜0.03重量%、硫酸イオンが0.01〜
0.1重量%、好ましくは0.02〜0.05重量%、
酢酸イオンが0.02〜0.2重量%、好ましくは0.
05〜0.1重量%、オキシ酸が乳酸値換算で0〜10
重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらにその他の
残分が水等であり、水等としては、水以外に、エチレン
グリコール、芳香剤等が含まれる。
【0025】これらの中でも、本発明の透明性水性ゲル
の最も好ましい組成としては、カルボキシメチルセルロ
ースおよび/またはそのアルカリ金属塩2.5重量%、
アルミニウムイオン0.03重量%、カリウムイオン
0.01重量%、硫酸イオン0.03重量%、酢酸イオ
ン0.07重量%、オキシ酸(乳酸値換算)0.2重量
%、及び水(残分)からなるものである。
【0026】本発明の透明性水性ゲルは、上記した優れ
た性能を利して、魚介類、ハム、野菜などの生鮮食料品
およびジュース、ワイン、血液などの流通時の鮮度保持
並びに保冷の目的に供される保冷剤、車、室内、トイレ
などに用いられる芳香剤、皮膚に貼付することにより該
部分に対して清涼感や冷感を与えるパップ剤や冷却シー
ト等として使用することができる。また、特に、ゲル強
度の低めのものについては、ヘアーシャンプー、ヘアー
コンディショナーなどのヘアージェル、スキンクリー
ム、スキンケアローション、顔面処理剤、身体及び顔ク
レンザーなどのスキンケアジェル、軟膏、歯みがき、ジ
ェル状石鹸等として使用することができる。
【0027】2.水性ゲルの製造方法 本発明の透明性水性ゲルは、種々の方法により製造する
ことが可能であるため、その製造方法としては、特に制
限されない。以下、その代表的な製法を挙げて、それを
中心に説明する。
【0028】(i)原料成分 本発明の透明性水性ゲルを製造するには、以下に述べる
アニオン性水溶性高分子(A)及び多価金属化合物
(B)、又はこれら(A)、(B)及び酸性化合物
(C)が必須成分として使用される。
【0029】アニオン性水溶性高分子(A) 本発明の透明性水性ゲルに含有されるアニオン性水溶性
高分子(A)(以下、単に(A)成分と略す。)は、ゲ
ル化基材となる成分である。(A)成分としては、例え
ば、ポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、ポリメ
タアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、メチルビニル
エーテル・無水マレイン酸共重合体の加水分解物などの
脂肪族カルボン酸またはその金属塩の水溶性重合体並び
にカルボキシメチルセルロースまたはそのアルカリ金属
塩であるCMCなどから選ばれる1種以上を挙げること
ができる。これらの中でも、特にCMCが好ましい。
【0030】CMCは、特定の置換度(エーテル化度ま
たはDSと記載することもある。)と分子量を有するも
のであることが好ましい。置換度(エーテル化度=D
S)は、一般にセルロースの水酸基がどの程度エーテル
化(カルボキシメチル化)されるいるかを示す数値であ
るため、0〜3の数値のものが存在するが、本発明で用
いられるCMCは、0.5〜2.0の置換度を有するも
のが適しており、好ましくは0.5〜1.5、さらに好
ましくは0.7〜1.0のものが望ましい。その際、置
換度が0.5より低いと、水溶性が不十分であり、均一
なゲルが得られない。一方、置換度が2.0より高い
と、多価金属化合物(B)イオンによる架橋が分子内で
進行し、均一なゲルを生じないまま沈降してしまう場合
がある。
【0031】また、CMCの分子量は、CMCの1重量
%水溶液をB型粘度計(回転型粘度計)にて60r.
p.mで測定した25℃における粘度が、5〜1000
mPa・sであるものが適している。好ましくは10〜
500mPa・s、さらに好ましくは10〜200mP
a・sのものが望ましい。その際、粘度が5mPa・s
より小さいと、有効に3次元架橋が進まずにゲルの強度
が低下する。一方、粘度が1000mPa・sより大き
いと、ゲル化前の粘度が非常に高くなり、容器への注入
や加工性に劣るといった問題点を生ずる。
【0032】水性ゲルを調製する場合、CMCは、水溶
性であるため、水に溶解させて水溶液の状態で使用され
る。その際、CMCの含有量は、通常、水溶液濃度の基
準で1〜5重量%となるようにし、好ましくは1.5〜
4.5重量%、より好ましくは1.5〜3.5重量%と
することが望ましい。水溶液濃度が1重量%より低い
と、十分なゲル強度が得られず、一方、水溶液濃度が5
重量%より高いと、ゲル化前の粘度が非常に高くなり、
容器への注入や加工性に劣るといった問題点を生ずる。
また、CMCの水溶液を調製する場合、一旦、グリセリ
ンなどに分散させてから、該分散液を水に添加すると容
易に分散、溶解しやすい。
【0033】多価金属化合物(B) 本発明の水性ゲルに含有される多価金属化合物(B)
(以下、単に(B)成分と略す。)イオンは、水性ゲル
中において(A)成分を3次元架橋している成分であ
る。ここで、(B)成分とは、下記で定義する(B1)
化合物と(B2)化合物との和である。水性ゲル中にお
ける(B)成分の含有量は、金属元素として、好ましく
は0.01〜5重量%であり、特に好ましくは0.02
〜3重量%である。
【0034】本発明において使用する(B)成分の量
は、得られる水性ゲルの物性に影響を与えるため重要で
ある。そのため、ゲル化剤として使用する(B)成分
は、(A)成分としてCMCが用いられる場合には、水
性ゲル中でイオン当量比が、通常、0.1〜1.0とな
るようにする。好ましくは0.2〜0.8、より好まし
くは0.2〜0.5であることが望ましい。ここで、上
記のイオン当量比とは、(カルボキシメチルセルロース
ナトリウム塩単位重量当りの(B)成分のモル数×3)
/(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩単位重量
当りの置換度のモル数)の比を意味し、使用するCMC
の量および置換度と、(B)成分の量とから容易に求め
られる。その際、イオン当量比が0.1より小さいと、
十分なゲル強度が得られないという問題点がある。一
方、イオン当量比が1.0より大きいと、離水量が多く
なるという問題点がある。
【0035】本発明においては、(B)成分として、水
により溶け難い多価金属化合物(B1)(以下、単に
(B1)化合物と略す。)と、水により溶け易い多価金
属化合物(B2)(以下、反に(B2)化合物と略
す。)の、それぞれ1種以上を用いることが重要であ
る。該(B1)化合物をゲル化剤として単独で用いる
と、ゲル強度(保形性)を維持するための必要量の添加
において、ゲル内に未溶解の(B1)化合物が残存して
しまい、ゲルの透明性を著しく低下させるという問題を
有しており、一方、(B2)化合物の単独使用は、透明
なゲルを与えるものの、(B2)化合物の水への溶解性
が高いため、ゲル化速度が非常に速くなり、ゲル製品の
製造における作業性が悪いという問題を有する。
【0036】本発明は、(B1)化合物と(B2)化合
物を併用し、かつ、加える順序を特定することにより、
上記の問題を解決したものである。ここにおいて、(B
1)化合物と(B2)化合物は、任意の比率にて用いる
ことができるが、使用量の目安は、(B1)化合物にお
いては、1から2日後には、アニオン性水溶性高分子
(A)との反応により不溶解物が残らず透明になるよう
な使用量にするのがよく、(B2)化合物においては、
単独使用では保形性のあるゲルにならないが、(B1)
化合物との併用でゲルになるような使用量にするのがよ
い。通常、重量比にて、(B1)化合物:(B2)化合
物=20:80〜80:20で使用する。
【0037】ここで、(B1)化合物とは、通常、水に
対する溶解度の小さい多価金属化合物であれば、どのよ
うなものでもよく、また、水に対する溶解度の大きい、
水に溶け易い多価金属化合物を、表面コーティングやp
H調整による難溶化などの方法で水に溶け難くしたもの
でもよい。水に対する溶解度を小さいとする目安は、そ
の多価金属化合物などを水に添加攪拌した時に、1時間
程度では完全に溶解せずに、水中に溶けきらずに分散し
ているものが残っているようなものであれば該当する。
このようにして使用される多価金属化合物として、特
に、アルミニウム化合物が好ましい。アルミニウム化合
物の例としては、水酸化アルミニウムのような水酸化
物、あるいは塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ス
テアリン酸アルミニウムのような無機または有機酸の正
塩もしくは塩基性塩、カリミョウバンのような複塩、ア
ルミン酸ナトリウムのようなアルミン酸塩、無機性アル
ミニウム錯塩、および有機性アルミニウムキレートなど
がある。
【0038】また、多価金属化合物(B1)それ自体
が、水に対する溶解度の小さい多価金属化合物として
は、塩基性酢酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウ
ムアミノアセテート(別名;グリシナール)、アスパラ
ギン酸マグネシウムカリウム、水酸化アルミニウム、水
酸化カルシウムなどがある。
【0039】また、(B2)化合物とは、通常、水に対
する溶解度が大きい、水に溶け易い多価金属化合物であ
ればどのようなものでもよいが、特に、アルミニウム化
合物が好ましい。(B2)化合物に相当するアルミニウ
ム化合物の例としては、塩化アルミニウム、カリミョウ
バン、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどが挙げ
られる。
【0040】(B1)化合物としては、特に、塩基性酢
酸アルミニウムが好ましく、(B2)化合物としては、
特に、カリミョウバンが好ましい。また、水に溶け難い
(B1)化合物は、一旦、グリセリンなどに分散させて
から、アニオン性水溶性高分子(A)の水溶液に添加す
ると、容易に分散、溶解し易い。
【0041】酸性化合物(C) 本発明の水性ゲルに含有される酸性化合物(C)(以
下、単に(C)成分と略す。)は、ゲル生成前の水溶液
のpHを酸性領域に保持し、(B)成分のイオンを生成
させ、静電的な相互作用により架橋を生じさせてゲル化
を起こすための成分である。また、(C)成分の添加
は、ゲル化反応ポットライフの調整と透明性向上の観点
より好ましい。
【0042】(C)成分としては、塩酸、硫酸、硝酸な
どの無機酸;酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、アスパ
ラギン酸などの有機酸;および有機酸の1種である、乳
酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、グルク
ロン酸などのオキシ酸などが例示でき、これらから選ば
れる1種以上の(C)成分を用いる。本発明では、中で
もゲル化反応ポットライフ(可使時間)およびゲルの透
明性向上の観点よりオキシ酸を用いることが好ましく、
特に乳酸を使用することが好ましい。オキシ酸を添加す
ることによって、水に対して溶解し難い(B1)化合物
を系中に徐々に溶解させることができ、また、水に対し
て溶解し易い(B2)化合物のアニオン性水溶性高分子
(A)との反応を遅くし、ゲル化までのポットライフを
長くすることができる。
【0043】水性ゲル中における(C)成分の含有量
は、好ましくは0.1〜3.0重量%であり、特に好ま
しくは0.2〜0.5重量%である。0.1重量%未満
では、(C)成分の添加効果が得られず、3.0重量%
を超えると、ゲル化が十分起こらなくなる。水性ゲル中
における水の含有量は、好ましくは80〜97重量%で
あり、特に好ましくは85〜97重量%である。
【0044】他の任意成分 本発明の透明性水性ゲルには、上記成分以外にも本発明
の目的を損なわない範囲において他の成分、例えば、着
色剤、香料、抗菌剤、防黴剤などを配合することができ
る。本発明の透明性水性ゲルは、その水溶液のpHが
1.0〜6.0であることが好ましく、特に3.0〜
6.0であることが好ましい。
【0045】(ii)水性ゲルの製造方法 本発明においては、上述の(A)〜(C)成分、及び所
望により他の任意成分を用いて、以下の〜の工程に
沿って透明性水性ゲルが製造される。
【0046】アニオン性水溶性高分子((A)成分)
溶液の調製 室温にて、(A)成分に水を加え濃度1〜5重量%の、
(A)成分が完全に溶解した水溶液を調製する。この
際、(A)成分をグリセリンなどに一旦、分散させてか
ら、該分散液を水に添加すると容易に分散、溶解する。
【0047】水により溶け難い多価金属化合物((B
1)化合物)の添加 上記で得られた(A)成分の水溶液に、(B1)化合物
を、室温にて、攪拌下で添加する。この際、(B1)化
合物をグリセリンなどに分散させてから、上記の水溶液
に添加すると(B1)化合物が分散、溶解しやすい。
【0048】水により溶け易い多価金属化合物((B
2)化合物)の添加 上記の(A)成分と(B1)化合物の混合した水溶液
に、(B2)化合物の0.2〜5重量%水溶液を、室温
にて、攪拌下で添加する。この際、(B1)化合物と
(B2)化合物の総量が、水性ゲル中に金属元素として
0.01〜5重量%となるように添加することが好まし
い。ここにおいて、(B2)化合物の水溶液を、(B
1)化合物が(A)成分の水溶液に完全に溶解し終わる
前に、添加することが重要である。すなわち、(B1)
化合物の添加後は、ゲル化が徐々に進行するので、でき
得る限り速やかに、好ましくは1時間以内に(B2)化
合物を添加することが望ましい。(B1)化合物が溶解
した後に(B2)化合物を添加すると、ゲル化が急速に
起こり、ポットライフが短くなるので好ましくない。
【0049】また、本発明の製造方法においては、ゲル
化速度の調節が可能である。すなわち、(B2)化合物
の(B1)化合物に対する添加比率をあげる、または、
用いる(B2)化合物の添加量を増加させることにより
ゲル化速度が上昇し、その逆では、ゲル化速度が低下す
る。
【0050】酸性化合物((C)成分)の添加 本発明において、ゲル化反応ポットライフの調整および
ゲルの透明性向上を目的として(C)成分を添加するこ
とが好ましい。(C)成分の添加は、(B2)化合物を
添加する以前の工程にて行うことが重要である。すなわ
ち、上記(1)、(2)または(3)の工程と同時もし
くはそれ以前のいずれにおいて(C)成分を添加しても
よい。但し、(3)の工程の終了後に(C)成分を添加
するのは、(C)成分の添加の効果を十分に活用できな
いので好ましくない。
【0051】ゲル化 上記(3)工程の終了後、攪拌下に上記で得られた溶液
を、でき得る限り速やかに、好ましくは1時間以内に容
器に入れゲル化を進行させる。室温にて、1日放置する
ことにより、均一で透明な水性ゲルが得られる。
【0052】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。実施例および比較例で得られた水性
ゲルについて、以下のように評価した。
【0053】(ゲル化時間)完全に溶解させたアニオン
性水溶性高分子の水溶液に難溶性多価金属塩(または、
そのグリセリン分散物)を添加攪拌し分散させた後、直
ちに易溶性多価金属塩と酸性化合物(または、その水溶
液)を添加攪拌し溶解(反応)する。(約1000g程
度のゲルを用いる。攪拌棒を用いて3分間よく攪拌す
る。)攪拌終了後、200gを500ml容器にとり、
適宜、攪拌棒で混ぜ、観察を行い、流動性がなくなった
時点をゲル化点とし、攪拌終了時からそのゲル化点まで
の時間をゲル化時間とした。
【0054】(離水性(R))直径50mm、高さ50
mmの円柱状ゲルを容器に入れ、25℃下、1ヶ月後の
ゲル組成物上部を目視観察し、ゲル組成物の表面に水が
浮き出ているか否か確認後、容器を傾斜させ採取した量
を測定する。搾取量が、0mgで、目視でも離水が見ら
れない場合を◎とし、搾取量が、0mgで、目視で離水
が見られる場合を○とした。また、離水がある場合は、
搾取量を記載した。この時、離水量が少ない程、保水性
に優れゲル物性が好ましいと考えられる。
【0055】(臭気)作製直後のゲル(200g)を1
l容器に入れ、上部の蓋を閉めて翌日まで養生する(完
全にゲル化させた密封状態を作る)。24時間後、容器
上部の蓋を外し、官能評価を行う。芳香剤などの添加で
その臭気が気にならない程度の場合を◎、微妙に感じる
程度の場合を○、臭気が感じられる程度を×とした。ま
た、酢酸を含む場合の臭気の測定は、ガステック検知管
の酢酸を用いて評価する。評価として、作製直後のゲル
(200g)を1l容器に入れ、上部の蓋を閉めて翌日
まで養生する。24時間後、容器上部の蓋を外し、即座
にラップなどで覆い、その後、ガステック検知管(酢
酸)にてラップなどの中央部から挿入し測定を行う。臭
気の濃度(ppm)が0.5ppm以上1ppm未満
(通常、臭気が感じられるとされる濃度;1ppm)で
あれば○、0.5ppm未満であれば◎とした。
【0056】(ゲル透明性(T))ゲル透明性の測定
は、直径50mm、高さ50mmの円柱状ゲルを透明容
器に入れ、24時間以上放置したものを用いて評価す
る。評価は、白黒の1mm幅スリット状縞模様の台紙の
上にゲル試験片をおき、ゲル上面より25cm上方から
ゲルを覗き、ゲルを縞模様台紙から上方に離して行き、
縞模様が識別できなくなるゲルと縞模様台紙の間隔(c
m)を透明性の指標とした。
【0057】(ゲル強度(G)(保形強度))ゲル強度
の測定は、フードレオメーター(サン科学製)を用いて
評価する。直径50mm、高さ30mmの円柱状ゲルを
容器に入れ、24時間以上放置したものを用いて評価す
る。直径11mmの棒状アダプターを使用し、ゲルの中
心から端の中間距離より内側に位置する10点で測定を
行い、それを表面積当たりの重量に算出し、平均したも
のをゲル強度(Paまたはg/cm)とした。
【0058】(ゲル安定性(保持率))ゲル安定性とし
て、スタート時(作製24時間後)のゲル強度、1ヶ月
経過した時点のゲル強度を測定し、スタート時のゲル強
度値を100とし、1ヶ月経過後測定したゲル強度値の
ゲル強度保持率を算出してゲル安定性の評価を行う。保
持率は、%表示するが、一般的に90%以上の保持率で
あれば良好と考えられる。
【0059】(均一性(U))ゲル均一性の測定は、直
径50mm、高さ50mmの円柱状ゲルを透明容器に入
れ、24時間以上放置したものを用いて評価する。白黒
の縞模様の台紙の上にゲル試験片をおき、上からゲル試
験片を覗き、縞模様のゆがみ具合を指標とする。白黒の
縞模様の線の幅を変え、ゆがみが隣の線の境目までくる
場合の線の幅でゆがみを表す。最大のゆがみが出る部分
での線幅(mm)を採用する。例えば、ゲル試験片中に
存在するゆがみ部分の最大幅が3mmを超え、5mm未
満のものであった場合、黒線/3mm幅の白線/黒線か
らなる縞模様の上に、上記ゲル試験片をおくと、ゆがみ
部分の最大幅(Xmm)が3mmを超え、5mm未満の
ものであるから、3mm幅の白線内にゆがみ部分は収ま
らず、ゆがみ部分の一部は、必ず黒線上に乗ることとな
るので、3mmはスケールアウトしたこととなる。また
上記試験片を、黒線/5mm幅の白線/黒線からなる縞
模様の上に、上記ゲル試験片をおくと、ゆがみ部分の最
大幅が3mmを超え、5mm未満のものであるから、5
mm幅の白線内にゆがみ部分は収まり、ゆがみ部分の一
部が黒線上に乗ることはない。上記のようなゆがみ部分
の最大幅(Xmm)を持つゲルの均一性は0.4mmで
あると規定し、表1及び2に記入した。
【0060】[実施例1]エーテル化度が0.9であ
り、1重量%水溶液の粘度が35mPa・sであるカル
ボキシメチルセルロースのナトリウム塩25gを、グリ
セリン60g中に分散し、該分散液を水850g中に添
加し攪拌することにより溶解させた。次いで、塩基性酢
酸アルミニウム1.5gを、グリセリン20g中に分散
し、該分散液を上記水溶液に添加し、攪拌を継続した。
さらに、カリミョウバン1.5gおよび乳酸2.0gを
水40gに溶解した水溶液を、直ちに、上記で得られた
水溶液に添加し、攪拌下に容器に移送した。室温下にて
1日放置したところ、透明で均一なゲル(ゲル強度:1
3g/cm)が得られた。ゲル成分量および得られた
水性ゲルの評価結果を表1に示す。
【0061】[実施例2〜6]ゲル成分の種類および量
を表1に示すように代えたこと以外は、実施例1と同様
にして水性ゲルを製造した。ゲル成分の種類および量並
びに得られた水性ゲルの評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】[比較例1〜4](B1)化合物である、
塩基性酢酸アルミニウム、または(B2)化合物であ
る、カリミョウバンの単独使用とし、他のゲル成分の種
類および量を表2に示すようにしたこと以外は、実施例
1と同様にして水性ゲルを製造した。ゲル成分の種類お
よび量並びに得られた水性ゲルの評価結果を表2に示
す。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、1種以上のアニオン性
水溶性高分子の水溶液と、水に対する溶解性の異なる2
種以上の多価金属化合物と、あるいはこれらの成分にさ
らに少なくとも1種の酸性化合物とを含有する透明性水
性ゲルにおいて、ゲル強度、離水性、透明性及び均一性
に係わる特性値を同時に特定の数値範囲内に入るように
調整すると、ゲル強度、離水性、透明性及び均一性に優
れ、臭気が気にならなく、ゲル安定性にすぐれ、ゲル化
時間が調節可能であり、かつ、室温での反応により、透
明性ゲルが形成可能であるため、温度の影響を受け易い
添加剤などを用いた透明ゲルへの利用が可能であるバラ
ンスのとれた水性ゲルが得られ、従来の透明性水性ゲル
にみられなかった優れた実用性と利便性を示す。そのた
め、本発明の透明性水性ゲルは、魚介類、ハム、野菜な
どの生鮮食料品およびジュース、ワイン、血液などの流
通時の鮮度保持並びに保冷の目的に供される保冷剤、
車、室内、トイレなどに用いられる芳香剤、皮膚に貼付
することにより該部分に対して清涼感や冷感を与えるパ
ップ剤や冷却シート等として使用することができる。ま
た、特にゲル強度の低めのものについては、ヘアーシャ
ンプー、ヘアーコンディショナーなどのヘアージェル、
スキンクリーム、スキンケアローション、顔面処理剤、
身体及び顔面クレンザーなどのスキンケアジェル、軟
膏、歯みがき、ジェル状石鹸などとして使用することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/00 C08K 5/00 5/00 C08L 1/32 C08L 1/32 C09K 3/00 103K C09K 3/00 103 103M A23L 1/04 Fターム(参考) 4B041 LD03 LH11 LK01 LK07 LK08 4F070 AA02 AC17 AC20 AC40 CB03 FA04 FA05 4G065 AA01 AA05 AB06Y AB11Y BB08 DA01 DA02 4J002 AA001 AB031 BE041 BG011 BH021 DD018 DD076 DD077 DE086 DE146 DF038 DG046 DG047 DG048 EF038 EF068 EF118 EF128 EG046 EG047 EN116 EN118 HA07

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1種以上のアニオン性水溶性高分子
    (A)の水溶液と、水に対する溶解性の異なる2種以上
    の多価金属化合物(B)と、あるいはこれら(A)、
    (B)にさらに少なくとも1種の酸性化合物(C)とを
    含有する透明性水性ゲルであって、所定の測定法で測定
    される該透明性水性ゲルのゲル強度(G)、離水性
    (R)、透明性(T)及び均一性(U)が、下記の式
    (1)、(2)、(3)、及び(4)を満足することを
    特徴とする透明性水性ゲル。 1g/cm≦G≦100g/cm ...(1) R≦0.1wt% ...(2) T≧7.0cm ...(3) U≦0.35mm ...(4)
  2. 【請求項2】 該透明性水性ゲルを構成する各成分は、
    カルボキシメチルセルロースおよび/またはそのアルカ
    リ金属塩1〜5重量%、アルミニウムイオン0.01〜
    0.1重量%、カリウムイオン0.004〜0.05重
    量%、硫酸イオン0.01〜0.1重量%、酢酸イオン
    0.02〜0.2重量%、オキシ酸(乳酸値換算)0〜
    10重量%、及び水(残分)からなることを特徴とする
    請求項1に記載の透明性水性ゲル。
  3. 【請求項3】 該透明性水性ゲルを構成する各成分は、
    カルボキシメチルセルロースおよび/またはそのアルカ
    リ金属塩2.5重量%、アルミニウムイオン0.03重
    量%、カリウムイオン0.01重量%、硫酸イオン0.
    03重量%、酢酸イオン0.07重量%、オキシ酸(乳
    酸値換算)0.2重量%、及び水(残分)からなること
    を特徴とする請求項2に記載の透明性水性ゲル。
  4. 【請求項4】 1種以上のアニオン性水溶性高分子
    (A)の水溶液と、水に対する溶解性の異なる2種以上
    の多価金属化合物(B)とを含有する透明性水性ゲルを
    製造する方法において、アニオン性水溶性高分子(A)
    の水溶液に、水により溶け難い少なくとも1種の多価金
    属化合物(B1)を添加し、その多価金属化合物(B
    1)がアニオン性水溶性高分子(A)の水溶液に完全に
    溶解し終わる前に、水により溶け易い少なくとも1種の
    多価金属化合物(B2)を添加することを特徴とする請
    求項1に記載の透明性水性ゲルの製造方法。
  5. 【請求項5】 1種以上のアニオン性水溶性高分子
    (A)の水溶液と、水に対する溶解性の異なる2種以上
    の多価金属化合物(B)と、少なくとも1種の酸性化合
    物(C)とを含有する透明性水性ゲルを製造する方法に
    おいて、アニオン性水溶性高分子(A)の水溶液に、水
    により溶け難い少なくとも1種の多価金属化合物(B
    1)を添加し、その多価金属化合物(B1)がアニオン
    性水溶性高分子(A)の水溶液に完全に溶解し終わる前
    に、水により溶け易い少なくとも1種の多価金属化合物
    (B2)を添加し、かつ、酸性化合物(C)を水により
    溶け易い少なくとも1種の多価金属化合物(B2)を添
    加すると同時もしくはそれ以前に添加することを特徴と
    する請求項1に記載の透明性水性ゲルの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記アニオン性水溶性高分子(A)が、
    カルボキシメチルセルロースおよび/またはそのアルカ
    リ金属塩である請求項4または5に記載の透明性水性ゲ
    ルの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記アニオン性水溶性高分子(A)が、
    カルボキシメチル基の置換度(DS)、及び1重量%水
    溶液の粘度(V)が下記の式(5)、および(6)式を
    満足するカルボキシメチルセルロースまたはそのアルカ
    リ金属塩である請求項4または5に記載の透明性水性ゲ
    ルの製造方法。 0.5≦DS≦1.5 ...(5) 5mPa.s≦V≦1000mPa.s ...(6)
  8. 【請求項8】 上記アニオン性水溶性高分子(A)が、
    脂肪族カルボン酸および/またはそのアルカリ金属塩の
    水溶性重合体である請求項4または5に記載の透明性水
    性ゲルの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記多価金属化合物(B1)および上記
    多価金属化合物(B2)の中、少なくとも一方がアルミ
    ニウム化合物である請求項4または5に記載の透明性水
    性ゲルの製造方法。
  10. 【請求項10】 上記多価金属化合物(B1)が、水に
    難溶性のアルムニウム化合物(b1)であり、一方、上
    記多価金属化合物(B2)が、水に易溶性のアルミニウ
    ム化合物(b2)である請求項4または5に記載の透明
    性水性ゲルの製造方法。
  11. 【請求項11】 上記アルムニウム化合物(b1)が、
    塩基性酢酸アルミニウムであり、一方、上記アルミニウ
    ム化合物(b2)が、カリミョウバンである請求項10
    に記載の透明性水性ゲルの製造方法。
  12. 【請求項12】 酸性化合物(C)がオキシ酸である請
    求項5に記載の透明性水性ゲルの製造方法。
  13. 【請求項13】 オキシ酸が乳酸である請求項12に記
    載の透明性水性ゲルの製造方法。
  14. 【請求項14】 室温で水性ゲルを形成させることを特
    徴とする請求項4〜13のいずれか1項に記載の透明性
    水性ゲルの製造方法。
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