JP2821636B2 - 粘性剤としてポリマを含む水系において温度上昇による粘度の低下を抑制するかまたは粘度を増加させる方法 - Google Patents

粘性剤としてポリマを含む水系において温度上昇による粘度の低下を抑制するかまたは粘度を増加させる方法

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、水系において、非イオン性の水溶性セル
ロースエーテルおよび水溶性のイオン性界面活性化合物
を含む系を使用することにより、予期される粘度の低下
を少なくとも部分的に防止し、または温度上昇による粘
度の増加を提供する方法に関する。
水溶性のポリマは、大抵の場合、水に溶解されると実
質的な粘度の増加を引起こす。それゆえに、水系の多く
のものが、ポリマおよび粘度調整剤を含んでいる。少量
の添加によっても、たとえば1重量%以下でも、水性溶
液の粘度において顕著な変化をもたらすことができ、さ
らにはゲル化を生じさせることもできる。ポリマの水性
溶液の粘度は、一般的にその濃度および温度に依存して
いる。通常、粘度はポリマの濃度の増加または温度の低
下によって増加する。そのような温度依存性を示すポリ
マの例としては、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルア
ルコールおよびトラガカントがある。
多くのタイプのゲル形成性で水溶性のポリマが存在す
る。これらのポリマのほとんどにおいて、温度低下によ
りゲル化が生じる。あるポリマは、水性溶液においてい
わゆる濁り点すなわち凝集温度を示す。この点では結果
として、温度が臨界温度以上に上昇させられたとき、ポ
リマが沈殿する。そのようなポリマとして知られている
例は、非イオン性セルロースエーテルである。非イオン
性セルロースエーテルの通常の挙動は、温度が室温以上
に上昇させられると、粘度が減少することである。この
粘度の減少は、凝集温度に達するまで続く。凝集温度に
おいて、溶液は濁り始め、しかもポリマの濃度が十分に
高いならば、粘度の上昇が認めらる。このプロセスは可
逆的である。
タンパク質の溶液は、温度異存性の観点からいうと多
少例外的である。それらは、温度が上昇すると、いわゆ
るタンパク質の変性によって、不可逆的な過程を示す。
このことは、引き続いて温度上昇により、不可逆的なゲ
ル化を生じさせ得る。
このように、温度上昇によって、ポリマ溶液の粘度が
減少させるれることを結論付けることができるが、ある
ポリマは、凝集温度において実質的な粘度増加を示す。
多くの用途において、温度上昇による粘度の減少が、
現行のポリマよりもより小さいか、または、さらにその
粘度が保たれるか、もしくはゲル化(相分離を伴う粘度
の上昇)の前に粘度が上昇し得るような水性ポリマの溶
液を獲得することが望まれている。
そのような性質は、水性混合物が押出し成形され、そ
の後、製造物は型材を用いて加熱されるような製陶工程
において価値がある。この工程の終了まで、押出し成形
された製造物の形を潰さないためには、温度上昇におい
て、粘度が一定に保たれるかまたは上昇することが必要
とされる。このことは、押出し成形の後、加熱処理が引
き続いてしばしば行なわれる食品工業のいくつかの分野
においても当てはめることができる。ディープフライに
おいては、食品中に揚げ油が浸透するのを抑えるため
に、温度上昇時、粘度を増加させることがときに望まれ
る。その他の利用分野は、人または動物の医療用または
化粧用の処方のための液体混合物である。この液体混合
物では、多くの場合、混合物の粘度が上昇させられ、可
能ならば体温までの加熱によってゲル化が引き続いて起
こることが望まれる。その他の例としては、懸濁液の重
合において、温度上昇時、モノマを含有する小滴を安定
化することが望まれるような場合がある。
カナダ特許明細書1,072,413は、室温では液体である
が、温度上昇によってその流動性を失いかつゲルを形成
するような水性ポリマ混合物の調製方法を開示してい
る。この方法は、エチレンオキサイドおよびプロピレン
オキサイドの特別のタイプのブロック重合体と、修飾し
たポリマ成分とを任意に組合せた形をとったゲル形成性
成分を用いることによって達成されている。
驚くべきことに、その少なくとも85重量%が水である
液相を含む水性ポリマの系において、温度上昇による予
期された粘度の低下が顕著に抑制され、しかも多くの場
合、粘度上昇にまで変えられることが、水性ポリマ系を
利用することによって今ここに見いだされた。その液相
は、 a)20℃においてブルックフィールド(Brookfield)、
LV、12rpmにしたがって測定されるその水溶液の粘度
が、10−10,000cP、好ましくは30−5,000cPであるよう
な量の非イオン性セルロースエーテル、および b)水1当たり1−30mmol、好ましくは2−20mmolの
量の水溶性のイオン性界面活性化合物を含む。
このようにして得られた系は、温度上昇において、驚
くような有利な粘度の挙動を示す。セルロースエーテル
およびイオン性界面活性化合物を凝集温度に調製するこ
とによって、ゲルおよびゲル様の構造をさらに得ること
もできる。この系の特徴で特に都合の良いことは、ずれ
速度が約5s-1、好ましくは1s-1以下というように低いこ
とである。イオン性界面活性化合物の含有量は、臨界ミ
セル形成濃度と同じオーダの大きさとなるように選択さ
れることが好ましい。しかしながら、明らかな粘度の改
良効果は、より低い濃度において認めることができる。
イオン性界面活性化合物の適当な添加量は、臨界ミセル
形成濃度の約0.2−5倍である。
イオン性界面活性化合物は、カチオン性およびアニオ
ン性のミセル形成化合物のどちらでもよい。適当なカチ
オン性化合物の例として、8−24個の炭素原子を有する
炭化水素基を少なくとも1つ備える第四級アンモニウム
化合物がある。適当なアニオン性界面活性化合物の例と
しては、第1に、8−24個の炭素原子を有する炭化水素
基を備える硫酸エーテルおよび硫酸アルキルのような硫
酸エステルがある。さらには、8−24個の炭素原子を有
する1つまたはそれ以上の炭化水素基を備えるカルボン
酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エーテル、リ
ン酸エステルおよびホスホン酸エステルが、都合よく用
いられる。炭化水素基は、脂肪族および芳香族のどちら
でもよい。
この発明に従うセルロースエーテルは、水性溶液が調
製される温度において、水溶性でなければならない。セ
ルロースエーテルは、その1%水溶液の粘度がブルック
フィールド(Brookfield)、LVにしたがって12rpm、20
℃における測定において、10−10,000cP、好ましくは30
−5,000cPとなるような重合度を適当に有している。セ
ルロースエーテルは、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ベンジルおよび8−24個の炭素原子を有する高級炭
化水素基にような疎水性の炭化水素基、もしくはヒドロ
キシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチ
ルのような極性のヒドロキシル基、または炭化水素基と
極性基の両方を有することができる。セルロースエーテ
ルの凝集温度は、室温以上の適当な温度であり、しかも
その系の使用温度範囲に調製される。適当なセルロース
エーテルの例は、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルローセ、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチ
ルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエ
チルセルロースおよびベンジルエチルヒドロキシエチル
セルロースである。
この発明は、異なるpH値において使用され得るが、高
濃度の電解質と同様に、強塩基性および強酸性のpH値は
避けるべきである。このポリマ系は、乾燥を防止するた
めのバリアを設けるための塗膜として都合よく用いるこ
とができる。この系において、医療用および化粧用の効
果を有する混合物を調製することもできる。また、たと
えばセラミック製品および食品の構造において、増量剤
および結合剤のような固体および液体の材料をこの液相
において分散させることも可能である。
例 非イオン性セルロース誘導体およびイオン性界面活性
化合物を次の表に示される量、水に添加した。混合物の
粘度は、異なる温度および異なるずり速度において測定
された。その結果な、表に示すとおりである。
以上の結果から、非イオン性セルロースエーテルおよ
びイオン性界面活性化合物の双方を含む水性ポリマ系
は、非イオン性セルロースエーテルしか含まない系に比
べて、温度上昇による粘度の変化が顕著に改善されてい
ることが明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ステンベルイ,オッレ スウェーデン王国、エス―181 61、リ ーディンイョ チョルネルス・ベーグ、 5 (56)参考文献 特開 昭55−45725(JP,A) 特開 昭52−102366(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 3/00 103 C08L 1/26 - 1/32 A61K 7/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも85重量%が水でありかつ粘性剤
    として非イオン性セルロースエーテルを含む液相を備え
    る水性の系の温度上昇に対して、予期される粘度の低下
    を抑制するかまたは粘度の低下を粘度の上昇に変える方
    法であって、 前記非イオン性セルロースエーテルは、水に溶解された
    ときにブルックフィールド(Brookfield)LVに従って20
    ℃において12rpmで測定される粘度が10〜10000cPとなる
    ような量で、前記液相に含まれており、かつ 水1当たり1〜30mmolの量のイオン性界面活性化合物
    を前記液相に添加することを特徴とする、方法。
  2. 【請求項2】前記非イオン性セルロースエーテルが、ア
    ルキルヒドロキシアルキルセルロースであることを特徴
    とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記非イオン性セルロースエーテルは、水
    に溶解されたときにブルックフィールド(Brookfield)
    LVに従って20℃において12rpmで測定される粘度が30〜5
    000cPとなるような量で、前記液相に含まれていること
    を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記イオン性界面活性化合物が、8〜24個
    の炭素原子を有する炭化水素基を備える硫酸エステルで
    あることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の方法。
  5. 【請求項5】前記イオン性界面活性化合物が、8〜24個
    の炭素原子を有する炭化水素基を備える第四級アンモニ
    ウム化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記イオン性界面活性化合物を、水1当
    たり2〜20mmolの量で前記液相に添加することを特徴と
    する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記イオン性界面活性化合物を、その臨界
    ミセル形成濃度の0.2〜5倍の量で添加することを特徴
    とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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