JP4023868B2 - シート支持構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動2輪車のリヤフェンダー上方にシートを支持するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
実公平6−40072号には、自動2輪車のダブルシート後部を構成する同乗者シートをリヤフェンダー上へ取付けて支持する構造が示されている。この例では、リヤフェンダーの内側に剛性のある補強部材を一体に設け、この補強部材にシートの前後部を直接取付けるとともに、シートの中央部をリヤフェンダー上に直接乗せて支持させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記構造の場合、通常外観部品として装飾塗装が施されているリヤフェンダーの表面にシートの底部が接触する可能性があり、こすれ等によってリヤフェンダー表面の塗装面を傷つけ易くなる。
【0004】
そのうえ、シートの中央部が直接リヤフェンダーへ押し当てられるとシート側の大きな荷重がリヤフェンダーの接触部に集中するため、耐久性確保の点でリヤフェンダーを樹脂製にしにくくなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係るシート支持構造は、前後輪を支持する車体フレームに支持されたリヤフェンダー上方にシートを支持するため、車体フレームに支持されて上方へ突出するシート支持体を設け、このシート支持体の上部に取付けた弾性部材を介して、シート底部をリヤフェンダー表面と非接触に保つよう支持するシート支持構造において、前記車体フレームは、前記リヤフェンダーの側部外方に配置されたシートレールと、前記リヤフェンダーの側部内方に配置されて前記シートレールと連結されるサブフレームを備え、前記シート支持体は、下端部を前記シートレールへ支持されて前記リヤフェンダーの上方へ延出する第1のシート支持体と、下端部を前記サブフレームへ支持されて前記リヤフェンダーの内側へ配設される第2のシート支持体とを備え、前記第1のシート支持体は、その上端部で前記弾性部材を介して前記シート底部を前記リヤフェンダー上面から離して支持し、前記第2のシート支持体は、前記リヤフェンダーの内側から前記弾性部材を介して前記シート底部を前記リヤフェンダー上面から離して支持することを特徴とする。
【0006】
このとき、前記第2のシート支持体をリヤフェンダーの内側に配設するとともに、この第2のシート支持体の上部が接近するリヤフェンダーの一部に前記弾性部材を上下に突出させて取付け、その上部をシート底部へ当接させ、下部を前記第2のシート支持体の上部へ当接させることもできる。また、リヤフェンダーを樹脂製にすることもできる。
【0007】
【発明の効果】
本願発明は、車体フレームに支持されたシート支持体に弾性部材を介してシート底部を支持させ、このシート支持体の支持により、シート底部とリヤフェンダーを非接触に保つようにするとともに、
車体フレームは、リヤフェンダーの側部外方に配置されたシートレールと、リヤフェンダーの側部内方に配置されてシートレールと連結されるサブフレームを備え、シート支持体は、リヤフェンダーの上方へ延出して上端部で弾性部材を介してシート底部を支持する第1のシート支持体と、リヤフェンダーの内側から弾性部材を介してシート底部を支持する第2のシート支持体とを備え、第1のシート支持体は、リヤフェンダーの外側に配置されたシートレールへ下端部を支持され、第2のシート支持体は、リヤフェンダーの内側に配設されて前記サブフレームへ下端部を支持されるので、シート底部はリヤフェンダーと直接接触しなくなる。
【0008】
このため、通常外観部品として装飾塗装が施されているリヤフェンダーの表面にシートの底部が接触するおそれがなくなり、シート底部によるこすれ等によってリヤフェンダー表面の塗装面を傷つけることがなくなる。
【0009】
そのうえ、シート底部に加わる大きな荷重は、弾性部材を介してシート支持体へ伝達されるため、シート側の大きな荷重がリヤフェンダーの接触部へ集中するようなことがなくなる。
【0010】
その結果、シート側の荷重によってリヤフェンダーが破損される心配がなくなり、特に、リヤフェンダーを樹脂製にしても十分な耐久性が得られ、かつ荷重を受けないで済む分だけリヤフェンダーの軽量化を図ることができる。
【0011】
また、第2のシート支持体を内側に配設したリヤフェンダーの一部に弾性部材を取付けて上下方向へ突出させ、その上部をシート底部へ当接させ、下部を第2のシート支持体の上部へ当接させれば、一つの弾性部材によりその上下で第2のシート支持体及びシート底部を同時に弾性支持できるので、弾性支持構造が簡単になりかつ取付作業が容易になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本願発明の一実施形態を説明する。図1は本願発明が適用された自動2輪車の全体左側面図、図2はその主要部を拡大した図、図3はリヤフェンダー回りの左側面図、図4はリヤフェンダー小組体の左側面図、図5は車体フレーム後部の左側面図、図6は左側ガーニッシュの側面図、図7は図3の7−7線断面図、図8は図3の8−8線断面図、図9は図3の9−9線断面図、図10はリヤフェンダー前部の車体フレームに対する取付方を示す図、図11はシート前部のシートレールに対する取付方を模式的に示す図、図12はシートの支持構造を示す断面図である。
【0013】
まず、図1及び図2に基づいて自動2輪車全体の概略構造を説明する。この自動2輪車は全体として、フロントフォークを大きく傾斜させたロングホイールベースで、前後輪間の低い位置にエンジン、燃料タンク及びシートを配置したシートポジションが低いアメリカンタイプもしくはカタムバイクの外観をなすように構成されている。
【0014】
前輪1を支持するフロントフォーク2の上部は大きく後方傾斜するとともに、その上部がボトムブリッジ3及びトップブリッジ4を介してヘッドパイプ5へ回動自在に支持されている。
【0015】
トップブリッジ4に取付けられたハンドルバー6は、一度上方へ大きく延出した後、グリップ部7が下方へ向けられ、アメリカンタイプもしくはカタムバイクにおいて一般的なハンドル形状になっている。
【0016】
ヘッドパイプ5が前端部に取付けられた主フレーム10は、車体中心線に沿って前後方向へ配設され、前半部10aはヘッドパイプ5から緩く斜め下がりに後方へ延び、その後屈曲して略上下方向へ延びる後半部10bになっている。
【0017】
ヘッドパイプ5の下部左右からはダウンフレーム11が左右一対で斜め下方へ延び、その下端部は略水平に前後方向へ延びるロアフレーム12へ連続し、この左右のロアフレーム12の後端部から斜め上方かつ後方へリヤステイ13が左右一対をなして連続して延びている。
【0018】
左右のロアフレーム12の後端部間にはクロスパイプ12aが設けられ、このクロスパイプ12aの中間部に主フレーム10を構成する後半部10bの下端部が連結されている(図2)。
【0019】
左右のロアフレーム12の後部とリヤステイ13の下部との間を連結する略三角形状のピボットプレート14が車体の左右に対で設けられ、その中央部に後述するリヤアームのピボット部14aが設けられている。
【0020】
主フレーム10を構成する前半部10aの後端部からは、左右一対のシートレール15が斜め下がりに後方へ延び、その中間部に左右のリヤステイ13の各上部が接続されている。
【0021】
左右のシートレール15は、中間部であるリヤステイ13との接続部近傍で屈曲して略水平に後方へ延び、後述するリヤフェンダー42の外方を通過するとともに、外側面はリヤフェンダーガーニッシュ16で覆われている。
【0022】
このリヤフェンダーガーニッシュ16は、共締め部材17a及び17bにて、左右のシートレール15、並びにリヤフェンダー内へ平行して配設されている左右一対のサブフレーム18と一体化されるとともに、リヤフェンダーガーニッシュ16の後端部にはリヤウインカ19が支持されている。
【0023】
主フレーム10、ダウンフレーム11、ロアフレーム12、リヤステイ13及びシートレール15は車体フレームを構成し、このうち、主フレーム10、ダウンフレーム11及びロアフレーム12が車体フレーム前部をなし、ここにエンジン20が支持されている。
【0024】
エンジン20は水冷2サイクル式であるが、あたかも空冷4サイクル式のような外観になるように構成され、シリンダ部20aの左右は、空冷4サイクル式エンジンのシリンダ部側面の外観形状を模して、空冷フィン様形状等が形成されたシリンダカバー20bで覆われている。
【0025】
このエンジン20は、気化器21を介してサイドカバー22内のエアクリーナ22aから吸気され、排気管23、排気チャンバ23a並びに車体右側へ配設されたサイレンサ24を経て排気される。
【0026】
排気チャンバ23aは、図2に明らかなように、エンジン20の中央部下方を前後方向に配設され、後方へ向かって次第に拡径するダイバージョン部23bと、最大径で一定するストレート部23c及び後方へ向かって次第に縮径するコーン状のコンバージョン部23dで構成されている。
【0027】
排気チャンバ23aの軸心部には、前側が小径で後側が大径となるよう二段に径が変化する二段触媒筒23eが前後方向へ長く配設され、その表面には触媒が予め坦持され、二段触媒筒23eの内外を通過する際に接触する比較的高温の排気ガスを浄化するようになっている。
【0028】
ストレート部23cの上部にはクロスパイプ12aを逃げる湾曲部23fが形成されるとともに、後端部近傍の側面からはテールパイプ23gが分枝して車体右側へ延び、その後端部がサイレンサ24へ接続しており、このようにすることで排気チャンバ23aのセッテイング自由度を高めている。
【0029】
このテールパイプ23gの右側面は外観面がメッキ処理された排気サイドカバー23hで覆われ、車体右側方から見たときあたかもサイレンサ24がコンバージョン部23dと一体になって連続しているかのような外観を呈するようになっている。
【0030】
符号25はクランクケース、26は出力スプロケットであり、この出力スプロケット26によりチエーン27及びドリブンスプロケット28を介して後輪29が駆動される。この後輪29は円板状のデイッシュホイールを備えている。
【0031】
後輪29は、リヤアーム30の後端部へ支持され、このリヤアーム30は左右一対のアーム部30aと、その各前端部を連結するクロス部30bからなり、このクロス部30bがピボットプレート14のピボット部14aに両端を支持されるピボット軸14b(図2)を介して上下方向へ揺動自在に軸着されている。
【0032】
また、図2中にピボットプレート14の一部を切り欠いて示すように、主フレーム10の後半部10bのうちクロス部30b近傍部分は、前方へ湾曲する凹部10cをなし、後半部10bが車体中央部に設けられていても、クロス部30bを後半部10bと干渉せずに左右方向へ連続して設けることができるようになっている。
【0033】
リヤアーム30の前部側における左右のアーム部30a間に形成された空間を利用してラジエタ用リザーブタンク31が側面視でリヤアーム30のアーム部30aと重なるように配設され、その上方には大部分をサイドカバー22に覆われたバッテリ32が配設され、さらに、リヤアーム30のアーム部30a後部とリヤステイ13の上部間に緩衝器33が取付けられている。
【0034】
主フレーム10上にはアメリカンタイプもしくはカスタムバイクにおいて一般的である涙滴形の燃料タンク34が支持され、その上面前部には各種のインジケータやメータ等の計器類36を支持するためのメーターケース35が設けられ、その後部には燃料タンクの注入口キャップ34dの頭部が突出している。
【0035】
燃料タンク34の下部左右には補機類カバー37が取付けられ、これら左右の補機類カバー37は樹脂で形成されかつ表面がメッキされており、燃料タンク34の下方に位置するシリンダカバー20bの各上部側面まで覆い、あたかも金属風エアークリーナーのように見える外観になっている。
【0036】
燃料タンク34の後方には段付きシート38がシートレール15上に支持され、この段付きシート38は後部が一段高くなって同乗者用シート39をなすダブルシートになっている。
【0037】
このシート38はシートポジションが低くなるように後輪29近傍の低い位置へ配設され、前述のハンドルバー6及び燃料タンク34の形状とともに、アメリカンタイプもしくはカスタムバイクにおいて一般的な、特徴のある車体外観を形成している。
【0038】
同乗者用シート39の後方には、パイプ部材を略アーチ状に形成したリヤグリップ40が上下方向へ配設され、その下端部が連結されたリヤグリップ基部41はリヤフェンダー42の外側を通ってシートレール15の後端部に支持されている。
【0039】
リヤフェンダー42は左右のシートレール15間に入って支持されるとともに、後端部にはテールライト43及びマッドガード44等が配設され、これらはリヤフェンダー42内側のサブフレーム18に支持されている。
【0040】
符号45はヘッドパイプ5、主フレーム10の前半部10a及びダウンフレーム11で形成される空間を覆う左右一対のガセット、46は補機類カバー37に覆われたオイルタンク、47はオイルポンプであり、インテークマニホールド近傍に取付けられて上方へ延びるステー48に支持されたソレノイドバルブ49へ接続している。
【0041】
50は燃料コック、51は気化器21の下流側にある吸入管へ接続されている吸気チャンバ、52はラジエタ、52aは水ポンプである。
【0042】
53はシフトペダル、54は車体右側のブレーキペダルであり、これらは、エンジン20の下部前方に相当する位置に設けられ、運転者が足を前方へ投げ出すアメリカンタイプもしくはカスタムバイクの乗車姿勢をとれるようになっている。
【0043】
ブレーキペダル54は、フロントステップ55近傍に軸支され、ロアフレーム12の下方へ長さ方向を前後方向に向けて配設されたマスターシンリンダ56を介してリヤブレーキキャリパ57を作動するようになっている。
【0044】
また、車体左側のロアフレーム12の中間部にはサイドスタンド58(図1)が起伏自在に設けられ、リヤステイ13にはステップホルダ59を介してリヤステップ59aが取付けられている。
【0045】
次に、リヤフェンダーガーニッシュ16及びリヤフェンダー42等のシートフレーム15に対する取付構造並びにシートの支持構造を説明する。まず、図4に示すように、リヤフェンダー42とサブフレーム18はリヤフェンダー小組体60を構成している。
【0046】
図7及び図8に明らかなように、サブフレーム18は左右一対でリヤフェンダー42の内側を前後方向へ延びるパイプ部材であり、共締め部材17a、17bに対応する位置にブラケット61a、61bが下方へ垂下して取付けられ、さらにこれらのブラケット61a、61bの内側面側にナット62a、62bが溶接され、かつ外側面側にカラー63a、63bがそれぞれ溶接されている。
【0047】
これらのカラー63a、63bを、予めリヤフェンダー42の側部に形成された開口部64a、64bに嵌合されているリング状のクッションラバー65a、65bの穴に嵌合することにより、サブフレーム18とリヤフェンダー42は相互に連結一体化してリヤフェンダー小組体60になっている。
【0048】
なお、図7に明らかなように、左右のサブフレーム18間にリヤフェンダー42の上下方向内側に沿ってアーチ状をなすシート支持ステー66が取付けられ、その頂部には予めリヤフェンダー42の頂部側に形成された開口67に嵌合されているクッションラバー68の下部が当接し、直接リヤフェンダー42とシート支持ステー66が接触しないようになっている。
【0049】
このクッションラバー68の上部は、シート38の底板69に形成された下方へ突出する突部69aに当接し、シート38をリヤフェンダー42上に弾性支持するとともに、その荷重をリヤフェンダー42に伝えず、シート支持ステー66で受け止めるようになっている。
【0050】
さらに、サブフレーム18の後部にも同様のアーチ状をなすシート支持ステー70が取付けられてリヤフェンダー42の内側へ上方へ突出して配設され、この頂部にシート38の後端部側をボルト71により上方より固定するようになっている(図3参照)。
【0051】
図3に示すシート38は、その前後計3カ所に設けられている各支持部を示すため、各支持部を通る断面にしてあり、図12はこれに対応してさらにリヤフェンダー側も断面にして支持構造を示す図である。これらの図で明らかなように、シート38の同乗者シート39部分の底板69は、前部、中央部及び後部でそれぞれ別のシート支持ステー66、70及び73並びにシート後端部ステー72で支持されている。
【0052】
このうち、中央のシート支持ステー66は前述した通りであり、後部のシート支持ステー70は、ウエルドナット70aが設けられ、これとボルト71によりリヤフェンダー42上に配設されるシート後端部ステー72の後端部と連結されている。
【0053】
シート後端部ステー72は側面視で略くの字形に屈曲し、後半側は前記のようにリヤフェンダー42上へ重なってシート支持ステー70へ連結されるが、前半側はリヤフェンダー42から離れるように斜め上方へ延び、同乗者シート39後部で底板69の下方へ重なるようになっている。
【0054】
このシート後端部ステー72の先端部には取付穴72aが形成され、ここにリング状のクッションラバー74が嵌合取付されている。シート後端部ステー72の先端部はクッションラバー74を介して、頭部を底板69にインサートされた植え込みボルト75とナット76により底板69と連結されている。
【0055】
これにより、同乗者シート39の後部は、底板69がクッションラバー74、シート後端部ステー72及びシート支持ステー70を介してリヤフェンダー42の上方に浮動支持される。
【0056】
同乗者シート39の前部はシート支持ステー73によって同様にリヤフェンダー42の上方へ浮動支持される。すなわち、後述するようにして下端部をシートレール15へ支持されたシート支持ステー73は、シート支持ステー66と同様のアーチ状をなし、その上部に設けられた取付穴74aにリング状のクッションラバー74が取付けられている。
【0057】
シート支持ステー73は、このクッションラバー74を介して、頭部が底板69にインサートされている植え込みボルト75及びシート支持ステー73の下方から取付けられるナット76により同乗者シート39と一体化されている。
【0058】
なお、クッションラバー74、植え込みボルト75及びナット76は前記後部側と同一構造であり、同一符号を用いてある。また、図11にはこの支持部における模式的な組み付け構造を示す。
【0059】
このような支持構造により、図3及び図12に明らかなように、シート38の後部でありかつリヤフェンダー42の上方に位置する部分である同乗者シート39は、前後計3カ所をシート支持ステー66、70及び73並びにシート後端部ステー72を介してリヤフェンダー42の上方に浮動支持され、底板69がリヤフェンダー42と非接触になっている。
【0060】
図5に示すように、シートレール15はパイプ部材であり、共締め部材17a、17bと対応する位置にカラー80a、80bが横断方向へ貫通して取付けられ、さらに後端部にもカラー81が横断して取付けられている。この構造は左右のシートレール15で同じである。
【0061】
図8に明らかなように、リヤグリップ基部41の下部には、カラー80bに対応する位置に通し穴82が形成され、その下端部は外側へ屈曲してシートレール15の下部外周へ係合する回り止め部83になっている。
【0062】
リヤグリップ基部41の下部後方には、図9に示すように、カラー81と対応する位置に通し穴84及びウェルドナット85が設けられ、ボルト86によりシートレール15とリヤグリップ基部41が締結されるようになっている。
【0063】
リヤグリップ基部41の通し穴84より下方には下方突出部41aが一体に延出形成され、ここに位置決め穴87が形成されている。
【0064】
図5に明らかなように、シートレール15のカラー80aより前方には位置決め用ステー88が上方へ突出して溶接され、ここに係止穴89aと通し穴89bが形成され、通し穴89b部分にはナット89cが取付けられている。
【0065】
図6に明らかなように、リヤフェンダーガーニッシュ16は、断面略コ字状の装飾用外観を有する部材であり、共締め部材17a、17bと対応する位置に通し穴90a、90bが形成され、また前端部には係止片92が前方へ一体に突出形成されている。この係止片92は前端部側の仮止め部に相当する。
【0066】
図7及び図8に明らかなように、リヤフェンダーガーニッシュ16の通し穴90a、90bにそれぞれ外方から磨き頭部91を有するボルトである共締め部材17a、17bを入れてカラー80a、80bへ通し、さらにリヤフェンダー小組体60のカラー63a、63bに通してナット62a、62bと締結するようになっている。
【0067】
図6及び図9に示すように、リヤフェンダーガーニッシュ16の後端部下面には略鈎状に屈曲しながら下方へ延出する係止片93が一体に形成され、リヤグリップ基部41の下方突出部41aに形成されている位置決め穴87へ差し込まれて嵌合することにより下方突出部41aへ係止するようになっている。この係止片93は後端部側の仮止め部に相当する。
【0068】
なお、係止片93の前後方向における幅は、位置決め穴87の前後方向幅より狭く、略1/2程度になっており、係止片93を位置決め穴87内へ差し込んでから前後方向へずらせるようになっている。また、後端部にはリヤウインカ19の取付座94が設けられている(図6)。
【0069】
図10に示すように、位置決め用ステー88近傍のリヤフェンダー42の側面には取付段部95が形成され、側部の開口96からクリップ97が差し込まれて取付けられ、このクリップ97には予めナット97bが溶接されている。
【0070】
一方、シートレール15には内方へ突出するステー98が溶接されており、このステー98に取付段部95を重ね、それぞれの通し穴95a、97a及び98aを一致させ、上方からボルト99を通してクリップ97のナット97bへ締結することにより、リヤフェンダー42の前部をシートレール15へ締結するようになっている。
【0071】
図11に明らかなように、シート支持ステー73の左右に下方へ延出して形成された両脚部77には通し穴78が形成されており、この通し穴78をシートレール15上に設けた位置決め用ステー88の通し穴89b及びナット89cと一致させ、ボルト79で取付けるようになっている。
【0072】
次に、本実施形態の作用を説明する。図3及び図12に明らかなように、シート38の後部である同乗者シート39は、前後計3カ所をシート支持ステー66、70及び73並びにシート後端部ステー72を介してリヤフェンダー42の上方に浮動支持され、底板69がリヤフェンダー42と非接触になっている。
【0073】
このため、通常外観部品として装飾塗装が施されているリヤフェンダー42の表面に、シート38の底板69が接触するおそれがなくなり、こすれ等によってリヤフェンダー42表面の塗装面が傷つけられなくなる。
【0074】
また、リヤフェンダー42の上方に位置する同乗者シート39から加わる大きな荷重は、クッションラバー68及び74を介して、各シート支持ステー66、70及び73並びにシート後端部ステー72で受け止められ、リヤフェンダー42内側のサブレーム18を介して外側のシートレール15へ伝達される。
【0075】
したがて、同乗者シート39の大きな荷重は車体フレーム側で受け止められることになり、リヤフェンダー42に大きな荷重が集中しないため、リヤフェンダー42を樹脂製にしても破損の心配がなく、かつ荷重を受けない構造にした分だけリヤフェンダー42を軽量化することもできる。
【0076】
そのうえ、クッションラバー68をリヤフェンダー42に取付けたので、一つのクッションラバー68により上下のシート支持ステー66及びシート38の底板69に形成された突部69aを同時に弾性支持できるようになるため、弾性支持構造が簡単になりかつ取付作業が容易になる。
【0077】
なお、本願発明は上記の例に限定されず種々に変形可能であり、例えば、クッションラバー68をシート支持ステー66又は底板69の突部69a側へ取付けておき、リヤフェンダー42にはこのクッションラバー68を通す大きめの通し穴を形成し、弾性部材をこの通し穴に貫通させて先端を他方端へ当接させるようにすることもできる。
【0078】
また、クッションラバー68の形状も吸盤状等公知の種々なものを利用でき、さらにシート支持体の構造も上記の例に限定されず、例えば、リヤステイ14等の車体フレームの一部をリヤフェンダー42の内側へ延長して配設し、これをシート支持体に利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の適用された自動2輪車の左側面図
【図2】 その要部を拡大した図
【図3】 リヤフェンダー回りの左側面図
【図4】 リヤフェンダー小組体の左側面図
【図5】 車体フレーム後部の左側面図
【図6】 左側ガーニッシュの側面図
【図7】 図3の7−7線断面図
【図8】 図3の8−8線断面図
【図9】 図3の9−9線断面図
【図10】リヤフェンダー前部の車体フレームに対する取付方を示す図
【図11】シート前部のシートレールに対する取付方を示す模式図
【図12】シートの支持構造を示す断面図
【符号の説明】
15:シートレール、16:リヤフェンダーガーニッシュ、18:サブフレーム、39:同乗者シート、42:リヤフェンダー、66:シート支持ステー(シート支持体)、68:クッションラバー(弾性部材)、69:底板、70:シート支持ステー(シート支持体)、72:シート後端部ステー(シート支持体)、73:シート支持ステー(シート支持体)、74:クッションラバー(弾性部材)

Claims (4)

  1. 前後輪を支持する車体フレームに支持されたリヤフェンダー上方にシートを支持するため、車体フレームに支持されて上方へ突出するシート支持体を設け、このシート支持体の上部に取付けた弾性部材を介して、シート底部をリヤフェンダー表面と非接触に保つよう支持するシート支持構造において、
    前記車体フレームは、前記リヤフェンダーの側部外方に配置されたシートレールと、前記リヤフェンダーの側部内方に配置されて前記シートレールと連結されるサブフレームを備え、
    前記シート支持体は、下端部を前記シートレールへ支持されて前記リヤフェンダーの上方へ延出する第1のシート支持体と、
    下端部を前記サブフレームへ支持されて前記リヤフェンダーの内側へ配設される第2のシート支持体とを備え、
    前記第1のシート支持体は、その上端部で前記弾性部材を介して前記シート底部を前記リヤフェンダー上面から離して支持し、
    前記第2のシート支持体は、前記リヤフェンダーの内側から前記弾性部材を介して前記シート底部を前記リヤフェンダー上面から離して支持することを特徴とするシート支持構造。
  2. 前記第2のシート支持体の上端部が接近するリヤフェンダーの一部に前記弾性部材を突出させて取付け、この弾性部材の上部をシート底部へ当接させ、下部を前記第2のシート支持体の上端部へ当接させたことを特徴とする請求項1に記載したシート支持構造。
  3. 前記シート支持体は、下端部を前記サブフレームへ支持されて前記リヤフェンダーの内側へ配設される部分と、前記リヤフェンダーの上方へ延出し前記弾性部材を介して前記シート底部を支持する部分とを有する第3のシート支持体を備えることを特徴とする請求項1に記載したシート支持構造。
  4. 前記リヤフェンダーが樹脂製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載したシート支持構造。
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