JP4023687B2 - トルクコンバータのロックアップ容量制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、上記のトルク増大機能およびトルク変動吸収機能が不要な低負荷、高速伝動時は、トルクコンバータ入出力要素間の相対回転(スリップ)を制限可能なロックアップ式トルクコンバータが多用されている。
特に、自動変速機がトロイダル型無段変速機やVベルト式無段変速機に代表される無段変速機である場合、ロックアップ解除車速の大いなる低車速化が可能であり、ロックアップ車速域の拡大による燃費の向上が顕著である。
つまり、車両の急制動により駆動輪がロック気味になった時、速やかにトルクコンバータのロックアップを解除しないと、ロック気味の駆動輪とエンジンとが機械的に直結されていることから、エンジンが運転停止(エンジンストール)を生ずる。
ロックアップ解除車速が低く設定されている場合、低車速までトルクコンバータがロックアップ状態にされていることから、駆動輪がロック気味になってエンジンストールを生ずる前にトルクコンバータのロックアップを解除することが困難となり、急制動時におけるエンジンストールの問題を回避し難い。
この技術によれば、コーストロックアップ容量が小さいことから、トルクコンバータのロックアップ解除応答をその分高めることができ、車両の急制動により駆動輪がロック気味になっても、速やかなトルクコンバータのロックアップ解除によりエンジンストールを回避することができる。
そこでかかる再加速時は、特許文献1に記載のように、トルクコンバータのロックアップ容量を所定の時系列(ランプ)制御により徐々に増大させる加速スリップロックアップを行うことが提案されている。
つまり、再加速に伴うロックアップ容量の時系列増大制御(加速スリップロックアップ)中にアクセルペダルの釈放によりエンジンが無負荷状態(コースト走行)に切り替えられた時、無条件にトルクコンバータをコンバータ状態にするのでは、前記ロックアップショックの問題を生じない条件のもとでも、再加速に伴うロックアップ容量の時系列増大制御(加速スリップロックアップ)を中止してしまい、エンジン回転の急低下によるフューエルカットの中止(フューエルリカバー)とも相まって燃費の悪化を招く。
ロックアップショックが体感上問題にならない無負荷時ロックアップ容量である場合は、ロックアップ容量の前記時系列制御による増大を継続させてロックアップを進行させることにより、上記した燃費の悪化に関する問題や、エンジンの空吹けによるダイレクト感の喪失に関する問題を解消したトルクコンバータのロックアップ容量制御装置を提案することを目的とする。
トルクコンバータ入出力要素間の相対回転を制限可能なロックアップ式トルクコンバータと、エンジンと、自動変速機との組み合わせになる車両のパワートレーンを前提とし、
前記トルクコンバータのロックアップ容量を前記エンジンの負荷状態に応じた時系列制御により、コーストロックアップ時のロックアップ容量から増大させている加速スリップロックアップ中、前記エンジンを無負荷状態に切り替えた時のロックアップ容量である無負荷時ロックアップ容量が前記コーストロックアップ時のロックアップ容量より大きいショック判定用ロックアップ容量以上である場合、トルクコンバータを前記入出力要素間の相対回転が制限されないコンバータ状態にし、
前記無負荷時ロックアップ容量が前記ショック判定用ロックアップ容量未満である場合、ロックアップ容量の前記時系列制御による増大を継続させてトルクコンバータを前記入出力要素間の相対回転が0にされたロックアップ状態に向かわせるよう構成したものである。
無負荷時ロックアップ容量がショック判定用ロックアップ容量以上であって、そのままロックアップ容量を時系列制御により増大させるとロックアップショックを生ずるような状況のもとでは、このロックアップショックをトルクコンバータのコンバータ状態により緩和、若しくは解消し得る。
無負荷時ロックアップ容量がショック判定用ロックアップ容量未満であって、そのままロックアップ容量を時系列制御により増大させてもロックアップショックを生ずることがないような状況のもとでは、ロックアップ容量を時系列制御により引き続き増大させることによりトルクコンバータをロックアップ状態に向かわせることとなる。
かかる不必要なロックアップ解除により、また、これによるエンジン回転の急低下でフューエルカットが中止(フューエルリカバー)されることにより、燃費が悪化するという前記の問題を解消することができる。
図1は、本発明の一実施例になるトルクコンバータのロックアップ容量制御装置を具えた車両のパワートレーンを、その制御系とともに示し、このパワートレーンをエンジン1と無段変速機2とで構成する。
エンジン1はガソリンエンジンであるが、そのスロットルバルブ3を運転者が操作するアクセルペダル4とは機械的に連結させず、これから切り離してスロットルアクチュエータ5によりスロットルバルブ3の開度を電子制御するようになす。
なおエンジンコントローラ22は、スロットルアクチュエータ5を介した上記スロットル開度制御を行うだけでなく、図示しなかったが、その他エンジン1の運転に際して必要な燃料噴射量制御や、フューエルカット制御や、点火時期制御をも行うものとする。
そして、セカンダリプーリ8にファイナルドライブギヤ組10を介してディファレンシャルギヤ装置11を駆動結合し、これらにより図示しない車輪を回転駆動するものとする。
両可動フランジのストローク位置を、変速制御油圧回路12からのプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecの比により決定する。
変速機コントローラ23は更に、後述するように総合コントローラ21で決定されるロックアップ容量(L/Uprs)指令に対応するロックアップ締結圧(Pup)信号を変速制御油圧回路12に出力し、変速制御油圧回路12はトルクコンバータ6へのロックアップ締結圧をこの信号に応じた値に制御し、トルクコンバータ6を入出力要素間の相対回転(スリップ)が制限されているスリップ制御状態や、トルクコンバータ入出力要素間が直結されたロックアップ状態にしたり、これらのスリップ制限状態を解除したコンバータ状態にする用もなすものとする。
車輪の回転数から車速VSPを検出する車速センサ25からの信号と、
アクセルペダル4を釈放した時(アクセル開度APO=0の時)にONとなるアイドルスイッチ26からの信号と、
スロットルバルブ3のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ27からの信号と、
エンジン回転数Ne(トルクコンバータ入力回転数)を検出するエンジン回転センサ28からの信号と、
トルクコンバータ出力回転数(タービン回転数)Ntを検出するタービン回転センサ29からの信号とをそれぞれ入力する。
この演算に当たって総合コントローラ21は、図2に示す制御プログラムを実行し、先ずステップS1において、コーストロックアップ(L/U)容量の学習制御中か否かを判定する。
これにより、急制動による駆動輪のロック時も、エンジンストールが発生しないようトルクコンバータのロックアップ解除(コンバータ状態への移行)を速やかに完遂させることができる。
ステップS1でコーストL/U容量の学習制御中であると判定する場合は、ステップS2でアイドルスイッチ26がOFFになったか否かを、つまり、コーストL/U容量の学習制御中にアクセルペダル4の踏み込みによる再加速操作があったか否かをチェックする。
この再加速操作があるまでは、本発明によるロックアップ容量L/Uprs制御を行う必要がないから、制御を元に戻して待機し、再加速操作があった時にステップS3で、ロックアップ容量L/Uprsを再加速時スロットル開度TVO(トルクコンバータの伝達トルクを表す)に応じた図3に例示するランプ勾配(時間勾配)で時系列制御により増大させる。
再加速時スロットル開度TVO(伝達トルク)が大きいほどロックアップ容量L/Uprsの再加速時ランプ勾配(時間勾配)を急にした理由は、再加速時スロットル開度TVO(伝達トルク)が大きい時にゆっくりとロックアップ容量を増大させたのでは、過渡時にトルクに対しロックアップ容量が不足してトルクコンバータがスリップを生じ、ロックアップクラッチフェーシングの摩耗などに関する問題が発生するからである。
ロックアップを完了させるべきと判定した時は、ステップS5において、ステップS3と同様な制御の継続によりロックアップを完了させるような逐次増大するロックアップ容量L/Uprsを図1の変速機コントローラ23に出力して遂にはロックアップを完了させ、ロックアップ容量L/Uprsがロックアップを完了させるべき値に達していなければ、制御をステップS6以後に進めて、本発明が狙いとするロックアップ容量の制御を以下のごとくに行う。
この足離しがなければ、本発明が狙いとするロックアップ容量制御が不要であるから制御をステップS3に戻して、ロックアップ容量L/Uprsを再加速時スロットル開度TVO(伝達トルク)に応じた時系列制御により増大させる操作を、ロックアップ完了まで継続させる。
次いでステップS8において、この無負荷時ロックアップ容量L/Uprsoがロックアップ可否判断用ロックアップ容量L/Uprss以上か否かにより、ロックアップ可能なロックアップ容量か否かを判定する。
ロックアップ可否判断用ロックアップ容量L/Uprssは、図4に例示する予定のマップを基に、無負荷状態への切り替え時のエンジントルクTe(トルクコンバータの伝達トルク)から検索により求め、このエンジントルクTe(トルクコンバータの伝達トルク)が大きいほど大きな値をとるよう定める。
先ず図5に示すごとく、横軸に配した無負荷時ロックアップ容量L/Uprsoごとに、ロックアップ容量を当該無負荷時ロックアップ容量L/Uprsoから図3につき前述した勾配で時系列制御により増大させた時に発生する車両加速度Gを求めてプロットし、無負荷時ロックアップ容量L/Uprsoと当該車両減速度Gとの関係を予め求める。
そしてこの関係をもとに、上記の車両加速度Gがショックとして問題とならない許容加速度限界値G0に対応した無負荷時ロックアップ容量を、足離し時ロックアップショック判定用の許容ロックアップ容量限界値αとして求める。
許容加速度限界値G0以上の加速度を発生する無負荷時ロックアップ容量L/Uprso(L/Uprso≧α)の場合、問題となる足離し時ロックアップショックを発生し、許容加速度限界値G0以上の加速度を発生しない無負荷時ロックアップ容量L/Uprso L/Uprso(L/Uprso<α)の場合、問題となるほどに大きな足離し時ロックアップショックを発生することがない。
図6(a)は、瞬時t1までスロットル開度TVO=0のコースト走行に呼応してコーストロックアップ容量制御(ステップS1)が行われ、瞬時t1にアクセルペダルの踏み込みによるスロットル開度TVOの増大(再加速)に呼応して図3につき前述した時系列制御によるロックアップ容量L/Uprsの増大(ステップS3)が開始されるも、タービン回転数Ntからのエンジン回転数Neの乖離として示すようにトルクコンバータ6が一時的にスリップを生じ、瞬時t2にアクセルペダルの釈放でスロットル開度TVOが0にされた場合の動作タイムチャートである。
これがため、足離し時ロックアップショックを生じないにもかかわらず瞬時t2にロックアップを解除することがなくなり、この無用なロックアップ解除でエンジン回転数Neが破線で示すように急低下してフューエルカットが中止(フューエルリカバー)され、燃費が悪化するという問題を解消することができる。
瞬時t2までのロックアップ容量L/Uprsの増大を継続すると足離し時ロックアップショックを生ずるとの判断に基づき、ロックアップ容量L/Uprsの増大制御を中止してロックアップ解放用に低下させて(ステップS11)、瞬時t3にロックアップ解除の完了によりトルクコンバータ6をコンバータ状態にする。
瞬時t2までのロックアップ容量L/Uprsの増大を継続しても足離し時ロックアップショックを生じないとの判断に基づき、ロックアップ容量L/Uprsの増大制御を継続させて(ステップS5)、瞬時t3にロックアップを完了させる。
また、上記のごとく瞬時t2に不必要なロックアップ解除が行われないことから、図6(c)には図示しなかったが、エンジンが無負荷状態(スロットル開度TVO=0)に切り替えられたt2以後にアクセルペダルの踏み込みで再々加速が行われても、エンジンの空吹けを生ずることがなくて加速の応答遅れによるダイレクト感の喪失に関した問題をも解消することができる。
ステップS4がステップS5を選択し続けて、瞬時t1以後ロックアップ容量L/Uprsを継続的に、図3につき前述した時系列制御により増大させ、瞬時t3にロックアップを完了させる。
しかもロックアップ可否判断用ロックアップ容量L/Uprssを図4に示すごとく、エンジン無負荷状態への切り替え時におけるエンジントルクTe(トルクコンバータの伝達トルク)が大きいほど大きな値をとるよう定めたから、如何なる無負荷時エンジントルクTe(トルクコンバータの伝達トルク)の基でも上記の作用効果を確実に奏することができる。
2 無段変速機
3 スロットルバルブ
4 アクセルペダル
5 スロットルアクチュエータ
6 ロックアップ式トルクコンバータ
7 プライマリプーリ
8 セカンダリプーリ
9 Vベルト
10 ファイナルドライブギヤ組
11 ディファレンシャルギヤ装置
12 変速制御油圧回路
13 ステップモータ
21 総合コントローラ
22 エンジンコントローラ
23 変速機コントローラ
24 アクセル開度センサ
25 車速センサ
26 アイドルスイッチ
27 スロットル開度センサ
28 エンジン回転センサ
29 タービン回転センサ
Claims (5)
- トルクコンバータ入出力要素間の相対回転を制限可能なロックアップ式トルクコンバータと、エンジンと、自動変速機との組み合わせになる車両のパワートレーンにおいて、
前記トルクコンバータのロックアップ容量を前記エンジンの負荷状態に応じた時系列制御により、コーストロックアップ時のロックアップ容量から増大させている加速スリップロックアップ中、前記エンジンを無負荷状態に切り替えた時のロックアップ容量である無負荷時ロックアップ容量が前記コーストロックアップ時のロックアップ容量より大きいショック判定用ロックアップ容量以上である場合、トルクコンバータを前記入出力要素間の相対回転が制限されないコンバータ状態にし、
前記無負荷時ロックアップ容量が前記ショック判定用ロックアップ容量未満である場合、ロックアップ容量の前記時系列制御による増大を継続させてトルクコンバータを前記入出力要素間の相対回転が0にされたロックアップ状態に向かわせるよう構成したことを特徴とするトルクコンバータのロックアップ容量制御装置。 - 請求項1に記載のロックアップ容量制御装置において、
前記無負荷時ロックアップ容量が、トルクコンバータをロックアップさせ得ないロックアップ可否判断用ロックアップ容量未満の低容量である時は、該無負荷時ロックアップ容量がショック判定用ロックアップ容量以上か未満かの前記判定を行うことなく、トルクコンバータを前記コンバータ状態にするよう構成したことを特徴とするトルクコンバータのロックアップ容量制御装置。 - 請求項2に記載のロックアップ容量制御装置において、
前記ロックアップ可否判断用ロックアップ容量を、エンジンが無負荷状態に切り替えられた前記無負荷時におけるトルクコンバータの伝達トルクに応じ、該無負荷時伝達トルクが大きいほど大容量としたことを特徴とするトルクコンバータのロックアップ容量制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロックアップ容量制御装置において、
ロックアップ容量を前記無負荷時ロックアップ容量から前記時系列制御により増大させた時に発生する車両加速度を無負荷時ロックアップ容量ごとに予め求め、該車両加速度がショックとして問題とならない許容加速度限界値に対応した無負荷時ロックアップ容量を前記ショック判定用ロックアップ容量としたことを特徴とするトルクコンバータのロックアップ容量制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のロックアップ容量制御装置において、
エンジンを無負荷状態に切り替えた前記無負荷時のトルクコンバータ入出力要素間における相対回転がショック判定用スリップ回転未満である時は、前記無負荷時ロックアップ容量がショック判定用ロックアップ容量以上であっても、ロックアップの進行を継続させてトルクコンバータを前記ロックアップ状態に向かわせるよう構成したことを特徴とするトルクコンバータのロックアップ容量制御装置。
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