JP4020315B2 - 余剰メダル貯留タンク - Google Patents

余剰メダル貯留タンク

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、メダル投入口から投入される遊技用メダルの余剰分を貯留するスロットマシンの余剰メダル貯留タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9はスロットマシンMの内部を概略的に表した図である。メダル投入口1にメダルを投入すると、これをメダル投入センサ2が検出してゲーム可能な状態になる。メダル投入センサ2を通過したメダルは、一時的にホッパー3に貯留される。回転ドラム4,4,4の図柄組み合わせによるゲームの結果が入賞であると、入賞の種類に応じた枚数だけホッパー3内のメダルがメダル払出し装置5により払い出される。メダル投入口1から投入されるメダル数の方が入賞で払い出されるメダル数よりも多く、ホッパー3内のメダルが一定量を超えると、余剰のメダルは出口3aよりホッパー3外へ溢れ出る。溢れ出たメダルは、出口3aの下方に設けた貯留タンク6に貯留される。そして、貯留タンク6に貯留されたメダルを人手で回収するようにしている。
【0003】
上記構成はベルトコンベヤ式のメダル回収設備の無い遊技場の場合であり、メダル回収設備の有る遊技場では図10に示す構成になる。すなわち、貯留タンク6の代わりに漏斗状のメダル受け7を設け、このメダル受け7の下端開口部にフレキシブルなメダル回収管8の一端部を接続するとともに、該回収管8を筐体の底部に開けた穴9を通して他端側をスロットマシンMの下方に設置されたメダル回収ベルト10に臨ませる。これにより、ホッパー3から溢れ出たメダルは、メダル受け7及びメダル回収管8を通ってメダル回収ベルト10の上に導かれ、該ベルトによって自動的に回収される。
【0004】
このように、メダル回収設備の有無によって貯留タンクとメダル受けとを使い分けるので、現状ではスロットマシンの出荷時には貯留タンクを取り付けておき、設置現場で必要に応じてメダル受けに付け替えるようにしている。しかしながら、メダル受けは複数本の小ネジを用いて筐体に組み付けるので、組み付け作業に時間がかかるとともに、作業スペースが限られ照明が十分でない現場では組み付け作業自体が困難な場合もある。また、貯留タンクとメダル受けの両方を用意しておくのは、コスト、部品管理、梱包等のあらゆる面で好ましくない。
【0005】
そこで、上記不都合を解消することを目的として、メダル受けとしても使用できる共用型の貯留タンクが実用化されている。この共用型の貯留タンクは、底部が開口し、該底部を塞ぐ蓋体が着脱可能に取り付けられるようになっている。メダル回収設備の無い遊技場では、当該貯留タンクの底部に蓋体を取り付け、通常の貯留タンクと同じように使用する。一方、メダル回収設備の有る遊技場では、当該貯留タンクを蓋体を外した状態でメダル回収ベルトを臨む位置に設け、ホッパーから落下するメダルを受け、それを底部開口部からメダル回収ベルトの上に落下させるようにする。
【0006】
また、同じ目的で案出されたものとして、ホッパー自体にメダル回収管を接続可能なメダル回収穴を形成するとともに、該メダル回収穴を開閉可能な蓋体を設けたスロットマシン用のメダル回収機構も公知である(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
実登3046594号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の共用型の貯留タンクは、該タンクの底部開口部からメダル回収ベルトの上にメダルを落下させるようになっているので、底部開口部とメダル回収ベルトの平面位置が合わない場合にはメダル受けとして使用することができない。実際の遊技場では、フレキシブルなメダル回収管を使用することを前提としてメダル回収設備を設置しているため、貯留タンク取付位置の真下にメダル回収ベルトが無い場合も多く見られ、この共用型の貯留タンクの適用可能な遊技場は限定されるという問題があった。
【0009】
また、特許文献1に記載されているスロットマシン用のメダル回収機構は、ホッパー(メダルタンク20)にメダル回収管(回収パイプ40)を直接接続する構成となっているが、メダル払出し装置(図示せず)の点検や調整のためにホッパーを出し入れしようとすると、通常、メダル回収用コンベヤは、いわゆるスロットマシンを表裏2列に配した島の真ん中に設置されている場合が多く、フレキシブルなメダル回収管の先端側をメダル回収用コンベヤ側に曲げた形状にしてメダル排出口をメダル回収用コンベヤ上に位置するように配置しているため、メダル回収管がホッパーの出し入れ作業に素直に追従せず、作業自体がかなり面倒になるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とするものであり、メダル回収設備の無い遊技場では貯留タンクとして、またメダル回収設備を備えた遊技場では、メダル回収ベルトの位置にかかわらずメダル受けとして使用することのできる余剰メダル貯留タンクを提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明の余剰メダル貯留タンクは、上記の目的を達成するために、投入されたメダルを一時的に貯留するホッパーから外へ溢れ出たメダルを、更に貯留する為のタンク本体と蓋体とを組み合わせた余剰メダル貯留タンクにおいて、前記タンク本体は、上方が開口し且つ底部に平面視円形のメダル回収口が形成された容器であって、前記メダル回収口の外側の底面には、内周面に螺旋状の溝が刻設された筒状部と、前後両側内壁面の底面には、中央側に低い傾斜面と、右側内壁面の下部には、前記メダル回収口側に低い傾斜部と、左側内壁面の下部には、前記傾斜部の最上部と上面が同じ高さの段部と、左側内壁面の上部には、内側上部が斜めに切り落とされた断面三角形の凸条と、前記メダル回収口の左側の縁部には、上方に突出する突起とが設けられており、前記蓋体は、前記タンク本体の底面と略同じ大きさの板状体であって、角部が後退した平面形状で、前記傾斜面に対応して斜めに形成された右端部と、前記メダル回収口の前記傾斜面に対応して斜めに形成された裏面側前後両端部とが形成されており、前記傾斜部及び前記段部によって前記蓋体を水平に保持した第一姿勢でホッパーから外へ溢れ出たメダルを貯留する一方、前記凸条及び前記突起によって前記蓋体を傾斜させて保持した第二姿勢でホッパーから外へ溢れ出たメダルを前記メダル回収口から前記筒状部の溝に係合された回収管へ導くことを特徴とする。
【0012】
メダル回収設備の無い遊技場では、水平保持手段によりメダル回収口を塞ぐように蓋体を水平に保持する状態で使用する。この場合、ホッパーから溢れ出たメダルは当該余剰メダル貯留タンクにそのまま貯留される。また、メダル回収設備の有る遊技場では、傾斜保持手段により蓋体を傾斜させて保持する状態で使用する。この場合、ホッパーからタンク本体の中に落下してくるメダルは蓋体によってメダル回収口へ導かれ、該メダル回収口に接続したメダル回収管を通ってメダル回収ベルトの上まで移送される。
【0013】
請求項1に係る本発明の余剰メダル貯留タンクは、請求項1に記載の余剰メダル貯留タンクにおいて、前記タンク本体の底部に、前記メダル回収口とは別に、傾斜保持手段に保持された蓋体によって上方が覆われるメダル落下口を設けたことを特徴とする。
【0014】
この構成とすると、メダル回収設備の有る遊技場において、余剰メダル貯留タンクの取付位置の真下にメダル回収ベルトが位置する場合、当該余剰メダル貯留タンクを、メダル回収口にメダル回収管を接続せず、かつ蓋体を外した状態で使用することができる。この場合、ホッパーからタンク本体の中に落下してくるメダルは、メダル回収口及びメダル落下口を通ってそのままメダル回収ベルトの上に落下する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の代表的な実施の形態について説明する。
図1乃至図8に示す余剰メダル貯留タンク11は、タンク本体と蓋体とを組み合わせてなるものであって、図1乃至図3はタンク本体20を、図4は蓋体30をそれぞれ表している。
【0016】
タンク本体20は、上方が開口し上位側が若干拡がった略直方体の容器で(便宜上、長手方向を左右、これと直交する方向を前後とする)、左右外面の上端縁部に把手21,21が一体に形成されている。底部の前後中央部には、平面視円形のメダル回収口22と長方形のメダル落下口23とが左右方向に直列に設けられている。メダル回収口22の外側には筒状部24が形成され、その内周面に後述するメダル回収管8を接続するための螺旋状の溝24aが刻設されている。上記メダル回収口22及びメダル落下口23の前後両側の底面は、中央側に低い傾斜面25,25になっている。
【0017】
右側(メダル回収口22側)内壁面の下部には、該メダル回収口側に低い傾斜部26が設けられている。一方、左側(メダル落下口23側)内壁面の下部には、傾斜部26の最上部と上面が同じ高さの段部27が設けられている。これら傾斜部26及び段部27で、蓋体30を水平に保持するための水平保持手段を構成している。
【0018】
また、左側内壁面の上部には、内側上部が斜めに切り落とされた断面三角形の凸条28が設けられている。さらに、メダル落下口23の右縁部には、上方に突出する突起29が設けられている。これら凸条28及び突起29で、蓋体30を傾斜させて保持するための傾斜保持手段を構成している。
【0019】
蓋体30は、タンク本体20の底面とほぼ同じ大きさの板状体であって、右端部は前後中央部に対し角部31,31が若干後退した平面形状になっている。また、裏面側前後両端部32,32は底面傾斜面25,25に対応して斜めに形成され、裏面側左端部33及び右端部34は斜めに切り落とされている。
【0020】
この余剰メダル貯留タンク11は、スロットマシンの設置現場の状況に応じて次のように使い分ける。まず、メダル回収設備が無い場合は、図5及び図6に示すように、水平保持手段である傾斜部26及び段部27によって蓋体30を水平に保持する。ホッパーから溢れ出たメダルは、蓋体30によってメダル回収口22及びメダル落下口23に蓋をされた余剰メダル貯留タンク11内に貯留される。
【0021】
メダル回収設備を備える場合は、図7及び図8に示すように、傾斜保持手段である凸条28及び突起29によって蓋体30を傾斜させて保持する。蓋体30の右端角部31,31が若干後退した形状になっているので、蓋体30の右端中央部がメダル落下口23に挿入された状態となり、蓋体30が前後にずれにくい。この状態では、蓋体30の右端部が突起29に当接して、蓋体30が右方へずれないように規制されている。また、蓋体30の斜めに切り落とされた裏面側左端部33が断面三角形の凸条28に下から支持されるので、蓋体30の左端部とタンク本体20との間に隙間が生じず、落下してくるメダルが引っ掛からない。
【0022】
メダル回収口22には、メダル回収管8を接続する。メダル回収管8は金属線を螺旋状に巻いてパイプ型にしたものであり、フレキシブルかつ伸縮自在である。メダル回収管8の接続方法は、メダル回収管8の一端部を筒状部24に挿入した状態で回転させ、螺旋状の金属線を筒状部24の溝24aに係合させる。このようにしてメダル回収口22に接続したメダル回収管8は、筐体の底部に開けた穴9を通して他端側を下方に引き出し、その下端部がスロットマシンMの下方に設置されたメダル回収ベルト10に臨むように設ける。
【0023】
これにより、ホッパーからタンク本体20の中に落下してくるメダルが蓋体30によってメダル回収口22へ導かれ、該メダル回収口に接続したメダル回収管8を通ってメダル回収ベルト10の上へ移送される。そして、メダル回収ベルト10によって所定の回収位置まで搬送される。
【0024】
また、メダル回収ベルト10がスロットマシンM(特に余剰メダル貯留タンク11)の真下に位置する場合に限れば、余剰メダル貯留タンク11を、メダル回収口22にメダル回収管8を接続せず、かつ蓋体30を外した状態で使用してもよい。この場合、ホッパーからタンク本体20の中に落下してくるメダルは、メダル回収口22及びメダル落下口23を通ってそのままメダル回収ベルト10上に直接落下して回収されることになる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかるスロットマシンの余剰メダル貯留タンクによれば、上方から落ちてくるメダルを貯留する通常の貯留タンクとしても、また上方から落ちてくるメダルをメダル回収ベルトへ案内するためのメダル受けとしても使用することができ、しかも、いずれで使用する場合にも特別な加工や困難な取付作業を伴わないので、コスト削減やスロットマシン設置現場での作業性向上にきわめて有効なものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンク本体の平面図である。
【図2】A−A断面図である。
【図3】B−B断面図である。
【図4】蓋体の(a)正面図、(b)平面図、及び(c)側面図である。
【図5】余剰メダル貯留タンクの使用状態を示す平面図である。
【図6】余剰メダル貯留タンクの使用状態を示す断面図である。
【図7】余剰メダル貯留タンクの異なる使用状態を示す平面図である。
【図8】余剰メダル貯留タンクの異なる使用状態を示す断面図である。
【図9】スロットマシンの内部を概略的に表示した図である。
【図10】図9とは異なる状態のスロットマシンの内部を概略的に表示した図である。
【符号の説明】
M スロットマシン
8 メダル回収管
10 メダル回収ベルト
11 余剰メダル貯留タンク
20 タンク本体
22 メダル回収口
23 メダル落下口
26 傾斜部(水平保持手段)
27 段部(水平保持手段)
28 凸条(傾斜保持手段)
29 突起(傾斜保持手段)
30 蓋体

Claims (2)

  1. 投入されたメダルを一時的に貯留するホッパーから外へ溢れ出たメダルを、更に貯留する為のタンク本体と蓋体とを組み合わせた余剰メダル貯留タンクにおいて、
    前記タンク本体は、上方開口し且つ底部に平面視円形のメダル回収口が形成された容器であって、
    前記メダル回収口の外側の底面には、内周面に螺旋状の溝が刻設された筒状部と、
    前後両側内壁面の底面には、中央側に低い傾斜面と、
    右側内壁面の下部には、前記メダル回収口側に低い傾斜部と、
    左側内壁面の下部には、前記傾斜部の最上部と上面が同じ高さの段部と、
    左側内壁面の上部には、内側上部が斜めに切り落とされた断面三角形の凸条と、
    前記メダル回収口の左側の縁部には、上方に突出する突起とが設けられており、
    前記蓋体は、前記タンク本体の底面と略同じ大きさの板状体であって、
    角部が後退した平面形状で、前記傾斜面に対応して斜めに形成された右端部と、
    前記メダル回収口の前記傾斜面に対応して斜めに形成された裏面側前後両端部とが形成されており、
    前記傾斜部及び前記段部によって前記蓋体を水平に保持した第一姿勢でホッパーから外へ溢れ出たメダルを貯留する一方、前記凸条及び前記突起によって前記蓋体を傾斜させて保持した第二姿勢でホッパーから外へ溢れ出たメダルを前記メダル回収口から前記筒状部の溝に係合された回収管へ導くこと、
    を特徴とする余剰メダル貯留タンク。
  2. 請求項1に記載の余剰メダル貯留タンクにおいて、
    前記タンク本体の底部に、前記メダル回収口とは別に、傾斜保持手段に保持された蓋体によって上方が覆われるメダル落下口を設けたこと、
    を特徴とする余剰メダル貯留タンク。
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