JP4018416B2 - ホール輸送のための第3級アリールアミンを含有するシルセスキオキサン組成物 - Google Patents
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Description
発明の技術分野
本発明は、電子写真、さらに詳しくは、ヒドロキシ置換ホール輸送剤を含有するシルセスキオキサン保護膜を有する感光体に関する。
【0002】
発明の背景
電荷発生素子において、入射光が多層装置の層全体に亘って電荷分離を引き起こす。本願明細書では電子写真素子とも呼ばれる電子写真電荷発生素子において、電荷発生層内で生じた電子とホールの対が分離し、反対方向に移動することによって、前記素子の導電層と反対側の表面との間に電荷が生じる。この電荷は、静電潜像とも呼ばれる静電位のパターンを形成する。前記静電潜像は各種手段によって形成することができる。例えば、前以って表面に形成されていた均一な電位を放射線によって像の形に合わせて放電させることによって形成することができる。一般に、静電潜像は、前記静電潜像をエレクトログラフ現像剤と接触させることによってトナー像を形成し、そして前記トナー像をレシーバに溶融定着させることによって現像される。所望であれば、前記潜像を現像前に他の表面に転写させることもできるし、前記トナー像を溶融定着前に転写することもできる。
【0003】
電荷を生成および分離する工程の必要条件によって、内部で電荷が生成され、かつ、ホールおよび/または電子が輸送される層の特性に大きな制限が課されている。例えば、そのような層の多くは非常に軟らかく、摩耗しやすい。これによって、電荷生成素子のデザインには大きな制約が課されている。一部の構成では、耐摩耗性の保護コーティング層を素子の他の層を形成しない限り、妥当な耐用寿命は得られない。電荷は前記保護コーティング内を通らなければならないので、これ自体に問題がある。
【0004】
保護コーティングの電気固有抵抗は、電子写真システムにおいて重要な結果を招く。保護コーティングの電気固有抵抗が大きいと、電子写真素子の処理時間に比べて電圧減衰の時定数が過度に長くなり、下に在る感光体の光放電後に保護コーティングに残留電位が残る。前記残留電位の大きさは、各層の初期電位、誘電率、厚さおよび電荷輸送性に依存する。解決策の1つは保護コーティング層の厚みを減らすことである。他の解決策は導電性の保護コーティングを用いることである。しかしながら、保護コーティングの導電性は高過ぎてはならない。電子写真素子は、自身が過剰に放電したり、その表面に沿って電荷を過剰に流させたりしないように、暗がりでは十分に電気的に絶縁性でなければならない。過剰な放電(「ダークディケイ」)は、静電潜像の形成および現像を妨げる。過剰な電荷移動は、静電像およびそれから現像される像の解像度の損失の原因となる。この解像度の損失は「横方向の像の広がり」と呼ばれる。像劣化の程度は、電子写真素子の処理時間および各層の厚さおよび誘電率に依存する。従って、絶縁性が高すぎず、導電性も高すぎない保護コーティングを付与することが望ましい。
【0005】
保護コーティングの摩擦電気特性は、静電潜像を現像するのに用いられる電子写真トナーの摩擦電気特性と整合しなければならない。前記摩擦電気特性が整合しないと、電子写真素子が電子写真トナーとは逆に摩擦電気的に帯電することになる。これによって静電潜像の帯電パターンが破壊され、得られるトナー像にバックグラウンドが生じることになる。例えば、保護コーティングは特定の負に帯電するトナーとは合うが、正に帯電する他のトナーとは摩擦電気的に合わない。
【0006】
電子写真法において、有機感光体は、その生産寿命を制限し得る様々な物理的および化学的酷使に附される。前述のように、有機感光体の表面は比較的軟らかいので、ブレードやブラシで掃除すると掻き傷や摩耗が生じてしまう。前記表面が鋭利な物体と不用意に接触してしまうと、直ぐに感光体の取り替えを要するような掻き傷ができてしまう可能性がある。また、感光体の表面は比較的透過性であり、その成分は、コロナ帯電中に生じるオゾン酸化物および窒素酸化物に対する反応性がある。そのような化学物質に長期間曝されると、電子写真特性が、像欠陥が不快となり、かつ、感光体を取り替えなければならない程度まで劣化する可能性がある。また、有機感光体は、コロナ放電から発せられる紫外線による光化学的損傷または室内光に対する露光による光化学的損傷も受けやすい。これらの要因の結果、有機感光体の使用限度は、約10万サイクルである。これに対し、前記有機感光体よりもかなり硬質な非晶質三セレン化セレン光受容体および非晶質三セレン化ヒ素受容体の寿命は、一般に100万サイクルである。従って、例えば米国特許第5,204,201号、4,912,000号、4,606,934号、4,595,602号、4,439,509号および4,407,920号に開示されているように、有機感光体を物理的損傷、化学的損傷および放射線による損傷から保護するためにかなりの努力が費やされた。ポリカーボネート樹脂中の各種ポリシロキサン混合物からなる保護コーティングを用いた有機光導電体の保護は米国特許第6,030,736号に記載されている。
【0007】
シルセスキオキサンは、有機感光体用保護コーティングを初めとする耐摩耗性保護コーティングとして有用なシリコーンポリマー種である。有機感光体をシルセスキオキサン層で保護コーティングすると、前記有機感光体を物理的損傷、化学的損傷および放射線による損傷から保護することができる。シルセスキオキサン層は有機感光体よりも硬く、化学汚染物質に対する透過性が低い。シルセスキオキサンに酸捕捉剤を吸収させることによって、酸の如き汚染物質を感光体の表面に近づけないようにすることができる。さらに、シルセスキオキサン層に染料を添加することによって、特に室内光による光疲労から感光体を保護することができる。
【0008】
さらに、シルセスキオキサン層は、感光体表面からの粒子の移動の効率を高めると考えられている。シルセスキオキサン層の表面エネルギーは有機ポリマーの表面エネルギーよりも低く、さらに、ポリエステル類やポリカーボネート類よりも高いモデュラスによって測定されるように、一般に滑らかで硬い。これらの要素が組み合わさることによってシルセスキオキサンを良好なリリースコーティングにしているが、前記シルセスキオキサンコーティングはトナーの移動を補助すべきであり、これはより高い像解像度の要求を満たすためにトナー粒子の大きさが小さくなるにつれて益々重要な検討事項となっている。有機光受容体用シルセスキオキサン保護コーティングは、例えば、米国特許第5,731,117号、5,693,442号、5,874,018号および6,066,425号に開示されている。
【0009】
一般に、有機感光体中の電荷を輸送するポリマー層には電荷輸送材料(CTM)が添加される。これらの層は、通常、ホールまたは電子が注入されると電荷を運ぶ絶縁体である。米国特許第3,542,544号には、光導電性素子に導入されるCTMとしてジアルキルアミンで置換されたトリフェニルメタンおよびテトラフェニルメタンが開示されている。ポリアミドフィルム形成性保護コーティングアリールアミンの如きポリマー構造への導入を容易にするためのヒドロキシアニリン基を含有するトリフェニルメタン電荷輸送材料が米国特許第5,368,967号に開示されている。ジヒドロキシ置換基を有するトリアリールアミン化合物がポリカーボネート樹脂と共有結合する電子写真式感光体は米国特許第5,747,204号に開示されている。無機ガラス網サブユニットと、可撓性有機サブユニットとをさらに有する組成物の官能性サブユニットへのトリアリールアミンの導入は米国特許第5,116,703号において検討されている。ホール輸送性ポリシリレンセラマーを含有する結像部材は米国特許第4,917,980号に記載されている。
【0010】
ホールを輸送するためのシルセスキオキサンポリマーへの第3級アリールアミンの導入は、一連の特許、すなわち米国特許第5,688,961号、5,712,360号、5,824,443号、5,840,816号および5,888,690号に詳しく説明されている。これらの特許は、非加水分解性のケイ素−炭素結合を介して第3級アミンのフェニル環と共有結合したシランを用いている。ケイ素−炭素結合を介してトリアルコキシシラン部分が結合したトリアリールアミンを調製するために用いられる他の合成経路は、米国特許第6,046,348号に記載されている。得られるトリアルコキシシリル置換トリアリールアミンは、市販のシリコーン硬質コーティング材料を含有する保護コーティングとしてコーティングされる。
【0011】
化学文献の最近の記事では、非加水分解性のケイ素−炭素結合を介してシロキサン網に結合している有機染料の如き有用な部分を有するシルセスキオキサンの如きゾル−ゲル網と、Si−O−Cを介した平衡対照の添加とを比較している。例えば、M.Schneider and K.Mullen,Chem.Master.,2000,Vol.12,p 352に記載されているように、まず染料とシランとを結合させてからゾル−ゲル網を形成することによって多量のペリレンを前記網に導入することができる。あるいは、C.Sanchez and F.Ribot,New J.Chem.,1994,Vol.18,p1007;C.Sanchez,F.Ribot,B.Debeau,J.Master.Chem.1999,9,35.;F.Ribot and C.Sanchez,Comments on Inorganic Chemistry,1999,Vol.20,p 327;and T.Suratwala et al.,Chem.Mater.,1998,Vol.10 pp 190,199に記載されているように、染料をゾル−ゲル形成法に導入することもできる。
【0012】
発明の背景で引用されたすべての特許および他の出版物の開示内容は本発明に援用される。
【0013】
発明の開示
本発明は、導電層と、前記導電層を覆う電荷発生層と、前記導電層を覆う電荷輸送層とからなる電子写真素子に関する。前記電荷発生層を覆う保護コーティングでもよい前記電荷輸送層は、シルセスキオキサンポリマーと、少なくとも1種類のアルコールまたはフェノールヒドロキシ置換基を含有する第3級アリールアミンからなるホール輸送化合物とからなる混合物の水性媒体中の反応生成物からなる。
【0014】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、シルセスキオキサンと親和性のあるヒドロキシ置換ホール輸送剤を取り入れた新規な耐摩耗性層に関する。トリアリールアミン輸送剤を含有する標準的な電荷輸送層上の保護コーティングとして用いられたときに良好な光放電性を示す前記新規な層は、前記標準的な層の代わりに、それ自身が電荷輸送層として用いられることができる。さらに、前記新規な層は、ホールを輸送することができる絶縁体なので、湿度の影響を受けにくいという利点を有する。従って、従来技術のイオン伝導性シルセスキオキサン層とは異なり、前記新規な層は高湿度における横方向の像の広がりに因る像の劣化に見舞われることはない。厚さが約0.5〜10ミクロンであることが好ましく、約1〜3ミクロンであることがさらに好ましいとされる前記保護コーティングは、各種水性溶媒でコーティングすることができる。
【0015】
本発明で用いられるシルセスキオキサンポリマーは、下記構造
R1−Si−(OR)3
ここで、Rは炭素数が1〜約4であるアルキル基であり、そしてR1は炭素数が1〜約12である脂肪族、脂環式または芳香族基である、
を有する少なくとも1種類のアルキルトリアルコキシシランの加水分解および縮合による生成物である。R1で表される基としては、エーテル、アミド、エステル、アリーレンなどの如き置換基または結合部分を挙げることができる。しかしながら、R1は、炭素数が1〜約12であるアルキルまたはフルオロアルキルと、炭素数が5〜約12であるシクロアルキルと、炭素数が6〜約12であるアリールとからなる群から選択されることが好ましい。さらに好ましいR1基は炭素数が1〜約3であるアルキル基であるが、メチルが特に好ましい。
【0016】
メチルトリメトキシシラン(スキーム1、R=−CH3)の加水分解および縮合によって一般に調製されるシルセスキオキサンは、様々な供給源、例えばVestar(登録商標) Q9−6503としてDow Corning社から、SHC(Silicone Hard Coat)(登録商標) 1010 としてGeneral Electric社から、より最近では感光体専用のハードコーティングであるUltrashield(登録商標)としてOptical Technologies社から市販されている。
【0017】
【化11】
【0018】
前述の米国特許第5,731,117号および5,693,442号に開示されているように、プロピルトリメトキシシランを導入することによってゾル−ゲルの性質をより有機的にし、グリシドキシエーテル置換シランを用いて、導電性のためにヨウ化リチウムと混合させた。シルセスキオキサンは、耐コロナ性がより高い感光体保護コーティングを生成するが、おそらくこれは、有機含有量の増加によるゾル−ゲルの疎水性の向上によるものである。
【0019】
本発明によれば、少なくとも1つのヒドロキシ官能基を含有する第3級アリールアミンからなるホール輸送剤をシルセスキオキサンで保護コーティングされた光受容体に添加することによってサイクリング中に前記感光体に電荷が蓄積しにくくすることによって、高湿度条件下において固体電解質シルセスキオキサンに見られた横方向の像の広がりが避けられる。最大約30重量%までの任意の所望の量でコーティング前のゾル−ゲルのアルコール溶液にただ単に添加されるヒドロキシ官能化第3級アリールアミンは、様々な重要な利点を示す。
・ 感光体用のCTMを調製するのに通常用いられる標準的な有機化学法によって簡単に調製される。
・ 加水分解可能なトリアルコキシシラン部分を有するCTMを用いた場合に起こり得るような好ましからざる加水分解および縮合が起こりにくい。
・ 共有結合CTMを調製するのに用いられる不用な触媒を添加する必要がない。
・ シルセスキオキサン網中に結合を設けるのにスズ縮合触媒を必要としない。
・ ゾル−ゲルのアルコール性溶液に可溶性であるため、極性溶液は、この極性溶液が付着する感光フィルムの表面を傷めない。
・ トリアルコキシシラン部分を有するCTMと共に一般に用いられ、有機感光体を浸食し、そしてそれらがシルセスキオキサン網に添加される前にそれらと共有結合する際のほぼ同じ溶解性に因る層の混合を生じさせる非極性有機溶媒のコーティングを必要としない。
【0020】
本発明によるホール輸送剤として有用な第3級アリールアミン化合物は、1〜6個のアルコール性および/またはフェノール性ヒドロキシ置換基を含有していてもよい。好ましい化合物としては、トリアリールアミン、および1個または2個のアルコール性置換基を含有し、かつ、シルセスキオキサン保護コーティングを塗布するのに用いられる水性溶媒に可溶性であるN−ヒドロキシアルキル置換アニリノ化合物が挙げられる。
【0021】
一般に、ホール輸送剤は、分子が酸化されてラジカルカチオンを形成するという芳香族アミンをベースとする。前述のように、芳香族アミンは、有機感光体の調製によく用いられる。しかしながら、芳香族アミンは、一般に、ジクロロメタンまたはトルエンの如き非極性有機溶媒にしか溶けず、通常、シルセスキオキサンポリマーおよびそれらと併用される水性溶媒系の極性とは適合しない。メタノール、エタノールおよびイソプロパノールの如きアルコールを初めとする有機溶媒は、アルコキシシランを加水分解してシルセスキオキサンを形成するのに用いられる水と相溶性があるので、本発明の実施において有用である。一般に、比較的少量、すなわち約20重量%未満、の水との混和性がある有機溶媒であれば、ゾル−ゲル溶液に悪影響を及ぼすことなく添加することができる。一般に、ジクロロメタンの如き水との混和性がない溶媒は、部分的にしか溶けないか、保護コーティングでコーティングされる層を傷めてしまうので、添加されないことが好ましい。4−メチル−2−ペンタノンとしても知られるメチルイソブチルケトン(MIBK)は、第3級アリールアミンCTM化合物のシルセスキオキサン反応混合物に対する可溶化を補助をするのに有用な溶媒である。
【0022】
シランの加水分解および縮合には、酸性または塩基性の表面電荷によって安定化され、かつ、シルセスキオキサンコーティングの機械的特性に大きな影響を及ぼすコロイドシリカ粒子が触媒作用を及ぼす。アルキルトリアルコキシシランの量に基づいて最大約20重量%のコロイドシリカが前記混合物に添加されることが好ましい。シリカの添加量は、シルセスキオキサンに対して約5〜約10重量%であることがさらに好ましい。少量の酸化ナトリウムで安定化された好ましいコロイドシリカは、Du Pont社製のLudox(登録商標) LSである。ゾル−ゲル中の揮発性酢酸、メタノールおよび他の溶媒が取り除かれても、酸化ナトリウムは残存してシルセスキオキサンの形成のための縮合触媒として作用する。シルセスキオキサン網はSi−O−Si結合を介して形成されるのに対し、ヒドロキシ置換CTMは縮合することによってSi−O−C結合を介してシロキサン網の一部を形成すると考えられる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物またはアセテートの如き他の塩基もコロイドシリカの代わりの加水分解および縮合用触媒として適当である。しかしながら、有機感光体分子でドープされたポリマー網を介したホールの輸送を妨げるアミノシランの如き塩基は、シルセスキオキサン網を介したホールの輸送も妨げると考えられており、そのため本発明の実施においては好ましくない。
【0023】
一般的な方法では、エチルトリメトキシシランを酢酸で酸性化し、約2.5当量の水で加水分解する。次に、得られた溶液をエタノールかイソプロパノールで希釈し、Ludox(登録商標) LSコロイドシリカを添加し、最大40重量%のメチルイソブチルケトン(MIBK)の如き有機共溶媒を添加してヒドロキシ置換輸送剤の溶解を補助する。その後、前記輸送剤は所望の量で添加される。ヒドロキシ置換CTMは、シルセスキオキサンを調製するのに用いられる溶媒に可溶性であり、最大30重量%の量で感光体にコーティングされた場合に透明なフィルムを形成する。
【0024】
前述のように、本発明の実施において有用な第3級アリールアミンホール輸送化合物は、1〜約6個のアルコール性および/またはフェノール性ヒドロキシ置換基を含有する。これらの化合物は、下記式
(A)x−(LINK−OH)y
ここでAは炭素数が最大約40である第3級アリールアミン部分であり、LINKは炭素数が1〜約10である脂肪族または脂環式部分であり、xは1または2であり、そしてyは1〜6である、
または下記式、
(A)−(OH)y
ここでAは、炭素数が最大約40であり、かつ、少なくとも1つの第3級アリールアミン部分を有するアリーレン部分であり、そしてyは1〜6である、で表される。上記式の前者に対応する化合物の場合、LINKは脂肪族部分であることが好ましく、アルキレン部分であることがさらに好ましい。脂肪族部分からなるLINKは、例えばアミドおよびエーテルの如き官能性部分をさらに含有していてもよい。
【0025】
以下に、少なくとも1つのアルコール性またはフェノール性ヒドロキシル基を含有する、本発明の実施において有用な第3級アリールアミンホール輸送化合物の例、CTM IA〜CTM XLVIIIP、の構造を示す。
【0026】
【化12】
【0027】
【化13】
【0028】
【化14】
【0029】
【化15】
【0030】
【化16】
【0031】
【化17】
【0032】
【化18】
【0033】
本発明の実施において有用な第3級アミンホール輸送化合物として以下の化合物が挙げられる。
【0034】
CTM IA(前述の構造)である9,9−ビス{4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)]アニリノ}フルオレンは、N−ヒドロキシアルキルアニリノ置換テトラフェニルメタン型の電荷移動材料の好ましい例であり、フルオレン部分の中央の炭素原子から離れた2つのN−(2−ヒドロキシエチル)−N−エチルアニリノ置換基を有する白い結晶質の固体である。ヒドロキシ基は、Si−O−C結合を介してアリールアミンをシロキサンに導入させる。本発明のシルセスキオキサン保護コーティングの場合、CTM IA構造のアリールアミン部分は、ホール輸送によって電荷を運ぶ役割を果たす。さらに、CTM−IAは、感光体のコロナ帯電の副産物である亜酸化窒素(HNOx)の如き酸から感光体を保護するための酸捕集剤として作用してもよい。
【0035】
2つのN−ヒドロキシエチル置換基を含有する他の好ましい有機第3級アリールアミン光導電体はCTM IIAおよびCTM IIIA(前述の構造)である。
【0036】
シルセスキオキサン中で電荷を移動させるのに効果的な他のアミン輸送剤は、シロキサン網にぶら下がっているトリアリールアミン部分、例えばCTM IVP(前述の構造)中のトリトリルアミンビスフェノールA部分、によって特徴付けられる。この輸送剤のジオール部分は、炭素がアリール置換基の一部であるSi−O−C結合を介してシルセスキオキサンに導入されていると考えられている。一般に、そのような結合は、CTM IA〜IIIAジオールの場合のように炭素がアリール基に由来する結合ほど安定ではない。しかしながら、トリフェニルアミンは、一般に、他の有機分子よりも優れた輸送性を有し、より低いレベルにおいてある程度の輸送を達成するはずである。
【0037】
CTM IVPは、トリアリールアミン部分がアニリノをベースとしたCTMIA〜IIIAのアリールアミン部分よりも塩基性が低いので、酸捕集剤として作用するはずがない。従って、電荷輸送性と酸捕集性の両方が実現される量で、前記2種類のホール輸送剤を混ぜ合わせることが有利な場合がある。前記2種類の輸送剤を混ぜ合わせることによって前記CTMの結晶化が抑制され、感光体保護コーティングの性質を向上させることができる。
【0038】
CTM VA(前述の構造)はヒドロキシプロピル置換トリアリールアミンであるが、前記ヒドロキシプロピル置換トリアリールアミンは、その単一のヒドロキシ基によって、シルセスキオキサン網に導入されることが可能になる。得られるSi−O−プロピレン結合は、CTM IVPの場合について前述したように、Si−O−アリール結合よりも安定した導入を可能とするだけでなく、例えばCTM VIIIAの如きトリアリールアミン上のヒドロキシメチル置換基から得られるベンジル結合よりも安定なはずである。
【0039】
2つのヒドロキシプロピル置換基が1つのアリール置換基炭素原子に結合している状態のトリトリルアミンであるCTM VIA(前述の構造)は、好ましいとされるSi−O−アルキル結合を介してシルセスキオキサン網に導入されるための部位を2ヶ所有する。前記他の2種類のトリアリールアミンと同様に、これらの化合物は好ましいホール輸送化合物であるが、アニリン誘導体であるCTMIA〜IIIAの酸捕集性を付与することはない。
【0040】
シルセスキオキサン網中で輸送剤が効果的に機能するためには、前記剤を電荷の損失が生じるのに十分な量、すなわち、アルキルトリアルコキシシランに基づいて好ましくは約9〜約30重量%、さらに好ましくは約15〜約25重量%の量で導入する必要がある。
【0041】
第3級アミンのヒドロキシ部分は、縮合反応に参加することによって、シルセスキオキサンとSi−O−C結合を形成する。ゾル−ゲル法におけるアルコキシドの交換は、平衡反応として知られている。第3級アミンジオールは揮発性ではないので、シラン網の縮合を制限してしまう。シロキサンの形成具合は、ソリッドステート29ケイ素核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて評価された。支持体から取り除かれたメチルシルセスキオキサンのスペクトルは、それぞれ−58ppmと−68ppmを中心としたT2共鳴およびT3共鳴のみを示した。T2/T3ピーク高さ比を用いて、異なるシルセスキオキサンの硬化度を比較した。これらの2つのブロードピークは、それぞれ、2つのシロキサン結合を形成したケイ素原子と、3つのシロキサン結合を形成したケイ素原子とに対応していた。全く縮合していないケイ素原子またはシロキサン結合を介してただ1つの他のシリコーンと結合しているケイ素原子に共鳴はない。このシルセスキオキサンの縮合度は、3次元網の形成に適当な硬化度に対応していた。最終硬化後のコーティング中のT2共鳴を観察すると、一部のケイ素原子が残留ヒドロキシまたはアルコキシ基を有していることが示された。29ケイ素スペクトルは経時的に変化はしなかった。これは非縮合シラン基はコーティング中で安定であったことを示している。
【0042】
本発明の電子輸送保護コーティングに対して有用な添加剤としては、前述のコロイドシリカおよび酸捕集剤に加えて、脆性がより低く、かつ、コロナガスに対する耐性がより高いシルセスキオキサン「複合材料」を調製するためのジメチルジメトキシシラン、PDMSまたはフルオロシリコーンブロックコポリマーおよび他のトリアルコキシシランの如き潤滑剤、およびシルセスキオキサンの感光体に対する接着性を向上させるためのアクリル酸の少ないアクリレートポリマーが挙げられる。
【0043】
本発明の実施において有用ないくつかの第3級アリールアミンホール輸送化合物の合成を以下に示す。
【0044】
9,9−ビス{4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)]アニリノ}フルオレン、CTM IAの合成
2−(N−エチルアニリノ)エタノール(198g)と、9−フルオレン(218g)と、1−プロパノール(150mL)との混合物を温めることによってフルオレンを溶かし、濃塩酸(90mL)で処理し、加熱することによって還流させた。2週間還流させた後、冷えた反応混合物を1リットルずつのジクロロメタンと水と混ぜ合わせ、濃塩酸(40mL)でさらに処理することによってpHを1以下にまで下げた。ジクロロメタンの層には過剰な9−フルオレンが含有されていたが、この9−フルオレンは回収することができた。酸性の水の層は、別に用意した1リットルのジクロロメタンと混ぜ合わし、50%の水酸化ナトリウム水溶液(100mL)で処理することによってpHを14以上にまで高めた。ジクロロメタンの層を分離し、結晶オイルになるまで真空下において濃縮した。得られた未精製の材料をメタノールで再結晶させることによって239g(81%)の9,9−ビス{4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)]アニリノ}フルオレンが白色の結晶質の固体として得られた。m.p.は171〜172℃であった。
【0045】
ビス{4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)]アニリノ}ジフェニルメタン、CTM IIAの合成
2−(N−エチルアニリノ)エタノール(600g)と無水酢酸(644mL)との混合物を約90℃にまで加熱した時点で発熱反応が起こり、温度が約140℃にまで上昇した。周囲温度にまで冷めた後、反応混合物を50℃の水で希釈し、5時間攪拌し、冷まし、そしてジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン画分にさらに水を加えて混ぜ合わせ、重炭酸ナトリウム希薄溶液で中和した。ジクロロメタン画分を水でさらに3回洗浄してから真空下において濃縮することによって756gの粗2−(N−エチルアニリノ)エチルアセテートを得た。この化合物は精製せずに用いた。
【0046】
粗2−(N−エチルアニリノ)エチルアセテート(346g)と、酢酸(79ml)と、トルエン(119mL)と、ジクロロジフェニルメタン(100g)とを混ぜ合わせ、ストッパー付きのフラスコ内で7日間放置した。得られた反応混合物を真空下において濃縮し、3〜4ボリュームのエタノールに吸収させ、過剰量の水酸化ナトリウムで処理し、1時間還流させ、濃塩酸を加えることによってpHが4〜5になるまで酸性化させ、そしてDCMで抽出した。DCM抽出物を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルのショートカラムに通し、DCMで溶出させた。トルエンとアセトンとで再結晶させることによって36g(34%)のビス{4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)]アニリノ}ジフェニルメタンが白色の結晶質の固体として得られた。m.p.は153〜154℃であった。
【0047】
1,1−ビス{4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)]アニリノ}−1−フェニルエタン、CTM IIIAの合成
2−(N−エチルアニリノ)エタノール(82.5g)と、アセトフェノン(60.0g)と、1−プロパノール(62.5mL)と、濃塩酸(37.5mL)との混合物を64時間還流させた。冷えた反応混合物をジクロロメタンとNaOH希薄水溶液の間で分離させた。有機相を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空下において濃縮し、シリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィーに附し、ジクロロメタンで溶出させることによって25.7gのオイルが得られた。ヘキサンによる研和によってこの生成物が固化し、酢酸エチルで2回再結晶させることによって、14.5g(13%)の1,1−ビス{4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)]アニリノ}−1−フェニルエタンが白色の結晶質の固体として得られた。m.p.は99〜100℃であった。
【0048】
CTM IVPの合成
4−[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニル]−2−ブタノン(182.0g、0.5モル)と、フェノール(141.0g、1.50モル)と、酢酸(100mL)と、3−メルカプトプロピオン酸(28mL)との混合物に塩化水素を添加し、この塩酸が原因で生じた発熱が治まるまで前記混合物を激しく攪拌した。反応を1週間攪拌し、熱湯で洗浄し、得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、ジクロロメタンで再結晶させることによって白色の粉末が得られた。質量スペクトルのm/eは513であった。
【0049】
CTM VAの合成
メチルアクリレート(107.5g、1.25モル)を0℃にまで冷やされていたジクロロメタン(200ml)中の塩化アルミニウム(166.9g、1.25モル)の混合物に滴下した後、温かいジクロロメタン(50mL)中の4,4’−ジメチルトリフェニルアミン(273g、1モル)を添加した。反応を一晩室温で攪拌し、翌日2時間加熱した後、水で洗浄した。エタノールと水酸化ナトリウム水(60g、1.5モル)とを添加し、反応を加熱して還流させ、冷まし、そして濃塩酸で酸性化させた。得られた固体を水とシクロヘキサンとで数回洗浄した後、シクロヘキサンで再結晶させることによって、結晶質の生成物(mpは129.5〜131℃)が生成された。テトラヒドロフラン中のこの酸置換中間体(172.5g、0.5モル)の溶液を、エルレンマイヤーフラスコ中の水素化アルミニウムリチウムのテトラヒドロフラン溶液(800mL、0.8モル)に添加した。前記フラスコの内容物を還流させながら加熱し、冷まし、そして15%の水酸化ナトリウムで希釈することによって、粒状の沈殿物が生成された。得られた固体をヘキサンに溶かし、トルエンを用いたシリカカラムに通した。溶媒を取り除くと、白色の結晶質の生成物(88g)が得られた。
【0050】
CTM VIAの合成
テトラヒドロフラン中の4,4’−ジメチル−4”−ブロモトリフェニルアミン(264g、0.75モル)をテトラヒドロフラン中のマグネシウムターニング(20g、0.82グラム原子)に滴下することによって調製されたグリニャール試薬を、5リットルの丸底フラスコに入った固形の二酸化炭素に添加した。得られたカルボン酸誘導体を水(7L)と氷酢酸(70mL)との溶液で洗浄することによって214gの粗生成物(収率は90%)が得られた。トルエンで再結晶させることによって、169g(総収率は71%)の純4−(ジ−p−トリルアミノ)安息香酸が得られた。
【0051】
ベンゼン(500mL)に溶かされた4−(ジ−p−トリルアミノ)安息香酸(69.7g、0.22モル)を1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデシ−7−エン(38mL、0.25モル)で処理した後、臭化エチル(33mL、0.44モル)を添加した。反応を濾過することによって塩を取り除き、中性になるまで飽和塩化アンモニウム(1.5L)で洗浄し、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を40℃で取り除き、残った結晶質の固体を低温のエタノールで洗浄することによって、4−(ジ−p−トリルアミノ)安息香酸エチル(57.4g、収率は76%)が得られた。
【0052】
3−クロロ−1−プロパノールのダブルグリニャール試薬は、テトラヒドロフラン中の塩化メチルマグネシウム(0.48モル)を添加して前記アルコールを反応させた後にマグネシウムターニング(17.4g、0.72グラム原子)を添加してクロロプロピル部分を有するグリニャールを形成することによって調製された。テトラヒドロフラン中の4−(ジ−p−トリルアミノ)安息香酸エチル(65.6g、0.190モル)の200mLの溶液を前記3−クロロ−1−プロパノールのダブルグリニャール試薬の還流溶液に添加し、さらに90分間還流させ、そして飽和塩化アンモニウム水で急冷した。塩化アンモニウム水で洗浄した後に飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄することによって生成物を単離することによって黄色の固体が得られた。得られた生成物をベンゼン/ヘキサンで再結晶させることによって46.8g(58.6%)の4−[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニル]−1,4,7−トリヒドロキシヘプタンが灰色がかった白色の結晶質の固体として得られた。m.p.は130.7〜132.0℃であった。
【0053】
4−[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニル]−1,4,7−トリヒドロキシヘプタン(2.08g、5ミリモル)の第1級アルコールのアセチル化は、前記トリオールをピリジン(15mL)中の無水酢酸(5g、20ミリモル)と共に還流させながら一晩加熱することによって行われた。水を添加することによって生成物を沈殿させ、この生成物を単離し、希酸で洗浄した。第3級水酸基が取り除かれることによってオレフィン(モル重量は485.62、収率は92%)が形成されたことがNMRおよび質量スペクトル分析によって明らかになった。このオレフィン(2.09g、4.3ミリモル)を、40psiのパーシェーカーにおいて、エタノール(25mL)中で酸化白金触媒(0.1g)を用いて水素で還元することによってジアセタート化合物(モル重量は487.64、収率は100%)が得られた。このジアセタートCTM(1.04g、2.13モル)を、一晩メタノール(10mL)中で濃塩酸(1mL)と共に還流させることによって加水分解した。得られた生成物を炭酸カリウムと水とで中和し、エーテルで抽出し、さらに数回洗浄することによって、CTM VIAが白色の結晶質の固体(モル重量は403.04、収率は87%)として生成された。
【0054】
本発明の実施において有用なゾル−ゲルの調製について以下に述べる。
【0055】
ゾル−ゲルI 量の増加するCTM IAを用いたメチルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
このシルセスキオキサンの合成は、本願明細書に開示内容が援用される米国特許第5,693,442号に記載されているものを変更したものである。すべての化学物質はAldrich Chemical Company社から購入された。アルコキシシランの加水分解用の水はMilli−Q Plus Ultra Pure Water Systemで浄化された。ゾル−ゲル配合物は以下のようにして2リットルの丸底フラスコ内で調製された。氷酢酸(70.0g、1.17モル)をメチルトリメトキシシラン(306g、2.25モル)に滴下した後、水(48.0g、2.67モル)を滴下した。反応を一晩攪拌し、イソプロパノール(523g)を滴下して希釈し、そして氷酢酸で前以ってpH=4にまで酸性化しておいた67.0gのLudox LSコロイドシリカの30%水性分散液を滴下した。このLudox LS分散液の添加によって、アルコキシシランの加水分解および縮合のための水(47.0g、2.61モル)がさらに生じた。得られた反応混合物を3日間攪拌した後、4−メチル−2−ペンタノン(315ml)を添加した。さらに2日間攪拌した後、得られた溶液を1ミクロンのガラスフィルターで濾過することによって、1,202gの15重量%のシルセスキオキサン溶液が得られた。その固形分は、そのサンプルの一部を真空下において60℃で一晩乾燥させることによって求められた。前記シルセスキオキサン溶液の250g分を4つ用意し、これらに増分のCTM I(3.75g、7.6ミリモル)を添加することによって9.1重量%、16.7重量%、23.1重量%および28.6重量%のCTM IA溶液が調製された。得られた溶液をさらに7日間攪拌してからコーティングした。
【0056】
ゾル−ゲルII 量の増加するCTM IAを用いたメチルシルセスキオキサンの調製
ゾル−ゲルIIの合成は、シランの最初の加水分解時にすべての水(95g、5.28モル)を添加したこと、および、反応混合物にコロイドシリカを添加しなかったことを除いて、ゾル−ゲルIの合成と同じであった。
【0057】
ゾル−ゲルIII メチルシルセスキオキサン、10重量%コロイドシリカ、30重量%CTM IAおよびPDMAの調製
ゾル−ゲルIIIの合成は、反応を50%拡大したことを除いて、ゾル−ゲルIの合成と同じであった。氷酢酸(105g、1.74モル)をメチルトリメトキシシラン(458g、3.37モル)に滴下した後、水(72.0g、4.0モル)を滴下した。反応を一晩攪拌し、イソプロパノール(785g)を滴下して希釈し、そして氷酢酸で前以ってpH=4にまで酸性化しておいた100.5gのLudox(登録商標) LSコロイドシリカの30%水性分散液を滴下した。このLudox(登録商標) LSの添加によって、アルコキシシランの加水分解および縮合のための水(70.5g、3.92モル)がさらに生じた。得られた反応混合物を3日間攪拌した後、4−メチル−2−ペンタノン(473ml)を添加した。さらに2日間攪拌した後、得られた溶液を1ミクロンのガラスフィルターで濾過することによって、15重量%のシルセスキオキサン溶液が得られた。その固形分は、そのサンプルの一部を真空下において60℃で一晩乾燥させることによって求められた。前記シルセスキオキサン溶液の250g分を3つ用意し、これらに11.25gのCTM IAを添加することによって23.1重量%のCTM IA溶液が調製された。分子量が400〜700のシラノール末端封止PDMS(ニュージャージー州のPiscatawayにあるUnited Chemical社のPS340)を、シルセスキオキサンの推定重量に基づいて、これらの3部のゾル−ゲルのうちの1部に0.5重量%、別の1部に1.0重量%添加した。
【0058】
ゾル−ゲルIV 量の増加するCTM IAを用いたメチルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルIVの合成は、3.75g、5.625gおよび7.5gのCTMIAを121.5g、119.375gおよび117.5gのゾル−ゲルにそれぞれ添加したこと以外は、ゾル−ゲルIの合成と同じであった。
【0059】
ゾル−ゲルV 量の増加するCTM IAを用いたメチルプロピルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルVの合成は、出発材料であるトリアルコキシシランが、等しい重量(152.8g)のメチルトリメトキシシランとプロピルトリメトキシシランとで構成されていたことを除いて、ゾル−ゲルIVの場合と同じ様にして行われた。3.75g、5.625gおよび7.5gのCTM IAを121.5g、119.375gおよび117.5gのゾル−ゲルにそれぞれ添加することによって3つの異なる量の電荷輸送材料を調製した。
【0060】
ゾル−ゲルVI 量の増加するCTM IAを用いたプロピルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルVIの合成は、出発材料であるトリアルコキシシランがプロピルトリメトキシシランであったことを除いて、ゾル−ゲルIVと同じ様にして行われた。3.75g、5.625gおよび7.5gのCTM IAを121.5g、119.375gおよび117.5gのゾル−ゲルにそれぞれ添加することによって3つの異なる量の電荷輸送材料を調製した。
【0061】
ゾル−ゲルVII 30重量%のCTM IAを用いたメチルシルセスキオキサンおよび5重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルVIIの合成はゾル−ゲルIの合成とほぼ同じであった。氷酢酸(70.0g、1.17モル)を、メチルトリメトキシシラン(306g、2.25モル)と、分子量が900〜1,100である2gのDMS−E12エポキシプロポキシプロピル末端封止ポリジメチルシロキサン(ペンシルバニア州のTullytownにあるGelest社製)との溶液に滴下し、それから酢酸エチル(100g)および水(70g、3.89モル)を順に滴下し、反応を一晩攪拌した。Ludox(登録商標) LS(氷酢酸で前以ってpH=4にまで酸性化しておいた33.3gのコロイドシリカの30%水性分散液)を滴下した。このLudox(登録商標) LSの添加によって、アルコキシシランの加水分解および縮合のための水(23.3g、1.29モル)がさらに生じた。反応を4日間攪拌した後、エタノール(523g)を滴下した。反応を3日間攪拌し、CTM IA(60g、0.122モル)を添加し、もう1日攪拌を続けた後、4−メチル−2−ペンタノン(315ml)を添加した。
【0062】
ゾル−ゲルVIII 量の増加するCTM IIAおよびCTM IIIAを用いたメチルシルセスキオキサンの調製
このゾル−ゲルは、2種類の異なるCTMジオールが用いられたこと以外は、ゾル−ゲルIと同じ様にして調製された。CTM IIAおよびCTM IIIAの0.15g違いの4つのサンプルと対応量の10gゾル−ゲル溶液とを置き換えて、溶液の総重量を10gに維持した。これらの溶液を温度を27℃に保たれたコーティングブロック上に2ミルのコーティングブレードを用いて手作業で塗布し、2.5ミクロンのCTLを有するフィルムを得た。
【0063】
ゾル−ゲルIX 量の増加するCTM IVPを用いたメチルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルIXの合成は、CTM IAの代わりにCTM IVPを9.1重量%、16.7重量%、23.1重量%および28.6重量%添加したこと以外は、ゾル−ゲルIの場合に用いられた方法と同じ方法によって行われた。
【0064】
ゾル−ゲルX 量の増加するCTM IVPを用いたメチルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルXの合成は、CTM IAの代わりにCTM IVPを9.1重量%、16.7重量%、23.1重量%および28.6重量%添加したこと、および、溶液を48時間攪拌したこと以外は、ゾル−ゲルIの場合に用いられた方法と同じ方法によって行われた。
【0065】
ゾル−ゲルXI 量の増加するCTM VAを用いたメチルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルXIの合成は、CTM IAの代わりにCTM VAを添加したこと、および、溶液を48時間攪拌したこと以外は、ゾル−ゲルIの場合に用いられた方法と同じ方法によって行われた。
【0066】
ゾル−ゲルXII 量の増加するCTM VIAを用いたメチルシルセスキオキサンおよび10重量%コロイドシリカの調製
ゾル−ゲルXIIの合成は、CTM IAの代わりにCTM VIAを添加したこと、および、溶液を48時間攪拌したこと以外は、ゾル−ゲルIの場合に用いられた方法と同じ方法によって行われた。
【0067】
ゾル−ゲルI〜VIおよびVIII〜XIIの感光フィルムへのコーティング
ゾル−ゲルが上塗りされる支持体として2種類の負に帯電した近赤外線に敏感なフィルムを用いた。これらの電子写真支持体は以下の様にして調製された。ニッケル(400オングストローム)の真空塗装導電層を有するポリ(エチレンテレフタレート)(7ミル)を、37.5/12.5/50オキソチタニウムフタロシアニン/オキソチタニウムテトラフルオロフタロシアニン/ポリエステルイオノマー混合物からなる厚さが0.5ミクロンの電荷発生層(CGL)で溶媒塗装してから20/20/60トリ−p−トリルアミン/1,1−ビス−(N,N−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン/(5/1MAKROLON(登録商標)ポリカーボネートおよびポリエステル)混合物からなる厚さが2.0ミクロンの電荷輸送層(CTL)で溶媒塗装することによって、「薄いフィルム」を形成した。「厚いフィルム」も同じ様にして形成され、厚さが23ミクロンのCTLと、ニッケルと日本のToray Chemical社から得られたAMILAN(登録商標)ポリアミドから作られたCGLの間のバリア層とで構成されていた。試験時には、薄いフィルムは一般に−50または−100Vの表面電位にまで帯電され、厚いフィルムは−500〜−700Vの表面電位にまで帯電された。
【0068】
そして、ゾル−ゲル溶液を、3m/minのウェブ速度で、第1から第5までの乾燥機をそれぞれ104.5℃、104.5℃、82℃、71℃および27℃の乾燥プロファイルで用いて前記感光体にコーティングすることによって2ミクロンの層を形成した。いくつかのコーティングの一部を82℃でさらに24時間硬化させた。
【0069】
一方、ゾル−ゲルXを、40℃のコーティングブロックの上で、2ミルのコーティングナイフを用いて手作業で前記感光体にコーティングし、60℃のオーブンで乾燥させることによって4ミクロンの層が形成された。
【0070】
ゾル−ゲルXIおよびXIIを、40℃のコーティングブロックの上で、2ミルのコーティングナイフを用いて手作業で前記感光体にコーティングし、82℃のオーブンで乾燥させることによって4ミクロンの層が形成された。
【0071】
ゾル−ゲルVIIの感光ドラムへのコーティング
Hewlett−Packard社の5si感光ドラムをゾル−ゲルVIIの入ったタンクの中に浸漬することによってコーティングした。このコーティングを90℃のオーブンで1時間乾燥させた後、オーブン内の温度を120℃まで上げることによって一晩硬化させた。
【0072】
分析
ゾル−ゲル保護コーティングの硬化は、前記コーティングが剃刀の刃で擦り落とされたサンプルについて59.5607Mhzで動作するChemagnetics CMX−300ソリッドステートNMR分光計で得られたソリッドステート29ケイ素NMRスペクトルによって明らかとなった。ケイ素−29NMRを用いた前記固体生成物の分光検査は、これらの材料のすべてにおいてT2ケイ素原子の数はT3ケイ素原子の数の半分より少なくはないことを示している。これは、前記コーティングのすべてのスペクトルにおいてT2/T3ピークの比が>0.5であることにより、明らかである。従って、これらの材料中のSi−O−C結合となり得る結合サイトが未使用のままでシルセスキオキサン中にかなりの数で残っていることになる。T2ケイ素原子の化学シフトがアルコキシ基またはヒドロキシ基の結合によるものなのかどうかを見分けることは不可能である。しかしながら、ヒドロキシ置換第3級アミンのシルセスキオキサン網への導入はこれらのスペクトルと一貫している。
【0073】
コロナ帯電させた感光体を光放電させた後に残留する電位を異なる3種類の方法を用いて測定することによって前記コーティングのバルク導電率を測定した。(1)低光度連続照射(LICE)を用いて、感光フィルムサンプルの暗失活(dark decay)性と感光性とを評価した。特性評価では、コロナを用いて感光体サンプルを初期表面電位(薄いフィルムの場合には−50または−100V、厚いフィルムの場合には−500または−700V)にまで帯電させた後、このサンプルに1erg/cm2secの光を「透明な」静電プローブを通して所期の波長で13秒間照射した。この照射の前および最中の表面電位を連続して記録した。得られたフィルムを約1時間平衡化させた後、異なる相対湿度(RH)における測定を行った。(2)閃光照射を用いて短時間の光照射に対する感光体の反応を調べた。前記感光体サンプルを初期表面電位にまでコロナ帯電させてから160μsecのキセノン閃光に露光させた。波長の選択は、狭帯域(50%の最大透過光度において10nmの幅)ダイクロイックフィルターを用いて行われた。前記露光は「透明」静電プローブを介して行われ、露光の開始前から終了後までの表面電位を連続して記録した。記録されたデータは、前記閃光照射後1秒間で得られた。(3)コーティングフィルムの初期表面電位および最終表面電位を再生感光度計内で循環させた後に比較した。再生感光度測定は、DCグリッド付きコロナ充電器と、電圧計と、消去ランプと、前記フィルムを露光させるための160μsecキセノンフラッシュランプとを備えたベルトドライブ装置で実施される電気のみの試験である。各試験では、6つの異なるコーティングフィルムを集めて1つの連続したベルトにし、1,000サイクル評価した。前記ベルトが1回転し終わるのに約5秒かかった。サンプルを50%および15%(RH)で走行させ、感光体の各フレームの(消去露光後の)初期(露光前)および最終(露光後)「トウ(toe)」電圧(Vtoe)を記録することによって異なるシルセスキオキサン間の光放電に対する湿度の影響を比較した。
【0074】
前記保護コーティングの表面導電性を、前述のシルセスキオキサンフィルム保護コーティングの特許に記載されている潜像スプレッド法を用いて比較した。保護コーティングされた感光体をコロナ帯電させた後、2.5mmのスリットを介して露光させることによって、「井戸型」表面ポテンシャルパターンを形成した。前記感光体を高解像度表面電圧計プローブを通過させることによって前記潜像の形状を記録した。前記像の形状を時間の関数として測定した。像の形状の変化が大きいほど、保護コーティングの導電性も高い。
【0075】
【実施例】
実施例1
10重量%のコロイドシリカと量を増加させていったCTM IAとを用いて調製されたメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルIを、0.5ミクロンの電荷生成層(CGL)を有するポリマーフィルム支持体上に配置された2ミクロン厚の有機電荷輸送層(OCTL)上にコーティングした。サンプルを−100ボルトに帯電させ、前述の手順によって測定を行ったところ、以下の結果が得られた。
【0076】
【表1】
【0077】
これらの測定値によって示されるように、保護コーティング内のCTM IAの濃度が高いほど、ホール輸送に因る電圧放電も大きくなる。LICE実験は、フィルムを連続光に露光したときに非常に導電性が高くなったことを示した。閃光実験は、残留水からの陽子の輸送の効果を緩和させるために、異なる湿度でサンプルを用いて行われた。残留電圧は低湿度でも−13Vほどであり、これはホール輸送による電荷損失と一貫していた。NMR硬化比であるT2/T3は、3種類すべてのサンプルにおけるシロキサンの濃度がほぼ同じレベルであることを示している。実際、濃度の増加と共にCTM IAからの利用できるアルコール官能基が増えるにつれてT2/T3の値が増加することが期待される。
【0078】
前記サンプルを、再生感光度計において1,000回の帯電−露光−消去サイクルに附した後、初期電圧および残留電圧を測定したところ、以下の結果が得られた。
【0079】
【表2】
【0080】
上記実験は、シルセスキオキサン保護コーティング中のCTM IAの量を増やすと前記保護コーティングの電荷輸送性が向上することを示している。初期表面電位は、1サイクル目における実験の開始時(−V0初期)から1,000サイクル目における実験の終了時(−V0最終)までは安定しているか若しくは僅かに減少していた。フィルムを消去ランプに露光することによって、1,000サイクルの間にフィルムが放電する(Vtoe初期/最終)。Vtoe電圧はCTM IAの量が増加するにつれて0に近づくが、これはCTMの濃度が高くなるにつれて電荷移動が良くなることを示している。1サイクル目と1,000サイクル目では値がほぼ同じであるが、これは電荷が感光体内を移動していることを示している。さらに、イオン伝導がより起こりにくい低湿度においても同じ光放電性が観察される。これらの結果のすべては、CTMの濃度が高いほど生じるホール輸送の量も増えることを示している。
【0081】
実施例2
実施例1のサンプルを82℃でさらに24時間硬化させた後、−100Vに帯電させた。その後、測定を行ったところ、以下の結果が得られた。
【0082】
【表3】
【0083】
実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。LICE測定値および閃光測定値は共に、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。NMR硬化比であるT2/T3は、3種類すべてのサンプルにおけるシロキサンの濃度がほぼ同じレベルであることを示している。
【0084】
実施例3
実施例1で用いたゾル−ゲルIを、有機電荷輸送層(OCTL)を介在させずに、電荷生成層の上に直接2ミクロンの厚さでコーティングした。−100Vに帯電させた後、これらのサンプルを測定したところ、以下の結果が得られた。
【0085】
【表4】
【0086】
実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。LICE測定値および閃光測定値は共に、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。
【0087】
実施例4
実施例3のサンプルを82℃でさらに24時間硬化させた後、−100Vに帯電させた。サンプル4dおよび4eは、電荷受容能力が乏しいため、−100Vに帯電させることができなかった。その後の測定によって以下の結果が得られた。
【0088】
【表5】
【0089】
実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。LICE測定値および閃光測定値は共に、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。
【0090】
実施例5
Ludox(登録商標) LSコロイドシリカの非存在下において量を増加させていったCTM IAを用いて調製されたメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルIIを、ポリマー感光体支持体上に配置された2ミクロン厚の有機電荷輸送層(OCTL)上にコーティングした。得られたサンプルを−100ボルトに帯電させてから測定を行ったところ、以下の結果が得られた。
【0091】
【表6】
【0092】
実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。LICE測定値および閃光測定値は共に、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。
【0093】
実施例6
実施例5のサンプルを82℃でさらに24時間硬化させた後、−100Vに帯電させた。その後の測定によって以下の結果が得られた。
【0094】
【表7】
【0095】
上記データは、コロイドシリカを含有するゾル−ゲルIは、CTM IAの濃度が高くなるにつれて、コロイドシリカを含有しないゾル−ゲルIIよりも系統的に残留電圧が減少することを示している。おそらくこれは、コロイドシリカを有するシルセスキオキサンの硬化度の方が高いためである。一般に、CTM IAが増加すると残留電圧が低くなるが、これはシルセスキオキサン層を介した電荷輸送が増加していることを示している。
【0096】
実施例7
実施例5で用いたゾル−ゲルIIを、有機電荷輸送層(OCTL)を介在させずに、電荷生成層の上に直接2ミクロンの厚さでコーティングした。−100Vに帯電させた後、これらのサンプルを測定したところ、以下の結果が得られた。
【0097】
【表8】
【0098】
実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。LICE測定値および閃光測定値は共に、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。
【0099】
実施例8
実施例7のサンプルを82℃でさらに24時間硬化させた後、−100Vに帯電させた。その後の測定によって以下の結果が得られた。
【0100】
【表9】
【0101】
上記データは、コロイドシリカを含有するゾル−ゲルIは、CTM IAの濃度が高くなるにつれて、コロイドシリカを含有しないゾル−ゲルIIよりも系統的に残留電圧が減少することを示している。おそらくこれは、コロイドシリカを有するシルセスキオキサンの硬化度の方が高いためである。一般に、CTM IAが増加すると残留電圧が低くなるが、これはシルセスキオキサン層を介した電荷輸送が増加していることを示している。
【0102】
実施例9
10重量%のコロイドシリカと、23重量%のCTM IAと、PDMSとを含有するメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルIIIの2ミクロン厚の層を、実施例1で用いたものと同じ2ミクロン厚のCTL層を有する感光体支持体の上にコーティングした。PDMSの濃度は、以下の表に示されるように、0、0.5または1.0重量%であった。閃光サンプルを−200Vに帯電させた後、前記感光体に対して測定を行ったところ、以下の結果が得られた。
【0103】
【表10】
【0104】
実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。LICE測定値および閃光測定値は共に、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。PDMSは、感光体の輸送性に支障を及ぼすことは無かった。
【0105】
前記サンプルを、1,000回の帯電−露光−消去サイクルに附した後、初期電圧および残留電圧を測定したところ、以下の結果が得られた。
【0106】
【表11】
【0107】
実施例9のデータは、少量のPDMSはゾル−ゲル層中の輸送に支障を及ぼさないことを示している。前記フィルムは、1サイクル目における実験の開始時(−V0初期)から1,000サイクル目における実験の終了時(−V0最終)までの安定した電圧または電圧の僅かな減少によって示されるように、一定した電荷受容を維持していた。Vtoe電圧はCTM IAの量が増加するにつれて0に近づくが、これはCTMの濃度が高くなるにつれて電荷移動が良くなることを示している。1サイクル目と1,000サイクル目では値がほぼ同じであるが、これは電荷が感光体内を移動していることを示している。さらに、イオン伝導がより起こりにくい低湿度(20%RH)においても同じ光放電性が観察される。
【0108】
実施例10
10重量%のコロイドシリカと、0〜30重量%のCTM IAとを含有するメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルIVの2ミクロン厚の層を、2ミクロン厚のCTLを有する実施例1で用いられたのと同じフィルム(「薄い」感光体)の上、および、23ミクロン厚のCTLと、CGLの下の1ミクロン厚のAMILAN(登録商標)ポリアミドバリア層とを有するフィルム(「厚い」感光体)の上にコーティングした。−50Vに帯電させた(*)印が付けられたものを除いて、薄いサンプルを−100Vに帯電させた。厚いサンプルは−500Vに帯電させた。
【0109】
これらのコーティングを測定したところ、以下の結果が得られた。
【0110】
【表12】
【0111】
これらの結果は、CTM IAを添加すると標準的な厚さの感光体の残留電圧が低下することを示している。実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。閃光測定値は、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。
【0112】
2ミクロン厚のCTLフィルム上の前記サンプルを、1,000回の帯電−露光−消去サイクルに附した後、初期電圧および残留電圧を測定したところ、以下の結果が得られた。
【0113】
【表13】
【0114】
前記フィルムは、1サイクル目における実験の開始時(−V0初期)から1,000サイクル目における実験の終了時(−V0最終)までの安定した電圧または電圧の僅かな減少によって示されるように、一定した電荷受容を維持していた。Vtoe電圧はCTM IAの量が増加するにつれて0に近づくが、これはCTMの濃度が高くなるにつれて電荷移動が良くなることを示している。1サイクル目と1,000サイクル目では値がほぼ同じであるが、これは電荷が感光体内を移動し、前記感光体内に蓄積していないことを示している。さらに、イオン伝導がより起こりにくい低湿度(20%RH)においても同じ光放電性が観察される。
【0115】
実施例11
10重量%のコロイドシリカと、0〜30重量%のCTM IAとを含有するメチル−プロピルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルVの2ミクロン厚の層を、2ミクロン厚のCTLを有する実施例1で用いられたのと同じフィルム(「薄い」感光体)の上、および、23ミクロン厚のCTLと、CGLの下の1ミクロン厚のAMILAN(登録商標)ポリアミドバリア層とを有するフィルム(「厚い」感光体)の上にコーティングした。−50Vに帯電させた(*)印が付けられたものを除いて、薄いサンプルを−100Vに帯電させた。厚いサンプルは−500Vに帯電させた。
これらのコーティングを測定したところ、以下の結果が得られた。
【0116】
【表14】
【0117】
実施例1で得られた結果のように、保護コーティング中のCTMの濃度が高くなると、ホール輸送に因る電圧放電が大きくなる。閃光測定値は、CTMの濃度が高くなると残留電圧が低くなることを示している。
【0118】
2ミクロン厚のCTL感光体上の前記サンプルを、1,000回の帯電−露光−消去サイクルに附した後、初期電圧および残留電圧を測定したところ、以下の結果が得られた。
【0119】
【表15】
【0120】
前記フィルムは、1サイクル目における実験の開始時(−V0初期)から1,000サイクル目における実験の終了時(−V0最終)までの安定した電圧または電圧の僅かな減少によって示されるように、一定した電荷受容を維持していた。Vtoe電圧はCTM IAの量が増加するにつれて0に近づくが、これはCTMの濃度が高くなるにつれて電荷移動が良くなることを示している。1サイクル目と1,000サイクル目では値がほぼ同じであるが、これは電荷がフィルム内に蓄積しないことを示している。さらに、イオン伝導がより起こりにくい低湿度(20%RH)においても同じ光放電性が観察される。
【0121】
23ミクロン厚のCTL感光体上の前記サンプルを、1,000回の帯電−露光−消去サイクルに附した後、初期電圧および残留電圧を測定したところ、以下の結果が得られた。
【0122】
【表16】
【0123】
実施例10と11の比較によって、CTM Iの量が同じである場合、メチルシルセスキオキサンを含有するコーティングの方がメチル−プロピルシルセスキオキサンを含有するコーティングよりもわずかに良好な光放電性を有していたことが示される。また、メチルシルセスキオキサンコーティングはメチル−プロピルシルセスキオキサンコーティングよりも良好な再生性を有していた。
【0124】
2分間の負のコロナへの露出前後の横方向の像の広がりの測定
サンプル10a、10c、11a、11cおよび2ミクロン厚のCTLを有するコントロールフィルム10eを100Vに帯電させ、露光によって2.5mmの井戸型潜像を形成した。いずれのフィルムにおいても、10分を超えてからは像は経時的に大きくなることは無かった。次に、フィルムを負のコロナガスに2分間露出した。保護コーティングの無いコントロールフィルムにおいても、ゾル−ゲル保護コーティングを有するフィルムにおいても、コロナに露出した後に像は広がらなかった。これらの結果は、イオン伝導(すなわちヨウ化リチウム)によって電荷を運ぶ固体電解質ゾル−ゲル保護コーティングとは異なり、この場合のゾル−ゲル保護コーティングには、コロナガスへの露出時における横方向の像の広がりが起こらないことを示している。
【0125】
実施例12
10重量%のコロイドシリカと、0〜30重量%のCTM IAとを含有するプロピルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルVIの2ミクロン厚の層を、2ミクロン厚のCTLを有する実施例1で用いられたのと同じフィルム(「薄い」感光体)の上、および、23ミクロン厚のCTLと、CGLの下の1ミクロン厚のAMILAN(登録商標)ポリアミドバリア層とを有するフィルム(「厚い」感光体)の上にコーティングした。−50Vに帯電させた(*)印が付けられたものを除いて、薄いサンプルを−100Vに帯電させた。厚いサンプルは−500Vに帯電させた。
これらのコーティングを測定したところ、以下の結果が得られた。
【0126】
【表17】
【0127】
実施例12と実施例10および11とを比較すると、CTM IAの量がほぼ同じである場合、プロピルシルセスキオキサンの光放電性は、メチルまたはメチル−プロピルシルセスキオキサン保護コーティングの光放電性ほど良くはないことを示している。おそらくこれは、有機光導電体の方がプロピルシルセスキオキサンマトリックスとの親和性が低いためであり、このことはこれらのフィルムに見られたわずかな曇りによって証明される。
【0128】
実施例13
ゾル−ゲルVIIを、ドラムコーターを用いてHewlett−Packard社の5siドラムの上にコーティングした。90℃で乾燥させ、120℃で硬化させると、厚さが1ミクロンと推定されるシルセスキオキサン保護コーティングを有するサンプルが得られた。QEA PDT2000(Burlington、MA)を用いて硬化前後の表面電位を測定した。感光ドラムを−600Vに帯電させた。保護コーティングの硬化に因る残留電圧の変化は見られなかった。さらに、塗布された保護コーティングが感光体のセンシトメトリーに変化をもたらすことはなかった。これは以下の表に示されている。1.81μJ/cm2の露光によって、ゾル−ゲルがコーティングされる前のドラムについて得られた値と特に同じ値である−27Vの残留電位までドラムを放電させた。そして、ドラムを120℃で硬化させ、再度試験を行った。上記よりわずかに弱い1.63μJ/cm2という露光によって、上記よりわずかに高い残留電位である−36Vまでドラムを放電させた。ドラムを−600Vから−200Vまで放電させるの必要とされるエネルギーを比較することによって、上記2つの実験において感度は変わらなかったことが確認された。硬化前と硬化後の保護コーティングドラムについて測定された値は、それぞれ0.56μJ/cm2と0.57μJ/cm2であり、基本的に同じであった。
【0129】
【表18】
【0130】
シルセスキオキサンでコーティングされた感光ドラムをHewlett−Packard社の5siプリンターに設置した。制御された高湿度、周囲湿度および低湿度の環境下において全部で1,000枚のプリントを得た。すべてのプリントが優れた画質を示した。
【0131】
実施例14
量が増加してゆくCTM IIAおよびCTM IIIAを含有するメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルVIIIを、異なる2種類のCTM化合物を用いた以外は、ゾル−ゲルIと同じ様にして調製した。これらの溶液を、27℃の定温コーティングブロックにおいて2ミルのコーティングブレードを用いて2.5ミクロンのCTLを有するフィルムの上に手作業でコーティングした。
【0132】
【表19】
【0133】
−100Vに帯電させた後、各サンプルの閃光Vtoeを測定した。上記表に示した結果は、CTM IIAとCTM IIIAの混合物は、前述の実施例におけるCTM IAほど上手く電荷を運べないことを示している。それにも関わらず、保護コーティング中のCTMの量が増加するにつれて光放電の効率が高くなった。
【0134】
実施例15
10重量%のコロイドシリカと、量が増加してゆくCTM IVPとを含有するメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルIXの2ミクロン厚のコーティングを、2ミクロン厚のCTLを有する実施例1で用いられたのと同じフィルムにコーティングした。サンプルを−200Vに帯電させた後、以下の測定値が得られた。
【0135】
【表20】
【0136】
上記データは、CTM IVPの濃度が高くなっても、下に位置する感光体の光放電時の残留電圧がほんのわずかしか下がらないことを示している。おそらくこれは、高い乾燥温度におけるケイ素−酸素−アリール結合の加水分解の不安定さによる結果である。周囲温度で乾燥された、CTM IVPをシルセスキオキサン網に組み込んだフィルムは透明なままであった。しかしながら、前記フィルムは高温で乾燥されたため、それらはCTM IVPと考えられる表面堆積物を生じた。この実験を以下の実施例16でも繰り返したが、フィルムは60℃で乾燥および硬化させた。
【0137】
実施例16
10重量%のコロイドシリカと、量が増加してゆくCTM IVPとを含有するメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルXの4ミクロン厚のコーティングを、2ミクロン厚のCTLを有する実施例1で用いられたのと同じフィルムにコーティングした。サンプルを−100Vに帯電させた後、以下の測定値が得られた。
【0138】
【表21】
【0139】
上記データは、CTM IVPによって下に位置する光受容体の光放電時の残留電圧が低下したことを示している。
【0140】
実施例17
10重量%のコロイドシリカと、量が増加してゆくCTM VAとを含有するメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルXIの4ミクロン厚のコーティングを、2ミクロン厚のCTLを有する実施例1で用いられたのと同じフィルムにコーティングした。サンプルを−100Vに帯電させた後、以下の測定値が得られた。
【0141】
【表22】
【0142】
上記データは、CTM VAによって下に位置する感光体の光放電時の残留電圧が低下したことを示している。
【0143】
実施例18
10重量%のコロイドシリカと、量が増加してゆくCTM VIAとを含有するメチルシルセスキオキサン組成物であるゾル−ゲルXIIの4ミクロン厚のコーティングを、2ミクロン厚のCTLを有する実施例1で用いられたのと同じフィルムにコーティングした。サンプルを−100Vに帯電させた後、以下の測定値が得られた。
【0144】
【表23】
【0145】
上記データは、CTM VIAによって下に位置する感光体の光放電時の残留電圧が低下したことを示している。
【0146】
本発明を特定の好ましい実施態様を特に参照しながら詳しく説明してきたが、本発明の思想および適用範囲内で各種変更および修正を加えることができることは理解されるべきである。
Claims (28)
- 導電層と、
前記導電層を覆う電荷発生層と、
前記導電層を覆う第1の電荷輸送層とからなる電子写真素子であって、
前記電荷輸送層は、絶縁体でありそしてシルセスキオキサンポリマーと、少なくとも1種類のアルコール性またはフェノール性ヒドロキシ置換基を含有する第3級アリールアミン部分からなるホール輸送化合物とからなる混合物の水性媒体中の反応生成物からなることを特徴とする前記電子写真素子。 - 前記第1の電荷輸送層が前記電荷発生層を覆う耐摩耗性コーティングである、請求項1に記載の電子写真素子。
- 前記シルセスキオキサンポリマーが、下記構造
R1−Si−(OR)3
ここでRは炭素数が1〜4であるアルキル基であり、そしてR1は炭素数が1〜12である脂肪族、脂環式または芳香族基である、
を有する少なくとも1種類のアルキルトリアルコキシシランの加水分解および縮合の生成物である、請求項1に記載の電子写真素子。 - R1が、炭素数が1〜12であるアルキルまたはフルオロアルキルと、炭素数が5〜12であるシクロアルキルと、炭素数が6〜12であるアリールとからなる群から選択される、請求項3に記載の電子写真素子。
- R1が炭素数が1〜3であるアルキル基である、請求項4に記載の電子写真素子。
- R1がメチル基である、請求項5に記載の電子写真素子。
- 前記水性媒体が水と混和性の有機溶媒をさらに含有する、請求項1に記載の電子写真素子。
- 前記水と混和性の有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトンおよびこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項7に記載の電子写真素子。
- 前記混合物がポリジメチルシロキサン(PDMS)をさらに含有する、請求項1に記載の電子写真素子。
- 前記ホール輸送化合物が、下記構造
(A)x−(LINK−OH)y
ここでAは炭素数が最大40である第3級アリールアミン部分であり、LINKは炭素数が1〜10である脂肪族または脂環式部分であり、xは1または2であり、そしてyは1〜6である、
を有する、請求項1に記載の電子写真素子。 - Aがトリアリールアミン部分である、請求項10に記載の電子写真素子。
- AがN−アルキルアニリノ部分であり、LINKが炭素数が1〜4であるアルキレン部分であり、そしてyが1または2である、請求項10に記載の電子写真素子。
- AがN,N−ジアルキルアニリノ部分であり、LINKがエチレンであり、xが2であり、そしてyが2である、請求項10に記載の電子写真素子。
- 前記ホール輸送化合物が、下記構造
A−(OH)y
ここでAは、炭素数が最大40であり、かつ、少なくとも1種類の第3級アリールアミン部分からなるアリーレン部分であり、そしてyは1〜6である、
を有する、請求項1に記載の電子写真素子。 - Aがトリアリールアミン部分からなる、請求項14に記載の電子写真素子。
- 前記混合物が、前記アルキルトリアルコキシシランに基づいて9〜30重量%の前記ホール輸送化合物を含有する、請求項3に記載の電子写真素子。
- 前記混合物が、前記アルキルトリアルコキシシランに基づいて15〜25重量%の前記ホール輸送化合物を含有する、請求項17に記載の電子写真素子。
- 前記混合物がコロイドシリカをさらに含有する、請求項1に記載の電子写真素子。
- 前記混合物が、前記アルキルトリアルコキシシランに基づいて最大20重量%のコロイドシリカを含有する、請求項19に記載の電子写真素子。
- 前記混合物が、前記アルキルトリアルコキシシランに基づいて5〜10重量%のコロイドシリカを含有する、請求項20に記載の電子写真素子。
- 前記電荷発生層と前記耐摩耗性コーティングの間に配置された第2の電荷輸送層をさらに備える、請求項2に記載の電子写真素子。
- 前記第2の電荷輸送層がトリアリールアミンからなる、請求項22に記載の電子写真素子。
- 前記導電層を覆うバリア層をさらに備える、請求項1に記載の電子写真素子。
- 前記耐摩耗性コーティングが0.5〜10ミクロンの厚さを有する、請求項2に記載の電子写真素子。
- 前記耐摩耗性コーティングが1〜3ミクロンの厚さを有する、請求項25に記載の電子写真素子。
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