JP4016782B2 - プリント配線板用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、多層プリント配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板の材料として用いられるエポキシ樹脂組成物、プリプレグ及び金属張積層板、並びにこれらの材料を用いて製造される多層プリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の材料として用いられるプリプレグは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物を溶剤で希釈してワニスとし、このワニスをガラスクロス等の基材に含浸した後、これを乾燥して、樹脂を未硬化状態(A−ステージ)から半硬化状態(B−ステージ)にすることによって作製されている。そして、このようにして得たプリプレグを所定寸法に切断した後、所要枚数重ねると共にこの片面又は両面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧して積層成形することによって、プリント配線板に加工される金属張積層板を作製することができる。この段階において樹脂は、半硬化状態(B−ステージ)から完全硬化状態(C−ステージ)へと変化し、基材と共に絶縁層を形成することとなる。その後、絶縁層に穴あけを行い、この穴にめっきを施すことによってスルーホール等を形成し、さらに絶縁層の片面又は両面に配された金属箔にサブトラクティブ法等を行って回路パターンを形成することによって、プリント配線板を製造することができるものである。
【0003】
また、予め内層回路として回路パターンが形成された内層用基板(例えば、上記のようにして得たプリント配線板)の片面又は両面に、所定寸法に切断されたプリプレグを所要枚数重ねると共にさらにその外側に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧して積層成形することによって、多層プリント配線板に加工される多層積層板を作製することができる。この段階においてプリプレグの樹脂は、半硬化状態(B−ステージ)から完全硬化状態(C−ステージ)へと変化し、基材と共に絶縁層を形成することとなる。その後、絶縁層に穴あけを行い、この穴にめっきを施すことによってスルーホール等を形成し、さらに絶縁層の片面又は両面に配された金属箔にサブトラクティブ法等を行って外層回路として回路パターンを形成することによって、多層プリント配線板を製造することができるものである。
【0004】
ここで、プリプレグを作製する際にエポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤としてジシアンジアミド系硬化剤が用いられることがあるが、プリント配線板の耐熱性をより高く得るためには、ジシアンジアミド系硬化剤よりもフェノール系硬化剤を用いる方が良いことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−151507号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フェノール系硬化剤を配合したエポキシ樹脂組成物を用いると、一般的なアミン系硬化剤やジシアンジアミド系硬化剤を配合したエポキシ樹脂組成物を用いる場合に比して、成形性が悪化するという問題が発生する。
【0007】
すなわち、フェノール系硬化剤を配合したエポキシ樹脂組成物を用いて作製したプリプレグは、加熱の初期においては樹脂が低粘度であるため樹脂流れが大きくなり、板厚精度を保つことが困難となる。さらに加熱硬化の進行につれ、樹脂が急激に増粘しゲル化(三次元架橋)に至るため加圧のタイミングをとるのが難しく、成形が非常に困難となるものである。つまり、成形可能なプリプレグの硬化度(ゲルタイム)の領域が狭く、管理が難しいのである。
【0008】
従って、プリプレグの一般的なプレス成形において段内多数枚成形を行った場合、各プリプレグの温度が異なるため、一部のプリプレグにおいて板厚のバラツキやボイド等の成形不良が発生するという問題がある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び成形性に優れたプリント配線板用エポキシ樹脂組成物、成形性が良好であるプリプレグ及び金属張積層板、並びにこれらの材料を用いて製造される多層プリント配線板を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るプリント配線板用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、2官能以下のフェノール系硬化剤全体の官能基数がフェノール系硬化剤全体の官能基数に対して20〜50%を占め、かつ、イミダゾールシランを含有して成ることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項2の発明は、請求項1において、2官能以下のフェノール系硬化剤として、ビスフェノールAを用いて成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項3の発明は、請求項1において、2官能以下のフェノール系硬化剤として、テトラブロモビスフェノールAを用いて成ることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、2官能以下のフェノール系硬化剤以外の硬化剤として、ビスフェノールAノボラックを用いて成ることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、エポキシ樹脂として、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を組成物全量に対して5〜70質量%含有して成ることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、シリカを2〜150PHR配合して成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項7に係るプリプレグは、請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物を基材に含浸し、これを加熱乾燥して半硬化させて成ることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項8に係る金属張積層板は、請求項7に記載のプリプレグを所要枚数積層すると共に、この片側又は両側に金属箔を重ねて加熱加圧成形して成ることを特徴とするものである。
【0018】
また請求項9に係る多層プリント配線板は、請求項8に記載の金属張積層板に回路パターンを形成し、この片側又は両側に請求項7に記載のプリプレグを所要枚数積層すると共に、さらにその外側に金属箔を重ねて加熱加圧成形して成ることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
本発明に係るプリント配線板用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を含有するものであり、特に、硬化剤として後述するようなフェノール系硬化剤を用い、また硬化促進剤としてイミダゾールシランを用いるものである。
【0021】
本発明においてエポキシ樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうち1種を単独で使用したり、2種以上を混合して使用したりすることができる。エポキシ樹脂は組成物全量に対して50〜90質量%配合することができる。
【0022】
好ましくは、エポキシ樹脂としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用い、これを組成物全量に対して5〜70質量%含有するものである。このようにすると、プリント配線板等の積層板の吸水率を低減することができ、耐吸湿性を高めることができると共に、組成物の粘度上昇を抑えることができるものである。しかし、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の含有量が5質量%未満であると、積層板の低吸水率化を図ることができないおそれがあり、逆に70質量%を超えると、組成物の粘度が著しく増加するおそれがある。
【0023】
また本発明においてフェノール系硬化剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA、フェノール、テトラブロモビスフェノールA等を用いることができる。このようにフェノール系硬化剤を用いることによって、ジシアンジアミド系硬化剤を用いる場合よりも、耐熱性を高めることができるものである。
【0024】
ただし、本発明においては、2官能以下のフェノール系硬化剤(例えば、ビスフェノールA、フェノール、テトラブロモビスフェノールA等)と、3官能以上のフェノール系硬化剤(例えば、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、クレゾールノボラック等)とを併用し、なおかつ2官能以下のフェノール系硬化剤全体の官能基数がフェノール系硬化剤全体の官能基数に対して20〜50%を占めている必要がある。言い換えると、(フェノール系硬化剤の配合量/当量)の和に対する(2官能以下のフェノール系硬化剤の配合量/当量)の和の割合を20〜50%の範囲に設定する必要がある。この範囲を外れると、成形可能なゲルタイムの領域を広くすることができず、成形性を高めることができない。すなわち、上記の割合が20%未満であると、3官能以上のフェノール系硬化剤が2官能以下のフェノール系硬化剤に比べて多量に存在して、成形の際、加熱の進行に伴って組成物が急激に増粘しゲル化しやすくなるものであり、逆に50%を超えると、2官能以下のフェノール系硬化剤が3官能以上のフェノール系硬化剤に比べて多量に存在して、成形の際、加熱の初期において組成物の粘度がなかなか上昇せず、低粘度のため樹脂流れが大きくなるものである。よって、ボイドが残存した積層板や板厚精度の低い積層板が得られやすくなるものである。
【0025】
ここで、2官能以下のフェノール系硬化剤としては、既述のビスフェノールAやテトラブロモビスフェノールAを用いるのが好ましい。ビスフェノールAを用いると、樹脂の変色を防止することができ、外観が良好な積層板を得ることができるものである。一方、テトラブロモビスフェノールAを用いると、樹脂の変色を防止することができるほか、積層板の難燃性を向上することもできるものである。
【0026】
また、2官能以下のフェノール系硬化剤以外の硬化剤、つまり3官能以上の硬化剤としては、ビスフェノールAノボラックを用いるのが好ましい。このようにすると、樹脂の変色を防止することができ、外観が良好な積層板を得ることができるものである。
【0027】
また本発明においては、既述のとおり、イミダゾールシランを硬化促進剤として用いる必要がある。このように既述のフェノール系硬化剤に加えて、イミダゾールシランを用いることによって、成形可能なゲルタイムの領域を広くすることができ、成形性を高めることができるものである。この効果を高く得るためには、イミダゾールシランは組成物全量に対して0.01〜5質量%配合するのが好ましい。
【0028】
さらに本発明においては、フィラーとしてシリカを2〜150PHR配合してもよい。すなわち、シリカをエポキシ樹脂組成物(=エポキシ樹脂+硬化剤+硬化促進剤)100質量部に対して2〜150質量部配合すると、成形性をさらに高めることができるものである。しかし、シリカの配合量が2PHR未満であると、成形性向上の効果を得ることができないおそれがあり、逆に150PHRを超えると、組成物の粘度が著しく増加して成形性を悪化させるおそれがある。
【0029】
そして、上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、必要に応じてシリカを配合し、これをミキサーやブレンダー等で均一に混合することによって、エポキシ樹脂組成物を調製することができ、さらにこれを溶剤で希釈することによって樹脂ワニスとして調製することができるものである。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メトキシプロパノール(MP)等を用いることができる。
【0030】
上記のようにして得た樹脂ワニスを基材に含浸し、これを乾燥機中で150〜180℃、2〜10分間加熱乾燥させることによって、半硬化状態(B−ステージ)のプリプレグを作製することができる。基材としては、例えば、ガラスクロス、ガラスペーパー、ガラスマット等のガラス繊維布のほか、クラフト紙、リンター紙、天然繊維布、有機繊維布等を用いることができる。プリプレグ中において樹脂分の含有量は35〜80質量%であることが好ましい。
【0031】
上記のようにして得たプリプレグを所要枚数積層し、さらにこの片側又は両側に金属箔を重ねて、これを160〜180℃、1.5〜4.0MPa、30〜120分間の条件で加熱加圧して積層成形することによって、プリント配線板に加工される金属張積層板を製造することができる。金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔等を用いることができる。
【0032】
そして、上記のようにして得た金属張積層板にサブトラクティブ法等で回路パターンを形成することによって、プリント配線板に加工することができるものである。さらにこのプリント配線板を内層用基板として用い、この内層用基板の片側又は両側に上記のプリプレグを所要枚数積層すると共に、さらにその外側に金属箔を重ねて加熱加圧成形することによって、多層プリント配線板に加工される多層積層板を製造することができ、この多層積層板にサブトラクティブ法等で回路パターンを形成することによって、多層プリント配線板に加工することができるものである。
【0033】
ここで、上記のようにして作製されるプリプレグは、既述のフェノール系硬化剤とイミダゾールシランの併用によって、成形性が十分に高められている。そのため、金属張積層板や多層積層板を製造するにあたって、加熱の初期においては樹脂流れを抑えることができ、板厚精度を保つことが容易となるものであり、さらに加熱硬化の進行につれ、樹脂が急激に増粘することがなくなり、加圧のタイミングをとりやすく、非常に成形しやすくなるものである。つまり、成形可能なプリプレグの硬化度(ゲルタイム)の領域が広いので、管理しやすくなるのである。
【0034】
従って、プリプレグの一般的なプレス成形において段内多数枚成形を行った場合、各プリプレグの温度が異なっていても、加圧のタイミングを調整することによって、すべてのプリプレグにおいて板厚のバラツキやボイド等の成形不良をなくすことができ、ボイドがなく、板厚精度の高い積層板を得ることができるものである。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0036】
エポキシ樹脂として、ブロム化エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「YDB−500」、エポキシ当量500、臭素含有量21質量%)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製「N−690」、エポキシ当量225)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製「HP−7200H」、エポキシ当量283)を用いた。
【0037】
硬化剤として、ビスフェノールAノボラック(これは、ビスフェノールA900g、37%ホルマリン200g、蓚酸9gを2時間加熱還流して反応させた後、脱水して得られたものである。水酸基当量118)、クレゾールノボラック(群栄化学工業株式会社製「PSM−6200」、水酸基当量111)及びビスフェノールA(試薬品、水酸基当量114)、フェノール(試薬品、水酸基当量94)、テトラブロモビスフェノールA(試薬品、水酸基当量272)を用いた。
【0038】
ここで、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ビスフェノールAノボラック及びクレゾールノボラック中に2官能以下の分子が含まれていないこと、ビスフェノールA、フェノール及びテトラブロモビスフェノールAはいずれも2官能以下の分子のみからなることを確認した。
【0039】
硬化促進剤として、イミダゾールシラン(株式会社ジャパンエナジー製「IS−1000」)、イミダゾール(2E4MZ、四国化成工業株式会社製)を用いた。
【0040】
フィラーとして、シリカフィラー(株式会社アドマテックス製「SO−25R」、平均粒径0.5μm)を用いた。
【0041】
溶媒として、メチルエチルケトン(MEK)を用いた。
【0042】
<樹脂ワニスの調製>
樹脂ワニスは以下のようにして調製した。すなわち、エポキシ樹脂及び硬化剤を表1、2に示す配合量計量し、これらをMEKに投入した。このときエポキシ樹脂及び硬化剤が70質量%となるようにMEKの量を調整した。そしてディスパーにて2時間攪拌した後、イミダゾールシランを表1、2に示す配合量投入し、さらにディスパーにて2時間攪拌することによって、樹脂ワニスを得た。シリカフィラーを配合する場合には、表1、2に示す配合量投入し、さらにディスパーにて2時間攪拌することによって、樹脂ワニスを得た。
【0043】
<プリプレグの作製>
基材として、ガラスクロス(日東紡績株式会社製「2116タイプクロス」)を使用し、このガラスクロスに上記のようにして調製した樹脂ワニスを室温にて含浸させ、その後、非接触タイプの加熱ユニットにより、約130〜170℃で加熱することにより、ワニス中の溶媒を乾燥除去し、樹脂組成物を半硬化させることによって、プリプレグを作製した。プリプレグにおける樹脂量は、ガラスクロス100質量部に対し、樹脂100質量部となるように調整した。なお、以下において硬化の進行度はゲルタイムにより確認した。このゲルタイムは、プリプレグより樹脂を取り、この樹脂を170℃の熱プレート上においてゲル化するまでの時間を測定することによって得られるものである。
【0044】
<評価項目▲1▼:成形性1>
上記のようにして作製したプリプレグ(340mm×510mm)を2枚の銅箔(厚み35μm、JTC箔、日鉱グールドフォイル株式会社製)の粗化面の間に挟んで積層成形し、得られた積層板の銅箔をエッチングにより除去した後に、厚み測定(面内の9点、各点付近、各辺の中央付近、積層板の中央)を行うと共にボイドの有無を確認した。プレス成形において段内の成形枚数は20枚とした。そして、厚みの精度(最大−最小)が0.05mm以下、かつボイドのないプリプレグのゲルタイムの範囲を求め、これを成形可能なゲルタイムの領域とした。
【0045】
<評価項目▲2▼:成形性2>
内層用基板として、予め表面の銅箔に格子状のパターン(回路幅1mm、回路間2mm)を形成すると共に、内層処理(黒化処理)を施した厚み0.2mmの内層コア両面板(松下電工株式会社製「CR1766」:銅箔の厚み35μm)を使用し、この内層用基板の両面に上記のようにして作製したプリプレグを重ねると共に、さらにこの両面に銅箔を重ね、170℃、2.94MPaで90分間加熱加圧して積層成形することによって、多層積層板を製造した。プレス成形において段内の成形枚数は20枚とした。そして、得られた多層積層板において、回路が形成されている領域の上部に形成された絶縁層の厚みを光学顕微鏡にてそれぞれ30点測定し、各平均値の差を求めた。そして、絶縁層の厚みの精度(最大−最小)が0.05mm以下、かつボイドのないプリプレグのゲルタイムの範囲を求め、成形可能なゲルタイムの領域とした。
【0046】
<評価項目▲3▼:樹脂の変色>
硬化した樹脂の色調を、成形直後と3か月後とで比較した。
【0047】
<評価項目▲4▼:難燃性>
成形した積層板をUL法に従って評価した。
【0048】
<評価項目▲5▼:吸水率>
成形した積層板をJIS−C6481に従って評価した。吸水条件はE−24/50+D−24/23(つまり、恒温空気中において50℃、24時間+恒温水中において23℃、24時間処理)である。
【0049】
以上の評価項目▲1▼〜▲5▼の結果を表1及び表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1及び表2にみられるように、各実施例のものは、2官能以下のフェノール系硬化剤全体の官能基数がフェノール系硬化剤全体の官能基数に対して20〜50%を占め、かつ、イミダゾールシランを含有しているので、成形可能なゲルタイムの領域が広いことが確認され、成形性が向上するものと考えられる。
【0053】
実施例2のものは、さらにビスフェノールAの使用により、樹脂の変色がみられないことが確認される。
【0054】
実施例3のものは、さらにテトラブロモビスフェノールAの使用により、樹脂の変色がなく、しかも難燃性に優れていることが確認される。
【0055】
実施例4のものは、さらにビスフェノールAノボラックの使用により、樹脂の変色がみられないことが確認される。
【0056】
実施例5、6のものは、さらにジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を組成物全量に対して5〜70質量%含有していることにより、吸水率を大幅に低減できることが確認される。
【0057】
実施例7、8のものは、さらにシリカを2〜150PHR配合していることにより、成形可能なゲルタイムの領域をさらに広げられることが確認される。
【0058】
実施例9のものは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の含有量が組成物全量に対して5質量%未満であるため、実施例5、6のものほど低吸水率化について効果がみられないことが確認される。
【0059】
実施例10のものは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の含有量が組成物全量に対して70質量%を超えているため、樹脂の粘度が上がり、成形性に若干問題があった。
【0060】
実施例11のものは、シリカの配合量が2PHR未満であるので、実施例7、8のものほど成形性が改善されるという効果がみられないことが確認される。
【0061】
実施例12のものは、シリカの配合量が150PHRを超えているため、樹脂の粘度が上がり、成形性に若干問題があった。
【0062】
これに対し、比較例1のものは、イミダゾールシランを用いていないため、成形可能なプリプレグのゲルタイムの範囲が狭いことが確認され、成形性に問題があるものと考えられる。
【0063】
また、比較例2、3のものは、2官能以下のフェノール系硬化剤全体の官能基数がフェノール系硬化剤全体の官能基数に対して20%未満又は50%を超えているため、成形可能なプリプレグのゲルタイムの範囲が狭いことが確認され、成形性に問題があるものと考えられる。
【0064】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るプリント配線板用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、2官能以下のフェノール系硬化剤全体の官能基数がフェノール系硬化剤全体の官能基数に対して20〜50%を占め、かつ、イミダゾールシランを含有するので、上記フェノール系硬化剤とイミダゾールシランを併用することによって、高い耐熱性を確保しつつ、成形可能なゲルタイムの領域を広くすることができ、成形性を高めることができるものである。
【0065】
また請求項2の発明は、2官能以下のフェノール系硬化剤として、ビスフェノールAを用いるので、樹脂の変色を防止することができ、外観が良好な積層板を得ることができるものである。
【0066】
また請求項3の発明は、2官能以下のフェノール系硬化剤として、テトラブロモビスフェノールAを用いるので、樹脂の変色を防止することができるほか、積層板の難燃性を向上することもできるものである。
【0067】
また請求項4の発明は、2官能以下のフェノール系硬化剤以外の硬化剤として、ビスフェノールAノボラックを用いるので、樹脂の変色を防止することができ、外観が良好な積層板を得ることができるものである。
【0068】
また請求項5の発明は、エポキシ樹脂として、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を組成物全量に対して5〜70質量%含有するので、プリント配線板等の吸水率を低減することができ、耐吸湿性を高めることができると共に、成形時における組成物の粘度上昇を抑えることができるものである。
【0069】
また請求項6の発明は、シリカを2〜150PHR配合するので、成形性をさらに高めることができるものである。
【0070】
また請求項7に係るプリプレグは、請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物を基材に含浸し、これを加熱乾燥して半硬化させるので、フェノール系硬化剤とイミダゾールシランの併用によって、成形性が十分に高められているものである。
【0071】
また請求項8に係る金属張積層板は、請求項7に記載のプリプレグを所要枚数積層すると共に、この片側又は両側に金属箔を重ねて加熱加圧成形するので、ボイドがなく、板厚精度が高いものである。
【0072】
また請求項9に係る多層プリント配線板は、請求項8に記載の金属張積層板に回路パターンを形成し、この片側又は両側に請求項7に記載のプリプレグを所要枚数積層すると共に、さらにその外側に金属箔を重ねて加熱加圧成形するので、ボイドがなく、板厚精度が高いものである。
Claims (9)
- エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、2官能以下のフェノール系硬化剤全体の官能基数がフェノール系硬化剤全体の官能基数に対して20〜50%を占め、かつ、イミダゾールシランを含有して成ることを特徴とするプリント配線板用エポキシ樹脂組成物。
- 2官能以下のフェノール系硬化剤として、ビスフェノールAを用いて成ることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物。
- 2官能以下のフェノール系硬化剤として、テトラブロモビスフェノールAを用いて成ることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物。
- 2官能以下のフェノール系硬化剤以外の硬化剤として、ビスフェノールAノボラックを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂として、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を組成物全量に対して5〜70質量%含有して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物。
- シリカを2〜150PHR配合して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント配線板用エポキシ樹脂組成物を基材に含浸し、これを加熱乾燥して半硬化させて成ることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項7に記載のプリプレグを所要枚数積層すると共に、この片側又は両側に金属箔を重ねて加熱加圧成形して成ることを特徴とする金属張積層板。
- 請求項8に記載の金属張積層板に回路パターンを形成し、この片側又は両側に請求項7に記載のプリプレグを所要枚数積層すると共に、さらにその外側に金属箔を重ねて加熱加圧成形して成ることを特徴とする多層プリント配線板。
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