JP4016479B2 - 車両用灯具のリフレクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば四輪自動車、二輪自動車その他の車両に用いられる前照灯、尾灯その他の灯具に組み込まれるリフレクタ(エクステンションリフレクタも含む)に係り、さらに詳しくは、特に耐熱性に優れたリフレクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用灯具は、主として、前面が開口する容器状に形成された灯具ボディと、この灯具ボディに取り付けられ光源(ランプ)を有するランプユニットと、灯具ボディの前面開口部に取り付けられる灯具カバー(またはアウタレンズ)とから構成されている。
【0003】
ランプユニットには、光源からの光を集光または拡散して所望の配光特性を得るためのリフレクタ( Reflector)が設けられているが、ランプユニットと灯具ボディとの間に大きな空間が形成されるので、灯具を外部から観察すると後ろのエイミング機構まで透けて見えるといった見栄え上の問題がある。
【0004】
このため、灯室内全体を鏡面色に見せて見栄えを向上させるべく、ランプユニットのリフレクタの周囲から灯具ボディの前面開口部に至る範囲に、鏡面処理を施したエクステンションリフレクタ( Extension Reflector)が配置されている。
【0005】
また、前照灯と方向指示灯とを一体化したフロントコンビネーションランプや、ストップランプと方向指示灯とを一体化したリヤコンビネーションランプなどのコンビネーションランプでは、一方のランプからの光が隣接するランプ側へ漏洩しないように遮蔽する機能も兼備させたエクステンションリフレクタが設けられている。
【0006】
こうしたリフレクタ(エクステンションリフレクタをも含む)は、生産性を高めるとともに軽量化を図るため、また複雑な形状にも充分に対応できるように、ノルボルネンとエチレンとの付加共重合体などの熱可塑性樹脂で構成することが検討されている。たとえばドイツ国特許公報第19540414号には、車両用の用途ではないが、ノルボルネンとエチレンとの付加共重合体などの熱可塑性樹脂で構成したリフレクタが開示してある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エクステンションリフレクタを含む車両用灯具のリフレクタは、電球やエンジンからの伝熱、あるいは日射により加熱された車体からの伝熱により、高温の環境下で使用されることが多い。このため、リフレクタは、高度な耐熱性が要求される。
【0008】
ところが、このような車両用灯具のリフレクタを、前述した公報に示すノルボルネンとエチレンとの付加共重合体などの熱可塑性樹脂で構成すると、車両用灯具として要求される耐熱性が十分であるとはいえず、過酷な条件下では、熱により変形するおそれがあった。
【0009】
また、リフレクタを樹脂化すると、その表面にアルミニウムの蒸着などによる反射面の形成を行う必要があるが、反射光の散乱を極力抑制するためには、表面の平滑性に優れた基材が望まれる。さらに、反射面が形成された樹脂製リフレクタの反射率も良好であることが望まれる。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、表面平滑性、光の反射特性にも優れると共に、耐熱性にも優れ、さらに薄く大型のものを容易に成形可能な車両用灯具のリフレクタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るリフレクタは、車両用灯具に設けられる車両用灯具のリフレクタにおいて、脂環式構造含有重合体樹脂に、結晶性重合体を配合して成る樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るリフレクタは、脂環式構造含有重合体樹脂で形成されているので、少なくともその一主面に鏡面処理を施すために、たとえばアルミニウムなどの蒸着処理を施すに際し、アンダーコーティング膜を形成しなくても充分満足できる表面平滑性を得ることができる。
【0013】
また、本発明に係る脂環式構造含有重合体樹脂は、溶融時の流動性にも優れているので、薄肉で、しかも大型かつ複雑な形状であっても成形不良を引き起こすことなく容易に成形することができる。したがって、複雑で大型、かつ軽量化が望まれる車両用灯具のリフレクタに適用して好ましいものである。
【0014】
さらに、本発明に係るリフレクタを構成する脂環式構造含有重合体樹脂には、結晶性重合体を配合してあるので、特に耐熱性が向上し、過酷な使用条件下でも、熱変形することがない。このため、エクステンションリフレクタのみでなく、ランプユニットの主リフレクタとしても好適に用いることができる。
【0015】
リフレクタ
本発明において、「車両」とは、二輪自動車、三輪自動車、四輪自動車その他の自動車、鉄道車両、フォークリフトその他の産業用車両等々、広義の車両を意味する。車両用に限らず、一般に使われるライト中に使用されるリフレクタとしても使用することが可能である。
【0016】
また、「車両用灯具」とは、こうした各種車両に装着された照明用もしくは識別用、標識用の灯具を意味し、特に限定はされないが、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(いわゆるウインカー)、車幅灯、後退灯などが該当する。
【0017】
本発明において、リフレクタとは、ランプユニットの光源からの光を集光または拡散して所望の配光特性を得るための主リフレクタに限らず、エクステンションリフレクタ、およびこれらに接続または連結される部材(たとえばスリーブやレンズホルダなど)をも含む概念で用いる。
【0018】
本発明において、「エクステンションリフレクタ」とは、車両用灯具のボディとカバー(またはアウタレンズ)とで形成される灯室内の、ランプの周囲に設けられ、少なくとも一主面に鏡面処理が施される、灯具の一構成部品であって、灯具を外部から観察したときに灯室内全体を鏡面色に見せて見栄えを向上させる目的、および/または、一のランプから隣接するランプ側へ漏洩する光を遮断して各ランプによる表示の視認性を高める目的で使用されるものである。自動車用灯具のエクステンションリフレクタとしては、前照灯や尾灯に多用されているが、本発明では特に限定されず、その他上述した各種灯具にも適用することができる。
【0019】
脂環式構造含有重合体樹脂
本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂は、主鎖および/または側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
【0020】
重合体の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造を有するものが最も好ましい。
【0021】
脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、および成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
【0022】
本発明に使用される脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%である。脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性に劣り好ましくない。脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
【0023】
こうした脂環式構造を含有する重合体樹脂の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役系ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0024】
これらの中でも、ノルボルネン系重合体およびその水素添加物、環状共役ジエン系重合体およびその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体およびその水素添加物がより好ましい。
【0025】
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報などで開示される方法によってノルボルネン系モノマーを重合したものが用いられる。
【0026】
具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体およびその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加型重合体などが挙げられる。
【0027】
これらの中でも、耐熱性や誘電特性を高度にバランスさせる上で、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合体可能なビニル化合物の付加型重合体などが好ましく、ノルボルネン系モノマーの開重合体水素添加物が特に好ましい。
【0028】
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン; 5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン; 5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド;トリシクロ[4.3.12,5 .01,6 ]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.12,5 .01,6 ]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.12,5 .01,6 ]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.12,5 .01,6 ]ウンデカ−3,8−ジエンまたはこれらの部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.12,5 .01,6 ]ウンデカ−3−エン; 5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン; テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン; 8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン; テトラシクロ[7.4.110,13 .01,9 .02,7 ]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.111,14 .01,10.03,8 ]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、ペンタシクロ[6.5.11,8 .13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.13,6 .110,13 .01,9 .02,7 ]ペンタデカ−4,11−ジエン; シクロペンタジエンの4量体; などのノルボルネン系単量体などが挙げられる。これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上組合わせて用いられる。
【0029】
共重合可能なビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらのビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
ノルボルネン系モノマーまたはノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル系化合物との重合方法および水素添加方法は、格別な制限はなく公知の方法に従って行うことができる。
【0031】
ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体は、ノルボルネン系モノマーを、開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で開環(共)重合させることにより得ることができる。
【0032】
触媒系に、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などの第三成分を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。
【0033】
水素添加ノルボルネン系重合体は、常法に従って、開環(共)重合体を水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
【0034】
ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、チタン、ジルコニウム、またはバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
【0035】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
【0036】
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体およびその水素添加物などを用いることができる。
【0037】
(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体
ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、特開昭51−59,989号公報に開示されているビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素単量体の重合体およびその水素添加物、特開昭63−43,910号公報、特開昭64−1,706号公報などに開示されているスチレンやα−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添加物などを用いることができる。
【0038】
本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、5,000以上、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは8,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、機械的強度と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
【0039】
本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜300℃、好ましくは100〜280℃、特に好ましくは150〜250℃の範囲であるときに、耐熱性と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
【0040】
本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂の、280℃、荷重2.16kgfにおけるJIS K6719により測定したメルトフローレートは、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常4〜100g/10min.、好ましくは10〜50g/10min.の範囲が好適である。メルトフローレートが低すぎると成形時に成形材料を加温する温度がより高温となるため加工しにくい場合が生じ、高すぎると成形時にバリなどの成形不良の発生する場合が生じる。
【0041】
ちなみに、これらの脂環式構造含有重合体樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
結晶性重合体
本発明において、リフレクタを構成する脂環式構造含有重合体樹脂に配合される結晶性重合体としては、脂環式構造含有重合体樹脂自体のガラス転移温度Tgよりも、好ましくは20℃以上、さらに好ましくは、40℃以上高い融点を持つものが好ましい。融点の高い結晶性重合体を配合することで、得られるリフレクタの熱変形温度が高くなり、耐熱性が向上する。
【0043】
本発明において用いることができる結晶性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリプロピレン、セルロース、アセタール樹脂、塩素化ポリエーテル、エチレン−酢ビ共重合体、フッ素樹脂、アイオノマー、メチルペンテンポリマー、ポリスルホン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニルスルファイド(PPS)、シンジオタクティクポリスチレン、液晶ポリマー(芳香族多環縮合系ポリマー)などが挙げられるが、好ましくは融点が200℃以上の結晶性重合体であるPBT、PET、PPS、シンジオタクティックポリスチレン、液晶ポリマーなどが用いられる。
【0044】
本発明において、結晶性重合体としては、重合体全体が結晶化しているもののみでなく、部分的に結晶化しているものも含み、その結晶化度は、特に限定されないが、一般に10〜90%の範囲にある。
【0045】
本発明において、脂環式構造含有重合体樹脂中の結晶性重合体の配合量は、十分な耐熱性が得られるように決定され、脂環式構造含有重合体樹脂と結晶性重合体との重量比が、好ましくは95:5〜5:95、さらに好ましくは10:90〜90:10である。
【0046】
その他の成分
本発明のリフレクタには、上記の脂環式構造含有重合体樹脂に必要に応じて、その他のポリマー、その他の各種配合剤(樹脂工業において通常用いられる配合剤)、充填剤を単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0047】
その他のポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、SBS、SIS、SEBSなどのゴム;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンなどの樹脂;などのその他のポリマーを例示することができる。また、これらのその他のポリマーはそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。また、その割合は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択される。
【0048】
その他の配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などの配合剤が挙げられる。
【0049】
老化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0050】
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
【0051】
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
【0052】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル 3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ [5,5] ウンデカンなどが挙げられる。
【0053】
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、ポリマー成分100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0054】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;4−t−ブチルフェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミジルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベゾエート系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水和物、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、4−ドデカロキシ−2−ホドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのアクリレート系紫外線吸収剤;[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケルなどの金属錯体系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0055】
光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
【0056】
近赤外線吸収剤は、例えば、シアニン系近赤外線吸収剤;ピリリウム系赤外線吸収剤;スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系赤外線吸収剤;アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤外線吸収剤; ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ系近赤外線吸収剤;等が挙げられる。また、市販品の近赤外線吸収剤SIR−103,SIR−114,SIR−128,SIR−130,SIR−132,SIR−152,SIR−159,SIR−162(以上、三井東圧染料製)、Kayasorb IR−750,Kayasorb IRG−002,Kayasorb IRG−003,IR−820B,Kayasorb IRG−022,KayasorbIRG−023,Kayasorb CY−2,Kayasorb CY−4,Kayasorb CY−9(以上、日本化薬製)等を挙げることできる。
【0057】
染料としては、脂環構造を有する熱可塑性重合体に均一に分散・溶解するものであれば特に限定されないが、本発明で用いられる熱可塑性炭化水素系重合体との相溶性が優るので油溶性染料(各種C.I.ソルベント染料)が広く用いられる。油溶性染料の具体例としてはThe Society of Diyes and Colourists社刊Color Index vol.3に記載される各種のC.I.ソルベント染料が挙げられる。
【0058】
顔料としては、例えば、ピグメントレッド38等のジアリリド系顔料;ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ系顔料;ピグメントレッド144、ピグメントレッド166、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド248等の縮合アゾ系顔料;ピグメントレッド171、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208等のペンズイミダゾロン系顔料;ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料;ピグメントレッド149、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179等のペリレン系顔料;ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料が挙げられる。
【0059】
本発明の成形品の着色を必要とするときは、染料と顔料の何れでも、本発明の目的の範囲で使用でき、限定されるものではない。
【0060】
滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステルあるいは部分エステル等の有機化合物や無機微粒子等を用いることができる。有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等が挙げられる。
【0061】
他の滑剤としては、一般に無機粒子を用いることができる。ここで無機微粒子としては、周期律表の1族、2族、4族、6〜14族元素の酸化物、硫化物、水酸化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩およびそれらの含水化物、それらを中心とする複合化合物、天然化合物などの粒子が挙げられる。
【0062】
可塑剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート、トリキシリルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリエチルフェニルフォスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、モノフェニルジクレジルフォスフェート、ジフェニルモノキシレニルフォスフェート、モノフェニルジキシレニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリエチルフォスフェートなどの燐酸トリエステル系可塑剤;フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステルなどの脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤;二価アルコールエステル系可塑剤;オキシ酸エステル系可塑剤;などが使用できるが、これらの中でも燐酸トリエステル系可塑剤が好ましく、トリクレジルフォスフェート、トリキシリルフォスフェートが特に好ましい。
【0063】
さらに、柔軟化剤ないし可塑剤として、主骨格が主にC−CまたはC=C構造である常温で液状の炭化水素ポリマーが好ましく用いられる。液状炭化水素ポリマーの中でも、主鎖の中に炭化水素環を持たない直鎖状または分岐鎖状の液状炭化水素ポリマーが好ましい。また、得られる成形品の耐候性に優れることから、C=C構造を実質的に持たないものが好ましい。この液状炭化水素ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10,000以下、より好ましくは200〜8,000、特に好ましくは300〜4,000の範囲である。液状炭化水素ポリマーの具体例としては、スクアラン(C30H62、Mw=422.8)、流動パラフィン(ホワイトオイル、JIS K2231に規定されるISO VG10、ISO VG15、ISO VG32、ISO VG68、ISO VG100、VG8およびVG21など)、ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等が挙げられる。これらの中でもスクアラン、流動パラフィンおよびポリイソブテンが好ましい。
【0064】
帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの長鎖アルキルアルコール、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エステルなどが挙げられるが、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが特に好ましい。
【0065】
これらの配合剤は単独、2種以上混合して用いることができ、その割合は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択される。配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、ポリマー成分100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0066】
本発明では、リフレクタを構成する脂環式構造含有重合体樹脂中に、有機または無機の充填剤を配合しても良い。有機または無機の充填剤としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベストなどの鉱物; ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの繊維;ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、などを例示できる。
【0067】
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて添加することができる。充填剤の配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で、それぞれの機能及び使用目的に応じて適宜定めることができる。
【0068】
成形材料および成形方法
本発明では、脂環式構造含有重合体は、上記成分を必要に応じて混合して使用される。混合方法は、脂環式構造含有重合体中に、これらの配合剤が十分に分散する方法であれば、特に限定されない。例えば、ミキサー、一軸混練機、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押出機などで樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させて凝固法、キャスト法、または直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
【0069】
二軸混練機を用いる場合、混練後は、通常は溶融状態で棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化して用いられることが多い。
【0070】
本発明に係る車両用灯具のリフレクタは、上記の成形材料を成形して得られるものである。成形方法は、従来公知の成形方法に従えば良く、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などが挙げられる。成形精度からは、射出成形、プレス成形が好ましい。成形時の樹脂の溶融温度は脂環式構造含有重合体の種類によっても異なるが、通常100〜400℃、好ましくは200〜350℃である。
【0071】
反射膜層の形成
上記のリフレクタに、アルミ、ニッケル、金等の反射率の高い金属を用いて反射膜層を形成する場合、その方法は特に限定されず公知の方法に従えば良く、例えば、通常の蒸着法、すなわち真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等が挙げられる。
【0072】
反射膜を成膜する時の条件は特に限定されないが、例えば、アルミを真空蒸着し反射膜を形成する場合は、以下の条件が好ましい。すなわち、真空度は0.1〜1,000Pa、好ましくは1〜100Paの範囲であり、この範囲にある時、キメが細かく接着力に優れたアルミ膜を蒸着することができる。成形品を加熱しながら製膜しても良く、成形品の表面温度を常温〜100℃の範囲で成膜すると接着力が高まり好ましい。反射膜の厚みは、5〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nmであり、膜厚が過度に薄すぎると反射率が低過ぎ、リフレクタとして十分な反射率が得られず、また過度に厚すぎても反射率が上がらず、成膜時間が長くなり生産性が低下する。膜厚が上記の範囲にある時、高い生産性で高反射率の反射膜が得られ、好ましい。
【0073】
リフレクタと上述した反射膜との密着性を向上させるために、リフレクタ表面を改質処理および/またはプライマー処理を施しても良い。表面改質処理の例としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などのエネルギー線照射処理や重クロム酸カリウム溶液等の酸化剤水溶液と接触させる薬品処理が挙げられる。
【0074】
必要に応じて、リフレクタおよび反射膜にキズ、汚れが付かないように保護層を設けても良い。保護層形成の方法は特に限定されない。例えば、紫外線硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂を、スピンコート、スプレー塗装、ディッピング、フローコーティング等の方法で成形品表面に塗布後、硬化する方法が挙げられる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は第1の発明に係る車両用灯具の実施形態を示す正面図、図2は図1のII-II 線に沿う断面図、図3は図1のIII-III 線に沿う断面図、図4は第1の発明に係るエクステンションリフレクタを前面から示す分解斜視図、図5は同エクステンションリフレクタを背面から示す斜視図である。
【0076】
本実施形態の車両用灯具1は、乗用車用ヘッドランプであって、灯具ボディ(本発明にいうボディ)11,ユニット型ランプ12,13、エクステンションリフレクタ14およびアウターレンズ(本発明にいうカバー)15を有している。なお、図1〜図5は、車両右側のヘッドランプを示し、車両左側のものは車両の前後方向の中心線に対してこれと対称形状をなす。
【0077】
灯具ボディ11は、光を透過しない樹脂により成形され、この灯具ボディ11の内部に、ヘッドランプのハイビームランプを構成する第1のユニット型ランプ12が設けられ、またその車両外側に、ロービームランプを構成する第2のユニット型ランプ13が配設されている。
【0078】
これらのユニット型ランプ12,13は、楕円球状の主リフレクタ121,131の底面に電球(バルブ)122,132(132については図3参照)がコネクタソケット123,133で支持されている。この主リフレクタ121,131の前側縁には、略円筒状のスリーブ(レンズホルダ)124,134が取り付けられており、さらにこのスリーブ124,134の前側縁に集光レンズ125,135が接着により保持されている。
【0079】
これら第1および第2のユニット型ランプ12,13は、主リフレクタ121,131の反射特性および集光レンズ125,135の集光特性によって、ランプ単独で所要の配光特性を得ることができる。なお、各ユニット型ランプ12,13のコネクタソケット123,133と灯具ボディ11の開口部との間の隙間は、ソケットカバー126,136により密封されている。
【0080】
灯具ボディ11内であって、第1および第2のユニット型ランプ12,13と灯具ボディ11の内面との間には、エクステンションリフレクタ14が配設されており、これらユニット型ランプ12,13と灯具ボディ11の内面との間の隙間を隠蔽し、灯具1を外部から観察したときに後ろに位置する灯具ボディ11の内面が透けて見えるのを防止し、灯室16内全体を単一の鏡面色に見せることで見栄えを良くして商品性を高める機能を有する。
【0081】
図4および図5に、正面視および背面視で示すように、エクステンションリフレクタ14の外形形状は、灯具ボディ11に内装される形状とされ、背面部141と、その上下の前方に張り出した上面部142および下面部143とを有している。
【0082】
また、背面部141には、後方に突出する固定部144が左右にそれぞれ1つずつ形成され、この固定部144にボルトを挿通してナットを螺合することで、エクステンションリフレクタ14が灯具ボディ11に固定される。エクステンションリフレクタ14の背面部141には、2つの孔145が開設されており、これらの孔145を通して上述したユニット型ランプ12,13の集光レンズ125,135が灯具1の前面側に露呈する。
【0083】
灯具ボディ11の前面開口には、アウターレンズ15が取り付けられている。すなわち、アウターレンズ15の周縁部にシール用脚部151が形成され、このシール用脚部151が灯具ボディ11の開口縁に形成されたシール用溝111に挿入され、ホットメルトなどのシール剤を用いて気密状態に固定されている。
【0084】
本実施形態では、前記主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14を、各々、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役系ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれらの水素添加物などの、脂環式構造含有重合体樹脂であって、上述した結晶性重合体が配合してあるもので成形してあり、それらの表面(ランプ12および13の内面およびアウターレンズ15側の面)にアルミニウムを蒸着し、反射面を形成している。
【0085】
重合体の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造を有するものが最も好ましい。
【0086】
このように、本実施形態の主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14が、各々、上述した脂環式構造含有重合体樹脂で形成してあるので、アルミニウムの蒸着処理を施すに際し、アンダーコーティング膜を形成しなくても充分満足できる表面平滑性を得ることができる。
【0087】
また、これらの主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14を構成する脂環式構造含有重合体樹脂は、溶融時の流動性にも優れているので、薄肉で、しかも大型かつ複雑な形状であっても成形不良を引き起こすことなく容易に成形することができる。したがって、これらの主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14の構造が複雑で大型、かつ薄肉であったとしても、成形不良を起こすことなく容易に成形することができる。
【0088】
さらに、本実施形態に係る主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14を構成する脂環式構造含有重合体樹脂には、結晶性重合体を配合してあるので、特に耐熱性および高温・高湿下での耐久性に優れており、車両用部品として用いて好適である。
【0089】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0090】
たとえば、上述した実施形態では、主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14は、それぞれビスやボルトなどの締結具により連結してあるが、本発明では、これらの一部または全てを、上述した特定の結晶性重合体が配合してある脂環式構造含有重合体樹脂で一体に成形しても良い。また、集光レンズ125,135をも、エクステンションリフレクタ14またはスリーブ124,134と、上述した結晶性重合体が配合してある脂環式構造含有重合体樹脂で一体に成形しても良い。ただし、この場合、集光レンズ125,135は、透明性が要求されるため、このレンズ部分をマスクして、エクステンションリフレクタ14またはスリーブ124,134の内面に、アルミニウムなどを蒸着し、反射面を形成する必要がある。また、集光レンズ125,135の種類は、特に限定されず、フレネルレンズであっても良い。
【0091】
集光レンズ125,135を一体成形することで、別部品である集光レンズをエクステンションリフレクタ14またはスリーブ124,134に組み付ける工程が不要となる。またこれに加え、集光レンズ125,135を上述した特定の結晶性重合体が配合された脂環式構造含有重合体樹脂で成形することで、通常の樹脂レンズに比較して、複屈折が小さく、環境変化に対する変形も小さいという効果が期待できる。しかも成形性が良好で面精度にも優れたものとなる。
【0092】
また、上述した実施形態では、エクステンションリフレクタ14を灯具ボディ11側に固定したが、エクステンションリフレクタ14の取り付け構造は、特に限定されず、アウターレンズ15側に取り付けても良い。
【0093】
さらにまた、本発明に係るリフレクタが適用される車両用灯具の具体的構造は、図1〜5に示すものに限定されず、種々に改変することができる。たとえば主リフレクタ121および/または131の前面に、すれ違いビームのカットオフラインを形成するための部材であるシェードを装着しても良い。
【0094】
また、本発明のリフレクタは、ヘッドランプ以外にも、リアランプその他の車両用灯具に適用することができる。
【0095】
【実施例】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて、より具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例および比較例において、部または%は、特に断りがない限り、重量基準である。
【0096】
以下の実施例および比較例において、各種物性の測定法は次のとおりである。
(1)水素添加率は、 1H−NMRにより測定した。
(2)ガラス転移温度は、JIS K7121に基づいて測定した値とする。
(3)試験片表面の精度は、最大高さRmax値が10μm以下のものを「○」、10μm以上のものを「×」と判断した。
(4)試験片の外観は、ひけ、反り、シルバー、ヤケおよび着色の有無を目視で観察し、これらの不良の無い物を「○」、不良の発生したものを「×」と判断した。
(5)耐熱性試験は、(A)試験片を水平な板上に置き、130℃のギヤーオーブン中で72時間加熱保持した後、試験片の反り、外観変化、膜の密着性について試験した。反りは、加熱前に比べて加熱後の試験片の反りが0.3mm以下のものを「○」、0.3mm以上のものを「×」とした。外観変化は、耐熱性試験前に比べて蒸着膜の外観に変化の無かったものを「○」、鏡面の曇り、反射不良、膜フクレ、変色などの生じたものを「×」とした。耐熱性試験後の蒸着膜の密着性は、碁盤目剥離試験により判断した。碁盤目剥離試験は、成形品表面に形成された蒸着膜の上から、カッターにより1mm間隔でタテ、ヨコ各11本の切れ目を入れて1mm四方の碁盤目を100個作り、セロハンテープ(積水化学社製)を貼り、勢い良く剥がし、剥離した蒸着膜の個数を数え、10個未満を良好(○)、10個以上を不合格(×)とした。(B)試験片を片持ち梁状に支持し、150℃のギヤーオーブン中で20分間加熱保持したあとの、自由端の自重による撓み量をみるヒートサグ試験をおこない、撓み量が2mm未満のものを「○」、2mm以上のものを「×」と判断した。
【0097】
[参考例1]
シクロヘキサン258リットルを装入した反応容器に、常温、窒素気流下でビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下NBと略す)(118kg)を加え、5分間撹拌を行った。さらにトリイソブチルアルミニウムを系内の濃度が1.0ml/リットルとなるように添加した。続いて、撹拌しながら常圧でエチレンを流通させ系内をエチレン雰囲気とした。オートクレーブの内温を70℃に保ち、エチレンにて内圧がゲージ圧で6kg/cm2 となるように加圧した。10分間撹拌した後、予め用意したイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを含むトルエン溶液5.0リットルを系内に添加することによって、エチレン、NBの共重合反応を開始させた。このときの触媒濃度は、全系に対してイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドが0.015mmol/リットルであり、メチルアルモキサンが7.5mmol/リットルである。
【0098】
重合中、系内にエチレンを連続的に供給することにより、温度を70℃内圧をゲージ圧で6kg/cm2 に保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、その後、水1 m3 に対し濃塩酸5リットルを添加した水溶液と1:1の割合で強撹拌下に接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。この接触混合液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに水洗を2回行い、重合液相を精製分離した。
【0099】
次いで精製分離された重合液を3倍量のアセトンと強撹拌下で接触させ、共重合体を析出させた後、固体部(共重合体)を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。さらに、ポリマー中に存在する未反応のモノマーを抽出するため、この固体部を40kg/m3 となるようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥し、エチレン・NB共重合体を得た。
【0100】
以上のようにして、得られたエチレン・NB共重合体は、130℃、デカリン溶液での極限粘度[η];0.60dl/g、Tg;140℃であり、NB含量は53モル%であった。
【0101】
[参考例2]
撹拌翼を備えた1m3重合器上部からテトラシクロドデセン(TCD)のシクロヘキサン溶液を、重合器内におけるTCDの供給濃度が60kg/ m3 となるように、連続的に供給した。また重合器上部から触媒として、VO(O・C2 H5 )Cl2 のシクロヘキサン系溶液を、重合器内のバナジウム濃度が0.9mol/ m3 となるように、エチルアルミニウムセキスクロリド(Al(C2 H5 )1.5 Cl1.5 )のシクロヘキサン溶液を重合器内のアルミニウム濃度が7.2mol/ m3 となるようにそれぞれ重合器内に連続的に供給した。また重合系にバブリング管を用いてエチレンを85 m3 /時間、窒素を45 m3 /時間、水素を6 m3 /時間の量で供給した。
【0102】
重合器外部に取り付けられたジャケットに熱媒体を循環させた重合系を10℃に保持しながら共重合反応を行った。上記共重合反応によって生成する共重合体の重合溶液を重合器上部から、重合器内の重合液が常に1 m3 になるように(すなわち平均滞留時間が0.5時間となるように)連続的に抜き出した。この抜き出した重合液に、シクロヘキサン/イソプロピルアルコール(1:1)混合液を添加して重合反応を停止させた。その後、水1 m3 に対し濃塩酸5リットルを添加した水溶液と1:1の割合で強撹拌下に接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。この接触混合液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに水洗を2回行い、重合液相を精製分離した。
【0103】
次いで精製分離された重合液を3倍量のアセトンと強撹拌下で接触させ、共重合体を析出させた後、固体部(共重合体)を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。さらに、ポリマー中に存在する未反応のモノマーを抽出するため、この固体部を40kg/m3 となるようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
【0104】
以上のようにして、得られたエチレン・TCD共重合体は、130℃、デカリン溶液での極限粘度[η];0.42dl/g、Tg;140℃であり、TCD含量は31モル%であった。
【0105】
[参考例3]
(重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500重量部に、1-ヘキセン0.56重量部、ジブチルエーテル0.11重量部、トリイソブチルアルミニウム0.22重量部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、8-メチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ-3-エン200重量部および六塩化タングステン0.70重量%トルエン溶液30重量部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。シクロヘキサンを移動層とした高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)より、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は、18,000、重量平均分子量(Mw)は、36,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.01であった。
【0106】
(水素添加)
作成した重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、珪藻土担持ニッケル触媒(日産ガードラー社製;G−96D、ニッケル担持率58重量%)10重量部及び200重量部を加え、180℃、水素圧45kgf/cm2 で10時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網をそなえたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。得られた反応溶液を3000重量部のイソプロピルアルコール中に撹拌下に注いで水素添加物を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500重量部で洗浄した後、1torr以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環重合体水素添加物190重量部を得た。
【0107】
(重合体物性)
得られた開環重合体水素添加物の主鎖水素添加率は99.9%、数平均分子量(Mn)は、20,400、重量平均分子量(Mw)は、41,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.02であった。280℃におけるメルトフローレートは、20g/10min.であり、ガラス転移温度は140℃、比重は1.01であった。
【0108】
[実施例1]
参考例1で作製したエチレン・NB系共重合体100重量部に酸化防止剤(チバガイギー社製;イルガノックス1010、テトラキス〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)0.1重量部、ポリブチレンテレフタレート(クラレ社製:ハウザーR1150)20重量部を加え、2軸混練機で混練し、ペレット化した。このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ1mm×長さ200mm×幅100mmの金型を用いて、樹脂温度320℃、型温度120℃で射出成形し、試験片Aを作成した。同様に、厚さ2mm×長さ150mm×幅25mmの金型を用いて、試験片Cを作製した。さらに、試験片Aの鏡面側に真空蒸着法で厚さ400nmのアルミ反射膜を形成し、試験片Bを作成した。
【0109】
[実施例2]
エチレン・NB系共重合体に代えて、参考例2で作製したエチレン・TCD系共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片A,BおよびCを作成した。
【0110】
[実施例3]
参考例3で作製した開環重合体水素添加物を実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片A、BおよびCを作成した。
【0111】
[実施例4]
実施例3のポリブチレンテレフタレートに代わり、ポリフェニレンサルファイド(ポリプラスチック社製:フォートロン1140A1)20重量部を配合し、その他は実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片A、BおよびCを作成した。
【0112】
[比較例1]
参考例1で作製したエチレン・NB系共重合体100重量部に酸化防止剤(チバガイギー社製;イルガノックス1010、テトラキス〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)0.1重量部のみを配合し、実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片A、BおよびCを作成した。
【0113】
実施例1、2、3、4および比較例1で成形した試験片Aを用い、試験品表面の平滑性および外観の結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
実施例1、2、3、4および比較例1で成形した試験片Bを用いて測定した耐熱性試験、および試験片Cを用いて測定したヒートサグ試験の結果を表2に示す。
【0116】
【表2】
【0117】
表1に示した成形性の評価で、実施例1、2、3、4および比較例1では結晶性重合体の有無に関わらず、成形性に差がないことが確認された。表2に示した耐熱試験、ヒートサグ試験の評価で、比較例1は、試験片に反りが生じ、蒸着膜の密着性も低下していた。また、試験片の自重による撓みが生じていた。表1、2の結果から、本発明の結晶性重合体が配合されている脂環式構造含有重合体樹脂からなるリフレクタは、配合していないものと同等の成形性および成形品の表面精度を有し、さらに耐熱性に優れることが確認された。
【0118】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、表面平滑性、耐熱性に優れ、しかも高温・高湿下での耐久性にも優れ、且つ薄く大型のものを容易に成形可能な車両用灯具のリフレクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明に係る車両用灯具の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のII-II 線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII-III 線に沿う断面図である。
【図4】エクステンションリフレクタを前面から示す斜視図である。
【図5】エクステンションリフレクタを背面から示す斜視図である。
【符号の説明】
1…車両用灯具
11…灯具ボディ(ボディ)
12,13…ユニット型ランプ(ランプ)
121,131…主リフレクタ
124,134…スリーブ
125,135…集光レンズ
14…エクステンションリフレクタ
15…アウターレンズ(カバー)
16…灯室
Claims (1)
- 車両用灯具に設けられる車両用灯具のリフレクタにおいて、
ノルボルネン系重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれる脂環式構造含有重合体樹脂に、結晶性重合体を配合して成る樹脂組成物からなることを特徴とする車両用灯具のリフレクタ。
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- 1998-03-27 JP JP10065398A patent/JP4016479B2/ja not_active Expired - Fee Related
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