JP4016360B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調ユニットの吹出口から吹き出される空調風の吹出風量または吹出温度を学習する学習制御が可能な車両用空調装置に関するもので、特に制御に用いる日射情報を時定数を用いて遅延処理するようにした車両用空調装置の学習制御に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平5−147421号公報においては、吹出口から吹き出される空調風の吹出温度情報の変化量に対する目標吹出温度の変化量を車両乗員の希望に合うように学習制御し、温度設定スイッチの再設定頻度を減少できるようにした車両用空調装置が提案されている。そして、この車両用空調装置では、学習制御を行う時に、日射センサで検出する日射量(TS)、内気温センサで検出する内気温(TR)、あるいは外気温センサで検出する外気温(TAM)等の熱負荷を用いて、どのような熱環境条件の時に温度設定スイッチの操作が行われたのかを検出している。
【0003】
ここで、車両用空調装置においては、日射センサの出力から日射量や日射方向を算出し、この算出した日射量や日射方向に応じて、吹出口から車室内に吹き出す空調風の吹出温度や吹出風量、および吹出口モード等を変更するようにした日射補正が一般的に行われている。
【0004】
しかるに、車両がトンネルの中や建物の影に入ったり、車両がトンネルの中や建物の影から出たりする等して、日射センサの出力が大きく変化した場合には、空調風の吹出温度や吹出風量、および吹出口モードがハンチングを起こしてしまうので、それを防止する必要がある。そこで、近年の車両用空調装置においては、図22のタイムチャートに示したように、日射センサの出力(実日射量)に所定の時定数(遅延処理)を設け、そして、遅延処理後の日射量に応じて吹出温度や吹出風量、および吹出口モードを制御するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の車両用空調装置においては、上記の日射補正のように日射センサの出力に時定数が設けられていると、太陽の位置に対して車両の進行方向が頻繁に変化する場合、すなわち、車室内に射し込む日射量が頻繁に変化する場合(例えば日射量の増加時)には、日射量は予め定められた時定数に従って上昇していく。このとき、日射量の増加からしばらくの間、日射センサで検出している実際の日射量(検出日射量)と上記の空調制御に利用する日射量(遅延処理後の日射量)とは大きく離れた値となる。
【0006】
仮に、このとき、車両乗員が吹出風量変更操作または吹出温度変更操作をしてそれが学習されてしまうと、実際の日射量が大きいにも拘らず、空調制御に利用する日射量が小さいため、低い日射量の時に車両乗員の吹出風量変更操作または吹出温度変更操作が行われたものと判断される。これにより、車両乗員の希望とは、違う学習が成されてしまい、次回の日射変化時には車両乗員の希望が反映されず、車両乗員に違和感を与えてしまったり、システムへの信頼性を低下させてしまったりするという問題が生じる。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記問題点に鑑み、日射量等の熱負荷変化時に車両乗員による手動設定手段の操作が誤学習されないという点と、次回の日射量等の熱負荷変化時に車両乗員の希望を反映できるという点を兼ね備えた学習制御が可能な車両用空調装置を得ることを目的とする。また、車両乗員に違和感を与えず、システムへの信頼性の低下を防止することのできる学習制御が可能な車両用空調装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、手動設定手段が操作された際、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷と遅延処理手段にて遅延処理された後の熱負荷とに所定値以上の差がある場合に、空調状態制御手段の制御特性を補正するための制御特性補正量であって、目標空調条件を補正する制御特性補正量を、検出熱負荷と遅延処理後の熱負荷とに所定値以上の差がない時に比べて少なくするか、あるいは0にする。そして、検出熱負荷および遅延処理後の熱負荷等の設定情報を記憶し、この記憶した設定情報から目標空調条件を補正し、空調状態制御手段の制御特性を補正するようにしている。
すなわち、車両乗員の操作が行われた時、実際の熱負荷と空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷とに所定値以上の差がある場合には、空調状態制御手段の制御特性を補正するための制御特性補正量を、検出熱負荷と遅延処理後の熱負荷とに所定値以上の差がない時に比べて少なくするか、あるいは0にすることにより、熱負荷変化時に車両乗員による手動設定手段の操作が誤学習されることはない。これにより、車両乗員が希望する空調状態と違う学習が成されることが少なくなり、あるいは車両乗員が希望する空調状態と違う学習が成されることはない。したがって、次回の熱負荷変化時に車両乗員に違和感を与えることもなく、また、システムへの信頼性を低下させることもない。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた際、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、遅延処理後の熱負荷を、手動設定手段の操作があった時よりも、検出熱負荷に近づけるか、あるいは検出熱負荷に等しくするようにしている。
すなわち、車両乗員が吹出風量増加操作または吹出温度低下操作をした時、実際の熱負荷が空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷よりも所定値以上大きい場合には、小さい熱負荷の時に車両乗員の操作が行われたものと判断されることはなく、車両乗員の意図と違う学習が成されることはない。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた後、遅延処理後の熱負荷が検出熱負荷に近づく早さが、手動設定手段の操作が行われる前よりも、早くなるようにしている。
すなわち、実際の熱負荷が空調制御に利用する熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、車両乗員が吹出風量増加操作または吹出温度低下操作した後は、手動設定手段の操作が行われる前よりも、空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷が検出熱負荷に近づき易くなるので、実際の熱負荷が大きい時に車両乗員の操作が行われたものと判断される。したがって、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の熱負荷変化時に車両乗員の希望を反映できるので、車両乗員に違和感を与えることもなく、また、システムへの信頼性を低下させることもない。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた際、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、遅延処理後の熱負荷を、手動設定手段の操作があった時よりも、0に近づけるか、あるいは0に等しくするようにしている。
すなわち、車両乗員が吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作をした時、実際の熱負荷が空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷を、手動設定手段の操作があった時よりも、0に近づけるか、あるいは0に等しくすることにより、車両乗員が希望する空調状態と違う学習が成されることが少なくなり、あるいは車両乗員が希望する空調状態と違う学習が成されることはない。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた後、遅延処理後の熱負荷が検出熱負荷に近づく早さが、手動設定手段の操作が行われる前よりも、遅くなるようにしている。
それによって、実際の熱負荷が大きく、空調制御に利用する熱負荷が小さい場合に、手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた後は、手動設定手段の操作が行われる前よりも、空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷が検出熱負荷に近づき難くなるので、実際の熱負荷が大きい時に車両乗員の吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われたものと判断されることはない。
【0013】
請求項6に記載の発明によれば、手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた際、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、遅延処理後の熱負荷を、手動設定手段の操作があった時よりも、大きな値とするようにしている。そして、検出熱負荷および遅延処理後の熱負荷等の設定情報を記憶し、この記憶した設定情報から目標空調条件を補正し、空調状態制御手段の制御特性を補正するようにしている。
すなわち、車両乗員が吹出風量増加操作または吹出温度低下操作をした時、実際の熱負荷が空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷よりも所定値以上小さい場合には、空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷を、車両乗員の操作があった時よりも、大きな値とすることにより、大きい熱負荷の時に車両乗員の操作が行われたものと判断される。これにより、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の熱負荷変化時に車両乗員の希望が反映される。
【0014】
請求項7に記載の発明によれば、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた後、遅延処理後の熱負荷が検出熱負荷に近づく早さが、手動設定手段の操作が行われる前よりも、遅くなるようにしている。
すなわち、実際の熱負荷が空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、車両乗員が吹出風量増加操作または吹出温度低下操作をした後は、手動設定手段の操作が行われる前よりも、空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷が検出熱負荷に近づき難くなるので、実際の熱負荷が小さい時に車両乗員の操作が行われたものと判断されることはない。
【0015】
請求項8に記載の発明によれば、手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた際、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、遅延処理後の熱負荷を、手動設定手段の操作があった時よりも、検出熱負荷に近づけるか、あるいは等しくするようにしている。
すなわち、車両乗員が吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作をした時、実際の熱負荷が空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷よりも所定値以上小さい場合には、空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷を、手動設定手段の操作があった時よりも、実際の熱負荷に近づけるか、あるいは実際の熱負荷に等しくすることにより、実際の熱負荷に近い値の時に車両乗員の操作が行われたものと判断される。これにより、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の熱負荷変化時に車両乗員の希望が反映される。
【0016】
請求項9に記載の発明によれば、熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷が遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた後、遅延処理後の熱負荷が検出熱負荷に近づく早さが、手動設定手段の操作が行われる前よりも、早くなるようにしている。
すなわち、実際の熱負荷が空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、車両乗員が吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作をした後は、手動設定手段の操作が行われる前よりも、空調状態可変手段の制御に利用する熱負荷が検出熱負荷に近づき易くなるので、実際の熱負荷が大きい時に車両乗員の操作が行われたものと判断される。これにより、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の熱負荷変化時に車両乗員の希望が反映される。
【0017】
請求項10に記載の発明によれば、空調ユニットの吹出口から吹き出す空調風の吹出風量を決定する吹出風量決定手段と空調ユニットの吹出口から吹き出す空調風の吹出温度を決定する吹出温度決定手段とが、それぞれ異なる時定数の値を用いて遅延処理を行うようにすることにより、熱負荷変化時に、車両乗員が吹出風量変化操作または吹出温度変化操作をしても、それぞれ車両乗員の希望通りの学習制御を得ることができる。
【0018】
請求項11に記載の発明によれば、互いに独立して空調状態を変更することが可能な複数の空調ゾーンの各々の空調制御が、それぞれ異なる時定数の値を用いて遅延処理を行うようにすることにより、各空調ゾーン毎の熱負荷変化時に、各空調ゾーン毎の車両乗員が吹出風量変化操作または吹出温度変化操作をしても、各空調ゾーン毎の車両乗員の希望通りの学習制御を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態の構成〕
図1ないし図22は本発明の第1実施形態を示したもので、図1は車両用空調装置の全体構成を示した図で、図2はエアコン操作パネルを示した図である。
【0020】
本実施形態の車両用空調装置は、エンジンを搭載する自動車等の車両の車室内を空調する空調ユニット1における各空調手段(ブロワモータ、サーボモータ等のアクチュエータ)を、空調制御装置(以下エアコンECUと言う)50によって制御するように構成されている。
【0021】
その空調ユニット1は、ドライバー(DRIVER:以下Drと言う)側空調ゾーンとパッセンジャー(PASSENGER:以下Paと言う)側空調ゾーンとの吹出温度調節等を互いに独立して行うことが可能なエアコンユニットである。なお、Dr側空調ゾーンとは、車両の車室内の一方側空調ゾーンおよび右前部座席(運転席)側空調ゾーンである。また、Pa側空調ゾーンとは、車両の車室内の他方側空調ゾーンおよび左前部座席(助手席)側空調ゾーンである。
【0022】
空調ユニット1は、車両の車室内の前方に配置された空調ダクト2を備えている。この空調ダクト2の上流側には、内外気切替ダンパ3およびブロワ4とが設けられている。
内外気切替ダンパ3は、サーボモータ5により駆動されて車室内の空気(内気)を吸い込む内気吸込口6と、車室外の空気(外気)を吸い込む外気吸込口7との開度を変更する吸込口モード切替手段(吸込口モード切替ダンパ)である。
ブロワ4は、ブロワ駆動回路8により制御されるブロワモータ9により回転駆動されて空調ダクト2内において車室内に向かう空気流を発生させる送風機(送風手段)である。
【0023】
空調ダクト2の中央部には、空調ダクト2内を通過する空気を冷却する冷凍サイクルのエバポレータ(冷却用熱交換器)10が、空調ダクト2の全面に渡って設けられている。なお、エバポレータ10は、コンプレッサ(冷媒圧縮機)をONすることにより空気冷却作用を生じ、コンプレッサをOFFすることにより空気冷却作用が止まる。また、そのエバポレータ10の下流側には、第1空気通路11および第2空気通路12を通過する空気を加熱するエンジンの冷却水を熱源としたヒータコア(加熱用熱交換器)13が設けられている。なお、第1空気通路11および第2空気通路12は仕切り板14により区画されており、ヒータコア13は仕切り板14を貫通して設けられている。そして、ヒータコア13の上流側には、車室内のDr側空調ゾーンとPa側空調ゾーンとの温度調節を互いに独立して行うためのDr側、Pa側エアミックス(A/M)ダンパ15、16が設けられている。
【0024】
そして、Dr側、Pa側A/Mダンパ15、16は、サーボモータ17、18により駆動されてヒータコア13を通過する空気量とヒータコア13を迂回する空気量とを調節する空気量調節手段である。ここで、本実施形態では、エバポレータ10、ヒータコア13およびDr側、Pa側A/Mダンパ15、16により、Dr側、Pa側空調ゾーン内に吹き出す空調風の吹出温度を変更することが可能な吹出温度可変手段が構成される。
【0025】
第1空気通路11の下流側では、フロントウインドの内面に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ(DEF)吹出口20、Dr側の乗員の上半身(頭胸部)に向けて空調風を吹き出すためのDr側センタフェイス(FACE)吹出口21、Dr側の乗員の上半身またはDr側のサイドウインドの内面に向けて空調風を吹き出すためのDr側サイドフェイス(FACE)吹出口22、およびDr側の乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのDr側フット(FOOT)吹出口23が開口している。なお、DEF吹出口20からは、Dr側空調ゾーンのフロントウインドの内面だけでなく、Pa側空調ゾーンのフロントウインドの内面に向けても空調風が吹き出される。
【0026】
また、第2空気通路12の下流側では、Pa側の乗員の上半身(頭胸部)に向けて空気流を吹き出すためのPa側センタフェイス(FACE)吹出口31、Pa側の乗員の上半身またはPa側のサイドウインドの内面に向けて空気流を吹き出すためのPa側サイドフェイス(FACE)吹出口(サイド側吹出口)32、およびPa側の乗員の足元部に向けて空気流を吹き出すためのPa側フット(FOOT)吹出口33が開口している。なお、Dr側、Pa側センタFACE吹出口21、31は、車両の車室内前面に設けられたインストルメントパネルに上下方向または水平方向に変位自在な、また、Dr側、Pa側サイドFACE吹出口22、32を車両の前側ダンパまたは側面ボディのインナパネルにそれぞれ取り付けていても良い。
【0027】
そして、第1、第2空気通路11、12内には、車室内のDr側とPa側との吹出口モードの設定を互いに独立して行うDr側吹出口切替ダンパ24〜26、Pa側吹出口切替ダンパ35、36が設けられている。そして、Dr側、Pa側吹出口切替ダンパ24〜26、35、36は、サーボモータ27、28、38により駆動されてDr側、Pa側の吹出口モードをそれぞれ切り替える吹出口モード切替手段(吹出口モード切替ダンパ)である。ここで、Dr側、Pa側の吹出口モードとしては、フェイス(FACE)モード、バイレベル(B/L)モード、フット(FOOT)モード、フットデフ(F/D)モード、デフロスタ(DEF)モード等がある。
【0028】
エアコンECU50は、本発明の遅延処理手段、空調状態制御手段、設定情報記憶手段、設定情報記憶手段、補正量決定手段、制御特性補正手段に相当するもので、内部にCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータが設けられ、各センサからのセンサ信号が図示しない入力回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0029】
そして、エアコンECU50には、図1に示したように、車室内の空気温度(以下内気温と言う)Tr(Dr)、Tr(Pa)を検出する内気温検出手段としての内気温センサ51、車室内の空気温度(以下外気温と言う)TAMを検出する外気温検出手段としての外気温センサ52、後記する日射センサ53、エバポレータ10による実際の空気冷却度合を検出する冷却度合検出手段としてのエバ後温度センサ54、ヒータコア13内に供給される冷却水の温度TWを検出する冷却水温度検出手段としての冷却水温センサ55、およびインストルメントパネルの中央部前面に一体的に設けられたエアコン操作パネル56等が接続されている。なお、Pa側の内気温Tr(Pa)は、内気温センサを設けなくても、Dr側の内気温センサ51にて検出したTr(Dr)と{Tset(Dr)−Tset(Pa)}とから演算で求めても良い。
【0030】
そして、日射センサ53は、本発明の熱負荷検出手段、日射情報検出手段に相当するもので、車室内の最前方側のフロントウインド近傍のインストルメントパネル上に設置されている。なお、日射センサ53は、Dr側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)を検知し、その日射強度に対応した出力信号を発生するDr側日射強度検知手段(例えばフォトダイオード)と、Pa側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)を検知し、その日射強度に対応した出力信号を発生するPa側日射強度検知手段(例えばフォトダイオード)とを有している。ここで、エバ後温度センサ54は、具体的にはエバポレータ10を通過した直後の空気温度(以下エバ後温度と言う)TEを検出するエバ後温度検出手段である。
【0031】
エアコン操作パネル56には、図1および図2に示したように、Dr側温度設定スイッチ61、Pa側温度設定スイッチ62、DUALスイッチ63、MODEスイッチ(吹出口モード切替スイッチ)64、ブロワ風量切替スイッチ65、エアコン(A/C)スイッチ66、オート(AUTO)スイッチ67、オフ(OFF)スイッチ68、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)69、Dr側学習スイッチ71、Pa側学習スイッチ72、吸込口モード切替スイッチ73、フロントデフロスタスイッチ74、リヤデフロスタスイッチ75等が設置されている。
【0032】
Dr側温度設定スイッチ61は、Dr側空調ゾーン内の温度を車両乗員が希望する所望の温度(以降Dr側の設定温度Tset(Dr)と呼ぶ)に設定するための手動設定手段(Dr側温度設定手段)である。
Pa側温度設定スイッチ62は、Pa側空調ゾーン内の温度を車両乗員が希望する所望の温度(以降Pa側の設定温度Tset(Pa)と呼ぶ)に設定するための手動設定手段(Pa側温度設定手段)である。
DUALスイッチ63は、Dr側空調ゾーン内の吹出温度調節とPa側空調ゾーン内の吹出温度調節とを互いに独立して行う左右独立温度コントロールを指令する左右独立制御指令手段である。
【0033】
ブロワ風量切替スイッチ65は、ブロワ4の送風量(以下ブロワ風量と言う)に相当するブロワモータ9に印加するブロワ制御電圧を段階的に切り替える手動設定手段である。
液晶ディスプレイ69には、図2に示したように、Dr側の設定温度Tset(Dr)を表示する設定温度表示部分、Pa側の設定温度Tset(Pa)を表示する設定温度表示部分、現在のブロワ風量を表示するブロワ風量表示部分、現在の吹出口モードを表示する吹出口モード表示部分、および学習による制御特性の変更を表示する制御特性変更表示部分(図17参照)等がある。
【0034】
Dr側学習スイッチ71は、Dr側のマニュアル操作を学習させるためのSTANDARD(STD)/LEARN(LRN)スイッチである。Pa側学習スイッチ72は、Pa側のマニュアル操作を学習させるためのSTANDARD(STD)/LEARN(LRN)スイッチである。Dr側、Pa側学習スイッチ71、72は、標準的なA/C制御(空調制御)を行うための(STD)ポジションと、マニュアル操作を学習させるための(LRN)ポジションとを持ち、Dr側、Pa側学習スイッチ71、72を押す毎に切り替わり、LED表示にて切替側を確認することができる。
【0035】
〔第1実施形態の空調制御方法〕
次に、本実施形態のエアコンECU50による空調制御方法を、図1ないし図13に基づいて説明する。ここで、図3はエアコンECU50の制御プログラムの一例を示したフローチャートである。
【0036】
先ず、イグニッションスイッチがONされてエアコンECU50に直流電源が供給されると、制御プログラム(図3のルーチン)の実行が開始される。このとき、先ず、データ処理用メモリ(RAM)の記憶内容等を初期化する(ステップS1)。
次に、各種データをデータ処理用メモリに読み込む。すなわち、各スイッチからのスイッチ信号や各センサからのセンサ信号を入力する(熱負荷検出手段、日射情報検出手段:ステップS2)。
【0037】
具体的には、Dr側、Pa側温度設定スイッチ61、62にて設定されたDr側、Pa側の設定温度を入力してデータ処理用メモリに記憶する。また、内気温センサ51にて検出した内気温、外気温センサ52にて検出した外気温、エバ後温度センサ54にて検出したエバ後温度、および冷却水温センサ55にて検出した冷却水温を入力してデータ処理用メモリに記憶する。さらに、日射センサ53にて検出した日射強度に対応した出力信号(以下日射センサ信号と言う)を入力してデータ処理用メモリに記憶する。
【0038】
次に、図8のサブルーチンが起動して、学習処理を行う(ステップS3)。
次に、上記のような記憶データおよび下記の数1の式、数2の式に基づいて、Dr側の目標吹出温度TAO(Dr)、およびPa側の目標吹出温度TAO(Pa)を演算する(目標空調条件決定手段、吹出温度決定手段:ステップS4)。
【数1】
Figure 0004016360
【数2】
Figure 0004016360
【0039】
但し、Tset(Dr)およびTset(Pa)は、それぞれDr側空調ゾーンの設定温度、Pa側空調ゾーンの設定温度を表し、Tr、TAMは、それぞれ内気温、外気温を表す。Kset、Kr、KAM、Ks、Kd(Dr)およびKd(Pa)は、それぞれ温度設定ゲイン、内気温ゲイン、外気温ゲイン、日射量ゲイン、第1、第2空調ゾーンの温度差補正ゲインを表す。また、TAODr(LRN)とTAOPa(LRN)とは、学習による制御特性補正量を表す。
【0040】
なお、Ka(Dr)、Ka(Pa)は、それぞれ外気温TAMがDr側空調ゾーンおよびPa側空調ゾーンの各空調温度に及ぼす影響度合を補正するゲインを表し、Cd(Dr)、Cd(Pa)は上記影響度合に応じた定数、C(Dr)、C(Pa)は補正定数を表す。ここで、Ka(Dr)、Ka(Pa)、Cd(Dr)、Cd(Pa)といった値は、車両の形や大きさ、空調ユニット1の吹出風向等様々なパラメータで変化する。
【0041】
なお、Dr側の目標吹出温度TAO(Dr)をファジィ演算する場合の具体的な方法を図4および図5を用いて説明する。ここで、図4は各外気温に対するファジィルール表を示した図で、図5(a)〜図5(c)はメンバーシップ関数を示した図である。
【0042】
例えば外気温がTAM=10(℃)、日射量がTsd=0(W/m2 )、温度偏差がTdidr(=Trd−Tsetd)=0の時の制御特性補正量を求める。
この場合、図5より関係する(適合度が0より大きい)ファジィルールは、Aのみであるため、Aが100%適用される。よって、0×100%=0で、この場合の制御特性補正量は0である。
【0043】
次に、外気温がTAM=10(℃)、日射量がTsd=100(W/m2 )、温度偏差がTdidr=0の時の制御特性補正量を求める。
この場合には、図5より、関係するファジィルールは、AとBとである。図5(c)より、YOの適合度は0.5、YYの適合度も0.5であるため、A+B=0×0.5+(−7)×0.5=−3.5となり、この場合の制御特性補正量は−3.5である。
【0044】
次に、外気温がTAM=10(℃)、日射量がTsd=100(W/m2 )、温度偏差がTdidr=3の時の制御特性補正量を求める。
この場合、図5(a)および図5(c)より、関係するファジィルールは、AとBとCとDである。図5(a)より、ZOの適合度は0.7、PMの適合度は0.3、YOの適合度は0.5、YYの適合度は0.5であるため、A+B+C+D=0×0.5×0.7+(−7)×0.5×0.7+0×0.5×0.3+(−7)×0.5×0.3=−3.5となり、この場合の制御特性補正量は、−3.5である。
【0045】
次に、外気温がTAM=12(℃)、日射量がTsd=100(W/m2 )、温度偏差がTdidr=3の時の制御特性補正量を求める。
この場合、図5(a)〜図5(c)より、関係するファジィルールはA、B、C、D、E、F、G、Hである。図5(a)より、ZOの適合度は0.7、PMの適合度は0.3、図5(b)より、SAの適合度は0.8、SUの適合度は0.2、図5(c)より、YOの適合度は0.5、YYの適合度は0.5であるため、A+B+C+D+E+F+G+H=0×0.8×0.5×0.7+(−7)×0.8×0.5×0.7+0×0.8×0.5×0.3+(−7)×0.8×0.5×0.3+0×0.2×0.5×0.7+(−7)×0.2×0.5×0.7+0×0.2×0.5×0.3+(−7)×0.2×0.5×0.3=−3.5となり、この場合の制御特性補正量は、−3.5である。
また、吹出風量等、その他の演算方法も同様である。
【0046】
次に、上記のステップS4で求めた目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)に基づいてブロワ4に印加するブロワ制御電圧VAを演算する(吹出風量決定手段:ステップS5)。具体的には、上記のブロワ制御電圧VAは、目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)にそれぞれ適合したブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)を図6の特性図に基づいて求めた後、学習による制御特性補正量VADr(LRN)、VAPa(LRN)を補正し、その後に、それらのブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)を平均化処理することにより得ている。
【0047】
次に、上記のステップS4で求めた目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)と、図7の特性図に示した目標吹出温度に対する吹出口モード特性とに基づいてDr側空調ゾーンおよびPa側空調ゾーンの各吹出口モードを決定する(ステップS6)。このとき、図7に用いられる横軸TAO(Dr)、TAO(Pa)は、学習による制御特性補正量MOd(LRN)、MOp(LRN)を補正したものを用いる。具体的には、吹出口モードの決定においては、上記の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が低い温度から高い温度にかけて、FACEモード、B/LモードおよびFOOTモードとなるように決定されている。
【0048】
なお、上記のFACEモードとは、空調風を乗員の上半身(頭胸部)に向けて吹き出す吹出口モードである。また、B/Lモードとは、空調風を乗員の上半身(頭胸部)および足元部に向けて吹き出す吹出口モードである。そして、FOOTモードとは、空調風を乗員の足元部に向けて吹き出す吹出口モードである。そして、本実施形態では、エアコン操作パネル56に設けられたMODEスイッチ64を押して吹出口モードを変更すると、上記のFACEモード、B/LモードおよびFOOTモードの他に、空調風を乗員の足元部および車両のフロントウインドの内面に向けて吹き出すF/Dモードも設定できる。また、本実施形態では、エアコン操作パネル56に設けられたフロントデフロスタスイッチ74を操作すると、空調風を車両のフロントウインドの内面に向けて吹き出すDEFモードが設定される。
【0049】
次に、Dr側A/Mダンパ15の目標A/M開度SW(Dr)(%)およびPa側A/Mダンパ16のエアミックス(A/M)ダンパ開度SW(Pa)(%)を演算する(ステップS7)。このようなA/Mダンパ開度SW(Dr)およびA/Mダンパ開度SW(Pa)の演算は、目標吹出温度TAO(Dr)および目標吹出温度TAO(Pa)と、エバ後温度センサ54にて検出したエバ後温度(TE)と、冷却水温センサ55にて検出した冷却水温度(TW)と、下記の数3の式および数4の式とに基づいて行われる。
【0050】
【数3】
SW(Dr)={TAO(Dr)−TE}×100/(TW−TE)
【数4】
SW(Pa)={TAO(Pa)−TE}×100/(TW−TE)
【0051】
次に、決定されたブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)となるようにブロワ駆動回路8に出力信号を送る(空調状態制御手段:ステップS8)。
次に、決定されたA/Mダンパ開度SW(Dr)およびA/Mダンパ開度SW(Pa)となるようにサーボモータ17、18に出力信号を送る(空調状態制御手段:ステップS9)。
次に、決定された吹出口モードとなるようにサーボモータ27、28、38に出力信号を送る(空調状態制御手段:ステップS10)。
そして、図16のサブルーチンが起動して、液晶ディスプレイ69に出力信号を送るディスプレイ出力制御を行う(ステップS11)。その後に、ステップS2の処理に戻る。
【0052】
次に、エアコンECU50による学習処理制御を図8ないし図15に基づいて説明する。ここで、図8はエアコンECU50による学習処理制御を示したフローチャートである。
【0053】
先ず、図8のサブルーチンが起動すると、いずれかのDr側、Pa側学習スイッチ71、72が学習モード(LRN)に設定されているか否かを判定する(ステップS21)。なお、本実施形態では、Dr側、Pa側学習スイッチ71、72を操作することにより、Dr側空調ゾーン内の車両乗員とPa側空調ゾーン内の車両乗員とで互いに独立して設定できる。この判定結果がNOの場合には、すなわち、いずれのDr側、Pa側学習スイッチ71、72も標準モード(STD)に設定されている場合には、図8のサブルーチンを抜ける。よって、図9に示したファジィルールを用いた補正は用いられず、初期設定の状態で空調制御が行われる。
【0054】
また、ステップS21の判定結果がYESの場合には、すなわち、いずれかのDr側、Pa側学習スイッチ71、72が学習モード(LRN)に設定されている場合には、車両乗員(例えばDr側の乗員)がDr側温度設定スイッチ61またはPa側温度設定スイッチ62のいずれかを操作したか否かを判定する。すなわち、Dr側の設定温度またはPa側の設定温度が変更(吹出温度上昇操作または吹出温度低下操作)されたか否かを判定する(ステップS22)。この判定結果がNOの場合には、すなわち、いずれのDr側、Pa側温度設定スイッチ61、62も操作されていない場合には、ステップS24の処理に移る。
また、ステップS22の判定結果がYESの場合には、Dr側、Pa側温度設定スイッチ61、62のいずれかが操作された場合には、図10のサブルーチンが起動して、日射量の増減に応じた時定数処理を行う(ステップS23)。
【0055】
次に、図10のサブルーチンが起動すると、先ず、日射センサ53にて検出している実際の日射量(実日射量)が増加したか否かを判定する(ステップS31)。この判定結果がYESの場合には、すなわち、実日射量が増加した場合には、(実日射量×0.8)が、日射変化に対して遅れを持たせている制御用遅延処理後の日射量よりも小さいか否かを判定する(ステップS32)。この判定結果がYESの場合には、すなわち、実日射量と制御用遅延処理後の日射量とがほぼ等しいと判断した場合には、現在の条件に合うファジィルールを、Dr側温度設定スイッチ61またはPa側温度設定スイッチ62のいずれかの操作量に応じて変更する(ステップS33)。その後に、図10のサブルーチンを抜ける。
【0056】
吹出温度操作の場合には、メンバーシップ関数から関連する条件を見つけに行く。
今、車両乗員がDr側の設定温度Tset(Dr)を1℃下げたとして、そのときの条件がTr(Dr)=25℃、Tset(Dr)=25℃、TAM=15℃、Tsd=500W/m2 とする。すると、図5のメンバーシップ関数より変更されるファジィルールは、温度偏差がZOとPM、外気温がSAとSU、日射量がYYとCHとなる。
【0057】
ここで、各適合度に従い、割合で振分けても良いが、ここでは説明を分かり易くするため、関連するルール全てに−7℃(本実施形態では設定温度1℃当り、TAO(Dr)=7℃の変化に置き換える)の変更を加えることにする。この変化後のファジィルールを図4に示す。
【0058】
また、ステップS32の判定結果がNOの場合には、制御用遅延処理後の日射量に実日射量の値を代入する(ステップS34)。なお、この値は、実日射量に等しくなくても、現在の値より実日射量に近づけば、若干でも良い。
次に、車両乗員が吹出温度低下操作を行ったか否かを判定する。すなわち、車両乗員が設定温度を下げたか否かを判定する(ステップS35)。この判定結果がYESの場合には、今後、Dr側の設定温度用日射増加時の時定数を現在値よりも10秒間短く設定する(ステップS36)。その後に、ステップS33に進む。
【0059】
また、ステップS35の判定結果がNOの場合には、今後、Dr側の設定温度用日射増加時の時定数を現在値よりも10秒間長く設定する(ステップS37)。その後に、ステップS33に進む。
なお、Dr側の設定温度用日射増加時の初期時定数は例えば30秒間に設定されている。そして、この時定数の値は学習制御を繰り返すことにより10秒間毎増減する。但し、最低値と最高値とを持つことが望ましく、例えば最低値は10秒間、最高値は50秒間としても良い。
【0060】
また、ステップS31の判定結果がNOの場合には、日射センサ53にて検出している実際の日射量(実日射量)が減少したか否かを判定する(ステップS38)。この判定結果がYESの場合には、すなわち、実日射量が減少した場合には、実日射量が(制御用遅延処理後の日射量×0.8)よりも大きいか否かを判定する(ステップS39)。この判定結果がYESの場合には、ステップS33に進む。
【0061】
また、ステップS39の判定結果がNOの場合には、制御用遅延処理後の日射量に実日射量の値を代入する(ステップS40)。次に、車両乗員が吹出温度低下操作を行ったか否かを判定する。すなわち、車両乗員が設定温度を下げたか否かを判定する(ステップS41)。この判定結果がYESの場合には、今後、Dr側の設定温度用日射増加時の時定数を現在値よりも10秒間長く設定する(ステップS42)。その後に、ステップS33に進む。
【0062】
また、ステップS41の判定結果がNOの場合には、今後、Dr側の設定温度用日射増加時の時定数を現在値よりも10秒間短く設定する(ステップS43)。その後に、ステップS33に進む。
なお、Dr側の設定温度用日射減少時の初期時定数は例えば120秒間に設定されている。但し、最低値と最高値とを持つことが望ましく、例えば最低値は60秒間、最高値は180秒間としても良い。
【0063】
次に、車両乗員(例えばDr側の乗員)がブロワ風量切替スイッチ65を操作したか否かを判定する。すなわち、ブロワ風量が変更(吹出風量増加操作または吹出風量減少操作)されたか否かを判定する(ステップS24)。この判定結果がNOの場合には、すなわち、ブロワ風量切替スイッチ65が操作されていない場合には、ステップS26の処理に移る。
また、ステップS24の判定結果がYESの場合には、すなわち、ブロワ風量切替スイッチ65が操作された場合には、図11のサブルーチンが起動して、日射量の増減に応じた時定数処理を行う(ステップS25)。
【0064】
次に、図11のサブルーチンが起動すると、先ず、日射センサ53にて検出している実日射量が増加したか否かを判定する(ステップS51)。この判定結果がYESの場合には、すなわち、実日射量が増加した場合には、(実日射量×0.8)が制御用遅延処理後の日射量よりも小さいか否かを判定する(ステップS52)。この判定結果がYESの場合には、すなわち、実日射量と制御用遅延処理後の日射量とがほぼ等しいと判断した場合には、現在の条件に合うファジィルールを、ブロワ風量切替スイッチ65の操作量に応じて変更する(ステップS53)。その後に、図11のサブルーチンを抜ける。
【0065】
吹出風量操作の場合も、メンバーシップ関数から、関連する条件を見つけに行く。
今、ブロワ制御電圧を1V上げたとして、そのときの条件がTr(Dr)=25℃、Tset(Dr)=25℃、TAM=10℃、Tsd=200W/m2 、Tr(Pa)=26℃、Tset(Pa)=27℃、Tsp=500W/m2 とする。
【0066】
本実施形態では、ブロワ風量は、Dr側、Pa側共同じブロワ風量となるので、VADr(LRN)とVAPa(LRN)とは同時に学習される。もちろん、ブロワモータ9を複数設けたり、配風機構を設けたりして、左右でブロワ風量を変化させられる場合は、設定温度と同様に、左右独立に学習することは言うまでもない。
この変更後のファジィルールを図12および図13に示す。
【0067】
また、ステップS52の判定結果がNOの場合には、車両乗員が吹出風量増加操作を行ったか否かを判定する。すなわち、車両乗員がブロワ風量を上げたか否かを判定する(ステップS54)。この判定結果がYESの場合には、制御用遅延処理後の日射量に実日射量の値を代入する(ステップS55)。この値は実日射量に等しくなくても、現在の値よりも実日射量に近づけば若干でも良い。次に、今後、ブロワ風量用日射増加時の時定数を現在値よりも10秒間短く設定する(ステップS56)。その後に、ステップS53に進む。
【0068】
また、ステップS54の判定結果がNOの場合には、制御用遅延処理後の日射量に0を代入する(ステップS57)。この値は0に等しくなくても、現在の値よりも0に近づけば若干でも良い。次に、今後、ブロワ風量用日射増加時の時定数を現在値よりも10秒間長く設定する(ステップS58)。その後に、ステップS53に進む。
なお、時定数が上限または下限の状態で、更にブロワ風量の操作がある時は、通常の学習(ステップS53)を行うことが望ましい。また、ブロワ風量の時定数の値も設定温度と同様に、最低値と最高値とを持つことが望ましい。
【0069】
また、ステップS51の判定結果がNOの場合には、日射センサ53にて検出している実日射量が減少したか否かを判定する(ステップS59)。この判定結果がYESの場合には、すなわち、実日射量が減少した場合には、実日射量が(制御用遅延処理後の日射量×0.8)よりも大きいか否かを判定する(ステップS60)。この判定結果がYESの場合には、ステップS53に進む。
【0070】
また、ステップS60の判定結果がNOの場合には、車両乗員が吹出風量増加操作を行ったか否かを判定する。すなわち、車両乗員がブロワ風量を上げたか否かを判定する(ステップS61)。この判定結果がYESの場合には、制御用遅延処理後の日射量に800W/m2 を代入する(ステップS62)。次に、今後、ブロワ風量用日射減少時の時定数を現在値よりも10秒間長く設定する(ステップS63)。その後に、ステップS53に進む。
【0071】
また、ステップS61の判定結果がNOの場合には、制御用遅延処理後の日射量に実日射量の値を代入する(ステップS64)。次に、今後、Dr側の設定温度用日射増加時の時定数を現在値よりも10秒間短く設定する(ステップS65)。その後に、ステップS53に進む。
なお、Dr側の設定温度用日射減少時の初期時定数は例えば120秒間に設定されている。但し、最低値と最高値とを持つことが望ましく、例えば最低値は60秒間、最高値は180秒間としても良い。
【0072】
次に、車両乗員(例えばDr側の乗員)がMODEスイッチ64を操作したか否かを判定する。すなわち、吹出口モードが変更されたか否かを判定する(ステップS26)。この判定結果がNOの場合には、すなわち、MODEスイッチ64が操作されていない場合には、図8のサブルーチンを抜ける。
また、ステップS26の判定結果がYESの場合には、すなわち、MODEスイッチ64が操作された場合には、現在の条件に合うファジィルールを、MODEスイッチ64の変更量(切り替えられた吹出口モード)に応じて変更する(ステップS27)。その後に、図8のサブルーチンを抜ける。
【0073】
なお、AUTOスイッチ67が押されている状態から、MODEスイッチ64を押すとFACEモードが指令され、次にMODEスイッチ64を押すとB/Lモードが指令され、次にMODEスイッチ64を押すとFOOTモードが指令され、次にMODEスイッチ64を押すとF/Dモードが指令され、次にMODEスイッチ64を押すとFACEモードが指令される。以降これを繰り返すように構成されている。
【0074】
ここで、吹出口モードの学習はメンバーシップ関数から関連する条件を見つけに行く。
今、吹出口モードをB/Lモードに切り替えたとして、そのときの条件がTr(Dr)=25℃、Tset(Dr)=25℃、TAM=0℃、Tsd=500W/m2 、Tr(Pa)=25℃、Tset(Pa)=25℃、Tsp=500W/m2 とする。
【0075】
本実施形態では、MODEスイッチ64を1個だけ有しているので、車両乗員のマニュアル操作で吹出口モードを左右独立に設定できないので、制御特性補正量MOd(LRN)とMOp(LRN)とは同時に学習される。もちろん、左右独立に設定できるよう新たにPa側の吹出口モード切替スイッチを設けた場合は、設定温度と同様に、左右独立に学習できることは言うまでもない。
【0076】
吹出口モードの学習は、目標吹出温度に応じて吹出口モードを決定する図6の特性図に対し、横軸TAO(Dr)、TAO(Pa)に補正を加えることで行われる。具体的には、今回の条件で、TAO(Dr)、TAO(Pa)は例えば50℃であったとする。このとき、図6の特性図で、TAO(Dr)、TAO(Pa)が例えば40℃になるとFOOTモードからB/Lモードへの変更が行われたとすると、学習モードでマニュアル操作によってB/Lモードに切り替えられた時は、この条件で−10の補正を加えることを学習する。ファジィルールの変更で見ると、図14および図15のようになる。
【0077】
なお、冷凍サイクルのコンプレッサのON/OFFについては、コンプレッサのONを1とし、コンプレッサのOFFを0とし、設定温度の学習と同様に行う。また、吸込口モードも内気循環モードを1とし、外気導入モードを0として、設定温度の学習と同様に行う。
【0078】
次に、エアコンECU50によるディスプレイ出力制御を図16ないし図21に基づいて説明する。ここで、図16はエアコンECU50によるディスプレイ出力制御を示したフローチャートである。
【0079】
図16のサブルーチンが起動すると、現在よりも5秒前までに、車両乗員のマニュアル操作により学習が行われたか否かを判定する(ステップS71)。ここで、5秒間というのは、ステップS73のディスプレイ出力が5秒間行われるからで特に5秒に限るものではない。
【0080】
このステップS71の判定結果がNOの場合には、Dr側の目標吹出温度TAO(Dr)またはPa側の目標吹出温度TAO(Pa)の制御出力補正量TAODr(LRN)、TAOPa(LRN)に応じて、液晶ディスプレイ69中の設定温度表示部分の表示を変更する(ステップS72)。
次に、ブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)の制御特性補正量VADr(LRN)、VAPa(LRN)に応じて、液晶ディスプレイ69中のブロワ風量表示部分の表示を変更する(ステップS73)。その後に、図16のサブルーチンを抜ける。
【0081】
また、ステップS71の判定結果がYESの場合には、すなわち、設定温度等の学習が行われていた場合には、ステップS75で行われる、図17ないし図19のような設定温度等のディスプレイ出力が5秒間行われたか否かを判定する(ステップS74)。なお、これは5秒間に限らない。この判定結果がYESの場合には、ステップS72に進む。
また、ステップS74の判定結果がNOの場合には、すなわち、5秒間のディスプレイ出力が終了していない場合には、図17ないし図19のような設定温度等のディスプレイ出力を行うように液晶ディスプレイ69を制御する(ステップS75)。その後に、図16のサブルーチンを抜ける。ここで、設定温度に対する温感表示の一例を図20に示し、標準ブロワ制御電圧に対する制御特性補正量と風速感表示の一例を図21に示した。
【0082】
したがって、いずれかのDr側、Pa側学習スイッチ71、72が押されている時に、車両乗員のマニュアル操作が行われた場合には、図17ないし図19のような設定温度等のディスプレイ出力を行うことにより、車両乗員に確かに学習が行われたことを知らせることができる。これは、図17ないし図19に示したように、A/C用LCDに表示しても良いし、マルチビジョン(図示せず)装着車であればそのディスプレイ上に表示して車両乗員に知らせるようにしても良い。また、音声発生装置(図示せず)装着車であれば、音声を用いて車両乗員に知らせるようにしても良い。
さらに、図17ないし図19に示したような諸条件(日射量、外気温、内気温)はグラフやLED表示など、車両乗員のマニュアル操作による操作量に応じた物理量を知らせることが可能な手段なら何でも良い。
【0083】
〔第1実施形態の効果〕
以上のように、本実施形態では、車両乗員によるマニュアル操作が行われた時、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspとの差が所定値以上の場合には、制御特性補正量を0にすることにより、誤学習されることはない。したがって、次回の熱負荷変化時に車両乗員に違和感を与えることもなく、また、システムへの信頼性を低下させることもない。
【0084】
そして、車両乗員に直接日射光が当たる等して快適感を増すために、車両乗員がブロワ風量増加操作または設定温度低下操作をした時、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspよりも所定値以上大きい場合には、実日射量の小さい時にマニュアル操作が行われたものと判断されることはなく、車両乗員の意図と違う学習が成されることはない。
【0085】
また、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspよりも所定値以上大きい場合には、車両乗員がブロワ風量増加操作または設定温度低下操作した後は、マニュアル操作が行われる前よりも、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspが実日射量に近づき易くなるので、実日射量の大きい時に車両乗員によるマニュアル操作が行われたものと判断される。したがって、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の熱負荷変化時に車両乗員の希望を反映できるので、車両乗員に違和感を与えることもなく、また、システムへの信頼性を低下させることもない。
【0086】
そして、車両乗員がブロワ風量減少操作または設定温度上昇操作をした時、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspよりも所定値以上大きい場合に、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspを0に等しくすることにより、車両乗員が希望する空調状態と違う学習が成されることはなく、次回の日射量変化時に設定温度またはブロワ風量を車両乗員が希望する状態にし易くなる。
【0087】
さらに、実日射量が大きく、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspが小さい場合に、マニュアル操作でブロワ風量減少操作または設定温度上昇操作が行われた後は、マニュアル操作が行われる前よりも、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspが実日射量に近づき難くなるので、実日射量が大きい時にマニュアル操作が行われたものと判断されることはない。
【0088】
また、車両乗員がブロワ風量増加操作または設定温度低下操作をした時、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspよりも所定値以上小さい場合には、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspを、マニュアル操作があった時よりも、大きな値とすることにより、日射量が大きい時に車両乗員の操作が行われたものと判断される。これにより、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の日射量変化時に車両乗員の希望が反映される。
【0089】
そして、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspよりも所定値以上小さい場合に、車両乗員がブロワ風量増加操作または設定温度低下操作をした後は、マニュアル操作が行われる前よりも、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspが検出熱負荷に近づき難くなるので、実日射量が小さい時に車両乗員の操作が行われたものと判断されることはない。
【0090】
さらに、車両乗員に当たっていた日射光が車両乗員を外れる等して快適感を増すために、車両乗員がブロワ風量減少操作または設定温度上昇操作をした時、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspよりも所定値以上小さい場合には、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspを実日射量に等しくすることにより、実日射量に近い値の時に車両乗員の操作が行われたものと判断される。これにより、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の日射量変化時に車両乗員の希望が反映される。
【0091】
また、実日射量が制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspよりも所定値以上小さい場合に、車両乗員がブロワ風量減少操作または設定温度上昇操作をした後は、手動設定手段の操作が行われる前よりも、制御用遅延処理後の日射量Tsd、Tspが実日射量に近づき易くなるので、実日射量が大きい時に車両乗員の操作が行われたものと判断される。したがって、車両乗員の希望に沿った学習が成され、次回の熱負荷変化時に車両乗員の希望を反映できるので、車両乗員に違和感を与えることもなく、また、システムへの信頼性を低下させることもない。
【0092】
〔他の実施形態〕
第1実施形態では、吹出口モードがFACEモードまたはB/Lモードの時のみDr側サイドFACE吹出口22およびPa側サイドFACE吹出口32から空気流(主に冷風)を吹き出すようにしたが、吹出口モードがFOOTモード、F/DモードまたはDEFモードの時もDr側サイドFACE吹出口22およびPa側サイドFACE吹出口32から空気流(主に温風)を吹き出すようにしても良い。すなわち、いずれの吹出口モードにおいても、Dr側サイドFACE吹出口22およびPa側サイドFACE吹出口32が開口するように空調ダクト2の形状やDr側、Pa側吹出口切替ダンパ25、35の設置位置を変更しても良い。
【0093】
第1実施形態では、本発明をDr側空調ゾーン(一方側空調ゾーン)とPa側空調ゾーン(他方側空調ゾーン)との左右の温度調節を互いに独立して行うことが可能な車両用空調装置に適用したが、本発明を車室内の前部座席側空調ゾーン(一方側空調ゾーン)と後部座席側空調ゾーン(他方側空調ゾーン)との温度調節を互いに独立して行うことが可能な車両用空調装置に適用しても良い。また、本発明を車室内の温度調節を1つの吹出温度可変手段により行う車両用空調装置に適用しても良い。
【0094】
本実施形態では、日射センサとしてDr側、Pa側日射強度検知手段を有する日射センサ53を設けたが、日射センサとして日射強度検知手段および日射方向検知手段を有する日射センサを設けても良く、日射強度検知手段、日射方向検知手段および日射高度検知手段を有する日射センサを設けても良い。また、マイクロコンピュータで日射センサ信号を入力して日射強度、日射方向(日射方位角)および日射高度(太陽仰角)を演算するようにしても良い。さらに、日射センサとして、カーナビゲーションシステムのマイクロコンピュータにその日時の太陽高度や車両の現在位置に対する日射方向を記憶させている場合には、そのカーナビゲーションシステムの出力信号を日射センサ信号としてエアコンECUに読み込むようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用空調装置の全体構成を示した構成図である(第1実施形態)。
【図2】エアコン操作パネルを示した平面図である(第1実施形態)。
【図3】エアコンECUの制御プログラムの一例を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図4】(a)〜(d)は各外気温に対するファジィルール表を示した図である(第1実施形態)。
【図5】(a)〜(c)は温度偏差、外気温および日射量に対するメンバーシップ関数を示した図である(第1実施形態)。
【図6】目標吹出温度に対するブロワ制御電圧を示した特性図である(第1実施形態)。
【図7】目標吹出温度に対する吹出口モードを示した特性図である(第1実施形態)。
【図8】エアコンECUによる学習処理制御を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図9】(a)〜(d)は各外気温に対するファジィルール表を示した図である(第1実施形態)。
【図10】エアコンECUによる学習処理制御を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図11】エアコンECUによる学習処理制御を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図12】(a)〜(d)は各外気温に対するファジィルール表を示した図である(第1実施形態)。
【図13】(a)〜(d)は各外気温に対するファジィルール表を示した図である(第1実施形態)。
【図14】(a)〜(d)は各外気温に対するファジィルール表を示した図である(第1実施形態)。
【図15】(a)〜(d)は各外気温に対するファジィルール表を示した図である(第1実施形態)。
【図16】エアコンECUによるディスプレイ出力制御を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図17】エアコン操作パネルの表示形態を示した説明図である(第1実施形態)。
【図18】エアコン操作パネルの表示形態を示した説明図である(第1実施形態)。
【図19】エアコン操作パネルの表示形態を示した説明図である(第1実施形態)。
【図20】設定温度と温感表示の変換との関係を示した説明図である(第1実施形態)。
【図21】標準ブロワ制御電圧に対する制御特性補正量と風速感表示の変換との関係を示した説明図である(第1実施形態)。
【図22】実日射量に対する遅延処理後の日射量の変化を示したタイムチャートである(第1実施形態)。
【符号の説明】
1 空調ユニット
2 空調ダクト
4 ブロワ
9 ブロワモータ
15 Dr側A/Mダンパ
16 Pa側A/Mダンパ
21 Dr側センタFACE吹出口
22 Dr側サイドFACE吹出口
31 Pa側センタFACE吹出口
32 Pa側サイドFACE吹出口
50 エアコンECU(遅延処理手段、空調状態制御手段、設定情報記憶手段、制御特性記憶手段、補正量決定手段、制御特性補正手段)
53 日射センサ(熱負荷検出手段、日射情報検出手段)
61 Dr側温度設定スイッチ(手動設定手段)

Claims (12)

  1. 車室内の空調状態を変更することが可能な空調状態可変手段と、
    車両乗員が操作することによって前記空調状態可変手段の空調状態を希望の空調状態に設定する手動設定手段と、
    車室内の熱負荷を検出する熱負荷検出手段と、
    この熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷に対して所定の時定数の値を用いて遅延処理を行う遅延処理手段と、
    前記手動設定手段にて設定された設定空調条件および前記遅延処理手段にて遅延処理された遅延処理後の熱負荷に基づいて目標空調条件を決定し、前記空調状態可変手段の空調状態が、決定された目標空調条件と合致するように前記空調状態可変手段を自動的に制御する空調状態制御手段と、
    前記手動設定手段が操作されたときの、前記検出熱負荷、前記遅延処理後の熱負荷、前記目標空調条件または前記設定空調条件のうちの1つ以上の設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
    この設定情報記憶手段に記憶された設定情報から、前記空調状態制御手段の制御特性を補正するための制御特性補正量であって、前記目標空調条件を補正する制御特性補正量を決定する補正量決定手段と、
    この補正量決定手段で演算された制御特性補正量によって前記目標空調条件を補正し、前記空調状態制御手段の制御特性を補正する制御特性補正手段と
    を備え、
    前記補正量決定手段は、前記手動設定手段が操作された際、前記検出熱負荷と前記遅延処理後の熱負荷とに所定値以上の差がある場合に、前記制御特性補正量を、前記検出熱負荷と前記遅延処理後の熱負荷とに所定値以上の差がない時に比べて少なくするか、あるいは0にすることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 請求項1に記載の車両用空調装置において、
    前記補正量決定手段は、前記手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた際、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、前記遅延処理後の熱負荷を、前記手動設定手段の操作があった時よりも、前記検出熱負荷に近づけるか、あるいは等しくすることを特徴とする車両用空調装置。
  3. 請求項2に記載の車両用空調装置において、
    前記補正量決定手段は、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、前記手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた後、前記遅延処理後の熱負荷が前記検出熱負荷に近づく早さが、前記手動設定手段の操作が行われる前よりも、早くなることを特徴とする車両用空調装置。
  4. 請求項1に記載の車両用空調装置において、
    前記補正量決定手段は、前記手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた際、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、前記遅延処理後の熱負荷を、前記手動設定手段の操作があった時よりも、0に近づけるか、あるいは等しくすることを特徴とする車両用空調装置。
  5. 請求項4に記載の車両用空調装置において、
    前記補正量決定手段は、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上大きい場合に、前記手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた後、前記遅延処理後の熱負荷が前記検出熱負荷に近づく早さが、前記手動設定手段の操作が行われる前よりも、遅くなることを特徴とする車両用空調装置。
  6. 車室内の空調状態を変更することが可能な空調状態可変手段と、
    車両乗員が操作することによって前記空調状態可変手段の空調状態を希望の空調状態に設定する手動設定手段と、
    車室内の熱負荷を検出する熱負荷検出手段と、
    この熱負荷検出手段にて検出した検出熱負荷に対して所定の時定数の値を用いて遅延処理を行う遅延処理手段と、
    前記手動設定手段にて設定された設定空調条件および前記遅延処理手段にて遅延処理された遅延処理後の熱負荷に基づいて目標空調条件を決定し、前記空調状態可変手段の空調状態が、決定された目標空調条件と合致するように前記空調状態可変手段を自動的に制御する空調状態制御手段と、
    前記手動設定手段が操作されたときの、前記検出熱負荷、前記遅延処理後の熱負荷、前記目標空調条件または前記設定空調条件のうちの1つ以上の設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
    この設定情報記憶手段に記憶された設定情報から、前記空調状態制御手段の制御特性を補正するための制御特性補正量であって、前記目標空調条件を補正する制御特性補正量を決定する補正量決定手段と、
    この補正量決定手段で演算された制御特性補正量によって前記目標空調条件を補正し、前記空調状態制御手段の制御特性を補正する制御特性補正手段と
    を備え、
    前記補正量決定手段は、前記手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた際、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、前記遅延処理後の熱負荷を、前記手動設定手段の操作があった時よりも、大きな値とすることを特徴とする車両用空調装置。
  7. 請求項6に記載の車両用空調装置において、
    前記補正量決定手段は、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、前記手動設定手段の操作で吹出風量増加操作または吹出温度低下操作が行われた後、前記遅延処理後の熱負荷が前記検出熱負荷に近づく早さが、前記手動設定手段の操作が行われる前よりも、遅くなることを特徴とする車両用空調装置。
  8. 請求項6に記載の車両用空調装置において、
    前記補正量決定手段は、前記手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた際、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、前記遅延処理後の熱負荷を、前記手動設定手段の操作があった時よりも、前記検出熱負荷に近づけるか、あるいは等しくすることを特徴とする車両用空調装置。
  9. 請求項8に記載の車両用空調装置において、
    前記補正量決定手段は、前記検出熱負荷が前記遅延処理後の熱負荷よりも所定値以上小さい場合に、前記手動設定手段の操作で吹出風量減少操作または吹出温度上昇操作が行われた後、前記遅延処理後の熱負荷が前記検出熱負荷に近づく早さが、前記手動設定手段の操作が行われる前よりも、早くなることを特徴とする車両用空調装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、 車室内の空調ゾーンに向けて空調風を吹き出すための吹出口を有する空調ユニットを備え、
    前記空調状態制御手段は、前記吹出口から吹き出す空調風の吹出風量を決定する吹出風量決定手段、および前記吹出口から吹き出す空調風の吹出温度を決定する吹出温度決定手段を有し、
    前記吹出風量決定手段と前記吹出温度決定手段とは、それぞれ異なる時定数の値を用いて前記遅延処理を行うことを特徴とする車両用空調装置。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、車室内には、互いに独立して空調状態を変更することが可能な複数の空調ゾーンが設けられ、
    前記複数の空調ゾーンの各々の空調制御は、それぞれ異なる時定数の値を用いて前記遅延処理を行うことを特徴とする車両用空調装置。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記熱負荷検出手段は、車室内に射し込む日射情報を検出する日射情報検出手段であって、
    前記設定情報記憶手段は、前記手動設定手段が操作されたときの、前記日射情報検出手段にて検出した検出日射情報、前記遅延処理手段にて遅延処理された遅延処理後の日射情報、前記目標空調条件または前記設定空調条件のうちの1つ以上の設定情報を記憶することを特徴とする車両用空調装置。
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