JP4015119B2 - 静電モータ - Google Patents

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Description

本発明は、静電気力を駆動源とする静電モータに関する。
固定子用フィルム型電極と移動子用フィルム型電極を有し、該固定子用フィルム型電極と移動子用フィルム型電極にそれぞれ多相交流電源を接続して、移動子用フィルム型電極を固定子用フィルム型電極に対して相対移動させるようにした静電モータはマイクロマシン等の駆動源として開発されている(例えば、特許文献1等参照)。
従来の電磁力を利用する電機モータにおいては、磁気コイルや永久磁石等の磁力を発生させる部材を必要とし、小型に形成することが難しい。しかし、静電モータは、磁気コイルや永久磁石等の質量の大きい要素を必要としないことから、超小型のモータを形成することができマイクロマシンの駆動源等に利用される。
図19は、直動型の静電モータの概要説明図である。固定子用フィルム型電極1には、絶縁体4中に銅箔等の導電性の帯状薄膜又は細いワイヤ等で形成された各相の電極部3が埋め込まれている。同様に移動子用フィルム型電極2においても絶縁体4中に同様な電極部3が埋め込まれている。固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2にそれぞれの各相端子には、多相交流電源の各相出力が接続され固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2にそれぞれ進行波電界を発生させて、その進行波電界によって移動子用フィルム型電極2を固定子用フィルム型電極1に対して直動させる。大きな力を発生させるために固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の組みを複数組み積層して直動型静電モータを構成する。
又、回転型静電モータの場合では、図20の概要説明図で示すように、固定子用フィルム型電極1には、絶縁体4中に導電性の帯状薄膜又は細いワイヤ等で形成された各相の電極部3が放射状に配列されて埋め込まれている。同様に、移動子用フィルム型電極2にも絶縁体4中に各相電極部3が放射状に配列されて埋め込まれている。この回転型静電モータは、各相電極部3が放射状に配置されている点が、図19で示した直動型静電モータと異なるのみで、他は直動型静電モータと同一の構成であり、対応する各要素に対して同一符号を付している。この回転型静電モータも、固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2にそれぞれ多相交流電源を接続しそれぞれ進行波電界を発生させて、その進行波電界によって移動子を固定子に対して回転運動させるものである。
この回転型静電モータの場合にも、大きな力を発生させるために、固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2を1組とし複数組みを積層し、固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2はそれぞれ互いに連結して、大きな力を発生させるように構成されている。
図21は、固定子用及び移動子用のフィルム型電極1,2を形成するフィルム型電極1(又は2)の説明図である。図21(a)は、これらフィルム型電極1(2)の一方の面(表面)を正面から見た図であり、図21(b)他方の面(裏面)を正面から見た図で、電極部と該電極部に通電する通電路のパターンを表示している。電極部及び通電路を実線で表しているものは見た側にあるものを示し、破線は見た側とは反対側に配設されていることを示している。
又、図21(c)は、図21(a)のA−A’断面図である。固定子用及び移動子用のフィルム型電極1(又は2)には、絶縁体4中に導電性の帯状薄膜を又は細いワイヤ等で形成された各相の電極部3が埋め込まれている。図21では3相の交流電源で駆動されるフィルム型電極1(又は2)の例を示しており、3相交流電源の第1、第2、第3の各相出力にそれぞれ接続されるスルーホールメッキが施されたスルーホール導電部6a,6b,6cを備えている。第1の相の出力に接続されるスルーホール導電部6aには通電路5aを介して第1の相の各電極部3a,3a…が接続され、同様に、第2の相の出力に接続されるスルーホール導電部6bには通電路5bを介して第2の相の電極部3b,3b…が接続され、第3の相の出力に接続されるスルーホール導電部6cには通電路5cを介して各駆動用電極部3c,3c…が接続されている。なお、第2の相の通電路5bは、他の相の通電路5a、5cと交差し接触することを防ぐため他の相の通電路5a,5c、電極部3a〜3cが設けられた側とは反対側(裏面)に配置されており、スルーホール導電部7を介して第2の相の電極部3b,3bと接続されている。
図21(c)に示すA−A’断面図に示されるように、ベースフレーム4aを構成する2つの絶縁体のフィルムが背中合わせに接着されており、ベースフィルム4aの一方には接着された導電体に対してエッチング処理等で通電路5bを形成する通電路パターンが設けられている。又、ベースフィルム4aの他方には、電極部3a,3b,3c及び通電路5a,5cを形成する導電体のパターンがエッチング等で形成されている。そして、その外側をカバーフィルム4bで覆って絶縁層を形成している。すなわち、フィルム型電極1(又は2)は、カバーフィルム4bの層、通電路5bと接着剤の層、一方のベースフィルム4aの層、接着剤の層、他方のベースフィルム4aの層、電極部3a,3b,3c及び通電路5a,5cと接着剤の層、カバーフィルム4bの層で形成されている。
固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2を駆動する多相交流電源(図に示す例では3相の交流電源)の各相出力を各スルーホール導電部6a,6b,6cに接続して、それぞれ進行波電界を発生させて、その進行波電界によって移動子用フィルム型電極2を固定子用フィルム型電極1に対して移動させる。
図22〜図27は、この固定子用フィルム型電極1又は移動子用フィルム型電極2の組み立て工程と積層工程の説明図である。
まず、図22に示すように、各相の電極部3a〜3cと交流電源とを接続するベースフィルム4aにスルーホールを設け、該スルーホールをメッキして導電部6a’〜6c’,7を形成し、電極部3(3a〜3c)及び通電路5a〜5cを形成する銅箔等の導電体による帯状薄膜のパターンをエッチング等によって形成する。次にカバーフィルム4b,4bを電極部3等が設けられたベースフィルム4aの両面に接着剤で接着して固定子用及び移動子用のフィルム型電極1,2を作成する。なお、カバーフィルム4b,4bには、電源接続用のスルーホール導電部6a,6b,6cに対向してそれぞれスルーホール導電部6a”,6b”,6c”が設けられている。
次に、図23、図24に示すように、固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2のスルーホール導電部6a〜6c(6a’〜6c’と6a”,6b”,6c”で形成される導電部)とスペーサ部材10に設けられたスルーホール10a,10b,10cの位置を合わせ、スペーサ部材10を固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2の端部に配設し(図24、図25参照)、固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の電極部3が平行に配設されている有効駆動面が対向するように配置する(図26)。これによって、1組の固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2で形成される静電モータが形成される。
さらに、これら固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の組みを複数組み積層する場合には、図27(a)に示すように、固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の組みの位置合わせをして順次積層し(図27では1単位の静電モータを形成する固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の組みが2組の例を示している)、電源接続用のスルーホール導電部6a〜6cにそれぞれ通電ピン11(11a〜11c)を挿通する。固定子用フィルム型電極1の挿通ピン11(11a〜11c)に、固定子用の交流電源を接続し、移動子用フィルム型電極2の挿通ピン11(11a〜11c)に、移動子用の交流電源を接続することによって、固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2の各相の電極部3a〜3cには、通電ピン11,スルーホール導電部6a〜6cの導電部、通電路5a〜5c、さらには通電用のスルーホール導電部7を電力が供給される。
図27(b)は、通電ピン11に変えて、導電ゴムや導電性の金属バネで形成された接続部品12で積層する固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の電極部3へ通電させるものであり、スペーサ部材10のスルーホール導電部10a,10b,10cにこの接続部品を挿入し、その先端で固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2のスルーホール導電部6a〜6cに当接又は嵌合させて導電部と接続するようにしたものである。
こうして固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2の組みが複数積層され、各固定子用フィルム型電極1は固定子筐体に固定し、各移動子用フィルム型電極2は移動し筐体に固定する。これより、1単位の静電モータが複数単位積層されて多単位で構成される静電モータが得られる。
特開平6−78566号公報
上述した従来の従来の静電モータにおいては、固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2及びスペーサ部材10を所定位置に配置し、この固定子用フィルム型電極1、移動子用フィルム型電極2、スペーサ部材10の組みを複数積層して配置し、通電ピン11又は接続部品12で各固定子用フィルム型電極1、各移動子用フィルム型電極2をそれぞれ電気的に連結し、各固定子用フィルム型電極1及び各移動子用フィルム型電極2をそれぞれの筐体に固定している。
しかし、固定子用及び移動子用のフィルム型電極1,2は、前述したように、主にベースフィルム4aとカバーフィルム4bで形成されているものであるから、非常に薄い(数十μm程度の厚さ)ものであることから、このフィルム型電極1(2)に僅かな力が作用してもその位置、姿勢が変化し、固定子用及び移動子用のフィルム型電極1(2)及びスペーサ部材10を整列して一挙に組み立てることは非常に困難であった。
そこで、本発明の目的は、この従来、問題であった組み立て上の上述した問題を解決し、組み立てが容易な静電モータを提供することにある。
本発明は、電極部と、ベースフィルムと、カバーフィルムとを有する固定子用及び移動子用フィルム型電極を微小間隔で積層した静電モータであって、前記微小間隔を形成するための段差前記各フィルム型電極に形成されていることを特徴とするものである。この段差は、ベースフィルムにスペーサ部材を接着して形成し、ベースフィルムと前記スペーサ部材とを前記カバーフィルムで覆って形成されている。そして、スペーサ部材は厚み方向の通電機能を備える。さらにスペーサ部材は厚み方向の通電機能に加えて厚み方向以外の通電路パターンを備えるものとする。
また、前記段差をベースフィルムに段差をもたせて一体的に成形することによって形成することも、又は、カバーフィルムに段差をもたせて一体的に成形することによって形成することもできる。または、各フィルム型電極間に前記微小間隔を形成するためのスペーサ部材を前記各フィルム型電極に接着して形成する。この場合、スペーサ部材は厚み方向の通電機能をさらには、厚み方向の通電機能に加えて厚み方向以外の通電路パターンを備えるようにする。
また、ベースフィルムに前記段差を形成するためのスペーサ部材をリベットまたはネジにて固定し、前記ベースフィルムと前記スペーサ部材とを前記カバーフィルムで覆うようにしてもよい。若しくは、前記フィルム型電極にスペーサ部材をリベットまたはネジにて固定し、前記段差を形成してもよい。そして、こうして製造された固定子用フィルム型電極と移動子用フィルム型電極を前記段差によって微小間隔をもって対向配置して形成された1単位の静電モータを、複数組み積層して積層型の静電モータを得る。
本発明では、固定子用、移動子用フィルム型電極の一部に段差をもって肉厚部が形成されるから、フィルム型電極に僅かな力が作用してもその位置、姿勢が変化せず、又、組み立てるときに整列させる部材が少なく組み立てが容易となる。
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態における静電モータの組み立て工程の説明図である。なお、本発明の静電モータも従来と同様に図19、図20に示すような直動型静電モータや回転型静電モータを構成するものであるが、この実施形態として、直動型の静電モータの例を説明する。また、図19〜図27で示した従来例の要素と対応する要素には同一符号を付している。
ベースフィルム4aに電極部3a〜3c、該電極部3a〜3cに接続される通電路5a〜5cのパターンを形成するまでは従来の静電モータの製造方法と同一である。すなわち、ベースフィルム4aに接着された銅箔等の導電体で構成される帯状薄膜から電極部3a〜3c及び通電路5a〜5cを形成するパターンをエッチング等によって形成する。スルーホールを設けてメッキして導電部スルーホール導電部7を形成しベースフィルム4aの一方の面に設けられた通電路5bと他方の面に形成されている電極部3bとを電気的に接続する。この第1の実施形態では、電極部3a〜3cを設けた側に第1、第3の電極部3a、3cに通電するための通電路5a、5cを設け、ベースフィルム4aの反対側の面に第2の電極部3bに通電するための通電路5bを設けている。
こうして形成された電極部3a〜3c、通電路5a〜5cを備えるベースフィルム4aに対して、段差を形成するためのスペーサ部材10を、ベースフィルム4aの端部に接着する。このスペーサ部材10は絶縁材料で形成されるもので、ベースフィルム4aと同一材料で形成してもよいものである。そして、ベースフィルム4aにスペーサ部材10が接着された状態でスペーサ部材10及びベースフィルム4aに穴(スルーホール導電部6a〜6cを形成する穴)の加工を行う。次にこの穴をメッキしてスルーホール導電部6a’〜6c’及びスルーホール導電部7を形成し、該スルーホール導電部とベースフィルムの4aの通電路5a〜5cが電気的に接続される。なお、スペーサ部材10をベースフィルム4aに接着する代わりに、スペーサ部材10をベースフィルム4aにリベット又はネジで固定するようにしてもよい。
その後、図2に示すように、ベースフィルム4aとスペーサ部材10が一体化したものの両面に対してスルーホール導電部6a''〜6c''が加工されたカバーフィルム4b,4bを接着してスルーホール導電部6a〜6cとし、固定子用又は移動子用のフィルム型電極1,2をスペーサ部材10による段差を持ったものとして一体的に形成する。
図3は、こうして製造された固定子用又は移動子用のフィルム型電極1,2の断面図である。この図2,図3に示されるように、固定子用又は移動子用のフィルム型電極1,2は、スペーサ部材10と一体的に形成されるので、スペーサ部材の剛性によって、フィルム型電極1(2)の取扱が容易となる。
そこで、図4に示すように、固定子用フィルム型電極1の駆動用電極部面に対向させて移動子用フィルム型電極2の駆動用電極部面を対向させて、この固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の組を複数組み、固定子用及び移動子用フィルム型電極1,2のそれぞれのスルーホール導電部6a〜6cが同一線上になるように配置して、該スルーホールに通電ピン11を挿入することによって、各固定子用フィルム型電極1の各電極部、移動子用フィルム型電極2の各電極部に通電できるようにする。又、図27(b)に示した従来例と同様に、導電ゴムや導電性の金属バネで形成された接続部品12をスペーサ部材10のスルーホール導電部に挿入は、その先端で固定子用フィルム型電極1及び移動子用フィルム型電極2のスルーホール導電部6a〜6cに当接又は嵌合させて導電部と接続するようにしてもよいものである。
その後、各固定子用フィルム型電極1を固定子用筐体に固定し、各移動子用フィルム型電極2を移動子用筐体に固定することによって静電モータを得る。
なお、上述した実施形態では、スペーサ部材10をベースフィルム4aに接着等により固定し、その外側をカバーフィルム4bで覆って形成したが、段差のないフィルム型電極を形成した後にスペーサ部材をこのフィルム型電極に接着又はリベットやネジで固定し、段差のあるフィルム型電極を形成するようにしてもよい。
図5〜図8は、本発明の第2の実施形態における静電モータの製造工程の説明図である。この第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、ベースフィルム4a’の電極部3a〜3cを形成した側と反対側の面の端部を肉厚として一体的に段差を形成し、この突出した部分をスペーサ部材10’とするものである。
図5に示されるように、ベースフィルム4a’は、一端部が段差をもって突出して成形されており、電極部3a〜3cを設ける側は、段差のない平面部とし、かつこの突出したスペーサ部材10’を形成する部分に各電極部3a、3bに通電するための通電路5a、5bを設けている。この第2実施形態では、電極部3a〜3cを設けた平面側に第1の電極部3aに通電するための通電路5aを設け、反対面に第2の電極部3bに通電する通電路5bを設けて、スルーホール導電部7によって反対面に配置された第2の電極部3bに電気的に接続するように構成している。又、第3の電極部3cへの通電路5cは、電極部3a〜3cを設けた平面側に設けられている。なお、この段差を持ったベースフィルム4a’は、押し出し成形、射出成形等で成形することができる。
スルーホールを形成し、該スルーホールをメッキして導電部6a〜6c,7を形成し、その後、図6に示すようにスルーホール導電部6a''〜6c''を有するカバーフィルム4bが段差を持ったベースフィルム4a’の両面に接着され、固定子用又は移動子用のフィルム型電極1,2が形成される。図7は、このフィルム型電極の断面図である。
こうして作成された固定子用フィルム型電極1の駆動用電極部面に対向させて、移動子用フィルム型電極2の駆動用電極部面を対向させ、この固定子用フィルム型電極1と移動子用フィルム型電極2の組を複数組み、固定子用及び移動子用フィルム型電極1,2のそれぞれのスルーホール導電部6a〜6c(6a’〜6c’,6a''〜6''c)が同一線上になるように配置して、図8に示すようにスルーホールに通電ピン11を挿入することによって、各固定子用フィルムの各電極部、各移動子用フィルム型電極2の各電極部に通電できるようにする。また、従来例の図27(b)に示すように、導電ゴムや導電性の金属バネで形成された接続部品12で各フィルム型電極1(2)間を接続するようにしてもよいことはもちろんである。
その後、各固定子用フィルム型電極1を固定子用筐体に固定し、各移動子用フィルム型電極2を移動子用筐体に固定することによって静電モータをうる。
図9〜図12は、本発明の第3の実施形態における静電モータの製造工程の説明図である。この第3の実施形態と第1の実施形態との相違点は、スペーサ部材10''が一方のカバーフィルムに一体的に設けられている点であり、他は第1の実施形態と同一である。
電極部3a〜3c,通電路5a〜5c及びスルーホールが設けられ、各スルーホールにはメッキが施されて導電部6a〜6c、7が形成されたベースフィルム4aに対して、一方の面には、段差のないカバーフィルム4bを接着し、他方の面には、スペーサ部材10''を形成する段差を備えたカバーフィルム4b’を接着し、図10に示すような固定子用及び移動子用フィルム型電極1,2を得る。図11はこのフィルム型電極1,2の断面図である。なお、カバーフィルム4b,4b’に設けるスルーホールは、ベースフィルム4aに接着した後若しくは接着する前に加工する。
こうして作成された固定子用フィルム型電極1の駆動用電極部面に対向させて、移動子用フィルム型電極2の駆動用電極部面を対向させ、第1、第2の実施形態と同様にスルーホールに通電ピン11を挿入することによって、又は、導電ゴムや導電性の金属バネで形成された接続部品12によって、各固定子用フィルムの各電極部、各移動子用フィルム型電極2の各電極部に通電できるようにする。その後、各固定子用フィルム型電極1を固定子用筐体に固定し、各移動子用フィルム型電極2を移動子用筐体に固定することによって静電モータを得る(図12参照)。
図13〜図16は本発明の第4の実施形態における静電モータの組み立て説明図である。
この第4の実施形態では、図13に示すように、ベースフィルム4a''には、各相の電極部への通電路の内、第1の電極部3aへの通電路5aしか形成されていない。図1に示される第1の実施形態におけるベースフィルム4aと比較し、第2、第3の電極部3b、3cへの通電路5b,5cが設けられていない。この第4の実施形態では、ベースフィルム4a''には、各相の電極部3a,3b,3c、と第1の相の電極部3aに通電する電通路5a、スペーサ部材15に設けられる第2、第3の相の電通路5b,5cとの接続のためのスルーホール導電部7,7と第2,第3の相の電源に接続されるスルーホール導電部6b,6cとを接続する電通路が設けられている。このベースフィルム4a’の上面及び下面にカバーフィルム4b,4bを接着し、固定子用、移動子用フィルム型電極1(2)を形成する。
一方、スペーサ部材15は、電通路5b,5cを形成するベースフィルム15aとカバーフィルム15b、15b’で構成されている。ベースフィルム15aには、一方の面に、第2の電極部3bに接続される通電路5bが、他方の面には、第3の電極部3cに接続される通電路5cが、エッチング等で設けられている。そして、このスペーサ部材15のベースフィルム15aの下面にカバーフィルム15b’を接着し、図15、図16に示すように、このスペーサ部材15のベースフィルム4a’と下面側に接着しされたカバーフィルム15b’からなるスペーサ部材15の一部を形成する部材をフィルム型電極1,2に接着し、その後、ドリル等でスルーホール導電部6a〜6c、7の穴加工を行い、さらにするスルーホールメッキを行い導電部を形成した後、スペーサ部材15の最外面にカバーフィルム15bを接着し又は塗布して、スペーサ部材を備えたフィルム型電極を得る。以後は第1〜第3の実施形態と同様に、固定子用フィルム型電極1の駆動用電極部面に対向させて、移動子用フィルム型電極2の駆動用電極部面を対向させ、第1、第2の実施形態と同様にスルーホールに通電ピン11または、通電ゴムや導電部材の金属のバネ等の接続部品12で、各固定子用フィルムの各電極部、各移動子用フィルム型電極2の各電極部に通電できるようにする。その後、各固定子用フィルム型電極1を固定子用筐体に固定し、各移動子用フィルム型電極2を移動子用筐体に固定することによって静電モータを得る。
上述した第4の実施形態において、ベースフィルム4a’にはすでにカバーフィルム4bが接着されているから、スペーサ部材15のベースフィルム15aの下面に接着するカバーフィルム15b’を必ずしも設ける必要はない。図17は、このスペーサ部材15のベースフィルム15aの下面に接着されるカバーフィルム15b’を省略してスペーサ部材15’付きフィルム型電極1,2を作成する状態を示したものである。このカバーフィルム15b’を省略する点以外は第4の実施形態と同一の作成手順で製作される。
図18は本発明の第5の実施形態における静電モータのスペーサ部材付き固定子用、移動子用フィルム型電極1(2)の説明図である。この第5の実施形態と前述した第4の実施形態との差異は、ベースフィルム4a側に2つの相の通電路が設けられ、スペーサ部材15''のベースフィルム15a’には1つの相の通電路が設けられる点である。図に示す例では、スペーサ部材15''のベースフィルム15a’に第3の相の電極部3cへの通電路5cが設けられ、フィルム型電極本体のベースフィルム4a'''に、第1の相の電極部3aへの通電路5aが一方の面(表面)に第2の相の電極部3bへの通電路5bが他方の面に設けられている例を示している。この第5の実施形態における静電モータの組み立ては、第4の実施形態と同様でである。また、この第5の実施形態においても、スペーサ部材15のベースフィルム15aの下面(フィルム型電極本体に接着される側)に接着されるカバーフィルム15b’は設けずに絶縁をベースフィルム4aのカバーフィルム4bで代用するようにしてもよい。
上述した第4、第5の実施形態においては、図1と図13とを比較して明らかのように、通電路5cが各相の電極部3が平行に設けられている面(有効駆動面)に配置されないことから、各相の電極部3を長くすることができ、有効駆動面を第1〜第3の実施形態よりも大きくとることができ効率的である。
本発明の第1の実施形態における静電モータの組み立ての説明図である。 同第1の実施形態において、フィルム型電極本体にスペーサ部材を接着しカバーフィルムを接着し、スペーサ部材付きフィルム型電極の単体を形成したときの図である。 同第1の実施形態におけるフィルム型電極の単体の断面図である。 同第1の実施形態における固定子用、移動子用フィルム型電極を複数積層し、各フィルム型電極への通電を説明する説明図である。 本発明の第2の実施形態における静電モータの組み立ての説明図である。 同第2の実施形態において、スペーサ部材を有するフィルム型電極の単体の斜視図である。 同第2の実施形態におけるフィルム型電極の単体の断面図である。 同第2の実施形態における固定子用、移動子用フィルム型電極を複数積層し、各フィルム型電極への通電を説明する説明図である。 本発明の第3の実施形態における静電モータの組み立ての説明図である。 同第3の実施形態において、スペーサ部材を有するフィルム型電極の単体の斜視図である。 同第3の実施形態におけるフィルム型電極の単体の断面図である。 同第3の実施形態における固定子用、移動子用フィルム型電極を複数積層し、各フィルム型電極への通電を説明する説明図である。 本発明の第4の実施形態におけるベースフィルムに設けられた電極部、通電路等の説明図である。 同第4の実施形態におけるフィルム型電極の分解説明図である。 同第4の実施形態におけるフィルム型電極にスペーサ部材を接着するときの説明図である。 同第4の実施形態においてフィルム型電極にスペーサ部材を接着したときの状態を示す図である。 同第4の実施形態の変形でスペーサ部材の下部のカバーフィルムを省略したときの説明図である。 本発明の第5の実施形態におけるフィルム型電極の分解説明図である。 直動型静電モータの概略説明図である。 回転型静電モータの概略説明図である。 従来の静電モータにおける固定子用、移動子用フィルム型電極の説明図である。 従来の静電モータにおけるフィルム型電極の組み立て説明図である。 従来の静電モータにおけるフィルム型電極にスペーサ部材を配置した状態の説明図である。 同図23に対応する側面図である。 従来の静電モータにおける固定子用フィルム型電極と移動子用フィルム型電極及びスペーサ部材を配置した説明図である。 従来の静電モータにおける固定子用フィルム型電極と移動子用フィルム型電極とを対向た状態を示す側面図である。 従来の静電モータにおける固定子用フィルム型電極と移動子用フィルム型電極の組みを複数積層し各電極部への電機的接続の説明図である。
符号の説明
1 固定子用フィルム型電極
2 移動子用フィルム型電極
3 電極部
4 絶縁体
3a,3b,3c 第1,第2,第3の相の電極部
4a ベースフィルム
4b カバーフィルム
5a,5b,5c 第1,第2,第3の相の通電路
6a,6b,6c 第1,第2,第3の相の電源接続用スルーホール導電部
7 スルーホール導電部
10 スペーサ部材
11 通電ピン
12 接続部品

Claims (12)

  1. 電極部と、ベースフィルムと、カバーフィルムとを有する固定子用及び移動子用フィルム型電極を微小間隔で積層した静電モータであって、前記微小間隔を形成するための段差前記各フィルム型電極に形成されていることを特徴とする静電モータ。
  2. 前記段差は、前記ベースフィルムにスペーサ部材を接着して形成し、前記ベースフィルムと前記スペーサ部材とを前記カバーフィルムで覆って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電モータ。
  3. 前記スペーサ部材は厚み方向の通電機能を有することを特徴とする請求項2に記載の静電モータ。
  4. 前記スペーサ部材は厚み方向の通電機能に加えて厚み方向以外の通電路パターンを有することを特徴とする請求項2に記載の静電モータ。
  5. 電極部と、ベースフィルムと、カバーフィルムとを有する固定子用及び移動子用フィルム型電極を微小間隔で積層した静電モータであって、前記微小間隔を形成するための段差、前記ベースフィルムに段差をもたせて一体的に成形されていることを特徴とする静電モータ。
  6. 電極部と、ベースフィルムと、カバーフィルムとを有する固定子用及び移動子用フィルム型電極を微小間隔で積層した静電モータであって、前記微小間隔を形成するための段差、前記カバーフィルムに段差をもたせて一体的に成形されていることを特徴とする静電モータ。
  7. 各フィルム型電極間に前記微小間隔を形成するためのスペーサ部材を前記各フィルム型電極に接着して前記段差が形成されている請求項1に記載の静電モータ。
  8. 前記スペーサ部材は厚み方向の通電機能を有することを特徴とする請求項7に記載の静電モータ。
  9. 前記スペーサ部材は厚み方向の通電機能に加えて厚み方向以外の通電路パターンを有することを特徴とする請求項7に記載の静電モータ。
  10. 前記電極部が設けられた前記ベースフィルムに前記段差を形成するためのスペーサ部材リベットまたはネジにて固定され、前記ベースフィルムと前記スペーサ部材と前記カバーフィルムで覆われていることを特徴とする請求項1に記載の静電モータ。
  11. 前記フィルム型電極にスペーサ部材をリベットまたはネジにて固定し、前記段差形成されている請求項1に記載の静電モータ。
  12. 前記請求項1乃至11の内いずれか1項に記載された固定子用フィルム型電極と移動子用フィルム型電極を前記段差によって微小間隔をもって対向配置して形成された1単位の静電モータを、複数組み積層して形成された静電モータ。
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