JP4010832B2 - 金属パターンの形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシランを用いて金属パターンを形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリシランは、炭素に比べて、そのケイ素のもつ金属性と電子非局在性、並びに高い耐熱性及び良好な薄膜形成特性から非常に興味深いポリマーであり、ヨウ素をドーピングする方法や、塩化第二鉄をドーピングする方法により、ポリシランを利用した高導電性材料が製造されている。微細なパターンを高精度に形成するフォトレジストの開発を目的として、ポリシランを用いた研究が活発になされている(特開平6−291273号公報及び特開平7−114188号公報など)。
【0003】
特開平5−72694号公報においては、ポリシランを用いた半導体集積回路の製造方法が提案されている。この方法では、導電層としてポリシラン膜やヨウ素等をドーピングしたポリシラン膜を用い、絶縁層として光照射によりポリシランから変換したシロキサン層を用いている。
【0004】
しかしながら、上記方法により得られる半導体集積回路は、ポリシランで導電部を形成しているので導電性が十分ではなく、またヨウ素等は腐蝕性を有するので電子材料への応用には問題があった。また、大気中の水分、酸素、光等により容易にシロキサンに変化するポリシランを導電材料として用いているため、電子材料に必要とされる信頼性において不十分なものであった。
【0005】
特開昭57−11339号公報には、Si−Si結合を有する化合物を露光した後、金属塩溶液と接触させることにより金属画像を形成する方法が記載されている。この方法は、Si−Si結合を有する化合物と金属塩溶液を接触させることにより、金属塩が還元されて金属となることを利用しており、未露光部分に金属層を形成する方法である。
【0006】
特開平10−326957号公報においては、ポリシラン単独の膜に光を照射して無電解メッキの触媒であるパラジウム塩を露光部分にドープし、これを使って無電解メッキにより金属パターンを形成する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ポリシラン膜は、一般に結晶性が高く、硬く脆い膜となるため、上記のように金属パターンを形成しても、密着性が悪く、実用的な金属パターンを形成することができないという問題があった。
【0008】
また、上記公報の無電解メッキにより金属パターンを形成する方法では、ポリシラン薄膜の上に金属パターンを形成しているため、金属パターンの部分が凸部となり、ビルドアップ多層回路基板や、マルチチップモジュール基板のように、複数の金属パターンを積層する場合には、金属パターン以外の部分を絶縁樹脂等で埋めるなどの平坦化処理が必要となり、製造工程が複雑となるため、実用的ではなかった。
【0009】
本発明の目的は、密着性に優れ、かつ段差のない平坦な金属パターンを簡易な工程で形成することができる回路基板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属パターンの形成方法は、金属パターンを基板上に形成する方法であり、有機溶剤に可溶な重量平均分子量10000以上のポリシラン、光ラジカル発生剤、酸化剤、アルコキシ基含有シリコーン化合物、及び有機溶剤を含む感光性樹脂組成物を、基板上に塗布して感光層を形成する工程と、感光層の金属パターンに対応する領域を露光して現像し、金属パターンに対応する溝部を感光層に形成する工程と、溝部内に堆積させる金属より標準電極電位の小さい金属の塩を含有する液を感光層に接触させ、溝部内に標準電極電位の小さい金属を吸着させる工程と、感光層に無電解メッキ液を接触させ、標準電極電位の小さい金属を吸着した溝部内に金属膜を堆積させることにより金属パターンを形成する工程とを備え、溝部内に金属膜を堆積させて溝部内を金属膜で埋めることを特徴としている。
【0011】
本発明において用いる感光性樹脂組成物には、ポリシランが含まれている。ポリシランに、酸素の存在下で紫外線等の光を照射すると、Si−Si結合が切断されて、Si−OH基(シラノール基)が生成する。このシラノール基は、弱酸性であるため、アルカリ性の水溶液等により溶解させることができる。従って、露光した部分にアルカリ性の水溶液等を接触させると、露光部分が溶解し、露光部分を除去して現像することができる。本発明では、金属パターンに対応する感光層の領域を露光して現像し、金属パターンに対応する溝部を感光層にまず形成する。なお、溝部は、感光層を貫通し、基板に到達するような溝部であってもよい。
【0012】
次に、必要に応じて、感光層の溝部内を再び露光する。これにより、溝部内の露光部には、シラノール基が生成する。なお、本発明においては、必ずしも感光層の溝部内を再び露光する必要はない。すなわち、本発明においては、露光部分を除去して溝部を形成しているが、溝部内には露光部分がわずかであるが残っており、この露光部分を利用して後述する標準電極電位の小さな金属または金属コロイドを吸着させ、金属膜を堆積させることができる。
【0013】
次に、溝部内に堆積する金属より標準電極電位の小さい金属の塩または金属コロイドを含有する液を感光層に接触させることにより、溝部内の露光部に標準電極電位の小さい金属または金属コロイドを吸着させる。金属塩は露光部のシラノール基により還元されて、金属として露光部内に吸着される。また、金属コロイドは、そのままの形態で露光部に吸着される。
【0014】
次に感光層を無電解メッキ液に接触させると、標準電極電位の小さい金属または金属コロイドを核として無電解メッキ液から金属が析出し、溝部内の露光部の上に金属膜が堆積して、金属パターンが形成される。本発明においては、このようにして溝部内に金属膜を堆積させ、この金属膜により溝部内を埋めることができる。
【0015】
本発明で形成される金属パターンは、上述のように溝部内に埋め込まれたものとすることができるので、金属パターンの上面をその周囲部分の表面とほぼ一致させることができ、表面が平坦化された金属パターンを形成することができる。従って、ビルドアップ多層基板のように、複数の金属回路パターンを積層する場合にも、特別な平坦化処理の工程が不要となり、簡易な工程でビルドアップ多層回路基板を形成することができる。
【0016】
しかしながら、本発明で形成される金属パターンは、必ずしも金属膜で溝部内を埋めたものに限定されるものではない。例えば、溝部が感光層を貫通して基板に到達するようなものである場合、溝部の側壁部の上に金属膜を形成することにより、内壁が金属膜で被覆されたスルーホールとすることができる。
【0017】
また、本発明において用いる感光性樹脂組成物には、アルコキシ基含有シリコーン化合物が含まれている。このアルコキシ基含有シリコーン化合物は、一分子中に少なくとも2つのアルコキシ基を有する化合物であり、加熱されることにより、アルコキシ基が分解して、Si−OH基(シラノール基)を生成する。このシラノール基は、ポリシランと反応するので、塗膜を加熱することにより、アルコキシ基含有シリコーン化合物とポリシランとを架橋させることができ、塗膜の密着力を向上させることができる。従って、本発明において無電解メッキにより感光層の溝部内に形成された金属パターンは、その周囲の感光層に対して良好な密着性を有している。このため、本発明によれば、精細度に優れ、かつ密着性の良好な金属回路パターンを形成することができ、電気、電子、通信分野等で広く応用することができる金属回路パターンを安価でかつ簡易な工程で製造することができる。
【0018】
シリコーン化合物とポリシランとの架橋反応を促進させるためには、無電解メッキにより金属パターンを形成した後、金属パターンが形成された感光層を加熱することが好ましい。このときの加熱温度としては、150〜250℃程度が好ましい。また、加熱時間は、加熱温度により適宜調整されるが、一般には5分〜60分である。
【0019】
本発明において用いるアルコキシ基含有化合物としては、以下の一般式で示される構造を有するシリコーン化合物が特に好ましく用いられる。
【0020】
【化2】
【0021】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、炭素数1〜10のハロゲンまたはグリシジル基で置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のハロゲンで置換されていてもよい芳香族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基からなる群から選択される基であり、互いに同一でも異なっていてもよいが、一分子中には少なくとも2つの上記アルコキシ基が含まれている。m及びnは整数であり、m+n≧1を満たすものである。)
上述のように、本発明によれば、表面が平坦化された金属パターンを形成することができるので、ビルドアップ多層回路基板などの金属回路パターンを製造するのに適した方法である。具体的には、上記本発明に従い金属回路パターンを形成した後、この上に上記感光樹脂組成物を塗布して感光層を形成し、再び上記工程を繰り返して金属回路パターンを形成する。このような工程を複数回繰り返すことにより、複数の金属回路パターンを積層した多層回路基板を製造することができる。
【0022】
本発明において用いる無電解メッキ液は、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、またはロジウムの金属イオンを含み、該金属膜を形成するメッキ液であることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の金属パターンの形成方法を説明するための模式的断面図である。
【0024】
図1(a)に示すように、まず基板1上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布して感光層2を形成する。
次に、図1(b)に示すように、感光層2の上に、マスク3を配置し、マスク3を通して紫外線4を感光層2に照射することにより、感光層2を選択的に露光する。マスクは、形成すべき金属パターンに対応した領域が露光されるようにパターニングされている。従って、形成すべき金属パターンに対応した領域が露光され、露光部2aが形成される。ここでは、マスクを用いて感光層を選択的に露光しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レーザー等を用いてレーザー光をスキャニングすることにより選択的に露光してもよい。
【0025】
露光部2aでは、ポリシランが酸素の存在下に紫外線照射され、Si−Si結合が切断されて、Si−OH基(シラノール基)が生成する。
次に、図1(c)に示すように、感光層2をアルカリ性水溶液等に接触させ、露光部2aを溶解除去し、溝部2bを形成する。この溝部2bは、露光部2aを溶解除去して形成したものであるので、形成すべき金属パターンに対応した領域に形成されている。
【0026】
次に、図1(d)に示すように、感光層2の上に、再びマスク3を配置する。マスク3は、図1(b)に示す工程において用いたマスクと同様のマスクを用いることができる。マスク3は、形成すべき金属パターンに対応した領域が露光さるようにパターニングされた孔が形成されているので、この孔を、感光層2の溝部2bに合うようにマスク3を配置する。この状態で、紫外線4を照射することにより、溝部2b内を露光することができる。これにより、図2(e)に示すように、感光層2の溝部2b内に露光部2cを形成することができる。
【0027】
次に、図2(f)に示すように、感光層2に標準電極電位の小さい金属塩含有液として、例えばパラジウム塩含有液を接触させ、溝部2b内の露光部2cにパラジウムを吸着させる。シラノール基が形成された露光部2cにパラジウム塩を接触させると、パラジウム塩が還元されて、パラジウム金属粒子が生成し、露光部2c内にパラジウム金属粒子が吸着される。一方、露光部2c以外の領域では、パラジウム金属粒子は生成せず、洗浄によりパラジウム塩を容易に除去することができる。従って、露光部2cにのみパラジウムを吸着させることができる。金属コロイドを用いる場合にも、金属コロイドは露光部2cにのみ選択的に吸着させることができる。
【0028】
次に、図2(g)に示すように、感光層2に無電解メッキ液を接触させ、パラジウムを吸着した露光部2cの上に金属膜5を堆積させる。パラジウムが吸着された露光部2aでは、無電解メッキ液が接触すると、パラジウム金属粒子を核として無電解メッキ液から金属が析出し堆積する。従って、露光部2cの上にのみ選択的に金属膜5が堆積し形成される。露光部2cは、溝部2b内に形成されているので、金属膜5は溝部2bを埋めるように形成される。溝部2bは、形成すべき金属パターンに沿って形成されているので、金属膜5が溝部2b内に堆積することにより、金属膜5による金属パターンが形成される。
【0029】
この結果、図2(g)に示すように、表面が平坦化された金属パターンを形成することができる。また、この後、感光層2を加熱することにより感光層2の樹脂を架橋することができ、金属膜5の密着性を高めることができる。
【0030】
なお、上述したように、本発明においては、必ずしも図1(d)に示す工程は行われなくてもよい。すなわち、溝部2b内には、露光部分が残っている場合があり、このような場合には、この露光部分にパラジウム等を吸着させることができる。
【0031】
また、溝部2bは、感光層2を貫通し、基板1に到達するような溝部であってもよい。また、金属膜5は、必ずしも溝部2bを埋めるように形成しなくてもよい。上述のように、溝部2bの側壁部の上に金属膜を形成し、内壁部の上に金属膜が形成されたスルーホールとしてもよい。なお、この場合、溝部2bの側壁部に残存する露光部分を利用してもよいし、溝部2bの側壁部を新たに露光して露光部を形成し、この露光部を利用してもよい。
【0032】
以下、本発明において用いる感光性樹脂組成物、標準電極電位の小さい金属の塩またはコロイド含有液(以下、単に「金属塩含有液」という)、及び無電解メッキ液について説明する。
【0033】
<感光性樹脂組成物>
本発明において用いる感光性樹脂組成物は、有機溶剤に可溶な重量平均分子量10000以上のポリシラン、光ラジカル発生剤、酸化剤、アルコキシ基含有シリコーン化合物(以下、単に「シリコーン化合物」という)、及び有機溶剤を含んでいる。以下、これらについて説明する。
【0034】
(ポリシラン)
本発明において用いるポリシランとしては、ネットワーク状及び直鎖状のものが挙げられる。感光性材料としての機械的強度を考慮すると、ネットワーク状ポリシランが好ましい。ネットワーク状と鎖状は、ポリシラン中に含まれるSi原子の結合状態によって区別される。ネットワーク状ポリシランとは、隣接するSi原子と結合している数(結合数)が、3または4であるSi原子を含むポリシランである。これに対して、直鎖状のポリシランでは、Si原子の、隣接するSi原子との結合数は2である。通常Si原子の原子価は4であるので、ポリシラン中に存在するSi原子の中で結合数が3以下のものは、Si原子以外に、炭化水素基、アルコキシ基または水素原子と結合している。このような炭化水素基としては、炭素数1〜10の、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0035】
脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロプロピル基及びノナフルオロヘキシル基などの鎖状のもの、及びシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基のような脂環式のものなどが挙げられる。
【0036】
また、芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、ビフェニル基及びアントラシル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1〜8のものが挙げられる。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。合成の容易さを考慮すると、これらの中でメチル基及びフェニル基が特に好ましい。
【0037】
ネットワーク状ポリシランの場合には、隣接するSi原子との結合数が3または4であるSi原子は、ネットワーク状ポリシラン中の全体のSi原子数の2〜50%であることが好ましい。この値は、硅素の核磁気共鳴スペクトル測定により決定することができる。
【0038】
なお、本明細書におけるポリシランは、ネットワーク状と直鎖状のポリシランを混合したものも含んでいる。その場合における、上記のSi原子の含有率は、ネットワーク状ポリシランと直鎖状ポリシランの平均によって計算される。
【0039】
本発明に使用されるポリシランはハロゲン化シラン化合物をナトリウムのようなアルカリ金属の存在下、n−デカンやトルエンのような有機溶媒中において80℃以上に加熱することによる重縮合反応によって製造することができる。
【0040】
ネットワーク状ポリシランは、例えば、オルガノトリハロシラン化合物、テトラハロシラン化合物、及びジオルガノジハロシラン化合物からなり、オルガノトリハロシラン化合物及びテトラハロシラン化合物が全体量の2モル%以上50モル%未満であるハロシラン混合物を加熱して重縮合することにより得ることができる。ここで、オルガノトリハロシラン化合物は、隣接するSi原子との結合数が3であるSi原子源となり、テトラハロシラン化合物は、隣接するSi原子との結合数が4であるSi原子源となる。なお、ネットワーク構造の確認は、紫外線吸収スペクトルや硅素の核磁気共鳴スペクトルの測定により確認することができる。
【0041】
直鎖状ポリシランは、複数もしくは単一のジオルガノジクロロシランを用いる他は、上記のネットワーク状ポリシランの場合と同様の反応により製造することができる。
【0042】
ポリシランの原料として用いられるオルガノトリハロシラン化合物、テトラハロシラン化合物、及びジオルガノジハロシラン化合物がそれぞれ有するハロゲン原子は、塩素原子であることが好ましい。オルガノトリハロシラン化合物及びジオルガノジハロシラン化合物が有するハロゲン原子以外の置換基としては、上述の炭化水素基、アルコキシ基または水素原子が挙げられる。
【0043】
これらのネットワーク状及び直鎖状のポリシランは、有機溶剤に可溶であり、重量平均分子量が10000以上のものであれば特に限定されない。感光性材料としての利用を考慮すると、本発明で使用するポリシランは蒸発性を有する有機溶媒に可溶であることが好ましい。このような有機溶媒としては、炭素数5〜12の炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系の有機溶剤が挙げられる。
【0044】
炭化水素系の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼンなどが挙げられる。ハロゲン化炭化水素系の例としては、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。エーテル系の例としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフランなどが挙げられる。
【0045】
本発明において使用するポリシランは、重量平均分子量が10000以上のものである。重量平均分子量が10000未満であると、耐薬品性や耐熱性などの膜特性が不十分な場合がある。好ましい重量平均分子量としては、10000〜50000であり、さらに好ましくは15000〜30000である。
【0046】
(光ラジカル発生剤及び酸化剤)
本発明において用いる光ラジカル発生剤は、光によってハロゲンラジカルを発生する化合物であれば特に限定されないが、2,4,6−トリス(トリハロメチル)−1,3,5−トリアジン及びその2位またはその2位と4位が置換された化合物、フタルイミドトリハロメタンスルフォネート及びそのベンゼン環に置換基を有する化合物、ナフタルイミドトリハロメタンスルフォネート及びそのベンゼン環に置換基を有する化合物などを例として挙げることができる。これらの化合物が有する置換基は、置換基を有していてもよい脂肪族及び芳香族炭化水素基である。
【0047】
本発明において用いる酸化剤は、酸素供給源となる化合物であれば特に限定されないが、例えば、過酸化物、アミンオキシド及びホスフィンオキシドなどを例として挙げることができる。
【0048】
光ラジカル発生剤と酸化剤の組み合わせとしては、光ラジカル発生剤としてのトリクロロトリアジン系のものと、酸化剤としての過酸化物の組み合わせが特に好ましい。
【0049】
光ラジカル発生剤は、上記ポリシランが光照射により分解する際、Si−Si結合がハロゲンラジカルにより効率よく切断されることを目的として添加されるものである。また、酸化剤は、切断された後のSiの結合に酸素が容易に挿入されるように添加されるものである。
【0050】
色素の光励起によるハロゲンラジカルの発生を高めるため、クマリン系、シアニン系、メロシアニン系等の可溶性色素を加えてもよい。また、可溶性色素を加えることにより、ポリシランの光に対する感度を向上させることができる。
【0051】
(シリコーン化合物)
本発明において使用するシリコーン化合物は、一分子中に少なくとも2つのアルコキシ基を有するシリコーン化合物であり、以下の一般式で示される構造のシリコーン化合物が好ましく用いられる。
【0052】
【化3】
【0053】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、炭素数1〜10のハロゲンまたはグリシジル基で置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のハロゲンで置換されていてもよい芳香族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基からなる群から選択される基であり、互いに同一でも異なっていてもよいが、一分子中には少なくとも2つの上記アルコキシ基が含まれている。m及びnは整数であり、m+n≧1を満たすものである。)
上記R1〜R6の置換基となる脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロプロピル基、グリシジルオキシプロピル基などの鎖状のもの、及びシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基のような脂環式のものなどが挙げられる。また、芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、ビフェニル基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、オクチルオキシ基、ter−ブトキシ基などが挙げられる。
【0054】
上記のR1〜R6の種類及びmとnの値は特に重要ではなく、ポリシラン及び有機溶媒と相溶するようなものであれば特に限定されない。相溶性を考慮した場合には、使用するポリシランが有する炭化水素基と同じ基を有していることが好ましい。例えば、ポリシランとして、フェニルメチル系のものを使用する場合には、同じフェニルメチル系またはジフェニル系のシリコーン化合物を使用することが好ましい。
【0055】
また、本発明において用いるシリコーン化合物では、一分子中のR1〜R6のうち、少なくとも2つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。従って、一分子中にアルコキシ基を2つ以上有しているので、ポリシランの架橋剤として働く。そのようなものとしては、アルコキシ基を15〜35重量%含んだメチルフェニルメトキシシリコーンやフェニルメトキシシリコーンなどを挙げることができる。
【0056】
本発明において用いるシリコーン化合物の重量平均分子量としては、10000以下であることが好ましく、さらに好ましくは3000以下である。重量平均分子量が高くなり過ぎると、ポリシランとの相溶性が低下し不均一な膜になったり、感度が低下する。
【0057】
(有機溶剤)
本発明における感光性樹脂組成物に含まれる有機溶剤としては、ポリシランを溶解させることができるものであれば特に限定されるものではなく、具体的にはポリシランの説明において例示した有機溶剤が挙げられる。
【0058】
(感光性樹脂組成物における配合割合)
本発明において用いる感光性樹脂組成物における配合割合は、ポリシラン100重量部に対して、光ラジカル発生剤1〜30重量部、酸化剤1〜30重量部、シリコーン化合物5〜100重量部であることが好ましい。さらに、上述の可溶性色素を添加する場合には、ポリシラン100重量部に対して1〜20重量部であることが好ましい。有機溶剤は、全体に対する濃度が20〜99重量%となるように用いることが好ましい。
【0059】
シリコーン化合物は、ポリシランの架橋剤として働き、かつポリシランの有機溶剤への溶解性を高めるとともに、ポリシランと光ラジカル発生剤と酸化剤との相溶化剤としても機能するものである。従って、シリコーン化合物を用いることにより、光ラジカル発生剤及び酸化剤を多く含むことが可能になる。
【0060】
(感光性樹脂組成物の塗布方法)
感光性樹脂組成物の塗布方法は、特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディッピング法、キャスト法、真空蒸着法、LB法(ラングミュアー・ブロジェット法)などの塗布方法により感光層を形成することができる。特に、基板上に感光性樹脂組成物の溶液を展開し、基板を高速で回転させながら塗布するスピンコート法が好適に用いられる。
【0061】
スピンコート法により感光層を形成する場合、感光性樹脂組成物に用いる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が好ましく用いられる。有機溶剤の使用量としては、固形分の濃度が1〜20重量%となるような範囲、すなわち有機溶剤の含有量が80〜99重量%となるような範囲が好適である。
【0062】
基板上に形成する感光層の厚みは、0.01〜1000μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜50μmである。
【0063】
(感光層の露光)
感光層に照射する光としては、紫外線が好ましく用いられる。紫外線の光源としては、水素放電管、希ガス放電管、タングステンランプ、ハロゲンランプのような連続スペクトル光源や、各種レーザー、水銀灯のような不連続スペクトル光源などを用いることができる。レーザーとしては、He−Cdレーザー、Arレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いることができる。光源としては、これらの中でも安価で取扱いが容易なことから、水銀灯が好適に用いられる。
【0064】
紫外線としては、ポリシランのσ−σ*吸収域である250〜400nmの波長を有する紫外線を照射することが好ましい。照射量は、感光層の厚み1μm当り0.1〜10J/cm2が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1J/cm2である。
【0065】
(感光層の現像)
上述のように、感光層の露光部分にはシラノール基が生成しており、このシラノール基は弱酸性であるので、アルカリ性の水溶液等を用いて除去し現像することができる。アルカリ性の水溶液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアミン系や、水酸化ナトリウム等の無機塩基等を使用することができる。特に1.0〜5.0重量%のTMAH水溶液が好適に用いられる。この水溶液には、感光層の露光部分を膨潤させる目的で、アルコール系の溶剤を添加してもよい。
【0066】
<基板>
本発明における基板は特に限定されるものではなく、用途に応じて種々のものを用いることができる。例えば、石英ガラス、セラミックス等の絶縁体基板、シリコン等の半導体基板、アルミニウム等の導体基板などを用いることができる。
【0067】
<金属塩含有液>
本発明における金属塩含有液は、上記標準電極電位の小さい金属の塩またはコロイドを含有する溶液である。金属塩を含有する溶液としては、無電解メッキ液の前処理として用いられる金属塩を含有するものであれば特に限定されるものではない。一般には、金、銀、白金、パラジウムなどのいわゆる貴金属を金属塩として含有するものが多く用いられる。このような金属塩を含有する溶液は、触媒付与剤として使用されており、容易にかつ安価に入手することができる。触媒としては、銀塩、パラジウム塩を含有するものが多く用いられる。金属塩化合物は、金属をAとすると、通常A−Zn(nはAの価数)の形で表すことができ、Zとしては、例えばCl、Br、I等のハロゲン原子または、アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトナート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフォネート、オキサイド等が挙げられる。パラジウム塩化合物の具体例としては、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdSO4、Pd(NO3)2、PdO等が挙げられる。
【0068】
金属コロイドを含有する溶液としては、例えば、特開平11−80647号公報に開示された貴金属のコロイド溶液を用いることができる。
金属塩含有液は、上記金属塩または金属コロイドを溶解または分散させた溶液である。溶媒としては、金属塩または金属コロイドを溶解または分散させるが、ポリシランを溶解しない溶媒を用いることが好ましい。ポリシランは、その側鎖基の種類あるいは重合度等により溶解性が異なるため一概には言えないが、上記溶媒としては、水、あるいはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒や、ニトロメタン、アセトニトリル等が好適に用いられる。ポリシランとして、フェニルメチルポリシランを用いた場合には、エタノール等のアルコール類が特に好ましく用いられる。溶媒の使用量は、パラジウム塩の濃度が0.1〜20重量%となるように使用されることが好ましく、さらに好ましくは1〜10重量%となるように使用されることが好ましい。
【0069】
基板上の感光層を金属塩含有液に接触させる方法としては、金属塩含有液中に感光層を基板とともに浸漬する方法が好ましく用いられる。浸漬する時間は特に限定されるものではないが、例えば、1秒〜10分間程度浸漬される。浸漬した後、通常10℃〜200℃の温度で、常圧または減圧で乾燥する。
【0070】
上述のように、潜像が形成された露光部においては、シラノール基が生成しており親水化しているため、この部分において金属塩が金属粒子に還元され、金属粒子が吸着される。なお、金属塩から金属粒子への還元を促進するため、金属塩含有液を感光層に接触させる際、40〜200℃の温度に加熱してもよい。
【0071】
金属コロイドの場合には、金属コロイドがそのままの形態で露光部において吸着される。
また、金属塩含有液には、上記金属以外の他の金属イオンが含まれていてもよい。他の金属イオンとしては、錫などが挙げられる。これらの金属が上記金属と合金を形成する場合には、上記金属とこれらの金属との合金粒子として析出し吸着される。
【0072】
<無電解メッキ液>
無電解メッキ液としては、例えば、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、ロジウム等の金属イオンを含んだものが好ましく用いられる。無電解メッキ液は、通常、上記金属イオンの水溶性金属塩に、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウム、フェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤が配合されており、一般には無電解メッキ液として市販されており容易にかつ安価に入手することができる。
【0073】
無電解メッキ液に感光層を接触させる方法としては、上記のパラジウム塩含有液に接触させる場合と同様に、基板とともに感光層を無電解メッキ液中に浸漬することが好ましい。無電解メッキ液と接触させるときの温度としては、15〜120℃が好ましく、さらに好ましくは25〜85℃である。接触させる時間は例えば1分〜16時間であり、10〜60分間程度であることが好ましい。
【0074】
無電解メッキ液により形成される金属膜の厚みは、感光層の溝部を埋めるような厚みで形成することが好ましい。これによって、表面が平坦化された金属回路パターンを形成することができる。金属膜の厚み及び感光層の溝部の深さとしては、一般には0.01〜100μm程度であり、さらには0.1〜20μm程度である。
【0075】
本発明によれば、密着性に優れ、かつ段差のない平坦な金属パターンを簡易な工程で形成することができる。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更して実施することが可能なものである。
【0077】
<調製例1>
(ポリシランの調製)
攪拌機を備えた1000mlフラスコに、トルエン400ml及びナトリウム13.3gを充填した。紫外線を遮断したイエロールーム中でフラスコの内容物を111℃に昇温し、高速攪拌することによりナトリウムをトルエン中に微細に分散した。ここにフェニルメチルジクロロシラン42.1g、テトラクロロシラン4.1gを添加し、3時間攪拌することにより重合を行った。その後、得られる反応混合物にエタノールを添加することにより、過剰のナトリウムを失活させた。水洗後、分離した有機層をエタノール中に投入することにより、ポリシランを沈澱させた。得られた粗製のポリシランをエタノールから3回再沈殿させることにより、重量平均分子量11600のネットワーク状ポリメチルフェニルシランを得た。
【0078】
<実施例1>
調製例1で得られたネットワーク状ポリシラン100重量部、シリコーン化合物としてのTSR−165 (分子量930のメチルフェニルメトキシシリコーンレジン、メトキシ基含有量:15重量%、東芝シリコーン社製)50重量部、光ラジカル発生剤としてのTAZ−110(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、みどり化学社製)10重量部、及び酸化剤としてのBTTB(3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、日本油脂社製)15重量部をトルエン1215重量部に溶解して、感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、ガラス基板の上にスピンコータを用いて厚さ20μmとなるように塗布し、120℃で10分間オーブンで乾燥し、ガラス基板の上に感光層を形成した。
【0079】
次に、感光層の上にフォトマスクを配置し、500Wの水銀灯を用いて、波長365nmの紫外線を、2000mJ/cm2の光量で照射し、感光層を所定のパターンで露光し、金属回路パターンの形状の露光部を形成した。
【0080】
次に、感光層を基板とともに、20%のイソプロパノールを含むTMAH溶液中に浸漬した。23℃で5分間浸漬した後、純水で洗浄し、100℃で10分間乾燥させた。この浸漬により、感光層の露光部が除去され、金属回路パターンの形状に沿った溝部が形成された。この溝部の深さを、触針式膜厚計DekTak3STで測定したところ、10.5μmであった。
【0081】
次に、上記と同様のフォトマスクを再び感光層の上に配置した。先程と同じ位置にフォトマスクを配置し、感光層に形成された溝部にフォトマスクの孔が一致するように配置した。500Wの水銀灯を用いて、波長365mmの紫外線を、500mJ/cm2の光量で照射し、感光層の溝部内を露光し、溝部内に露光部を形成した。
【0082】
次に、塩化パラジウム−塩化錫の5重量%エタノール溶液中に、感光層を基板とともに5分間浸漬し、浸漬後エタノールで洗浄し、100℃で10分間乾燥させて、溝部内の露光部にパラジウム錫を吸着させた。
【0083】
次に、感光層を、基板とともに、硫酸銅10g、37%ホルマリン2g、水酸化ナトリウム10g、水1000gからなる無電解メッキ液に、50℃で30分間浸漬することにより、感光層の溝部内の露光部の上に銅からなる金属膜を堆積させ、溝部内に金属回路パターンを形成した。金属膜の厚みは10μmであった。
【0084】
以上のようにして金属回路パターンを形成した感光層を純水で洗浄した後、150℃で30分間加熱乾燥した。金属回路パターンの導電率を測定したところ、7×105S/cmであった。また、金属回路パターンの密着力をピール強度測定により評価したところ、ピール強度は0.9kgf/cm以上であり、密着性の良好な金属回路パターンが形成されていることが確認された。
【0085】
<実施例2>
実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を調製し、これを基板上に塗布して感光層を形成した。この感光層を、実施例1と同様にして紫外線で露光し、現像して金属回路パターンに対応した溝部を形成した後、塩化パラジウムの5重量%エタノール溶液中に5分間浸漬した。その後取り出してエタノールで洗浄し、次に100℃で10分間乾燥させた。これにより溝部内の露光部にパラジウムを吸着させた。なお、溝部の深さは11.0μmであった。
【0086】
次に、塩化ニッケル20g、次亜りん酸ナトリウム10g、酢酸ナトリウム30g、水1000gからなる無電解メッキ液に、50℃で30分間基板とともに感光層を浸漬した。これにより、溝部内の露光部の上にニッケルからなる金属膜が堆積し、溝部内に金属回路パターンが形成された。金属膜の厚みは10μmであった。
【0087】
金属回路パターンが形成された感光層を純水で洗浄した後、150℃で30分間加熱乾燥した。形成された金属回路パターンの導電率を測定したところ、7×103S/cmであった。また、金属回路パターンの部分の密着力を、ピール強度測定することにより評価したところ、0.7kgf/cm以上のピール強度であり、金属回路パターンが良好な密着性を有することが確認された。
【0088】
以上のように、本発明によれば、溝部内に金属膜を堆積して金属回路パターンを形成しているので、表面が平坦化された金属回路パターンを形成することができる。
【0089】
上記実施例では、金属パターンとして金属回路パターンを例にして説明しているが、本発明は回路用途の金属パターンの形成に限定されるものではなく、回路以外の用途の金属パターンの形成にも適用されるものである。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、密着性に優れ、かつ段差のない平坦な金属パターンを簡易な工程で形成することができる。従って、ビルドアップ多層回路基板や、マルチチップモジュール基板等の回路を形成する際に非常に有用なものである。また、本発明は、各種の微小なマイクロ発熱体、バッテリー電極、太陽電池、センサー、集積回路、微小なマイクロモーター用筐体等において金属パターンを形成するのに本発明を用いることができる。従って、本発明は、電気、電子、通信分野等における広い用途での金属パターンの形成に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属パターンの形成工程の一例を示す模式的断面図。
【図2】本発明の金属パターンの形成工程の一例を示す模式的断面図。
【符号の説明】
1…基板
2…感光層
2a…感光層の露光部
2b…感光層の溝部
2c…感光層の溝部内の露光部
3…マスク
4…紫外線
5…金属膜(金属回路パターン)
Claims (7)
- 金属パターンを基板上に形成する方法であって、
有機溶剤に可溶な重量平均分子量10000以上のポリシラン、光ラジカル発生剤、酸化剤、アルコキシ基含有シリコーン化合物、及び有機溶剤を含む感光性樹脂組成物を、基板上に塗布して感光層を形成する工程と、
前記感光層の金属パターンに対応する領域を露光して現像し、金属パターンに対応する溝部を前記感光層に形成する工程と、
前記溝部内に堆積させる金属より標準電極電位の小さい金属の塩を含有する液を前記感光層に接触させ、前記溝部内に前記標準電極電位の小さい金属を吸着させる工程と、
前記感光層に無電解メッキ液を接触させ、前記標準電極電位の小さい金属を吸着した前記溝部内に金属膜を堆積させることにより金属パターンを形成する工程とを備え、
前記溝部内に金属膜を堆積させて前記溝部内を金属膜で埋めることを特徴とする金属パターンの形成方法。 - 前記標準電極電位の小さい金属の塩を含有する液を前記感光層に接触させる前に、前記感光層の前記溝部内を露光する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の金属パターンの形成方法。
- 前記各工程を繰り返すことにより複数の金属パターンを積層して形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属パターンの形成方法。
- 前記無電解メッキ液が、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、またはロジウムの金属イオンを含み、該金属膜を形成するメッキ液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属パターンの形成方法。
- 前記標準電極電位の小さい金属が、金、銀、白金、またはパラジウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属パターンの形成方法。
- 前記標準電極電位の小さい金属がパラジウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属パターンの形成方法。
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