JP4009766B2 - カルボン酸ベンジルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸ベンジルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、トルエンと有機カルボン酸及び酸素を液相で反応させカルボン酸ベンジルを製造する方法に関する。カルボン酸ベンジルは、それ自身、溶剤や香料として有用であり、更に、カルボン酸ベンジルを加水分解等して得られるベンジルアルコールは、溶解性に優れた溶剤、無毒性のため医薬用添加剤、農薬、医薬等の中間体としても極めて重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、カルボン酸ベンジルの工業的製造方法としては、トルエンの塩素化で得られるベンジルクロライドをアルカリを用い加水分解し、得られたベンジルアルコールと有機カルボン酸のエステル化反応で製造する方法が良く知られている。
【0003】
この方法は、多段反応であるため各々の反応に関わる分離・精製工程数が多く非常に複雑なものとなり、経済的に決して有利であるとは言えない。さらに、二段目の加水分解反応では苛性ソーダ等のアルカリがベンジルクロライドと等量以上必要であり、また、有機物を含んだ多量の廃水が副生しその処理が問題となる。
【0004】
一方、トルエンと有機カルボン酸及び酸素をパラジウム系触媒の存在下で反応させ、カルボン酸ベンジルを製造する方法が報告されている。この製造方法ならば、従来法のような廃水の副性が無く、環境に対して低負荷となる上に、一段の反応でカルボン酸ベンジルを製造することができるため経済的に有利であり工業的観点から有用な方法である。
【0005】
パラジウム系触媒の存在下、気相でトルエンと有機カルボン酸及び酸素を反応させカルボン酸ベンジルを製造する方法としては、例えば、特公昭44−29046号公報や特公昭51−25438号公報に、アルミナにパラジウムとアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酢酸塩を担持した触媒を用いる方法が開示されている。また、特開昭47−18843号公報には、シリカにパラジウム、ビスマス及びアルカリ金属を担持した触媒が開示されている。
【0006】
これらの触媒を用い気相で反応した場合には、反応初期のカルボン酸ベンジルの生成活性及び選択率においては好ましい成績が認められるものの、いずれも短時間のうちに活性が急激に低下し、触媒性能を長期に渡り維持できないという欠点があった。
【0007】
また、液相でカルボン酸ベンジルを合成する方法も報告されている。例えば、「ザ・ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー」(J.Org.Chem),(33),4123(1968)に、触媒として酢酸パラジウムを用い、酢酸中、トルエンを空気で酸化して酢酸ベンジルを合成する方法が報告されている。しかしながら、この方法では、触媒として用いる酢酸パラジウムが反応開始直後においては均一に溶解しているが、反応の進行に伴い金属パラジウムとして析出するため、触媒活性が失われる問題を有している。
【0008】
また、特公昭56−21463号公報には、シリカにパラジウム、アンチモン並びに酢酸亜鉛又はカリウム化合物を担持した触媒が開示されている。さらに、特公昭59−19735号公報には、担体にパラジウム、アンチモン、アルカリ金属の硫酸塩並びに亜鉛のカルボン酸塩を担持した触媒が開示されている。
【0009】
しかしながら、これらの触媒を液相で用いた場合には、助触媒である各種アルカリ金属塩や亜鉛等のカルボン酸塩が液相中に溶出し、さらに、パラジウム及びアンチモンも一部溶出し、その結果、触媒の性能を長期間維持することができないという問題があった。
【0010】
本発明者らは、パラジウム/アンチモンの比が1〜10である合金をシリカに担持した触媒を用い、トルエンと酢酸及び酸素から酢酸ベンジルを製造する方法において、目的生成物である酢酸ベンジルの生成活性及び選択性が高く、液相反応系で安定な触媒性能を持続する触媒として使用できることを提案し、既に特許出願している(特開平10−265437号公報参照)。
【0011】
しかしながら、この触媒においても、カルボン酸ベンジルの生産性を上げるために酸素の濃度を増やすと触媒から金属の溶出が起こり、非常に緩やかではあるが、カルボン酸ベンジル生成活性が低下することが本発明者らの検討により明らかとなった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来から提案されている触媒を用いたカルボン酸ベンジルの製造方法において、活性や選択性の性能は改善されているものの、工業的な製造を前提とした場合、その触媒性能を長期間安定に維持させることについては未だ不十分なものであった。
【0013】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、トルエンと有機カルボン酸及び酸素を触媒の存在下液相で反応させカルボン酸ベンジルを製造する方法において、触媒の性能を長期間に渡って損なうことなく一定に維持し、連続運転を可能とする経済的に優れたカルボン酸ベンジルの製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果、原料であるトルエン及び/又は有機カルボン酸にアンチモンを含む化合物を溶解させて反応を行うことよって、触媒の性能を長期間に渡って損なうことなく維持できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明は、トルエンと有機カルボン酸及び酸素を触媒の存在下液相で反応させカルボン酸ベンジルを製造する方法において、パラジウムが必須成分として担持された固体触媒を用い、原料であるトルエン及び/又は有機カルボン酸にアンチモンを含む化合物を溶解させて反応を行うことを特徴とするカルボン酸ベンジルの製造方法である。
【0016】
本発明者らは、先に特開平10−265437号公報で提案したパラジウム/アンチモンの比が1〜10である合金をシリカに担持した触媒を用い、トルエンと酢酸及び酸素を液相で反応させ酢酸ベンジルを連続的に製造する検討の中で、気相中の酸素の分圧が高い反応条件下で長期的に反応を行うと経時的に酢酸ベンジルの生成活性が低下することを認めた。その原因について検討した結果、酢酸ベンジルの生成活性が低下した触媒は、触媒中のアンチモン量が低下していることが明らかになった。そこで、原料液にアンチモンを含む化合物を極少量存在させ、原料とともに反応器に供給しながら反応を行うと、触媒の活性低下が抑制され安定した連続運転が可能となるという事実を突き止め、本発明を完成するに至ったものである。
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明において、原料のトルエンはどのような製法によって製造されたものでも使用することができる。例えば、トルエンは、石油留分から分離されたもの、石油留分を分解して得られる分解油から分離されたもの等を使用することができる。
【0019】
また、本発明に用いられる原料の有機カルボン酸は、生成物であるカルボン酸ベンジルに対応する任意のカルボン酸を選定できる。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の脂肪族カルボン酸や、安息香酸等の芳香族カルボン酸等を例示することができる。得られたカルボン酸ベンジルから加水分解等の方法によってベンジルアルコ−ルを得たい場合は、安価で、多量に入手可能な酢酸又はプロピオン酸が好ましい。さらに、有機カルボン酸として例えば酢酸あるいはプロピオン酸を原料に用いる場合、どのような製法によって製造されたものでも使用することができる。
【0020】
トルエンと有機カルボン酸の混合比は、トルエンを基準にして有機カルボン酸がモル比で0.1〜100の範囲内で任意の混合比にして反応を行うことが好ましい。
【0021】
本発明における反応は、液相で行うため、触媒の表面が原料液で覆われていれば反応方法に特に制限はなく、懸濁床による回分、半回分、連続式、又は固定床流通式でも実施できるが、生産性を勘案すると固定床流通式が好ましい。
【0022】
本発明においては、使用する触媒の優れた性能を長期間に渡って損なうことなく一定に維持し連続運転を可能とするために、原料であるトルエン及び/又は有機カルボン酸中にアンチモンを含む化合物を溶解させて反応を行う。
【0023】
アンチモンを含む化合物を原料であるトルエン及び/又は有機カルボン酸中に溶解させたときのアンチモンの濃度は、原料液全量を基準にした場合、アンチモン金属として0.001〜10ppmの範囲であることが好ましい。アンチモン濃度がこの範囲より小さいと触媒活性の低下が十分に抑制できず、この範囲を超えると目的生成物のカルボン酸ベンジルを精製する工程で、アンチモン化合物が析出し閉塞の原因となる場合がある。
【0024】
アンチモンを含む化合物としては、一般的なアンチモン化合物を用いることができ、原料であるトルエン及び/又は有機カルボン酸中に前述の濃度範囲で十分溶解する物質であれば特に限定するものではない。具体的に例示すると、トリフェニルアンチモン、アンチモニメトキシド、アンチモニエトキシド、アンチモニイソプロポキシド、アンチモニブトキシド、アンチモニエチレングリコキシド、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、三酸化アンチモン、アンチモン酸、酢酸アンチモン等が挙げられる。
【0025】
本発明の方法においては、酸素を酸化剤として用いる。酸素は、窒素等の不活性ガスで希釈されていてもよく、空気であっても使用できる。酸素の供給量は、反応温度、触媒量等によって最適量が変わるが、触媒を通過した所のガス組成が爆発範囲以下であればよい。単位触媒量、単位時間当たりの酸素供給量(GHSV)は、0℃、1気圧換算で5000h-1以下が好ましい。
【0026】
本発明の方法において、工業的観点から、触媒の優れた性能を長期間に渡って維持し連続運転を可能とするためには、前述の原料液中にアンチモンを含む化合物を溶解させて反応を行うとともに、反応器内の気相部分の酸素分圧を、0.01〜3kg/cm2の範囲とすることがさらに好ましい。気相中の酸素分圧がこの範囲より低いと生産性が低くなり、この範囲を超えると供給したアンチモンが3価よりも高酸化数のアンチモン酸化物に変化し触媒上に析出し触媒性能の低下を引き起こす場合がある。なお、本発明において言う反応器とは、原料であるトルエン、有機カルボン酸及び酸素を反応させ、カルボン酸ベンジルを合成するために設けられた槽、塔又は管を指し、具体的には、懸濁床における反応槽、固定床における触媒充填塔又は多管式の反応管等が例示される。
【0027】
本発明においては、パラジウムが担持された固体触媒が用いられ、好ましくはパラジウム及びアンチモンが担持された触媒が用いられる。当該触媒中のパラジウム、又はパラジウム及びアンチモンは担体上に金属状態で担持されていることが好ましい。さらに本発明においては、パラジウムやアンチモンに加え、従来助触媒として知られているアルカリ金属やアルカリ土類金属のカルボン酸塩、又は亜鉛、鉛、ビスマス、タリウム等の金属若しくは金属塩等が触媒成分として適宜追加使用されていても構わない。
【0028】
また、本触媒に用いることのできる担体としては、特に制限はなく、例えば、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、けい藻土、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、活性炭等の、一般に担体として使用される任意のものが挙げられる。これらのうち、工業的に入手し易い担体として、シリカが好ましい。
【0029】
触媒の形状には特に制限はなく、反応形式に応じて、粉末状のもの又は成形品を用いることができる。懸濁床では粉末又は顆粒を、固定床ではタブレットの打錠成形品、球状又は棒柱状の押し出し成形品等が好ましく用いられる。
【0030】
本発明において、パラジウム、又はパラジウム及びアンチモンが担持された固体触媒を調製する場合の原料塩を担体に担持する方法に特に制限はなく、公知の方法で担持することができる。具体的に例示すると、沈澱法、イオン交換法、含浸法、沈着法、混練法等で調製することができる。例えば、含浸法でパラジウム及びアンチモンが担持された触媒を調製する場合には、パラジウム原料とアンチモン原料を同時に含浸担持してもよいし、いずれか一方を含浸担持した後、残りの原料を含浸担持してもよい。しかしながら、パラジウム及びアンチモンの2成分を担体に担持する場合、より均一に担持するためには、同時に含浸担持することが好ましい。
【0031】
担体上でのパラジウム、又はパラジウム及びアンチモンの担持位置及び分布は特に制限されるものではなく、担体の外部から内部まで均一又は不均一に担持されていても構わない。例えば、固定床流通式の反応において、反応管内の圧力損失が大きくなることを回避するために粒径の大きな触媒を充填した場合では、担体の外表面近傍に触媒金属種を担持することが有効である。
【0032】
当該触媒を調製するにあたり、担体に担持されたパラジウム、又はパラジウム及びアンチモンの原料塩は金属まで還元された状態で反応に用いることが好ましい。
【0033】
還元方法については特に制限はなく、金属状態まで還元できる条件であれば何ら問題はない。具体的な還元剤としては、水素、一酸化炭素、アルコ−ル及びこれらを不活性ガスで希釈したもの等のように一般的に気相で用いるものや、ホルマリン、ヒドラジン等のように一般的に液相で用いるもの等を例示することができる。還元処理の温度は、用いる還元剤の種類、濃度に応じて変わるため一概に規定できないが、強いて挙げるならば室温〜700℃の範囲である。
【0034】
なお、これら還元剤による還元処理の前に、担体上への固定化等を目的とした焼成処理を施しても構わない。焼成処理を行う場合には、酸素又は空気等の酸化雰囲気中で行っても構わないし、窒素、アルゴン又はヘリウム等といった不活性ガス雰囲気で熱分解を行っても構わない。この焼成処理の温度は、通常100℃〜800℃で焼成すれば良い。
【0035】
触媒調製に使用するパラジウムやアンチモンの原料に特に制限はなく、具体的に例示すると、パラジウム原料としては、パラジウム金属、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウム、ヘキサクロロパラジウム酸カリウム、ヘキサクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、酸化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、ジニトロサルファイトパラジウム酸カリウム、クロロカルボニルパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、cis−ジクロロジアミンパラジウム、trans−ジクロロジアミンパラジウム、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、テトラシアノパラジウム酸カリウム等が挙げられ、アンチモンの原料としては、アンチモン金属、フッ化アンチモン、塩化アンチモン、臭化アンチモン、ヨウ化アンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモニメトキシド、アンチモニエトキシド、アンチモニイソプロポキシド、アンチモニブトキシド、アンチモニエチレングリコキシド、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸、硫化アンチモン、酢酸アンチモン等が挙げられる。
【0036】
また、担持する金属の担持量について特に制限はないが、パラジウム金属は、担体を含む触媒総重量に対して0.1〜10重量%の範囲であれば、工業的な生産性を得るためには充分である。また、パラジウムとアンチモンを担体に担持した触媒の場合、アンチモンの量はパラジウムに対してモル比で0.01〜100の範囲である。
【0037】
使用する触媒量は、反応方法により異なるため一律には規定できないが、経済性を勘案すると、例えば、固定床の場合には、単位触媒体積、単位時間当たりのトルエンと有機カルボン酸の合計供給量(LHSV)として、0.1〜50h-1の範囲、より好ましくは、0.1〜30h-1となる触媒量が好ましく、また、懸濁床の場合には、触媒の濃度は、原料に対し0.1〜30重量%の範囲がよい。
【0038】
本発明の方法による反応は、加温、加圧下で実施される。反応温度は、80〜230℃、好ましくは120〜200℃が選ばれる。これより高くしても副反応の進行が増すだけであり、低くすると反応速度の点で不利になる。また、圧力は、反応温度で触媒の表面が原料液で覆われていればよく、3〜100kg/cm2G、好ましくは4〜50kg/cm2Gが選ばれる。本発明の方法では、この範囲内で望むべき反応が十分進行するので、これを越える高圧は不必要である。
【0039】
反応時間は、反応温度、圧力、触媒量等の設定の仕方又は反応方法によって変わるため一概にその範囲を決めることは困難であるが、懸濁床での回分式、半回分式においては通常0.5時間以上が必要で、好ましくは1〜10時間が良い。
【0040】
また、懸濁床による連続式反応又は固定床流通式反応においては、滞留時間は0.03〜10時間で良い。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、トルエンと有機カルボン酸及び酸素を液相で反応させカルボン酸ベンジルを製造する際、用いた触媒の性能を長期に渡って損なうことなく維持し連続運転を可能にすることができ、工業的に有用である上、プロセスの経済性を有利なものとなる。
【0042】
【実施例】
以下、本反応を実施例によりさらに詳しく説明するが、本反応がこれら実施例のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0043】
実施例1
塩化パラジウム(和光純薬工業社製)2.00g(11.3mmol)を200mlの丸底フラスコに秤取り、6規定の塩酸43mlを加え塩化パラジウムが完全に溶解するまで室温で撹拌した。次に乾燥器中で180℃、2時間乾燥させたシリカ40g(富士シリシア社製、CARIACT−Q30、BET比表面積:100m2/g、細孔容積:1.05cc/g、直径3mm球形)を加え、液が完全にシリカに吸収されるまで撹拌しながら含浸させた。含浸終了後、水分をロータリーエバポレーターで減圧下に除去し、さらに真空乾燥機中で100℃、3時間乾燥した。このようにして得られた触媒を管状の熱処理管に入れ、水素を50ml/minで流しながら、60℃で0.5時間還元し、更に400℃で5時間還元処理を行った。還元処理後の触媒は、チオシアン酸第二水銀法により洗浄水中に塩素イオンが検出されなくなるまで繰り返しイオン交換水で洗浄した。洗浄後、乾燥器中、110℃で3時間乾燥し触媒を得た。
【0044】
この触媒10ccを内径13mmのSUS316製の反応管に詰め、触媒層温度170℃、反応圧力14kg/cm2Gで、酢酸アンチモンを溶解させたトルエンと酢酸の等モル混合液を3.65g/min、酸素を23Nml/min、窒素を396Nml/min連続的に供給し反応した。このときのトルエンと酢酸の混合液中のアンチモン濃度は、溶液重量基準で5ppmであった。また、反応器内における気相部分の酸素分圧は推算値で0.6kg/cm2であった。
【0045】
反応生成物を液とガスに分離した後、液成分、ガス成分をそれぞれをガスクロマトグラフィーで分析した。
【0046】
このときの酢酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりの酢酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始5時間目で315g/L−cat./hであった。
【0047】
このまま、1005時間反応を継続した。この時のSTYは363であり、STYの低下は全く認められなかった。
【0048】
比較例1
実施例1と同じロットの触媒を用い、トルエンと酢酸の当モル混合液に酢酸アンチモンを溶解させていない以外は、実施例1と同様に反応、分析を行った。
【0049】
このときの酢酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりの酢酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始3時間目で160g/L−cat./hであった。
【0050】
このまま、24時間反応を継続した。この時のSTYは110であり、STYの低下が認められた。
【0051】
実施例2
硝酸パラジウム溶液(田中貴金属工業社製:8.26wt%パラジウム含有)15.16gと酒石酸アンチモン溶液(2.0wt%Sb23含有)28.47gを200mlの丸底フラスコに秤取り、さらに純水を加えて43mlの均一溶液を得た。次に乾燥器中で180℃、2時間乾燥させたシリカ40g(富士シリシア社製、CARIACT−Q30、BET比表面積:100m2/g、細孔容積:1.05cc/g、直径3mm球形)を加え、液が完全にシリカに吸収されるまで撹拌しながら含浸させた。含浸終了後、水分をロータリーエバポレーターで減圧下、50℃で除去した。このようにして得られたものを管状の熱処理管に入れ、空気を200ml/minで流しながら、300℃で5時間焼成を行い触媒前駆体を得た。次に、抱水ヒドラジン(和光純薬工業社製)7.06gを300ml丸底フラスコに秤取り、さらに純水120gを加えて均一溶液とした。この溶液に、触媒前駆体を加え、20℃、8時間還元した。その後、純水で水洗した後、乾燥器中、110℃、3時間乾燥して触媒を得た。
【0052】
この触媒20ccを内径27.6mmのSUS316製の反応管に詰め、触媒層温度170℃、反応圧力14kg/cm2Gで、酢酸アンチモンを溶解させたトルエンと酢酸の等モル混合液を1.85g/min、酸素を47Nml/min、窒素を420Nml/min連続的に供給し反応した。このときのトルエンと酢酸の混合液中のアンチモン濃度は、溶液重量基準で0.5ppmであった。また、反応器内における気相部分の酸素分圧は推算値で1.2kg/cm2であった。
【0053】
反応生成物を液とガスに分離した後、液成分、ガス成分をそれぞれをガスクロマトグラフィーで分析した。
【0054】
このときの酢酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりの酢酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始から1850時間目で679g/L−cat./hであった。
【0055】
このまま、5700時間まで反応を継続した。この時のSTYは684であり、STYの低下は全く認められなかった。
【0056】
比較例2
実施例2と同じロットの触媒を用い、トルエンと酢酸の当モル混合液に酢酸アンチモンを溶解させていない以外は、実施例2と同様に反応、分析を行った。
【0057】
このときの酢酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりの酢酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始3400時間目で721g/L−cat./hであった。
【0058】
このまま、5400時間まで反応を継続した。この時のSTYは605であり、STYの低下が認められた。
【0059】
実施例3
硝酸パラジウム溶液(田中貴金属工業社製:8.26wt%パラジウム含有)2.45gと酒石酸アンチモン溶液(2.0wt%Sb23含有)13.79gを200mlの丸底フラスコに秤取り、さらに純水を加えて43mlの均一溶液を得た。以後の操作は、実施例2と全く同様にして触媒前駆体を得た。次に、抱水ヒドラジン(和光純薬工業社製)1.90gを300ml丸底フラスコに秤取り、さらに純水120gを加えて均一溶液とした。この溶液に、触媒前駆体を加え、20℃、8時間還元した。その後、純水で水洗した後、乾燥器中、110℃、3時間乾燥して触媒を得た。
【0060】
この触媒20ccを内径27.6mmのSUS316製の反応管に詰め、触媒層温度170℃、反応圧力14kg/cm2Gで、酢酸アンチモンを溶解させたトルエンと酢酸の等モル混合液を1.85g/min、酸素を47Nml/min、窒素を420Nml/min連続的に供給し反応した。このときのトルエンと酢酸の混合液中のアンチモン濃度は、溶液重量基準で2ppmであった。また、反応器内における気相部分の酸素分圧は推算値で1.2kg/cm2であった。
【0061】
反応生成物を液とガスに分離した後、液成分、ガス成分をそれぞれをガスクロマトグラフィーで分析した。
【0062】
このときの酢酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりの酢酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始から500時間目で316g/L−cat./hであった。
【0063】
このまま、1850時間まで反応を継続した。この時のSTYは314であり、STYの低下は全く認められなかった。
【0064】
比較例3
実施例3と同じロットの触媒を用い、トルエンと酢酸の当モル混合液に酢酸アンチモンを溶解させていない以外は、実施例3と同様に反応、分析を行った。
【0065】
このときの酢酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりの酢酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始650時間目で413g/L−cat./hであった。
【0066】
このまま、1650時間まで反応を継続した。この時のSTYは248であり、STYの低下が認められた。
【0067】
実施例4
硝酸パラジウム溶液(田中貴金属工業社製:8.26wt%パラジウム含有)2.54gと酒石酸アンチモン溶液(2.0wt%Sb23含有)7.97gを200mlの丸底フラスコに秤取り、さらに純水を加えて43mlの均一溶液を得た。次に乾燥器中で180℃、2時間乾燥させたシリカ40g(富士シリシア社製、CARIACT−Q30、BET比表面積:100m2/g、細孔容積:1.05cc/g、直径3mm球形)を加え、液が完全にシリカに吸収されるまで撹拌しながら含浸させた。含浸終了後、水分をロータリーエバポレーターで減圧下、50℃で除去した。このようにして得られたものを管状の熱処理管に入れ、空気を200ml/minで流しながら、300℃で3時間焼成を行った。次いで、一旦室温に戻し充分系内を窒素で置換した後、水素を50ml/minで流しながら、300℃で3時間還元処理を行って触媒を得た。
【0068】
この触媒10ccを内径13mmのSUS316製の反応管に詰め、触媒層温度170℃、反応圧力14kg/cm2Gで、酢酸アンチモンを溶解させたトルエンとプロピオン酸の混合液(トルエン/プロピオン酸モル比=1/4)を3.58g/min、酸素を58Nml/min、窒素を417Nml/min連続的に供給し反応した。このときのトルエンとプロピオン酸の混合液中のアンチモン濃度は、溶液重量基準で0.5ppmであった。また、反応器内における気相部分の酸素分圧は推算値で1.5kg/cm2であった。
【0069】
反応生成物を液とガスに分離した後、液成分、ガス成分をそれぞれをガスクロマトグラフィーで分析した。
【0070】
このときのプロピオン酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりのプロピオン酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始から1時間目で1062g/L−cat./hであった。
【0071】
このまま、170時間まで反応を継続した。この時のSTYは1031であり、STYの低下は認められなかった。
【0072】
比較例4
実施例4と同じロットの触媒を用い、トルエンとプロピオン酸の混合液に酢酸アンチモンを溶解させていない以外は、実施例4と同様に反応、分析を行った。
【0073】
このときのプロピオン酸ベンジルの空時収量(単位触媒体積当たり、単位時間当たりのプロピオン酸ベンジル生成量:STY)は、反応開始1時間目で1096g/L−cat./hであった。
【0074】
このまま、170時間まで反応を継続した。この時のSTYは909であり、STYの低下が認められた。

Claims (2)

  1. トルエンと有機カルボン酸及び酸素を触媒の存在下液相で反応させカルボン酸ベンジルを製造する方法において、パラジウムが担持された固体触媒を用い、原料であるトルエン及び/又は有機カルボン酸にアンチモンを含む化合物を溶解させて反応を行うことを特徴とするカルボン酸ベンジルの製造方法。
  2. パラジウム及びアンチモンが担持された固体触媒を用いることを特徴とする請求項1に記載のカルボン酸ベンジルの製造方法。
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