JP4009538B2 - 戸構造の内部解錠装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面ハンドルやレバーハンドルなど外側ハンドルを扉の外側から廻して、躯体や筐体又は支柱などの本体から掛金を外すことで、扉を開閉する戸構造において、扉の内側からでも緊急脱出できる戸構造の内部解錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のレバーハンドルは、特開2003−3700号公報及び特開平9−32382号公報などや、添付図面の図7乃至図10のように、扉面と略同一面としての平面ハンドルを原則として扉の外側からハンドルを操作して(鍵付と鍵なしがある)、扉の内側に入るものであった。この平面ハンドルとは別に、特開平6−346641号公報などの扉の外側から突出したレバーハンドルなど扉面から突出したハンドルを操作して扉内に入るものも存在した。
【0003】
上記平面ハンドルにおける従来例を、添付の図7乃至図10により説明する。これらの図のうち図7は錠前としての平面ハンドル50の縦断面図であり、図8は図7の平面ハンドル50を扉51に取り付けて、その掛金59を支柱など固定側の本体52に掛けている状態の斜視図である。図9は図7の状態からフック53を下げた状態を示し、図10は図9の平面ハンドル50を扉に取り付けて本体から掛金59を外した状態を現わす。
図7では、平面ハンドル50の筐体54にビス孔55,56を有し、これらに図8に示すビス57,58を入れて扉51に取り付ける。そこで、平面ハンドル50が扉51の縦長溝65と本体50の縦長溝66に掛金59が掛けわたされて、扉51を本体50にロックしている状態を説明する。ハンドル60は鍵によりプレートを筐体54に引っ掛けることで(図示せず)、スプリング61の反発力に抗してハンドル60は、筐体54内に収められている。この状態では鍵を回転してプレートを廻すことで、プレートを筐体54より外してもハンドル60はバネ62が筐体54に前後方向に枢着している(図示せず)押ボタン67を時計方向に付勢されることで、切欠部63において、ハンドル60はその軸64に取り付けたスプリング61に抗した状態を保持して動かない。
【0004】
つぎに、上記図7と図8で、固定したハンドル60を図9と図10に示すように、ハンドル60を跳ね上げて軸61で時計方向に回転したフック53により、掛金59を本体52の縦長溝66から外すことで扉51を本体52から開放する。
これをより具体的に説明すると、鍵を開けて錠を筐体54から外した後のハンドル60は図7と図8の状態にあるが、この状態で押ボタン67をバネ62の反発力に抗して図9に示す矢印方向に押すことで、押ボタン67がバネ62の軸68を中心に廻るために上記切欠部63で係合していたハンドル60は押ボタン67から外れ、スプリング61により軸64を中心にしてハンドル60は跳ね上がる。このハンドル60の跳ね上がりによってフック53は軸64を中心に時計方向に回転して下がる。このフック53が下がることで、平面ハンドルの筐体54に枢着している掛金59はビス70を中心にビス71が雲形の穴部69内の下方位置に至るまで時計の回転方向に回転することで、掛金59は本体52の縦長溝66から外れて、扉51はハンドル60が飛び出た方に開くことができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−3700号公報
【特許文献2】
特開平9−32382号公報
【特許文献3】
特開平6−346641号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものは分電盤や金庫など外側から解錠してから容易に内部へ入ることができるものの、内側に人が入っているのに誤って鍵を掛けてしまったり、自動的に扉が閉った場合には、内側から錠前を分解するなど工具を使用して外へ出られなくはないものの、工具を持っていなかったり、内部が暗くて外へ脱出困難になり、なによりも火災など緊急時に速やかに脱出することができないという欠点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであり、その第1の目的は誤って扉が閉った場合に、暗室でも簡単な操作により外部へ容易に脱出できる戸構造の内部解錠装置を提供せんとする。
本発明の他の目的は、常態では室の外部からは解錠して内部に入れるが、不幸にも錠が施こされて、火災が発生するなど非常時において、室の内部から外部へ速やかに出ることが可能な戸構造の内部解錠装置を提供せんとするものである。
【0008】
本発明は、上記目的に鑑みてなされたものであり、その要旨は扉の外側のハンドルを操作して掛金を筐体や躯体又は支柱など固定側の本体に掛けたり外したりする戸構造において、前記扉の内側に操作ピンで枢着した基体と、該基体に設けたガイド板に沿って摺動自在に配置した前記掛金を先部に有する操作板と、該操作板と前記基体との間に介在した引っ張りスプリングと、前記掛金を前記本体掛けたり外したりするために前記外側ハンドルに連設して上下動するフック部材と、該フック部材とともに前記基体に設けた雲形穴内に設けて前記掛金を本体に掛ける位置から外す位置まで前記基体と操作板の回動距離を規制する作用ピンとからなり、
常時では前記外側ハンドルを扉の外側から操作することで前記フック部材の上下動により前記基板と操作板を前記操作ピンを中心に回動することで前記掛金を前記本体に掛けたり外したりするとともに、非常時では扉の内側から前記操作板を前記スプリングに抗して摺動させることにより前記掛金を前記本体から外して扉を内側から開放可能にしたことを特徴とする戸構造の内部解錠装置にある。
本発明では扉の内側表面に本発明の戸構造の内部解錠装置が設けられているために、外側で鍵が掛っているなど内側から外側に脱出できない場合、操作板をスプリングに抗して摺動させるだけで掛金を本体から外すことができるようにした。
【0009】
本発明の上記発明と別の実施形態として、二重扉の外側ハンドルを操作して掛金を筐体や躯体又は支柱など固定側の本体に掛けたり外したりする戸構造において、前記扉の内部には、操作ピンで枢着した基体と、前記基体に設けたガイド板に沿って摺動自在に配置した操作板と、該操作板と前記基体との間に介在した引っ張りスプリングと、前記掛金を前記本体へ掛けたり外したりするために前記外側のハンドルに連設して上下動するフック部材と、該フック部材とともに前記基体に設けた雲形穴内に設けて前記掛金を本体に掛ける位置から外す位置まで前記基体と操作板の回動距離を規定する作用ピンと、前記スプリングに抗して前記操作板を横移動して前記掛金を前記本体より外すために前記操作板における前記掛金と反対側に設けた突起部に当接して該操作板を横移動するよう前記二重扉の内側にあるハンドルと連設したカムとを、それぞれ埋設してなり、
常時では前記外側のハンドルを扉の外側から操作することで前記フック部材の上下動により前記基板と操作板を前記操作ピンを中心に回動することで前記掛金を前記本体に掛けたり外したりするとともに、非常時では扉の内側のハンドルに連設したカムにより前記操作板を前記スプリングに抗して引っ張ることにより前記掛金を前記本体から外して扉を内側から開放可能にしたことを特徴とする戸構造の内部解錠装置がある。
本発明によれば、本発明の主要部である基体とガイド板に沿って摺動する掛金を有する操作板とを、扉の板厚内に納めてこれを内側ハンドルに取り付けたカム部により前記操作板を横移動することで掛金を本体から外すようにした。
【0010】
【作用】
扉の外側から扉を開いて内側に入る戸構造の内部解錠装置において、扉の外側から錠が掛っていても操作板を直接引っ張ることで掛金を本体から外すことができる。また、操作板が扉内に設けられて直接引っ張り操作ができない場合でも、扉内側のハンドルに設けた操作杆により、掛金をスプリングに抗して横移動することで本体から外す。
【0011】
【実施例1】
図1は、本発明の一実施例である戸構造の内部解錠装置を現わす一部透視の斜視図で、図2は非常時に扉の内側より解錠する操作を説明する斜視図であり、図3は解錠状態の斜視図である。
図1において、1は本発明の装置の基体であり、ビス16,17で扉11に表面を面一に埋設されている平面ハンドル9の裏側には、ピンとしてのビス7により基体1が枢着されている。基体1は、その上下に位置する左右に平行に折り曲げたガイド板2,2’で全体をチャンネル状にしている。上下のガイド板2,2’にはそれぞれ2本のガイドピン18,18’が設けられ、各ピンはチャンネル状のガイド板2,2’付きの基体1中に左右に摺動する操作板3の上下に設けた摺動板19,19’に設けた上下2つの横長孔20,20’内を規制されて左右に摺動可能にしている。
【0012】
また、操作板3には雲形穴6が開けられて、この穴には従来例としての図7や図8に見られるハンドル60と一体に設けて上下動するフック部5と、ビスとしての作用ピン8が遊嵌状態で突出している。
また、基板1の内部と後述する操作板3と一体に設けた掛金15とは反対側の摺動板19には、引っ張りスプリング4の両端を固定している孔22,23付き突起2121 'を設けている。
さらに、操作板の一側部(図面上右側)には扉11と縦長溝12及びこの縦長溝12と対応する位置に支柱など固定側の本体13に設けた縦長溝14を貫通して扉を本体に固定している。
【0013】
ついで、上記構成から成る本発明の戸構造の内部解錠装置について以下に説明する。
通常の態様では扉11の外側にある平面ハンドルのハンドル60を、叙述した従来技術において記載したように跳ね上げることで、ハンドル上部に設けたフック部5を雲形穴6内の上方から下方に下ろし、雲形穴に当ってからさらに押し下げることで操作板3を、操作ピン7を軸として雲形穴の上方辺に作用ピン8が当るまで押し下げる(図1と図3)。このように、常態では鍵がある場合とない場合にかかわらずハンドルを跳ね上げることで、扉11を本体13から開いて扉内に入る。もちろん、この場合に扉内から外側に出るには扉が開いたままの状態にあるので問題は生じない。
しかし、内に人が入っていることを知らずにあるいは自然状態で扉を閉めてハンドルを下ろして錠を掛けられた場合、今までは図8の状態でそのまま外に出られなかったが、本発明では図2に示すように、扉の内側から操作板3の引き金としての突起部10を引っ張りスプリング4に抗して矢印の方向に引くことで掛金15は本体13にある縦長溝14から抜き出ることにより、そのまま扉11を外側に押し出すことで容易に扉を本体から開いてから外方に脱出できる。
【0014】
【実施例2】
図5は本発明の別の実施態様の戸構造の内部解除装置であり、常態における扉11'を本体13'に掛金15を掛けた状態の一部破断斜視図であり、図6は扉の内部から扉を開いて脱出可能にする状態を示す一部破断斜視図である。
図5と図6において、前記実施例と同じ構造を以下に説明する。
平面ハンドル9は扉11'に表面を面一に埋設し、その表面にチャンネル状の基体1が枢着されている(枢着位置は図示されていない)。また、基体1のガイド板2,2'の内側には摺動板19,19'を設けた操作板3が左右に摺動可能に配置している。また、基体1と操作板3との間には、実施例1と同様に、引っ張りスプリング4が配置されて、操作板3をスプリング4を伸ばして、図6に示すように矢印方向に引っ張ることで、操作板の先端に位置する掛金は扉11'と本体13のそれぞれの縦長溝12,14から外す。
【0015】
本実施例が実施例1と違う構造を以下に列挙する。まず、平面ハンドル9の内側にある基体1と操作板3などは実施例1では扉11の内側に露出して配置しているが、本実施例はこれらを扉11’内に埋設している。したがって、操作板3に設けた突起部10は扉11’内にあって、これを扉11’の内側から操作できない。
【0016】
そこで、本発明の目的である扉11’が掛金15により本体13に止められた状態で閉っている場合において、扉11’の内側から掛金15を外す構造としては、二重扉11’の内側外面にビス24により止めた平板25にレバーハンドル26を貫通して設け、その先端の扉11’内に縦断面鍵状の作動杆としてのカム27を付設した点にある。
このレバーハンドル26としてのハンドルや作動杆としてのカム27は、通常の状態、すなわち扉11’の外側のハンドル9を操作して扉を開閉して出入する場合は図7乃至図10と変わらないが、人が扉内に入っている場合に掛金15が掛っている非常時には図6に示す操作が必要である。この操作は扉11’の内側に突出しているレバーハンドル26を時計方向に回転させることで、作動杆27を廻して、これを操作板3の突起部10に当接し、作動杆としてのカム27の先端の円弧部28に沿って操作板3をスプリング4の引張力に抗して左方に横移動することで掛金15を本体13の縦長孔14から外して、扉11’を図面上向こう側に押しやることで開け、外側に脱出できる。
なお、図4は実施例2の要部を示す戸構造の内部解除装置の分解図である。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明ではハンドルの内側に基体と操作板とその両者間にスプリングを設け、扉の内側からこのスプリングの引張力に抗して前記操作板を横方向に移動することで、緊急時に掛金を本体から外すことにより、扉の内側に閉じ込められた人を脱出可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】扉内における本発明装置の一部透視状態の斜視図。
【図2】図1を緊急時において扉内より脱出する操作説明の一部透視状態の斜視図。
【図3】図1における通常時の扉開放状態を現わす斜視図。
【図4】上記図1乃至図3とは別の実施例である本発明装置の分解図。
【図5】図4を用いた一部透視状態の斜視図。
【図6】図5を緊急時において扉内より脱出する操作説明の一部透視状態の斜視図。
【図7】従来の平面ハンドルの縦断面図。
【図8】図7を用いた扉の掛金が本体に掛けられた状態の斜視図。
【図9】図7から平面ハンドルのハンドルを跳ね上げた状態を示す縦断面図。
【図10】図9における扉の掛金が本体から外れた状態の斜視図。
【符号の説明】
1 基体
2,2’ ガイド板
3 操作板
4 スプリング
5 フック部
6 雲形穴
7 操作ピン
8 作用ピン
11,11’ 扉
13 本体
14 本体の縦長孔
15 掛金

Claims (3)

  1. 扉の外側のハンドルを操作して掛金を筐体や躯体又は支柱など固定側の本体に掛けたり外したりする戸構造において、前記扉の内側に操作ピンで枢着した基体と、該基体に設けたガイド板に沿って摺動自在に配置した前記掛金を先部に有する操作板と、該操作板と前記基体との間に介在した引っ張りスプリングと、前記掛金を前記本体掛けたり外したりするために前記外側ハンドルに連設して上下動するフック部材と、該フック部材とともに前記基体に設けた雲形穴内に設けて前記掛金を本体に掛ける位置から外す位置まで前記基体と操作板の回動距離を規制する作用ピンとからなり、
    常時では前記外側ハンドルを扉の外側から操作することで前記フック部材の上下動により前記基板と操作板を前記操作ピンを中心に回動することで前記掛金を前記本体に掛けたり外したりするとともに、非常時では扉の内側から前記操作板を前記スプリングに抗して摺動させることにより前記掛金を前記本体から外して扉を内側から開放可能にしたことを特徴とする戸構造の内部解錠装置。
  2. 二重扉の外側ハンドルを操作して掛金を筐体や躯体又は支柱など固定側の本体に掛けたり外したりする戸構造において、前記扉の内部には、操作ピンで枢着した基体と、前記基体に設けたガイド板に沿って摺動自在に配置した操作板と、該操作板と前記基体との間に介在した引っ張りスプリングと、前記掛金を前記本体へ掛けたり外したりするために前記外側のハンドルに連設して上下動するフック部材と、該フック部材とともに前記基体に設けた雲形穴内に設けて前記掛金を本体に掛ける位置から外す位置まで前記基体と操作板の回動距離を規定する作用ピンと、前記スプリングに抗して前記操作板を横移動して前記掛金を前記本体より外すために前記操作板における前記掛金と反対側に設けた突起部に当接して該操作板を横移動するよう前記二重扉の内側にあるハンドルと連設したカムとを、それぞれ埋設してなり、
    常時では前記外側のハンドルを扉の外側から操作することで前記フック部材の上下動により前記基板と操作板を前記操作ピンを中心に回動することで前記掛金を前記本体に掛けたり外したりするとともに、非常時では扉の内側のハンドルに連設したカムにより前記操作板を前記スプリングに抗して引っ張ることにより前記掛金を前記本体から外して扉を内側から開放可能にしたことを特徴とする戸構造の内部解錠装置。
  3. 前記扉と前記本体には、前記掛金回転動と往復動ができる縦長の係止溝を設けたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の戸構造の内部解錠装置。
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