JP4009217B2 - 高周波信号伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージ - Google Patents

高周波信号伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロ波帯・ミリ波帯といった高周波において使用される積層構造および半導体素子を収容する高周波半導体パッケージに関し、特に高周波の伝送特性が良好な高周波伝送積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージに関する。
【0002】
【発明の背景】
上記高周波伝送積層構造として、例えば図5及び図9に示すような構造が考えられている。図5において、(a)は誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図、(b)は(a)の拡大斜視図である。また、図9において、(a)は図5(a)において誘電体層を省略しなかった場合を示す斜視図、(b)は金属リードの取付部周辺の様子を示す斜視図、(c)は(a)の断面斜視図、(d)は(c)において誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図である。
【0003】
図5もしくは図9に示す高周波伝送積層構造の一部は、特許文献1に開示された高周波伝送積層構造を成しており、1は誘電体層でありそれぞれを積層することで積層基板としている。2は信号配線導体であり、21の信号用貫通導体にそれぞれ接続している。内層には21の信号用貫通導体とそれらを接続する22の信号用貫通導体接続導体が形成され、3の接地導体の内側には32に示す円形状の接地導体非形成領域を中間層近傍が他層よりも小さくなるように形成し、接地導体非形成領域32の外周近傍に31に示す内層接地用貫通導体が形成されている。
【0004】
そして、接地導体非形成領域32は上下に互いに重なるように配置し、上下面の信号配線導体2の間を信号用貫通導体21および信号用貫通導体接続導体22によりなめらかに接続するように順次ずらして配置しており、最下層の信号配線導体2は積層基板1の端部へ延びた23の信号配線延長部に接続し、信号配線延長部23には積層基板1から外側へ引き出した24の金属リードを取着形成している。
【0005】
さらに、金属リード24および積層基板1の最下層の接地導体非形成領域32の外周を取り囲むように抜き部を設けた33の金属ベースを積層基板1の最下層の接地導体3に取着形成し、金属リード24上の積層基板1の内層の少なくとも1層に35のリード上層接地導体非形成領域を設けることにより高周波伝送用積層構造としていた。
【0006】
【特許文献1】
特願2002−92545号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記高周波伝送用積層構造においては、積層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化を招き、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れるために、反射の増大を招き高周波特性の劣化が生じてしまうという問題があった。
【0008】
本発明者等は、例えば、図5及び図9に示す構造をなす高周波伝送用積層構造として、比誘電率が8.5で厚みが0.2mmの誘電体層1を9層積層して積層基板とし、信号配線導体2の幅を0.125mmで接地導体3から0.138mmの間隔をあけて形成し、信号用貫通導体21を直径0.1mmの円形状に形成し、信号用貫通導体接続導体を幅0.16mmの矩形状とし、接地内層接地導体非形成領域32は中間層近傍の5層・6層は直径0.84mmでその他の層は直径が1.08mmの円形状に、接地用貫通導体31は直径0.1mmの円形状にて接地導体非形成領域32の外周より中心が0.08mmだけ離れた位置の円周上の8箇所に配置することで構成し、そして、信号用貫通導体21の9層間のずれを上層側から0.168mm,0.092mm,0.072mm,0.028mm,0.028mm,0.072mm,0.092mm,0.168mmとし、最下層の信号配線導体から幅0.25mmにて信号配線導体延長部を設け、そこに幅0.15mmで厚みが0.3mmのリードを信号配線導体延長部との取り付け長さが0.5mmで基板端からの引き出し長さが1.0mmとなるように形成し、抜き幅1.3mmで厚みが0.3mmの金属ベースを取り付け、さらに、リード上層接地導体非形成領域を幅1.14mmで積層基板端部までリード上層3層について設けることにより、比較用の高周波伝送用積層構造とした。
【0009】
そして、この高周波伝送用積層構造を比誘電率3.4で厚みが0.20mmの外部基板(図示せず)上に設けた線幅0.27mmのマイクロストリップ線路(図示せず)に金属リードを取り付け、外部基板上のマイクロストリップ線路から積層基板の最上層の信号配線導体の間の高周波特性を電磁界シミュレーションにて抽出すると、図6に線図で示すような周波数特性の特性曲線が得られた。図6において、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は入力した信号のうちの反射された量の評価指標としての反射係数(単位:dB)を示しており、特性曲線は反射係数の周波数特性を示している。
【0010】
図6における特性曲線は、53GHz付近に共振が生じていることを示しており、共振による高周波特性の劣化ならびに、高周波でのインピーダンスの不連続性が顕著であるために、反射の増大を招くことが判明した。
【0011】
そこで本発明は、上記技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、共振周波数を高周波側へ移動させると共に、高周波においてもインピーダンス整合がなされた高周波伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る高周波伝送用積層構造は、複数の誘電体層を積層して成る積層基板の最上層および最下層のそれぞれに形成した信号配線導体が、互いに前記両信号配線導体の近い方の一端から逆方向に延びる関係にあり、前記積層基板の各層に接地導体非形成領域と接地導体とを形成し、前記接地導体非形成領域には、前記積層基板の各層を上下に貫く信号用貫通導体と、該信号用貫通導体間を相互に接続する信号用貫通導体接続導体とをそれぞれ形成することで最上層の前記信号配線導体と最下層の前記信号配線導体の間を接続し、前記接地導体非形成領域の外周部に、前記積層基板の各層を上下に貫く接地用貫通導体を形成して前記接地導体間を接続することにより、前記積層基板の最上層と最下層の間を結ぶ高周波用伝送線路として成し、前記積層基板の最下層の信号配線導体から前記積層基板の端部へ延びた信号配線延長部を設け、該信号配線延長部上から前記積層基板の端部より外側へ引き出された金属リードを前記信号配線延長部に設け、前記金属リードおよび前記積層基板の最下層の前記接地導体非形成領域の外周を取り囲むように抜き部を設けた金属ベースを、前記積層基板の最下層の前記接地導体に設けて成る高周波信号伝送用積層構造において、前記金属リード上の前記積層基板の内層の少なくとも1層に非形成領域が前記金属リードに重なるリード上層接地導体非形成領域を設けるとともに、前記積層基板の端部に前記積層基板の最下層から上層に向けて、前記接地導体間を接続する垂直壁部接地導体を前記金属リードを跨いで少なくとも1対設け、前記接地導体非形成領域を中間層近傍で他層よりも小さく形成したことを特徴とする。
【0013】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招き、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を高周波側へ移動させることができることから、使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0014】
また、請求項2に係る高周波信号伝送用積層構造は、上記請求項1の高周波信号伝送用積層構造において、対を成す前記垂直壁部接地導体同士の間隔は、使用する高周波信号の最高周波数における自由空間波長の半波長を、前記積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根で除した値よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0016】
請求項3の高周波半導体パッケージによれば、請求項1または請求項2に記載の高周波信号伝送用積層構造において、対を成す前記垂直壁部接地導体の部位から互いに近づく方向に伸びるように前記リード上層接地導体非形成領域が設けられた前記接地導体に接地導体突出部を設けたことを特徴とする。
【0017】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置し、さらに、垂直壁部接地導体から接地導体突出部を設けたことで、高周波におけるインピーダンスの整合がさらに確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0018】
本発明の請求項4に係る高周波伝送用積層構造は複数の誘電体層を積層して成る積層基板の最上層および最下層のそれぞれに形成した信号配線導体が、互いに前記両信号配線導体の近い方の一端から逆方向に延びる関係にあり、前記積層基板の各層に接地導体非形成領域と接地導体とを形成し、前記接地導体非形成領域には、前記積層基板の各層を上下に貫く信号用貫通導体と、該信号用貫通導体間を相互に接続する信号用貫通導体接続導体とをそれぞれ形成することで最上層の前記信号配線導体と最下層の前記信号配線導体の間を接続し、前記接地導体非形成領域の外周部に、前記積層基板の各層を上下に貫く接地用貫通導体を形成して前記接地導体間を接続することにより、前記積層基板の最上層と最下層の間を結ぶ高周波用伝送線路として成し、前記積層基板の最下層の信号配線導体から前記積層基板の端部へ延びた信号配線延長部を設け、該信号配線延長部上から前記積層基板の端部より外側へ引き出された金属リードを前記信号配線延長部に設け、前記積層基板の最下層の前記接地導体非形成領域が、最下層の前記信号用貫通導体の周囲で、前記信号配線延長部の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の前記信号配線延長部を除く領域、及び前記信号配線延長部の周囲に形成されるとともに、前記積層基板の最上層の前記接地導体非形成領域が、最上層の前記信号用貫通導体の周囲で前記信号配線導体の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の前記信号配線導体を除く領域に形成され、前記最下層の接地導体非形成領域以外の前記最下層の表面に形成された接地導体の内側に金属ベースを設けて成る高周波信号伝送用積層構造において、前記金属リード上の前記積層基板の内層の少なくとも1層に非形成領域が前記金属リードに重なるリード上層接地導体非形成領域を設けるとともに、前記積層基板の端部に前記積層基板の最下層から上層に向けて、前記接地導体間を接続する垂直壁部接地導体を前記金属リードを跨いで少なくとも1対設け、前記接地導体非形成領域を中間層近傍で他層よりも小さく形成したことを特徴とする。
【0019】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0020】
また、請求項5に係る高周波信号伝送用積層構造は、上記請求項4の高周波信号伝送用積層構造において、対を成す前記垂直壁部接地導体同士の間隔は、使用する高周波信号の最高周波数における自由空間波長の半波長を、前記積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根で除した値よりも小さいことを特徴とする。
【0021】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから、使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0022】
請求項6の高周波半導体パッケージによれば、請求項4または請求項5に記載の高周波信号伝送用積層構造において、対を成す前記垂直壁部接地導体の部位から互いに近づく方向に伸びるように前記リード上層接地導体非形成領域が設けられた前記接地導体に接地導体突出部を設けたことを特徴とする。
【0023】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置し、さらに、垂直壁部接地導体から接地導体突出部を設けたことで、高周波におけるインピーダンスの整合がさらに確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。請求項7の高周波半導体パッケージによれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の高周波信号伝送用積層構造を備えた前記積層基板の上面に枠体および蓋体を設けることにより、高周波半導体素子を収容する構造とした、高周波の伝送特性が良好な高周波半導体パッケージとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、模式的に示した図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更・改良を施すことは何ら差し支えない。
【0025】
図1及び図8は本発明の高周波伝送用積層構造およびそれを用いた半導体パッケージの例を示す図であり、図1において、(a)は誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図、(b)は(a)の拡大斜視図である。また、図8において、(a)は図1(a)において誘電体層を省略しない場合を示す斜視図、(b)は金属リードの取付部周辺の様子を示す斜視図、(c)は(a)の断面斜視図、(d)は(c)において誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図である。また、図7に図1において金属リード側からみた正面図を示す。
【0026】
本発明の第1の高周波伝送用積層構造は、複数の誘電体層を積層して成る積層基板の最上層および最下層のそれぞれに形成した信号配線導体が、互いに前記両信号配線導体の近い方の一端から逆方向に延びる関係にあり、前記積層基板の各層に接地導体非形成領域と接地導体とを形成し、前記接地導体非形成領域には、前記積層基板の各層を上下に貫く信号用貫通導体と、該信号用貫通導体間を相互に接続する信号用貫通導体接続導体とをそれぞれ形成することで最上層の前記信号配線導体と最下層の前記信号配線導体の間を接続し、前記接地導体非形成領域の外周部に、前記積層基板の各層を上下に貫く接地用貫通導体を形成して前記接地導体間を接続することにより、前記積層基板の最上層と最下層の間を結ぶ高周波用伝送線路として成し、前記積層基板の最下層の信号配線導体から前記積層基板の端部へ延びた信号配線延長部を設け、該信号配線延長部上から前記積層基板の端部より外側へ引き出された金属リードを前記信号配線延長部に設け、前記金属リードおよび前記積層基板の最下層の前記接地導体非形成領域の外周を取り囲むように抜き部を設けた金属ベースを、前記積層基板の最下層の前記接地導体に設けて成る高周波信号伝送用積層構造において、前記金属リード上の前記積層基板の内層の少なくとも1層に非形成領域が前記金属リードに重なるリード上層接地導体非形成領域を設けるとともに、前記積層基板の端部に前記積層基板の最下層から上層に向けて、前記接地導体間を接続する垂直壁部接地導体を前記金属リードを跨いで少なくとも1対設け、前記接地導体非形成領域を中間層近傍で他層よりも小さく形成したものである
【0027】
すなわち、図1もしくは図8において、1は誘電体層でありそれぞれを積層することで積層基板としている。2は信号配線導体であり21の信号用貫通導体にそれぞれ接続している。内層には信号用貫通導体21とそれらを接続する22の信号用貫通導体接続導体が形成され、3の接地導体の内側には32に示す円形状の接地導体非形成領域を中間層近傍が他層よりも小さくなるように形成し、接地導体非形成領域32の外周近傍に31に示す内層接地用貫通導体が形成されている。そして、接地導体非形成領域32は上下に互いに重なるように配置し、上下面の信号配線導体2の間を信号用貫通導体21および信号用貫通導体接続導体22により、なめらかに接続するように順次ずらして配置しており、最下層の信号配線導体2は積層基板1の端部へ延びた23の信号配線延長部に接続し、信号配線延長部23には積層基板1から外側へ引き出した24の金属リードを取着形成している。さらに、金属リード24および積層基板1の最下層の接地導体非形成領域32の外周を取り囲むように抜き部を設けた33の金属ベースを積層基板1の最下層の接地導体3に取着形成し、金属リード24上の積層基板1の内層の少なくとも1層に35のリード上層接地導体非形成領域を設け、積層基板1の端部に積層基板1の最下層から上層に向けて接地導体3の間を接続する36の垂直壁部接地導体を金属リード24を跨いで1対設けている。
【0028】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0029】
また、本発明の第2の高周波伝送用積層構造は、上記第1の高周波伝送用積層構造において、対を成す垂直壁部接地導体同士の間隔は、使用する高周波信号の最高周波数における自由空間波長の半波長を、積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根で除した値よりも小さくする。
【0030】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0031】
また、本発明の第3の高周波伝送用積層構造は、上記第1または第2の高周波伝送用積層構造において、対を成す垂直壁部接地導体の部位から互いに近づく方向に伸びるようにリード上層接地導体非形成領域が設けられた接地導体に接地導体突出部を設ける。すなわち、図1もしくは図8において、垂直壁部接地導体36から37の接地導体突出部を互いに近づく方向に設けている。
【0032】
これにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置し、さらに、垂直壁部接地導体から接地導体突出部を設けたことで、高周波におけるインピーダンスの整合がさらに確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0033】
また、本発明の第4の高周波伝送用積層構造は、図10もしくは図11において、1は誘電体層でありそれぞれを積層することで積層基板としている。2は信号配線導体であり21の信号用貫通導体にそれぞれ接続している。内層には21の信号用貫通導体とそれらを接続する22の信号用貫通導体接続導体が形成され、内層に形成された接地導体3の内側には32cに示す円形状の接地導体非形成領域を中間層近傍が他層よりも小さくなるように形成し、接地導体非形成領域32cの外周近傍に31に示す内層接地用貫通導体が形成されている。また、最下層の接地導体非形成領域32aは最下層の信号用貫通導体21の周囲において信号配線導体延長部23の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の信号配線導体延長部23を除く領域及び信号配線導体延長部23の周囲に形成されるとともに、最上層の接地導体非形成領域32bは最上層の信号用貫通導体21の周囲において信号配線導体2の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の信号配線導体2を除く領域に形成されている。そして、接地導体非形成領域32cは上下に互いに重なるように配置し、上下面の信号配線導体2の間を信号用貫通導体21および信号用貫通導体接続導体22によりなめらかに接続するように順次ずらして配置しており、最下層の信号配線導体2は積層基板1の端部へ延びた23の信号配線延長部に接続し、信号配線延長部23には積層基板1から外側へ引き出した24の金属リードを取着形成している。さらに、積層基板1の最下層の接地導体3aの内側に33の金属ベースを取着形成し、金属リード24上の積層基板1の内層の少なくとも1層に35のリード上層接地導体非形成領域を設け、積層基板1の端部に積層基板1の最下層から上層に向けて接地導体3の間を接続する36の垂直壁部接地導体を金属リード24を跨いで1対設けている。
【0034】
この構造によっても、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れ、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0035】
また、上記第4の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、上記第2の実施形態もしくは上記第3の実施形態を用い、それぞれ第5、第6の実施形態とすることにより、上記に述べた、それら実施形態の効果と同様の効果を有する。
【0036】
さらに、本発明の高周波半導体パッケージは、上記第1、第2、第3、第4、第5乃至第6の高周波信号伝送用積層構造を備えた前記積層基板の上面に枠体および蓋体を設けることにより、高周波半導体素子を収容する構造とする。
【0037】
すなわち、図8(c)において、積層基板1の上面に11の誘電体の枠体ならびにその枠体11の上面に34のシールリングを設けている。これにより、上記第1乃至第3の高周波信号伝送用積層構造を備えた前記積層基板の上面に枠体および蓋体を設けることができ、高周波半導体素子を収容する構造とした、高周波の伝送特性が良好な高周波半導体パッケージを実現する。
【0038】
このような本発明の高周波半導体パッケージにおいて、誘電体基板としては、例えばアルミナやムライト、窒化アルミ等のセラミックス材料、いわゆるガラセラ(ガラス+セラミック)材料が広く用いられ、信号配線導体や接地導体といった導体パターンは、高周波配線導体用の金属材料、例えば、Cuなどの単体金属やMoMn+Ni+Au、W+Ni+Au、Cr+Cu、Cr+Cu+Ni+Au、Ta 2 +NiCr+Au、Ti+Pd+Au、NiCr+Pd+Auなどの合金を用いて厚膜印刷法あるいは各種の薄膜形成方法やメッキ処理法などにより形成される。また、その厚みや幅も伝送される高周波信号の周波数や使用する特性インピーダンスなどに応じて誘電体の誘電率や厚みとともに設定される。また、枠体や蓋体に金属を用いる場合には、Fe−Ni−CoやFe−Ni42アロイ等のFe−Ni合金・無酸素銅・アルミニウム・ステンレス・Cu−W合金・Cu−Mo合金などから成る材料を用い、金属構造物間の接合には、ハンダ・AuSnロウやAuGeロウ等の高融点金属ロウ・シームウェルド(溶接)等により取着することによって気密封止し、また、誘電体基板と金属構造物とは、AgCuロウ・AuSnロウ・AuGeロウ等の高融点金属ロウにより接合することによって、半導体素子を収容することで良好な伝送特性を有する高周波半導体パッケージを提供できる。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の高周波伝送用積層構造について具体例を説明する。
【0040】
〔例1〕
本発明の請求項1乃至請求項2に係る第1ならびに第2の高周波伝送用積層構造と同様の構成を示す図1もしくは図8において説明する。比誘電率が8.5で厚みが0.2mmの誘電体層1を9層積層して積層基板とした。また、信号配線導体2の幅を0.125mmで接地導体3から0.138mmの間隔をあけて形成し、信号用貫通導体21を直径0.1mmの円形状に形成し、信号用貫通導体接続導体を幅0.16mmの矩形状とした。また、接地内層接地導体非形成領域32は中間層近傍の5層・6層は直径0.84mmでその他の層は直径が1.08mmの円形状に、接地用貫通導体31は直径0.1mmの円形状にて接地導体非形成領域32の外周より中心が0.08mmだけ離れた位置の円周上の8箇所に配置することで構成した。そして、信号用貫通導体21の9層間のずれを上層側から0.168mm,0.092mm,0.072mm,0.028mm,0.028mm,0.072mm,0.092mm,0.168mmとし、最下層の信号配線導体から幅0.25mmにて信号配線導体延長部を設け、その箇所に幅0.15mmで厚みが0.3mmのリードを信号配線導体延長部との取り付け長さが0.5mmで基板端からの引き出し長さが1.0mmとなるように形成し、抜き幅1.3mmで厚みが0.3mmの金属ベースを取り付けた。さらに、リード上層接地導体非形成領域を幅1.14mmで積層基板端部までリード上層3層について設け、積層基板の端部に積層基板の最下層から最上層までを接続するように幅0.3mmで奥行が0.15mmの垂直壁部接地導体を各々の間隔が1.2mmとなるように1対設けることにより、本発明の高周波伝送用積層構造の試料Aを得た。
【0041】
また、同様に本発明の高周波伝送用積層構造の他の例として、上記試料Aと同様の構成ではあるが、垂直壁部接地導体の間隔が1.0mmの試料B、間隔が0.8mmの試料C、間隔が0.6mmの試料Dを得た。
【0042】
そして、これらの試料A〜Dについて、比誘電率3.4で厚みが0.20mmの外部基板(図示せず)上に設けた線幅0.27mmのマイクロストリップ線路(図示せず)に金属リードを取り付け、外部基板上のマイクロストリップ線路から積層基板の最上層の信号配線導体の間の高周波特性を電磁界シミュレーションにて抽出した。その結果、図2に線図で示すような周波数特性の特性曲線が得られた。図2において、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は入力した信号のうちの反射された量の評価指標としての反射係数(単位:dB)を示しており、特性曲線は反射係数の周波数特性を示している。また、特性曲線に付記したA〜Dは各々試料A〜Dの特性曲線であることを示している。
【0043】
この結果から、本発明の高周波伝送用積層構造である試料A〜Dは、垂直壁部接地導体を設けたことで電磁遮蔽空間の大きさが小さくなり、共振周波数が高周波側へ移動したことで使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置したことで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれた結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造であることが分かる。
【0044】
さらに、この高周波伝送用積層構造を50GHzまで適用する場合には、対を成す垂直壁部接地導体同士の間隔が、使用する高周波信号の最高周波数の自由空間波長の半波長を積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根により除した値が1.03mmに対してそれよりも小さくなっている第2の高周波伝送用積層構造である試料B〜Dについては、より確実に反射が抑えられており、高周波特性がさらに良好な高周波伝送用積層構造であることが分かる。
【0045】
なお、垂直壁部接地導体の奥行はインピーダンスの不連続性を増大しない範囲で適宜設定すれば良い。すなわち、上記試料Dと同様に、ただし、垂直壁部接地導体の奥行を0.01mmとした試料Eについて、同様の電磁界シミュレーションにより電気的特性を抽出すると、図3に示すような周波数特性の特性曲線が得られた。図3において、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は入力した信号のうちの反射された量の評価指標としての反射係数(単位:dB)を示しており、特性曲線は反射係数の周波数特性を示している。また、特性曲線に付記したD・Eは各々試料D・Eの特性曲線であることを示している。
【0046】
この結果から、垂直壁部接地導体の奥行が小さくとも、ほぼ同等の性能を有することが確認できた。
【0047】
〔例2〕
まず、本発明の請求項3に係る第3の高周波伝送用積層構造と同様の構成を示す図1もしくは図8において、上記〔例1〕の試料Dと同様に、ただし、接地導体突出部を、最下層は垂直壁部接地導体より0.055mmずつ突出させ、その直上層は垂直壁部接地導体より0.050mmずつ突出させることにより、本発明の高周波伝送用積層構造の試料Fを得た。
【0048】
そして、この試料Fについて、〔例1〕と同様に電気的特性を電磁界シミュレーションにより抽出すると、図4に線図で示すような周波数特性の特性曲線が得られた。図4において、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は入力した信号のうちの反射された量の評価指標としての反射係数(単位:dB)を示しており、特性曲線は反射係数の周波数特性を示している。また、特性曲線に付記したD・Fは各々〔例1〕でえられた試料Dおよび試料Fの特性曲線であることを示している。
【0049】
この結果から、接地導体突出部を設けた試料Fは接地導体突出部を設けない試料Dに対して、さらに反射が小さく抑えられており、高周波特性がさらに良好な高周波伝送用積層構造であることが分かる。
【0050】
〔例3〕
まず、本発明の請求項4に係る第4の高周波伝送用積層構造を示す図10もしくは図11において、上記[例1]と同様に、ただし、最下層の接地導体非形領域32aは最下層の信号用貫通導体21の周囲において信号配線導体延長部23に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の信号配線導体延長部23を除く領域及び上記[例1]と同様の間隔で信号配線導体延長部23の周囲に形成されるとともに、最上層の接地導体非形成領域32bは最上層の信号用貫通導体21の周囲において信号配線導体2に垂直方向に互いに 平行に形成された2辺の内側の信号配線導体2を除く領域に形成され、積層基板1の最下層の接地導体3aの内側に厚みが0.3mmの金属ベース33を取り付けることにより、試料Gを得た。
【0051】
そして、この試料Gについて、上記[例1]と同様の方法で、高周波特性を電磁界シミュレーションにて抽出すると、図12に線図で示すような周波数特性の特性曲線が得られた。図12において、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は入力した信号のうちの反射された量の評価指標としての反射係数(単位:dB)を示しており、特性曲線は反射係数の周波数特性を示している。
【0052】
この結果から、本発明の別の実施形態に係わる高周波伝送用積層構造である試料Gは上記[例1]と同様に、上記垂直壁部接地導体を設けたことで電磁遮蔽空間の大きさが小さくなり、共振周波数が高周波側へ移動したことで使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置したことで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれた結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造であることが分かる。
【0053】
なお、以上はあくまで本発明の実施形態の例示であって、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。
【0054】
例えば、本発明の実施形態の例示では、垂直壁部接地導体の形状として、矩形を示したが、その他、半円形状・長円形状・垂直壁部に形成された凹部の表面に薄く導体を形成したコの字状等を用いることも可能である。また、垂直壁部接地導体の配置は垂直壁部以外にも、例えば、垂直壁部に設けることが設計上困難である場合等、少なくともリード上層接地導体非形成領域内であれば、特性上、本発明の実施形態の効果に劣るものの、同様の効果が得られる。また、リード上層接地導体非形成領域の形状も、矩形に限らずその他の形状であっても良い。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の高周波伝送用積層構造によれば、複数の誘電体層を積層して成る積層基板の最上層および最下層のそれぞれに形成した信号配線導体が、互いに前記両信号配線導体の近い方の一端から逆方向に延びる関係にあり、前記積層基板の各層に接地導体非形成領域と接地導体とを形成し、前記接地導体非形成領域には、前記積層基板の各層を上下に貫く信号用貫通導体と、該信号用貫通導体間を相互に接続する信号用貫通導体接続導体とをそれぞれ形成することで最上層の前記信号配線導体と最下層の前記信号配線導体の間を接続し、前記接地導体非形成領域の外周部に、前記積層基板の各層を上下に貫く接地用貫通導体を形成して前記接地導体間を接続することにより、前記積層基板の最上層と最下層の間を結ぶ高周波用伝送線路として成し、前記積層基板の最下層の信号配線導体から前記積層基板の端部へ延びた信号配線延長部を設け、該信号配線延長部上から前記積層基板の端部より外側へ引き出された金属リードを前記信号配線延長部に設け、前記金属リードおよび前記積層基板の最下層の前記接地導体非形成領域の外周を取り囲むように抜き部を設けた金属ベースを、前記積層基板の最下層の前記接地導体に設けて成る高周波信号伝送用積層構造において、前記金属リード上の前記積層基板の内層の少なくとも1層に非形成領域が前記金属リードに重なるリード上層接地導体非形成領域を設けるとともに、前記積層基板の端部に前記積層基板の最下層から上層に向けて、前記接地導体間を接続する垂直壁部接地導体を前記金属リードを跨いで少なくとも1対設け、前記接地導体非形成領域を中間層近傍で他層よりも小さく形成したことにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れるために、反射の増大を招くので、垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0056】
また、請求項2の高周波伝送用積層構造によれば、請求項1の高周波伝送用積層構造において、対を成す垂直壁部接地導体同士の間隔は、使用する高周波信号の最高周波数の自由空間波長の半波長を、積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根で除した値よりも小さくしたことから、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れるために、反射の増大を招くので、垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0057】
また、請求項3の高周波伝送用積層構造によれば、請求項1乃至2の記載の高周波伝送用積層構造において、対を成す垂直壁部接地導体の部位から互いに近づく方向に伸びるようにリード上層接地導体非形成領域が設けられた接地導体に接地導体突出部を設けたことにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れるために、反射の増大を招くので、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置し、さらに、垂直壁部接地導体から接地導体突出部を設けたことで、高周波におけるインピーダンスの整合がさらに確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0058】
請求項4の高周波伝送用積層構造によれば、複数の誘電体層を積層して成る積層基板の最上層および最下層のそれぞれに形成した信号配線導体が、互いに前記両信号配線導体の近い方の一端から逆方向に延びる関係にあり、前記積層基板の各層に接地導体非形成領域と接地導体とを形成し、前記接地導体非形成領域には、前記積層基板の各層を上下に貫く信号用貫通導体と、該信号用貫通導体間を相互に接続する信号用貫通導体接続導体とをそれぞれ形成することで最上層の前記信号配線導体と最下層の前記信号配線導体の間を接続し、前記接地導体非形成領域の外周部に、前記積層基板の各層を上下に貫く接地用貫通導体を形成して前記接地導体間を接続することにより、前記積層基板の最上層と最下層の間を結ぶ高周波用伝送線路として成し、前記積層基板の最下層の信号配線導体から前記積層基板の端部へ延びた信号配線延長部を設け、該信号配線延長部上から前記積層基板の端部より外側へ引き出された金属リードを前記信号配線延長部に設け、前記積層基板の最下層の前記接地導体非形成領域が、最下層の前記信号用貫通導体の周囲で、前記信号配線延長部の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の前記信号配線延長部を除く領域、及び前記信号配線延長部の周囲に形成されるとともに、前記積層基板の最上層の前記接地導体非形成領域が、最上層の前記信号用貫通導体の周囲で前記信号配線導体の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の前記信号配線導体を除く領域に形成され、前記最下層の接地導体非形成領域以外の前記最下層の表面に形成された接地導体の内側に金属ベースを設けて成る高周波信号伝送用積層構造において、前記金属リード上の前記積層基板の内層の少なくとも1層に非形成領域が前記金属リードに重なるリード上層接地導体非形成領域を設けるとともに、前記積層基板の端部に前記積層基板の最下層から上層に向けて、前記接地導体間を接続する垂直壁部接地導体を前記金属リードを跨いで少なくとも1対設け、前記接地導体非形成領域を中間層近傍で他層よりも小さく形成したので、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れるために反射の増大を招くので、垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0059】
また、請求項5の高周波伝送用積層構造によれば、請求項4の高周波伝送用積層構造において、対を成す垂直壁部接地導体同士の間隔は、使用する高周波信号の最高周波数の自由空間波長の半波長を積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根で除した値よりも小さくしたことから、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れるために、反射の増大を招くので、垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置することで、高周波におけるインピーダンスの整合が確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0060】
また、請求項6の高周波伝送用積層構造によれば、請求項4乃至5のいずれかに記載の高周波伝送用積層構造において、対を成す垂直壁部接地導体の部位から互いに近づく方向に伸びるようにリード上層接地導体非形成領域が設けられた接地導体に接地導体突出部を設けたことにより、層基板の端部近傍に形成される電磁遮蔽空間が誘電体共振器として働く結果、共振による高周波特性の劣化が生じ、さらには、金属リード付近のインピーダンスの不連続性が高周波において顕著に現れるために、反射の増大を招くために、高周波特性の劣化が生じる場合と比較して垂直壁部接地導体を金属リードを跨いで少なくとも1対設けたことで、電磁遮蔽空間の大きさを小さくすることができ、共振周波数を確実に高周波側へ移動させることができることから使用可能周波数帯域が広くなり、さらに、金属リードの近傍に接地導体を配置し、さらに、垂直壁部接地導体から接地導体突出部を設けたことで、高周波におけるインピーダンスの整合がさらに確実に行なわれる。その結果、高周波特性の良好な高周波伝送用積層構造となる。
【0061】
さらに、本発明の高周波半導体パッケージによれば、請求項1乃至6のいずれかの高周波信号伝送用積層構造を備えた前記積層基板の上面に枠体および蓋体を設け、高周波半導体素子を収容する構造としたことにより、高周波の伝送特性が良好な高周波半導体パッケージとして提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージの一例を模式的に説明する図であり、(a)は誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図、(b)は(a)の拡大斜視図である。
【図2】本発明の第1および第2の高周波伝送用積層構造の高周波特性を比較した線図である。
【図3】本発明の第1および第2の高周波伝送用積層構造の高周波特性を比較した線図である。
【図4】本発明の第3の高周波伝送用積層構造の高周波特性を比較した線図である。
【図5】比較用の高周波伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージの一例を模式的に説明する図であり、(a)は誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図、(b)は(a)の拡大斜視図である。
【図6】比較用の高周波伝送用積層構造の例の高周波特性を示す線図である。
【図7】図1における金属リード側からみた正面図である。
【図8】本発明に係る高周波伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージの一例を模式的に説明する図であり、(a)は図1(a)において誘電体層を省略しなかった場合を示す斜視図(ただし誘電体枠体及びシールリングは図から省略されている)、(b)は金属リードの取付部周辺の様子を示す斜視図、(c)は(a)の断面斜視図(ただし誘電体枠体及びシールリングは波線で示されている)、(d)は(c)において誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図である。
【図9】比較用の高周波伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージの一例を模式的に説明する図であり、(a)は図5(a)において誘電体層を省略しなかった場合を示す斜視図、(b)は金属リードの取付部周辺の様子を示す斜視図、(c)は(a)の断面斜視図、(d)は(c)において誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図である。
【図10】本発明の別の実施形態に係る高周波伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージの一例を模式的に説明する図であり、(a)は誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図、(b)は(a)の拡大斜視図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係る高周波伝送用積層構造およびそれを用いた高周波半導体パッケージの一例を模式的に説明する図であり、(a)は図9(a)において誘電体層を省略しなかった場合を示す斜視図、(b)は金属リードの取付部周辺の様子を示す斜視図、(c)は(a)の断面斜視図、(d)は(c)において誘電体層を省略し導体部分のみを示す斜視図である。
【図12】本発明の第4の高周波伝送用積層構造の高周波特性を示した線図である。
【符号の説明】
1・・・・・積層基板(誘電体層)
11・・・・・誘電体枠体
2・・・・・信号配線導体
21・・・・・信号用貫通導体
22・・・・・信号用貫通導体接続導体
23・・・・・信号配線延長部
24・・・・・金属リード
3・・・・・接地導体
31・・・・・接地用貫通導体
32・・・・・接地導体非形成領域
33・・・・・金属ベース
34・・・・・シールリング
35・・・・・リード上層接地導体非形成領域
36・・・・・垂直壁部接地導体
37・・・・・接地導体突出部

Claims (7)

  1. 複数の誘電体層を積層して成る積層基板の最上層および最下層のそれぞれに形成した信号配線導体が、互いに前記両信号配線導体の近い方の一端から逆方向に延びる関係にあり、前記積層基板の各層に接地導体非形成領域と接地導体とを形成し、前記接地導体非形成領域には、前記積層基板の各層を上下に貫く信号用貫通導体と、該信号用貫通導体間を相互に接続する信号用貫通導体接続導体とをそれぞれ形成することで最上層の前記信号配線導体と最下層の前記信号配線導体の間を接続し、前記接地導体非形成領域の外周部に、前記積層基板の各層を上下に貫く接地用貫通導体を形成して前記接地導体間を接続することにより、前記積層基板の最上層と最下層の間を結ぶ高周波用伝送線路として成し、前記積層基板の最下層の信号配線導体から前記積層基板の端部へ延びた信号配線延長部を設け、該信号配線延長部上から前記積層基板の端部より外側へ引き出された金属リードを前記信号配線延長部に設け、前記金属リードおよび前記積層基板の最下層の前記接地導体非形成領域の外周を取り囲むように抜き部を設けた金属ベースを、前記積層基板の最下層の前記接地導体に設けて成る高周波信号伝送用積層構造において、前記金属リード上の前記積層基板の内層の少なくとも1層に非形成領域が前記金属リードに重なるリード上層接地導体非形成領域を設けるとともに、前記積層基板の端部に前記積層基板の最下層から上層に向けて、前記接地導体間を接続する垂直壁部接地導体を前記金属リードを跨いで少なくとも1対設け、前記接地導体非形成領域を中間層近傍で他層よりも小さく形成したことを特徴とする高周波信号伝送用積層構造。
  2. 対を成す前記垂直壁部接地導体同士の間隔は、使用する高周波信号の最高周波数における自由空間波長の半波長を、前記積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根で除した値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の高周波信号伝送用積層構造。
  3. 対を成す前記垂直壁部接地導体の部位から互いに近づく方向に伸びるように前記リード上層接地導体非形成領域が設けられた前記接地導体に接地導体突出部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の高周波信号伝送用積層構造。
  4. 複数の誘電体層を積層して成る積層基板の最上層および最下層のそれぞれに形成した信号配線導体が、互いに前記両信号配線導体の近い方の一端から逆方向に延びる関係にあり、前記積層基板の各層に接地導体非形成領域と接地導体とを形成し、前記接地導体非形成領域には、前記積層基板の各層を上下に貫く信号用貫通導体と、該信号用貫通導体間を相互に接続する信号用貫通導体接続導体とをそれぞれ形成することで最上層の前記信号配線導体と最下層の前記信号配線導体の間を接続し、前記接地導体非形成領域の外周部に、前記積層基板の各層を上下に貫く接地用貫通導体を形成して前記接地導体間を接続することにより、前記積層基板の最上層と最下層の間を結ぶ高周波用伝送線路として成し、前記積層基板の最下層の信号配線導体から前記積層基板の端部へ延びた信号配線延長部を設け、該信号配線延長部上から前記積層基板の端部より外側へ引き出された金属リードを前記信号配線延長部に設け、前記積層基板の最下層の前記接地導体非形成領域が、最下層の前記信号用貫通導体の周囲で、前記信号配線延長部の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の前記信号配線延長部を除く領域、及び前記信号配線延長部の周囲に形成されるとともに、前記積層基板の最上層の前記接地導体非形成領域が、最上層の前記信号用貫通導体の周囲で前記信号配線導体の長手方向に垂直方向に互いに平行に形成された2辺の内側の前記信号配線導体を除く領域に形成され、前記最下層の接地導体非形成領域以外の前記最下層の表面に形成された接地導体の内側に金属ベースを設けて成る高周波信号伝送用積層構造において、前記金属リード上の前記積層基板の内層の少なくとも1層に非形成領域が前記金属リードに重なるリード上層接地導体非形成領域を設けるとともに、前記積層基板の端部に前記積層基板の最下層から上層に向けて、前記接地導体間を接続する垂直壁部接地導体を前記金属リードを跨いで少なくとも1対設け、前記接地導体非形成領域を中間層近傍で他層よりも小さく形成したことを特徴とする高周波信号伝送用積層構造。
  5. 対を成す前記垂直壁部接地導体同士の間隔は、使用する高周波信号の最高周波数における自由空間波長の半波長を、前記積層基板を成す誘電体の比誘電率の平方根で除した値よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の高周波信号伝送用積層構造。
  6. 対を成す前記垂直壁部接地導体の部位から互いに近づく方向に伸びるように前記リード上層接地導体非形成領域が設けられた前記接地導体に接地導体突出部を設けたことを特徴とする請求項4または5に記載の高周波信号伝送用積層構造。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の高周波信号伝送用積層構造を備えた前記積層基板の上面に、枠体および蓋体を設けることにより、高周波半導体素子を収容する構造としたことを特徴とする高周波半導体パッケージ。
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