JP4008503B2 - カレンダ掛け方法および該方法を用いるカレンダ - Google Patents

カレンダ掛け方法および該方法を用いるカレンダ Download PDF

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Description

本発明は、カレンダ掛けされる材料ウェブ、特に紙ウェブまたは板紙ウェブをカレンダに通し、少なくとも1つのカレンダ掛け用ニップを弾性被覆を設けた2つのロールによって作り、それらのロールを互いに圧迫し合わせ、ロール被覆の弾性特性によって、ロール間のニップを拡張ニップとするカレンダ掛け方法に関するものである。
本発明は更に、このカレンダ掛け方法を用いるカレンダに関するものである。カレンダは、少なくとも1つのカレンダ掛け用ニップを含み、ニップは弾性ロール被覆を設けた2つのロールにより作られ、カレンダ掛け用ニップを通して、被カレンダ掛け材料ウェブ、特に紙ウェブまたは板紙ウェブが送られ、その関連で、弾性ロール被覆を設けたロールは互いに圧迫され、それらのロール被覆の弾性特性によって、ロール間のニップは拡張ニップされる。
カレンダ掛けの水準を改善することが望まれる場合、現在の方式では、事実上、唯一の可能性はカレンダ掛け用ニップの数を増やすことである。これはカレンダの構造をより複雑にし、更に紙ウェブの制御およびテール通紙をより困難にすることとなる。特に、オンライン機の場合には、高い運転速度および全速での通紙から生じる矛盾を解決する必要がある。これらの問題をさまざまなベルトカレンダおよびシューカレンダにより解決する試みがなされ、これによってカレンダニップは拡張され、したがって、ニップの作用はより効率的になっている。例えば、ベルトカレンダでは、それ自体が比較的最近の構造物であり、カレンダ掛けされる紙は、エンドレスベルトにより送られて、高温カレンダロールに予備接触し、その場合、急温度勾配を生成でき、カレンダ掛けの観点からは有利になる。ベルトを用いることにより、予備接触がなされ、更に、ベルトの材料として、ロール被覆よりもかなり軟性の重合体を、熱による変形の問題なしに使用できるため、ニップの有効長は増加する。スーパーカレンダまたはソフトカレンダにおけるものよりも長いニップでは、紙に加わる押圧衝撃を大きくして、圧力ピークが過剰に高くならず、更に、かさが減り始めないようにすることができる。
ベルトカレンダ1個の方式は、従来技術において、例えばフィンランド特許第95,061号に記載されている。前記公報によるカレンダの実施例は、当該従来技術を示す添付図面の第1A図に概略的に描かれている。したがって、第1A図は、従来技術の概略図であり、カレンダ掛け用ニップNは、加熱可能硬質ロール1と、弾性被覆付きロール2によって支持された特に金属ベルト5であるカレンダ掛け用ベルトとの間に作られている。金属ベルト5はエンドレスベルトであり、その材料は、例えば鋼鉄としてよい。このベルトは弾性被覆3を設けたニップロール2および逆転ロール4上を送られる。既に述べたように、この従来技術のカレンダにおいては、カレンダ掛け用ニップNは、このように、加熱可能硬質ロール1と、弾性被覆を設けたカレンダロール2で支持された前記金属ベルト5との間に作られている。このような方式は、事実上、ソフトカレンダにおけるニップに非常によく似ている。しかし、金属ベルト5によって、紙Wの両面に実質的に対称な処理を施すことができ、したがって、つや出しを紙Wの両側で同時に行うことができる。
更に、第1B図は、第1A図に示す従来技術カレンダの更なる改善策を示す。第1B図において、カレンダは拡張されて2つのニップを有するカレンダとされ、カレンダは2つの加熱可能硬面カレンダロール1Aおよび1Bと、弾性ロール被覆3A、3Bを設けた2つのカレンダロール2A、2Bと、1つのエンドレス金属ベルト5とを含む。このエンドレス金属ベルト5が前記弾性被覆付きロール2A、2B上を送られ、前記弾性被覆付きロールは、加熱可能硬面ロール1A、1Bと共に、カレンダ掛け用ニップN1、N2を形成する。より正確には、これらのカレンダ掛け用ニップは、個別に、加熱可能硬面ロール1A、1Bと金属ベルトとの間に作られ、金属ベルトは、対応する弾性被覆付きロール2A、2Bによって、加熱可能硬面ロール1A、1Bに対して圧迫される。第1B図に示すように、紙ウェブWは第1のニップN1へ送り込まれ、その後ウェブは取り出し誘導ロール4A、4Bによって延展され、逆転されて第2のニップN2へ導入される。弾性被覆付きロール2A、2Bの構造および作用は、第1A図のものと同様である。第1A図および第2A図に示す従来技術カレンダは、つや出しに長いニップ時間を要しない等級紙での使用に好適である。
オンライン運転を考慮すると、ベルトカレンダは、なかでも、紙ウェブの損傷のない直線的な走行に関して、大きな利点を提供し、これにより、更に、高速度でのテール通紙が可能である。滑りシューにより支持されるベルトカレンダにおいて、ニップはエンドレスベルトと鋼製ロールとの間に作られる。滑りシューにより、プレス区域は上述のベルトカレンダにおけるものよりも広くなる。シューカレンダのニップにおいては、幅広のニップにより、最大圧を他の今日のカレンダにおけるものよりも低く保ち、このため、かさの維持に大きな重要性をおく等級紙には最適である。その構造に関して述べると、かかるシューカレンダは、比較的長い間、既に使用されている拡張ニップと、かなり広範囲で類似している。
従来技術に関しては、ソフトカレンダ掛けを示す一例として、例えば、ドイツ公開特許出願第43 44 165号を参照でき、これには、繊維質ウェブを2つの加熱可能面の間に通す平滑化方法が記載され、加熱可能面は、ウェブの両側に取りつけられ、ウェブを圧迫可能である。その圧縮圧は、事前に選択した方法により、ウェブの走行方向およびウェブの横断方向の両方向に、調節可能である。この従来技術は、滑りシューを設けた同様の装置に関する米国特許第5,163,364号をも含む。
ベルト支持のカレンダに関して、更に米国特許第4,596,633号を参照でき、これには、ウェブ仕上げ工程が記載され、仕上げされるウェブの表面部分を、まず高湿度(乾燥加熱残分50%〜70%)に湿潤化し、その後、ウェブをベルトに乗せて低圧の長い仕上げ区域へ送り込み、その区域は1つ以上のロールニップを含む。前記方法において、ベルトとして、フェルト、ワイヤ、または重合体ベルトなどの、従来技術の抄紙機のファブリックを用いるが、その表面処理自体は、ウェブのバックアップロールに面した側に対してのみ、行う。
滑りシューを設けた表面処理装置では、少なくとも一部のドラギングにおけるベルトと、滑りシューとの接触が問題とされていて、その接触は、滑りシューおよびベルトの両方に、相当に大きなひずみを与える。繊維質ウェブの初期乾燥に一般的に用いられる技術を適用する場合、初期乾燥によく適し、初期乾燥に好適に作用するベルトの品質は、特にベルトに加わる大きなひずみに対するその抵抗を考慮すると、ウェブ表面の仕上げの条件には不適切であることがわかっている。また、むろん、ウェブの損傷状態においてベルトにかかる局所的ひずみは、重合体被覆ロールにおいては、ほぼ同等に重要な問題であり、たとえ、ベルトの形で存在する同様の重合体が、ロール面に頑丈に取りつけられた被覆よりも相当に大きなひずみを許容するとしても、問題となる。滑りシューおよびベルトを設けた方式のシューカレンダにおいては、ベルトの両端部を常に閉じておく必要があり、または、滑り摩擦を減らすために用いる流体物および/もしくは蒸発物の環境の中へ延展するのを、何らかの方法で防ぐ必要があることが、更に問題となる。
長いベルトの循環およびロールニップも同様の基本的問題を抱えている。ベルト面の品質および均質な内部構造は、ウェブ表面の均一な質を得るための絶対必要条件であり、更に、多少とも弾性材料で作られ1つ以上のベルト調整ロールをしばしば有する長いベルトループを、ウェブの横方向におけるそれらの定位置に保つには、仕上装置に関連した、非常に複雑な調整装置の構築が必要である。
本発明は、カレンダ掛け方法に関し、特に、エンドレス金属ベルトによって非常に長いニップを有するカレンダを設け、同一のカレンダ掛けニップで、不要な追加操作なしに、カレンダ掛け工程の全段階の創生を試みる金属ベルトカレンダを利用する、カレンダ掛け方法に関するものである。したがって、本発明の目的は、従来技術と比べて実質的に改善されたカレンダ掛け方法と、その改善された方法に従って作動するカレンダとを提供し、そのカレンダによってカレンダ掛け工程を容易に制御可能とし、その方法によって同方法を行うカレンダの建設を比較的簡略化することを目的とする。本発明の目的を達成するため、本発明による方法では、ロール被覆に比べて非圧縮性であり、調整もしくは逆転ロール、またはそれと同等のロールによってエンドレスループに作られ、ニップを通過する可撓性カレンダ掛け用ベルトを、ニップのそれぞれの側の弾性被覆を設けたカレンダ掛け用ロール上で搬送することを主たる特徴とする。
一方、本発明によるカレンダは、ロール被覆に比べて非圧縮性であり、調整もしくは逆転ロール、またはそれと同等のロールによってエンドレスループに作られ、ニップを通過する可撓性カレンダ掛け用ベルトは、ニップのそれぞれの側の弾性被覆を設けたカレンダ掛け用ロール上を搬送されることを主たる特徴とする。
従来技術のカレンダ掛け方法およびカレンダに比べると、本発明により多数の著しい利点が達成され、そのうち、例えば、次の事項が挙げられる。
本発明において、可撓性の、薄い、実質的に非圧縮性のベルトを、新規の方法で、圧縮性または非圧縮性被覆を設けたロールと一緒に用いる場合、非常に幅広の圧力調整範囲が、同時に発生する高運転速度範囲と共に得られる。更に、金属製、または例えば繊維強化樹脂などの硬質重合体にすることができる、実質的に非圧縮性のベルトと、弾性被覆を設け、前記ベルトをニップにおいて支持するロールとを用いる場合、非常に高品質の面を有し、負荷に従って非常に良好にウェブ面に対して適合する弾性の仕上区域が得られる。更に、本発明の方式によれば、ウェブ処理区域の全長が非常に長く、必要に応じてさまざまな圧力範囲を有する多数の区域を含む仕上装置が得られる。本発明によるカレンダの主たる構成要件は、ロール被覆と比較すると、使用されるカレンダ掛け用ベルトの硬さにある。これにより、テール通紙に問題を生じず、容易になるという非常に著しい利点が生まれる。なぜなら、ウェブの引き出し先端部を全幅のままでカレンダに通紙することができ、ウェブが場合によっては通紙中にしわになったり、固まったりして、その弾性被覆に恒久的な損傷を与えるという危険性がないからである。本発明の更なる利点および構成要件は、次の発明の詳細な説明から明らとなる。
次に、添付図面に示す例を参照して、本発明を説明する。
第1A図および第1B図は、上述のように、従来技術のカレンダを示し、第1A図は加熱可能硬質ロールと、弾性被覆を設けたロールにより支持されたエンドレス金属ベルトとによって設けられた、カレンダ掛け用ニップの概略図である。他方、第1B図は、2つのニップを有し、それらのカレンダ掛け用ニップが、硬質ロールと、弾性被覆を設けたロールにより支持された金属ベルトとの間に作られている、カレンダの概略図である。
第2図は、カレンダ掛け用ニップが、弾性被覆をそのニップの両側に設けたロールによって支持された金属ベルト間に作られている、本発明によるニップの概略図である。
第3図は、第2図に示すものに代わるカレンダを示し、カレンダ掛け用ニップは、同様に、弾性被覆を設けたロールによって支持された2つの金属ベルト間に作られている。
第4図は、第2図および第3図から更に発展したカレンダの概略図であり、これによって、2工程でつや出しが可能である。
一般的にカレンダ掛け工程では、紙を両面から平滑化し、つや出し可能とするために、カレンダ掛け用ニップ内では、紙の各側に対して、平滑な面にする必要がある。オンラインカレンダに関しては、2つの相対する硬質鋼製ロールが過剰に狭いニップを形成して、所望の性質の変形が高速運転時に紙に生じるための時間を確保する。硬面の各カレンダロールを、弾性被覆を設けたロールにより支持されるエンドレスカレンダ掛け用ベルト、特に金属ベルトに換えると、相当に拡張されたニップが得られ、紙の両面が対称的な処理を受けられる。カレンダ掛け用ニップにおける必要な圧搾は、主としてそれらのカレンダ掛け用ベルトを支えるロールによって、更に、部分的にはカレンダ掛け用ベルトの引張を調整することによって生じる。要求条件に応じて、カレンダ掛け用ベルトを硬質ロール、または弾性被覆を設けたロールのいずれかによって支持することができる。カレンダ掛け用ベルトを硬質の鋼製ロールにより紙上に支持する効果は、マシンカレンダにおけるものと同じであり、このことは、紙の厚さの変動が効率的に計算されることを意味する。しかし、紙とカレンダ掛け用ベルトとの接触、およびカレンダ掛け用ベルトの剛性のため、ニップ時間がマシンカレンダにおけるものよりも相当に長くなるので、所望の軟粘性の変形が、通常のマシンカレンダにおけるものよりも大きな程度に生じるまでには、時間がかかると推測される。
弾性被覆を設けたロールによって互いに支持し合う鋼製ベルトは、ロールのところで、紙を、スーパーカレンダにおけるものと同じ押圧衝撃にさらす。更に、それらのロール間の区域では、紙は、それらのベルトの引張から生じる押圧衝撃にさらされ、前記衝撃の役割は、主として、それらのロールのところで発生する変形が逆転するのを防止することである。弾性被覆付きロールを用いる場合、そのロール被覆の損傷の危険性は、スーパーカレンダ、またはソフトカレンダにおけるものよりも、かなり小さくなる。なぜなら、それらのロールはつや出しされる紙に直接接触しないが、そのカレンダ掛け用ベルトは、ウェブ破損が生じた場合に、それらの被覆が傷つくのを効率的に防止するからである。カレンダ掛け用ベルトを紙と弾性被覆付きロールとの間に用いることによって、弾性被覆付きロールの効率的な冷却が可能となり、これにより高速運転が可能となる。
カレンダ掛け工程自体において、被カレンダ掛け紙面は、カレンダ掛け用ニップの手前、または理想的には、ニップ自体において、紙のガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する必要がある。紙の面をこのようにして所望の温度まで加熱した場合、その紙を圧搾する面はそれ以上高温にする必要はないが、その面は、比較的低温とすることが可能であれば望ましく、その場合、柔らかい状態にある紙面がカレンダ掛け面に対して押し付けて平滑化するのと同時に、その温度を低くし、その圧搾後の変形の逆転を減少させる。このような方式は、しかし、一種の矛盾を含む。すなわち、いかにすれば、紙面をそのような高温にまで加熱しても、カレンダ掛け用ニップにおいて紙面と接触するカレンダ掛け面が高温にならないですむかということである。むろん、紙面は、放射エネルギーが加熱に用いられ、更にニップが前記放射によって侵透可能な材料で作られている場合に、低温ニップにおいて加熱可能である。
カレンダ掛けは、いわゆる摩擦カレンダ掛けとして行うこともでき、これは、両面間に配される紙の圧搾に基づくだけでなく、両面と紙との速度差、および前記速度差により生じる滑り摩擦にも基づいている。プレスの引張から生じる通常の複写は強化され、これは摩擦により発生する温度上昇によるほか、つや出し面と紙との間の摩擦が静止摩擦から運動摩擦へ転換されるためでもあり、それはよく知られているように、これらの2つのうちの低い方である。たとえ今日の方式で滑りが縦方向のみに行われるとしても、静止摩擦から運動摩擦への転移により、重合体の移動は横方向にも容易になる。今まで用いられてきた方式では、摩擦は、ニップを形成するロールをわずかな相互速度差で回転させることによって生成していた。単位長あたりの滑り度は非常に小さくなっているがしかし、その最終結果の改善は注目されている。問題は、主として走行性、およびロールの回転速度の精密な調整である。摩擦カレンダ掛けも、カレンダ掛け用ベルトを用いる拡張ニップカレンダで利用できる。そのようなカレンダでは、両面間の速度差が非常に小さくても、紙がさらされる滑りは、拡張ニップによって、相当に大きくなる。そのような滑りは、例えば、相対するカレンダ掛け用ベルトをわずかな速度差で回転させることによって生成できる。上述の一般的原理に加え、本発明を、上述の添付図面の第1図ないし第3図を参照し、前記図に示す本発明の特定の様々な実施例によって、以下に説明する。
第2図は、カレンダ掛け用ニップNが、弾性被覆を設けたロールによって支持された2つのカレンダ掛け用ベルト15A、15B間に作られているカレンダの概略全体図である。これらのカレンダ掛け用ベルト15A、15Bは望ましくは金属ベルト、特に鋼製ベルトであるが、各ベルトを、弾性被覆付きのロール12A、12B上のロール被覆13A、13Bに比べて、可撓性で平滑な非圧縮性ベルトとすることは、本発明の主たる構成要件である。上述したように、ベルトの材料は、望ましくは鋼鉄であるが、ベルトの材料として、例えば繊維強化ベルト、硬質重合体ベルト、またはそれと同等のベルトの材料を使用することも、考慮可能である。このように、エンドレスカレンダ掛け用の各ベルト15A、15Bは、弾性ロール被覆を設けたロール12A、12Bおよび逆転ロール14A、14B上を通されている。それらの構造と作動原理に関して、弾性被覆13A、13B付きロール12A、12B、またはそれらのうち少なくとも1つは、例えば、各区域で調節可能な、自動装荷式ロール12Aにすることができ、ロールマント16Aは固定ロール軸17Aを周回するように配設され、ロールマント16Aは負荷要素18Aによって前記軸に対してニップNの方へ圧迫される。各区域において可調節の、そのようなロールによって、ニップNにおける負荷をウェブの横方向に均等にすることができ、所望の場合、その負荷を必要に応じて調節可能である。弾性面付きロールのうちの一方が、例えば各区域で可調節のロール12Aである場合、ニップNの反対側に配されるロール12Bは、必ずしも、同様の方法で各区域において調節可能としなくてもよい。第2図に示す場合では、所望のカレンダ掛け効果を達成するために、カレンダ掛け用ベルト15A、15Bは、加熱可能とする必要がある。なぜなら、弾性ロール被覆13A、13Bを設けたロール12A、12Bは、同様の方法で加熱可能にすることはできないからである。カレンダ掛け用ベルト15A、15Bの加熱を、さまざまな多くの方法で行うことができ、それらの方法の1つとして、例えば、誘導加熱を挙げることができる。誘導加熱は、ベルトが金属材料で作られている場合に、利用できる。第2図に、加熱装置、特にカレンダ掛け用ベルト15Aを加熱する誘導加熱器を、全体として概略的に示し、参照番号19Aで表示する。しかし、他の加熱方式を除外するものではない。
ニップNがソフトカレンダにおけるものと同じ幅を有する場合、同一の速度および線形負荷下では、紙ウェブWはソフトカレンダの場合と等しく大きい圧搾衝撃を受ける。しかし、ソフトカレンダに比べると、本発明の利点は、紙の両側にその紙の面に対して平滑な高温の金属面を配し、その金属面に対してつや出し可能なことである。むろん、ソフトカレンダでは、ソフトロールの最重要機能は、単にニップを長くし、ニップ時間を増大することである。つや出し自体は、ソフトロールの側ではほとんど全く行われないので、不等側面性を回避するため、ソフトカレンダにおいては、少なくとも2つのニップが必要であり、その場合、ロールの位置は互いに対して逆になる。
従来技術を示す第1A図および第1B図に示す方式に比べて、第2図に示す本発明によるカレンダの著しい違いの一つは、ニップNの両側に配されているロール12A、12Bが弾性被覆を設けたロールになっているため、ニップNの幾何学的形状が直線状であり、第1A図および第1B図に示す従来技術の方式におけるものよりも、ニップNの長さが長くなっていることである。従来技術の方式では、ニップの形状は鋼製ロールの湾曲した形に従っている。したがって、第2図の場合は、ニップ時間も、第1A図および1B図に示す方式におけるものよりも長くなっている。カレンダ掛け用ベルト15A、15Bの寸法決めをする観点からは、直線ニップNは利点を有する。なぜなら、そこでは、カレンダ掛け用ベルト15A、15Bは、ニップNへ入り始めた時にちょうど直線状になり、曲がる方向は逆転せず、第1A図および1B図の場合には逆転するからである。したがって、従来技術に比べてその改良は著しい。
第3図は、紙ウェブWが通されるカレンダ掛け用ニップNを示し、ニップは、同様に、弾性面付きロールによって支持された2つのカレンダ掛け用ベルト15A、15Bの間に作られている。しかし第3図は、第2図と異なり、カレンダ掛け用ベルト15A、15Bを調整ロール16A'、16A"および16B'、16B"によりそれぞれ案内し、前記カレンダ掛け用ベルト15A、15Bを、ニップNにおいてのみ弾性ロール被覆に接触させている。このような方式は、特に、ソフトロール被覆13A、13Bにおける熱の形成が問題を生じる場合に、必要とされる。第3図の場合においても、カレンダ掛け用ベルト15A、15Bには、ロールニップNにおいて所望の温度を達成するための、意図的な加熱装置を設ける必要がある。加熱装置として、例えば誘導加熱器、またはその等価物を用いることができる。ニップNを形成するロール12A、12B上のロール被覆13A、13Bは、ニップNにおいてのみ、カレンダ掛け用ベルト15A、15Bに接触するので、ロール被覆13A、13Bを、その被覆のほとんど全長にわたって、効率的に冷却することができる。ロール12A、12Bの構造および作動は、例えば本発明の前出の実施例に関して説明したものと同様にできる。第2図および第3図に示す実施例は、ソフトカレンダに代わるカレンダとして最適である。
第4図は2つのカレンダ掛け用ニップN1およびN2を次々に配したカレンダの実施例を示す。第1のニップN1は鋼製ロールなどの硬質の2つのロール11A、11Bの間に作られている。前記硬質ロール11A、11Bは、望ましくは加熱可能ロールである。第2のニップN2は、弾性被覆13A、13Bを設けた2つのロール12A、12B間に形成されているが、エンドレスカレンダ掛け用ベルト15A、15Bは、ニップのそれぞれの側に配されている、硬質ロール11A、11Bと、弾性面ロール12A、12Bとの上を送られる。したがって、紙Wは、ニップN1およびN2間では、カレンダ掛け用ベルト15A、15Bの間の閉鎖空間を走行する。従来技術に比べると、この方式は特に、通常なら高温ニップの後に紙が最も面倒な状態となり、その関係で圧力の迅速な放出によって紙全体を損なう可能性があるという点で、著しい利点を生む。本発明では、圧力が第1のニップの後に急速に放出されることはなく、上述したように、紙は、カレンダ掛け用ベルト15A、15B間でそれらに支持されて、第1のニップN1から第2のニップN2へ走行する。
硬質ロール、特に加熱可能硬質ロールを、第1のニップN1において1対のロール11A、11Bとして用いる場合、ニップN1では、非常に大きなカレンダ掛け圧力を用いることができ、この場合、その効果はマシンカレンダと同等となる。高カレンダ掛け圧では、紙は横方向に広がり易く、これが余計に紙とカレンダ掛け用ベルト15A、15Bとの間に横方向の滑りを生じ易い。横方向の滑りは、カレンダ掛け用ベルト15A、15Bが支持を行う場合、紙Wのカレンダ掛けを著しく改善して、紙の折れを防止する。このような折れは紙ウェブにおいて微小引裂きを生じる。第2のニップN2における対のロールは、弾性面付きのロール12A、12Bから成る。それらの機能は、対のロール11A、11Bにおけるものよりも広いプレス区域内および弱い線形負荷内で、ソフトカレンダ掛けと同様のつや出し作用を紙の両面に加えることによって、カレンダ掛け効果を完成させることである。
第1の対のロール11A、11Bの場合、カレンダ掛けはほとんど、紙の圧縮のみに基づいている。ニップN1およびN2の間では、紙の両面およびカレンダ掛け用ベルト15A、15Bの間の剪断力と、そのカレンダ掛け用ベルトから紙の面へ伝達される熱とが効果的である。後方の対のロール12A、12Bの区域に到達した紙ウェブの一部では、温度傾斜を形成するために時間をかけて、紙の両面をそれらの面に含有される重合体のガラス転移温度以上に加熱し、カレンダ掛けの主たる機構は、平滑なカレンダ掛け用ベルトの面を紙面へ複写することにある。温度傾斜の形成は、ニップの長さを変え、それによって滞留時間に影響を及ぼし、更にカレンダ掛け用ベルトの温度を調整することにより、調整することができる。ニップN1およびN2の間のカレンダ掛け用ベルト15A、15Bの内側には、アクチュエータ19を取り付け可能であり、これによってカレンダ掛け用ベルトは冷却もしくは加熱され、または高周波振動がカレンダ掛け用ベルト15A、15Bに生成される。
カレンダ掛け工程を考慮すると、特に金属ベルトの場合、カレンダ掛け用ベルトを加熱可能である。他の材料の場合および金属材料の場合においても、カレンダ掛け用ベルトには、例えば冷却、湿潤化などを必要に応じて行うことができる。このような方式は、片面カレンダ掛け、特に板紙のカレンダ掛けに非常によく適する。カレンダにおいて、一方のベルトを加熱可能であり、ニップの反対側に配されるベルトを冷却可能であり、この場合、その被カレンダ掛け材料ウェブに含まれる水分を、カレンダ掛け用ニップにおいて、加熱側から冷却側へ転移させることができる。このベルトの主たる構成要件の1つは、ロール被覆に比べて、その硬さであることは既に述べた通りである。これにより、通紙を、問題を生じさせずに容易にするという非常に著しい利点が得られる。なぜなら、ウェブの端部をカレンダに全幅で通紙することができるからである。
以上、本発明を添付の図面を参照して例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれらの図に示す実施例にのみ限定されることはなく、本発明のさまざまな実施例を添付の請求の範囲に明記する本発明の概念の範囲内で改変可能である。

Claims (22)

  1. 被カレンダ掛け材料ウェブ、特に紙ウェブまたは板紙ウェブをカレンダに通し、該カレンダに、少なくとも1つのカレンダ掛け用ニップを、弾性ロール被覆を設けた2つのロールによって形成し、該ロールを互いに圧迫し合わせ、前記ロール被覆の弾性特性によって、該ロール間のニップを拡張ニップとするカレンダ掛け方法において、前記ロール被覆に比べて非圧縮性であり、調整もしくは逆転ロール、またはそれと同等のロールによってエンドレスループとして形成され、前記ニップを通過する可撓性カレンダ掛け用ベルトを、該ニップの各側における前記弾性ロール被覆を設けたカレンダ掛け用ロール上で搬送することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  2. 請求の範囲第1項記載のカレンダ掛け方法において、必要なカレンダ掛け温度を生成し、前記被カレンダ掛け材料ウェブの表面層を可塑化するために、カレンダ掛け用ベルトのうち少なくとも一方を加熱することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  3. 請求の範囲第1項または第2項記載のカレンダ掛け方法において、前記材料ウェブを同一のカレンダ掛け用ニップにおいて両側からカレンダ掛けするために、両方のカレンダ掛け用ベルトを加熱することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  4. 請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載のカレンダ掛け方法において、特に前記カレンダ掛け用ベルトを金属ベルトにする場合、前記カレンダ掛け用ベルトの加熱を誘導加熱によって行うことを特徴とするカレンダ掛け方法。
  5. 請求の範囲第1項または第2項記載のカレンダ掛け方法において、加熱されるカレンダ掛け用ベルトに対して前記ニップの反対側に配されるカレンダ掛け用ベルトを冷却することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  6. 請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載のカレンダ掛け方法において、前記カレンダ掛け用ニップの長さは、該ニップの少なくとも一方の側を走行するカレンダ掛け用ベルトの少なくとも1つの調整または逆転ロールの位置を調節することによって調整することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  7. 請求の範囲第1項記載のカレンダ掛け方法において、弾性ロール被覆を設けた前記カレンダ掛け用ロール上を送られる前記カレンダ掛け用ベルトは、互いにニップを形成する硬質ロール上で搬送し、前記被カレンダ掛けウェブは、カレンダ掛け用ベルトによって、該ベルト間の、前記硬質ロールによって形成されたニップと弾性ロール被覆を設けた前記カレンダ掛け用ロールによって形成されたニップとの間を、実質的に全距離にわたって支持することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  8. 請求の範囲第7項記載のカレンダ掛け方法において、前記硬質ロール、または該硬質ロールのうち少なくとも一方を加熱し、所望のカレンダ掛け温度を生成することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  9. 請求の範囲第7項または第8項記載のカレンダ掛け方法において、前記カレンダ掛け用ベルトを、前記カレンダ掛け用ニップ間で冷却することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  10. 請求の範囲第7項または第8項記載のカレンダ掛け方法において、前記カレンダ掛け用ベルトを、前記カレンダ掛け用ニップ間で加熱することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  11. 請求の範囲第7項ないし第10項のいずれかに記載のカレンダ掛け方法において、高周波振動を、前記カレンダ掛け用ベルトに、前記カレンダ掛け用ニップ間で生成することを特徴とするカレンダ掛け方法。
  12. 請求の範囲第1項ないし第11項のいずれかに記載のカレンダ掛け方法を用いるカレンダであって、該カレンダは、少なくとも1つのカレンダ掛け用ニップを有し、該ニップは弾性ロール被覆を設けた2つのロールにより形成され、該カレンダ掛け用ニップに被カレンダ掛け材料ウェブ、特に紙ウェブまたは板紙ウェブが通され、その関連で弾性ロール被覆を設けた前記ロールは互いに圧迫され、該ロール被覆の弾性性状により、該ロール間のニップは拡張ニップとされるカレンダにおいて、該ロール被覆に比べて非圧縮性であり、調整もしくは逆転ロール、またはそれと同等のロールによってエンドレスループとして形成され、ニップを通過する可撓性カレンダ掛け用ベルトが、前記ニップの各側の、弾性被覆を設けたカレンダ掛け用ロール上を搬送されることを特徴とするカレンダ。
  13. 請求の範囲第12項記載のカレンダにおいて、必要なカレンダ掛け温度を生成するため、および被カレンダ掛け材料ウェブの表面層を可塑化するために、カレンダ掛け用ベルトのうちの少なくとも一方は加熱可能であることを特徴とするカレンダ。
  14. 請求の範囲第12項または第13項記載のカレンダにおいて、前記材料ウェブを同一のカレンダ掛け用ニップにおいて両側からカレンダ掛けするために、両方のカレンダ掛け用ベルトは加熱可能であることを特徴とするカレンダ。
  15. 請求の範囲第12項ないし第14項のいずれがに記載のカレンダにおいて、特に前記カレンダ掛け用ベルトを金属ベルトにする場合、前記カレンダ掛け用ベルトは誘導加熱器を備えることを特徴とするカレンダ。
  16. 請求の範囲第12項または第13項記載のカレンダにおいて、加熱されるカレンダ掛け用ベルトに対して前記ニップの反対側に配されるカレンダ掛け用ベルトは、冷却手段を備えることを特徴とするカレンダ。
  17. 請求の範囲第12項ないし第16項のいずれかに記載のカレンダにおいて、前記カレンダ掛け用ニップの長さは、該ニップの少なくとも一方の側を走行するカレンダ掛け用ベルトの少なくとも1つの調整または逆転ロールの位置を調節することによって調整されることを特徴とするカレンダ。
  18. 請求の範囲第12項記載のカレンダにおいて、弾性ロール被覆を設けた前記カレンダ掛け用ロール上を送られる前記カレンダ掛け用ベルトは、互いにニップを形成する硬質ロール上で搬送され、前記被カレンダ掛けウェブは、カレンダ掛け用ベルトによって、該ベルト間の、前記硬質ロールによって形成されたニップと弾性ロール被覆を設けた前記カレンダ掛け用ロールによって形成されたニップとの間の、実質的に全距離にわたって支持されることを特徴とするカレンダ。
  19. 請求の範囲第18項記載のカレンダにおいて、前記硬質ロール、または該硬質ロールのうち少なくとも一方は、所望のカレンダ掛け温度を生成するため、加熱可能であることを特徴とするカレンダ掛け方法。
  20. 請求の範囲第18項または第19項記載のカレンダにおいて、前記カレンダ掛け用ベルトは、前記カレンダ掛け用ニップ間の区域に、冷却装置を備えることを特徴とするカレンダ。
  21. 請求の範囲第18項または第19項記載のカレンダにおいて、前記カレンダ掛け用ベルトは、前記カレンダ掛け用ニップ間の区域に、加熱装置を備えることを特徴とするカレンダ。
  22. 請求の範囲第18項ないし第21項のいずれかに記載のカレンダにおいて、前記カレンダ掛け用ベルトは、前記カレンダ掛け用ニップ間で前記ベルトに高周波振動を生成する装置を備えることを特徴とするカレンダ。
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