本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。なお、同一要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は本発明に係る建築物の軸組の一例を示す斜視図、図2は図1の平面図である。
本実施形態に係る建築物は、図1に示すように、基礎Kの上面に配設される土台10と、この土台10に立設される複数の柱材30と、対向する一対の土台10,10間に架設される複数の横架材40とを主要部として構成され、洋室1と和室2と廊下3とを有している。また、土台10の上面には、取付部材20が固定されており、この取付部材20を利用して柱材30が土台10に立設固定されている。
ここで、柱材30とは、通し柱31、管柱32、間柱33および筋交34の総称であり、横架材40とは、図2に示す大引41および根太42の総称である。
以下、構成要素ごとに詳細に説明する。ここで、図3乃至図9は本発明に係る建築物の土台廻り構造を示す図であって、図3は土台と取付部材とを示す斜視図、図4(a)は取付部材の断面図、図4(b)は土台の断面図、図5は大引および柱材の取付状態を示す斜視図、図6は筋交の取付状態を示す斜視図、図7(a)は図5の拡大斜視図、図7(b)は大引を示す斜視図、図8は壁面材の取付状態を示す斜視図、図9は床仕上材の取付状態を示す斜視図である。
土台10は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、図3および図4(b)に示すように、上板11、下板13と、これらを鉛直方向に連結する左右の側板12,12とで略矩形(長方形)断面に形成されている。また、土台10は、内部が中空であるため非常に軽量であり、さらに上板11と下板13とが中間部分において隔壁板14,14で連結されているので、鉛直荷重に強い断面構造となっている。
側板12には、その下端縁から水平に張り出す張出部15および中間部から水平に張り出す中間張出部16が土台10の長手方向に沿って形成されている。すなわち、土台10の両側面に長手方向に沿って張出部15,15および中間張出部16,16が形成されている。
上板11には、図4(b)に示すように、その上面側に土台10の長手方向に沿って凹溝17が二条形成されている。凹溝17,17は、互いに平行に形成されており、後記する取付部材20の固定板21の下面側に形成された凸条23,23(図4(a)参照)と互いに係合する。
また、土台10には、基礎Kから突出するアンカーボルトb1(図5参照)を挿通するためのボルト挿通孔(図示せず)が適宜な位置に形成されている。
土台10は、図5に示すように、基礎Kの上面の柱取付部および後述するアンカーボルト取付部を中心に適宜な間隔で配置した土台スペーサSの上面に載置され、土台10の上面に取付部材20を載置した後に、アンカーボルトb1をナットNで締結することにより基礎Kと固定される。なお、このアンカーボルトb1は、柱取付位置の近傍や土台の接合部に適数本配設される。
なお、土台スペーサSにより、基礎Kの上面と土台10の下面との間に隙間が形成され、当該隙間が床下通気孔として機能するので、基礎Kに床下通気孔を欠き込み形成する必要はない。
取付部材20は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、図3および図4(a)に示すように、固定板21と、この固定板21の側端縁から立設する左右の取付板22,22とで構成されている。また、固定板21には、その下面側に取付部材20の長手方向に沿って凸条23,23が形成されている。
そして、取付部材20は、土台10の上面に載置され、固定板21の上面に突出したアンカーボルトb1をナットNで締結することにより、土台10に固定される。また、取付部材20は、凸条23,23を土台10の上板11に形成された凹溝17,17に係合させるだけで、位置決めがなされる。したがって、施工が容易で、かつ、取付誤差もない。
また、取付部材20は、必要長さで必要箇所に取り付ければよいが、図5に示すように、土台10の長手方向に沿って配設すれば、複数の柱材を1つの取付部材20で取り付けることができる。すなわち、柱材ごとに取付部材20を取り付ける必要がないので、施工性が良い。
通し柱31、管柱32および間柱33は、それぞれ木製の角材からなり、その下端部には二つのスリット(図5に示す間柱33のスリット33a,33aを参照)が鉛直方向に形成されている。この二つのスリットの間隔は、取付部材20の取付板22,22の間隔と等しい。すなわち、通し柱31、管柱32および間柱33は、その下端部が取付部材20の取付板22,22に外挿可能であり、取付部材20を介して土台10に立設される。
図5に示す間柱33でより詳細に説明する。間柱33は、その下端部を取付部材20の取付板22に外挿し、取付板22のピン孔22aと間柱33のピン孔33bとを合わせた後に、ピン孔33bに結合ピン(ドリフトピン)d1を打ち込むことで取付部材20に固定される。すなわち、間柱33のスリット33aに取付板22が挿入された状態で土台10に立設固定される。
また、間柱33は、その下端部を取付部材20の取付板22に外挿するだけで左右方向の位置決めがなされるので施工性がよく、かつ、取付精度も高い。
筋交34は、木製の角材からなるが、図6に示すように、その下端部にスリット34aが鉛直方向に形成されている。すなわち、筋交34は、その下端部が取付部材20の取付板22に外挿可能であり、取付部材20を介して土台10に立設される。すなわち、筋交34は、その下端部を取付部材20の取付板22に外挿し、側方からラグスクリューb6(図11(b)参照)を打ち込むかドリフトピンを打ち込むことで取付部材20に固定される。
大引41は、長尺のアルミニウム合金製の中空押出形材からなり、図5に示すように、矩形断面となっている。また、図7に示すように、大引41の端部には、その高さ方向の中央部にスリット41aが水平方向に形成されており、大引41を土台10の張出部15の上面に載置すると、土台10の中間張出部16がスリット41aに挿入される。
大引41を土台10,10間に架設するには、大引41を土台10の張出部15に載置し、大引41の位置決めをした後に、中間張出部16の大引41の側面に隣接する部位(図7中の符号16a)をかしめて大引41を固定すればよい。このとき、スリット41aに土台10の中間張出部16が挿入される。すなわち、大引41は、その下面が張出部15に支持され、中央部が中間張出部16に支持される。
このように、大引41の高さ方向の位置決めは、大引41を土台10の張出部15に大引41を載置するだけでよいので、施工性がよい。また、張出部15は土台10の長手方向に沿って形成されているので、複数の大引41を取り付けたときに、それらの上面が面一になる。したがって、大引41の上面に配設される根太42や合板71(図10(a)参照)の取付精度も向上し、結果としてゆがみの小さい建築物を構築することができる。
根太42は、本実施形態では、木製の角材からなるが、大引41と同様にアルミニウム合金製の中空押出形材を利用してもよい。また、根太42の両端は、土台10の中間張出部16の上面に載置され、土台10側面にラグスクリューb8などで固定されたブラケットたる根太受材43(図12参照)に支持固定される。また、根太42は、根太受材43の上に載置され、ラグスクリューb3などで固定される。すなわち、根太42は、根太受材43を介して土台10の中間張出部16に支持されている。なお、図示は省略するが、根太受材43は、土台10の長手方向に沿って配置される。
なお、洋室1においては、図2に示すように、根太42は、大引41と直交して配置される。
そして、前記した土台10、取付部材20、柱材30、横架材40、さらには壁面材や床仕上材などを間取りに合わせて適宜組み立てることで本実施形態に係る建築物が構築される。以下、洋室1、和室2および廊下3の具体的な構成について、図2及び図10乃至図12を参照して説明する。
ここで、図10は洋室と和室との境界に配設された土台廻り構造を示す断面図であって、図10(a)は図2のA−A断面図、図10(b)は(a)の他の例を示す断面図である。また、図11および図12(a)は洋室と屋外との境界に配設された土台廻り構造を示す断面図であって、図11(a)は図2のB1−B1断面図、図11(b)は同じく図2のB2−B2断面図、図12(a)は同じく図2のD1−D1断面図である。また、図12(b)は廊下と屋外との境界に配設された土台廻り構造を示す断面図であって、図2のE−E断面図である。
洋室1は、図2に示すように、複数の大引41と、これら大引41と直交する方向に配設された複数の根太42と、これら根太42の上面に積層された合板73および床仕上材74(図10(a)参照)とで床が構成され、土台10に適宜な間隔で立設された通し柱31、管柱32、間柱33および筋交34と、これらの室内側に覆設された壁面材62(図10参照)および屋外側に覆設された壁面材63(図11(a)(b)参照)とで壁が構成されている。また、大引41の端部は、洋室1と和室2との境界に配設される土台10(10A)およびこれに対向する土台10(10B)に支持固定され、根太42の端部は、土台10A,10Bと直交する土台10D,10Fに根太受材43(図12(a)参照)を介して支持固定される。なお、室内と屋外の境界(図2中の下側)は、掃出し窓1aになっている。
和室2は、複数の大引41と、これらの上面に積層された合板71および畳72(図10(a)参照)とで床が構成され、土台10に適宜な間隔で立設された通し柱31、管柱32、間柱33および筋交34と、これらの室内側に覆設される壁面材61(図10(a)参照)および屋外側に覆設された壁面材(図示せず)とで壁が構成されている。また、大引41の端部は、洋室1と和室2との境界に配設される土台10(10A)およびこれに対向する土台10(10C)に支持固定される。なお、室内と屋外の境界(図2中の下側)は、掃出し窓2aになっている。
廊下3は、複数の根太42と、その上面に積層された合板73および床仕上材74(図12参照)とで床が構成され、土台10に立設された通し柱31、管柱32、間柱33および筋交34と、これらの室内側に覆設された壁面材62および屋外側に覆設された壁面材63(図12(b)参照)とで壁が構成されている。また、根太42の端部は、対向する一対の土台10(10E)、10(10F)に支持固定される。また、図12(b)に示すように、根太42の端部は、土台10の中間張出部16の上面に根太受材43を介して支持固定される。
次に、本実施形態に係る建築物の土台廻りの構造を、図5乃至図12を参照して詳細に説明する。
(洋室と和室との境界)
洋室1と和室2との境界部に配設される土台10(10A)には、図5および図10(a)に示すように、張出部15,15に洋室1側の大引41および和室2側の大引41がそれぞれ載置されている。このとき、中間張出部16は大引41のスリット41aに嵌入されている。
土台10(10A)の上面に取付部材20が取り付けられ、取付部材20の取付板22,22に複数の柱材(図10(a)では管柱32)が適宜な間隔で配設され、ドリフトピンd1により固定されている。また、図8および図10(a)に示すように、取付板22には、壁面材61,62の下端部が受け木51を介してラグスクリューb2により固定されている。なお、ラグスクリューのほか、ドリルビスなどで固定しても勿論よい(以下、同じ)。また、壁面材61,62は、大引41の上面に載置するだけで、その高さ方向の位置決めがなされるので、その取付作業が容易である。なお、壁面材61,62は、合板、石膏ボード、断熱材などが一体化されたパネル材などである。
また、洋室1側では、壁面材62の下端部に沿って根太42が配設され、ラグスクリューb3で大引41に固定されている。また、図9および図10(a)に示すように、根太42の上面には、合板73と床仕上材74とが積層されている。なお、図示は省略するが、合板73は根太42に固定されている。また、和室2側では、大引41の上面に合板71と畳72とが積層されている。合板71はラグスクリューb4により大引41に固定されている。
なお、洋室1と和室2との境界に襖を設ける場合には、図10(b)に示すように、土台10の上面に受け木75と敷居76とを積層する。
(洋室と屋外との境界1)
洋室1と屋外との境界部に配設される土台10(10B)には、図11(a)(b)に示すように、張出部15に洋室1側の大引41が載置されている。このとき、中間張出部16は大引41のスリット41aに嵌入されている。また、屋外側の中間張出部16に壁面材63が載置され、その下端部が土台10の側面(側板12)にラグスクリューb7により固定されている。なお、壁面材63は、土台10の中間張出部16に載置するだけでその高さ方向の位置決めがなされるので、その取付作業が容易である。
土台10(10B)の上面に取付部材20が取り付けられ、取付部材20の取付板22,22に複数の柱材が適宜な間隔で配設され、図11(a)に示すように、間柱33(通し柱31および管柱32も同様)はドリフトピンd1により取付板22に固定され、図11(b)に示すように、筋交34はラグスクリューb6またはドリフトピンにより取付板22に固定されている。また、筋交34の下端部は、取付部材20の屋外側の取付板22に外挿されている。さらに、取付板22には、壁面材62の下端部が受け木51を介してラグスクリューb2により固定されている。
また、洋室1側では、壁面材62の下端部に沿って根太42が配設され、ラグスクリューb3により大引41に固定され、根太42上に合板73と床仕上材74とが積層されている。なお、図示は省略するが、合板73は根太42に固定されている。
(洋室と屋外との境界2)
洋室1と屋外との境界部に配設される土台10であって、掃出し窓1a(図2参照)に配設される土台10(10D)には、図12(a)に示すように、中間張出部16に長手方向に沿って根太受材43が載置され、ラグスクリューb8により土台10の側面(側板12)に固定されている。すなわち、根太受材43は、その下面が中間張出部16に支持されている。
根太受材43の上面に、土台10と直交する方向に根太42が載置され、ラグスクリューb3により根太受材43に固定されている。すなわち、根太42の端部は、根太受材43を介して中間張出部16に支持されている。
また、土台10の上面に窓台77が取り付けられ、窓台77の上面にはスペーサ78が固定され、根太42の上面とスペーサ78の上面に合板73と床仕上材74とが積層されている。
また、合板73、床仕上材74およびスペーサ78の側端は、窓台77の側端面よりも洋室1側に位置しており、窓台77の上面には半外付けサッシ79が取り付けられている。
(廊下と屋外との境界)
廊下3と屋外との境界部に配設される土台10(10E)には、図12(b)に示すように、中間張出部16に長手方向に沿って根太受材43が載置され、ラグスクリューb8により土台10の側面(側板12)に固定されている。また、屋外側の中間張出部16に壁面材63が載置され、その下端部が土台10の側面(側板12)にラグスクリューb7により固定されている。
土台10(10E)の上面に取付部材20が取り付けられ、取付部材20の取付板22,22に複数の柱材(図12(b)では筋交34)が適宜な間隔で固定されている。また、取付板22には、壁面材62の下端部が受け木51を介してラグスクリューb2により固定されている。
根太受材43の上面に、土台10と直交する方向に根太42が載置され、ラグスクリューb3により根太受材43に固定されている。すなわち、根太42の端部は、根太受材43を介して中間張出部16に支持されている。また、根太42上に合板73と床仕上材74とが積層されている。
以上のように、本実施形態に係る建築物によると、土台10利用して大引41、根太受材43、根太42などの様々な部材を精度よく、かつ、簡単に取り付けることができる。さらには、取付部材20を利用して通し柱31、管柱32、間柱33、筋交34、壁面材61,62,63などの様々な部材を精度よく、かつ、簡単に取り付けることができる。
また、土台10および取付部材20は、強度の割に軽いアルミニウム合金製の押出形材からなるため、現場での取り回しが容易である。しかも、土台10および取付部材20が白蟻の食害を受けず、湿気の多い床下空間に面していても腐朽しないため、耐久性の高い建築物を構築することができる。さらに、土台の断面寸法の経年変化がなく、加工精度が高いため、建築物にひずみを生じさせることもない。
<変形例1>
前記の土台10および取付部材20に替えて、図13に示す土台110および取付部材120により土台廻りの構造を構築してもよい。
土台110は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、図13および図14(b)に示すように、上板111、下板113と、これらを鉛直方向に連結する左右の側板112,112とで略矩形(長方形)断面に形成されている。また、土台110は、内部が中空であるため非常に軽量であり、さらに上板111と下板113とが中間部分において隔壁板114,114で連結されているので、鉛直荷重に強い断面構造となっている。
側板112には、その下端縁から水平に張り出す張出部115が土台110の長手方向に沿って形成されている。すなわち、土台110の両側面に長手方向に沿って張出部115,115が形成されている。また、側板112の上端部は、上板111よりも上方に突出するとともに、内側に曲げられ、長手方向に沿って横向きに開口する嵌合溝116になっている。
取付部材120は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、図13および図14(a)に示すように、固定板121と、この固定板121から立設する取付板122とで断面逆T字形状に形成されている。
そして、土台110の嵌合溝116,116に取付部材120の固定板121の側端部分を嵌合することで、取付部材120が土台110に取り付けられる。このとき、取付部材120の固定板121は、横向きに開口する嵌合溝116に嵌っているので、上向きの力(引抜力)に対する抵抗力が高い。また、取付部材120を土台110に取り付ける際には、嵌合溝116,116がガイドになるので、その位置決めが容易になるとともに、精度よく取り付けることができ、結果としてひずみの少ない建築物を構築することができる。
次に、土台廻りの構造の一例を、図14(c)を参照して詳細に説明する。図14(c)に示す土台廻りの構造は、洋室1と屋外との境界部におけるものであり、図2のB2−B2断面図である。
土台110には、洋室1側の張出部115に大引41が載置されている。また、屋外側の張出部115に壁面材63が載置され、その下端部が土台110の側面(側板112)にラグスクリューb7により固定されている。なお、壁面材63は、土台110の張出部115に載置するだけでその高さ方向の位置決めがなされるので、その取付作業が容易である。
土台110の上面に取付部材120が取り付けられ、取付部材120の取付板122に筋交34が固定されている。なお、筋交34は、その側面が取付板122の側面に当接した状態でラグスクリューb6により取付板122に固定されている。また、図13に示すように、通し柱31、管柱32および間柱33の下端部には、スリットが形成され、取付板122に外挿された状態で固定される。さらに、取付板122には、壁面材62の下端部が受け木52を介してラグスクリューb2により固定されている。
また、洋室1側では、壁面材62の下端部に沿って根太42が配設され、ラグスクリューb3により大引41に固定されている。また、根太42の上面には合板73と床仕上材74とが積層されている。なお、図示は省略するが、合板73は根太42に固定されている。
<変形例2>
前記した変形例1の取付部材120に替えて、図15および図16に示す取付部材125を土台110の上面に取り付けてもよい。
取付部材125は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、固定板126と、この固定板126から立設する取付板127とで断面L字形状に形成されている。また、図16に示すように、取付板127は、固定板126よりも若干幅が狭く形成されており、固定板126の側端部が土台110の嵌合溝116に嵌合可能になっている。
そして、土台110の嵌合溝116,116に取付部材125の固定板126の側端部分を嵌合することで、取付部材125が土台110に取り付けられ、ドリルビスなどで固定される。
このような土台廻りの構造は、取付部材125の固定板126が横向きに開口する嵌合溝116に嵌っているので、上向きの力(引抜力)に対する抵抗力が高い。また、取付部材125を土台110に取り付ける際には、嵌合溝116,116がガイドになるので、その位置決めが容易になるとともに、精度よく取り付けることができ、結果としてひずみの少ない建築物を構築することができる。
<変形例3>
図17(a)(b)に示す土台130および取付部材140で土台廻りの構造を構築してもよい。
土台130は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、図17(b)に示すように、上板131、下板133と、これらを鉛直方向に連結する左右の側板132,132とで略矩形(長方形)断面に形成されている。また、土台130は、内部が中空であるため非常に軽量であり、さらに上板131と下板133とが中間部分において隔壁板134,134で連結されているので、鉛直荷重に強い断面構造となっている。
側板132には、その下端縁から水平に張り出す張出部135が土台130の長手方向に沿って形成されている。また、側板132の上端部が内側に窪んでおり、横向きに開口する嵌合溝136が形成されている。
取付部材140は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、図17(a)に示すように、固定板141と、この固定板141から立設する取付板142とで断面逆T字形状に形成されている。また、固定板141の側端部143は、下側に折り曲げられており、土台130の嵌合溝136に嵌合可能になっている。
そして、土台110の嵌合溝136,136に取付部材140の固定板141の側端部143を嵌合することで、取付部材140が土台130に取り付けられる。このとき、取付部材140の固定板141は、横向きに開口する嵌合溝136に嵌っているので、上向きの力(引抜力)に対する抵抗力が高い。また、取付部材140を土台130に取り付ける際には、嵌合溝136,136がガイドになるので、その位置決めが容易になるとともに、精度よく取り付けることができ、結果としてひずみの少ない建築物を構築することができる。
次に、土台廻りの構造の一例を、図18を参照して詳細に説明する。ここで、図18は洋室1と屋外との境界部における土台廻り構造を示す断面図であって、図18(a)は図2のB2−B2断面図、図18(b)は図2のD2−D2断面図である。
図18(a)に示す土台130には、洋室1側の張出部135に大引41が載置されている。また、屋外側の張出部135に壁面材63が載置され、その下端部が土台130の側面(側板132)にラグスクリューb7により固定されている。
土台130の上面に取付部材140が取り付けられ、取付部材140の取付板142に筋交34が固定されている。なお、筋交34は、取付板142の側面に当接した状態でラグスクリューb6により取付板142に固定されている。また、図示は省略するが、通し柱31、管柱32および間柱33の下端部には、スリットが形成され、取付板142に外挿された状態で固定される。さらに、取付板142には、壁面材62の下端部が受け木52を介してラグスクリューb2により固定されている。
また、洋室1側では、壁面材62の下端部に沿って根太42が配設され、ラグスクリューb3により大引41に固定されている。また、根太42上に合板73と床仕上材74とが積層されている。なお、図示は省略するが、合板73は根太42に固定されている。
図18(b)に示す土台130には、洋室1側の張出部135に根太受材44が取り付けられている。根太受材44は、土台130の側板132に当接する垂直板44aと、この垂直板44aの上端から水平に張り出す水平板44bとから構成されている。また、屋外側の張出部135に壁面材63が載置され、その下端部が土台130の側面(側板132)にラグスクリューb7により固定されている。
土台130の上面に取付部材140が取り付けられ、取付部材140の取付板142に筋交34が固定されている。なお、筋交34は、取付板142の側面に当接した状態でラグスクリューb6により取付板142に固定されている。また、図示は省略するが、通し柱31、管柱32および間柱33の下端部には、スリットが形成され、取付板142に外挿された状態で固定される。さらに、取付板142には、壁面材62の下端部が受け木52を介してラグスクリューb2により固定されている。
根太受材44の水平板44bの上面に、土台130と直交する方向に根太42が載置され、ラグスクリューb3により根太受材44に固定されている。すなわち、根太42の端部は、根太受材44を介して張出部135に支持されている。
また、根太42上に合板73と床仕上材74とが積層されている。
<変形例4>
さらに、図19(a)(b)に示す土台150と取付部材160とで土台廻りの構造を構築してもよい。
土台150は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、略矩形(長方形)断面に形成されている。
取付部材160は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、図19(a)(b)に示すように、固定板161と、この固定板161の端部から立設する取付板162とで断面略L字形状に形成されている。また、固定板161は、その中央部が下側に窪んでおり、この窪み部分にラグスクリューb10を打ち込んで土台150に固定されている。
そして、取付部材160の固定板161の上面に間柱33(あるいは通し柱31、管柱32)を載置し、取付板162からラグスクリューb11を間柱33に打ち込んで、間柱33を土台150に立設固定する。
<変形例5>
図20(a)に示す土台170および取付部材180で土台廻りの構造を構築してもよい。
土台170は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、図20(a)に示すように、上板171、下板173と、これらを鉛直方向に連結する左右の側板172,172とで略矩形(長方形)断面に形成されている。また、上板171と下板173とが中間部分において隔壁板174,174で連結されているので、鉛直荷重に強い断面構造となっている。
側板172には、その下端縁から水平に張り出す張出部175が土台170の長手方向に沿って形成されている。また、側板172の上端部が内側に折り曲げられて段部176が形成されている。
取付部材180は、長尺のアルミニウム合金製の押出形材からなり、固定板181と、この固定板181から立設する取付板182とで断面略L字形状に形成されている。また、固定板181は、土台170の上板171に当接する水平片(水平面)183と、この水平片183の端部から垂下する垂直片(垂直面)184とからなる。すなわち、固定板181は、土台170の側面に当接する垂直面と土台170の上面に当接する水平面とを有する。
取付部材180を土台170に取り付ける場合には、土台170の上面に取付部材180の固定板181を載置し、その垂直片184を土台170の段部176に当接させ、垂直片184から土台170の側板172の段部176にラグスクリューb12を打ち込むとともに、水平片183から土台170の上板171にラグスクリューb13を打ち込めばよい。
そして、取付部材180の取付板182に筋交34の側面を当接させた状態で、取付板182側からラグスクリューb14を筋交34に打ち込んで筋交34を土台150に固定する。また、図示は省略するが筋交34に替えて合板やパネル材などの壁面材を固定してもよい。
このように、取付部材180は、上向きの力(引抜力)に対して、それぞれ異なる方向に打ち込まれたラグスクリューb12、b13により抵抗するので、その抵抗力が高い。また、取付部材180を土台170に取り付ける際には、固定板181の垂直片184を土台の側面に当接させることでその位置決めがなされるので、取付精度が高く、結果としてひずみの少ない建築物を構築することができる。
また、図20(b)に示す土台170’と取付部材180’とによる土台廻り構造のように、土台170’の上板171の中央部に凹溝177を形成するとともに、取付部材180’の取付板181を下方に延設して凸条185を形成してもよい。
このようにすると、取付部材180’を土台170’に取り付ける際に、凸条185を土台170’の上板171に形成された凹溝177に係合させるだけで、位置決めがなされるので、施工が容易で、かつ、取付誤差もない。
<変形例6>
また、図21に示すように、大引41の端部に接続部材45を取り付けてもよい。
接続部材45は、土台110の側面に当接する当接板45aと、当接板45aから側方に張り出すとともに外面が大引41の内面に当接する張出板45b,45bとから構成される。また、接続部材45は、大引41の長手方向にスライド可能に取り付けられている。すなわち、大引41の長さを調節することができる。
そして、大引41を土台110に取り付ける場合には、接続部材45を大引41の長手方向にスライドさせて大引41の長さを調節したうえで、接続部材45の当接板45aの下端を土台110の張出部115に載置し、当接板45aを土台110の側面に固定すればよい。
このように、大引41の端部に接続部材45を取り付けることで、施工誤差を吸収することができ、施工が容易になる。
<変形例7>
前記した建築物では、土台と、その上面に取り付けた取付部材とで土台廻りの構造を構築したが、これに限定されることはなく、例えば、図22に示すように、前記した取付部材と同様の機能を発揮する取付部196が一体に形成された土台190で土台廻りの構造を構築してもよい。
土台190は、長尺のアルミニウム合金製の中空押出形材からなり、図22に示すように、上板191および下板193と、これらを鉛直方向に連結する左右の側板192,192と、上板191の中間部分と下板193の中間部分とを鉛直方向に連結する隔壁板194,194とを備えて構成されている。また、土台190の上面(上板191)には、その長手方向に沿って取付部186が一体に形成されている。
上板191および下板193には、基礎Kから突出するアンカーボルトb1を挿通するためのボルト挿通孔(図示せず)が適宜な位置に形成されている。なお、図23(b)に示すように、上板191の隔壁板194,194間の肉厚が、その他の部位の肉厚よりも厚くされている。
側板192の下端縁には、図23(b)に示すように、その側方へ水平に張り出す張出部195が土台190の長手方向に沿って形成されている。すなわち、土台190の両側面に長手方向に沿って張出部195,195が形成されている。
取付部196は、図22に示すように、板状を呈し、土台190の長手方向に沿って形成されているが、アンカーボルトb1が突出する部分は、切除されている。また、図23(b)に示すように、取付部196の側面は、鉛直面になっている。
土台190を基礎Kに固定するには、図22に示すように、基礎Kの上面に適宜な間隔で土台スペーサSを配置したうえで、土台190の上板191および下板193のボルト挿通孔にアンカーボルトb1を挿通しつつ、下板193を土台スペーサSの上面に載置し、上板191から突出したアンカーボルトb1をナットNで締結すればよい。
土台190(上板191)の上面には、編成材からなる壁面材64が立設される。この壁面材64の下端部分は、取付部196の側面にラグスクリューやドリルビス等により固定される。また、壁面材64の外装材66側の面には、断熱材65が接着材や固着具等により貼着される。
壁面材64を土台190の上面に立設するには、壁面材64の下端部分の側面を取付部196の屋内側の側面に当接させつつ、壁面材64を上板191の上面に載置し、かかる状態を保ちつつ取付部196の屋外側の側面からラグスクリューやドリルビス等を打ち込めばよい(図23(b)参照)。
そして、このような土台190を使用すると、壁面材64の下端部分を取付部196に沿って載置するだけでその位置決めがなされるので、その取付作業が非常に容易になる。さらに、取付作業中に壁面材64が左右にずれることもないため、取付精度が高く、結果としてひずみの少ない建築物を構築することができる。
なお、図示は省略するが、土台190に筋交を立設する場合も、その下端部分を取付部196に沿って載置するとともに、当該下端部分を取付部196に固定すればよい。
また、土台190(側板192)の側面には、図23(a)(b)に示すように、大引41が接続される。本例では側板192の側面の大引取付位置に接続部材46を予め固定しておく(図22参照)。大引41は、この接続部材46に支持固定される。なお、図23(a)では、壁面材64、断熱材65および外装材66の図示を省略している。
接続部材46は、アルミニウム合金製の中空押出形材を、その押出方向に沿って適宜な長さで切断したものであり、図22に示すように、土台190の側面(側板191)にラグスクリュー等により固定される当接板46aと、この当接板46aに垂設された一対の張出板46b,46bと、張出板46b,46bの先端を連結する連結板46cとを備えている。接続部材46の張出板46b,46bと連結板46cとで形成される断面コ字形の部位は、大引41の内部に嵌挿可能であり、張出板46b,46bの外面が大引41の内部の側面に当接し、張出板46b,46bおよび連結板46cの上端面が大引41の内部の上面に当接する。
また、接続部材46は、図23(b)に示すように、その下端面を土台190の張出部195に載せ置いたときに、その上端面が土台190の上面から大引41の肉厚分だけ下方に位置するような高さ寸法に設定されている。一方、大引41は、その下面を土台190の張出部195に載せ置いたときに、その上面が土台190の上面と面一になるような高さ寸法に設定されている(図22参照)。これにより大引41の上面と土台190の上面とが面一になる。大引41は角パイプのアルミニウム押出形材で形成されており、その底板41bの端部部分41cが切除されている。このように、底板41bの端部部分41cが切除されているので、大引41を接続部材46の上方より降ろすことにより切除された端部部分41cを通して接続部材46が大引41内に入り、大引41が接続部材46に支持される。なお、図23(a)(b)に示すように、大引41を接続部材46に支持せた後に、大引41をラグスクリュー等にて接続部材46に固定する。
なお、接続部材46は、ラグスクリュー等を打ち込むまでは大引41の長手方向にスライドさせることができるので、大引41の寸法誤差を吸収可能である。
なお、図22および図23に示す土台廻りの構造は、屋内と屋外との境界におけるものであるため、断熱材65の外面が外装材66で覆われているが、このような構成に限定されることはなく、間取りに合わせて適宜な土台廻り構造に変更できることは言うまでもない。