JP4050277B2 - 壁材とそれを用いた木造建築構造 - Google Patents

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Description

本発明は、木造建築物の工法にて採用される、土台と梁などの横架材間に立設されて構成する部材である壁材と、この壁材を用いた木造建築構造に関するものである。
木造建築物においては、柱と梁,土台を基本の構造体とし、耐久力を高めるためにこの矩形の構造体枠の対角線に筋交いを設け耐力壁とし、所定の強度を持たせる工法、所謂軸組工法が一般的である。さらに、矩形構造体枠には、種々の補助金物などが用いられ、或いは表裏面に板材(面材)を設けるなどして強度を高めるよう構成されている。
しかしながら、上述した一般的な軸組工法では、柱と梁との間に立設される左右の柱間の幅長を約910mmとした構造部分を基本に構成され、この基本的な構造部分を壁要素として壁倍率等を算出し、有効壁長さ、すなわち壁量を算出して建物全体の耐力を算出している。すなわち上記構造部分を耐力壁として算出されることとなっている。
このような耐力壁を基準に建物を設計構築すると、机上の計算と実現可能な建物形状との差異が生じる場合があり、建物の実際の壁長に制約がある場合には、自由度の高い設計が行えず、例えば建築物としてのデザイン性、或いは有効な機能性を向上させることができないという欠点がある。また、筋交い等を設ける構造体枠では、補助金物などを含め現場施行での部品点数が増え、取り扱いが煩雑なものとなり、施工性を低下させることもある。
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、十分な耐力を備えた壁材、特に建物壁面を構成する際の幅寸法の制約を減少させることの可能な壁材を得ることを目的とするとともに、施工性を良好とし、この壁材を用いた木造建築構造を提供することを目的としている。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の壁材は、木造建築物における上下で対となる横架材31,32間に配設される壁材1であって、
左右一対で構成され、上下両端に、前記横架材31,32に連結される接合部3,4を有する柱部2,2と、
前記各柱部2,2の対向する各側面5,5に、該柱部2の全長より短尺で、長手方向に連続し、所定深さに形成されるスリット6と、
前記柱部2より短尺とされるとともに前記スリット6より長尺とされる長さの帯板状に形成され、長手方向の左右側縁に、前記各柱部2,2のスリット6と略同等の長さに形成される挿入代8,9が延設される板部7と、
を具備し、
前記挿入代8,9が前記スリット6に挿入されて、前記板部7を前記各柱部2,2間に配置し、前記各柱部2,2の表面から裏面に向けて前記スリット6とともに前記板部7の挿入代8,9を貫通する線状固定部材12が複数打設されて、前記柱部2,2と板部7とが固定され、この固定状態とされた板部7の上下縁と前記上下の横架材31,32との間には上下空間部13,13が形成されて構成されることを特徴としている。
この壁材1によれば、左右一対の柱部2,2間に、板部7が挟み込まれるような構造となり、かつ、板部7の左右側縁に挿入代8,9を有して各柱部2,2のスリット6に挿入された状態でビスなどの線状固定部材12にて強固に固定され、略一体な構成とされることから、上下圧縮方向に十分な耐力を備えることとなるとともに、左右幅方向に所定の長さを備えた構造とされることから、上下両端においての水平方向のせん断応力が向上し、上下横架材間における耐力として十分な耐力を得られ、耐力壁を構成することが可能となる。すなわち、狭幅ながら高剛性な耐力壁となる壁材を得ることができる。そして、この壁材1によれば、狭幅な構造とされることから、建物の壁面として構築する際に、その組み合わせなど自由度が増すこととなり、建物としての設計自由度を向上させることが可能となる。また、左右柱部2,2と板部7とが固定されて略一体な構造とされた部材とされることから、建築施工現場には、柱材等と同様な搬入が行え、立設させるのみで壁部分を構築させることが可能となり、施工性が向上することとなる。
また、壁材1を構成する板部7の上下縁と前記上下の横架材31,32との間には上下空間部13,13が形成されていることから、通気性が確保される。
請求項2の木造建築構造は、請求項1記載の壁材を用いた木造建築構造である。
請求項2記載の木造建築構造は、前記上下横架材31,32と、前記柱部2,2に設けられる上下各接合部3,4とを連結し接合して、前記上横架材31と下横架材32との間に前記壁材1が立設され構築されることを特徴としている。
この木造建築構造によれば、上記した請求項1壁材1を用いることから、一般的に、雑壁と言われる耐力に算定できない小幅な壁体部分を、この壁材1とすることで、十分な耐力を備えた家屋などの木造建築構造40として構成することが可能となり、この壁材1を耐力壁として計算に算入することができ、すなわち、十分な耐力を有する木造建築構造にさらに耐力を加えることのできる木造建築構造40を得ることができる。また、壁材1が狭幅な構造であることから、壁面に対して開口幅の大きな間口を有する空間や開口部を構成することが可能となり、住宅などの木造建築構造としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備えるとともに、地震や台風などの外力に対して十分な耐力を有する機能を向上させた家屋等を得ることができる。また、耐力が不足しているであろう部位にこの壁材1(21)を配置することで、補強させることができ、このことから、木造建築物としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備え且つ十分な機能を備えた建築構造を得ることができる。
以上説明したように本発明による請求項1記載の壁材では、左右一対の柱部間に、板部が挟み込まれるような構造とされ、挿入代が各柱部のスリットに挿入されて線状固定部材にて強固に固定され、略一体な構成とされることから、上下圧縮方向に十分な耐力を備えることとなるとともに、左右幅方向に所定の長さを備えた構造とされることから、上下両端においての水平方向のせん断応力が向上し、上下横架材間における耐力として十分な耐力を得られ、耐力壁を構成することが可能となる。すなわち、狭幅ながら高剛性な耐力壁となる壁材を得ることができる。また、左右柱部と板部とが固定されて略一体な構造とされた部材とされることから、建築施工現場には、柱材等と同様な搬入が行え、立設させるのみで壁部分を構築させることが可能となり、施工性が向上することとなる。そして、この壁材によれば、狭幅な構造とされることから、建物の壁面として構築する際に、その組み合わせなど自由度が増すこととなり、建物としての設計自由度を向上させることが可能となる。
また、壁材1を構成する板部7の上下縁と前記上下の横架材31,32との間には上下空間部13,13が形成されていることから、通気性が確保される。
請求項記載の木造建築構造によれば、上記した請求項1の壁材を用いることから、一般的に、雑壁と言われる耐力に算定できない小幅な壁体部分を、この壁材とすることで、十分な耐力を備えた家屋などの木造建築構造として構成することが可能となり、この壁材を耐力壁として計算に算入することができ、すなわち、十分な耐力を有する木造建築構造にさらに耐力を加えることのできる木造建築構造を得ることができる。また、壁材が狭幅な構造であることから、壁面に対して開口幅の大きな間口を有する空間や開口部を構成することが可能となり、住宅などの木造建築構造としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備えるとともに、地震や台風などの外力に対して十分な耐力を有する機能を向上させた家屋等を得ることができる。また、耐力が不足しているであろう部位にこの壁材を配置することで、補強させることができ、このことから、木造建築物としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備え且つ十分な機能を備えた建築構造を得ることができる。また、壁材1を構成する板部7の上下縁と前記上下の横架材31,32との間には上下空間部13,13が形成されていることから、通気性が確保される。
図1は本発明による壁材の第1の実施の形態を示す分解斜視図、図2は同壁材の斜視図である。
本発明の壁材は、土台と梁などの略水平方向に配置され上下に位置する横架材間に垂直に立設配置され、両横架材間を連結する部材である。
この壁材1は、柱部2と板部7とで大略構成される。
柱部2は、左右一対で構成される。この柱部2は、上下横架材間に通常配置される柱材と略同等の柱径にて構成される。各柱部2の上下両端には、接合部3,4が形成されている。接合部3,4は、例えば、図1に示すように、相対する横架材である土台や梁に予め形成されるほぞ穴に対応した形状のほぞよりなる。なお、この接合部3,4の形状は、これに限ることはなく、その他の仕口形状、継手形状で構成することとしてもよい。
柱部2の側面5には、柱部2の全長より短尺で、この柱部2の長手方向に沿って連続し、所定の深さ、好ましくは柱径の1/2よりも短い深さとされるスリット6が形成される。なお、この柱部2のスリット6は、一対の柱部2,2を左右位置として配置した際に、互いに対向するようになる。
板部7は、細幅な略短冊帯板状に形成される。この板部7は、柱部2の全長より短尺とされるとともに、スリット6の長さより長尺な長さに設定される。本実施の形態では、例えば、合板よりなり、柱部2よりやや短い構成とされ、また、幅長は、従来の面材として使用される板部材の幅長(約910mm)に比し約1/3以下の約200〜300mmとされ、すなわち左右幅長に比し上下長さが十分に長尺とされる帯板状に形成されている。さらに、この板部7は、厚さを上記したスリット6の溝幅と略同等とされる。
また、この板部7には、長手方向左右側縁に挿入代8,9が延設されている。挿入代8,9は、柱部7のスリット6の長さと略同等の長さに形成されている。また、側縁からの延出長さはスリット6の深さよりもやや短尺に形成されている。本実施の形態では、挿入代8,9の長さ、すなわち延出長さをスリット6の深さと略同等の長さとしている。これら挿入代8,9により、板部7の左右側縁における上下両端部分、すなわち四隅部分は、矩形に切欠形成された形状とされ、それぞれが当接段部10,11とされ、それぞれがスリット6の両端部分、若しくは少なくとも下端の当接段部11がスリット6の下端に当接することとなる。
このような構成の柱部2と板部7は、図1,2に示すように、線状固定部材12にて互いが固定されて略一体構造となる。すなわち、左右一対の柱部2,2の対向する各スリット6,6に、板部7の左右挿入代8,9がそれぞれ挿入され、各柱部2,2間に板部7が配置されて、左右各柱部2,2の表面から裏面に向けて、スリット6及び挿入代8,9を貫通させて線状固定部材12、例えばビス、ネジ、釘、ボルトなどが複数打設されることで、互いが固定されることとなる。なお、線状固定部材12の打設の際には、柱部2,2及び又は挿入代8,9に、予め下穴が穿設されていることとしてもよい。線状固定部材12の打設位置は、例えば柱部2の側面5からの深さ位置としてスリット6の深さの略1/2の位置とされ、長手方向に等間隔となって打設される。
この壁材1によれば、図2に示すように、左右柱部2,2間に板部7が配置されて、上下に長尺で狭幅なものとなり、上下に梁31及び土台32が接合され連結された状態では、左右柱部2,2間の板部7の上部及び下部に、表裏方向に貫通した空間部13を備えたものとなる。なお、この空間部13は、表裏方向の通気性の確保として機能する。そして、本実施の形態では、壁材1として構成された状態の寸法は、左右柱部の中心から中心までの長さが約350mmとされる。
この壁材1では、左右一対の柱部2,2間に、板部7が挟み込まれるような構造となり、かつ、板部7の左右側縁に挿入代8,9を有して各柱部2,2のスリット6に挿入された状態でビスなどの線状固定部材12にて強固に固定され、略一体な構成とされることから、上下圧縮方向に十分な耐力を備えることとなるとともに、左右幅方向に所定の長さを備えた構造とされることから、上下両端においての水平方向のせん断応力が向上し、上下横架材間における耐力として十分な耐力を得られ、耐力壁を構成することが可能となる。すなわち幅長約910mmとされて左右の柱材と上下横架材で構成される基本枠状構造体に筋交いを設けた一般的な耐力壁に比べ、十分な強度を有し、狭幅ながら高剛性な耐力壁となる壁材を得ることができる。そして、この壁材1によれば、従来から使用されている基準とされる幅長約910mmの壁構造体に比べ、十分に狭幅な、本実施の形態では約350mmという狭幅な構造となり、建物の壁面として構築する際に、その組み合わせなど自由度が増すこととなり、建物としての設計自由度を向上させることが可能となる。
また、左右柱部2,2と板部7とが固定されて略一体な構造とされた部材とされることから、建築施工現場には、柱と同様な搬入が行え、なおかつ、柱同様に土台32と梁31との間に立設させるのみで、壁部分を構築させることが可能となり、すなわち施工現場での複数の補助金物などの取り付けなどが必要最小限なものとなり、上下の接合部3,4にて接合させる作業となって設置時間の短縮化が図れ、施工性が向上することとなる。
この壁材1によれば、十分な耐力を得ることが可能となり、すなわち、一般的な構造の壁材に比べ、狭幅であっても十分な耐力を有することから、通常耐力として算定できない雑壁とされずに、建物としての耐力壁として計算に算入可能となり、これにより、間口に対して小幅で十分な耐力を得られる壁面を備えた構造物を構築でき、すなわち、間口を広く構成した建物であっても、十分な耐力を有した木造建築物を得ることができ、このことから、木造建築物としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備え且つ機能を向上させた建築物を得ることが可能となる。
また、この壁材1によれば、小幅な構造であることから、壁面に対して開口幅の大きな間口を有する空間や開口部を構成することが可能となり、建物構造体としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備えて機能を向上させた木造建築物を得ることができる。例えば、6畳間の短辺部となる1.5間の幅間において、幅1間分の窓開口部を設けるには、従来では耐力壁を壁面の左右いずれかに寄せて設計構築しなければならなかったが、本発明の壁材1によれば、窓開口部の左右両側に、この壁材1を配置することで壁面の略中央に窓を構成させることが可能となる。
図3第2の実施の形態に係る壁材を示す斜視図である。第2の実施の形態は、本発明の参考例である。
この第2の実施の形態の壁材21は、上述した第1の実施の形態の壁材1と同様に梁31と土台32などの略水平方向に配置される上下に位置する横架材間に垂直に配置され、両横架材間を連結する部材である。
この第2の実施の形態の壁材21は、本体部22と柱部23,24とで大略構成される。
本体部22は、梁31と土台32など上下横架材間に立設される柱材の柱径と略同等の寸法の厚さに形成されるとともに、左右幅長が細幅で、この幅長に比し上下の長さが十分に長尺とされる略帯板状に形成される。本実施の形態では、本体部22は、厚さを柱径と略同等の寸法とされ、上下長さは柱材の長さよりやや短尺とされる。
柱部23,24は、本体部22の上下両端に突設されているとともに、左右一対で構成される。これら柱部23,24は、図3に示すように、先端に接合部25,26が形成されている。接合部25,26は、例えば、図3に示すように、相対する横架材である梁31や土台32に予め形成されるほぞ穴に対応した形状のほぞよりなる。なお、この接合部25,26の形状は、このような矩形状に限ることはなく、その他の仕口形状、継手形状で構成することとしてもよい。本実施の形態では、壁材21として構成された状態の寸法は、左右柱部の中心から中心までの長さである幅長が約350mmとされる。
また、これら柱部23,24の上部柱部23から下部柱部24までの、本体部22を含め、上下接合部25,26を除いた長さは、上記柱材の長さと同等な長さとされている。すなわち、この壁材21としては、所定の厚さの帯板状に形成される集成材を素材とし、この帯板状集成材の上下両端となる長手方向両端の中央部分を矩形状に切り欠き、上下のそれぞれの端部に左右で一対となる柱部23,24を形成するとともに、それらの先端に接合部25,26を形成することで得られる。
この壁材1によれば、図3に示すように、上下に長尺で狭幅なものとなり、上下に梁31及び土台32が接合され連結された状態では、上部及び下部における左右柱部23,24間に、表裏方向に貫通した空間部27を備えたものとなる。この空間部27は、表裏方向の通気性の確保として機能する。
このような構成よりなる壁材21は、本体部22と柱部23,24とが一体に構成され、壁状の部材でありながら、略柱状に構成され、上述した第1の実施の形態と略同様に、上下圧縮方向に十分な耐力を備えることとなるとともに、左右幅方向に所定の長さを備えた構造とされることから、上下両端においての水平方向のせん断応力が向上し、上下横架材間における耐力として十分な耐力を得られ、耐力壁を構成することが可能となる。そして、この壁材によれば、従来から使用されている基準とされる柱中心間の幅長約910mmの壁構造体に比べ、十分に狭幅な、本実施の形態では約350mmという狭幅な構造となり、建物の壁面として構築する際に、その組み合わせなど自由度が増すこととなり、建物としての設計自由度を向上させることが可能となる。
また、一つの部材とされることから、建築施工現場には、他の柱材と同様な搬入が行え、なおかつ、柱同様に土台32と梁31との間に立設させるのみで、壁部分を構築させることが可能となり、すなわち施工現場での複数の補助金物などの取り付けなどが必要最小限なものとなり、上下の接合部25,26にて接合させる作業となって設置時間の短縮化が図れ、施工性が向上することとなる。
この壁材21によれば、十分な耐力を得ることが可能となり、すなわち、一般的な構造の壁材に比べ、狭幅であっても十分な耐力を有することから、通常耐力として算定できない雑壁とされずに、建物としての耐力壁として計算に算入可能となり、これにより、間口に対して狭い幅で十分な耐力を得られる壁面が得られる構造物を構築でき、すなわち、間口を広く構成した建物であっても、十分な耐力を有した木造建築物を得ることができ、このことから、木造建築物としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備え且つ機能を向上させた建築物を得ることができるものである。
また、この壁材21によれば、小幅な構造であることから、壁面に対して開口幅の大きな間口を有する空間や開口部を構成することが可能となり、建物構造体としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備えて機能を向上させた木造建築物を得ることができる。例えば、6畳間の短辺部となる1.5間の幅間において、幅1間分の窓開口部を設けるには、従来では耐力壁を壁面の左右いずれかに寄せて設計構築しなければならなかったが、本発明の壁材21によれば、窓開口部の左右両側に、この壁材を配置することで壁面の中央に窓を構成させることが可能となる。
さらに、この壁材21によれば、表裏面に凹凸の無い略平滑な構成であり、また補助金具等が位置することもないことから、外壁や内壁などの施工の際に干渉される部分がなく、その施工性を良好なものとすることができる。
次に、上述した壁材を用いた木造建築構造について説明する。
図4は壁材を上下横架材間に配置した状態の木造建築構造の概略正面図、図5は壁材を用いた木造建築構造の概略平断面図である。
なお、この実施の形態においては、上述した第1の実施の形態の壁材1を用いた例として説明する。
この木造建築構造40では、図4に示すように、梁31と土台32との間に、他の柱材と同様に上述した壁材1を立設し、構成するものである。すなわち、壁材1の上下両端に形成される接合部3,4であるほぞを、予め土台32と梁31とに形成されているほぞ穴に挿着する。
なお、好ましくは、図4に示すように、左右両柱部2,2の上下両端には、ホールダウン金物41を装着して、土台32及び梁31に対しての接合状態を確実なものとする。
この壁材1としては、上記したように、予め工場内などで柱部2,2と板部7とを組み、ビスなどの線状固定部材12にて固定されており、施工現場では、クレーン等で持ち上げて、土台32上に立設し、また上端に梁31が連結され、木造建築構造40として組み上げられる。
このような壁材1を用いた木造建築構造40は、一般的に、雑壁と言われる耐力に算定できない小幅な壁体部分を、上述した柱部2,2と板部7とで大略構成される壁材1とすることで、十分な耐力を備えた家屋などの木造建築構造40として構成することが可能となり、この壁材1を耐力壁として計算に算入することができ、すなわち、十分な耐力を有する木造建築構造にさらに耐力を加えることのできる木造建築構造40を得ることができる。
また、壁材1が狭幅な構造であることから、壁面に対して開口幅の大きな間口を有する空間や開口部を構成することが可能となり、住宅などの木造建築構造としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備えるとともに、地震や台風などの外力に対して十分な耐力を有する機能を向上させた家屋等を得ることができる。例えば、図5(a)に示すような6畳間40aの短辺部分となる1.5間の幅間Wにおいて、1間分の窓開口部Aを設けるには、従来では耐力壁を壁面の左右いずれかに寄せて設計構築しなければならなかったが、この壁材1によれば、窓開口部Aの左右両側に、この壁材1を配置することで壁面の略中央に窓Aを構成させることが可能となり、採光性や通気性なども加味した構造を有する木造建築構造40を得ることが可能となる。また、図5(b)に示すようなビルトインガレージ40bなどを構築する場合にも、従来では1.5間の間口Wとなるビルトインガレージは、その間口幅長から実現不可能であり、耐力壁を設けることで間口幅が狭まってしまいビルトインガレージとして設計構築が不可能であったが、本発明では上記壁材1を設けることで、幅長が小さいことから、その間口を大きく狭めることなく、十分な間口開口を備えて構成でき、その設計自由度が向上することとなる。
すなわち、この木造建築構造40で用いられる壁材1は、幅長が小さく、この幅長に比して上下方向の長尺な略帯板状に形成されているが、十分な耐力を備えており、すなわち一般的な構造の壁材に比べ、狭幅であっても十分な耐力を有する壁材1となることから、通常耐力として算定できない雑壁とされずに、木造建築物としての耐力壁として計算に算入可能となり、これにより、間口に対して小幅で十分な耐力を得られる壁面が得られる構造物を構築でき、すなわち、間口を広く構成した建物であっても、十分な耐力を有した木造建築物を得ることができ、また、耐力が不足しているであろう部位にこの壁材を配置することで補強させることができ、このことから、木造建築物としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備え且つ機能を向上させた建築物を得ることができるものである。
なお、上述した実施の形態では、壁材1(21)を、他の柱材とともに用いるような例について述べたが、この壁材1(21)のみを使用して、すなわち、従来から用いられる柱材を使用せずに、壁材1(21)を梁31と土台32などの横架材間に立設配置し、家屋などの木造建築構造を構築することとしてもよい。すなわち、補強を行いたい部分として壁材1(21)を用いるのではなく、この壁材1(21)で縦方向の構成部材を構成させることとしても良い。
また、上述した各実施の形態において、幅長について約350mmで構成される例を示したが、本発明の壁材は、その構造によって十分な耐力を備える壁材、及び木造建築構造が得られることであり、上記数値等に限定されることはない。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら具体的数値での例にて限定されるものではなく、通常用いられる一般的な構造体の寸法を基に試験体を構成し実施を行った。
なお、各例は、上述した各実施の形態に示した構成であり、評価方法としては次の通りである。
試験体1(上述の第1の実施の形態の構成の壁材1)(図1参照)
柱部2は、柱径を105mm角とされ、全長は、接合部3,4を除く長さが、約2587mmとする。スリット6の長さは、約2200mmとし、また、深さは柱径の1/2よりも短い深さとした約45mm、溝幅は約13mmとする。板部7は、長さ約2487mmとされ、柱部2よりやや短い。また、幅長は、約200mmとされ、すなわち左右幅長に比し上下長さが十分に長尺とされる帯板状に形成される。さらに、この板部7の厚さは、約12mmとされる。左右側縁の挿入代8,9の延出長さは40mmとする。線状固定部材であるビス12の打設位置は、柱部2の側面5からの深さ位置として約20mmの位置とされ、柱部2の長手方向100mm間隔に打設される。そして両柱部2の中心間の距離は約350mmとされる。
また、柱部2の材質は、おうしゅうあかまつとされる。板部7の材質は、構造用合板とされる。また、横架材である梁は105mm×180mm、土台は105mm×105mm、それぞれの材質はべいまつとする。各横架材と柱部との接合は、短ほぞ差しとされ、ホールダウン金物を用いる。
試験体2(上述の第2の実施の形態の構成の壁材21)(図3参照)
本体部22は、厚さを上記柱径と略同等の約105mmとし、左右幅長を約505mm、上下長さは柱材の長さよりやや短尺な約2487mmとする。また、柱部23,24の上部柱部23から下部柱部24までの、本体部22を含め、上下接合部25,26を除いた長さは、上記柱材の長さと同等な約2587mmとする。なお、両柱部の中心間の距離は約350mmとされる。また、材質はおうしゅうあかまつの集成材とされ、他は上記試験体1と同様とする。
比較例
上記同様の土台と梁との間に一対の柱径105mm角の柱材を立設し、筋交いを設けた一般的な耐力壁構造の構成とする。
そして、100kN多数回繰り返し対応型加力試験機を使用し、各試験体,比較例において、正負交番繰り返し加力を行い、水平方向変位、上下方向変位を測定し、短期基準せん断耐力を測定した。
その結果、以下のような値が得られた。
試験体1…6.9kN/0.35m
試験体2…8.8kN/0.35m
比較例…3.92kN/m
ここで、試験体1及び2の単位を比較例とともに揃えると、
試験体1…19.71kN/m
試験体2…25.14kN/m
となる。
すなわち、比較例である、筋交いを用いた耐力壁構造の耐力に比し、本発明の壁材の耐力が十分に大きく得られることがわかる。
このことから、本発明の壁材は、幅長の狭い壁体であるが、上記のように十分な耐力を備え、通常耐力として算定できない雑壁とされずに、建物としての耐力壁として計算に算入させるこが可能となる。これにより、間口に対して狭い幅で十分な耐力を得られる壁面が得られる構造物を構築でき、すなわち、間口を広く構成した建物であっても、十分な耐力を有した木造建築物を得ることができ、このことから、木造建築物としての設計自由度が大幅に向上し、デザイン性を備え且つ機能を向上させた建築物を得ることができるものである。
本発明による壁材の第1の実施の形態を示す分解斜視図である。 同壁材の斜視図である。 壁材の第2の実施の形態であって本発明の参考例を示す斜視図である。 壁材を上下横架材間に配置した状態の木造建築構造の概略正面図である。 壁材を用いた木造建築構造の概略平断面図である。
符号の説明
1…壁材
2…柱部
3,4…接合部
5…側面
6…スリット
7…板部
8,9…挿入代
12…線状固定部材
13…空間部
21…壁材
22…本体部
23,24…柱部
25,26…接合部
31…横架材(梁)
32…横架材(土台)
40…木造建築構造

Claims (2)

  1. 木造建築物における上下で対となる横架材間に配設される壁材であって、
    左右一対で構成され、上下両端に、前記横架材に連結される接合部を有する柱部と、
    前記各柱部の対向する各側面に、該柱部の全長より短尺で、長手方向に連続し、所定深さに形成されるスリットと、
    前記柱部より短尺とされるとともに前記スリットより長尺とされる長さの帯板状に形成され、長手方向の左右側縁に、前記各柱部のスリットと略同等の長さに形成される挿入代が延設される板部と、
    を具備し、
    前記挿入代が前記スリットに挿入されて、前記板部を前記各柱部間に配置し、前記各柱部前記スリットとともに前記板部の挿入代を貫通する線状固定部材が複数打設されて、前記柱部と板部とが固定され、この固定状態とされた板部の上下縁と前記上下の横架材との間には上下空間部が形成されて構成されることを特徴とする壁材。
  2. 請求項1記載の壁材を用いた木造建築構造であって、
    前記上下横架材と、前記柱部に設けられる上下各接合部とを連結し接合して、前記上横架材と下横架材との間に前記壁材が立設され構築されることを特徴とする壁材を用いた木造建築構造。
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