JP7010486B2 - 耐力壁及び水平構面 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 集会 構造実験会 滋賀職業能力開発短期大学校 平成30年9月2日
本発明は、木造建築物における耐力壁及び水平構面に関する。
木造建築物においては、壁に耐力を持たせる構造の耐力壁として、筋交いで耐力を持たせるもの(例えば、特許文献1など)又は面材で耐力を持たせるものが知られている。面材で耐力を持たせるものには、構造用合板を用いるもの(例えば、特許文献2など)、面格子を用いるもの(例えば、特許文献3)、落とし込み板壁(例えば、特許文献4など)、土塗壁を用いるもの(例えば、特許文献5など)、などが有る。
このような木造建築物においては、耐力壁でありながら、通気又は採光を実現するようにすることは一般に困難であるが、例えば、面格子を用いるもののようにそれが実現可能なものがある。
特開平9-296510号公報 特開2018-3534号公報 特開2012-017647号公報 特許第6114870号公報 特開2009-121105号公報
しかしながら、面格子を用いる耐力壁は、面格子の間の隙間で通気又は採光を行っているため、通常の窓と同等な通気又は採光が行えるようなものではない。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常の窓を設けることが可能であり、その窓の選択肢の制限が少ない耐力壁を提供することにあり、また、その耐力壁の構造を利用した水平構面を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の耐力壁は、間隔をあけて立設された木製の複数個の柱と、横に架け渡され該複数個の柱の下部に固定された木製の土台と、横に架け渡され前記複数個の柱の上部に固定された木製の桁と、前記土台と前記桁の間に横に架け渡され前記複数個の柱に固定された木製の1個又は複数個の耐力用横架材と、該耐力用横架材を各々の前記柱に固定する木製の第1固定用棒部材と、各々の該第1固定用棒部材を各々の前記柱に固定する木製の第2固定用棒部材と、各々の前記第1固定用棒部材を各々の前記耐力用横架材に固定する木製の第3固定用棒部材と、を備え、前記耐力用横架材の前記柱への固定部において、前記耐力用横架材と前記柱はそれぞれ、一部が欠き取られて互いに接し、かつ、互いに連通する第1孔部を有し、前記柱と前記第1固定用棒部材はそれぞれ、互いに連通する第2孔部を有し、前記耐力用横架材と前記第1固定用棒部材はそれぞれ、互いに連通する第3孔部を有し、前記第1固定用棒部材は、前記耐力用横架材と前記柱のそれぞれの前記第1孔部に挿通し、前記第2固定用棒部材は、前記柱と前記第1固定用棒部材のそれぞれの前記第2孔部に挿通し、前記第3固定用棒部材は、前記耐力用横架材と前記第1固定用棒部材のそれぞれの前記第3孔部に挿通していることを特徴とする。
請求項2に記載の耐力壁は、請求項1に記載の耐力壁において、前記耐力用横架材は、1個のみ又は2個のみであることを特徴とする。
請求項3に記載の耐力壁は、請求項1又は2に記載の耐力壁において、前記第1固定用棒部材は、前記耐力用横架材と前記柱の各々の第1孔部への挿通部分において、断面円形状であることを特徴とする。
請求項4に記載の耐力壁は、請求項1~3のいずれか1項に記載の耐力壁において、窓枠とガラス窓を有する窓を更に備え、前記窓枠は、その上辺部と下辺部が2個の前記耐力用横架材に取り付けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の耐力壁は、請求項4に記載の耐力壁において、前記窓枠は、その中央部に1個の前記柱が位置するように配置されていることを特徴とする。
請求項6に記載の耐力壁は、請求項1~3のいずれか1項に記載の耐力壁において、窓枠とガラス窓を有する引違いの掃き出し窓を更に備え、前記窓枠は、その上辺部が1個の前記耐力用横架材に取り付けられ、下辺部が前記土台に取り付けられ、中央部に1個の前記柱が位置するように配置されていることを特徴とする。
請求項7に記載の耐力壁は、請求項1~6のいずれか1項に記載の耐力壁において、前記土台は、下側土台材と上側土台材を有する構造であり、前記桁は、下側桁材と上側桁材を有する構造であり、前記複数個の柱は、複数個の通し柱と複数個の管柱を有しており、各々の該通し柱は、前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の各々の端部が固定されていることを特徴とする。
請求項8に記載の耐力壁は、請求項7に記載の耐力壁において、前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の各々の端部は、上面又は下面のうちの一面に端面から延びる互いに平行に設けられた2個の溝部を有し、かつ、該端面に凸部を有し、各々の前記通し柱は、前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の該通し柱への固定部において、前記溝部に嵌め込まれる板状の2個の結合板部材が通過する互いに平行に設けられた2個の第1結合板部材通過孔部を有し、かつ、前記凸部が嵌め合わされる第1凹部を有することを特徴とする。
請求項9に記載の耐力壁は、請求項8に記載の耐力壁において、各々の前記通し柱の一部又は全部は、前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の該通し柱への前記固定部において、前記2個の第1結合板部材通過孔部の直交方向に互いに平行に設けられた2個の第2結合板部材通過孔部を有し、かつ、前記凸部が嵌め合わされる第2凹部を有することを特徴とする。
請求項10に記載の水平構面は、間隔をあけ第1水平方向及びそれと直交する第2水平方向に延びるように設けられた木製の複数個の土台又は桁と、隣り合う前記第1水平方向に延びる前記土台又は前記桁の間にそれらと平行になるように設けられた木製の複数個の第1水平材と、隣り合う前記第2水平方向に延びる前記土台又は前記桁の間にそれらと平行になるように設けられた木製の複数個の第2水平材と、各々の該第2水平材を各々の前記第1水平材に固定する木製の第1水平構面棒部材と、各々の該第1水平構面棒部材を各々の前記第1水平材に固定する木製の第2水平構面棒部材と、各々の前記第1水平構面棒部材を各々の前記第2水平材に固定する木製の第3水平構面棒部材と、を備え、前記第2水平材の前記第1水平材への固定部において、前記第2水平材と前記第1水平材はそれぞれ、一部が欠き取られて互いに接し、かつ、互いに連通する第1水平構面孔部を有し、前記第1水平材と前記第1水平構面棒部材はそれぞれ、互いに連通する第2水平構面孔部を有し、前記第2水平材と前記第1水平構面棒部材はそれぞれ、互いに連通する第3水平構面孔部を有し、前記第1水平構面棒部材は、前記第2水平材と前記第1水平材のそれぞれの前記第1水平構面孔部に挿通し、前記第2水平構面棒部材は、前記第1水平材と前記第1水平構面棒部材のそれぞれの前記第2水平構面孔部に挿通し、前記第3水平構面棒部材は、前記第2水平材と前記第1水平構面棒部材のそれぞれの前記第3水平構面孔部に挿通していることを特徴とする。
請求項11に記載の水平構面は、請求項10に記載の水平構面において、前記第1水平構面棒部材は、前記第2水平材と前記第1水平材の各々の第1水平構面孔部への挿通部分において、断面円形状であることを特徴とする。
本発明の耐力壁によれば、通常の窓を設けることが可能であり、その窓の選択肢の制限が少ない。また、本発明の水平構面によれば、本発明の耐力壁の構造を利用して耐力を持たせることが可能である。
本発明の実施形態に係る耐力壁を示すものであって、(a)が正面図、(b)がA-A線で示す位置で切断した右側面視断面図である。 同上の耐力壁における耐力用横架材の柱への固定部(例えば、図1において破線の円Dで囲った部分)を拡大して示す斜視図であって、(a)が正面側斜め上から示すもの、(b)が裏面側斜め上から示すものである。 同上の耐力壁における第1固定用棒部材を拡大して示すものであって、(a)が端面、(b)が横から見た側面、(c)が上から見た側面を示すものである。 同上の耐力壁における第2固定用棒部材を拡大して示すものであって、(a)が端面、(b)が側面を示すものである。 同上の耐力壁における第3固定用棒部材を拡大して示すものであって、(a)が端面、(b)が側面を示すものである。 同上の耐力壁における耐力用横架材の柱への固定部の柱を拡大して示すものであって、(a)が正面図、(b)が右側面図である。 同上の耐力壁における耐力用横架材の柱への固定部の耐力用横架材を拡大して示すものであって、(a)が平面図、(b)が裏面図である。 同上の耐力壁における耐力用横架材の柱への固定部を第1固定用棒部材の中心に沿って切断して示す拡大断面図であって、(a)が平面視のもの、(b)が右側面視のものである。 同上の耐力壁において試験で用いたものを示す正面図である。 同上の耐力壁において試験による荷重-変位の特性を示すグラフである。 同上の耐力壁において窓を設置した状態を示すものであって、(a)が正面図、(b)がA-A線で示す位置で切断した右側面視断面図である。 同上の耐力壁において引違いの掃き出し窓を設置した状態を示すものであって、(a)が正面図、(b)がA-A線で示す位置で切断した右側面視断面図である。 同上の耐力壁において土台を下側土台材と上側土台材を有する構造とし、桁を下側桁材と上側桁材を有する構造としたものを示す正面図である。 同上の耐力壁の図13における通し柱への下側土台材(又は上側土台材又は下側桁材又は上側桁材)の端部の固定部を拡大して示す正面図である。 同上の耐力壁の図14のF-F線で示す位置で切断した平面視断面図である。 同上の耐力壁の図14のG-G線で示す位置で切断した平面視断面図である。 同上の耐力壁の図14のH-H線で示す位置で切断した底面視断面図である。 同上の耐力壁の図14のI-I線で示す位置で切断した底面視断面図である。 同上の耐力壁の図15Aを変形したものの平面視断面図である。 同上の耐力壁の図15Bを変形したものの平面視断面図である。 同上の耐力壁の図15Cを変形したものの底面視断面図である。 同上の耐力壁の図15Dを変形したものの底面視断面図である。 本発明の実施形態に係る水平構面を示す平面図である。 同上の水平構面における第2水平材の第1水平材への固定部を拡大して示す斜視図であって、(a)が平面(上面)側斜め右から示すもの、(b)が底面側斜め右から示すものである。 同上の水平構面における第1水平構面棒部材を拡大して示すものであって、(a)が端面、(b)が横から見た側面、(c)が上から見た側面を示すものである。 同上の水平構面における第2水平構面棒部材を拡大して示すものであって、(a)が端面、(b)が側面を示すものである。 同上の水平構面における第3水平構面棒部材を拡大して示すものであって、(a)が端面、(b)が側面を示すものである。 同上の水平構面における第2水平材の第1水平材への固定部の第1水平材を拡大して示すものであって、(a)が平面図、(b)が右側面図である。 同上の水平構面における第2水平材の第1水平材への固定部の第2水平材を拡大して示すものであって、(a)が正面図、(b)が底面図である。 同上の水平構面における第2水平材の第1水平材への固定部を第1水平構面棒部材の中心に沿って切断して示す拡大断面図であって、(a)が正面視のもの、(b)が右側面視のものである。 同上の水平構面の第1水平材の土台又は桁による支持の例を示す拡大断面図であって、(a)が土台又は桁の延伸方向に切断したもの、(b)が第1水平材の延伸方向に切断したものである。 同上の水平構面の第2水平材の土台又は桁による支持の例を示す拡大断面図であって、(a)が土台又は桁の延伸方向に切断したもの、(b)が第2水平材の延伸方向に切断したものである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る耐力壁1は、図1に示すように、通常の軸組構造と同様に、複数個の柱2と土台3と桁4とを備える。柱2は、間隔をあけて立設された木製のものである。土台3は、横に架け渡され、複数個の柱2の下部に固定された木製のものである。桁4は、横に架け渡され、複数個の柱2の上部に固定された木製のものである。住宅において、一般に、床は土台3の上に載置され、天井は桁4から下がってそれに支持される。柱2と土台3と桁4は、通常の角材(例えば、120mm×120mmのもの)を用いることができる。柱2と土台3と桁4は、桧を用いることができる。また、柱2と土台3の固定及び柱2と桁4の固定は、通常の方法(典型的には、ホゾをホゾ穴に嵌合するもの)などを用いることができる。
耐力壁1は、更には、1個又は複数個の耐力用横架材5を備える。耐力用横架材5は、土台3と桁4の間に横に架け渡され、複数個の柱2に固定された木製のものである。耐力用横架材6は、桧を用いることができる。
耐力壁1は、更には、耐力用横架材5を各々の柱2に固定するために、複数個の第1固定用棒部材6と複数個の第2固定用棒部材7と複数個の第3固定用棒部材8とを備える(図2参照)。第1固定用棒部材6は、各々の耐力用横架材5を各々の柱2に固定する木製のものである。第1固定用棒部材6は、図3に示すように、棒状のものである。第2固定用棒部材7は、各々の第1固定用棒部材6を各々の柱2に固定する木製のものである。第2固定用棒部材7は、図4に示すように、比較的細い棒状のものである。第3固定用棒部材8は、各々の第1固定用棒部材6を各々の耐力用横架材5に固定する木製のものである。第3固定用棒部材8は、図5に示すように、比較的細い棒状のものである。
耐力用横架材5の柱2への固定部(仕口)においては、耐力用横架材5と柱2はそれぞれ、一部が欠き取られて互いに接している。欠き取られて残る形状は、特に限定されるものではないが、柱2では図6に示すように縦幅が耐力用横架材5の幅と略同一で横方向に中央の中央凹み部2aと凹みが中央凹み部2aよりも深い両周辺の周辺凹み部2bが形成され、耐力用横架材5では図7に示すように横幅が柱2の中央凹み部2aの幅と略同一の凹み部5aが形成されるようにすることができる。この固定部において嵌め合わされた耐力用横架材5と柱2を合わせた厚み(耐力壁1の正面に対して垂直方向の厚み)は、耐力用横架材5又は柱2単体の厚み(固定部以外の部分の厚み)よりも大きい(例えば、1.5倍以上大きい)。
また、耐力用横架材5の柱2への固定部においては、耐力用横架材5と柱2はそれぞれ、互いに連通する第1孔部51、21を有する(図6及び図7参照)。上述した第1固定用棒部材6は、耐力用横架材5と柱2のそれぞれの第1孔部51、21に挿通する。第1固定用棒部材6は、第1孔部51、21の大きさ(穴径)と略同一の太さであって、図8に示すように、第1孔部51、21に入れ込まれ、それにより耐力用横架材5を柱2に固定する。第1固定用棒部材6の耐力用横架材5又は柱2からはみ出す部分は、その長さが特に限定されることはなく、また、固定後に所望の長さに切断されることが可能である。第1固定用棒部材6と第1孔部51、21の間には、多少の寸法差(余裕)(例えば、0.5mm程度)があるのが好ましい。また、第1固定用棒部材6は、後述するように断面円形状(丸棒形状)であるのが好ましいが、第1孔部51、21に入れ込んで後述する第2孔部62と第3孔部63の位置合わせをするために、一端部近傍を角棒形状にして位置合わせし易く及び把持し易くすることができる。その場合、一端部近傍の角棒形状の部分は、入れ込んだ後に切り落とすか、或いは、外観に影響ない又は外観が許容できれば、そのまま残すことも可能である。第1固定用棒部材6は、桧を用いることができる。
また、柱2と第1固定用棒部材6はそれぞれ、互いに連通する第2孔部22、62を有する(図6及び図3参照)。上述した第2固定用棒部材7は、図8に示すように、柱2と第1固定用棒部材6のそれぞれの第2孔部22、62に挿通する。第2固定用棒部材7は、第2孔部22、62の大きさ(穴径)と略同一の太さであって、大きな摩擦力を持って第2孔部22、62にハンマー等で入れ込まれ、それにより第1固定用棒部材6を柱2に固定する。第2固定用棒部材7は、先端側(柱2に入れ込む側)から基端側(把持する側)に向けて徐々に太くするようにしてもよい。また、第2固定用棒部材7は、比較的細くてもしっかりと固定できるように、硬い木材(例えば、樫など)の角棒を用いるのが好ましい。
また、耐力用横架材5と第1固定用棒部材6はそれぞれ、互いに連通する第3孔部53、63を有する(図7及び図3参照)。上述した第3固定用棒部材8は、図8に示すように、耐力用横架材5と第1固定用棒部材6のそれぞれの第3孔部53、63に挿通する。第3固定用棒部材8は、第3孔部53、63の大きさ(穴径)と略同一の太さであって、大きな摩擦力を持って第3孔部53、63にハンマー等で入れ込まれ、それにより第1固定用棒部材6を耐力用横架材5に固定する。第3固定用棒部材8は、第2固定用棒部材7と同様に、先端側から基端側に向けて徐々に太くするようにしてもよいし、また、硬い木材(例えば、樫など)の角棒を用いるのが好ましい。また、第2孔部22と第3孔部53の間の距離と第2孔部62と第3孔部63の間の距離は、第2固定用棒部材7と第3固定用棒部材8が多少しなるように、多少の寸法差(例えば、1.5mm程度)があるのが好ましい。
耐力壁1は、以上説明した構成に、外壁材、断熱材、内壁材などを加えて構成される。耐力壁1は、荷重がかかって変形しようとすると、耐力用横架材5の柱2への固定部においては、嵌め合わされた耐力用横架材5の部分と柱2の部分が互いにめり込み、変形の増大とともに耐力が増大する。第1固定用棒部材6と第2固定用棒部材7と第3固定用棒部材8は、耐力用横架材5の柱2への密着を保持する。このようにして、耐力壁1は、耐力用横架材5の柱2への固定部において耐力を持たせることができる。また、そのため、耐力用横架材5の数を増やすなどして、耐力用横架材5の柱2への固定部の数を増やすことにより、耐力(例えば、壁倍率など)を増大させることができる。
また、第1固定用棒部材6は、角部を有すると、耐力壁1に荷重がかかって変形しようとするときに、嵌め合わされた耐力用横架材5の部分と柱2の部分が互いにめり込んで行く前に、その角部が損傷し易くなるので、上述したように、耐力用横架材5と柱2の各々の第1孔部51、21への挿通部分において、断面円形状(丸棒形状)であるのが好ましい。
次に、発明者が行った耐力壁1の評価のための試験について述べる。この試験では、耐力壁1は、図9に示すように、3個の柱2と、1個の土台3と、1個の桁4と、2個の耐力用横架材5と、を備えている。柱2と土台3と桁4と耐力用横架材5は120mm×120mmの天然乾燥の桧の角材を用いた。第1固定用棒部材6は、直径36mmの桧の丸棒を用いた。第2固定用棒部材7及び第3固定用棒部材8はともに、15mm×15mm角の樫の角棒を用いた。土台3と桁4の長さはともに、2910mmである。土台3の下面と桁4の上面の間の距離は、2880mmである。2個の柱2、2の中心軸の間の距離は、955mm(半間)である。土台3と下側の耐力用横架材5の間の間隔は、100mmである。桁4と上側の耐力用横架材5の間の間隔は、260mmである。柱2と土台3の固定及び柱2と桁4の固定は、典型的な方法を用い、柱2の両端面に形成された30mm×80mm角で長さ100mmのホゾ2c、2dを土台3及び桁4に形成されたホゾ穴に嵌合させ、その嵌合部を15mm×15mm角の樫の固定用棒部材(込み栓)で固定することで行った。
試験方法は、マルイ社製の面内せん断試験機(MIE-279-1-100)を用い、無載荷式による水平加力試験とし、公益財団法人日本住宅・木材技術センター「木造の耐力壁及びその倍率性能評価業務方法書」に従って行った。加力方法は、土台3を固定し、桁4の端部(図9においては右端部)を把持固定して、せん断変形角が1/120rad、1/60rad、1/30radによる一回の正負交番繰り返し加力とし、その後、正方向に加力して変位を限界まで増加した。加力速度は1mm/secとした。
図10は、試験の結果の荷重-変位の関係を示すものである。横軸は変位(mm)、縦軸は荷重(kN)である。図中、θはせん断変形角が1/120rad、θは1/30rad、θは1/15radのところを示している。図10より、せん断変形角がθ(1/15rad)を超えてからも、最大荷重15.09kN、最大変位301mm(試験機の最大移動量)まで、耐力の増加が見られることが分かる。また、せん断変形角がθ(1/15rad)時点において、目立った損傷は見られなかった。また、図10より壁倍率を計算すると、正方向が0.7、負方向が0.6であった。
耐力壁1は、窓枠91とガラス窓92を有する窓9を更に備えることができる。この場合、耐力壁1は、図11に示すように、2個の耐力用横架材5、5を備え、窓枠91は、その上辺部91aが上側の耐力用横架材5、下辺部91bが下側の耐力用横架材5に取り付けられるようにすることができる。2個の耐力用横架材5、5は、窓の上下方向のサイズ及び位置に合わせて、上下方向の位置を決めることができる。なお、窓枠91が取り付けられた2個の耐力用横架材5、5以外の耐力用横架材5を設けることも可能である。
また、窓9の左右方向のサイズが大きい場合、窓枠91をその中央部に1個の柱2が位置するように配置することも可能である(図11参照)。そうすると、左右のガラス窓92、92を閉めたとき及びガラス窓92、92のいずれかを開けたときにも、ガラス窓92、92の枠の縦部分が窓枠91の中央部に位置する1個の柱2に重なり、その柱2は採光の邪魔又は室内(図11(a)において紙面の奥側)から窓外を見たときの視界の邪魔にほとんどならない。なお、左右のガラス窓92、92を閉めて錠をすることも問題ない。
また、窓9が引違いの掃き出し窓の場合、耐力壁1は、図12に示すように、1個の耐力用横架材5を備え、窓枠91は、その上辺部91aが耐力用横架材5、下辺部91bが土台3に取り付けられるようにし、中央部に1個の柱2が位置するように配置することも可能である。そうすると、上記と同様に1個の柱2が採光の邪魔又は室内から窓外を見たときの視界の邪魔にほとんどならないのみならず、人などの出入りが可能である。なお、窓枠91(上辺部91a)が取り付けられた耐力用横架材5以外の耐力用横架材5をその上方に設けることも可能である。また、窓9の下辺部91bの土台3への取り付けは、取付補助部材3Aなどを介して取り付けることができる(図12参照)。
このように耐力壁1は、通常の窓を設けることが可能であり、その窓の選択肢の制限が少ない。
耐力壁1は、図13に示すように、土台3を下側土台材31と上側土台材32を有する構造とし、桁4を下側桁材41と上側桁材42を有する構造とすることができる。複数個の柱2は、詳しくは、複数個の通し柱2Aと複数個の管柱2Bに分かれる。通し柱2Aは、管柱2B(例えば、120mm×120mmのもの)よりも太いもの(例えば、150mm×150mmのもの)とすることができる。なお、図13では、通し柱2Aと管柱2Bの割合が1:3のものを示しているが、この割合は、木造建築物の仕様に合わせて適宜変えることができる。また、図13中で、符号33、43で示すものは、下側土台材31と上側土台材32又は下側桁材41と上側桁材42との間でスペースを保持し荷重を伝えるためのパッキンである。
各々の通し柱2Aは、下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42の各々の端部が固定されている。耐力壁1は、このような構造にすると、更に、耐力を向上させることができる。なお、各々の管柱2Bは、特に限定されるものではないが、上側土台材32の上面及び下側桁材41の下面に、通常の方法(典型的には、ホゾをホゾ穴に嵌合するもの)で固定されるようにできる。
通し柱2Aへの下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42の各々の端部の固定部(図13において符号Eで示す)においては、互いに同様の構造とすることができ、図14に示すように、複数個の結合板部材S(破線で示す)と複数個の結合板固定部材Tを用いたものとすることができる。結合板部材Sは、板状の木材であり、板厚が比較的小さくてもしっかりと固定できるように、硬い木材(例えば、樫など)を用いるのが好ましい。結合板固定部材Tは、比較的細くてもしっかりと固定できるように、硬い木材(例えば、樫など)の角棒を用いるのが好ましい。
下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42は、上面又は下面のうち一面(図15A~図15Dにおいては上面)に端面から延びる互いに平行に設けられた2個の溝部U1、U1を有し(図15A、図15B参照)、かつ、端面には凸部U2を有している(図15C参照)。凸部U2は、2個の溝部U1、U1が設けられていないところ、つまり、上面又は下面のうち他面(上記一面の反対面)側に設けられている。下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42の溝部U1、U1には、通し柱2Aの後述する2個の第1結合板部材通過孔部V1、V1を通過した2個の結合板部材S、Sが嵌め込まれる。下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42と2個の結合板部材S、Sには、2個の結合板部材S、Sを下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42に固定するための結合板固定部材Tが通過する結合板固定部材通過孔U3、S1が形成されている。下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42に形成されるのが結合板固定部材通過孔U3、2個の結合板部材S、Sに形成されるのが結合板固定部材通過孔S1である。
各々の通し柱2Aは、それへの下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42の固定部において、互いに平行に設けられた2個の第1結合板部材通過孔部V1、V1を有し(図15B参照)、かつ、第1凹部V2を有する(図15C参照)。第1凹部V2は、2個の第1結合板部材通過孔部V1、V1が設けられていないところ、つまり、2個の第1結合板部材通過孔部V1、V1の下側又は上側のうち一方側(図15A~図15Dにおいては下側)に設けられている。2個の第1結合板部材通過孔部V1、V1には、2個の結合板部材S、Sが通過する。第1凹部V2には、下側土台材31、上側土台材32、下側桁材41、上側桁材42の凸部U2が嵌め合わされる。
通し柱2Aに下側土台材31と上側土台材32(又は、下側桁材41と上側桁材42)に直交して他の下側土台材31’と上側土台材32’(又は、下側桁材41’と上側桁材42’)が設けられるところについては、図16A~図16Dに示すように、それらの固定部において、2個の第1結合板部材通過孔部V1、V1の直交方向に互いに平行に設けられた2個の第2結合板部材通過孔部V3、V3を有し(図16C参照)、かつ、第2凹部V4を有する(図16B参照)ようにすることができる。2個の第2結合板部材通過孔部V3、V3は、2個の第1結合板部材通過孔部V1、V1の下側又は上側のうち一方側(図16A~図16Dにおいては下側)に設けられる。第2凹部V4は、2個の第2結合板部材通過孔部V3、V3が設けられていないところ、つまり、2個の第2結合板部材通過孔部V3、V3の下側又は上側のうち他方側(図16A~図16Dにおいては上側)に設けられる。2個の第2結合板部材通過孔部V3、V3には、他の下側土台材31’、上側土台材32’、下側桁材41’、又は上側桁材42’の溝部U1、U1に嵌め込まれる他の2個の結合板部材S、Sが通過可能である。第2凹部V4には、他の下側土台材31’、上側土台材32’、下側桁材41’、又は上側桁材42’の凸部U2の嵌め合わせが可能である。
なお、通し柱2Aに下側土台材31と上側土台材32(又は、下側桁材41と上側桁材42)に直交して他の下側土台材31’と上側土台材32’(又は、下側桁材41’と上側桁材42’)が設けられないところについても、通し柱2Aの加工の共通化のために、第2結合板部材通過孔部V3と第2凹部V4を設けた構造にすることも可能である。
次に、上記の耐力壁1の構造を利用することによって耐力を持たせるようにした水平構面10について説明する。
水平構面10は、図17に示すように、通常の軸組構造と同様に、間隔をあけ第1水平方向及びそれに直交する第2水平方向に延びるように設けられる複数個の土台3又は桁4の部分に設けられる。なお、図17においては、柱2は、通し柱2Aのみ示し管柱2Bは省略しているが、通し柱2Aと管柱2Bの割合は左右方向が1:2、上下方向が1:3とすることができる。
水平構面10は、更には、隣り合う第1水平方向に延びる土台3、3又は桁4、4の間にそれらと平行になるように設けられた複数個の第1水平材11を備え、隣り合う第2水平方向に延びる土台3、3又は桁4、4の間にそれらと平行になるように設けられた複数個の第2水平材12を備える。第1水平材11と第2水平材12は、木製のものであり、桧を用いることができる。
水平構面10は、更には、各々の第2水平材12を各々の第1水平材11に固定するために、複数個の第1水平構面棒部材13と複数個の第2水平構面棒部材14と複数個の第3水平構面棒部材15とを備える(図18参照)。第1水平構面棒部材13は、図19に示すように、耐力壁1の第1固定用棒部材6と同様の形状及び構造のものであり、各々の第2水平材12を各々の第1水平材11に固定する木製のものである。第2水平構面棒部材14は、図20に示すように、耐力壁1の第2固定用棒部材7と同様の形状及び構造のものであり、各々の第1水平構面棒部材13を各々の第1水平材11に固定する木製のものである。第3水平構面棒部材15は、図21に示すように、耐力壁1の第3固定用棒部材8と同様の形状及び構造のものであり、各々の第1水平構面棒部材13を各々の第2水平材12に固定する木製のものである。
第2水平材12の第1水平材11への固定部(仕口)は、図22~図24に示すように、4耐力壁1における耐力用横架材5の柱2への固定部(仕口)と同様の構造である。つまり、第2水平材12と第1水平材11はそれぞれ、一部が欠き取られて互いに接しており、また、耐力壁1の第1孔部51、21と同様な第1水平構面孔部121、111を有する(図22及び図23参照)。上述した第1水平構面棒部材13は、第2水平材12と第1水平材11のそれぞれの第1水平構面孔部121、111に挿通する(図24参照)。第1水平材11と第1水平構面棒部材13はそれぞれ、耐力壁1の第2孔部22、62と同様な第2水平構面孔部112、132を有する(図22及び図19参照)。上述した第2水平構面棒部材14は、第1水平材11と第1水平構面棒部材13のそれぞれの第2水平構面孔部112、132に挿通する(図24参照)。第2水平材12と第1水平構面棒部材13はそれぞれ、耐力壁1の第3孔部53、63と同様な第3水平構面孔部123、133を有する(図23及び図19参照)。上述した第3水平構面棒部材15は、第2水平材12と第1水平構面棒部材13のそれぞれの第3水平構面孔部123、133に挿通する(図24参照)。
このような水平構面10は、耐力壁1と同様に、荷重がかかって変形しようとすると、第2水平材12の第1水平材11への固定部においては、嵌め合わされた第2水平材12の部分と第1水平材11の部分が互いにめり込み、変形の増大とともに耐力が増大する。第1水平構面棒部材13と第2水平構面棒部材14と第3水平構面棒部材15は、第2水平材12の第1水平材11への密着を保持する。こうして、水平構面10は、第2水平材12の第1水平材11への固定部において耐力を持たせることができる。
また、第1水平構面棒部材13は、第1固定用棒部材6と同様に、第2水平材12と第1水平材11の各々の第1水平構面孔部121、111への挿通部分において、断面円形状(丸棒形状)であるのが好ましい。
第1水平材11と第2水平材12は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のようにして土台3又は桁4に支持させることができる。すなわち、土台3を上述した下側土台材31と上側土台材32を有する構造とし、桁4を上述した下側桁材41と上側桁材42を有する構造とする。そして、第1水平材11は、図25A(a)、(b)に示すように、その端部が下側土台材31(又は下側桁材41)に、例えば1個の結合板部材11Aと複数個の結合板固定部材11Bで、固定されるようにする。また、第2水平材12は、図25B(a)、(b)に示すように、それが支持される土台3(又は桁4)において、下側土台材31と上側土台材32(又は下側桁材41と上側桁材42)の間に挟まれて支持されるようにする。なお、土台3の部分の水平構面10の場合は、床の下に並べられる根太を第2水平材12の上にそれと直交方向に(つまり、第1水平材11と平行な方向に)載置することができる。
以上、本発明の実施形態に係る耐力壁及び水平構面について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内での設計変更が可能である。
1 耐力壁
2 柱
2a 柱の中央凹み部
2b 柱の周辺凹み部
2c、2d 柱のホゾ
21 柱における第1孔部
22 柱における第2孔部
2A 通し柱
2B 管柱
3 土台
31 下側土台材
32 上側土台材
33 パッキン
3A 取付補助部材
4 桁
41 下側桁材
42 上側桁材
43 パッキン
5 耐力用横架材
5a 凹み部
51 耐力用横架材における第1孔部
53 耐力用横架材における第3孔部
6 第1固定用棒部材
62 第1固定用棒部材における第2孔部
63 第1固定用棒部材における第3孔部
7 第2固定用棒部材
8 第3固定用棒部材
9 窓
91 窓枠
91a 窓枠の上辺部
91b 窓枠の下辺部
92 ガラス窓
10 水平構面
11 第1水平材
111 第1水平材における第1水平構面孔部
112 第1水平材における第2水平構面孔部
11A 結合板部材
11B 結合板固定部材
12 第2水平材
121 第2水平材における第1水平構面孔部
123 第2水平材における第3水平構面孔部
13 第1水平構面棒部材
132 第1水平構面棒部材における第2水平構面孔部
133 第1水平構面棒部材における第3水平構面孔部
14 第2水平構面棒部材
15 第3水平構面棒部材
S 結合板部材
S1 結合板部材の結合板固定部材通過孔
T 結合板固定部材
U1 下側土台材、上側土台材、下側桁材、上側桁材の溝部
U2 下側土台材、上側土台材、下側桁材、上側桁材の凸部
V1 通し柱の第1結合板部材通過孔部
V2 通し柱の第1凹部
V3 通し柱の第2結合板部材通過孔部
V4 通し柱の第2凹部

Claims (11)

  1. 間隔をあけて立設された木製の複数個の柱と、
    横に架け渡され該複数個の柱の下部に固定された木製の土台と、
    横に架け渡され前記複数個の柱の上部に固定された木製の桁と、
    前記土台と前記桁の間に横に架け渡され前記複数個の柱に固定された木製の1個又は複数個の耐力用横架材と、
    該耐力用横架材を各々の前記柱に固定する木製の第1固定用棒部材と、
    各々の該第1固定用棒部材を各々の前記柱に固定する木製の第2固定用棒部材と、
    各々の前記第1固定用棒部材を各々の前記耐力用横架材に固定する木製の第3固定用棒部材と、
    を備え、
    前記耐力用横架材の前記柱への固定部において、
    前記耐力用横架材と前記柱はそれぞれ、一部が欠き取られて互いに接し、かつ、互いに連通する第1孔部を有し、
    前記柱と前記第1固定用棒部材はそれぞれ、互いに連通する第2孔部を有し、
    前記耐力用横架材と前記第1固定用棒部材はそれぞれ、互いに連通する第3孔部を有し、
    前記第1固定用棒部材は、前記耐力用横架材と前記柱のそれぞれの前記第1孔部に挿通し、
    前記第2固定用棒部材は、前記柱と前記第1固定用棒部材のそれぞれの前記第2孔部に挿通し、
    前記第3固定用棒部材は、前記耐力用横架材と前記第1固定用棒部材のそれぞれの前記第3孔部に挿通していることを特徴とする耐力壁。
  2. 請求項1に記載の耐力壁において、
    前記耐力用横架材は、1個のみ又は2個のみであることを特徴とする耐力壁。
  3. 請求項1又は2に記載の耐力壁において、
    前記第1固定用棒部材は、前記耐力用横架材と前記柱の各々の第1孔部への挿通部分において、断面円形状であることを特徴とする耐力壁。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の耐力壁において、
    窓枠とガラス窓を有する窓を更に備え、
    前記窓枠は、その上辺部と下辺部が2個の前記耐力用横架材に取り付けられていることを特徴とする耐力壁。
  5. 請求項4に記載の耐力壁において、
    前記窓枠は、その中央部に1個の前記柱が位置するように配置されていることを特徴とする耐力壁。
  6. 請求項1~3のいずれか1項に記載の耐力壁において、
    窓枠とガラス窓を有する引違いの掃き出し窓を更に備え、
    前記窓枠は、その上辺部が1個の前記耐力用横架材に取り付けられ、下辺部が前記土台に取り付けられ、中央部に1個の前記柱が位置するように配置されていることを特徴とする耐力壁。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の耐力壁において、
    前記土台は、下側土台材と上側土台材を有する構造であり、
    前記桁は、下側桁材と上側桁材を有する構造であり、
    前記複数個の柱は、複数個の通し柱と複数個の管柱を有しており、各々の該通し柱は、前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の各々の端部が固定されていることを特徴とする耐力壁。
  8. 請求項7に記載の耐力壁において、
    前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の各々の端部は、上面又は下面のうちの一面に端面から延びる互いに平行に設けられた2個の溝部を有し、かつ、該端面に凸部を有し、
    各々の前記通し柱は、前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の該通し柱への固定部において、前記溝部に嵌め込まれる板状の2個の結合板部材が通過する互いに平行に設けられた2個の第1結合板部材通過孔部を有し、かつ、前記凸部が嵌め合わされる第1凹部を有することを特徴とする耐力壁。
  9. 請求項8に記載の耐力壁において、
    各々の前記通し柱の一部又は全部は、前記下側土台材、前記上側土台材、前記下側桁材、前記上側桁材の該通し柱への前記固定部において、前記2個の第1結合板部材通過孔部の直交方向に互いに平行に設けられた2個の第2結合板部材通過孔部を有し、かつ、前記凸部が嵌め合わされる第2凹部を有することを特徴とする耐力壁。
  10. 間隔をあけ第1水平方向及びそれと直交する第2水平方向に延びるように設けられた木製の複数個の土台又は桁と、
    隣り合う前記第1水平方向に延びる前記土台又は前記桁の間にそれらと平行になるように設けられた木製の複数個の第1水平材と、
    隣り合う前記第2水平方向に延びる前記土台又は前記桁の間にそれらと平行になるように設けられた木製の複数個の第2水平材と、
    各々の該第2水平材を各々の前記第1水平材に固定する木製の第1水平構面棒部材と、
    各々の該第1水平構面棒部材を各々の前記第1水平材に固定する木製の第2水平構面棒部材と、
    各々の前記第1水平構面棒部材を各々の前記第2水平材に固定する木製の第3水平構面棒部材と、
    を備え、
    前記第2水平材の前記第1水平材への固定部において、
    前記第2水平材と前記第1水平材はそれぞれ、一部が欠き取られて互いに接し、かつ、互いに連通する第1水平構面孔部を有し、
    前記第1水平材と前記第1水平構面棒部材はそれぞれ、互いに連通する第2水平構面孔部を有し、
    前記第2水平材と前記第1水平構面棒部材はそれぞれ、互いに連通する第3水平構面孔部を有し、
    前記第1水平構面棒部材は、前記第2水平材と前記第1水平材のそれぞれの前記第1水平構面孔部に挿通し、
    前記第2水平構面棒部材は、前記第1水平材と前記第1水平構面棒部材のそれぞれの前記第2水平構面孔部に挿通し、
    前記第3水平構面棒部材は、前記第2水平材と前記第1水平構面棒部材のそれぞれの前記第3水平構面孔部に挿通していることを特徴とする水平構面。
  11. 請求項10に記載の水平構面において、
    前記第1水平構面棒部材は、前記第2水平材と前記第1水平材の各々の第1水平構面孔部への挿通部分において、断面円形状であることを特徴とする水平構面。
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