JP2004263500A - 家屋補強用キット及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】床下の土台2から天井内の梁3まで延びる一対の柱間を連結する複数の横桟4と、該横桟を前記一対の柱1に固定するための止め具5と、前記横桟と前記一対の柱1によって形成される開口部に装着する補強板6aとを備え、該補強板によって家屋の耐震構造を強化する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋のリフォーム時などに、家屋の補強工事の施工性を向上させることを目的とする家屋補強用キット及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工場生産によるプレハブ住宅のほか、木造建築物の一般住宅や共同住宅において、各部材、例えば柱や横架材のけた、梁、土台などの長さや幅が規格化され、耐力壁などの加工も工場で行われ、各部材の接合部の加工なども工場で行われ、現場における工程を減らし、組立て作業を簡単にすることが多くなっている。
【0003】
また、家屋の耐震政策として、隣接する柱間に耐力壁や、筋交いなどの補強部材を取付け、家屋に十分な耐震強度を備えるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところが、家屋の耐震強度を補強する施工は、現場で天井や床を剥がして筋交いなどを取り付ける必要があった。そのため、施工が面倒で、施工工事の工期や費用が嵩んでしまうという問題があった。しかも、柱の補強用として、天井内の梁を支持する筋交いなどを設置する際に、熟練した施工技術者が必要であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−247996号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、家屋の骨組構造において、屋内に既設された屋内柱の位置に相対して屋外に外壁に沿って屋外柱を設け、この屋外柱と屋内柱を締結具で締結して補強すると共に、補強された屋内柱に上架されている梁と該屋内柱の接合部を補強材で補強することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
ところが、このような骨組の場合、長尺1枚の板で支えるので、例えば地震などにより、板中の1箇所に亀裂等が生じた場合、その亀裂から破壊が進行して、その影響が板全体に及んでしまい、耐震強度が低くなるという問題があった。
【0008】
【特許文献2】
特開2002−303049号公報
【0009】
本発明は上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、家屋のリフォーム時などに、家屋の補強工事を簡単に行えるようにして、施工性を向上させると共に、より耐震強度に優れた家屋補強用キット及びその使用方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、床下の土台から天井内の梁まで延びる一対の柱間を連結する複数の横桟と、該横桟を前記一対の柱に固定するための止め具と、前記横桟と前記一対の柱によって形成される開口部に装着する補強板とを備え、該補強板によって家屋の耐震構造を強化するようにしたことを特徴とする家屋補強用キットを提供することにより達成される。
【0011】
また、本発明の上記目的は、前記横桟が、隣接する一対の柱間に3本以上配することを特徴とする請求項1記載の家屋補強用キットを提供することにより、より効果的に達成される。
【0012】
また、本発明の上記目的は、前記補強板が、MDFボードであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の家屋補強用キットを提供することにより、より効果的に達成される。
【0013】
さらにまた、本発明の上記目的は、床下の土台から天井内の梁まで延びる一対の柱間を補強部材によって家屋の耐震構造を強化する方法であって、
前記一対の柱間に、水平方向に延びる複数の横桟を固定する手順と、該横桟と前記柱の交差部で、止め具によって前記横桟を前記柱に固定する手順と、該横桟と前記一対の柱によって形成される開口部に補強板を並べて配して、該補強板の周辺で、前記一対の柱および前記横桟に固定する手順とを備えることを特徴とする家屋補強用キットの使用方法を提供することにより、より効果的に達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施例に係る家屋補強用キットを使用した状態を示す家屋の概略正面図であり、図2は図1の家屋の概略側面図である。一般の木造住宅物は、3尺、すなわち910mmを基本単位としている。従って、本実施例でも3尺を基本単位として説明するが、これに限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、隣接する一対の柱1,1は、木造住宅物の床下の土台2から天井内の梁3まで垂直方向(図1上下方向)に延びていて、水平方向(図1左右方向)に平行に延びる4本の横桟4によって連結される。また、横桟4は、柱1との交差部で、図3に示すような止め具5により、柱1に固定され、この止め具5は、L字状のフランジ部5aと、このフランジ部5aの支持棒5bとから形成される。
【0017】
また、隣接する一対の柱1,1と4本の横桟4によって形成される3つの開口部には、それぞれ3枚の補強板6a,6b,6cが上下方向に並べて配され、各補強板6a,6b,6cの周辺で、柱1及び横桟4に釘又は木質ねじ等で固定される。
【0018】
また、床下の土台2から延びる柱1は、下端を土台2にホールダウン金物7によって固定され、さらに、通常、上端は天井内の梁3に羽子板ボルト8などによって固定されている。
【0019】
なお、図1中の符号9は、上記土台2の下方に位置する基礎コンクリートである。
【0020】
上述したように、隣接する一対の柱1,1間は、4本の横桟4で連結され、止め具5により強固に固定されるので、柱1に対して、上下方向や水平方向などから作用する力は、複数の横桟4による枠構造で支持することができる。さらに、一対の柱1,1と横桟4によって形成される3つの開口部は、補強板6a,6b,6cで塞がれ、補強板6a,6b,6cの周辺で、柱1及び横桟4に釘又は木質ねじ等で固定されるので、柱1に対して、上下方向や水平方向などから作用する力は、補強板6a,6b,6cによる壁構造で支持することができる。従って、家屋の耐震強度が、より一層増すという効果が得られる。
【0021】
また、本実施例において、各補強板6a,6b,6cには、MDFボード(Medium Density Fiberboard)が使用されている。なお、補強板6a,6b,6cの寸法について、補強板6a,6cには、厚さが約9mm、横の長さが910mm、縦の長さが1000mmのものを用い、補強板6bには、縦の長さが330mmのものを用いたが、補強板6a,6b,6cはこれに限定されるものではない。このように補強板を6a,6b,6cの3枚に分割することにより、補強板6a,6b,6cに作用する力が分散される。すなわち、例えば、地震時に最も力が加わった部分の補強板6aだけに亀裂が生じ、残りの補強板6b,6cには亀裂が生じなかった場合に、亀裂が生じなかった補強板6b,6cで、余震などの荷重に耐えることができるので、耐震性能が向上する。
【0022】
また、補強板を6a,6b,6cの3枚に分割することにより、例えば施工工事において、補強板6a,6b,6cの取付けの際、釘又は木質ねじ等を打ちつける場合などに、誤ってMDFボード6bに亀裂が生じた場合、亀裂が生じたMDFボード6bだけを取り替えれば良いので、施工性やメインテナンス性が向上するという効果も有する。
【0023】
また、補強板6a,6b,6cに、MDFボードを使用することにより、吸音性及び断熱性に優れるという効果も有する。
【0024】
また、本実施例によれば、隣接する一対の柱1,1間に、横桟4を連結することによって形成される開口部に、補強板6a,6b,6cが固定され、各補強板6a,6b,6cの周辺で、柱1及び横桟4に釘又は木質ねじ等を打ちつけて固定される。従って、簡単な方法で補強工事を行うことができ、熟練した施工技術者でなくても失敗することなく、設計通りに仕上げることができるという効果が得られる。
【0025】
なお、本実施例では補強板6a,6b,6cがMDFボードの場合について説明したが、本発明はこのようなMDFボードに限られず、例えばパーティクルボード、普通合板や難燃合板、硬質繊維板(ハードボード)、軟質繊維板(インシュレーションボード)等のような公知の補強板を用いても適用でき、上記実施例と同様の作用・効果を奏することができる。
【0026】
止め具5は、一般的には鉄等の金属で作られるが、同様の強度を有するものであれば、他の物質で作られた止め具であっても差し支えない。また、本実施例と同様の効果を奏する止め具であれば、形状が異なっていても、適用できることは言うまでもない。
【0027】
さらに、隣接する柱1,1間に横桟4を設けるようにすれば、施工工事の際、床から天井までの間の室内化粧板などを剥がせばよいだけであるので、屋内からの施工も可能となる。従って、従来のような大掛かりな工事は必要とされず、工期が短縮されると共に、低コストで補強工事を行うことが可能となる。
【0028】
また、例えば横桟4を5本及び補強板を4枚にする等、横桟4及び補強板の数、又は補強板の厚みなどが多少増減してもよく、上記実施例と同様の作用・効果を得ることができる。また、本実施例のように、補強板が異なる面積を有するものの組み合わせでもよいし、同面積の補強板を使用してもよい。
【0029】
図4は、本発明の第2実施例である、一間、すなわち1820mmの場合における補強板6a,6b,6cの取付け方法を示す木造住宅物の概略正面図である。なお、補強板6a,6b,6cの取付けの際に、柱1を共有することを除いて、その他の構成は実質的に同一なものである。このため、図4中において第1実施例と対応する構成部品には同一番号を付す。
【0030】
第2実施例は、上記第1実施例に比べて、2倍の壁面積で、かつ、共有の柱1を含めて3本の柱による枠構造で支持される。よって、家屋の耐震強度がより一層向上する。
【0031】
図5は、本発明の第3実施例である、真壁、すなわち柱1が見えるようにする和室の場合における補強板6a,6b,6cの取付け状態を示す木造住宅の概略側面図である。なお、本実施例においては、横桟4を、補強板6a,6b,6cの厚さ分だけ薄くし、補強板6a,6b,6cを柱の内側に固定することを除いて、その他の構成は実質的に同一なものである。このため、図5中において第1実施例と対応する構成部品には同一番号を付す。
【0032】
すなわち、第3実施例では、家屋補強用キットを家屋の種類に拘わらず、適宜設計変更することにより、あらゆる家屋の構造に使用することができる。
【0033】
ちなみに、上記各実施例では、家屋、すなわち木造住宅物である日本家屋を例に説明してきたが、日本家屋に限られず、横桟の長さ、補強板の面積及び、横桟又は補強板の材質などを適宜変更することにより、輸入住宅についても適用できる。
【0034】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明に係る家屋補強用キット及びその使用方法によれば、家屋のリフォーム時などに、大規模な工事を必要とせず、屋内から簡単な方法で短い工期で施工でき、かつ低コストで補強工事を行うことができる。また、隣接する柱間に横桟を取付けると共に、柱及び横桟に補強板が固定されるので、より耐震強度が増す。
【0035】
また、補強板を複数枚に分割することにより、地震時などに板に加わる力が分散されるので、耐震性能が向上する。さらに、MDFボードを簡単な方法で取付けることができるので、施工技術者によって仕上がりのばらつきが出ることがなく、設計通りの仕上がりを簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る家屋の概略正面図である。
【図2】図1の家屋の概略側面図である。
【図3】止め具の斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る家屋の概略正面図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る家屋の概略側面図である。
【符号の説明】
1 柱
2 土台
3 梁
4 横桟
5 止め具
6a,6b,6c 補強板
Claims (4)
- 床下の土台から天井内の梁まで延びる一対の柱間を連結する複数の横桟と、該横桟を前記一対の柱に固定するための止め具と、前記横桟と前記一対の柱によって形成される開口部に装着する補強板とを備え、該補強板によって家屋の耐震構造を強化するようにしたことを特徴とする家屋補強用キット。
- 前記横桟が、隣接する一対の柱間に3本以上配することを特徴とする請求項1記載の家屋補強用キット。
- 前記補強板が、MDFボードであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の家屋補強用キット。
- 床下の土台から天井内の梁まで延びる一対の柱間を補強部材によって家屋の耐震構造を強化する方法であって、
前記一対の柱間に、水平方向に延びる複数の横桟を固定する手順と、該横桟と前記柱の交差部で、止め具によって前記横桟を前記柱に固定する手順と、該横桟と前記一対の柱によって形成される開口部に補強板を並べて配して、該補強板の周辺で、前記一対の柱および前記横桟に固定する手順とを備えることを特徴とする家屋補強用キットの使用方法。
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