JP2007255090A - 木造軸組建築物の補強構造 - Google Patents

木造軸組建築物の補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 左右一対の柱間を補強金物を両端部に持つ横桟で結合して垂直構面全体を多層ラーメン化させて耐震強度を高性能に補強向上でき、施工に際しては室内側の壁のみを取り除いて開口させ、狭隘な空隙に容易に挿入して取付けることができる木造軸組建築物の補強構造の提供。
【解決手段】 一対の柱1,1の間に渡された横桟3の両端部に補強金物4,4が取付けられ、補強金物は柱と横桟との直角隅面を形成する縦向隅面10及び横向隅面30に取付けられる縦向取付片40及び横向取付片41と、斜向片42とで形成され、斜向片が断面凹凸形状、またはリブやフランジを有する座屈補強構造に形成され、縦向取付片が柱の上下方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴44,44を介して縦向隅面に取付けられ、横向取付片が横桟の左右方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴45,45を介して横向隅面に取付けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木造軸組建築物の耐震性向上を図るためのもので、左右一対の柱と、この柱と直交する横架材(梁、桁、土台を含む)を備えた垂直構面(柱と横架材からなる壁相当の面)を補強対象とした木造軸組建築物の補強構造に関する。
従来、木造軸組建築物において、柱と梁と土台による垂直構面を筋交い材により補強する技術や構造用合板を用いた技術が知られている。
筋交い材による補強方法は、筋交い材の上端及び下端を柱と梁、および柱と土台の隅部に角度を合わせて連結させ、その仕口を金物で締結するものであるが、筋交い材が長尺(四角枠の斜め長さ)となるし、また、端部は柱と梁の両接合面に合わせた斜めカットの工作が必要になる。
特に、既設木造軸組建築物の補強においては、建付けの狂いもあって筋交い1本毎に現場合わせ加工を要する難しい施工技術となっていた。
また、構造用合板による補強方法は、柱間にせん断剛性をもつ合板を張り付けるものであるが、合板の外周4辺を多数の釘打ちで止める必要があり、施工に手間がかかるという欠点があった。
また、合板を柱の手前面に張り付ける必要があり、このため、室内側の壁を本方法で補強した場合、補強した壁部分のみ合板の厚み相当分が室内側にせり出してくる(部分的に飛び出す)といった欠点がある。
さらに、上記の問題点に加えて、天井板より上の部分や床板より下の部分への補強合板の張り付けを行うには、これらの材の部分切除や修復が必要となり、梁から土台に至る壁としての全面合板補強は工事コスト高となる。
上記問題解決手段として、一対の柱間に止め具によって連結する横桟と、前記一対の柱と横桟によって形成される開口部に装着する補強板を供えた補強構造が知られている(特許文献1参照)。
この補強構造で設けられている横桟と止め具は、補強板を支持するものであり、柱の反力や曲げモーメントを受けるものではない。
さらに、軸組建築物の補強構造として、粘弾性変形特性を持つ粘弾性ダンパを、構面で直交する軸組材の隅部に取付けた補強構造が知られている(特許文献2参照)。
この補強構造は、地震による軸組の揺れ変形を、粘弾性ダンパの粘弾性体エネルギーで吸収制震しようとするもので、塑性変形エネルギー吸収で耐震化を図る本発明の補強金物とは本質的に異なるものである。
特開2005−226450号公報 特開2000−160683号公報
また、古来より知られている軸組建築物のせん断耐力の増加法として、水平構面では、火打ちと称される、直交する土台同士の隅部や横架材同士の隅部を斜めに締結して、四角状枠組を補強する方法がある。
同様に、垂直構面では、方杖と称される直交する柱と横架材の隅部を斜めに締結して、柱と梁門形組を補強する公知の方法がある。
しかし、これらは軸組隅部の三角形(トラス)形成のために、対象となる軸組材同士を直接結合させなければならず(一般にほぞで結合)、さらに、斜め材の塑性変形によるエネルギー吸収機能は全く考慮されていない構造であり、本発明で提案する構成とは本質的に異なるものである。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に既存の建築物も含めて、木造軸組建築物の耐震性を極めて簡単に向上させ、かつ低コストで施工できるようにすることを目的とする。
即ち、本発明は、木造建築物の垂直構面を補強対象としたもので、垂直構面の構成部材である左右一対の柱間を、補強金物を両端部に持つ横桟で結合して、垂直構面全体を多層ラーメン化するように形成して耐震強度を高性能に補強向上することができ、また、施工に際しては、室内側の壁のみを取り除いて開口させ、狭隘な空隙(壁内)に容易に挿入して取付けることができる木造軸組建築物の補強構造を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明(請求項1)の木造建築物の補強構造は、
木造軸組建築物の左右一対の柱と、この柱と直交する横架材(梁、桁、土台を含む)を備えた垂直構面を対象とした補強構造であって、
前記一対の柱の間に渡される横桟と、この横桟の両端部に取付けられる補強金物とを備え、
前記補強金物は、柱と横桟との直角隅面を形成する縦向隅面(柱と横桟との隅部を形成する直角隅面のうち柱側の面)及び横向隅面(柱と横桟との隅部を形成する直角隅面のうち横桟側の面)に取付けられる縦向取付片及び横向取付片と、前記縦向取付片と横向取付片の間に渡された斜向片とで形成され、
前記斜向片が断面凹凸形状、またはリブやフランジを有する座屈補強構造に形成され、
前記縦向取付片が柱の上下方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴を介して縦向隅面に取付けられ、
前記横向取付片が横桟の左右方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴を介して横向隅面に取付けられている構成とした。
なお、本発明において、斜向片が断面凹凸形状、またはリブやフランジを有するとは、断面L字状、断面T字状、断面I字状などを言う。
又、本発明(請求項2)の木造建築物の補強構造は、
請求項1記載の補強構造において、前記横桟が断面角形の木質横桟である構成とした。木造軸組建築物の補強構造。
又、本発明(請求項3)の木造建築物の補強構造は、
請求項1記載の補強構造において、前記横桟が断面角形又は断面略コ形の金属横桟である構成とした。
又、本発明(請求項4)の木造建築物の補強構造は、
請求項3記載の補強構造において、金属横桟の両端部に取付けられる補強金物のうちの少なくとも一方の補強金物が、金属横桟に左右方向に移動可能に取付けられている構成とした。
又、本発明(請求項5)の木造建築物の補強構造は、
請求項3記載の補強構造において、金属横桟が、外側横桟と、この外側横桟の内部に左右方向にスライド可能に嵌合させた内側横桟とで長さ調節可能に形成されている構成とした。
又、本発明(請求項6)の木造建築物の補強構造は、
請求項3又は4又は5記載の補強構造において、金属横桟の内部に木質芯材が嵌め込まれている構成とした。
又、本発明(請求項7)の木造建築物の補強構造は、
請求項2記載の補強構造において、木質横桟の少なくとも補強金物が取り付く範囲に断面角形又は断面略コ形の金属補強材が装着されている構成とした。
本発明で使用する補強金物は、柱と横桟との直角隅面を形成する縦向隅面に取付けられる縦向取付片と、横向隅面に取付けられる横向取付片と、この縦向取付片と横向取付片の間に渡された斜向片とで形成されている。
そして、斜向片が断面凹凸形状、またはリブやフランジを有する座屈補強構造に形成されている。
さらに、縦向取付片が柱の上下方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴を介して縦向隅面に取付けられ、
前記横向取付片が横桟の左右方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴を介して横向隅面に取付けられている。
以上のように、横桟と補強金物を垂直構面内(壁隙間内)に取付けることができるので、複数本の横桟と補強金物の取付けも容易であり、取付け後は柱や梁の材厚内に収まるので、施工後の室内壁(化粧壁)の張り付け修復も容易で、また、壁に敷設のコンセントなどの機器や、壁内の断熱材などとの干渉回避も容易であり、障害を与えることもない。
又、上記のようにして取付けられた横桟と補強金物は、取付けた垂直構面のせん断変形に対し高いせん断耐力を有し、せん断変形抑制部材として機能して、その垂直構面を補強して耐震強度を向上できる。
特に、既存の木造軸組建築物を耐震補強する場合でも、室内壁の取り除き工事のみで補強施工を行うことができ、雨天工事も可能で、既存、新築を問わず、極めて簡単に、かつ低コストで高耐力の耐震補強ができる。
図1は本発明の木造建築物の補強構造の第1実施例を示す正面図である。
この補強構造は、左右一対の柱1,1と、この柱1,1と直交する梁20を備えた垂直構面を対象とした補強構造であり、前記一対の柱1,1間に渡された横桟3と、この横桟の両端部に取付けられた補強金物4,4とを備えている。
前記横桟3は、断面角形の木質横桟3aに形成されている。
このように、木質横桟3aを用いると、柱1,1間寸法がまちまちであったとしても、この木質横桟3aを施工現場で切断して適正な長さにすることができ、多様な寸法の横桟を持つことが不要になる。
前記補強金物4は、図2(イ)の正面図で示すように、柱1と横桟3との直角隅面を形成する縦向隅面10及び横向隅面30に取付けられる縦向取付片40及び横向取付片41と、前記縦向取付片40と横向取付片41の間に渡された斜向片42とで形成されている。
前記斜向片42は、図2(イ)のA−A断面図である図2(ロ)で示すように、縦向取付片40と横向取付片41の間に渡され、その外縁に立上部42aが形成されると共に、内部に形成した空間43aの周縁に立上部42bが形成された断面凹凸形状に形成されることによって座屈補強構造に形成されている。
そして、前記縦向取付片40に柱1の上下方向に配設した2個の取付穴44,44が形成され、かつ前記横向取付片41に横桟3の左右方向に配設した2個の取付穴45,45が形成され、これらの取付穴44,45を介して縦向取付片40が柱1の縦向隅面10にスクリュー50等で取付けられると共に前記横向取付片41が横桟3の横向隅面30にスクリュー51等で取付けられている。
次に、施工手順を説明する。
まず、横桟3を一対の柱1,1間に所定の高さで渡して仮止めする。
次に、横桟3の一端部(例えば、左端部)において補強金物4の横向取付片41を横桟3の横向隅面30にあてがう状態で、補強金物4の縦向取付片40を柱1の縦向隅面10に2ヶ所の取付穴44,44を介してスクリュー50,50で締結固定させる。
次に、横桟3の他端部(例えば、右端部)において補強金物4の横向取付片41を横桟3の横向隅面30にあてがう状態で、補強金物4の縦向取付片40を柱1の縦向隅面10に2ヶ所の取付穴44,44を介してスクリュー50,50で締結固定させる。
そして、補強金物4の横向取付片41,41を横桟3の横向隅面30,30に取付穴45,45を介してスクリュー51,51等で取り付けるものである。
本実施例では、建築物の本来の軸組である柱1と土台21の直角隅面、および柱1と梁20の直角隅面にも補強金物90,91が取付けられている。
これは、軸組の材全てを活用したせん断耐力の向上効果の発現を狙ったものであり、本発明の横桟3と補強金物4で構成された補強構造と併用することが好ましい。
なお、柱1と土台21の直角隅面には補強金物を取付けない場合もあり、その理由は、柱1の浮上りを止める金物(一般にホールダウン金物と称す)を優先して取付ける際に、スペース的に干渉を防ぐためである。
図6及び図7は補強リンク49と横桟3を用いた補強構造の模式構造図である。
図6の補強構造は、横桟と方杖との補強構造を示す模式構造図で、縦向隅面と横向隅面との間に1本の補強リンク49が取付けられたものである。
図6(イ)のように、補強リンク49が、横桟と柱に対してそれぞれ1ヶ所で連結された場合、これに地震等で外力Fが作用すると、図6(ロ)のように、一方の補強リンク49(図中左側の補強リンク49)には引張力が作用し、横桟端部分3d(図中横桟左端部分3d)には圧縮力が作用し、他方の補強リンク49(図中右側の補強リンク49)には圧縮力が作用し、横桟端部分3d(図中横桟右端部分3d)には引張力が作用する。
これにより、柱には外力Fに反する方向に曲げモーメントが作用し、垂直構面変形を抑制することができる。
これに対し、図7の補強構造は、本発明の補強構造を示す模式構造図で、縦向隅面と横向隅面との間に2本の補強リンク49a,49bが取付けられたものである。
図7(イ)のように、補強リンク49a,49bが、横桟と柱に対してそれぞれ2本づつで連結された場合、これに地震等で外力Fが作用すると、図7(ロ)のように、一端部(図中左端部)における一方の補強リンク49aには引張力が作用し、他方の補強リンク49bには圧縮力が作用し、他端部(図中右端部)における一方の補強リンク49aには圧縮力が作用し、他方の補強リンク49bには引張力が作用する。
これにより、柱には外力Fに反する方向に曲げモーメントが作用し、垂直構面変形を抑制することができる。
以上の構成としているので、横桟3はその端面を柱1に接触(柱により水平力を支持)させなくても、十分に機能を発揮できる。
つまり、横桟3は補強金物4を介して柱1に繋がっていれば良く、その端面の隙間を自由に選べるので、この隙間を柱1,1間寸法の差の吸収代として利用することができ、多様な寸法の横桟を持つことが不要で、特に寸法に狂いが生じやすい既存建築物への施工が非常に容易で、その適用性が格段に向上する。
なお、横桟3の端面と柱1との隙間は、左右両端で同一にする必要はない。つまり、横桟3の端面と柱1との隙間は、上述のように、柱1,1間寸法差の吸収のために設けているので、左右の同一性が必ずしも必要ではなく、現場の状況に合わせて左右の隙間配分を設定することができる。
図3〜図5は補強金物の他例を示している。
図3で示す補強金物4は、図3(イ)のB−B断面図である図3(ロ)で示すように、縦向取付片40と横向取付片41の間に渡された斜向片42の外縁に立上部42aが形成されると共に、隅部に形成した面取り部の縁に立上部42cが形成された断面凹凸形状に形成されている。
図4で示す補強金物4は、図4(イ)のC−C断面図である図4(ロ)で示すように、縦向取付片40と横向取付片41の間に渡された斜向片42の隅部に空間43bが形成され、この空間43bの縁に立上部42dが形成されると共に、斜向片42の外縁に立上部42aが形成されている。
図5で示す補強金物は、図5(イ)のD−D断面図である図5(ロ)で示すように、縦向取付片40と横向取付片41の間に渡された斜向片42に略コ字状部42eが形成されている。
次に、図8〜図14は横桟の他例を示している。
図8で示す横桟3は、金属横桟3bであり、断面略コ形のリップ付きチャンネル形材を用い、これを柱間寸法よりもやや短めの長さに切断したもので、補強金物4の横向取付片41に符合する円形の通し穴31,31が、両端部にそれぞれ2ヵ所づつ形成されている。
そして、この金属横桟3bに対して補強金物4を取付けるには、前記通し穴31,31に補強金物4の取付穴45,45を符合させ、ボルト等で締結させることになる。
なお、金属横桟3bとしては、図9に示すように、断面略コ形のリップ無しチャンネル形材、図10に示すように、断面角形の角パイプ材等を用いることができる。
金属横桟3bは、木質横桟3aと異なり、施工現場で切断して適正な長さにすることが困難であるため、金属横桟3bの両端部に取付けられる補強金物4のうちの少なくとも一方の補強金物4を、金属横桟3bに左右方向に移動可能に取付けるのが好ましい。
そのための構造として、図11で示すように、金属横桟3bの一端部に形成した通し穴31aを金属横桟3bの左右方向に長穴に形成している。なお、金属横桟3bの両端部に長穴による通し穴31aを形成してもよい。
従って、通し穴31aを長穴に形成した分だけ、補強金物4を金属横桟3bに対して左右方向に移動可能に取付けることができ、まちまちな柱間寸法に対応して金属横桟3bを補強金物4により柱1,1間に取り付けることができる。
なお、前記図8で示した金属横桟3bのように、通し穴31を円形に形成した場合には、補強金物4の横向取付片41に形成した取付穴45,45を長穴(図示省略)に形成することで、補強金物4を金属横桟3bに対して左右方向に移動可能に取付けることができる。
次に、図12で示す金属横桟3bは、外側横桟35aと、この外側横桟35aの内部に左右方向にスライド可能に嵌合させた内側横桟35bとで長さ調節可能に形成されたもので、これもまちまちな柱1,1間寸法に対応させるための構造である。
この場合、外側横桟35a(内側横桟35bでもよい)に形成した長穴36aと、内側横桟35b(外側横桟35aでもよい)に形成した丸穴36bを符合させてボルト36cにより締結することで、前記長穴36aの分だけ金属横桟3bの全長を伸縮させることができる。尚、ボルト36c、36cを通しボルトとしてもよい。
次に、図13は金属横桟3bの長さ調節の他例を示している。
図13で示す横桟3は、金属横桟3bの両端部に金属外材37,37が装着されている。
この場合、左右の金属外材37,37は、金属横桟3bに対して左右方向にスライドさせることができる。
つまり、補強金物4の取付け位置調整に応じて、金属外材37,37間の距離が変えられるようにしている。
図14で示す横桟は、金属横桟3bの内部に木質芯材3cが嵌め込まれた複合横桟であり、金属横桟3bと木質芯材3cによって強度と剛性を保ちながら断面減少を図ることができる。
なお、このような複合横桟は、前記図8〜図13で示した金属横桟3bについても適用することができる。
横桟3は、強度と剛性が満足できるなら、細いほどハンドリングや施工性、それに壁内への隙間収まりがよいので、単一構成での大断面部材よりも細い断面とする方がよく、最も実用的なものは、図14で示したように、金属横桟3bの内部に木質芯材3cが嵌め込まれた複合横桟とすることである。
すなわち、本発明に適用する横桟3では、横桟3を渡す左右の柱1,1間の寸法バラツキの吸収機能が必要で、このため、補強金物4の横桟3への取付け位置を、現場合わせにて施工可能にすることが好ましく、これを容易にするため、図14で示すように、金属横桟3bの内部に木質芯材3cが嵌め込まれた複合横桟に形成する。
これにより、スパン調整容易化と横桟の必要強度を両立させて、横桟断面を細くでき、壁隙間の狭い真壁への施工対応や、材の保管性、工事のハンドリング性などを向上することが可能となる。
図15で示す横桟3は、木質横桟3aの少なくとも補強金物が取り付く範囲である両端部に金属補強材38,38が装着されている。
この場合、左右の金属補強材38,38は、木質横桟3aに対して左右方向にスライドさせることができる。
つまり、補強金物4の取付け位置調整に応じて、金属補強材38,38間の距離が変えられるようにしている。
又、左右の金属補強材38,38の間は、金属補強材で補強されていない木質横桟3aのみの剛性と強度になるが、本発明の構成では、補強対象とする垂直構面のせん断変形時の、横桟3に生じる曲げモーメント分布は図16に示す形になるので、図16の横桟3の軸方向中央部は小さな曲げモーメント発生であり、この部分の強度と剛性は低くても設計上問題ないという、本発明の構成特有の構造力学的特性を上手く利用しているものである。
次に、図17は本発明の補強構造の第2実施例を示す正面図である。
この補強構造は、横桟3の端部に補強金物4a,4bがそれぞれ2個づつ上下に取付けられている。
このように、補強金物4a,4bを、構桟3の上下に取付けると、より高い補強強度が得られる。
また、上下の補強金物4a,4bを通しボルト52,52で締結すると、ボルトの引抜力を受ける面が増え、横桟3の局部変形を抑えることができる。
なお、このように、横桟3の端部に補強金物4a,4bをそれぞれ2個づつ上下に取付ける場合、上下の補強金物4a,4bに同一の金物を用いて上下対称にしてもよいし、上下の補強金物4a,4bに異なる金物を用いてもよい。
又、本発明の補強構造において、柱1,1間に上下2本以上の横桟3を配設することができるもので、1本の横桟3を配設したものより、さらに強固な構面補強を行うことができる。
なお、本発明の補強構造における補強金物の補強性能で、特にその圧縮強度は、斜向片の座屈強度で定まるが、木造建築物に適用する耐震補強部材は、1/15ラジアンまでのせん断変形(建築物倒壊限界)まで、柱を折損させずに粘ることが重要であり、また、1/120ラジアンせん断変形までの初期剛性も重要である。
つまり、補強金物は、金属である特性を十分に生かすには、その変形特性として、1)補強金物の座屈モーメントMcが柱折損モーメントMwよりは小さいこと、2)1/120ラジアン変形までは座屈しないこと、を持たせることが好ましい。
図18に本発明の補強構造の面内せん断特性実験の結果を示す。(軸組高さ273cmのモデル)
横軸はせん断変形(ラジアン)を1000倍表示しており、縦軸は水平荷重である。
図18の荷重変形曲線図より分かるように、本発明構成で、適正な強度バランス設計をすると、初期剛性として1/120ラジアンせん断変形(図18横軸目盛で8)までは、ほぼ直線状に荷重が増え、ここで少し曲線が寝始めて、1/15ラジアン変形(図18横軸目盛で67)まで、柱が折れることなく荷重は漸増し(実験条件によっては、座屈後にほぼ一定荷重で水平に推移)、耐震性能上、非常に好ましい特性を得ることができる。
つまり、補強金物の座屈モーメントMcを、柱折損モーメントMwより小さくして本発明構成部材の最弱部とし、また、その変形条件は最大変形時(1/15ラジアン変形)とできる。
さらに、初期剛性の確保から1/120ラジアンまでは、弾性変形内で収めることが望ましく、最大変形時との変形比は120/15=8である。
結局、補強金物の耐座屈モーメントMcは、(Mw/8)≦Mc≦Mwとすることで、最も望ましい耐力特性を持つ、補強金物を得ることができる。
以下に具体的な検討数値例を示す。
補強対象となる垂直構面の柱が断面b=10.5cm角の杉材であるとすると、
柱の断面係数Z=b/6=192.9cm
杉材の曲げ許容応力σbaは、σba=2200N/cmより、
柱曲げ折損モーメントMw=Z・σba=424kN・cm
故に、
補強金物の持つべき座屈モーメントMcは、424/8=53より
53≦Mc≦424(kN・cm)
なお、横桟の設計などは、十分な強度を持つ通常設計を行えばよく、本発明の主旨ではないので説明を省く。
以上の本発明の構成にて、面内せん断試験結果で、
a)降伏耐力Py:9.65kN
b)終局耐力Pulに(0.2/Ds)を乗じる:8.14kN
c)最大荷重Pmaxの2/3:12.08kN
d)1/120rad時荷重:7.69kN
を得た。これは壁倍率換算で4.3であり、一般の構造用合板で得られる壁倍率2.5を超える高い性能を実現できている。
以上のように、本発明の補強構造は、垂直構面を形成する軸組材の枠内に設置でき、また、延性材料で作られた補強金物の座屈特性を活用して、垂直構面の最大変形時にも軸組材が折損することが無く(一挙の倒壊を防ぐ)、さらに、柱間距離のバラツキを、横桟と補強金物の取付け位置で吸収できる構成としたので、木造建築物への現場適用が容易で、多少の変形を生じている柱梁にも適用可能で、建築物の軸組材で作られる垂直構面のせん断変形耐力を向上させ、さらに、建築物全体のバランスを考慮した場所を選択しての取付けが可能で、木造建築物の耐震性を大きく向上させるものである。
特に、既設建築物の垂直構面の剛性と強度を容易に向上でき、耐震性増強に寄与する。
本発明の木造建築物の補強構造の第1実施例を示す正面図。 補強金物の実施例を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図。 補強金物の実施例を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のB−B断面図。 補強金物の実施例を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のC−C断面図。 補強金物の実施例を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のD−D断面図。 補強リンクと横桟を用いた補強構造の模式構造図。 本発明における補強リンクと横桟を用いた補強構造の模式構造図。 横桟の実施例を示す斜視図。 横桟の実施例を示す断面図。 横桟の実施例を示す断面図。 横桟の実施例を示す斜視図。 横桟の実施例を示す断面図。 横桟の実施例を示す正面図。 横桟の実施例を示す斜視図。 横桟の実施例を示す正面図。 横桟の曲げモーメント分布特性を示す図。 本発明の木造建築物の補強構造の第2実施例を示す正面図。 本発明の面内せん断特性実験の結果の例を示す図。
符号の説明
1 柱
10 縦向隅面
20 梁
21 土台
3 構桟
3a 木質横桟
3b 金属横桟
3c 木質芯材
3d 横桟端部分
4 補強金物
4a 補強金物
4b 補強金物
30 横向隅面
31 通し穴
31a 通し穴
35a 外側横桟
35b 内側横桟
36a 長穴
36b 丸穴
36c ボルト
37 金属外材
38 金属補強材
40 縦向取付片
41 横向取付片
42 斜向片
42a 立上部
42b 立上部
42c 立上部
42d 立上部
42e 略コ字状部
43a 空間
43b 空間
44 取付穴
45 取付穴
49 補強リンク
49a 補強リンク
49b 補強リンク
50 スクリュー
51 スクリュー
52 ボルト
90 補強金物
91 補強金物

Claims (7)

  1. 木造軸組建築物の左右一対の柱と、この柱と直交する横架材を備えた垂直構面を対象とした補強構造であって、
    前記一対の柱の間に渡される横桟と、この横桟の両端部に取付けられる補強金物とを備え、
    前記補強金物は、柱と横桟との直角隅面を形成する縦向隅面及び横向隅面に取付けられる縦向取付片及び横向取付片と、前記縦向取付片と横向取付片の間に渡された斜向片とで形成され、
    前記斜向片が断面凹凸形状、またはリブやフランジを有する座屈補強構造に形成され、
    前記縦向取付片が柱の上下方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴を介して縦向隅面に取付けられ、
    前記横向取付片が横桟の左右方向に配設した少なくとも2個以上の取付穴を介して横向隅面に取付けられていることを特徴とする木造軸組建築物の補強構造。
  2. 請求項1記載の補強構造において、前記横桟が断面角形の木質横桟である木造軸組建築物の補強構造。
  3. 請求項1記載の補強構造において、前記横桟が断面角形又は断面略コ形の金属横桟である木造軸組建築物の補強構造。
  4. 請求項3記載の補強構造において、金属横桟の両端部に取付けられる補強金物のうちの少なくとも一方の補強金物が、金属横桟に左右方向に移動可能に取付けられている木造軸組建築物の補強構造。
  5. 請求項3記載の補強構造において、金属横桟が、外側横桟と、この外側横桟の内部に左右方向にスライド可能に嵌合させた内側横桟とで長さ調節可能に形成されている木造軸組建築物の補強構造。
  6. 請求項3又は4又は5記載の補強構造において、金属横桟の内部に木質芯材が嵌め込まれている木造軸組建築物の補強構造。
  7. 請求項2記載の補強構造において、木質横桟の少なくとも補強金物が取り付く範囲に断面角形又は断面略コ形の金属補強材が装着されている木造軸組建築物の補強構造。
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