JP2023050783A - 鉄骨造建物架構 - Google Patents

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JP2023050783A JP2021161065A JP2021161065A JP2023050783A JP 2023050783 A JP2023050783 A JP 2023050783A JP 2021161065 A JP2021161065 A JP 2021161065A JP 2021161065 A JP2021161065 A JP 2021161065A JP 2023050783 A JP2023050783 A JP 2023050783A
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純人 西塔
Sumihito Saito
千佳 辻
Chika Tsuji
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Abstract

【課題】鉄骨架構内に木質パネルが配設されている鉄骨造建物架構に関し、容易な設計を実現できる鉄骨造建物架構を提供すること。【解決手段】基礎11と、基礎11の上に立設されている鉄骨架構10とを有する鉄骨造建物架構100であり、鉄骨架構10を形成する鉄骨梁12に対して、木質パネル20の上方が上下に移動自在に取り付けられ、木質パネル20の下方が、基礎11に対して上下に移動自在に取り付けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄骨造建物架構に関する。
鉄骨造の架構内に、木質パネルによる耐力壁が配設されている鉄骨造建物架構が適用される場合がある。例えば、特許文献1には、鉄骨架構の内部にCLTパネルが設けられたCLT耐力壁が提案されている。このCLT耐力壁において、鉄骨架構とCLTパネルは、ビスまたはボルトにより接合される。
特開2021-1520号公報
特許文献1に記載のCLT耐力壁をはじめとして、鉄骨造の架構内に木質パネルが配設されている鉄骨造建物架構においては、鉄骨柱と木質パネルの双方が、鉄骨梁よりも上方の建物荷重である鉛直荷重を負担する構造要素となることにより、鉛直荷重の負担割合の設定や評価が難しく、鉄骨造建物架構の設計が容易でない。
また、鉄骨造の構造躯体と木質パネルの履歴性状の相違により、設計時の構造特性係数(Ds値)の設定や評価も難しく、このことも鉄骨造建物架構の設計を困難にする。例えば、鉄骨架構がラーメン架構である場合、架構(のパネルゾーン)の履歴特性は紡錘型の履歴特性となるのに対して、木質パネルによる耐力壁の履歴特性はスリップ型の履歴特性となることから、このように層内に異なる履歴特性を備えた構造要素が存在する場合の当該層のDs値の設定が難しいことは容易に理解できる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、鉄骨架構内に木質パネルが配設されている鉄骨造建物架構に関し、容易な設計を実現できる鉄骨造建物架構を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による鉄骨造建物架構の一態様は、
基礎と、該基礎の上に立設されている鉄骨架構とを有する、鉄骨造建物架構であって、
前記鉄骨架構を形成する鉄骨梁に対して、木質パネルの上方が上下に移動自在に取り付けられ、
前記木質パネルの下方が、前記基礎に対して上下に移動自在に取り付けられていることを特徴とする。
本態様によれば、木質パネルの上方と下方がそれぞれ、鉄骨梁と基礎に対して上下に移動自在に取り付けられていることにより、木質パネルが鉄骨梁よりも上方の建物荷重(鉛直荷重)を負担しなくなり、鉄骨架構のみが鉛直荷重を負担することから、容易な鉄骨造建物架構の設計を実現できる。また、木質パネルの下方が基礎に対して上下に移動自在に取り付けられていることにより、鉄骨架構と木質パネルの双方の履歴特性を揃えることが可能になり、層の構造特性係数の設定が容易になることによっても、鉄骨造建物架構の設計を容易にできる。さらに、鉄骨架構に対して木質パネルが上下に移動自在に取り付けられていることにより、鉄骨架構の高さ(階間の高さ)が設計値から若干ずれている場合でも、ずれを吸収して木質パネルを鉄骨架構に組み込むことができる。
ここで、鉄骨架構には、ラーメン架構とブレース架構が含まれる。ラーメン架構は靱性のある構造形式であり、鉄骨梁や鉄骨柱の端部に塑性ヒンジを発生させながら地震時のエネルギーを効果的に吸収する、紡錘型の履歴特性を有する。一方、ブレース架構は、靱性が少なく、剛性の高い構造形式であり、スリップ型の履歴特性を有する。
また、木質パネルには、構造用合板や集成材(複数の製材を接着剤やビス等により固定した材)、CLT(Cross Laminated Timber)パネル等が適用できる。
木質パネルからなる耐力壁は上記するように一般にはスリップ型の履歴特性を有するものの、鉄骨架構に対して上下に移動自在に取り付けられることにより、ラーメン架構に組み込まれる場合はラーメン架構と同様の紡錘型の履歴特性を奏し得る。一方、ブレース架構に組み込まれる場合はブレース架構と同様にスリップ型の履歴特性を奏し得る。より詳細には、木質パネルと基礎の接続形態により、木質パネルの履歴特性を変化させることができる。すなわち、木質パネルと基礎を繋ぐ接合金具が、作用する圧縮力と引張力の双方に対する変形性能を有する場合は、木質パネルに紡錘型の履歴特性を付与できる。一方、接合金具が引張力のみに対する変形性能を有する場合は、木質パネルにスリップ型の履歴特性を付与できる。そのため、鉄骨架構の構造形式に応じて、同様の履歴特性となるように木質パネルと基礎を繋ぐことにより、層の構造特性係数の設定が容易となる。
また、本発明による鉄骨造建物架構の他の態様において、
前記鉄骨梁に取り付けられているせん断受け金物に対して、前記木質パネルの上方が上下に移動自在に取り付けられており、
前記せん断受け金物は板状部材を備え、該板状部材には上下に延びるルーズ孔が開設され、
前記木質パネルの上端には、前記せん断受け金物の少なくとも一部が収容される収容溝が設けられており、
前記収容溝に収容されている前記板状部材の前記ルーズ孔に対して、前記木質パネルを貫通する軸状固定部材が、前記ルーズ孔に遊嵌されていることを特徴とする。
本態様によれば、鉄骨梁と木質パネルの上方を繋ぐせん断受け金物が、上下に延びるルーズ孔を備えた板状部材を備えていて、木質パネルの上端に設けられている収容溝に板状部材が収容され、木質パネルを貫通する軸状固定部材がルーズ孔に遊嵌されていることにより、鉄骨梁に対して木質パネルを上下に移動自在でかつ安定的に固定することができる。
また、本発明による鉄骨造建物架構の他の態様において、
前記鉄骨梁に取り付けられているせん断受け金物に対して、前記木質パネルの上方が上下に移動自在に取り付けられており、
前記せん断受け金物は軸状部材を備え、
前記木質パネルの上端には、前記せん断受け金物の少なくとも一部が収容される収容溝が設けられており、
前記収容溝に対して前記軸状部材が上下に移動自在に収容されていることを特徴とする。
本態様によれば、鉄骨梁と木質パネルの上方を繋ぐせん断受け金物が軸状部材を備えていて、木質パネルの上端に設けられている収容溝に対して、軸状部材が上下に移動自在に収容されていることにより、鉄骨梁に対して木質パネルを上下に移動自在でかつ安定的に固定することができる。
また、本発明による鉄骨造建物架構の他の態様において、
前記木質パネルの下端には、接合金具が埋設されており、
前記接合金具は、
内部に第1中空部を備え、該第1中空部の一端に第1ネジ溝を備えている、鋼製のパイプと、
鋼製の芯材と、該芯材の両端にあって該芯材よりも大径の第1ネジ及び第2ネジと、を備える鋼製の軸部材と、
内部に第2中空部を備え、第2ネジ溝を備えている鋼製のコッターと、を有し、
前記第2中空部に前記パイプの一部が収容され、該第2中空部と前記第1中空部に前記軸部材が収容され、前記第1ネジ溝と前記第1ネジが固定され、前記第2ネジ溝と前記第2ネジが固定され、
引張荷重と圧縮荷重のいずれか一方が作用した際に、前記接合金具が該引張荷重もしくは該圧縮荷重を負担するようになっており、
前記コッターが、前記基礎に対して直接的もしくは間接的に固定されていることを特徴とする。
本態様によれば、木質パネルの下端と基礎を直接的もしくは間接的に固定する接合金具が、引張性能と圧縮性能の双方を有することにより、ラーメン架構である鉄骨架構に対して紡錘型の履歴特性を有する木質パネルを組み込むことができる。ここで、「コッターが基礎に対して直接的もしくは間接的に固定されている」とは、接合金具を構成するコッターが基礎に直接固定される形態と、基礎に固定されている固定治具等に対してコッターが固定される(基礎に間接的に固定される)形態を含んでいる。
また、本発明による鉄骨造建物架構の他の態様において、
前記木質パネルの下端の左右にはそれぞれ、軸状の接合金具が埋設されており、
引張荷重が作用した際に、左右のいずれか一方の前記接合金具が該引張荷重を負担するようになっており、
前記接合金具が、前記基礎に対して直接的もしくは間接的に固定されていることを特徴とする。
本態様によれば、木質パネルの下端と基礎を直接的もしくは間接的に固定する接合金具が、引張性能のみを有することにより、ブレース架構である鉄骨架構に対してスリップ型の履歴特性を有する木質パネルを組み込むことができる。
鉄骨架構に対して地震時に作用する水平力の方向が左右に変化することから、本態様では、木質パネルの下端の左右において軸状の接合金具で基礎に固定することにより、水平力の方向に応じて引張側となる接合金具に引張力が作用して接合金具が変位することで、木質パネルが上下に移動(斜め方向への移動も含む)することができる。ここで、左右のそれぞれに二本ずつの接合金具が設けられてもよいし、木質パネルの下端の左右位置に加えて中央位置にも接合金具が設けられてもよい。
また、本発明による鉄骨造建物架構の他の態様において、
前記木質パネルの正面視形状が矩形であり、
前記矩形の上片の中央位置において、前記木質パネルが前記せん断受け金物に対して上下に移動自在に取り付けられていることを特徴とする。
本態様によれば、木質パネルの正面視矩形の上片の中央位置にせん断受け金物が取り付けられていることにより、地震時に鉄骨架構や木質パネルが変形した際の木質パネルの隅角部やその近傍における変位の影響をせん断受け金物が受けることなく、せん断力を負担することができる。
また、本発明による鉄骨造建物架構の他の態様は、
前記木質パネルがCLTパネルであることを特徴とする。
本態様によれば、木質パネルがCLTパネルであることにより、例えば、縦横の寸法が12m×2.6mまでの広範なパネルを適用できることから、大小様々な寸法の耐力壁を形成することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の鉄骨造建物架構によれば、鉄骨架構内に木質パネルが配設されている鉄骨造建物架構に関し、容易な設計を実現できる。
第1実施形態に係る鉄骨造建物架構の一例を示す正面図である。 せん断受け金物の一例と木質パネルの上端との取り付け構造を説明する分解斜視図である。 せん断受け金物の他の例と木質パネルの上端との取り付け構造を説明する分解斜視図である。 第1実施形態に係る鉄骨造建物架構において、木質パネルの下方に接合金具の一例が埋設されるとともに、基礎に間接的に固定されている状態を示す縦断面図である。 図4に示す接合金具に圧縮力が作用している状態を示す縦断面図である。 図4に示す接合金具に引張力が作用している状態を示す縦断面図である。 第2実施形態に係る鉄骨造建物架構の一例を示す正面図である。 第2実施形態に係る鉄骨造建物架構において、木質パネルの下方に接合金具の一例が埋設されるとともに、基礎に間接的に固定されている状態を示す縦断面図である。
以下、各実施形態に係る鉄骨造建物架構の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[第1実施形態に係る鉄骨造建物架構]
はじめに、図1乃至図6を参照して、第1実施形態に係る鉄骨造建物架構の一例について説明する。ここで、図1は、第1実施形態に係る鉄骨造建物架構の一例を示す正面図である。また、図2と図3はいずれも、せん断受け金物の一例と木質パネルの上端との取り付け構造を説明する分解斜視図である。さらに、図4は、第1実施形態に係る鉄骨造建物架構において、木質パネルの下方に接合金具の一例が埋設されるとともに、基礎に間接的に固定されている状態を示す縦断面図であり、図5と図6はそれぞれ、図4に示す接合金具に圧縮力と引張力が作用している状態を示す縦断面図である。
鉄骨造建物架構100は、鉄筋コンクリート製の基礎11と、基礎11の上に立設されている鉄骨架構10とを有する。鉄骨架構10は、H形鋼により形成される鉄骨梁12と、鉄骨梁12を支持する不図示の複数の鉄骨柱とを有する。鉄骨柱は、角形鋼管やH形鋼等により形成される。ここで、図1に示す鉄骨架構10は、鉄骨梁12と鉄骨柱の接合部が剛結合であるラーメン架構であるものとする。
鉄骨造建物架構100は、鉄骨架構10の内部に、正面視矩形の木質パネル20を備えている。木質パネル20には、構造用合板や集成材、CLTパネルなどが適用できるが、縦横の寸法が12m×2.6mまでの広範なパネルを利用できる観点からCLTパネルが好適である。
木質パネル20の上方は、鉄骨梁12に対して上下に移動自在に取り付けられており、木質パネル20の下方は、基礎11に対して上下に移動自在に取り付けられている。
まず、木質パネル20の上方と鉄骨梁12との接続形態について説明する。
図1に示すように、鉄骨梁12の下方のフランジ12aにはせん断受け金物30がボルト35により取り付けられている。せん断受け金物30は、鉄骨梁12と木質パネル20を接続しながら、地震時の水平力Fが鉄骨架構10に作用して鉄骨架構10が変位した際に生じるせん断力Sを負担する部材である。
図2に示すように、せん断受け金物30は、鉄骨梁12のフランジ12aに接続される鋼製で平面視矩形の取り付けプレート32と、取り付けプレート32の下面の中央位置において取り付けプレート32と直交する態様で溶接接合されている鋼製の板状部材31とを有する。板状部材31には、上下方向に長い二つのルーズ孔33が開設されている。
取り付けプレート32に開設されているボルト孔32aを介して、鉄骨梁12のフランジ12aにある不図示のボルト孔にボルト35が挿通され、ナット締めされるようになっている。
木質パネル20の上端21には収容溝25が設けられており、収容溝25に対して板状部材31の一部がX1方向に収容される。より詳細には、板状部材31のうち、ルーズ孔33が完全に収容溝25に収容され、ルーズ孔33の上方の一部が収容溝25の上方に露出する態様で、板状部材31の一部が収容溝25に収容される。
板状部材31の側面のうち、板状部材31の一部が収容溝25に収容された際に二つのルーズ孔33に対応する位置には、各ルーズ孔33に通じる二つのピン孔28が開設されている。ここで、ルーズ孔33の数は、一つであってもよいし、例えば三つ以上であってもよい。
板状部材31の一部が収容溝25に収容された後に、各ピン孔28にドリフトピン40(軸状固定部材の一例)がX2方向に挿通され、ルーズ孔33を貫通して、他方のピン孔28に挿通された後に打ち込まれることにより、木質パネル20に対して板状部材31が上下に移動自在に固定される。
すなわち、図1に示すように、鉄骨梁12にボルト接合されているせん断受け金物30に対して、木質パネル20は上下方向であるY1方向に移動自在に取り付けられることになる。
また、図示例は、木質パネル20の矩形の上片の中央位置(幅t0の中央位置)に、せん断受け金物30が設置されている。このように、木質パネル20の上片の中央位置にせん断受け金物30が取り付けられていることにより、地震時に鉄骨架構10や木質パネル20が変形した際の木質パネル20の隅角部やその近傍における変位の影響をせん断受け金物30が受けることなく、せん断力Sを負担することができる。
図3には、せん断受け金物の他の形態を示している。図示例のせん断受け金物30Aは、ボルト孔32aを備えた取り付けプレート32に対して、板状部材31に代わり、丸鋼34(軸状部材の一例)が溶接接合されている点においてせん断受け金物30と相違する。
木質パネル20の上端21には、丸鋼34が収容される円柱状の収容溝26が設けられており、収容溝26に対して丸鋼34がX3方向に収容される。
収容溝26に対して丸鋼34が収容された姿勢で、鉄骨梁12にせん断受け金物30Aがボルト接合されることにより、鉄骨梁12に対して木質パネル20が上下に移動自在に取り付けられることになる。
図2と図3のいずれのせん断受け金物30,30Aを適用した場合でも、鉄骨梁12に対して木質パネル20の上方を上下に移動自在に取り付けることができるため、図1に示すように、木質パネル20が鉄骨梁12よりも上方の建物荷重である鉛直荷重Wを負担しなくなる。このことにより、鉄骨架構10のみが鉛直荷重Wを負担することから、容易な鉄骨造建物架構100の設計を実現できる。
また、鉄骨架構10に対して木質パネル20が上下に移動自在に取り付けられていることにより、鉄骨架構10の高さ(階間の高さ)が設計値から若干ずれている場合でも、ずれを吸収して木質パネル20を鉄骨架構10に組み込むことができる。
次に、木質パネル20の下方と基礎11との接続形態について説明する。
図1に示すように、基礎11の上端には溝形鋼等により形成される固定治具60がアンカーボルト15を介して固定されており、固定治具60に接合金具50が固定され、接合金具50の一部が木質パネル20の下端22から内部に埋設されている。すなわち、木質パネル20の下方は、固定治具60を介して基礎11に対して間接的に固定されている。ここで、接合金具50が基礎11に対して直接固定される形態であってもよい。
図4に示すように、接合金具50は、鋼製のパイプ51と、鋼製のコッター53と、鋼製の軸部材55とを有する。
パイプ51は、内部に第1中空部51aを備え、第1中空部51aの一端に第1ネジ溝51bを備え、ネジ切りを備えた周面51cを備えている。鋼製のパイプ51は、周面51cにネジ切りを備えているパイプラグスクリューボルト(パイプLSB)である。木質パネル20に周面51cがねじ込まれることにより、パイプ51が固定される。ここで、図示を省略するが、周面にネジ切りを備えていないパイプを、木質パネルに設けられている溝に収容し、溝の壁面とパイプの周面を接着剤により固定する形態であってもよい。
コッター53は、内部に第2中空部53aを備えるとともに、端部に第2ネジ溝53bを備えている。木質パネル20の下端からコッター53の一部がねじ込まれ、木質パネル20の内部において、第2中空部53aにパイプ51の一部が収容される態様で双方の部材が配設される。また、コッター53の下端は固定治具60の上端に載置される。
木質パネル20の内部におけるコッター53の上方には、高さ寸法t1の変形代用隙間29が設けられている。
軸部材55は、鋼製の芯材55aと、芯材55aの両端にあって芯材55aよりも大径の第1ネジ55b及び第2ネジ55cとを有する。第1ネジ55b及び第2ネジ55cを両端に備え、相対的に小径の芯材55aを中央に備えている軸部材55は、例えば転造加工により形成される。
芯材55aが両端の第1ネジ55b及び第2ネジ55cよりも相対的に小径であることにより、パイプ51の第1中空部51aとの間に隙間Gが形成される。この隙間Gは、以下で詳説する座屈変形用の隙間である。
第1中空部51aと第2中空部53aに軸部材55が配設され、第1ネジ溝51bに対して第1ネジ55bが螺合され、第2ネジ溝53bに対して第2ネジ55cが螺合されることにより、軸部材55の両端がパイプ51とコッター53に固定される。
第2ネジ55cは、第2ネジ溝53bに螺合されつつ、第2ネジ溝53bを貫通して固定治具60のネジ溝60aに螺合される。固定治具60の別途のネジ溝60bには、基礎11に定着されるアンカーボルト15の頭部が螺合しており、接合金具50の軸部材55が基礎11に固定されている固定治具60に対して接合される。
図1に示すように、地震時に作用する水平力Fにより鉄骨架構10と木質パネル20は左右に変位し、木質パネル20の左右の変位により、木質パネル20の下方の左右にある接合金具50には、圧縮力N1と引張力N2が交互に作用する。
図5に示すように、木質パネル20と接合金具50に圧縮力N1が作用すると、木質パネル20は下方へY2方向に押し込まれ、変形代用隙間29も高さ寸法がt2(<t1)と小さくなり、木質パネル20の下端も固定治具60に近接する。
さらに、作用する圧縮力N1が芯材55aの座屈耐力よりも大きい場合、芯材55aはパイプ51の第1中空部51aの隙間Gにおいて座屈変形し、第1中空部51aの壁面に当接してそれ以上の変形が拘束される。
このように、地震時において木質パネル20と接合金具50に圧縮力N1が作用した際には、接合金具50を構成する軸部材55の芯材55aが座屈変形することにより、地震時における歪みエネルギーを効果的に吸収することができる。この際、軸部材55では、中央の芯材55aよりも大径の第1ネジ55b及び第2ネジ55cが、芯材55aの両端においてパイプ51とコッター53にそれぞれ固定されることにより、作用する圧縮力N1に対して、第1ネジ55bと第2ネジ55cは先行破壊せず、芯材55aが座屈変形することになる。
また、芯材55aの座屈変形の際には、芯材55aの外周にパイプ51とコッター53があり、パイプ51とコッター53の外周に木質パネル20があることから、芯材55aはパイプ51の第1中空部51aとコッター53の第2中空部53aにおいて座屈変形しながらも、パイプ51及びコッター53と木質パネル20とによって拘束されることになり、芯材55aの座屈破壊は抑止される。
一方、図6に示すように、木質パネル20と接合金具50に引張力N2が作用すると、木質パネル20は上方へY3方向に引っ張られ、変形代用隙間29は高さ寸法がt3(>t1)と大きくなり、木質パネル20の下端22も固定治具60から遠ざかる。
さらに、作用する引張力N2が芯材55aの引張耐力よりも大きい場合、芯材55aが引張側に変形することにより、地震時における歪みエネルギーを吸収することができる。
このように、木質パネル20の下方と基礎11を、引張側と圧縮側の双方の変形性能が発揮される接合金具50を介して接続することにより、木質パネル20の下方を基礎11に対して上下に移動自在に取り付けることができる。
そして、引張側と圧縮側の双方の変形性能が発揮される接合金具50を適用することにより、紡錘型の履歴特性を有するラーメン架構である鉄骨架構10に対して、同様に紡錘型の履歴特性を有する木質パネル20を組み込むことができる。このことにより、層全体の履歴特性を紡錘型の履歴特性とすることにより、層の構造特性係数を容易に設定することが可能になる。
[第2実施形態に係る鉄骨造建物架構]
次に、図7及び図8を参照して、第2実施形態に係る鉄骨造建物架構の一例について説明する。ここで、図7は、第2実施形態に係る鉄骨造建物架構の一例を示す正面図である。また、図8は、第2実施形態に係る鉄骨造建物架構において、木質パネルの下方に接合金具の一例が埋設されるとともに、基礎に間接的に固定されている状態を示す縦断面図である。
鉄骨造建物架構100Aは、接合金具50に代わり、シンプルな構成の接合金具70を有する点において鉄骨造建物架構100と相違する。
また、図7に示す鉄骨架構10は、鉄骨梁12と不図示の鉄骨柱の接合部がピン結合であり、架構内に不図示のブレースを備えたブレース架構であるものとする。
図8に示すように、接合金具70は軸状の金具であり、木質パネル20にネジ固定される第1ネジ部71と、ネジ溝を備えておらず、木質パネル20に固定されない変形部72(非ネジ部)と、固定治具60のネジ溝60aにネジ固定される第2ネジ部73とを有する。第1ネジ部71の長さt4は、例えば400mm乃至450mm程度に設定され、変形部72の長さt5は、例えば100mm乃至150mm程度に設定され、従って、接合金具70における木質パネル20への埋設長さt6は、500mm乃至600mm程度(例えば550mm)に設定される。接合金具70は、例えばラグスクリューボルトにより形成される。尚、接合金具には、図示例の他にも、全ネジタイプのラグスクリューボルトが適用されてもよい。
軸状の接合金具70は、図4に示す接合金具50と異なり、引張力のみを負担する。従って、図7に示すように、地震時に作用する水平力Fにより鉄骨架構10と木質パネル20が左右に交互に変位した際に、引張側となる接合金具70が引張力N2を負担し、圧縮側となる接合金具70は圧縮力N1を負担しない。
図8に示すように、接合金具70に作用する引張力N2が接合金具70の引張耐力よりも大きい場合、接合金具70が引張側へY4方向に変形することにより、地震時における歪みエネルギーを吸収する。この際、上記するように、接合金具70が100mm乃至150mm程度の変形部72を有することで、変形部72には30mm程度の変形量を期待できる。さらに、400mm乃至450mm程度の長さの第1ネジ部71が木質パネル20にネジ固定されていることにより、接合金具70(の変形部72)が変形した際の接合金具70と木質パネル20との十分な固定状態を保持することができる。
このように、木質パネル20の下端22と基礎11を繋ぐ接合金具70が、作用する引張荷重のみを負担することにより、スリップ型の履歴特性を有するブレース架構である鉄骨架構10に対して、同様にスリップ型の履歴特性を有する木質パネル20を組み込むことができる。このことにより、層全体の履歴特性をスリップ型の履歴特性とすることができ、層の構造特性係数を容易に設定することが可能になる。
以上で説明するように、鉄骨架構の架構形式(ラーメン架構とブレース架構)に応じて、同様の履歴特性を有する接合金具50,70を適用することにより、層の構造特性係数を容易に設定でき、鉄骨造建物架構の容易な設計を実現できる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:鉄骨架構
11:基礎
12:鉄骨梁
15:アンカーボルト
20:木質パネル
21:上端
22:下端
25,26:収容溝
28:ピン孔
29:変形代用隙間
30,30A:せん断受け金物
31:板状部材
32:取り付けプレート
32a:ボルト孔
33:ルーズ孔
34:軸状部材
40:ドリフトピン
50:接合金具
51:パイプ
51a:第1中空部
51b:第1ネジ溝
51c:周面
53:コッター
53a:第2中空部
53b:第2ネジ溝
55:軸部材
55a:芯材
55b:第1ネジ
55c:第2ネジ
60:固定治具
60a,60b:ネジ溝
70:接合金具
71:第1ネジ部
72:変形部(非ネジ部)
73:第2ネジ部
100,100A:鉄骨造建物架構
F:水平力
S:せん断力
W:鉛直荷重
N1:圧縮力
N2:引張力

Claims (7)

  1. 基礎と、該基礎の上に立設されている鉄骨架構とを有する、鉄骨造建物架構であって、
    前記鉄骨架構を形成する鉄骨梁に対して、木質パネルの上方が上下に移動自在に取り付けられ、
    前記木質パネルの下方が、前記基礎に対して上下に移動自在に取り付けられていることを特徴とする、鉄骨造建物架構。
  2. 前記鉄骨梁に取り付けられているせん断受け金物に対して、前記木質パネルの上方が上下に移動自在に取り付けられており、
    前記せん断受け金物は板状部材を備え、該板状部材には上下に延びるルーズ孔が開設され、
    前記木質パネルの上端には、前記せん断受け金物の少なくとも一部が収容される収容溝が設けられており、
    前記収容溝に収容されている前記板状部材の前記ルーズ孔に対して、前記木質パネルを貫通する軸状固定部材が、前記ルーズ孔に遊嵌されていることを特徴とする、請求項1に記載の鉄骨造建物架構。
  3. 前記鉄骨梁に取り付けられているせん断受け金物に対して、前記木質パネルの上方が上下に移動自在に取り付けられており、
    前記せん断受け金物は軸状部材を備え、
    前記木質パネルの上端には、前記せん断受け金物の少なくとも一部が収容される収容溝が設けられており、
    前記収容溝に対して前記軸状部材が上下に移動自在に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の鉄骨造建物架構。
  4. 前記木質パネルの下端には、接合金具が埋設されており、
    前記接合金具は、
    内部に第1中空部を備え、該第1中空部の一端に第1ネジ溝を備えている、鋼製のパイプと、
    鋼製の芯材と、該芯材の両端にあって該芯材よりも大径の第1ネジ及び第2ネジと、を備える鋼製の軸部材と、
    内部に第2中空部を備え、第2ネジ溝を備えている鋼製のコッターと、を有し、
    前記第2中空部に前記パイプの一部が収容され、該第2中空部と前記第1中空部に前記軸部材が収容され、前記第1ネジ溝と前記第1ネジが固定され、前記第2ネジ溝と前記第2ネジが固定され、
    引張荷重と圧縮荷重のいずれか一方が作用した際に、前記接合金具が該引張荷重もしくは該圧縮荷重を負担するようになっており、
    前記コッターが、前記基礎に対して直接的もしくは間接的に固定されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鉄骨造建物架構。
  5. 前記木質パネルの下端の左右にはそれぞれ、軸状の接合金具が埋設されており、
    引張荷重が作用した際に、左右のいずれか一方の前記接合金具が該引張荷重を負担するようになっており、
    前記接合金具が、前記基礎に対して直接的もしくは間接的に固定されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鉄骨造建物架構。
  6. 前記木質パネルの正面視形状が矩形であり、
    前記矩形の上片の中央位置において、前記木質パネルが前記せん断受け金物に対して上下に移動自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項2,3、請求項2,3に従属する請求項4,5のいずれか一項に記載の鉄骨造建物架構。
  7. 前記木質パネルがCLTパネルであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鉄骨造建物架構。
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