JP2023137447A - 耐力壁及び耐力構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐力壁における靭性を向上させ、比較的規模の大きな木造建物でも十分な耐震性を維持できるようにし、更には、大きな外力が加わっても破損が生じにくく、万が一破損が生じても容易かつ安価に修理できるようにする。【解決手段】耐力壁1において、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3を連結する連結部4が、本体金物40と、棒状の第一連結材41と、棒状の第二連結材42と、を有し、第一フレーム材2に対する第一連結材41の接合部には、第一フレーム材2が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、第二フレーム材3に対する第二連結材42の接合部には、第二フレーム材3が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、第一連結材41の降伏点は、第二連結材42の降伏点よりも低く設定されている。【選択図】図1
Description
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本発明は、耐力壁及び耐力構造体に関する。
木造建物においては、地震時や台風時の水平荷重に抵抗するため、必要壁量を満たすように耐力壁が設けられる。
このような耐力壁としては、隣り合う柱材間の開口部に筋交いを架け渡したり、隣り合う柱材間の開口部全面を覆うように構造用合板を張り付けたりすることで構成されている(例えば特許文献1参照)。
このような耐力壁としては、隣り合う柱材間の開口部に筋交いを架け渡したり、隣り合う柱材間の開口部全面を覆うように構造用合板を張り付けたりすることで構成されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、近年では、耐力壁を、例えば中層・高層の木造建物や延べ面積の広い木造建物のような、比較的規模の大きな木造建物の建築に使用することが求められている。
しかしながら、比較的規模の大きな木造建物に、例えば規模の小さい木造の戸建て住宅に使用されるような通常の耐力壁を適用しても、粘り強さを発揮するための性質である靭性が十分でない場合があり、耐震性を維持しにくい。
しかしながら、比較的規模の大きな木造建物に、例えば規模の小さい木造の戸建て住宅に使用されるような通常の耐力壁を適用しても、粘り強さを発揮するための性質である靭性が十分でない場合があり、耐震性を維持しにくい。
さらに、例えば地震等により耐力壁に破損があると修理が必要となるが、表面側から見ても、修理が必要な箇所の判別は困難であるし、たとえ一部分の破損でも、場合によっては耐力壁全体の修理や、あるいは耐力壁自体の交換が必要となることもある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、耐力壁における靭性を向上させ、比較的規模の大きな木造建物でも十分な耐震性を維持できるようにし、更には、大きな外力が加わっても破損が生じにくく、万が一破損が生じても容易かつ安価に修理できるようにすることである。
請求項1に記載の発明は、例えば図1~図7に示すように、互いに間隔を空けて隣り合う第一フレーム材2と、
前記隣り合う第一フレーム材2間に配置された第二フレーム材3と、
前記第一フレーム材2と前記第二フレーム材3とを連結する連結部4と、を備えており、
前記連結部4は、
前記隣り合う第一フレーム材2と前記第二フレーム材3の両端部との間に設けられた本体金物40と、
前記第一フレーム材2と前記本体金物40とを連結する棒状の第一連結材41と、
前記第二フレーム材3と前記本体金物40とを連結する棒状の第二連結材42と、を有し、
前記第一フレーム材2に対する前記第一連結材41の接合部には、前記第一フレーム材2が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、
前記第二フレーム材3に対する前記第二連結材42の接合部には、前記第二フレーム材3が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、
前記第一連結材41の降伏点は、前記第二連結材42の降伏点よりも低く設定されていることを特徴とする。
前記隣り合う第一フレーム材2間に配置された第二フレーム材3と、
前記第一フレーム材2と前記第二フレーム材3とを連結する連結部4と、を備えており、
前記連結部4は、
前記隣り合う第一フレーム材2と前記第二フレーム材3の両端部との間に設けられた本体金物40と、
前記第一フレーム材2と前記本体金物40とを連結する棒状の第一連結材41と、
前記第二フレーム材3と前記本体金物40とを連結する棒状の第二連結材42と、を有し、
前記第一フレーム材2に対する前記第一連結材41の接合部には、前記第一フレーム材2が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、
前記第二フレーム材3に対する前記第二連結材42の接合部には、前記第二フレーム材3が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、
前記第一連結材41の降伏点は、前記第二連結材42の降伏点よりも低く設定されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第一フレーム材2に対する第一連結材41の接合部には、第一フレーム材2が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用されているので、第一フレーム材2に対する第一連結材41の接合部付近は、靭性が高い状態となる。これにより、耐力壁1における靭性を向上させることができるので、このような耐力壁1が組み込まれれば、比較的規模の大きな木造建物でも十分な耐震性を維持できる。
さらに、第一連結材41の降伏点は、前記第二連結材42の降伏点よりも低く設定されているので、第一連結材41は、第二連結材42よりも塑性しやすくなっている。したがって、例えば地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41は、第二連結材42よりも先に塑性する。ところが、第一連結材41は、塑性した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材の変形や破損が生じにくくなる。しかも、地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わっても、破損箇所を、第一連結材41だけにとどめることができれば、耐力壁1の修理が、第一連結材41の交換だけで済むので、万が一破損が生じても容易かつ安価に修理できる。
さらに、第一連結材41の降伏点は、前記第二連結材42の降伏点よりも低く設定されているので、第一連結材41は、第二連結材42よりも塑性しやすくなっている。したがって、例えば地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41は、第二連結材42よりも先に塑性する。ところが、第一連結材41は、塑性した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材の変形や破損が生じにくくなる。しかも、地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わっても、破損箇所を、第一連結材41だけにとどめることができれば、耐力壁1の修理が、第一連結材41の交換だけで済むので、万が一破損が生じても容易かつ安価に修理できる。
請求項2に記載の発明は、例えば図1~図3,図5~図7に示すように、請求項1に記載の耐力壁1において、
前記第二フレーム材3の端部は、前記本体金物40の上下方向中央部に配置されて、前記第二連結材42によって連結され、
前記第一連結材41は、前記本体金物40の上端部及び下端部と前記第一フレーム材2とを連結していることを特徴とする。
前記第二フレーム材3の端部は、前記本体金物40の上下方向中央部に配置されて、前記第二連結材42によって連結され、
前記第一連結材41は、前記本体金物40の上端部及び下端部と前記第一フレーム材2とを連結していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、第二フレーム材3の端部は、本体金物40の上下方向中央部に配置されて、第二連結材42によって連結され、第一連結材41は、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを連結しているので、第二フレーム材3と、この第二フレーム材3の両端部に設けられる本体金物40を、複数の第二連結材42によって予め連結した状態で、第一連結材41によって、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを確実に連結できる。これにより、第二フレーム材3及び双方の本体金物40は、略I型に形成された一つの部材として事前に形成できて、輸送時や現場でも一つの部材として取り扱うことができるので、施工性の向上を図ることができる。
請求項3に記載の発明は、例えば図1~図3,図5~図7に示すように、請求項2に記載の耐力壁1において、
前記第二連結材42は、前記第二フレーム材3の両端部における上端部側及び下端部側と前記本体金物40とを連結していることを特徴とする。
前記第二連結材42は、前記第二フレーム材3の両端部における上端部側及び下端部側と前記本体金物40とを連結していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、第二連結材42は、第二フレーム材3の両端部における上端部側及び下端部側と本体金物40とを連結しているので、第二フレーム材3を、両端部の本体金物40に対して確実にモーメント抵抗接合することができる。
請求項4に記載の発明は、例えば図1~図7に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の耐力壁1において、
前記隣り合う第一フレーム材2間に配置されるとともに前記第二フレーム材3に接するパネル材5を更に備えることを特徴とする。
前記隣り合う第一フレーム材2間に配置されるとともに前記第二フレーム材3に接するパネル材5を更に備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、隣り合う第一フレーム材2間に配置されるとともに第二フレーム材3に接するパネル材5を更に備えるので、パネル材5によって耐力壁1の耐力を向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1~図3,図5~図7に示すように、請求項4に記載の耐力壁1において、
前記隣り合う第一フレーム材2と前記パネル材5との間に、前記本体金物40の上下方向側端面に接する滑り止め材6が介在して設けられていることを特徴とする。
前記隣り合う第一フレーム材2と前記パネル材5との間に、前記本体金物40の上下方向側端面に接する滑り止め材6が介在して設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、隣り合う第一フレーム材2とパネル材5との間に、本体金物40の上下方向側端面に接する滑り止め材6が介在して設けられているので、滑り止め材6が、本体金物40の上下方向側端面に接することで、本体金物40における上下方向への縦滑り動作や回転動作を防止できる。これにより、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41や第二連結材42に対し、本体金物40の動作による余計な力が加わりにくくなるので、計算どおりに第一連結材41を第二連結材42よりも先に塑性させることができる。
請求項6に記載の発明は、例えば図5~図7に示すように、請求項1から5のいずれか一項に記載の耐力壁1が、平面視においてコーナ部Cを介して直交配置されて構成された耐力構造体10であって、
前記第一フレーム材2は、前記コーナ部Cに配置された第一フレーム材2と、当該コーナ部Cの第一フレーム材2と間隔を空けて隣り合う複数の第一フレーム材2と、を有しており、
前記第二フレーム材3は、前記コーナ部Cの第一フレーム材2と前記隣り合う複数の第一フレーム材2との間に配置された複数の第二フレーム材3を有しており、
前記複数の第二フレーム材3は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士が前記コーナ部Cで交差する位置関係で配置されていることを特徴とする。
前記第一フレーム材2は、前記コーナ部Cに配置された第一フレーム材2と、当該コーナ部Cの第一フレーム材2と間隔を空けて隣り合う複数の第一フレーム材2と、を有しており、
前記第二フレーム材3は、前記コーナ部Cの第一フレーム材2と前記隣り合う複数の第一フレーム材2との間に配置された複数の第二フレーム材3を有しており、
前記複数の第二フレーム材3は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士が前記コーナ部Cで交差する位置関係で配置されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、コーナ部Cの第一フレーム材2と隣り合う複数の第一フレーム材2との間に配置された複数の第二フレーム材3は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士がコーナ部Cで交差する位置関係で配置されているので、複数の第二フレーム材3を、上下方向の位置が近い状態で配置することができる。そのため、例えば、複数の第二フレーム材3が上下方向に大きく位置がずれた状態で配置される場合に比して、耐力構造体10全体の強度バランスを良好な状態に維持することに貢献できる。
請求項7に記載の発明は、例えば図5~図7に示すように、請求項6に記載の耐力構造体10において、
前記複数の第二フレーム材3の両端部に位置する前記本体金物40のうち、前記コーナ部C側の前記本体金物40同士は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士が前記コーナ部Cで交差する位置関係で配置されており、
前記コーナ部Cに配置された前記第一フレーム材2を介して隣り合う前記本体金物40のうち、一方の本体金物40における上下方向中央部と、他方の本体金物40における上端部又は下端部とが同じ高さ位置となっていることを特徴とする。
前記複数の第二フレーム材3の両端部に位置する前記本体金物40のうち、前記コーナ部C側の前記本体金物40同士は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士が前記コーナ部Cで交差する位置関係で配置されており、
前記コーナ部Cに配置された前記第一フレーム材2を介して隣り合う前記本体金物40のうち、一方の本体金物40における上下方向中央部と、他方の本体金物40における上端部又は下端部とが同じ高さ位置となっていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、コーナ部Cに配置された前記第一フレーム材2を介して隣り合う本体金物40のうち、一方の本体金物40における上下方向中央部と、他方の本体金物40における上端部又は下端部とが同じ高さ位置となっているので、複数の第二フレーム材3を、上下方向の位置が近い状態で配置することができ、耐力構造体10全体の強度バランスを更に良好な状態に維持することに貢献できる。
請求項8に記載の発明は、例えば図5~図7に示すように、請求項6又は7に記載の耐力構造体10において、
前記隣り合う第一フレーム材2間に配置されるとともに前記第二フレーム材3に接するパネル材5を更に備えており、
前記パネル材5は、前記複数の第二フレーム材3の高さ位置に応じて上下方向の寸法が異なり、かつ、前記耐力壁1ごとに前記第二フレーム材3を挟んで上下に隣り合って配置される複数のパネル材5(5A,5B,5C)を有しており、
前記コーナ部Cを介して直交配置された前記耐力壁1のうち、一方の耐力壁1における前記複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びと、他方の耐力壁1における前記複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びとが上下反転した状態となっていることを特徴とする。
前記隣り合う第一フレーム材2間に配置されるとともに前記第二フレーム材3に接するパネル材5を更に備えており、
前記パネル材5は、前記複数の第二フレーム材3の高さ位置に応じて上下方向の寸法が異なり、かつ、前記耐力壁1ごとに前記第二フレーム材3を挟んで上下に隣り合って配置される複数のパネル材5(5A,5B,5C)を有しており、
前記コーナ部Cを介して直交配置された前記耐力壁1のうち、一方の耐力壁1における前記複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びと、他方の耐力壁1における前記複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びとが上下反転した状態となっていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、コーナ部Cを介して直交配置された耐力壁1のうち、一方の耐力壁1における上下方向の寸法が異なる複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びと、他方の耐力壁1における上下方向の寸法が異なる複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びとが上下反転した状態となっているので、コーナ部Cの第一フレーム材2と隣り合う複数の第一フレーム材2との間に配置されて、コーナ部Cを介して隣り合う複数の第二フレーム材3同士を、上下方向の位置が近い状態で配置することができ、耐力構造体10全体の強度バランスをより一層良好な状態に維持することに貢献できる。
本発明によれば、耐力壁における靭性を向上させ、比較的規模の大きな木造建物でも十分な耐震性を維持できるようにし、更には、大きな外力が加わっても破損が生じにくく、万が一破損が生じても容易かつ安価に修理できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1において符号1は、耐力壁を示す。この耐力壁1は、主として、例えば、中層・高層の木造建物や、延べ面積の広い木造建物のような、比較的規模の大きな木造建物の建築に使用されるものである。このような比較的規模の大きな木造建物以外にも、例えば、戸建て住宅のような比較的規模の小さな木造建物に使用してもよいし、建物のリフォーム時に採用してもよい。さらに、耐力壁1は、枠組壁工法やパネル工法による建物以外にも、木造軸組構法による建物に使用してもよいし、木造と非木造を組み合わせた混構造の建物に使用してもよい。
また、このような耐力壁1を建物に組み込む場合、耐力壁1は、基礎や梁、土台、床等の下部構造材上に立設され、上には、梁や床、上階の壁(耐力壁を含む)等の上部構造材が載せられる。つまり、耐力壁1は、下部構造材と上部構造材との間に挟まれた状態に設けられる。
さらに、耐力壁1は、棒鋼やボルト、長ボルト等の棒材2bによって下部構造材及び上部構造材に接合されている。すなわち、耐力壁1には、棒材の一端が差し込まれる差込穴2cが形成され、下部構造材と上部構造材にも、棒材の他端が差し込まれる差込穴が形成されることになる。
棒材2bとしては、異形棒鋼や全ネジボルト等のように、表面に凹凸のある長尺な棒材2bが好適に用いられる。
また、棒材2bによる耐力壁1と下部構造材及び上部構造材との接合には、グルードインロッド(GIR:Glued in Rod)と呼ばれる方法が採用される。この方法は、棒材2bと耐力壁1側の差込穴2cとの空隙、棒材2bと下部構造材及び上部構造材側の差込穴との空隙に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と棒材2bを介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。すなわち、棒材2bと各差込穴2cとの間には空隙があり、接着剤が充填されていない状態では、棒材2bは耐力壁1側にも下部構造材及び上部構造材側にも接合されない。
なお、本実施形態においては、棒材2bによる耐力壁1と下部構造材及び上部構造材との接合には、上記のグルードインロッドの方法を採用したが、例えば接合用の金物を用いるなど、その他の方法を採用してもよい。
棒材2bとしては、異形棒鋼や全ネジボルト等のように、表面に凹凸のある長尺な棒材2bが好適に用いられる。
また、棒材2bによる耐力壁1と下部構造材及び上部構造材との接合には、グルードインロッド(GIR:Glued in Rod)と呼ばれる方法が採用される。この方法は、棒材2bと耐力壁1側の差込穴2cとの空隙、棒材2bと下部構造材及び上部構造材側の差込穴との空隙に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と棒材2bを介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。すなわち、棒材2bと各差込穴2cとの間には空隙があり、接着剤が充填されていない状態では、棒材2bは耐力壁1側にも下部構造材及び上部構造材側にも接合されない。
なお、本実施形態においては、棒材2bによる耐力壁1と下部構造材及び上部構造材との接合には、上記のグルードインロッドの方法を採用したが、例えば接合用の金物を用いるなど、その他の方法を採用してもよい。
以上のような耐力壁1は、互いに間隔を空けて隣り合う第一フレーム材2と、隣り合う第一フレーム材2間に配置された第二フレーム材3と、第一フレーム材2と第二フレーム材3とを連結する連結部4と、隣り合う第一フレーム材2間に配置されるとともに第二フレーム材3に接するパネル材5と、を備えている。
第一フレーム材2は、水平方向(横方向・左右方向)よりも上下方向に長尺な構造用集成材であり、平断面視において正方形状に形成されている。なお、本実施形態においては、第一フレーム材2として構造用集成材が用いられているが、通常の角材でもよいし、例えばLVL(Laminated Veneer Lumber)による柱材でもよい。すなわち、第一フレーム材2は、木製の柱状部材である。また、断面形状も正方形状ではなく、矩形状でもよい。
第一フレーム材2には、連結部4における第一連結材41(後述する)が差し込まれる複数の連結用差込孔2aが左右方向に貫通して形成されている。
より詳細に説明すると、複数の連結用差込孔2aは、隣り合う第一フレーム材2における互いに対向する側面(以下、内側面2d)から、当該内側面2dとは反対側の、隣り合う第一フレーム材2における互いに平行で、かつ対向しない側面(以下、外側面2e)にかけて貫通形成されている。また、これら複数の連結用差込孔2aは、連結部4における本体金物40(後述する)の上端部及び下端部の位置に対応して形成されるとともに、耐力壁1の厚み方向に複数(本実施形態においては3つ)並んで形成されている。
より詳細に説明すると、複数の連結用差込孔2aは、隣り合う第一フレーム材2における互いに対向する側面(以下、内側面2d)から、当該内側面2dとは反対側の、隣り合う第一フレーム材2における互いに平行で、かつ対向しない側面(以下、外側面2e)にかけて貫通形成されている。また、これら複数の連結用差込孔2aは、連結部4における本体金物40(後述する)の上端部及び下端部の位置に対応して形成されるとともに、耐力壁1の厚み方向に複数(本実施形態においては3つ)並んで形成されている。
また、第一フレーム材2の外側面2eには、連結部4における第一連結材41とセットで設けられる矩形の座金41c(後述する)が嵌め込まれて設けられる凹部2fが複数形成されている。
第二フレーム材3は、隣り合う第一フレーム材2間に配置された横架材であって、上下方向よりも水平方向(横方向・左右方向)に長尺な構造用集成材によって構成され、平断面視において矩形状に形成されている。なお、本実施形態においては、第二フレーム材3として構造用集成材が用いられているが、通常の角材でもよいし、例えばLVLによる第二フレーム材3でもよい。すなわち、第二フレーム材3は、木製の梁状部材である。また、断面形状も矩形状ではなく、正方形状でもよい。
この第二フレーム材3は、隣り合う第一フレーム材2間に、上下方向に間隔を空けて複数設けられているものとする。
この第二フレーム材3は、隣り合う第一フレーム材2間に、上下方向に間隔を空けて複数設けられているものとする。
第二フレーム材3の両端部には、連結部4における第二連結材42(後述する)が差し込まれる複数の連結用差込穴3aが左右方向に形成されている。
より詳細に説明すると、複数の連結用差込穴3aは、第二フレーム材3の長さ方向両端面から中央側に向かって貫通しない状態で形成されている。またこれら複数の連結用差込穴3aは、第二フレーム材3の長さ方向両端面における上端部側及び下端部側に、複数個ずつ形成されている。上端部側及び下端部側の複数個ずつの連結用差込穴3aは、上下2段で、かつ耐力壁1の厚み方向に複数(本実施形態においては3つ)並んで形成されている。つまり、本実施形態においては、第二フレーム材3の長さ方向両端面における上端部側及び下端部側の双方に、6個ずつの連結用差込穴3aが形成されている。
より詳細に説明すると、複数の連結用差込穴3aは、第二フレーム材3の長さ方向両端面から中央側に向かって貫通しない状態で形成されている。またこれら複数の連結用差込穴3aは、第二フレーム材3の長さ方向両端面における上端部側及び下端部側に、複数個ずつ形成されている。上端部側及び下端部側の複数個ずつの連結用差込穴3aは、上下2段で、かつ耐力壁1の厚み方向に複数(本実施形態においては3つ)並んで形成されている。つまり、本実施形態においては、第二フレーム材3の長さ方向両端面における上端部側及び下端部側の双方に、6個ずつの連結用差込穴3aが形成されている。
連結部4は、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3の両端部との間に設けられた本体金物40と、第一フレーム材2と本体金物40とを連結する棒状の第一連結材41と、第二フレーム材3と本体金物40とを連結する棒状の第二連結材42と、を有する。
すなわち、連結部4は、第二フレーム材3の両端部に設けられるものであるため、1本の第二フレーム材3に対して2セット設けられることになる。
すなわち、連結部4は、第二フレーム材3の両端部に設けられるものであるため、1本の第二フレーム材3に対して2セット設けられることになる。
本体金物40は、図2に示すように、矩形板状に形成された金属製の板材に対して複数の貫通孔を形成したものであり、複数の貫通孔は、複数のビス孔40aと、複数の第一孔40bと、複数の第二孔40cと、を有する。
なお、本体金物40の正面及び背面のそれぞれは、第二フレーム材3の正面及び背面のそれぞれと面一の状態となっておらず、僅かに正面側及び背面側に突出している。
なお、本体金物40の正面及び背面のそれぞれは、第二フレーム材3の正面及び背面のそれぞれと面一の状態となっておらず、僅かに正面側及び背面側に突出している。
複数のビス孔40aは、本体金物40を、第二フレーム材3の両端部に仮止めするためのビス(図示省略)が通される貫通孔である。
ビス孔40aは、ビスの本体軸が通されて頭部が通らない直径の孔部と、ビスの頭部を通すことが可能な直径の孔部と、を備える。ビスは、本体金物40の外側面(第一フレーム材2側面)から第二フレーム材3の長さ方向側端面に向かって打ち込まれる。
ビス孔40aは、ビスの本体軸が通されて頭部が通らない直径の孔部と、ビスの頭部を通すことが可能な直径の孔部と、を備える。ビスは、本体金物40の外側面(第一フレーム材2側面)から第二フレーム材3の長さ方向側端面に向かって打ち込まれる。
複数の第一孔40bは、連結部4における第一連結材41が通される貫通孔である。そのため、本体金物40には、第一連結材41の本数分の第一孔40bが形成されている。
第一孔40bは、ボルトである第一連結材41の本体軸が通されて頭部41aが通らない直径の孔部と、第一連結材41の頭部41aを通すことが可能な直径の孔部と、を備える。第一連結材41は、本体金物40の内側面(第二フレーム材3側面)から第一フレーム材2の内側面2dに向かって設けられる。
第一孔40bは、ボルトである第一連結材41の本体軸が通されて頭部41aが通らない直径の孔部と、第一連結材41の頭部41aを通すことが可能な直径の孔部と、を備える。第一連結材41は、本体金物40の内側面(第二フレーム材3側面)から第一フレーム材2の内側面2dに向かって設けられる。
複数の第二孔40cは、連結部4における第二連結材42が通される貫通孔である。そのため、本体金物40には、第二連結材42の本数分の第二孔40cが形成されている。
第二孔40cは、ボルトである第二連結材42の本体軸が通されてナット42aが通らない直径の孔部と、第二連結材42のナット42aを通すことが可能な直径の孔部と、を備える。第二連結材42は、本体金物40の外側面(第一フレーム材2側面)から第二フレーム材3の長さ方向側端面に向かって設けられる。
第二孔40cは、ボルトである第二連結材42の本体軸が通されてナット42aが通らない直径の孔部と、第二連結材42のナット42aを通すことが可能な直径の孔部と、を備える。第二連結材42は、本体金物40の外側面(第一フレーム材2側面)から第二フレーム材3の長さ方向側端面に向かって設けられる。
第一連結材41はボルトであり、先端部の外側面に雄ネジが形成された本体軸と、本体軸よりも直径の大きい頭部41aと、を有する。また、第一連結材41は、ナット41b及び座金41cとセットで用いられる。座金41cは、第一フレーム材2に形成された凹部2fに嵌め込まれて設けられる。
第一連結材41の頭部41aとナット41bとの間には、座金41c、第一フレーム材2、本体金物40が挟み込まれる。なお、本実施形態においては、頭部41aが座金41c側に位置し、ナット41bが本体金物40側に位置している。第一連結材41の本体軸における先端部は、本体金物40の第一孔40b内に配置され、ナット41bも、第一連結材41の本体軸における先端部にねじ込んで設けられて、本体金物40の第一孔40b内に配置される。
なお、本実施形態において、ナット41bは、本体金物40の第一孔40b内に溶接された状態で設けられているものとする。
第一連結材41の頭部41aとナット41bとの間には、座金41c、第一フレーム材2、本体金物40が挟み込まれる。なお、本実施形態においては、頭部41aが座金41c側に位置し、ナット41bが本体金物40側に位置している。第一連結材41の本体軸における先端部は、本体金物40の第一孔40b内に配置され、ナット41bも、第一連結材41の本体軸における先端部にねじ込んで設けられて、本体金物40の第一孔40b内に配置される。
なお、本実施形態において、ナット41bは、本体金物40の第一孔40b内に溶接された状態で設けられているものとする。
第一連結材41のうち、第一フレーム材2における連結用差込孔2aに差し込まれる部分は、連結用差込孔2aを単に貫通した状態となっており、第一フレーム材2に対しては、本体軸に対するナット41bの締め付けに応じて接合されている。すなわち、第一連結材41は、いわゆる引きボルトとして機能する。これにより、第一フレーム材2に対する第一連結材41の接合部には、第一フレーム材2が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用されていることとなる。そのため、耐力壁1のうち、第一フレーム材2に対する第一連結材41の接合部付近は、靭性が高い状態となる。
ここで、靭性とは、耐力壁1に対して外力による変形が生じた後も壁としての機能が著しく低下しない粘り強さを発揮するための性質を指す。このような靭性は、隣り合う第一フレーム材2が連結部4によって第二フレーム材3と連結され、第一連結材41が塑性した後も粘り強く持ちこたえることにより確保される。
ここで、靭性とは、耐力壁1に対して外力による変形が生じた後も壁としての機能が著しく低下しない粘り強さを発揮するための性質を指す。このような靭性は、隣り合う第一フレーム材2が連結部4によって第二フレーム材3と連結され、第一連結材41が塑性した後も粘り強く持ちこたえることにより確保される。
また、本実施形態においては、上記のように、頭部41aが座金41c側に位置し、ナット41bが本体金物40側に位置しているものとしたが、図3に示すように、頭部41aが本体金物40側に位置し、ナット41bが座金41c側に位置していてもよい。
第二連結材42は、頭部を備えないスタッドボルトであり、外側面の全体もしくは一端部に雄ネジが形成されている。そして、その大部分が、第二フレーム材3に形成された連結用差込穴3aに埋め込まれる。
また、第二連結材42は、ナット42aとセットで用いられる。第二連結材42の一端部(本体金物40側に突出する端部)は、本体金物40の第二孔40c内に配置され、ナット42aも、第二連結材42の一端部にねじ込んで設けられて、本体金物40の第二孔40c内に配置される。
また、第二連結材42は、ナット42aとセットで用いられる。第二連結材42の一端部(本体金物40側に突出する端部)は、本体金物40の第二孔40c内に配置され、ナット42aも、第二連結材42の一端部にねじ込んで設けられて、本体金物40の第二孔40c内に配置される。
第二連結材42のうち、第二フレーム材3における連結用差込穴3aに埋め込まれる部分は、上記のグルードインロッドの方法によって、第二フレーム材3に接合されている。より詳細に説明すると、第二連結材42と第二フレーム材3側の連結用差込穴3aとの空隙に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と第二連結材42を介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。これにより、第二フレーム材3に対する第二連結材42の接合部には、第二フレーム材3が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用されていることとなる。そのため、耐力壁1のうち、第二フレーム材3に対する第二連結材42の接合部付近は、剛性が高い状態となる。
このような剛性は、隣り合う第一フレーム材2が連結部4によって第二フレーム材3と連結され、第二連結材42が第二フレーム材3に対してモーメント抵抗接合されることにより確保される。
このような剛性は、隣り合う第一フレーム材2が連結部4によって第二フレーム材3と連結され、第二連結材42が第二フレーム材3に対してモーメント抵抗接合されることにより確保される。
パネル材5は、図4に示すように、中空状に形成された建築用木質パネルが用いられている。建築用木質パネルは、縦横の框材によって形成された枠体50と、この枠体50の少なくとも一側面(本実施形態においては、正面側及び背面側の双方)に設けられた面材51と、を有する中空パネル体である。枠体50の内部には、框材と平行する補強桟材52が組み込まれており、さらに、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されてもよい。なお、補強桟材52は、縦框材と平行する補強桟材だけでもよいし、図示例のように横框材と平行する補強桟材を含んでもよい。
このような中空状の建築用木質パネルであるパネル材5は、図1に示すように、隣り合う第一フレーム材2における内側面2d間に、滑り止め材6を介して架け渡されて設けられる。つまり、パネル材5は、滑り止め材6に接合されている。さらに、パネル材5は、その上端面又は下端面が、第二フレーム材3の上面又は下面に接合されている。
また、パネル材5は、耐力壁1における正面側と背面側の両方に設けられる。隣り合う第一フレーム材2の正面と、正面側のパネル材5における表面(正面)は面一の状態となっておらず、さらに、隣り合う第一フレーム材2の背面と、背面側のパネル材5における表面(背面)も面一の状態となっていないが、これに限られるものではなく、面一の状態となっていてもよい。なお、パネル材5の正面及び背面のそれぞれは、第二フレーム材3の正面及び背面のそれぞれと面一の状態となっている。
また、正面側と背面側のパネル材5は、互いに接合されて密着して配置されている。これにより、全体的な剛性を向上できる。ただし、これに限られるものではなく、正面側と背面側のパネル材5は、互いに正背方向に離間して配置されていてもよい。これにより、正面側と背面側のパネル材5間には隙間が形成されることになるので、断熱性や遮音性に優れる。
また、パネル材5は、耐力壁1における正面側と背面側の両方に設けられる。隣り合う第一フレーム材2の正面と、正面側のパネル材5における表面(正面)は面一の状態となっておらず、さらに、隣り合う第一フレーム材2の背面と、背面側のパネル材5における表面(背面)も面一の状態となっていないが、これに限られるものではなく、面一の状態となっていてもよい。なお、パネル材5の正面及び背面のそれぞれは、第二フレーム材3の正面及び背面のそれぞれと面一の状態となっている。
また、正面側と背面側のパネル材5は、互いに接合されて密着して配置されている。これにより、全体的な剛性を向上できる。ただし、これに限られるものではなく、正面側と背面側のパネル材5は、互いに正背方向に離間して配置されていてもよい。これにより、正面側と背面側のパネル材5間には隙間が形成されることになるので、断熱性や遮音性に優れる。
本実施形態におけるパネル材5によれば、面材51が枠体50に接着されて一体化しているため、パーツ全体(枠体50、面材51、補強桟材52)で剛性と強度を保持するようになっている。
また、パネル材5自体は、木質であるため、ある程度の粘り強さも有しているが、耐力壁1が強い外力を受けた場合には、破壊が生じる場合がある。破壊が生じる直前までは、連結部4における複数の第一連結材41及び複数の第二連結材42と共に耐力壁1を補強する効果を発揮する。
また、パネル材5自体は、木質であるため、ある程度の粘り強さも有しているが、耐力壁1が強い外力を受けた場合には、破壊が生じる場合がある。破壊が生じる直前までは、連結部4における複数の第一連結材41及び複数の第二連結材42と共に耐力壁1を補強する効果を発揮する。
滑り止め材6は、隣り合う第一フレーム材2とパネル材5との間に介在して設けられ、本体金物40の上下方向側端面に接する木材である。換言すれば、本体金物40の上下の端面に接することで、本体金物40における上下方向への縦滑り動作や回転動作を防止できるようになっている。
なお、滑り止め材6の正面と、正面側のパネル材5における表面(正面)は面一の状態となっており、さらに、滑り止め材6の背面と、背面側のパネル材5における表面(背面)も面一の状態となっている。
この滑り止め材6の厚み寸法は、連結部4における本体金物40の厚み寸法よりも僅かに長く設定されている。そのため、パネル材5と本体金物40の上端部及び下端部との間には、若干の隙間が形成される。つまり、パネル材5は、本体金物40の上端部及び下端部に対しては接合されていない状態となっている。
なお、滑り止め材6の正面と、正面側のパネル材5における表面(正面)は面一の状態となっており、さらに、滑り止め材6の背面と、背面側のパネル材5における表面(背面)も面一の状態となっている。
この滑り止め材6の厚み寸法は、連結部4における本体金物40の厚み寸法よりも僅かに長く設定されている。そのため、パネル材5と本体金物40の上端部及び下端部との間には、若干の隙間が形成される。つまり、パネル材5は、本体金物40の上端部及び下端部に対しては接合されていない状態となっている。
また、第二フレーム材3の端部は、本体金物40の上下方向中央部に配置されて、複数の第二連結材42によって連結されている。第二連結材42は、第二フレーム材3の両端部における上端部側及び下端部側と本体金物40とを連結している。なお、第二フレーム材3の端部と本体金物40との連結は、ビスによって仮止めされた状態で、上記のグルードインロッドの方法によって行われる。
一方、第一連結材41は、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを連結している。
一方、第一連結材41は、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを連結している。
さらに、第二フレーム材3と、この第二フレーム材3の両端部に設けられる本体金物40は、複数の第二連結材42によって、耐力壁1の施工前に予め連結されているものとする。これにより、第二フレーム材3及び双方の本体金物40は、略I型に形成された一つの部材として取り扱うことができる。
また、このように第二フレーム材3と双方の本体金物40を予め連結しても、本体金物40の上端部及び下端部は、第二フレーム材3の上下面のそれぞれよりも上下方向に突出している。そのため、第一連結材41によって、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを確実に連結できるようになっている。
また、このように第二フレーム材3と双方の本体金物40を予め連結しても、本体金物40の上端部及び下端部は、第二フレーム材3の上下面のそれぞれよりも上下方向に突出している。そのため、第一連結材41によって、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを確実に連結できるようになっている。
以上のように構成された耐力壁1は、例えば、中層・高層の木造建物や、延べ面積の広い木造建物のような、比較的規模の大きな木造建物に組み込まれる。例えば地震や台風等によって耐力壁1が強い外力(水平力)を受けた場合、隣り合う第一フレーム材2は、同一の方向に傾くように動こうとする。このような第一フレーム材2の動きに対し、第二フレーム材3が隣り合う第一フレーム材2間に設けられていると、隣り合う第一フレーム材2が同一の方向に傾こうとする動きを抑制できる。
また、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3の両端部は連結部4によって連結され、連結部4を構成する複数の第一連結材41及び複数の第二連結材42が、第一フレーム材2の長さ方向(上下方向)に並んで設けられているので、これら複数の第一連結材41及び複数の第二連結材42によっても、隣り合う第一フレーム材2が同一の方向に傾こうとする動きを抑制できる。
また、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3の両端部は連結部4によって連結され、連結部4を構成する複数の第一連結材41及び複数の第二連結材42が、第一フレーム材2の長さ方向(上下方向)に並んで設けられているので、これら複数の第一連結材41及び複数の第二連結材42によっても、隣り合う第一フレーム材2が同一の方向に傾こうとする動きを抑制できる。
また、耐力壁1において、第一連結材41の降伏点は、第二連結材42の降伏点よりも低く設定されている。
より具体的に説明すると、第一連結材41における1本あたりの剛性(引っ張り強度)は400N/mm2に設定されており、第二連結材42における1本あたりの剛性(引っ張り強度)は1000N/mm2に設定されている。すなわち、第一連結材41は、第二連結材42に比して塑性しやすくなっている。したがって、例えば地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41は、第二連結材42よりも先に塑性する。ところが、第一連結材41は、変形した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材の変形や破損を防ぐことができる。
地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わっても、破損箇所を、第一連結材41だけにとどめることができれば、耐力壁1の修理が、第一連結材41の交換だけで済むことになる。
なお、以上のような降伏点の差異を生じさせるために、第一連結材41と第二連結材42では、異なる材質、異なるサイズのボルトが用いられている。第一連結材41には、例えばスチール製ボルトが用いられ、第二連結材42には、例えばチタン製ボルトが用いられている。
より具体的に説明すると、第一連結材41における1本あたりの剛性(引っ張り強度)は400N/mm2に設定されており、第二連結材42における1本あたりの剛性(引っ張り強度)は1000N/mm2に設定されている。すなわち、第一連結材41は、第二連結材42に比して塑性しやすくなっている。したがって、例えば地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41は、第二連結材42よりも先に塑性する。ところが、第一連結材41は、変形した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材の変形や破損を防ぐことができる。
地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わっても、破損箇所を、第一連結材41だけにとどめることができれば、耐力壁1の修理が、第一連結材41の交換だけで済むことになる。
なお、以上のような降伏点の差異を生じさせるために、第一連結材41と第二連結材42では、異なる材質、異なるサイズのボルトが用いられている。第一連結材41には、例えばスチール製ボルトが用いられ、第二連結材42には、例えばチタン製ボルトが用いられている。
なお、本実施形態においては、第一連結材41のナット41bが本体金物40の第一孔40b内に溶接された状態で設けられているので、仮に、第一連結材41の変形が僅かであった場合には、第一連結材41の交換作業を、第一フレーム材2の外側面2eから抜き取って行うことができる。
一方、第一連結材41の変形が大きい場合や、図3に示すように、第一連結材41の頭部41aが本体金物40側に位置し、第一連結材41を、第一フレーム材2の内側面2dからしか抜き取れない場合は、パネル材5を取り外してから、第一連結材41の交換作業が行われる。
一方、第一連結材41の変形が大きい場合や、図3に示すように、第一連結材41の頭部41aが本体金物40側に位置し、第一連結材41を、第一フレーム材2の内側面2dからしか抜き取れない場合は、パネル材5を取り外してから、第一連結材41の交換作業が行われる。
本実施形態によれば、第一フレーム材2に対する第一連結材41の接合部には、第一フレーム材2が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用されているので、第一フレーム材2に対する第一連結材41の接合部付近は、靭性が高い状態となる。これにより、耐力壁1における靭性を向上させることができるので、このような耐力壁1が組み込まれれば、比較的規模の大きな木造建物でも十分な耐震性を維持できる。
さらに、第一連結材41の降伏点は、前記第二連結材42の降伏点よりも低く設定されているので、第一連結材41は、第二連結材42よりも塑性しやすくなっている。したがって、例えば地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41は、第二連結材42よりも先に塑性する。ところが、第一連結材41は、塑性した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材の変形や破損が生じにくくなる。しかも、地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わっても、破損箇所を、第一連結材41だけにとどめることができれば、耐力壁1の修理が、第一連結材41の交換だけで済むので、万が一破損が生じても容易かつ安価に修理できる。
さらに、第一連結材41の降伏点は、前記第二連結材42の降伏点よりも低く設定されているので、第一連結材41は、第二連結材42よりも塑性しやすくなっている。したがって、例えば地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41は、第二連結材42よりも先に塑性する。ところが、第一連結材41は、塑性した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材の変形や破損が生じにくくなる。しかも、地震等によって、耐力壁1に対して大きな外力が加わっても、破損箇所を、第一連結材41だけにとどめることができれば、耐力壁1の修理が、第一連結材41の交換だけで済むので、万が一破損が生じても容易かつ安価に修理できる。
また、第二フレーム材3の端部は、本体金物40の上下方向中央部に配置されて、第二連結材42によって連結され、第一連結材41は、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを連結しているので、第二フレーム材3と、この第二フレーム材3の両端部に設けられる本体金物40を、複数の第二連結材42によって予め連結した状態で、第一連結材41によって、本体金物40の上端部及び下端部と第一フレーム材2とを確実に連結できる。これにより、第二フレーム材3及び双方の本体金物40は、略I型に形成された一つの部材として事前に形成できて、輸送時や現場でも一つの部材として取り扱うことができるので、施工性の向上を図ることができる。
また、第二連結材42は、第二フレーム材3の両端部における上端部側及び下端部側と本体金物40とを連結しているので、第二フレーム材3を、両端部の本体金物40に対して確実にモーメント抵抗接合することができる。
また、隣り合う第一フレーム材2間に配置されるとともに第二フレーム材3に接するパネル材5を更に備えるので、パネル材5によって耐力壁1の耐力を向上させることができる。
また、隣り合う第一フレーム材2とパネル材5との間に、本体金物40の上下方向側端面に接する滑り止め材6が介在して設けられているので、滑り止め材6が、本体金物40の上下方向側端面に接することで、本体金物40における上下方向への縦滑り動作や回転動作を防止できる。これにより、耐力壁1に対して大きな外力が加わったときに、第一連結材41や第二連結材42に対し、本体金物40の動作による余計な力が加わりにくくなるので、計算どおりに第一連結材41を第二連結材42よりも先に塑性させることができる。
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記の第1実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記の第1実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
図5は、四角筒状に形成された柱としての耐力構造体10と、四角筒状に形成された梁構造体20とが柱梁接合金物30によって接合された柱梁構造を示している。
本実施形態における柱梁構造は、互いに間隔を空けて隣り合う耐力構造体10と、これら耐力構造体10の上端部に設けられた柱梁接合金物30と、柱梁接合金物30間に架け渡されて設けられた梁構造体20と、からなるラーメン構造となっている。
本実施形態における柱梁構造は、互いに間隔を空けて隣り合う耐力構造体10と、これら耐力構造体10の上端部に設けられた柱梁接合金物30と、柱梁接合金物30間に架け渡されて設けられた梁構造体20と、からなるラーメン構造となっている。
まず、耐力構造体10について説明する。
耐力構造体10は、図6,図7に示すように、耐力壁1が、平面視においてコーナ部Cを介して直交配置されて構成されている。ここで、コーナ部Cとは、四角筒状に形成された耐力構造体10の四隅の部分を指している。
四角筒状に形成された耐力構造体10の場合、耐力壁1は、耐力構造体10の四側面を構成していることとなる。耐力壁1を、平面視においてコーナ部Cを介して直交配置する場合は、コーナ部Cを介して隣接する耐力壁1同士が、1本の第一フレーム材2を共有することになる。換言すれば、四角筒状に形成された耐力構造体10の四隅には第一フレーム材2が配置された状態となっている。そして、四隅の第一フレーム材2間のそれぞれに、複数の第二フレーム材3が上下方向に間隔を空けた状態で配置され、連結部4によって連結されている。また、隣り合う第一フレーム材2間にはパネル材5が配置されている。
耐力構造体10は、図6,図7に示すように、耐力壁1が、平面視においてコーナ部Cを介して直交配置されて構成されている。ここで、コーナ部Cとは、四角筒状に形成された耐力構造体10の四隅の部分を指している。
四角筒状に形成された耐力構造体10の場合、耐力壁1は、耐力構造体10の四側面を構成していることとなる。耐力壁1を、平面視においてコーナ部Cを介して直交配置する場合は、コーナ部Cを介して隣接する耐力壁1同士が、1本の第一フレーム材2を共有することになる。換言すれば、四角筒状に形成された耐力構造体10の四隅には第一フレーム材2が配置された状態となっている。そして、四隅の第一フレーム材2間のそれぞれに、複数の第二フレーム材3が上下方向に間隔を空けた状態で配置され、連結部4によって連結されている。また、隣り合う第一フレーム材2間にはパネル材5が配置されている。
複数の第一連結材41は第一フレーム材2を貫通して設けられるため、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3の両端部とを連結部4によって連結する場合、一側面の耐力壁1における複数の第一連結材41と、一側面の耐力壁1に隣接する他側面の耐力壁1における複数の第一連結材41との納まりに不具合が生じないようにする必要がある。
そこで、本実施形態においては、耐力構造体10の四側面を構成する耐力壁1のうち一側面の耐力壁1における複数の第二フレーム材3と、一側面の耐力壁1に隣接する他側面の耐力壁1における複数の第二フレーム材3が、上下方向に位置がずれた状態で配置されている。
そこで、本実施形態においては、耐力構造体10の四側面を構成する耐力壁1のうち一側面の耐力壁1における複数の第二フレーム材3と、一側面の耐力壁1に隣接する他側面の耐力壁1における複数の第二フレーム材3が、上下方向に位置がずれた状態で配置されている。
さらに、隣接する耐力壁1間で上下方向に位置がずれた状態に配置された複数の第二フレーム材3は、互いの延長線同士がコーナ部Cで交差する位置関係で配置されている。
すなわち、耐力構造体10の四側面を構成する耐力壁1のうち一側面の耐力壁1における第二フレーム材3(一方の第二フレーム材3と称する)と、一側面の耐力壁1に隣接する他側面の耐力壁1における第二フレーム材3(他方の第二フレーム材3と称する)は、上下方向に位置がずれた状態で配置されているものの、その位置のずれは大きいものではない。
具体的には、隣り合う一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3は、コーナ部Cの第一フレーム材2との間に、本体金物40を介在させた状態となっている。そして、一方の第二フレーム材3とコーナ部Cの第一フレーム材2との間に位置する本体金物40の上下方向中央部と、他方の第二フレーム材3とコーナ部Cの第一フレーム材2との間に位置する本体金物40の上端部又は下端部とが同じ高さ位置となっている。
つまり、コーナ部Cの第一フレーム材2を挟んで隣り合う一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3は、本体金物40における上下寸法の半分程度ずれた状態で配置されていることになる。
したがって、一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3は、互いの延長線同士がコーナ部Cで交差する位置関係で配置されていることとなる。
すなわち、耐力構造体10の四側面を構成する耐力壁1のうち一側面の耐力壁1における第二フレーム材3(一方の第二フレーム材3と称する)と、一側面の耐力壁1に隣接する他側面の耐力壁1における第二フレーム材3(他方の第二フレーム材3と称する)は、上下方向に位置がずれた状態で配置されているものの、その位置のずれは大きいものではない。
具体的には、隣り合う一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3は、コーナ部Cの第一フレーム材2との間に、本体金物40を介在させた状態となっている。そして、一方の第二フレーム材3とコーナ部Cの第一フレーム材2との間に位置する本体金物40の上下方向中央部と、他方の第二フレーム材3とコーナ部Cの第一フレーム材2との間に位置する本体金物40の上端部又は下端部とが同じ高さ位置となっている。
つまり、コーナ部Cの第一フレーム材2を挟んで隣り合う一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3は、本体金物40における上下寸法の半分程度ずれた状態で配置されていることになる。
したがって、一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3は、互いの延長線同士がコーナ部Cで交差する位置関係で配置されていることとなる。
なお、一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3における上下方向の位置が大きくずれてしまうと、一側面の耐力壁1における隣り合う第一フレーム材2間に配置される複数のパネル材5(第二フレーム材3を挟んで上下方向に隣り合う複数のパネル材5)のサイズも大きく異なるものになってしまう。強度バランスを考慮すれば、一側面ごとの耐力壁1における複数のパネル材5のサイズは、大きな差が出ないようにすることが求められるため、一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3における上下方向の位置のずれは、本体金物40における上下寸法の半分程度に抑えることが望ましい。
本実施形態においては、一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3における上下方向の位置のずれが、本体金物40における上下寸法の半分程度に抑えられている。そのため、本実施形態においては、一側面ごとの耐力壁1における隣り合う第一フレーム材2間の複数のパネル材5のサイズは、大きな差が出ないようになっている。
本実施形態においては、上下寸法が最も長い第一パネル材5Aと、上下寸法が中程度の第二パネル材5Bと、上下寸法が最も短い第三パネル材5Cが用いられ、最も長い第一パネル材5Aの上下寸法は、最も短い第三パネル材5Cの上下寸法の1.5倍程度に設定されている。
本実施形態においては、一方の第二フレーム材3と他方の第二フレーム材3における上下方向の位置のずれが、本体金物40における上下寸法の半分程度に抑えられている。そのため、本実施形態においては、一側面ごとの耐力壁1における隣り合う第一フレーム材2間の複数のパネル材5のサイズは、大きな差が出ないようになっている。
本実施形態においては、上下寸法が最も長い第一パネル材5Aと、上下寸法が中程度の第二パネル材5Bと、上下寸法が最も短い第三パネル材5Cが用いられ、最も長い第一パネル材5Aの上下寸法は、最も短い第三パネル材5Cの上下寸法の1.5倍程度に設定されている。
そして、本実施形態においては、図6に示すように、コーナ部Cを介して直交配置された耐力壁1のうち、一方の耐力壁1における複数のパネル材5A,5B,5Cの並びと、他方の耐力壁1における複数のパネル材5A,5B,5Cの並びとが上下反転した状態となっている。
このような複数のパネル材5A,5B,5Cの並びが上下反転した状態となる構成は、複数の第二フレーム材3の高さ位置に対応したものであり、隣接する耐力壁1ごとに上下反転した並びとなる。四角筒状に形成された耐力構造体10は、4つの耐力壁1によって構成されるため、平行する耐力壁1同士における複数のパネル材5A,5B,5Cの並びは同一となる。
このような複数のパネル材5A,5B,5Cの並びが上下反転した状態となる構成は、複数の第二フレーム材3の高さ位置に対応したものであり、隣接する耐力壁1ごとに上下反転した並びとなる。四角筒状に形成された耐力構造体10は、4つの耐力壁1によって構成されるため、平行する耐力壁1同士における複数のパネル材5A,5B,5Cの並びは同一となる。
次に、梁構造体20について説明する。
梁構造体20は四角筒状のものであり、互いに間隔を空けて四隅に配置された4本の梁材21と、これら四隅の梁材21間に設けられたパネル材22と、を備える。
梁構造体20は四角筒状のものであり、互いに間隔を空けて四隅に配置された4本の梁材21と、これら四隅の梁材21間に設けられたパネル材22と、を備える。
梁材21は、上下方向よりも左右方向に長く形成されており、耐力壁1における第一フレーム材2と同様に、構造用集成材が用いられているが、通常の角材でもよいし、例えばLVL(Laminated Veneer Lumber)による梁材でもよい。すなわち、梁材21は、木製の柱状部材である。また、断面形状も正方形状ではなく、矩形状でもよい。
パネル材22は、耐力壁1におけるパネル材5と同様に、中空状に形成された建築用木質パネルが用いられている。梁構造体20における建築用木質パネルも、縦横の框材によって形成された枠体と、この枠体の正面側及び背面側の双方に設けられた面材と、を有する中空パネル体である。枠体の内部には、框材と平行する補強桟材が組み込まれており、さらに、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されている。梁材21の表面と、パネル材22の表面は面一の状態となっている。
また、パネル材22は、梁構造体20における正面側と背面側の両方に設けられる。正面側と背面側のパネル材22は、互いに正背方向に離間して配置されている。ただし、これに限られるものではなく、正面側と背面側のパネル材22は接合されて密着していてもよい。
また、パネル材22は、梁構造体20における正面側と背面側の両方に設けられる。正面側と背面側のパネル材22は、互いに正背方向に離間して配置されている。ただし、これに限られるものではなく、正面側と背面側のパネル材22は接合されて密着していてもよい。
続いて、柱梁接合金物30について説明する。
柱梁接合金物30は、その8つの角部にそれぞれ直方体状の受ブロック31を有しており、上下に離間する受ブロック31が四角筒状の縦部材32によって連結されており、前後左右にそれぞれ離間する受ブロック31が四角筒状の横部材33によってそれぞれ連結されている。また、隣り合う縦部材32間には略矩形状の板材34が設けられており、この板材34の縦縁部が縦部材32に接合され、横縁部が横部材33に接合されている。なお、板材34の表面は縦部材32及び横部材33の表面より内側に凹んでいる。
柱梁接合金物30は、その8つの角部にそれぞれ直方体状の受ブロック31を有しており、上下に離間する受ブロック31が四角筒状の縦部材32によって連結されており、前後左右にそれぞれ離間する受ブロック31が四角筒状の横部材33によってそれぞれ連結されている。また、隣り合う縦部材32間には略矩形状の板材34が設けられており、この板材34の縦縁部が縦部材32に接合され、横縁部が横部材33に接合されている。なお、板材34の表面は縦部材32及び横部材33の表面より内側に凹んでいる。
上側の4つの受ブロック31の上面部と、外側を向く2つの側面部には、それぞれボルト穴が形成されており、下側の4つの受ブロック31の下面部と、外側を向く2つの側面部には、それぞれボルト穴が形成されている。
柱梁接合金物30には、柱である耐力構造体10と柱梁接合金物30とを接合するための柱接合金物100と、梁構造体20と柱梁接合金物30とを梁接合金物200が連結される。
柱接合金物100は、柱梁接合金物30の下端面に接合される柱頭接合金物であるとともに、柱である耐力構造体10の下端面に接合される柱脚接合金物としても利用される。すなわち、柱である耐力構造体10と柱梁接合金物30とを接合するために用いられるとともに、柱である耐力構造体10と下部構造(基礎や床スラブ、柱脚鉄板130)とを接合するために用いられる金物であり、柱脚柱頭接合金物とも呼称される。柱頭に設けられる場合と、柱脚に設けられる場合は、上下反転させた状態で用いられる。
なお、柱脚鉄板130は、下部構造である基礎や床スラブ等の上面に敷設されてアンカーボルトによって固定され、当該柱脚鉄板130の上面に柱脚用の柱接合金物100が設けられる。柱脚鉄板130の上面には、複数のボルト穴131が形成されており、柱接合金物100をボルト結合できるようになっている。
なお、柱脚鉄板130は、下部構造である基礎や床スラブ等の上面に敷設されてアンカーボルトによって固定され、当該柱脚鉄板130の上面に柱脚用の柱接合金物100が設けられる。柱脚鉄板130の上面には、複数のボルト穴131が形成されており、柱接合金物100をボルト結合できるようになっている。
このような柱接合金物100は、互いに間隔を空けて四隅に配置された4つの箱形金物110と、これら箱形金物110どうしを連結する4つの連結部材120と、によって四角形枠状に形成されている。箱形金物110は、四角筒状に形成された筒部材と、この筒部材の上下端面を塞ぐようにして当該筒部材の上下端にそれぞれ溶接等によって固定された矩形状の板部材とによって構成されている。筒部材の1つの側面には矩形状の開口部が形成されている。
なお、連結部材120は、二つの溝形鋼のウェブ同士を背中合わせにして一体化した状態となっており、あたかもH型鋼又はI型鋼のように形成されている。このような連結部材120のうち、パネル材5側に位置するフランジの外側縁部及び内側縁部のそれぞれは、パネル材5の正面及び背面のそれぞれと面一の状態となっている。フランジには、パネル材5側及び滑り止め材6に向かってビス留めするためのビス孔が千鳥状に配置形成されている。
なお、連結部材120は、二つの溝形鋼のウェブ同士を背中合わせにして一体化した状態となっており、あたかもH型鋼又はI型鋼のように形成されている。このような連結部材120のうち、パネル材5側に位置するフランジの外側縁部及び内側縁部のそれぞれは、パネル材5の正面及び背面のそれぞれと面一の状態となっている。フランジには、パネル材5側及び滑り止め材6に向かってビス留めするためのビス孔が千鳥状に配置形成されている。
また、箱形金物110における上下の板部材のうち、一方の略中央部には貫通孔111が1つ形成されており、他方の板部材における四隅のそれぞれにも貫通孔112が形成されている。
中央部の貫通孔111は、柱頭部分においては、柱接合金物100と柱梁接合金物30との接合に用いられるボルト材が通されるものであり、ボルト材は、箱形金物110の開口部から貫通孔111に入れて、柱梁接合金物30における受ブロック31のボルト穴にねじ込めるようになっている。
中央部の貫通孔111は、柱脚部分においては、柱接合金物100と柱脚鉄板130との接合に用いられるボルト材が通されるものであり、ボルト材は、箱形金物110の開口部から貫通孔111に入れて、柱脚鉄板130のボルト穴131に通されて締め付けられる。
四隅の貫通孔112は、柱接合金物100と耐力構造体10との接合に用いられるボルト材11が通されるものであり、ボルト材11は、耐力構造体10における各第一フレーム材2の上下端面の四隅から突出するように設けられる。そして、四隅のボルト材11の突出端部は、四隅の貫通孔112に通され、四隅のボルト材11に対しては、箱形金物110の開口部からナット締めできるようになっている(図7参照)。
中央部の貫通孔111は、柱頭部分においては、柱接合金物100と柱梁接合金物30との接合に用いられるボルト材が通されるものであり、ボルト材は、箱形金物110の開口部から貫通孔111に入れて、柱梁接合金物30における受ブロック31のボルト穴にねじ込めるようになっている。
中央部の貫通孔111は、柱脚部分においては、柱接合金物100と柱脚鉄板130との接合に用いられるボルト材が通されるものであり、ボルト材は、箱形金物110の開口部から貫通孔111に入れて、柱脚鉄板130のボルト穴131に通されて締め付けられる。
四隅の貫通孔112は、柱接合金物100と耐力構造体10との接合に用いられるボルト材11が通されるものであり、ボルト材11は、耐力構造体10における各第一フレーム材2の上下端面の四隅から突出するように設けられる。そして、四隅のボルト材11の突出端部は、四隅の貫通孔112に通され、四隅のボルト材11に対しては、箱形金物110の開口部からナット締めできるようになっている(図7参照)。
梁接合金物200は、柱接合金物100と同様に構成されており、互いに間隔を空けて四隅に配置された4つの箱形金物210と、これら箱形金物210どうしを連結する4つの連結部材220と、によって四角形枠状に形成されている。
梁構造体20における四隅の梁材21の各々には、耐力構造体10と同様に、ボルト材が突出して設けられており、梁接合金物200の箱形金物210にナットで固定できる。また、箱形金物210が、柱梁接合金物30の受ブロック31に対してボルト止めされることで、梁構造体20を柱梁接合金物30に接合できるようになっている。
梁構造体20における四隅の梁材21の各々には、耐力構造体10と同様に、ボルト材が突出して設けられており、梁接合金物200の箱形金物210にナットで固定できる。また、箱形金物210が、柱梁接合金物30の受ブロック31に対してボルト止めされることで、梁構造体20を柱梁接合金物30に接合できるようになっている。
本実施形態における柱梁構造は、以上のように構成された隣り合う耐力構造体10、柱梁接合金物30と、梁構造体20と、からなる。そして、このような柱梁構造は、例えば中層・高層の木造建物や延べ面積の広い木造建物のような、比較的規模の大きな木造建物の建築に使用することができる。
このような柱梁構造においても、例えば地震等によって大きな外力が加わったときに、耐力構造体10における第一連結材41は、第二連結材42よりも先に変形する。それでいて、第一連結材41は、隣り合う第一フレーム材2に対してモーメント抵抗接合されているため靭性を発揮し、変形した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材(耐力構造体10だけでなく、梁構造体20や柱梁接合金物30等も含むものとする)の変形や破損を防ぐことができる。
このような柱梁構造においても、例えば地震等によって大きな外力が加わったときに、耐力構造体10における第一連結材41は、第二連結材42よりも先に変形する。それでいて、第一連結材41は、隣り合う第一フレーム材2に対してモーメント抵抗接合されているため靭性を発揮し、変形した後も粘り強く持ちこたえるので、第二連結材42を始めとする他の部材(耐力構造体10だけでなく、梁構造体20や柱梁接合金物30等も含むものとする)の変形や破損を防ぐことができる。
なお、本実施形態においては、耐力構造体10の四側面を耐力壁1によって構成し、四角筒状(平面視口字型)の耐力構造体10を形成したが、平面視L字型や平面視コ字型の耐力構造体を耐力壁1によって形成してもよい。
本実施形態によれば、コーナ部Cの第一フレーム材2と隣り合う複数の第一フレーム材2との間に配置された複数の第二フレーム材3は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士がコーナ部Cで交差する位置関係で配置されているので、複数の第二フレーム材3を、上下方向の位置が近い状態で配置することができる。そのため、例えば、複数の第二フレーム材3が上下方向に大きく位置がずれた状態で配置される場合に比して、耐力構造体10全体の強度バランスを良好な状態に維持することに貢献できる。
また、コーナ部Cに配置された第一フレーム材2を介して隣り合う本体金物40のうち、一方の本体金物40における上下方向中央部と、他方の本体金物40における上端部又は下端部とが同じ高さ位置となっているので、複数の第二フレーム材3を、上下方向の位置が近い状態で配置することができ、耐力構造体10全体の強度バランスを更に良好な状態に維持することに貢献できる。
また、コーナ部Cを介して直交配置された耐力壁1のうち、一方の耐力壁1における上下方向の寸法が異なる複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びと、他方の耐力壁1における上下方向の寸法が異なる複数のパネル材5(5A,5B,5C)の並びとが上下反転した状態となっているので、コーナ部Cの第一フレーム材2と隣り合う複数の第一フレーム材2との間に配置されて、コーナ部Cを介して隣り合う複数の第二フレーム材3同士を、上下方向の位置が近い状態で配置することができ、耐力構造体10全体の強度バランスをより一層良好な状態に維持することに貢献できる。
1 耐力壁
2 第一フレーム材
2f 凹部
3 第二フレーム材
4 連結部
40 本体金物
40b 第一孔
40c 第二孔
41 第一連結材
41a 頭部
41b ナット
41c 座金
42 第二連結材
5 パネル材
6 滑り止め材
10 耐力構造体
20 梁構造体
30 柱梁接合金物
C コーナ部
2 第一フレーム材
2f 凹部
3 第二フレーム材
4 連結部
40 本体金物
40b 第一孔
40c 第二孔
41 第一連結材
41a 頭部
41b ナット
41c 座金
42 第二連結材
5 パネル材
6 滑り止め材
10 耐力構造体
20 梁構造体
30 柱梁接合金物
C コーナ部
Claims (8)
- 互いに間隔を空けて隣り合う第一フレーム材と、
前記隣り合う第一フレーム材間に配置された第二フレーム材と、
前記第一フレーム材と前記第二フレーム材とを連結する連結部と、を備えており、
前記連結部は、
前記隣り合う第一フレーム材と前記第二フレーム材の両端部との間に設けられた本体金物と、
前記第一フレーム材と前記本体金物とを連結する棒状の第一連結材と、
前記第二フレーム材と前記本体金物とを連結する棒状の第二連結材と、を有し、
前記第一フレーム材に対する前記第一連結材の接合部には、前記第一フレーム材が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、
前記第二フレーム材に対する前記第二連結材の接合部には、前記第二フレーム材が外力を受けた場合に、当該外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用され、
前記第一連結材の降伏点は、前記第二連結材の降伏点よりも低く設定されていることを特徴とする耐力壁。 - 請求項1に記載の耐力壁において、
前記第二フレーム材の端部は、前記本体金物の上下方向中央部に配置されて、前記第二連結材によって連結され、
前記第一連結材は、前記本体金物の上端部及び下端部と前記第一フレーム材とを連結していることを特徴とする耐力壁。 - 請求項2に記載の耐力壁において、
前記第二連結材は、前記第二フレーム材の両端部における上端部側及び下端部側と前記本体金物とを連結していることを特徴とする耐力壁。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の耐力壁において、
前記隣り合う第一フレーム材間に配置されるとともに前記第二フレーム材に接するパネル材を更に備えることを特徴とする耐力壁。 - 請求項4に記載の耐力壁において、
前記隣り合う第一フレーム材と前記パネル材との間に、前記本体金物の上下方向側端面に接する滑り止め材が介在して設けられていることを特徴とする耐力壁。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の耐力壁が、平面視においてコーナ部を介して直交配置されて構成された耐力構造体であって、
前記第一フレーム材は、前記コーナ部に配置された第一フレーム材と、当該コーナ部の第一フレーム材と間隔を空けて隣り合う複数の第一フレーム材と、を有しており、
前記第二フレーム材は、前記コーナ部の第一フレーム材と前記隣り合う複数の第一フレーム材との間に配置された複数の第二フレーム材を有しており、
前記複数の第二フレーム材は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士が前記コーナ部で交差する位置関係で配置されていることを特徴とする耐力構造体。 - 請求項6に記載の耐力構造体において、
前記複数の第二フレーム材の両端部に位置する前記本体金物のうち、前記コーナ部側の前記本体金物同士は、上下方向に位置がずれた状態で、かつ、互いの延長線同士が前記コーナ部で交差する位置関係で配置されており、
前記コーナ部に配置された前記第一フレーム材を介して隣り合う前記本体金物のうち、一方の本体金物における上下方向中央部と、他方の本体金物における上端部又は下端部とが同じ高さ位置となっていることを特徴とする耐力構造体。 - 請求項6又は7に記載の耐力構造体において、
前記隣り合う第一フレーム材間に配置されるとともに前記第二フレーム材に接するパネル材を更に備えており、
前記パネル材は、前記複数の第二フレーム材の高さ位置に応じて上下方向の寸法が異なり、かつ、前記耐力壁ごとに前記第二フレーム材を挟んで上下に隣り合って配置される複数のパネル材を有しており、
前記コーナ部を介して直交配置された前記耐力壁のうち、一方の耐力壁における前記複数のパネル材の並びと、他方の耐力壁における前記複数のパネル材の並びとが上下反転した状態となっていることを特徴とする耐力構造体。
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---|---|---|---|
JP2022043667A JP2023137447A (ja) | 2022-03-18 | 2022-03-18 | 耐力壁及び耐力構造体 |
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