JP2007284918A - 横架体および木造構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】木造構造物において、各部材に作用する負担を互いに分散させることで軽減し、簡易かつ高品質に構築することを可能とした横架体およびこの横架体を備えた木造構造物を提案する。
【解決手段】木材からなる複数の柱材21,21,…と、木材からなる複数の梁材22,22,…と、を組み合わせることにより箱状に形成された一対の壁体2,2と、木材からなる複数の柱材11,11,…と、木材からなる複数の梁材12,12,…と、を組み合わせることにより箱状に形成されていて、柱材11と梁材12との接合部3と、この接合部3の対角にある他の接合部3とが、筋交13により連結されている横架体1と、を備える木造構造物A。
【選択図】図1

Description

本発明は、木造構造物の横架体であって、特に架設スパンが長い大規模建築物に好適に用いることが可能な横架体と、この横架体を使用した木造構造物に関する。
体育館やドームなどの大空間を必要とする大規模な建築物や周辺の自然環境との調和を求めた構造物等は、木造で構築する場合がある。従来、このような大規模な木造構造物を構築する際には、大断面集成材を柱や梁として利用することで構築されている。
そして、このような木造の構造物による長スパンの梁等を構築する際は、部材同士を継ぎ合わせることにより、必要な延長を確保している。
従来、木造建築における梁や柱等の部材同士の継ぎ合わせは、一方の部材に形成されたほぞ穴に、他方の先端に形成されたほぞを差し込む、いわゆる仕口により行われていた。ところが、従来の仕口による部材の接合は、柱や梁等に欠損部が形成されることにより、各部材の強度が低下するという問題点を有していた。また、このような仕口による部材の継ぎ合わせ構造は、構造物に地震等の水平力が加わると、抜け落ちるおそれがあるという問題点を有していた。さらに、大規模な構造物においては、スパン長が長い梁の自重により接合部に引張力が加わり、ほぞが抜け落ちるおそれがあった。
このため、大規模な木造構造物において、接合部に作用する引張力に対して抜けることがない、さまざまな工夫がなされた接合構造による梁部材が開発され、実用化に至っている。
例えば、特許文献1には、図11(a)および(b)に示すように、仕口として、接合部100に第一のフィンガージョイント101を形成し、部材110同士を互いに噛み合わせるとともに、その第一のフィンガージョイント101と直交する方向の一部または全部に第二のフィンガージョイント102が形成された補強版111をかみ合わせることにより、引張力に抵抗する接合部100を有する梁部材が開示されている。
また、特許文献2には、図12に示すように、部材210,210の突合せ部の端面をとおり双方の内部にわたって埋め込まれた金属板220と、部材210の高さ方向中央を通って、金属板220をほぼ直角に貫通して配設されている主ドリフトピン230,230と、主ドリフトピン230と直交する方向に延在し、主ドリフトピン230に接するように配設される副ドリフトピン231,231,…とから構成された接合構造200が開示されている。つまり、金属板220を介して連結された部材について、主ドリフトピン230により接合部の引張力に抵抗するとともに、この主ドリフトピン230が受け持つ引張力を、副ドリフトピン231により分散させることで、部材210への負担を軽減している。
特開平8−74331号公報 特開2004−360314号公報
ところが、特許文献1に記載の梁部材は、接合部100において、各部材110に所定の加工を施すため、欠損部が形成されることにより部材110の強度が低下するという問題点を有していた。
また、柱と梁との接合部においては、ボルト等を配置することにより補強する必要があり、この場合には、ボルトによりこの接合部に作用する応力に抵抗するため、柱または梁のボルトの配置箇所(接合部)への負担が大きく、欠損する場合があった。
また、特許文献2に記載の接合構造200は、接合部に作用する応力を、部材210の内部に挿入された主ドリフトピン230により受け持つため、主ドリフトピン230および副ドリフトピン231が内設された部材210の端部(加工部分)への負担が大きく、部材210に破損が生じるおそれがあった。
また、従来の木造構造物は、構造物に作用する水平力や上載荷重に伴い作用する接合部の引張力を、木材が負担する構成としているため、各部材を大断面にせざるを得なかった。そのため、その取り扱いが困難であるとともに、材料費が嵩み、施工性、経済性に問題があった。
本発明は、前記の問題点を解決するものであり、木造構造物において、各部材に作用する負担を互いに分散させることで軽減し、簡易かつ高品質に構築することを可能とした横架体およびこの横架体を備えた木造構造物を提案することを課題とする。
前記の課題を解決するために、本発明は、木材からなる複数の柱材と、木材からなる複数の梁材と、を組み合わせることにより箱状に形成された横架体であって、前記柱材と前記梁材との接合部と、該接合部の対角にある各接合部とが、筋交により連結されていることを特徴としている。
かかる横架体によれば、各接合部が、対角にある他の接合部と筋交により連結されているため、接合部に作用する引張力を筋交が受け持ち、木材からなる柱材および梁材は圧縮力を負担する構成である。そのため、接合部の引張力が弱く、圧縮力が強い木材を圧縮部材として使用するため、好適である。さらに、この横架体は、各種応力を適切に分散させるため、大規模構造物のスパン長の長い梁として使用することを可能としている。
また、前記横架体が、長さが6m以下の前記柱材および前記梁材を組み合わせることにより格子状に形成されていてもよい。つまり、各部材を、搬送可能な程度にプレカットにより予め形成し、現場にて組み立てることにより構成することが可能である。
また、前記横架体の前記柱材および前記梁材が、大断面集成材以外の集成材であれば、一般的な住宅の建築に使用される中断面または小断面集成材を使用するため、入手が容易で、材料費が安価である。
また、前記横架体のスパン長が、25m以上に形成されていれば、大空間を形成することが可能となり、使用目的に応じた、木造構造物を構築することが可能となり、好適である。
前記筋交が、前記接合部において、前記柱材と前記梁材との当接面に介在された取付部材に取り付けられていれば、前記柱材や前記梁材等に筋交を取り付けるための加工を施すことがないため、柱材および梁材の断面に欠損部が生じることが無く、各部材の有する強度が維持される。
前記筋交が、ターンバックル付鉄筋ブレースであれば、横架体への取り付けが容易で、作業性に優れるため、好適である。
前記接合部において、前記柱材と前記梁材との双方の内部にわたって埋め込まれたほぞパイプや梁受け金物等の接合金物により該柱材と該梁材とが接合されていれば、柱材または梁材について、ほぞやほぞ穴等の加工を施す必要がなく、各部材に欠損部が生じないため、好適である。また、ほぞやほぞ穴の加工に伴う、熟練した技術を要することなく、誰でも組み立てることが可能となるため、好適である。
また、本発明の木造構造物は、木材からなる複数の柱材と、木材からなる複数の梁材と、を組み合わせることにより箱状に形成された一対の壁体と、前記の横架体とを備えることを特徴としている。
かかる木造構造物は、柱材と梁材と筋交とを組み合わせることにより、応力を適切に分散し、架設長を長くすることが可能な横架体により構成されるため、大規模な建築物等を木造により構築することが可能となる。
本発明によれば、木造構造物において、各部材に作用する負担を互いに分散させることで軽減し、簡易かつ高品質に構築することを可能とした横架体およびこの横架体を備えた木造構造物の構築が可能となった。
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
ここで、図1は、本実施形態に係る木造構造物を示す立面図である。また、図2は、図1に示す木造構造物の一部分を示す斜視図である。また、図3は、本実施形態に係る横架体の柱材と梁材との接合状況を示す拡大斜視図である。また、図4は、横架体の第一接合部の詳細を示す分解斜視図である。また、図5は、横架体の通し柱の詳細を示す斜視図である。また、図6は、横架体の第二接合部の詳細を示す分解斜視図である。さらに、図7は、横架体の応力の作用状況を示す図であって、(a)は立面図、(b)は平面図である。
また、図8は、本実施形態に係る壁体の構造を示す拡大斜視図である。また、図9の(a)〜(d)は、壁体の取付部材を示す斜視図である。
さらに、図10の(a)〜(c)は、本実施形態に係る木造構造物の構築方法を示す斜視図である。
本実施形態に係る木造構造物Aは、図1に示すように、木材からなる複数の柱材21,21,…と木材からなる複数の梁材22,22,…と木材からなる複数の土台23,23,…とを組み合わせることにより箱状に形成された一対の壁体2,2と、木材からなる複数の柱材11,11,…と木材からなる複数の梁材12,12,…とを組み合わせることにより箱状に形成されて、一対の壁体2,2に横設された横架体1と、により構成されている。
木造構造物Aは、一対の壁体2,2と横架体1とにより、門型に形成された、いわゆるラーメン構造により構成されている。ここで、木造構造物Aの形状は、門型に限定されるものではなく、木造構造物Aの使用目的等に応じて、適宜決定すればよい。
横架体1は、柱材11および梁材12を組み合わせることにより形成されていて、高さが2m、スパン長が26mに構成されている。また、壁体2,2は、幅1m、高さ8mに形成されており、24m間隔をあけて平行に配置されている。なお、横架体1および壁体2の形状は上記の形状に限定されないことはいうまでもなく、木造構造物Aの使用目的等に応じて適宜設定すればよい。
本実施形態に係る横架体1は、図2に示すように、梁材12,12,…を縦横に所定の間隔を有して配置することで、平面視で格子状に形成されている。また、この格子状の梁材12,12,…は、上下2段に配置されており、この2段の梁材12を柱材11により連結することで、横架体1の側面視が格子状を呈している。
さらに、柱材11と梁材12または梁材12同士の接合部3と、この接合部3の対角にある他の接合部3とが、筋交13により連結されている。この筋交13は、接合部3において、柱材11と梁材12との当接面に介在された状態で配置された取付部材30(図3参照)を介して設置されている。
柱材11および梁材12の接合部3には、図3に示すように、柱材11の側面に梁材12の先端を当接させた状態で接合する第一接合部3aと、梁材12の上面または下面に柱材11の下端または先端を当接させた状態で接合する第二接合部3bと、の2種類がある。第一接合部3aおよび第二接合部3bは、それぞれ、その一部が柱材11と梁材12との当接面に介在されるように配置された、第一取付部材31(取付部材30)または第二取付部材32(取付部材30)を備えている。そして、柱材11と梁材12との接合、または梁材12同士の接合は、接合部3に配置された接合金物4を介して行われている(図5および図6参照)。
本実施形態では、横架体1の柱材11および梁材12として、断面が矩形状の集成材を使用する。なお、柱材11および梁材12には、それぞれ長さが6m以下の集成材であって、大断面集成材以外のものを使用する。つまり、横架体1を、一般的な住宅の建築で使用する入手が容易な材料を使用することで、安価に構築することを可能としている。
ここで、柱材11および梁材12を構成する材料およびその形状寸法は、適宜設定すればよく、木材であれば、前記のものに限定されないことはいうまでもない。
柱材11は、木造構造物Aの幅方向(図1において左右方向)に対して、2m間隔で配置されている。なお、横架体1の両端の壁体2の上載箇所では、壁体2の柱材21の配置と一致するように1m間隔で配置されている。一方、木造構造物Aの長さ方向(図1において奥行き方向)に対しては、4m間隔で配置されている(図1および図2参照)。
柱材11としては、梁材12が側面に固定されるいわゆる通し柱(以下単に「通し柱11a」と称する)と、上下の梁材12,12の間に配設されて、その両端が、上下の梁材12,12の上面または下面に当接されるいわゆる管柱(以下、単に「管柱11b」と称する)と、の2種類を使用する。なお、本実施形態では、通し柱11aおよび管柱11bとして、断面形状が120mm×210mmからなるいわゆる中断面集成材を使用するものとするが、例えば小断面集成材を使用してもよく、柱材11に使用する木材の断面形状が限定されないことはいうまでもない。また、通し柱11aおよび管柱11bについてそれぞれ異なる断面形状の木材を使用してもよいことはいうまでもない。
通し柱11aの上下の端部には、図4に示すように、接合金物4を固定するためのボルト孔11cが、梁材12の接合面に2箇所ずつ形成されている。なお、ボルト孔11cの数や形状は限定されるものではなく、接合金物4の固定(梁材12の固定)に必要な強度から設定されるボルトBの本数や形状に応じて適宜設定すればよい。ここで、通し柱11aの長さ(高さ)は、限定されるものではないが、本実施形態では、横架体1の高さと同じ長さに形成されたものを使用する。
管柱11bには、図6(a)に示すように、上端および下端の中央に、ほぞパイプ41を挿入するためのパイプ孔11dが管柱11bの軸方向に沿って形成されている。そして、管柱11bの上下の端部側面からパイプ孔11dを貫通するように、ピン孔11eが管柱11bを貫通している。なお、管柱11bの長さ(高さ)は、通し柱11aの長さ(高さ)から上下の梁材12,12の高さを差し引いた長さに形成されている。
ここで、本実施形態では、柱材11として、プレカットにより、予め、加工が施されたものを搬入することで、現地での加工の手間を省き、工期を短縮するものとする。
梁材12は、図2に示すように、木造構造物Aの幅方向(図1において左右方向)に沿って配置される横梁材12aと木造構造物Aの長さ方向(図1において奥行き方向)に沿って配置される縦梁材12bとに対し、それぞれ異なる断面形状からなる木材を使用するものとする。
横梁材12aは、横架体1に必要なスパン長を確保するように、通し柱11aを介して
連続するように配置されている。つまり、横方向に連続して配置される横梁材12a,12aは、それぞれの端部が、通し柱11aの対向する側面に、それぞれ当接した状態で固定されることで、連続している。
横梁材12aの通し柱11a側の端部には、図5に示すように、通し柱11aの側面に固定された接合金物4(梁受け金物40)と嵌合するための2本のスリット12c,12cと、この接合金物4(梁受け金物40)の固定ピンを挿入するためのピン孔12d,12dが形成されている。また、2本のスリット12c,12cの間の先端部は切り欠きが形成されていて、梁受け金物40を締着しているボルトBの頭と接することにより横梁材12aと通し柱11aとの間に隙間が形成されることを防止している。ここで、スリット12cおよびピン孔12dは、通し柱11aとの接合方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成されるものではないことはいうまでもない。つまり、接合金物4の形式に応じて適宜必要な加工が施されていればよい。また、スリット12c,12c間の切り欠きは、梁受け金物40の固定方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成しなくてもよく、また、その形状も限定されるものではない。
また、横梁材12aの第二接合部3bに対応する箇所には、図6(a)に示すように、ほぞパイプ41が管柱11b側に突出するように、挿入されている。そして、ほぞパイプ41が挿入された側面と直交する側面には、縦梁材12bと接合するための梁受け金物40が固定されている。本実施形態では、図6(b)に示すように、横梁材12aを貫通させたボルトBが、梁受け金物40を横梁材12aの側面に締着するとともに、横梁材12aに挿入されたほぞパイプ41を貫通することで管柱11bと横梁材12aとを固定している。なお、第二接合部3bにおける各接合金物4の固定方法は前記の方法に限定されるものではなく、接合金物4の形式に応じて適宜公知の方法により行えばよい。
縦梁材12bは、図2に示すように、隣接する横梁材12a同士の間に所定の間隔(柱材11と同間隔)をあけて配置されている。この縦梁材12bの両端部には、図6(a)に示すように、横梁材12aの側面に締着された梁受け金物40と嵌合するための2本のスリット12c,12cと、この接合金物4(梁受け金物40)の固定ピンを挿入するためのピン孔12d,12dが形成されている。また、2本のスリット12c,12cの間の先端部は、梁受け金物40を締着しているボルトBの頭と接することにより横梁材12aと縦梁材12bとの間に隙間が形成されることがないように、切り欠きが形成されている。ここで、スリット12cおよびピン孔12dは、通し柱11aとの接合方法に応じて形成されるものであって、必要に応じて形成すればよいことはいうまでもない。また、接合金物4の形式に応じて適宜必要な加工が施されることはいうまでもない。また、スリット12c,12c間の切り欠きは、梁受け金物40の固定方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成しなくてもよく、また、その形状も限定されるものではない。
本実施形態では、横梁材12aとして、断面が120mm×210mmからなる集成材、縦梁材12bとして断面が120mm×180mmからなる集成材を使用する。なお、梁材12の断面形状は限定されないことはいうまでもなく、横架体1に作用する応力に応じて適宜設定すればよい。また、本実施形態では横梁材12aと縦梁材12bとを異なる断面形状の集成材を使用するものとしたが、同一の断面形状を有した木材を使用してもよいことはいうまでもない。さらに、本実施形態では、梁材12として、予めプレカットにより必要な加工が施されたものを搬入することで、現地で行う加工の手間を省略して、工期を短縮するものとする。
筋交13は、図2および図3に示すように、柱材11,11と梁材12,12とにより形成される四角形空間、横梁材12a,12aと縦梁材12b,12bとにより形成される矩形状空間、にそれぞれ対角線上に沿って配置されている。本実施形態では、筋交13として、ターンバックル付鉄筋ブレースを使用するものとする。なお、筋交13の形式は、筋交13に作用する引張力に対して十分な耐力を有するものであれば限定されないことはいうまでもない。
筋交13は、図3に示すように、接合部3に設置された取付部材30,30にその端部が係止されている。なお、筋交13の取り付け方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段により行えばよい。
第一取付部材31は、図4に示すように、断面矩形の筒状部材からなる本体部31aと、本体部31aの一方の端部に複数枚(図4では8枚)固定された略台形状の板材である羽根部材31bと、により構成されている。
本体部31aは、鋼製部材により構成されており、その内空寸法が、柱材11の断面形状と同一形状となるように形成されている。本体部31aには、柱材11の先端部に形成されたボルト孔11cに対応する箇所に、ボルト孔31cが形成されている。本実施形態では、本体部31aの側面にそれぞれ上下2箇所、計8箇所のボルト孔31c,31c,…を形成するものとする。なお、ボルト孔31cの数量や形状は限定されるものではなく、柱材11と梁材12との接合に必要なボルトBの本数や形状に応じて適宜設定すればよい。
羽根部材31bは、筋交13が配置される方向に応じて形成されており、図4に示すように、本体部31aの端面の辺に連続して形成されて、縦斜め方向の筋交13に対応する羽根部材31b,31b,…と、本体部31aの角を含むように本体部31aの側面に溶接接合されることにより形成されて、水平方向の筋交13に対応する羽根部材31b,31b,…と、の2段で形成されている。第一取付部材31に形成される羽根部材31bの枚数は限定されるものではないが、少なくとも本体部31を挟んで対向する箇所に一対(2枚)形成し、最大で、縦斜め方向の筋交13に対応する羽根部材31bが4枚、水平方向の筋交13に対応する羽根部材31bが4枚の、合計8枚とする。
各羽根部材31bには、本体部31a側と反対側の端部に、筋交13の係止するための係止孔30hが形成されている。なお、係止孔30hの形状は限定されるものではなく、筋交13の係止部の形状に応じて適宜設定すればよい。また、羽根部材31bの形状は、筋交13の係止(固定)が可能であれば、必ずしも前記の形状に限定されるものではなく、例えば係止孔30hを省略するなど、筋交13の固定方法に応じて適宜変更可能である。また、羽根部材31bの形成方法は、筋交13から伝達される引張力に対して十分な耐力を発現することが可能であれば限定されるものではなく、例えば、全ての羽根部材31bを溶接接合するなど、適宜公知の手段から選定して行えばよい。
第一取付部材31の柱材11への固定方法は、本体部31aに形成されたボルト孔31cを挿通してボルトBを柱材11のボルト孔11cに螺合することにより行う。この時、ボルトBは、梁受け金物40(接合金物4)のボルト孔40aを挿通し、本体部31aの柱材11への固定とともに、本体部31aの外周面に梁受け金物40を締着している(図4および図5参照)。
第二取付部材32は、図6(a)に示すように、鋼製の板材であって、柱材11の先端と梁材12の側面との間に介在された状態で配置される。この第二取付部材32は、柱材11の断面形状に応じて形成された矩形状の本体部32aとこの本体部32aの四辺から延設された4枚の略台形状に形成された羽根部材32b,32b,…とから構成されている。なお、第二取付部材32の羽根部材32bの枚数は、設置箇所に応じて適宜設定すればよく、4枚に限定されるものではない。例えば、横架体1の端部に配置されるような場合には、2枚に羽根部材32b,32bが互いに直角を成すように配置することや、3枚の羽根部材32b,32b,32bを略T字状に配置することにより第二取付部材32を構成する場合がある。また、第二取付部材32の羽根部材32bは、対を成す羽根部材32bが互いに本体部32aを挟んで対向する位置に配置されていればよく、筋交13の設置方向に応じて、第二取付部材32が略十字状や略X字状を呈する場合がある。
第二取付部材32の本体部32の中央には、ほぞパイプ41を挿通するためのパイプ孔32cが一つ形成されている。なお、パイプ孔32cの数や形状は、ほぞパイプ41の形状や本数に応じて適宜設定されることはいうまでもない。
また、羽根部材32bには、本体部32a側と反対側の端部に、筋交13を係止するための係止孔30hが形成されている。なお、係止孔30hの形状は限定されるものではなく、筋交13の係止部の形状に応じて適宜設定すればよい。また、羽根部材32bの形状は、筋交13の係止(固定)が可能であれば、必ずしも前記の形状に限定されるものではなく、例えば係止孔30hを省略するなど、筋交13の固定方法に応じて適宜変更可能である。
第一接合部3aにおける柱材11と梁材12との接合は、第一取付部材31の外周面に締着された梁受け金物40を介して行う(図5参照)。また、第二接合部3bでは、柱材11と梁材12との接合部において、双方に跨って内装されるほぞパイプ41を介して接合する(図6参照)。さらに第二接合部3bにおける横梁材12aと縦梁材12bとの接合は、横梁材12aの側面に締着された梁受け金物40を介して行う(図6参照)。
梁受け金物40は、図4に示すように、略長方形状の金板をコの字状に折り曲げることにより締着部40aと2枚の羽根部40b,40bとから構成されている。締着部40aには、梁受け金物40を柱材11(第一取付部材31)または梁材12へ締着するためのボルトB,Bを挿通するボルト孔40cが、上下に2箇所形成されている。また、羽根部40b,40bには、それぞれ梁材12との固定に使用するピン42(図6(a)参照)を挿通するピン孔40dと、ピン42を係止する係止溝40eが互いに対抗する位置に形成されている。
なお、ボルト孔40c、ピン孔40dおよび係止溝40eの数や位置は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、ボルト孔40c、ピン孔40dおよび係止溝40eは、梁受け金物40の固定方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成しなくてもよいことはいうまでもない。
第一接合部3aでは、図4および図5に示すように、第一取付部材31の通し柱11aへの固定とともに、梁受け金物40を、第一取付部材31の梁材12が当接する側の面に、ボルトB,Bを介して固定している。
そして、横梁材12aのスリット12c,12cに梁受け金物40の羽根部40b,40bを内挿した状態で、ピン42をピン孔12d,40dに挿入することで、通し柱11aと横梁材12aとを接合する。
また、第二接合部3bでは、図6(b)に示すように、横梁材12aを貫通するボルトB,Bにより、梁受け金物40を横梁材12aの側面に固定している。
そして、縦梁材12bのスリット12c,12cに梁受け金物40の羽根部40b,40bを内挿した状態で、ピン42をピン孔12d,40dに挿入することで、横梁材12aと縦梁材12bとを接合する。
ほぞパイプ41は、図6(a)および(b)に示すように、鋼製のパイプ部材であって、管柱11bと横梁材12aとに跨って内挿されることで、管柱11bと横梁材12とを接合するものである。
ほぞパイプ41には、横梁材12aを貫通するボルトBを挿通するためのボルト孔41aが、横梁材12aに内挿される部分に2箇所形成されている。また、管柱11bに挿入される部分には、管柱11bの端部に形成されたピン孔11e,11eに対応して、2つのピン孔41bがそれぞれ直交する方向に形成されている。
なお、ほぞパイプ41を構成する材料や形状等は限定されるものではなく、適宜公知のものを使用すればよい。また、ほぞパイプ41に形成されるボルト孔41aやピン孔41bの数量や形状も限定されるものではない。
横架体1の形成は、木造構造物Aの幅方向(図1における左右方向)に、所定の間隔により所定数の通し柱11a,11a,…を2列配置した後、図5に示すように、各通し柱11a間に横梁材12a,12a,…および縦梁材12b,12b,…を配置してつなぎ合わせるとともに、端部の横梁材12a,12a,…を配置する。この時、通し柱11aの上下端部には、第一取付部材31が配置されているとともに、梁受け金物40が固定されている。そして、梁材12は、この梁受け金物40を介して、通し柱11aに接合される。
また、上下の横梁材12a,12a,…の間には、所定の間隔をあけて管柱11b,11b,…を配置する。管柱11bの配置は、図6(a)および(b)に示すように、予め横梁材12aの管柱11bに対応する箇所に埋め込まれたほぞパイプ41を両端に差し込むことにより行う。この時、管柱11bの両端の横梁材12aの当接面には2枚の第二取付部材32が重ねられた状態で介在されている。
さらに、2列の横梁材12a,12a,…の間には、図6(a)に示すように、管柱11bの配置と同間隔により縦梁材12b,12b,…が配置されている。このとき、横梁材12aの縦梁材12bに対応する箇所には、予め梁受け金物40が固定されており、縦梁材12bは、この梁受け金物40を介して横梁材12aの側面に接合されている。
以上のように、柱材11と梁材12とを格子状の面からなる箱状に組み立てた後、柱材11と梁材12または梁材12同士により形成された矩形状の空間の対角線に沿って、取付部材30を介して筋交13をX字状に配置する。この時、筋交13は、ターンバックルにより引張力が作用された状態で配置されている。
これにより、引張力を筋交13で負担し、圧縮力を柱材11および梁材12で負担するスパン長が25m以上の大規模木造構造物の横架体1が形成される。
本実施形態に係る横架体1は、斜めに配置された筋交13により、接合部3に配置された取付部材30を縦方向または横方向に引張るように構成されている。これにより、柱材11は、横方向に引っ張られることで、柱材11同士の間に配設された梁材12を圧縮し、梁材12は、縦方向および横方向(梁材12の軸方向と直角の方向)に引っ張られることで梁材12同士の間に配設された柱材11および梁材12を圧縮しているため、これらの柱材11および梁材12が、互いに圧縮しあう状態で接合されている。このため、柱材11および梁材12に引張力ではなく、圧縮力を作用させることで、大規模木造構造物における柱材11と梁材12または梁材12同士の接合を、簡易な接合金物4のみで行うことが可能となる。
つまり、本実施形態に係る横架体1は、図7(a)に示すように、筋交13による引張力Sが、水平力S1と鉛直力S2として、取付部材30を引張るため、柱材11を水平方向に引張ることで梁材12に圧縮力を付与し、梁材12を上下方向に引張ることで柱材11に圧縮力を付与する。これにより柱材11と梁材12とが強固に密着し、接合力が増加するように構成されている。
同様に、図7(b)に示すように、水平方向に配置された筋交13により、平行に配置された梁材12,12を引張ることで、これらの梁材12,12と直交する方向に配置された梁材12に圧縮力を付与する。これにより、梁材12同士が強固に密着し、接合力が増加するように構成されている。
また、横架体1は、柱材11と梁材12との接合を簡易な接合金物4のみを利用して行うため、柱材11および梁材12には、接合に伴う端部の欠損部がほとんど無く、柱材11および梁材12が有する強度を維持することを可能としている。故に、柱材11および梁材12を構成する材料の強度を最大限に生かすことが可能となり、横架体1のスパン長を長くすることや、部材の小断面化を可能としている。
筋交13の配置に使用される取付部材30は、ボルトB等を介して柱材11または梁材12に固定されるのではなく、柱材11と梁材12との間に介在されることで配置されているため、柱材11または梁材12に取付部材30の配置に伴う欠損部が形成されることがない。そのため、取付部材30を配置しても、柱材11または梁材12が有する強度は維持されている。また、取付部材30を、柱材11と梁材12との間に介在させることで、筋交13の引張力Sを柱材11または梁材12への圧縮力Cへと変換することを可能としている。
横架体1に作用する曲げ応力は、引張力Sに対しては筋交13により負担し、圧縮力Cに対しては木材からなる柱材11および梁材12が負担する構成のため、各部材の有する能力に応じた構造が構成されている。
横架体1は図1または図2に示すように、一対の壁体2に横設されている。この壁体2は、図2に示すように、所定の間隔を有して立設された柱材21の下端を土台23により連結するとともに、同柱材21の中間部を梁材22により連結することにより形成されている。また、壁体2は、横架体1を上載した状態で、側面視が、格子状に構成されている。
柱材21と梁材22、柱材21と土台23の接合部3と、この接合部3の対角にある他の接合部3とは、筋交24により連結されている(図2参照)。
接合部3では、図8に示すように、柱材21の側面に梁材22の先端を当接させた状態で柱材21と梁材22とが接合されている。なお、接合部3では、その一部が柱材21と梁材22との当接面に介在されるように取付部材30が配置されている。そして、柱材21と梁材22との接合は、接合部3に配置された接合金物(図示省略)により接合されている。
本実施形態では、柱材21および梁材22に、断面が矩形状の集成材を使用する。なお、壁体2の柱材21または梁材22には、大断面集成材以外のものを使用する。つまり、横架体1を、入手が容易な一般の住宅で使用する材料を使用することで、安価に構築することを可能としている。
ここで、柱材21および梁材22を構成する材料およびその形状寸法は、適宜設定すればよく、木材であれば、前記のものに限定されないことはいうまでもない。
柱材21は、木造構造物Aの幅方向(図1において左右方向)に対して、1m間隔で配置されており、木造構造物Aの長さ方向(図1において奥行き方向)に対しては、4m間隔で配置されている。
柱材21は、梁材22が側面に固定されるいわゆる通し柱であって、本実施形態では、断面形状が120mm×210mmからなるいわゆる中断面集成材を使用するものとする。なお、柱材21を構成する木材は、例えば小断面集成材を使用してもよく、前記のものに限定されるものではない。
柱材21の上端中央には、図示しないパイプ孔が軸方向に沿って形成されている。そして、上載される横架体1の梁材12に形成されたパイプ孔と柱材21のパイプ孔とに跨ってほぞパイプを配置することにより、横架体1と壁体2とが接合されている。なお、ほぞパイプの固定方法は、横架体1の説明で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。また、柱材21の下端部および中央部の隣接する他の柱材21側の側面には、梁材22または土台23に対応する箇所に、接合金物4を固定するためのボルト孔(図示省略)が形成されている。なお、ボルト孔の数や形状は、限定されるものではなく、接合金物4の固定に必要な強度から設定されるボルトの本数や形状に応じて適宜設定すればよい。また、柱材21の長さ(高さ)は、限定されるものではないが、本実施形態では、壁体2の高さ(8m)と同じ長さに形成されたものを使用する。
梁材22は、木造構造物Aの幅方向(図1において左右方向)に沿って配置される横梁材22aと、木造構造物Aの長さ方向(図1において奥行き方向)に沿って配置される縦梁材22bと、を備えている。横梁材22aと縦梁材22bには同一の断面形状からなる集成材を使用するものとするが、想定される壁体2に作用する応力に応じて異なる断面形状の集成材を使用してもよい(図2参照)。
横梁材22aは、横方向(図1において左右方向)に隣接する柱材21,21の間隔と同じ長さを有しており、両端が取付部材33を介在させた状態で、図示しない接合金物を介して柱材21,21に、固定されている。なお、横柱材22aの柱材21への固定方法は、横架体1の説明において示した通し柱11aと横梁材12aとの接合方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
縦梁材22bは、長さ方向(図1において奥行方向)に隣接する柱材21,21の間隔と同じ長さを有しており、両端が取付部材30を介在させた状態で、図示しない接合金物を介して柱材21,21に、固定されている。なお、縦柱材22bの柱材21への固定方法は、横架体1の説明において示した通し柱11aと横梁材12aとの接合方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
土台23は、木造構造物Aの幅方向(図1において左右方向)に沿って配置される横土台23aと、木造構造物Aの長さ方向(図1において奥行き方向)に沿って配置される縦土台23bと、を備えている。横土台23aと縦土台23bには同一の断面形状からなる集成材を使用するものとするが、想定される壁体2に作用する応力に応じて異なる断面形状の集成材を使用してもよい(図2参照)。
横土台23aは、横方向(図1において左右方向)に隣接する柱材21,21の間隔と同じ長さを有しており、両端が取付部材33を介在させた状態で、図示しない接合金物を介して柱材21,21に、固定されている。なお、横柱材22aの柱材21への固定方法は、横架体1の説明において示した通し柱11aと横梁材12aとの接合方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
縦土台23bは、長さ方向(図1において奥行方向)に隣接する柱材21,21の間隔と同じ長さを有しており、両端が取付部材33を介在させた状態で、図示しない接合金物を介して柱材21,21に、固定されている。なお、縦柱材22bの柱材21への固定方法は、横架体1の説明において示した通し柱11aと横梁材12aとの接合方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
ここで、柱材21、梁材22、土台23には、プレカットにより予め所定の加工が施されたものを搬入する。これにより、現地での加工に要する手間を省略し、工期の短縮化および施工費用の低減を図ることが可能となる。
筋交24は、図2に示すように、柱材21,21と梁材22と土台23または梁材12により形成される矩形状空間、横梁材22a,22aと縦梁材22b,22bとにより形成される矩形状空間、にそれぞれ対角線上に沿って配置されている。
なお、筋交24を構成する材料、形状や固定方法等は、横架体1の説明において使用した筋交13と同様であるため、詳細な説明は省略する。
壁体2に係る取付部材30は、図8および図9に示すように、鋼製の部材であって、柱材21の側面と梁材22または土台23の端面との間、または、柱材22の上端面と横架体1の梁材12の下面との間に、その一部が介在された状態で配置される。この取付部材30は、部材同士の当接部に介在される部分である筒状または矩形状の本体部30aとこの本体部30aから延設された略台形状に形成された羽根部材30bとから構成されている。なお、羽根部材30bには、本体部側と反対側の端部に、筋交24の係止するための係止孔30hが形成されている。
取付部材30は、その設置箇所に応じ、本体部30aの形状や羽根部材30bの枚数を変化させたものを使用する。
例えば、柱材21の側面に梁材22の端部が接合する接合部においては、図8および図9(a)に示すように、断面が柱材21に形状に応じて形成された筒状の本体部30aの上下の端部にそれぞれ羽根部材30b(30b’)が複数枚形成された取付部材33を使用する。取付部材33の羽根部材30bは、筋交13が配置される方向に応じて形成されており、図9(a)に示すように、本体部30aの端面の辺に連続して形成されて、縦斜め方向の筋交24に対応する羽根部材30b,30b,…と、本体部30aの角を含むように本体部30aの一方の端部の側面に溶接接合されることにより形成されて、水平方向の筋交24に対応する羽根部材30b’,30b’と、の2段で形成されている。なお、羽根部材30bの枚数は限定されないことはいうまでもない。
また、柱材21の上端であって、横架体1の梁材12との接合部に配置される取付部材30は、図8、図9(b)に示すように、柱材21の端部から縦斜め方向に配置される筋交24,24の取り付けが可能となるように、3枚の羽根部材30b,30b,30bがT字状に形成された取付部材34を配置する。取付部材34は、本体部30aを挟んで対向するように形成された一対の羽根部材30b、30bと、この一対の羽根部材30b,30bと直交する方向に形成された一枚の羽根部材30bを備えている。そして、本体部30aには、この一枚の羽根部材30bが形成された辺と反対側の辺に、反力板30dが本体部30aと直交するように形成されている。反力板30dは、取付部材34が設置された状態で、前記一枚の羽根部材30b側の面が柱材21の側面に当接しており、羽根部材30bから伝達された筋交24の反力を受け持つ部材である。なお、図9(d)に示す、羽根部材30bが1枚形成された取付部材36を重ねて使用してもよい。また、取付部材34の羽根部材30bの枚数は、3枚に限定されるものではなく、例えば2枚でもよい。
さらに、柱材21と土台23との接合部に配置される取付部材30は、図8および図9(c)に示すように、土台23から梁材22方向に配置される筋交24,24の取り付けが可能となるように、断面が柱材21に形状に応じて形成された筒状の本体部30aの上端部に羽根部材30bが複数枚形成された取付部材35を使用する。取付部材35の羽根部材30bは、筋交13が配置される方向に応じて形成されており、図9(c)に示すように、本体部30aの上端面の辺に連続して形成されて、上斜め方向の筋交24に対応する羽根部材30b,30b,…が3枚形成されている。なお、羽根部材30bの枚数は限定されないことはいうまでもない。
なお、柱材21と梁材22との接合部および柱材21と土台23との接合部に配置される取付部材30(取付部材33,35)の本体部30aには、梁材22または土台23の接合方向に対して、接合金物(図示省略)を固定するためのボルト孔30cが2箇所ずつ形成されている。なお、ボルト孔33cの数および形状は、限定されるものではない。一方、柱材21の上端に配置される取付部材30(取付部材34,36)の本体部30aには、ほぞパイプを挿通するためのパイプ孔30eが中央に形成されている。ここで、羽根部材31bの形成方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段により行えばよい。
柱材21と梁材22との接合および柱材21と土台23との接合は、取付部材30の表面に締着された梁受け金物(図示省略)を介して行う。
なお、梁受け金物には、横架体1の説明で使用した梁受け金物40と同様のものを使用するため、詳細な説明は省略する。
以上のように構成された壁体2は、横架体1と同様に、木材からなる柱材21や梁材22への負担を抑え、柱材21および梁材22が有する耐力を最大限に活用するように構成されている。故に、壁体2を構成する柱材21や梁材22の小断面化を可能としている。
次に本発明に係る木造構造物Aの構築方法について、図10を参照して説明する。
まず、図10(a)に示すように、所定の間隔により、一対の壁体2を平行に構築する。
次に、柱材11,11,…と梁材12,12,…と筋交13,13,…を組み合わせることにより横架体1を箱状に構築したのち、図示しないクレーン等の揚重機を利用して、一対の壁体2,2の上端に横設する(図10(b)参照)。
同様に箱状の横架体1を組み立てた後、既に配置された横架体1と所定の間隔(本実施形態では縦梁材の長さ)をあけて、一対の壁体2,2の上端にこの横架体1を横設する(図10(b)参照)。
そして、横架体1同士の間の間隔に縦梁材12b,12b,…と筋交13,13,…を配置することで連結する(図10(c)参照)。
同様の作業を繰り返すことにより、所定長の木造構造物Aを構築する。
本実施形態に係る木造構造物Aは、柱材11,21および梁材12,22として、木造建築物の材料として一般的に流通している集成材を使用しているため、材料費の低減化を可能としている。
また、接合金物4として、一般住宅で使用されるような簡易な金物により構築することを可能としているため、安価である。
また、柱材11,21および梁材12,22としては、仕口加工等の特殊な加工を要しないため、いわゆるプレカットにより加工したものを使用することが可能である。そのため、工期を大幅に短縮することを可能とし、好適である。
以上、本発明について、好適な実施形態の一例を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、大断面集成材以外の集成材であって6m以下のものを使用して横架体を構築するものとしたが、現地への搬送が可能な形状に加工された材料であれば、各部材の形状寸法は限定されるものではない。
また、横架体または壁体に使用する筋交は、ターンバックル付鉄筋ブレースに限定されるものではなく、適宜公知のブレース材が使用可能である。
また、前記実施形態では、一対の壁体に横架体を横設することで門型の構造物を構成するものとしたが、例えば、壁体を3体配置するなど、木造構造物の構成は限定されるものではない。
前記実施形態では、予め地上で組み立てた横架体を壁体にクレーン等により上載することにより構築するものとしたが、壁体の上部にて横架体を組み立ててもよく、木造構造物の構築方法は、前記の方法に限定されるものではない。
また、柱材、梁材、土台として、工場などにおいてプレカットにより加工が施された集成材を搬入して使用するものとしたが、現地において必要な加工を施してもよいことはいうまでもない。
また、取付部材や接合金物は、適宜公知のものを使用することが可能であり、前記実施形態で説明したものに限定されないことはいうまでもない。
本実施形態に係る木造構造物を示す立面図である。 図1に示す木造構造物の一部分を示す斜視図である。 横架体の柱材と梁材との接合状況を示す拡大斜視図である。 横架体の第一接合部の詳細を示す分解斜視図である。 横架体の通し柱の詳細を示す斜視図である。 横架体の第二接合部の詳細を示す分解斜視図である。 横架体の応力の作用状況を示す図であって、(a)は立面図、(b)は平面図である。 壁体の構造を示す拡大斜視図である。 (a)〜(d)は、壁体の取付部材を示す斜視図である。 (a)〜(c)は、本実施形態に係る木造構造物の構築方法を示す斜視図である。 従来の接合構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。 従来の他の接合構造を示す斜視図である。
符号の説明
1 横架体
11 柱材
12 梁材
13 筋交
2 壁体
3 接合部
30 取付部材
4 接合金物
A 木造構造物

Claims (8)

  1. 木材からなる複数の柱材と、木材からなる複数の梁材と、を組み合わせることにより箱状に形成された横架体であって、
    前記柱材と前記梁材との接合部と、該接合部の対角にある各接合部とが、筋交により連結されていることを特徴とする、横架体。
  2. 長さが6m以下の前記柱材および前記梁材を組み合わせることにより格子状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の横架体。
  3. 前記柱材および前記梁材が、大断面集成材以外の集成材であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の横架体。
  4. スパン長が25m以上に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の横架体。
  5. 前記筋交が、前記接合部において、前記柱材と前記梁材との当接面に介在された取付部材に取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の横架体。
  6. 前記筋交が、ターンバックル付鉄筋ブレースであることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の横架体。
  7. 前記接合部において、前記柱材と前記梁材との双方の内部にわたって埋め込まれた接合金物により該柱材と該梁材とが接合されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の横架体。
  8. 木材からなる複数の柱材と、木材からなる複数の梁材と、を組み合わせることにより箱状に形成された一対の壁体と、
    前記一対の壁体に横設された請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の横架体と、
    を備えることを特徴とする、木造構造物。
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