JP4007012B2 - 車両用保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行者等の被衝突物体が車両に衝突する際の衝撃を吸収し、被衝突物体の保護を行う車両用保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用保護装置として、例えば、特開平11−310095号公報に開示されたものが知られている(従来装置1)。この従来装置1は、車両前部のバンパ等に取り付けられた複数の接触感知センサからの電気信号に基づいて、被衝突物体が歩行者であるかその他の障害物であるかを判定する。また、特開2000−177514号公報に開示された車両用保護装置が知られている(従来装置2)。
従来装置2は、車両のフード等に複数の電極を配置し、被衝突物体との衝突に伴う静電容量変化を検出して被衝突物体が歩行者であるか歩行者以外であるかを判定する。従来装置1および従来装置2は、被衝突物体が歩行者であると判定された場合に、歩行者保護のために車両のボンネット上にエアバッグを展開させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来装置1および従来装置2においては、被衝突物体が歩行者であるか自転車であるかを判定することが困難であった。さらに、被衝突物体が車両と衝突した場合、衝突後の被衝突物体の挙動は、被衝突物体の種類またその状態によって異なる。つまり、例えば歩行者や自転車乗員を保護するためにのボンネット上にエアバッグを展開させる場合には、展開するタイミングや展開の位置を適切に設定する必要がある。
【0004】
本発明は、車両との衝突時の歩行者や自転車乗員等の被衝突物体の衝撃を適切に吸収することのできる車両用保護装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1に記載された車両用保護装置は、車両に衝突する被衝突物体の移動方向を検出する被衝突物体検出手段と、車両外側方向に突出し、被衝突物体が車両に衝突する際のエネルギを吸収するエネルギ吸収手段と、被衝突物体検出手段で検出された被衝突物体の移動方向に基づいて、エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを制御する制御手段とを備え、制御手段は、車両の先端部分に衝突するときの被衝突物体の移動方向が車両の後方向の場合に被衝突物体の移動方向を0°とし、被衝突物体の移動方向が車両の前方向の場合に被衝突物体の移動方向を180°とし、被衝突物体から車両の先端部分を見た場合に被衝突物体の移動方向が車両の左方向の場合に90°、車両の右方向の場合に270°とすると、被衝突物体検出手段で検出される被衝突物体の移動方向が0°から90°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、被衝突物体の移動方向が90°から180°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くし、被衝突物体の移動方向が180°から270°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、被衝突物体の移動方向が270°から360°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くするよう制御するとともに、被衝突物体の移動方向が180°の場合にエネルギ吸収手段を作動させるタイミングが、被衝突物体の移動方向が0°あるいは360°の場合にエネルギ吸収手段を作動させるタイミングよりも遅くなるよう制御し、エネルギ吸収手段は、車両のピラー付近に設けられるピラーエアバッグであることにより、上述した目的を達成する。
(2)請求項3に記載された車両用保護装置は、車両に衝突する被衝突物体の移動方向を検出する被衝突物体検出手段と、車両に衝突する被衝突物体の移動方向を検出する被衝突物体検出手段と、車両外側方向に突出し、被衝突物体が車両に衝突する際のエネルギを吸収するエネルギ吸収手段と、被衝突物体検出手段で検出された被衝突物体の移動方向に基づいて、エネルギ吸収手段を作動させる位置を制御する制御手段とを備え、制御手段は、車両の先端部分に衝突するときの被衝突物体の移動方向が車両の後方向の場合に被衝突物体の移動方向を0°とし、被衝突物体の移動方向が車両の前方向の場合に被衝突物体の移動方向を180°とし、被衝突物体から車両の先端部分を見た場合に被衝突物体の移動方向が車両の左方向の場合に90°、車両の右方向の場合に270°とすると、被衝突物体検出手段で検出される被衝突物体の移動方向が0°から90°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とし、被衝突物体の移動方向が90°から180°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端から遠くし、被衝突物体の移動方向が180°から270°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とし、被衝突物体の移動方向が270°から360°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を車両先端から徐々に遠くするよう制御するとともに、被衝突物体の移動方向が180°の場合にエネルギ吸収手段を作動させる位置を、被衝突物体の移動方向が0°あるいは360°の場合にエネルギ吸収手段を作動させる位置よりも車両先端側になるよう制御し、エネルギ吸収手段は、車両のピラー付近に設けられるピラーエアバッグであることにより、上述した目的を達成する。
(3)請求項5に記載された車両用保護装置は、車両に衝突する被衝突物体の移動方向を検出する被衝突物体検出手段と、車両外側方向に突出し、被衝突物体が車両に衝突する際のエネルギを吸収するエネルギ吸収手段と、被衝突物体検出手段で検出された被衝突物体の移動方向に基づいて、エネルギ吸収手段を作動させるタイミングおよび位置を制御する制御手段とを備え、制御手段は、車両の先端部分に衝突するときの被衝突物体の進行方向が車両の後方向の場合に被衝突物体の進行方向を0°とし、被衝突物体の移動方向が車両の前方向の場合に被衝突物体の進行方向を180°とし、被衝突物体から車両の先端部分を見た場合に被衝突物体の移動方向が車両の左方向の場合に90°、車両の右方向の場合に270°とすると、被衝突物体検出手段で検出される被衝突物体の進行方向が0°から 90°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、被衝突物体の進行方向が90°から180°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くし、被衝突物体の進行方向が180°から270°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、被衝突物体の進行方向が270°から360°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くするよう制御するとともに、被衝突物体の進行方向が180°の場合にエネルギ吸収手段を作動させるタイミングが、被衝突物体の進行方向が0°あるいは360°の場合にエネルギ吸収手段を作動させるタイミングよりも遅くなるよう制御し、さらに、被衝突物体の進行方向が0°から90°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とし、被衝突物体の進行方向が90°から180°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を車両先端から徐々に遠くし、被衝突物体の進行方向が180°から270°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とし、被衝突物体の進行方向が270°から360°まで変化するにつれてエネルギ吸収手段を作動させる位置を車両先端から徐々に遠くするよう制御するとともに、被衝突物体の進行方向が180°の場合にエネルギ吸収手段を作動させる位置が、被衝突物体の進行方向が0°あるいは360°の場合にエネルギ吸収手段を作動させる位置よりも車両先端側になるよう制御し、エネルギ吸収手段は、車両のピラー付近に設けられるピラーエアバッグであることにより、上述した目的を達成する。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
車両に衝突する被衝突物体の移動方向に応じてエネルギ吸収手段を作動させる位置またはタイミングの少なくともいずれか一つを調節するようにしたので、被衝突物体の衝突時のエネルギを最大限に吸収することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による車両用保護装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による車両用保護装置の構成を示し、この車両用保護装置を搭載した車両を車両上方向からみた図である。なお、図1の下方向が車両前方となる。
【0008】
図1に示すように、第1の実施の形態による車両用保護装置は、被衝突物体検出ユニット1と、車両姿勢検出ユニット2と、加速度センサ3と、被衝突物体検出ユニット1,車両姿勢検出ユニット2および加速度センサ3から入力される信号に基づいて、被衝突物体を保護するためのエネルギ吸収部材である挙動コントロールバッグ4,ピラーエアバッグ5およびフード高さを調節するアクチュエータ6の作動を制御する制御ユニット7とから構成される。
【0009】
被衝突物体検出ユニット1は、車両略前方に配置されており、ミリ波レーダや赤外線レーダ、CCDカメラ等を有している。被衝突物体検出ユニット1は、例えば赤外線レーダで赤外光パルスを車両前方に走査し、その反射波を計測することによって、被衝突物体の移動速度および高さ(地面から頭頂までの距離)、さらに、車両略先端と被衝突物体との相対位置を検出する。また、被衝突物体検出ユニット1は、後述するように、車両略前方に存在する被衝突物体が歩行者であるか、あるいは自転車乗員、自動二輪車乗員であるかを識別するとともに、被衝突物体の向きを検出する。これらの検出結果は制御ユニット7に送られる。
【0010】
車両姿勢検出ユニット2は、車速センサ、舵角センサ、加速度センサ、車高センサ(車高検出手段)およびジャイロメータ等を有している。なお、加速度センサは、後述する加速度センサ3と兼用できる。車両姿勢検出ユニット2は、自車両の車速を検出するとともに、舵角センサによって検出される舵角とジャイロメータから検出される現在の車両の向きから車両の進行方向を検出する。さらに車両姿勢検出ユニット2は、フロントサイドメンバ等に設けられた車高センサから、地面から車両のフードまでの高さと、ブレーキを掛けた際の車両のピッチング挙動時におけるフード高さの変化量を逐次検出する。なお、車速および加減速度に対応する車両のフード高さを予め記憶しておき、ピッチング挙動時の車両のフード高さの変化量を検出してもよい。これらの検出結果は制御ユニット7に送られる。
【0011】
加速度センサ3は、車両略先端に配置され、車両と被衝突物体との衝突を検出するために自車両の減速度を検出し、制御ユニット7にその信号を出力する。制御ユニット7は、後述するように車両と被衝突物体との衝突を判断する。
【0012】
制御ユニット7は、CPU等から構成され、被衝突物検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2によって検出された車速Va、車両の進行方向、被衝突物体の速度Vbおよび車両と被衝突物体との相対位置関係に基づいて、車両が被衝突物体と衝突するかどうかを予測する。さらに、制御ユニット7は、被衝突物検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2の検出結果に基づいて、車両と被衝突物体が衝突した後に、被衝突物体である人間の頭がさらに車両のどの位置に衝突するか、つまり二次衝突の位置を予測し、車両外側方向に突出し、被衝突物が衝突する際のエネルギを最大限吸収することができるようにエネルギ吸収部材である挙動コントロールバッグ、ピラーエアバッグ等の作動を制御する。被衝突物体の衝突位置の予測、およびエネルギ吸収部材の作動制御については、後述する。
【0013】
また、制御ユニット7は、被衝突物検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2の検出結果から車両と被衝突物体との衝突が予測されない場合に、加速度センサ3からの入力信号に基づいて、車両と被衝突物体とが衝突したか否かを判定するとともに、車両に衝突した被衝突物体が歩行者であるか、自転車あるいは自動二輪車の乗員であるか、またその向きを判定する。
【0014】
なお、制御ユニット7による車両と被衝突物体との衝突の予測は、赤外線レーダによって検出される車両と被衝突物体との相対位置関係の時間的変化を検出することや、CCDカメラによって撮像された車両前方の画像を画像処理することによって行うこともできる。
【0015】
つぎに、エネルギ吸収部材である挙動コントロールバッグ4,ピラーエアバッグ5およびフード高さ調節用アクチュエータ6について説明する。これらのエネルギ吸収部材は、車両の先端と衝突した被衝突物体、特に歩行者や自転車乗員の頭部が再び車両の一部に衝突する二次衝突の際の衝突のエネルギを吸収したり緩和するための部材である。
【0016】
まず、アクチュエータ6について説明する。なお、アクチュエータ6の駆動によって高さを調節されるフード21を、ポップアップフードと呼ぶ。図1および図2(a)(b)に示すように、フード21の下面にはフード高さを調節するためのアクチュエータ6が4隅に配置されている。アクチュエータ6は、例えば油圧シリンダ、ばね、あるいはエアバッグ等からなり、それぞれ独立して駆動することができるように構成されている。図2(a)に示すように、フード後端の2つのアクチュエータ6a、6bを駆動させると、フード21はフード先端を支点として持ち上げられる。一方、図2(b)に示すように、フード右側の2つのアクチュエータ6b、6cを駆動させると、フード21はフードの左側を支点として持ち上げられる。
【0017】
このように、フード21を動かして傾きを増加させることによって、被衝突物体が車両のフード21に乗り上げた際に、被衝突物体に作用する、フード21の面に直交する下向きの力を増加させることができる。これにより、被衝突物体に作用する摩擦力が増加し、被衝突物体の速度ベクトル成分を制御することができる。例えば、車両右方向に移動していた被衝突物体に車両が衝突した場合、図2(b)に示すようにアクチュエータ6b、6cを駆動することによって、被衝突物体に発生する車両横方向の速度ベクトル成分を制御することができる。また、被衝突物体と車両との相対速度が速い場合、図2(a)に示すようにアクチュエータ6a、6bを駆動することによって、被衝突物体に発生する車両前後方向の速度ベクトル成分を制御することができる。つまり、被衝突物体に作用する摩擦力が増加するように制御することで、フード21に乗り上げた被衝突物体の挙動を制御し、二次衝突の際に歩行者や乗員の頭部が衝突する位置を制御することができる。
【0018】
被衝突物体が二次衝突する際の衝突位置は、車両のフード先端からウィンドシールド上端までの範囲内にほぼ収まる。この範囲を図3に示すように5つの領域に分割した場合、フード21の先端側に位置する領域▲1▼,▲2▼は、フード21内のエンジン等の配置にもよるが、比較的エネルギを吸収することができる。領域▲3▼は、ワイパー等が配置されたカウル部分で剛性が高く、二次衝突時のエネルギをあまり吸収しない。領域▲4▼は、ウインドシールドの中央近辺であり、領域▲1▼〜▲5▼のうち、最も二次衝突時のエネルギを吸収することができる。ウインドシールドの上端に位置する領域▲5▼は、剛性が高く、二次衝突時のエネルギをあまり吸収しない。
【0019】
そこで、アクチュエータ6を適宜駆動することによって、被衝突物体の頭部が領域▲3▼や領域▲5▼に衝突しないように制御したり、被衝突物体の頭部の二次衝突時のエネルギが領域▲4▼で吸収されるように制御することができる。図4(a)、(b)に、アクチュエータ6を駆動した場合と、駆動しない場合の、衝突後にフード21に乗り上げた被衝突物体の挙動の一例を示す。ここでは、車両は自転車の後面に衝突したとする。図4(a)に示すように、ポップアップフードの制御を行わない場合は、自転車の乗員はフード21の上をスライドし、乗員の頭部はウインドシールド上端の剛性の高い領域▲5▼で二次衝突する。一方、図4(b)に示すように、ポップアップフードを制御した場合は、フード21が傾いているため、乗員はフード21のうえをあまりスライドすることなく、乗員の頭部はウインドシールド中央近辺のエネルギを吸収しやすい領域▲4▼で二次衝突する。なお、図4(a)、(b)ともに、乗員の頭部の二次衝突位置に、後述するピラーエアバッグ5が展開された場合を示している。
【0020】
また、アクチュエータ6の一部あるいは4つを同時に駆動して、フード21自体をエネルギ吸収部材とすることもできる。つまり、制御ユニット7によって、被衝突物体の二次衝突の位置が領域▲1▼,▲2▼であると予測された場合には、フード21を持ち上げてフード21とその下側に配置されるエンジン等との間隔を大きくし、フード21に二次衝突のエネルギを吸収させる。
【0021】
つぎに、挙動コントロールエアバッグ4、ピラーエアバッグ5について説明する。図5に示すように、挙動コントロールエアバッグ4およびピラーエアバッグ5はそれぞれ複数のインフレータ22を備えている。制御ユニット7はそれぞれのエアバッグに必要な内圧を設定し、その内圧を発生するのに必要な数だけインフレータ22を着火する。
【0022】
挙動コントロールエアバッグ4は、図1に示すように車両先端の、例えばグリル部やバンパ部に設けられ、特に車両と被衝突物体との相対速度が速い場合に相対速度を低下させるために展開される。また、車両と被衝突物体との相対速度が速いほど、着火するインフレータの数を多くし、内圧を高くする。図6(a)、(b)に、挙動コントロールエアバッグ4を展開させない場合と、展開させた場合の、衝突後にフード21に乗り上げた被衝突物体の挙動の一例を示す。ここでは、車両は自転車の前面に衝突したとする。
【0023】
図6(a)に示すように、挙動コントロールエアバッグ4を展開させない場合は、被衝突物体である自転車と車両との相対速度は速いため、自転車の乗員は車両と衝突することによって車両側に飛び込むように倒れ、乗員の頭部は最も剛性の高い領域▲3▼で二次衝突する。一方、図6(b)に示すように、挙動コントロールエアバッグ4を展開させた場合は、挙動コントロールエアバッグ4が被衝突物体と干渉することによって車両と被衝突物体との相対速度が減少し、自転車の乗員の頭部は、領域▲3▼まで到達することなく、比較的エネルギを吸収することのできる領域▲2▼で二次衝突する。
【0024】
ピラーエアバッグ5は、図1に示すように、例えば、剛性が高く、エネルギ吸収の少ない領域▲3▼および領域▲5▼に対応する位置に配置される。あるいは、図7(a)〜(f)に示すように、フロントピラー部分を含んだ領域▲1▼〜▲5▼の範囲を包含するように複数のピラーエアバッグ5を配置してもよい。また、1つの大きなエアバッグを用いてもよい。制御ユニット7は、被衝突物体の二次衝突の位置および二次衝突のタイミングを予測し、二次衝突の際の被衝突物体のエネルギを最大限吸収できるようにピラーバッグ5の展開位置および展開タイミングを制御する。
【0025】
以上、エネルギ吸収部材について説明した。
つぎに、被衝突物体検出ユニット1で被衝突物体を識別する方法について、図8を用いて説明する。第1の実施の形態においては、歩行者や自転車に設けられたリフレクタの位置やその挙動を検出することによって被衝突物体が何であるか、また被衝突物体の向きを検出する。図8(a)〜(d)は、被衝突物体である歩行者や自転車に備えられたリフレクタの位置およびその挙動の一例を示す図である。
【0026】
歩行者の靴には、例えば図8(a)に示すように、左右にリフレクタ10が設けられている。また、図8(b)〜(d)に示すように、例えば自転車のリアタイヤスポークにはリフレクタ11,フロントタイヤスポークにはリフレクタ12,左右のペダルにはそれぞれリフレクタ13が設けられている。また、自転車後方には、自転車を後側から見た際に反射するリフレクタ14が設けられ、自転車前方には、前照灯15が設けられているとする。なお、リフレクタ13は、左右のペダルの前後および外側にそれぞれ設けられているとする。
【0027】
被衝突物体検出ユニット1は、CCDカメラで撮像した車両前方の画像に画像処理を施し、被衝突物体に設けられたリフレクタの反射光の位置と挙動によって被衝突物体の識別を行う。例えば、被衝突物体検出ユニット1は、リフレクタ10の反射光が地面に近い位置で左右に振られる挙動を示した場合に、被衝突物体が歩行者であると判断するとともに、歩行者の進行方向を判断する。
【0028】
被衝突物体検出ユニット1は、ほぼ静止した状態のリフレクタ14の反射光とそれぞれ交互に上下動する2つのリフレクタ13の反射光とを検出した場合に、その相対位置関係から、被衝突物体が自転車であると判断するとともに、自転車の進行方向が車両の前方向、つまり衝突位置が自転車後部となると判断する。また、被衝突物体検出ユニット1は、2つのリフレクタ11,12の反射光がそれぞれ円軌道を描くとともに、リフレクタ13の反射光がリフレクタ11,12の反射光による円軌道のほぼ中間で円軌道を描く場合に、被衝突物体が自転車であり、衝突位置が自転車の側面となると判断する。さらに、リフレクタ11,12,13の反射光の回転方向から自転車の進行方向が車両に対して右方向か左方向かを検出する。さらに、被衝突物体検出ユニット1は、それぞれ交互に上下動する2つのリフレクタ13の反射光と前照灯15とを検出した場合に、その相対位置関係から、被衝突物体が自転車であると判断するとともに、自転車の進行方向が車両の後方向、つまり衝突位置が自転車前部となると判断する。
【0029】
被衝突物体検出ユニット1は、リフレクタ11,12,13の反射光が楕円軌道を描く場合には、被衝突物体である自転車が車両先端に対して斜めを向いていると判断し、楕円軌道の回転方向から自転車の進行方向を判断する。
【0030】
図9(a)〜(c)に、被衝突物体である自転車の進行方向と車両の位置関係を示す。図9(a)は、車両と自転車前面との衝突を示し、このときの自転車の進行方向を0°あるいは360°とする。図9(b)は、車両と自転車側面との衝突を示し、このときの自転車の進行方向を90°あるいは270°とする。図9(c)は、車両と自転車後面との衝突を示し、このときの自転車の進行方向を180°とする。
【0031】
なお、被衝突物体検出ユニット1において被衝突物体を識別する際には、リフレクタの反射光を検出しなくてもよい。例えば、CCDカメラによって撮像された車両前方の画像を画像処理し、生成した画像データを解析することによって、被衝突物体の識別とその進行方向の判定を行うことができる。
【0032】
制御ユニットは、上述したように被衝突物体検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2の検出結果から車両と被衝突物体との衝突を事前に予測する。しかし、被衝突物体検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2の検出結果から車両と被衝突物体との衝突が予測されない場合にも、加速度センサ3によって検出される車両の減速度の変化から、車両と被衝突物とが衝突したか否かを逐次判断する。加速度センサ3の検出結果から車両と被衝突物との衝突が判断された場合には、制御ユニット7は、衝突時の車両の減速度波形から、被衝突物の識別を行うことができる。図10に、衝突時の車両の減速度Gの時間的変化を示す減速度波形の一例を示す。この減速度波形は、予め実験等により設定し、制御ユニット7の不図示のメモリに記憶させておく。
【0033】
図10に示すように、被衝突物が何であるかによって減速度波形が異なり、衝突した瞬間の車両の減速度Gを0とすると、その後の減速度Gのピーク値およびピークが発生するタイミングが異なる。図10において、波形Aは、車両が他の車両、ガードレールあるいは壁等のある程度強度をもった物体と衝突した場合の減速度波形を示す。波形Bは、車両と歩行者との衝突、波形Cは、車両と自転車側面との衝突、波形Dは、車両と自転車前面との衝突、波形Eは、車両と自転車後面との衝突時の減速度波形をそれぞれ示す。
【0034】
図10からわかるように、波形Aのピーク値は、波形B〜Eのピーク値に比べてはるかに高い値を示す。これにより、制御ユニット7は、加速度センサ3によって波形Aに示すような減速度Gが検出された場合は、被衝突物体はある程度強度を持った物体であって、歩行者や自転車および自動二輪車乗員ではないと判断する。この場合は、運転者等を保護するために車室内部でエアバッグ等を展開させる。
【0035】
また、波形A(剛体)を除いて、減速度Gのピークが発生するタイミングは、波形B(歩行者)、波形C(自転車側突)、波形D(自転車前突)の順となる。波形E(自転車後突)の場合、減速度Gのピーク値は他の波形A〜Dに比べて最も低い値を示す。減速度Gは、歩行者あるいは自転車等の乗員が車両先端に衝突した時点でピークを発生させるため、歩行者に衝突した場合の波形Bで発生するピークのタイミングが最も早くなっている。車両が自転車等に衝突した場合は、自転車が車両先端で払われた後、乗員が衝突することになるので、歩行者が衝突した場合に比べてピークの発生するタイミングが遅くなる。また、車両が自転車等の後面に衝突した場合には、乗員の腰部が車両のフード上に乗りあげてフード上をスライドするため、減速度Gのピークを発生しにくい。
【0036】
制御ユニット7は、加速度センサ3で検出される減速度Gの波形に応じて、車両と衝突した被衝突物体が歩行者であるか、自転車の側面であるか、自転車の前面であるか、自転車の後面であるかを判断する。
【0037】
以上、本発明の第1の実施の形態による車両用保護装置の構成、および被衝突物体の識別方法について説明した。
【0038】
つぎに、以上説明した構成を有する車両用保護装置の動作について、図11のフローチャートを用いて説明する。図11は、本発明の第1の実施の形態による車両用保護装置の制御ユニット7で行われる制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0039】
まず、ステップS101で、被衝突物体検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2から、車速Va、車両の進行方向、被衝突物体の移動速度Vbおよび車両と被衝突物体との相対位置関係、さらに加速度センサ3から、自車両の減速度を読み込む。ステップS102で、ステップS101で読み込んだ検出結果から車両と被衝突物体との衝突が予測されるか否かを判定する。ステップS102で、被衝突物体との衝突が予測されると肯定判定されると、ステップS104へ進む。一方、ステップS102が否定判定されると、ステップS103へ進み、ステップS101で読み込んだ減速度Gの減速度波形から車両が被衝突物体と衝突したか否かを判定する。ステップS103が肯定判定されると、ステップS104へ進み、ステップS103が否定判定されると、ステップS101へ戻る。
【0040】
ステップS104では、被衝突物体検出ユニット1において事前に被衝突物体の識別および被衝突物体の情報の取得ができたか否かを判定する。ここで、被衝突物体検出ユニット1は、上述したように歩行者の靴に装着されたリフレクタや自転車に設けられたリフレクタの反射光を検出することによって、被衝突物体が歩行者であるか、あるいは自転車や自動二輪車であるかの識別を行うとともに、被衝突物体の情報、つまり被衝突物体の向き、移動速度Vb、および地面から被衝突物体の頭頂までの高さH1の検出を行う。ステップS104で、事前に被衝突物体の識別および情報の取得ができなかったと判定されると、ステップS105へ進む。
【0041】
ステップS105では、ステップS103で用いた減速度波形から、衝突物体が歩行者であるか自転車であるかの識別および自転車の向きの検出ができたか否かを判定する。ステップS105が肯定判定されると、ステップS106Aへ進む。一方、ステップS105が否定判定されると、減速度Gは検出されたが、衝突はなかったとしてステップS101へ戻る。
【0042】
ステップS106で、車両姿勢検出ユニット2から、衝突直前の車速Va、および地面からフード先端までの高さH2を読み込む。図13に示すように、車両はブレーキを掛けた際には車両先端、つまりフード先端が沈み込むピッチング挙動を示す。このピッチング挙動によるフード高さの変化量はブレーキの強さや車速によって異なるため、車高センサによって逐次検出する。
【0043】
ステップS107で、車速Vaと被衝突物体の移動速度Vbとから、車両と被衝突物体との相対速度Vrを算出する。なお、相対速度Vrが速いほど被衝突物体は車両後方側に二次衝突する。ステップS108で、車両のフード高さH2および被衝突物体の頭頂までの高さH1から、車両と被衝突物体との相対高さHrを算出する(図3参照)。なお、相対高さHrが大きいほど、被衝突物体は車両後方側で二次衝突する。
【0044】
ステップS109で、ステップS104で読み込んだ被衝突物体の識別結果、被衝突物体の向き、ステップS107、ステップS108で算出された車両と被衝突物体との相対速度Vrおよび相対高さVrから、被衝突物体の二次衝突の位置およびタイミングを予測する。二次衝突の位置およびタイミングの予測については後述する。
【0045】
ステップS110で、ステップS109で予測した被衝突物体の二次衝突の位置およびタイミングから、挙動コントロールバッグ4を展開するか否かを判定する。ステップS110が肯定判定されると、ステップS111へ進み、被衝突物体検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2のセンシング結果に基づいて、挙動コントロールバッグ4の内圧を決定する。ステップS112では、ステップS111で決定された内圧となるよう挙動コントロールバッグ4のインフレータを着火し、挙動コントロールバッグ4を展開させる。その後ステップS113へ進む。一方、ステップS110が否定判定されると、ステップS113へ進む。
【0046】
ステップS113では、ステップS109で予測した被衝突物体の二次衝突の位置およびタイミングから、ポップアップフード21で被衝突物体の挙動を制御させるか否かを判定する。ステップS113が肯定判定されると、ステップS114へ進み、被衝突物体検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2のセンシング結果に基づいて、ポップアップフード21の4つのアクチュエータ6の各駆動量および駆動タイミングを決定する。図12のステップS115で、ポップアップフード21の作動タイミング時間を経過したか否かを判定する。ステップS115が肯定判定されると、ステップS116でポップアップフード21を作動させる。その後、ステップS117へ進む。一方、ステップS113が否定判定された場合は、ステップS121へ進む。
【0047】
ステップS117では、ステップS109で予測した被衝突物体の二次衝突の位置およびタイミングから、ピラーバッグ5を展開するか否かを判定する。ステップS117が肯定判定されると、ステップS118へ進み、被衝突物体検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2のセンシング結果に基づいて、ピラーバッグ5の展開タイミング、展開位置および内圧を決定する。ステップS119で、ピラーバッグ5の展開タイミング時間を経過したか否かを判定する。ステップS119が肯定判定されると、ステップS120へ進んでピラーバッグ5を展開する。一方、ステップS117が否定判定されると、ピラーバッグ5を展開させずに処理を終了する。
【0048】
ステップS121では、ステップS109で予測した被衝突物体の二次衝突の位置およびタイミングから、ポップアップフード21で被衝突物体のエネルギを吸収させるか否かを判定する。ステップS121が肯定判定されると、ステップS122へ進み、被衝突物体検出ユニット1および車両姿勢検出ユニット2のセンシング結果に基づいて、ポップアップフード21の4つのアクチュエータ6の各駆動量および駆動タイミングを決定する。その後、ステップS115へ進む。一方、ステップS121が否定判定されると、ポップアップフード21を作動させずに、ステップS117へ進む。
【0049】
一方、ステップS105が肯定判定されてステップS106Aへ進むと、車両姿勢検出ユニット2から、衝突直前の車速Va、および地面からフード先端までの高さH2を読み込む。すでに車両と被衝突物体とは衝突しているため挙動コントロールエアバッグ4の展開は行わず、ステップS113へ進む。
【0050】
つぎに、上述したステップS109で行われる被衝突物体の二次衝突の位置およびタイミングの予測について説明する。まず、被衝突物体が自転車あるいは自動二輪車の乗員であると識別された場合の二次衝突位置およびタイミングの予測について説明する。なお、説明を容易にするため被衝突物体が自転車であるとする。図14に、自転車の移動方向と二次衝突のタイミングとの関係を示し、図15に、自転車の移動方向と二次衝突の位置との関係を示す。
【0051】
図14の横軸は自転車の移動方向を車両に対する角度で示し、縦軸を二次衝突のタイミングとする。なお、図9(a)〜(c)に示したように、車両に対する自転車の進行方向が0°,360°の場合に車両と自転車前面との衝突、進行方向が90°,270°の場合に自転車側面との衝突、進行方向が180°の場合に自転車の後面との衝突とする。
【0052】
図14に示すように、自転車の進行方向が0°から90°まで変化するにつれて二次衝突のタイミングは徐々に早くなり、自転車の進行方向が90°から180°まで変化するにつれて二次衝突のタイミングは徐々に遅くなり、自転車の進行方向が180°から270°まで変化するにつれて二次衝突のタイミングは徐々に早くなり、自転車の進行方向が270°から360°まで変化するにつれて二次衝突のタイミングは徐々に遅くなる。
【0053】
なお、自転車の進行方向が90°あるいは270°の場合に二次衝突のタイミングが最も早くなり、自転車の進行方向が180°の場合に二次衝突のタイミングが最も遅くなる。さらに、車両と被衝突物体との相対速度が大きくなるほど、二次衝突のタイミングが遅くなる。(V1>V2)
【0054】
なお、図14の縦軸に示す被衝突物体の二次衝突のタイミングは、ピラーエアバッグ5を展開させるタイミングに対応する。つまり、制御ユニット7は、車両と衝突する直前あるいは衝突した瞬間の自転車の進行方向から、自転車乗員の頭部の二次衝突のタイミングを予測し、このタイミングに合わせてピラーエアバッグ5を展開させる。これにより、被衝突物体の二次衝突のエネルギを最大限吸収することができる。
【0055】
図15の横軸は自転車の進行方向を示し、縦軸を二次衝突の位置とする。図15に示すように、自転車の進行方向が0°から90°まで変化するにつれて二次衝突の位置は徐々に車両前方側になり、自転車の進行方向が90°から180°まで変化するにつれて二次衝突の位置は徐々に車両後方側になり、自転車の進行方向が180°から270°まで変化するにつれて二次衝突の位置は徐々に車両前方側になり、自転車の進行方向が270°から360°まで変化するにつれて二次衝突の位置は徐々に車両後方側になる。
【0056】
なお、自転車の進行方向が0°あるいは360°の場合に二次衝突の位置が最も車両先端から遠くなり、自転車の進行方向が90°あるいは270°の場合に二次衝突の位置が最も車両先端に近くなる。さらに、車両と被衝突物体との相対速度が大きくなるほど、二次衝突の位置が遠くなる。(V1>V2)
【0057】
なお、図15の縦軸に示す被衝突物体の二次衝突の位置は、ピラーエアバッグ5を展開させる位置に対応する。つまり、制御ユニット7は、車両と衝突する直前あるいは衝突した瞬間の自転車の進行方向から、自転車乗員の頭部の二次衝突の位置を予測し、この位置に対応するピラーエアバッグ5を展開させる。これにより、被衝突物体の二次衝突のエネルギを最大限吸収することができる。
【0058】
図16(a)、(b)に、被衝突物体(ここでは歩行者とする)の高さによる二次衝突の位置を示す。図16(a)の歩行者xの地面から頭頂までの高さをHxとし、図16(b)の歩行者yの頭頂までの高さをHyとする。車両のフード高さをともにH2とすると、Hx>Hyであるので、歩行者xおよび歩行者yの車両フードに対する相対高さHxr(=Hx−H2)、Hyr(=Hy−H2)は、Hxr>Hyrとなる。図16(a)、(b)に示すように、車両のフードに対する相対高さが大きいほど、被衝突物体の頭部の二次衝突位置が車両先端から遠くなる。また、相対高さが大きくなるほど二次衝突の位置が遠くなることに伴って、二次衝突のタイミングも遅くなる。
【0059】
つまり、制御ユニット7は、被衝突物体の地面から頭頂までの高さと車両のフード高さとを検出し、相対高さを算出することによって、被衝突物体の二次衝突の位置およびタイミングを予測することができる。そこで、予測される二次衝突に位置およびタイミングに合わせてピラーエアバッグ5を展開させる。これにより、被衝突物体の二次衝突のエネルギを最大限吸収することができる。なお、これは車種あるいは車両の状態によってフード高さが異なる場合も同様である。図17、図18に、車両のフード高さに対する二次衝突のタイミングおよび位置との関係を示す。車両のフード高さは、スポーツカーやセダン等の車種によって異なるとともに、制動時のピッチング挙動によっても異なるものである。なお、制動時の減速度が大きいほど車両のフード高さは低くなる。上述したように、第1の実施の形態においては車高センサによって車両のフード高さを逐次検出している。
【0060】
図17の横軸は、車両のフード高さを示し、縦軸は二次衝突のタイミングを示す。図17に示すように、車両のフード高さが高くなるほど二次衝突のタイミングは早くなる。これは、フード高さと被衝突物体の頭頂までの高さとの相対高さが小さくなるほど二次衝突のタイミングが早くなることと同じである。また、車両と被衝突物との相対速度が大きくなるほど、二次衝突のタイミングは遅くなる(V1>V2)。制御ユニット7は、車両のフード高さが高くなるほどピラーエアバッグ5を早いタイミングで展開させる。これにより、被衝突物体の二次衝突のエネルギを効果的に吸収することができる。
【0061】
図18の横軸は、車両のフード高さを示し、縦軸は二次衝突の位置を示す。図18に示すように、車両のフード高さが高くなるほど二次衝突の位置が車両先端に近くなる。これは、フード高さと被衝突物体の頭頂までの高さとの相対高さが小さくなるほど二次衝突の位置が車両先端に近くなることと同じである。制御ユニット7は、車両のフード高さが高くなるほどピラーエアバッグ5を車両先端近くで展開させる。これにより、被衝突物体の二次衝突のエネルギを効果的に吸収することができる。
【0062】
図16〜図18に示すように、制御ユニット7は、車両と被衝突物体との相対高さが小さく、また相対速度が小さくなるほど、車両の先端付近でピラーエアバッグ5を展開させるとともに、展開タイミングを早くする。
【0063】
図19に、被衝突物体が最初に車両に衝突したときの車両先端の車幅方向の衝突位置とピラーエアバッグ5の車幅方向の展開位置との関係を示す図である。制御ユニット7(車幅方向衝突位置検出手段)は、被衝突物体検出ユニット1で検出された車両と被衝突物体との相対位置に基づいて、被衝突物体が車両先端の車幅方向のどの位置に衝突するかを予測し、これに対応する位置でピラーエアバッグ5を展開させる。つまり、最初の衝突が車両先端の右側であるときは、二次衝突も車両の右側となると予測し、車両右側に配置されたピラーエアバッグ5を展開させる。
【0064】
以上説明したように、制御ユニット7は、車両に衝突する被衝突物体が何であるかを識別し、その移動方向や高さを衝突事前に検出することによって、被衝突物体の状態に応じて、二次衝突の際に被衝突物体のエネルギを最大限吸収できるようにエネルギ吸収部材を作動させる。図20,図21に、以上説明した被衝突物体とエネルギ吸収部材として作動させるピラーエアバッグ5の展開タイミングと展開位置との関係をマトリックス化して段階的に示す。
【0065】
図20に、被衝突物体の状態とピラーエアバッグ5の展開タイミングとの関係を示す。図20において、図中の数字が大きくなるほどピラーエアバッグ5の展開タイミングが遅いことを示す。被衝突物体を、背の高い歩行者、背の低い歩行者、自転車側面、自転車前面、および自転車後面に分類し、車両の高さを低、中、高の3段階に分類すると、車高の高い車両と背の低い歩行者との衝突の際に、最も早くピラーエアバッグ5を展開させる。また、車高の低い車両と自転車後面との衝突の際に、最も遅くピラーエアバッグ5を展開させる。図20に示すように、制御ユニット7は、背の低い歩行者、背の高い歩行者、自転車側面、自転車前面、自転車後面の順にピラーエアバッグ5を展開させるタイミングを遅く設定する。ただし、車高の高い車両と自転車後面との衝突の際には、自転車乗員の腰部がフロントグリル部周辺と干渉した後、すぐに二次衝突するので、自転車前面に衝突した場合に比べてピラーエアバッグ5の展開タイミングを若干早く設定する。
【0066】
図21に、被衝突物体の状態とピラーエアバッグ5の展開位置との関係を示す。図中の▲1▼〜▲5▼は、図3に示すフード先端からウィンドシールド上端までの範囲を5つに分割した領域▲1▼〜▲5▼に対応する。背の低い歩行者と車高の高い車両と背の低い歩行者との衝突の際に、最もフード先端に近い領域▲1▼でピラーエアバッグ5を展開させる。また、車高の低い車両と自転車側面、前面あるいは後面との衝突の際に、最も遠い領域▲4▼〜領域▲5▼でピラーエアバッグ5を展開させる。図21に示すように、制御ユニット7は、背の低い歩行者、背の高い歩行者、自転車側面、自転車前面、自転車後面の順にピラーエアバッグ5を展開させる位置を車両後方側に設定する。ただし、車高の高い車両と自転車後面との衝突の際には、自転車前面に衝突した場合に比べてピラーエアバッグ5の展開位置を若干フード先端よりに設定する。
【0067】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態による車両用保護装置は、車両と被衝突物体との衝突を事前に検知し、被衝突物体が歩行者であるか、自転車や自動二輪車であるかを識別するとともに、被衝突物体の進行方向や地面から頭頂までの高さ等の特徴を衝突事前に検出する。これらの情報を衝突事前に検出することにより、挙動エアバッグ、ポップアップフードおよびピラーエアバッグ等のエネルギ吸収部材を作動させる最適なタイミングおよび位置を予測し、被衝突物体の二次衝突の際の衝突のエネルギを最大限吸収することができる。
【0068】
とくに、被衝突物体が自転車や自動二輪車である場合、自転車や自動二輪車が車両に対してどちらの方向を向いているかによって、二次衝突のタイミングや位置が異なる。本発明の第1の実施の形態による車両用保護装置においては、自転車や自動二輪車の進行方向に応じてピラーエアバッグ5の展開タイミングおよび/または展開位置を設定するようにしたので、より効果的に二次衝突の際のエネルギを吸収することができる。
【0069】
また、被衝突物体が歩行者である場合には、歩行者の身長に応じて、つまり、歩行者と車両フード高さとの相対高さに応じて、ピラーエアバッグ5の展開タイミングおよび/または展開位置を設定するようにしたので、より効果的に二次衝突の際のエネルギを吸収することができる。なお、この関係は被衝突物体が歩行者以外の場合でも適用することができる。つまり、被衝突物体の種類に関わらず、車高が高いほど、ピラーエアバッグ5の展開タイミングを早く設定するとともに、展開位置をフード先端に近く設定する。これにより、被衝突物体の二次衝突時のエネルギを最大限吸収することができる。
【0070】
また、車両と被衝突物体との相対速度を事前に検出することによって、とくに、相対速度が速い場合には挙動コントロールエアバッグ4を展開させて相対速度を減少させることにより、二次衝突時のエネルギを最も吸収することができる領域で被衝突物体が二次衝突するよう制御することができる。また、その領域でピラーエアバッグ5を展開させるようにすれば、さらに効率的にエネルギを吸収することができる。フード21の4隅にアクチュエータ6を配置することによっても、衝突後にフード上をスライドする被衝突物体の挙動を制御し、最もエネルギを吸収する領域で被衝突物体が二次衝突するように制御することができる。また、フード21自体をエネルギ吸収部材として機能させることもできる。
【0071】
さらに、車両と被衝突物体との衝突を事前に検知することができなかった場合でも、加速度センサによって衝突時の減速度波形を検出し、減速度波形のピーク発生のタイミングとそのピーク値から被衝突物体との衝突および被衝突物の識別や被衝突物の進行方向を検出することができる。これにより、被衝突物体の識別等を事前に行えなかった場合でも、適切なタイミングおよび位置でピラーバッグ5を展開させることができ、被衝突物体の二次衝突のエネルギを効率的に吸収することができる。
【0072】
《第2の実施の形態》
上述した第1の実施の形態においては、車両に設けられた被衝突物体検出ユニット1によって被衝突物体の識別、進行方向、および移動速度の検出を行った。
しかし、交差点等に設置された交差点カメラ等のインフラから被衝突物体の情報を取得するようにしてもよい。ここで、車両はインフラからの情報を取得するためのインフラ受信機を備えているものとする。
【0073】
図22に、交差点カメラ31,右折中の車両および横断中の自転車の位置関係を示す。交差点カメラ31で撮像された交差点内の画像は、瞬時に画像解析され、被衝突物体が歩行者であるか、自転車あるいは自動二輪車であるかの識別、進行方向および移動速度が検出され、無線で車両に送信される。車両は不図示のインフラ受信機によりこれらの情報を受信すると、上述したように制御ユニット7でエネルギ吸収部材の作動タイミングや作動位置を設定する。
【0074】
これにより、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、車両に配置された被衝突物検出ユニット1で被衝突物体を検出しない場合や、作動不良の場合でも、確実にピラーエアバッグ5や挙動コントロールバッグ4等のエネルギ吸収部材を作動させることができる。また、交差点カメラ31が被衝突物体検出ユニット1と同様の機能を果たすため、被衝突物体検出ユニット1を省略してもよい。ただし、被衝突物体検出ユニット1と交差点カメラ31とを用いることにより、より確実に被衝突物体の識別および情報検出を行うことができ、より効果的にエネルギ吸収部材を作動させることができる。
【0075】
なお、交差点カメラ31において撮像された画像を、車両に搭載された画像処理ユニットで画像処理してもよいし、基地局などで画像処理された情報を車両側で受信するように構成してもよい。
【0076】
《第3の実施の形態》
上述した第1の実施の形態においては、制動時のピッチング挙動によって変動する車両のフード高さに応じて、ピラーエアバッグ5等の展開位置および展開タイミングを設定することを説明した。車両によっては、図23(a)、(b)に示すように走行中の路面状態や車速に応じて車高、つまり車体全体の高さを調節可能な車高調節装置を備えているものがある。このように走行状態に応じて車高を調節可能な車両の場合にも、車高センサによって車両のフード高さを逐次検出し、被衝突物体が何であるか、またその進行方向等によって図20,図21に示すようにピラーエアバッグ5の展開タイミングと展開位置を設定する。
【0077】
これにより、走行状態に応じて車高を調節可能な車両においても、上述した実施の形態と同様に、被衝突物体の二次衝突のエネルギを最大限吸収するようにエネルギ吸収部材を作動させることができる。
【0078】
以上、本発明の車両用保護装置について詳細に説明したが、本発明による車両用保護装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、制御ユニット7においてエネルギ吸収部材の作動タイミングと作動位置とを制御するようにしたが、作動タイミングのみを制御して作動位置は一定としてもよい。一方、エネルギ吸収部材の作動位置を制御して作動タイミングを一定としてもよい。また、被衝突物体の地面からの高さを検出せずに、高さを一定としてエネルギ吸収部材の作動タイミングや作動位置を制御することもできる。
【0079】
また、エネルギ吸収部材も上述した挙動コントロールエアバッグ、ピラーエアバッグあるいはポップアップフードに限定されることなく、被衝突物体の衝突エネルギを適切に吸収できるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における車両用保護装置の構成を示す図。
【図2】(a)、(b)は、フード高さ調節用アクチュエータを駆動した場合のフードの状態を示す図。
【図3】 車両のフード先端からウィンドシールド上端までを5つの領域に分割した図。
【図4】(a)は、ポップアップフードを作動しない場合の被衝突物体の挙動を示す図、(b)は、ポップアップフードを作動した場合の被衝突物体の挙動を示す図。
【図5】 エアバッグの複数のインフレータを示す図。
【図6】(a)は、挙動コントロールエアバッグを展開しない場合の被衝突物体の挙動を示す図、(b)は、挙動コントロールエアバッグを展開した場合の被衝突物体の挙動を示す図。
【図7】(a)〜(f)は、ピラーエアバッグの展開位置を示す図。
【図8】(a)は、歩行者の靴に装着されるリフレクタを示す図、(b)は、自転車の側面に配置されるリフレクタを示す図、(c)は、自転車の後面に配置されるリフレクタの図、(d)は、自転車の前面に配置されるリフレクタと前照灯を示す図。
【図9】(a)〜(c)は、車両に対する自転車の進行方向を示す図。
【図10】 被衝突物体毎の衝突時の減速度波形を示す図。
【図11】 本発明の第1の実施の形態による制御ユニットにおける制御履手順を示すフローチャート。
【図12】 本発明の第1の実施の形態による制御ユニットにおける制御履手順を示すフローチャート。
【図13】 車両制動時のピッチング挙動による車高フード高さの変化を示す図。
【図14】 自転車の進行方向とピラーエアバッグの展開タイミングとの関係を示す図。
【図15】 自転車の進行方向とピラーエアバッグの展開位置との関係を示す図。
【図16】(a)は、身長の高い歩行者の二次衝突位置を示す図、(b)身長の低い歩行者の二次衝突位置を示す図。
【図17】 車高とピラーエアバッグの展開タイミングとの関係を示す図。
【図18】 車高とピラーエアバッグの展開位置との関係を示す図。
【図19】 車両の先端の車幅方向の衝突位置と、ピラーエアバッグの車幅方向の展開位置との関係を示す図。
【図20】 被衝突物体の種類および車高に応じたピラーエアバッグの展開タイミングをマトリックス化して示した図。
【図21】 被衝突物体の種類および車高に応じたピラーエアバッグの展開位置をマトリックス化して示した図。
【図22】 本発明の第2の実施の形態における交差点カメラの配置された交差点を示す図。
【図23】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態における車高を変更可能な車両を示す図。
【符号の説明】
1:被衝突物体検出ユニット
2:車両姿勢検出ユニット
3:加速度センサ
4:挙動コントロールエアバッグ
5:ピラーエアバッグ
6:フード高さ調節用アクチュエータ
7:制御ユニット
10〜14:リフレクタ
15:前照灯
31:交差点カメラ
Claims (15)
- 車両に衝突する被衝突物体の移動方向を検出する被衝突物体検出手段と、
車両外側方向に突出し、被衝突物体が前記車両に衝突する際のエネルギを吸収するエネルギ吸収手段と、
前記被衝突物体検出手段で検出された前記被衝突物体の移動方向に基づいて、前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記車両の先端部分に衝突するときの前記被衝突物体の移動方向が前記車両の後方向の場合に前記被衝突物体の移動方向を0°とし、前記被衝突物体の移動方向が前記車両の前方向の場合に前記被衝突物体の移動方向を180°とし、前記被衝突物体から前記車両の先端部分を見た場合に前記被衝突物体の移動方向が前記車両の左方向の場合に90°、前記車両の右方向の場合に270°とすると、前記被衝突物体検出手段で検出される前記被衝突物体の移動方向が0°から90°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、前記被衝突物体の移動方向が90°から180°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くし、前記被衝突物体の移動方向が180°から270°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、前記被衝突物体の移動方向が270°から360°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くするよう制御するとともに、前記被衝突物体の移動方向が180°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングが、前記被衝突物体の移動方向が0°あるいは360°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングよりも遅くなるよう制御し、
前記エネルギ吸収手段は、前記車両のピラー付近に設けられるピラーエアバッグであることを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項1に記載の車両用保護装置において、
前記車両の車高を検出する車高検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記被衝突物体の移動方向に基づく制御に加えて、前記車高検出手段で検出される前記車高が高くなるほど、前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを早くするように制御することを特徴とする車両用保護装置。 - 車両に衝突する被衝突物体の移動方向を検出する被衝突物体検出手段と、
車両外側方向に突出し、被衝突物体が前記車両に衝突する際のエネルギを吸収するエネルギ吸収手段と、
前記被衝突物体検出手段で検出された前記被衝突物体の移動方向に基づいて、前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記車両の先端部分に衝突するときの前記被衝突物体の移動方向が前記車両の後方向の場合に前記被衝突物体の移動方向を0°とし、前記被衝突物体の移動方向が前記車両の前方向の場合に前記被衝突物体の移動方向を180°とし、前記被衝突物体から前記車両の先端部分を見た場合に前記被衝突物体の移動方向が前記車両の左方向の場合に90°、前記車両の右方向の場合に270°とすると、前記被衝突物体検出手段で検出される前記被衝突物体の移動方向が0°から90°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に前記車両先端側とし、前記被衝突物体の移動方向が90°から180°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に前記車両先端から遠くし、前記被衝突物体の移動方向が180°から270°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とし、前記被衝突物体の移動方向が270°から360°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を前記車両先端から徐々に遠くするよう制御するとともに、前記被衝突物体の移動方向が180°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を、前記被衝突物体の移動方向が0°あるいは360°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させる位置よりも前記車両先端側になるよう制御し、
前記エネルギ吸収手段は、前記車両のピラー付近に設けられるピラーエアバッグであることを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項3に記載の車両用保護装置において、
前記車両の車高を検出する車高検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記被衝突物体の移動方向に基づく制御に加えて、前記車高検出手段で検出される前記車高が高くなるほど、前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とするよう制御することを特徴とする車両用保護装置。 - 車両に衝突する被衝突物体の移動方向を検出する被衝突物体検出手段と、
車両外側方向に突出し、被衝突物体が前記車両に衝突する際のエネルギを吸収するエネルギ吸収手段と、
前記被衝突物体検出手段で検出された前記被衝突物体の移動方向に基づいて、前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングおよび位置を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記車両の先端部分に衝突するときの前記被衝突物体の進行方向が前記車両の後方向の場合に前記被衝突物体の進行方向を0°とし、前記被衝突物体の移動方向が前記車両の前方向の場合に前記被衝突物体の進行方向を180°とし、前記被衝突物体から前記車両の先端部分を見た場合に前記被衝突物体の移動方向が前記車両の左方向の場合に90°、前記車両の右方向の場合に270°とすると、前記被衝突物体検出手段で検出される前記被衝突物体の進行方向が0°から90°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、前記被衝突物体の進行方向が90°から180°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くし、前記被衝突物体の進行方向が180°から270°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に早め、前記被衝突物体の進行方向が270°から360°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを徐々に遅くするよう制御するとともに、前記被衝突物体の進行方向が180°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングが、前記被衝突物体の進行方向が0°あるいは360°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングよりも遅くなるよう制御し、さらに、前記被衝突物体の進行方向が0°から90°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に前記車両先端側とし、前記被衝突物体の進行方向が90°から180°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を前記車両先端から徐々に遠くし、前記被衝突物体の進行方向が180°から270°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とし、前記被衝突物体の進行方向が270°から360°まで変化するにつれて前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を前記車両先端から徐々に遠くするよう制御するとともに、前記被衝突物体の進行方向が180°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させる位置が、前記被衝突物体の進行方向が0°あるいは360°の場合に前記エネルギ吸収手段を作動させる位置よりも前記車両先端側になるよう制御し、
前記エネルギ吸収手段は、前記車両のピラー付近に設けられるピラーエアバッグであることを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項5に記載の車両用保護装置において、
前記車両の車高を検出する車高検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記被衝突物体の移動方向に基づく制御に加えて、前記車高検出手段で検出される前記車高が高くなるほど、前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを早くするように制御し、さらに、前記車高検出手段で検出される前記車高が高くなるほど、前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を徐々に車両先端側とするよう制御することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記被衝突物体が前記車両先端の車幅方向においてどの位置に衝突するかを検出する車幅方向衝突位置検出手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記車幅方向衝突位置検出手段で検出される衝突位置に基づいて、前記エネルギ吸収手段を作動させる車幅方向の位置を制御することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記車両先端近辺に設けられ、前記車両の加減速度を検出する加速度検出器をさらに有し、
前記制御手段は、前記加速度検出器によって検出される前記車両の衝突時の減速度波形に基づいて、前記減速度波形のピークが発生するタイミングおよびピーク時の減速度から、前記被衝突物体の識別を行うとともに、前記被衝突物体の前記車両先端に対する向きを検出することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記被衝突物体検出手段は、前記被衝突物体に設けられたリフレクタの運動や相対位置関係を検出することにより、前記被衝突物体が、歩行者、自転車および自動二輪車の乗員の少なくともいずれかであるかを識別するとともに、前記被衝突物体の移動方向を検出することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
車外カメラからの情報を無線で受信可能な情報受信手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記情報受信手段によって受信された情報に基づいて前記被衝突物体の識別を行うとともにその移動速度および移動方向を検出することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項2、請求項4、および請求項6のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記車高検出手段は、前記車両のピッチング挙動時におけるフード高さを検出することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項2、請求項4、および請求項6のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記車高検出手段は、前記車両が車高を調節可能な車高調節装置を備える場合に、前記車両の車高を検出することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項1,2,5,6のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記車両と前記被衝突物体との相対速度を検出する相対速度検出装置をさらに有し、
前記制御手段は、前記被衝突物体の移動方向および/または前記車高に基づく制御に加えて、前記相対速度検出装置によって検出された相対速度に応じて、前記相対速度が大きくなるほど前記エネルギ吸収手段を作動させるタイミングを遅くするよう制御することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記車両と前記被衝突物体との相対速度を検出する相対速度検出装置をさらに有し、
前記制御手段は、前記被衝突物体の移動方向および/または前記車高に基づく制御に加えて、前記相対速度検出装置によって検出された相対速度に応じて、前記相対速度が大きくなるほど前記エネルギ吸収手段を作動させる位置を前記車両先端から遠くするよう制御することを特徴とする車両用保護装置。 - 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の車両用保護装置において、
前記被衝突物体の相対速度を減少するように前記車両の先端付近に設けられる挙動コントロールエアバッグと、
前記車両のフード高さを調節することで衝撃を吸収するポップアップフードをさらに備えることを特徴とする車両用保護装置。
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