しかしながら、ホッパを給紙ローラへ向けて付勢している付勢手段の付勢力が強いと、その強い付勢力によってホッパカムが従動回転方向へ回転させられてしまって、ホッパの移動速度を十分減速させることができず、ホッパの衝突音を許容可能なレベルまで十分に低減させることができない虞がある。特に大容量の給紙トレイや給紙カセットを搭載する記録装置においては、ホッパの移動量が大きくなるため、必然的にホッパを給紙ローラへ付勢する付勢力も強くしなければならず、それによって、ホッパの衝突音が大きくなってしまう虞がある。ホッパの移動量に応じて大きなホッパカムを設ければホッパの移動速度を十分に減速させることも可能ではあるが、小型な記録装置においては、ホッパの移動速度を十分減速させることが可能な大きなホッパカムを配設することがスペース的に困難な場合も多く、ホッパの衝突音を許容可能なレベルまで低減させることが困難であった。また、例えば、付勢手段の付勢力でホッパを移動させるのではなく、モータ等の駆動力源の駆動力でホッパを移動させる構成にすれば、ホッパの衝突音を極めて小さくすることが可能であるが、自動給紙装置のコストが大幅に上昇してしまうことになり、一般的なインクジェット式記録装置においては、とても現実的とは言えない。そして、前述したように、近年は、記録装置から発生する機械音をより低減させることが求められるようになりつつあり、従来以上にホッパの衝突音を低減させることが課題となっている。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ホッパの衝突音を大幅に低減させた自動給紙装置を低コストで実現することにある。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、被記録材にインクを噴射する記録ヘッドを主走査方向へ往復動させる主走査駆動手段と、前記被記録材を副走査方向へ所定の搬送量で搬送する副走査駆動手段とを備えた記録装置において、前記副走査駆動手段へ向けて記録紙を前記被記録材として1枚ずつ自動給紙する自動給紙装置であって、記録紙の給紙方向へ回転する給紙ローラと、該給紙ローラの回転駆動力源と、多数の積重された記録紙を前記給紙ローラに向けて押動する如く移動可能な構成を成し、積重された記録紙の最上位の記録紙表面を前記給紙ローラの外周面へ押圧する方向にホッパ付勢手段によって付勢された状態で配設されたホッパと、前記回転駆動力源の回転力が伝達されて回転し、前記ホッパの移動位置を規制するホッパカムとを備え、前記ホッパに積重された記録紙の最上位の記録紙が前記給紙ローラの外周面に押圧された状態で、前記給紙ローラが給紙方向へ回転することによって、前記給紙ローラの外周面に当接している記録紙が給紙方向へ給紙される構成を有しており、前記ホッパカムは、前記給紙ローラの回転位置が第1の回転位置範囲にある状態においては、前記ホッパに積重された記録紙が前記給紙ローラの外周面から離間する位置まで、前記ホッパ付勢手段の付勢力に略対向する方向へ前記ホッパが押動され、前記給紙ローラの回転位置が第2の回転位置範囲にある状態においては、前記ホッパ付勢手段の付勢力によって、前記ホッパに積重された記録紙の最上位の記録紙が前記給紙ローラの外周面に押圧される位置まで前記ホッパが移動するカムプロフィールを有し、前記給紙ローラの回転位置が前記第2の回転位置範囲にある状態において、前記ホッパ付勢手段による付勢力によって従動回転しようとする前記ホッパカムの回転方向と反対の回転方向へ前記ホッパ付勢手段の付勢力より弱い付勢力で前記ホッパカムを付勢するホッパカム付勢手段を備えている、ことを特徴とした自動給紙装置である。
このように、給紙ローラの回転位置が第2の回転位置範囲にある状態において、ホッパ付勢手段による付勢力によって従動回転しようとするホッパカムの回転方向と反対の回転方向へホッパ付勢手段の付勢力より弱い付勢力でホッパカムを付勢するホッパカム付勢手段を設けることによって、ホッパを給紙ローラへ向けて付勢している付勢手段の強い付勢力でホッパカムを従動回転させようとする力を弱めることができるので、ホッパカムが従動回転方向へ勢い良く回転させられてしまって、大きなホッパの衝突音が発生してしまうことを防止することが可能になる。したがって、大きなホッパカムを設けることなく省スペースかつ低コストにホッパの衝突音を許容可能なレベルまで低減させることが可能になる。
これにより本発明の第1の態様に示した自動給紙装置によれば、大きなホッパカムを設けることなく省スペースかつ低コストにホッパの衝突音を許容可能なレベルまで低減させることが可能になるので、ホッパの衝突音を大幅に低減させた自動給紙装置を低コストで実現することができるという作用効果が得られる。
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記ホッパは、前記ホッパ付勢手段によって付勢された状態で配設された中継揺動体を介して積重された記録紙の最上位の記録紙表面を前記給紙ローラの外周面へ押圧する方向に付勢されており、前記ホッパカムが前記中継揺動体の揺動位置を規制することによって前記ホッパの揺動位置が規制される構成を成している、ことを特徴とした自動給紙装置である。
このように、ホッパとホッパカムとの間に中継揺動体を設け、ホッパ付勢手段で中継揺動体を給紙ローラへ記録紙を押圧する方向へ付勢し、ホッパカムが中継揺動体の揺動位置を規制することによってホッパの揺動位置が規制される構成とすることによって、ホッパカムの大きさを中継揺動体の揺動幅に合わせて設定することができるので、ホッパカムの大きさをホッパの揺動幅より小さくすることが可能になる。それによって、自動給紙装置の小型化が図れるという作用効果が得られる。
また、記録装置に着脱可能に構成された給紙カセットへ記録紙を積重する構成を成す自動給紙装置においては、給紙カセット側にホッパ付勢手段とホッパカムを設けると、ホッパカムへ回転駆動力源の回転を伝達する機構を給紙カセットが着脱可能な状態で設ける必要が生じるので、自動給紙装置の構成が複雑になりコストが上昇してしまう虞がある。そこで、上述したように、ホッパとホッパカムとの間に中継揺動体を設け、ホッパ付勢手段で中継揺動体を給紙ローラへ記録紙を押圧する方向へ付勢し、ホッパカムが中継揺動体の揺動位置を規制することによってホッパの揺動位置が規制される構成として、ホッパ付勢手段の付勢力によって中継揺動体がホッパを押し上げる構成とすることによって、給紙カセット側にホッパのみを揺動可能に配設し、記録装置本体側にホッパカム、ホッパ付勢手段、及び中継揺動体を設けることが可能になり、自動給紙装置の構成を簡略化することでコストを低減させることが可能になる。
本発明の第3の態様は、前述した第1の態様又は第2の態様において、前記ホッパカム付勢手段は、前記給紙ローラの回転位置が前記第2の回転位置範囲にある状態で前記ホッパカムと係合して、前記ホッパカムに前記ホッパ付勢手段による付勢力によって従動回転しようとする方向と反対の回転方向へ付勢力を付加する捻りコイルばねを有している、ことを特徴とした自動給紙装置である。
このように、給紙ローラの回転位置が第2の回転位置範囲にある状態において、ホッパカムと係合してホッパカムに付勢力が付加されるように捻りコイルばねを配設することによって、給紙ローラの回転位置が第2の回転位置範囲にある状態において、ホッパ付勢手段による付勢力によって従動回転しようとするホッパカムの回転力を弱めてホッパの衝突音を低減させることができる。
本発明の第4の態様は、前述した第1の態様〜第3の態様のいずれかにおいて、前記回転駆動力源の回転駆動力が常時伝達されて回転する回転駆動軸と、該回転駆動軸の回転を前記給紙ローラへ伝達するとともに、前記給紙ローラへの前記回転駆動軸の回転伝達をON/OFFする回転クラッチ機構とを備え、前記回転クラッチ機構は、前記給紙ローラへ回転伝達可能に係合している第1の歯車と、前記回転駆動軸へ回転伝達可能に係合している第2の歯車と、前記第1の歯車に揺動可能に配設され、第1の揺動位置において、前記第2の歯車に係合して前記第1の歯車と前記第2の歯車とを回転伝達可能に連結し、第2の揺動位置において、前記第2の歯車から離間して前記第1の歯車と前記第2の歯車との連結を解除するクラッチ部材と、該クラッチ部材を前記第1の揺動位置へ付勢するクラッチ部材付勢手段と、前記回転駆動力源が正転方向へ回転している間は、前記クラッチ部材の外周面に押圧されて摺接し、前記回転駆動力源が反転方向へ回転している間は、前記クラッチ部材の外周面から離間する如く移動可能に配設され、前記クラッチ部材の揺動位置を規定して前記第1の歯車と前記第2の歯車との連結状態を切り換える切換レバーとを有し、前記クラッチ部材が前記第1の揺動位置にある状態では、前記回転駆動力源を正転方向へ回転させ、前記クラッチ部材の外周面の所定位置に形成された突起部と、前記クラッチ部材の外周面に摺接している前記切換レバーとが係合した状態で、さらに前記回転駆動力源を正転方向へ回転させることによって、前記クラッチ部材が前記切換レバーに係止された状態で前記第1の歯車が回転して前記クラッチ部材が前記第1の揺動位置から前記第2の揺動位置へ揺動し、前記クラッチ部材が前記第2の揺動位置にある状態では、前記回転駆動力源を反転方向へ回転させることによって、前記突起部に係合していた前記切換レバーが前記クラッチ部材から離間し、前記クラッチ部材が前記クラッチ部材付勢手段の付勢力によって前記第2の揺動位置から前記第1の揺動位置へ揺動する構成を成しており、前記クラッチ部材が前記第1の揺動位置にある状態において、前記クラッチ部材の外周面に押圧されて摺接している前記切換レバーの押圧方向の移動位置を規制して、前記第1の揺動位置にある前記クラッチ部材が前記切換レバーの押圧力によって前記第2の揺動位置へ揺動してしまうことを防止する切換レバー位置規制手段を備えている、ことを特徴とした自動給紙装置である。
本発明の第4の態様に示した回転クラッチ機構は、第1の歯車が給紙ローラへ回転伝達可能に係合しており、第2の歯車がモータの駆動回転が伝達されて回転するようになっており、この第1の歯車と第2の歯車とが回転伝達可能に係合すると、クラッチON状態となってモータの駆動回転が給紙ローラへ伝達され、第1の歯車と第2の歯車とを離間させると、クラッチOFF状態となってモータの駆動回転が給紙ローラへ伝達されないようになる構成を成している。第1の歯車には、第1の歯車と第2の歯車を係合させるクラッチ部材が揺動可能に軸支されており、第1の歯車と第2の歯車とを係合させる揺動方向へばねによって押圧付勢されている。また、第1の歯車と第2の歯車とが係合しているクラッチON状態で回転しているクラッチ部材の外周面には、第1の歯車と第2の歯車との係合状態を切り換えるための切換レバーが押圧付勢される。第1の歯車と第2の歯車とが係合しているクラッチON状態で給紙ローラが回転して給紙動作が行われ、給紙ローラが略1回転した時点でトリガ部材の外周面に形成されている突起部と切換レバーとが係合し、第1の歯車と第2の歯車とが離間する方向へクラッチ部材が揺動してクラッチOFF状態となる
このような構成の回転クラッチ機構においては、第1の歯車と第2の歯車とを係合させる揺動方向へ押圧付勢されているクラッチ部材の押圧力と、第1の歯車と第2の歯車とが係合しているクラッチON状態で回転しているクラッチ部材の外周面に押圧付勢される切換レバーの押圧力とが対向しており、対向する2つの押圧力のバランスを高い精度で適正に保つ必要がある。クラッチ部材の押圧力が強すぎるとクラッチ部材の突起部と切換レバーとが係合した際に、切換レバーでクラッチ部材を揺動させることができない虞があり、切換レバーの押圧力が強すぎると切換レバーの押圧力でクラッチ部材が揺動してクラッチOFF状態となってしまう虞が生じる。そこで、本発明の第1の態様に示した回転クラッチ機構は、さらに、クラッチ部材の外周面に押圧されて摺接している切換レバーの押圧方向の移動位置を規制して、第1の揺動位置にあるクラッチ部材が切換レバーの押圧力によって第2の揺動位置へ揺動してしまうことを防止する切換レバー位置規制手段が設けられている。それによって、切換レバーの押圧力が強すぎて切換レバーの押圧力でクラッチ部材が揺動してクラッチOFF状態となってしまうことを防止することができる。
これにより本発明の第4の態様に示した自動給紙装置によれば、前述した第1の態様〜第3の態様のいずれかに記載の発明による作用効果に加えて、回転クラッチ機構の対向する2つの押圧力、つまり、第1の歯車と第2の歯車とを係合させる揺動方向へ押圧付勢されているクラッチ部材の押圧力と、第1の歯車と第2の歯車とが係合しているクラッチON状態で回転しているクラッチ部材の外周面に押圧付勢される切換レバーの押圧力とのバランスを高い精度で適正に保たなくても切換レバーの押圧力でクラッチ部材が揺動してクラッチOFF状態となってしまう回転クラッチ機構の誤動作を防止することができるので、回転クラッチ機構の安定した動作を実現することができるという作用効果が得られる。
本発明の第5の態様は、前述した第4の態様において、前記ホッパによって前記給紙ローラの外周面に表面が押圧された記録紙が前記給紙ローラの駆動回転によって給紙方向へ給紙される際に他の記録紙が重なった状態で重送されることを防止する分離手段と、給紙されるべき記録紙から前記分離手段によって分離されて、記録紙が積重されている記録紙収容部から給紙経路へ一部突出した状態の記録紙の先端を記録紙収容部へ向けて押動する如く前記給紙経路へ進出可能に配設された紙戻し揺動体とを備え、前記紙戻し揺動体が前記記録紙収容部から一部突出した状態の記録紙の先端を前記記録紙収容部へ向けて押動する方向へ揺動して前記給紙経路へ進出した揺動位置を紙戻し位置とすると、給紙待機状態には、前記紙戻し揺動体が前記紙戻し位置まで揺動した状態であり、前記給紙ローラが回転し始めて給紙動作が開始されると、前記紙戻し揺動体が前記給紙経路から退避する方向へ揺動し、給紙動作中に前記分離手段によって給紙されるべき記録紙から他の記録紙が分離された後は、前記紙戻し揺動体が給紙されるべき記録紙から分離されて前記記録紙収容部から一部突出した状態の記録紙の先端を前記記録紙収容部へ向けて押動する如く前記紙戻し位置まで揺動した後、一旦前記給紙経路から退避する揺動位置まで揺動してから再び前記紙戻し位置まで揺動して給紙待機状態となる、ことを特徴とした自動給紙装置である。
本発明の第5の態様に示した自動給紙装置の特徴は、紙戻し揺動体が紙戻し位置まで揺動して、分離手段によって給紙すべき記録紙から分離された記録紙を給紙トレイ又は給紙カセット等の記録紙収容部へ押し戻す動作が行われた後、戻し揺動体が一旦記録紙の給紙経路から退避する揺動位置まで揺動してから再び紙戻し位置まで揺動して給紙待機状態となるところである。つまり、1回の給紙動作の間に紙戻し揺動体を紙戻し位置まで揺動させる紙戻し動作が2回行われることである。これによって、給紙経路へ進出した状態の紙戻し揺動体に先端が引っ掛かった状態で記録紙収容部に戻りきらない記録紙を略確実に記録紙収容部へ押し戻すことが可能になる。特に、各構成要素が狭いスペースに集約されて配設されており、紙戻し揺動体の揺動位置が紙戻し位置にある状態おいて、紙戻し揺動体の一部がホッパによる記録紙の押動経路に進出した状態となってしまうような自動給紙装置においては、1回目の紙戻し動作後に紙戻し位置にある揺動体に分離手段によって分離された記録紙の先端が引っ掛かってしまう虞がある。そこで、その状態から一旦紙戻し揺動体を記録紙の給紙経路から退避する揺動位置まで揺動させると、紙戻し揺動体の一部がホッパによる記録紙の押動経路に進出した状態だった紙戻し揺動体がホッパによる記録紙の押動経路の外へ移動するので、紙戻し揺動体に引っ掛かっていた記録紙の先端と紙戻し揺動体とを離間させることができる。そして、その状態から2回目の紙戻し動作を行うことによって、記録紙収容部から給紙ローラの近傍に先端が突出している状態の記録紙を確実に記録紙収容部へ押し戻すことができる。
これにより本発明の第5の態様に示した自動給紙装置によれば、前述した第4の態様に記載の発明による作用効果に加えて、分離手段によって分離された後、記録紙収容部から給紙ローラの近傍に先端が突出している状態の記録紙を2回の紙戻し動作によって確実に記録紙収容部へ押し戻すことができるので、各構成要素が狭いスペースに集約されて配設された自動給紙装置において、紙戻し手段に記録紙が引っ掛かってしまっても確実に紙戻しを行うことができるという作用効果が得られる。
本発明の第6の態様は、前述した第1の態様〜第5の態様のいずれかに記載の自動給紙装置を備えた記録装置である。
本発明の第6の態様に示した記録装置によれば、記録装置において、前述した第1の態様〜第5の態様のいずれかに記載の発明による作用効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、インクジェット式記録装置の斜視図であり、図2は、本体カバーを取り外した状態のインクジェット式記録装置の斜視図である。また、図3、はインクジェット式記録装置の側断面概略図である。図4は、インクジェット式記録装置の各種制御を行う制御部のブロック図である。
まず、図1〜図3を参照しながら本発明に係る「記録装置」としてのインクジェット式記録装置50の概略構成について説明する。インクジェット式記録装置50は、箱形の外観形状を成しており、ビデオテープレコーダ程の大きさに形成されていて、テレビラック等へ収納された状態で使用されることを想定した構成となっている。箱形の本体カバー1の前面中央には、手前に開閉可能なフロントカバー2が設けられており、フロントカバー2を手前に開いた部分の開口部からは、記録が行われた後の記録紙Pが排出されるとともに、DVD等の光記録ディスクDのラベル面に記録を実行する際には、ディスクトレイ7に装着された光記録ディスクDへの記録実行中にインクジェット記録装置50の内部からディスクトレイ7が一時的に突出する構成となっている。また、フロントカバー2は、手前側へ開いた状態で記録が行われた後に排出される記録紙Pを積重するスタッカとなる。フロントカバー2の下側には、記録紙Pを積重するための「記録紙収容部」としての給紙カセット8が設けられており、手前側に引き出した状態で給紙カセット8内に記録紙Pを積重することができるようになっている。また、フロントカバー2の上側にはインクカートリッジユニット15が設けられており、インクカートリッジユニット15には、複数のインクカートリッジ16(図3参照)がインクジェット式記録装置50の幅方向に並んで着脱自在に配設されている。
つづいて、図2を参照しながらインクジェット式記録装置50の内部構成の概略について説明する。インクジェット式記録装置50の基体は、下部シャーシ13、インクジェット式記録装置50の本体の幅方向に延びるメインフレーム11、及びメインフレーム11の両側に配設されたインクジェット式記録装置50の本体の奥行き方向に平行なサイドフレーム右12とサイドフレーム左14で構成されている。サイドフレーム右12とサイドフレーム左14との間には、主走査方向Xと平行にキャリッジガイド軸51とサブキャリッジガイド軸511とが副走査方向Yに所定の間隔を置いて軸支されている。キャリッジガイド軸51及びサブキャリッジガイド軸511は、記録紙Pへインクを噴射する記録ヘッド62を搭載したキャリッジ61を主走査方向Xに往復動可能に支持する為のガイド軸であり、キャリッジガイド軸51はキャリッジ61の後部を挿通し、サブキャリッジガイド軸511はキャリッジ61の前部を下から支持して、これによって、キャリッジ61に搭載された記録ヘッド62(図3)と、記録ヘッド62のヘッド面と対向する記録紙Pとの間の距離(プラテンギャップ:以下「PG」と言う)が規定された状態でキャリッジ61が主走査方向Xに往復動可能に支持される。
つづいて、図2及び図3を参照しながら「被記録材」としての記録紙P及びディスクトレイ7の搬送経路について説明する。
後述する「副走査駆動手段」へ向けて記録紙Pを被記録材として1枚ずつ自動給紙する「自動給紙装置」は、給紙カセット8と給紙ローラ83を備えている。複数枚の記録紙Pが積重される給紙カセット8の底部には、ホッパ81が設けられている。ホッパ81は軸82を揺動軸として揺動可能に配設されており、ホッパ81の上に積重された記録紙Pを下方から押し上げることにより、上部に設けられた給紙ローラ83へ記録紙Pを押圧する。給紙ローラ83は側面視略D形の形状を成し、外周は高摩擦部材(例えば、ゴム材)によって形成されている。記録紙Pの給紙時には給紙ローラ83の円弧部分に当接している最上位の記録紙Pが、給紙ローラ83の回転によって、副走査方向Yへ給紙される。また、「自動給紙装置」は、給紙ローラ83の下部に配設され、ホッパ81によって給紙ローラ83の外周面に表面が押圧された記録紙Pが給紙ローラ83の駆動回転によって給紙方向(副走査方向Y)へ給紙される際に他の記録紙Pが重なった状態で重送されることを防止する「分離手段」としての分離パッド(図示せず)を備えている。分離パッドと給紙ローラ83との間で記録紙Pを挟持した状態で給紙ローラ83を回転させて給紙することにより、給紙されるべき記録紙Pと、重送されようとする他の記録紙Pとが分離されるようになっている。さらに、「自動給紙装置」は、分離パッドによって分離されて記録紙Pが積重されている給紙カセット8の外へ一部突出した状態の記録紙Pを給紙カセット8内へ押し戻すために、その給紙カセット8の外へ一部突出した状態の記録紙Pの先端を給紙カセット8へ向けて押動する如く、給紙ローラ83の下部に給紙経路へ進出可能に配設された「紙戻し揺動体」としての紙戻しレバー(後述)を備えている。
給紙ローラ83の副走査方向Yの下流側には、高摩擦抵抗被膜が外周面に一様に施された搬送駆動ローラ53と、搬送駆動ローラ53へ押圧付勢された状態で従動回転可能に軸支されている搬送従動ローラ54とが配設されており、搬送駆動ローラ53を駆動する「搬送駆動用モータ」としてのPFモータ57、及び搬送駆動ローラ53の回転量を検出する「回転量検出手段」としてのロータリエンコーダ31とで、記録紙P又はディスクトレイ7を副走査方向Yへ所定の搬送量にて搬送する「副走査駆動手段」が構成されている。「副走査駆動手段」は、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54とで記録紙P又はディスクトレイ7を挟持し、PFモータ57の回転駆動力が無端ベルト58を介してプーリ59へ伝達され、プーリ59の回転が図示していない中間歯車等を介して伝達されて駆動回転する搬送駆動ローラ53の回転によって記録紙P又はディスクトレイ7を副走査方向Yへ搬送する。そして、所定の搬送量で記録紙P又はディスクトレイ7が搬送されるように、ロータリエンコーダ31によって検出される搬送駆動ローラ53の回転量に応じてPFモータ57の回転量が後述する制御部100によって制御される。
搬送駆動ローラ53の副走査方向Yの下流側には、プラテン52が記録ヘッド62のヘッド面と上下に対向するように配設されている。前述した「副走査駆動手段」によって搬送された記録紙P又はディスクトレイ7は、プラテン52によって下から支持された状態で、「主走査駆動手段」によって主走査方向Xへ往復動する記録ヘッド62からインクが噴射されることによって記録が行われる。「主走査駆動手段」は、キャリッジ61とキャリッジ61を往復動させる駆動力源となる「キャリッジ駆動用モータ」としてのCRモータ63とを有しており、CRモータ63の回転駆動力は、図示していない無端ベルト等による駆動力伝達機構を介して回転運動が直線の往復運動に変換されてキャリッジ61へ伝達されるように構成されている。尚、当該実施例においては、記録ヘッド62はキャリッジ61の底部に設けられているが、主走査方向Xに往復動するキャリッジ61にはインクカートリッジが搭載されておらず、前述したインクカートリッジユニット15に格納されている複数のインクカートリッジ16からインクチューブ(図示せず)を介してキャリッジ61へとインクが供給されるようになっている。
記録ヘッド62の副走査方向Yの下流側には、PFモータ57の回転駆動力が伝達されて駆動回転する排紙駆動ローラ55と、排紙駆動ローラ55に付勢された状態で従動回転可能に軸支されている排紙従動ローラ56とが配設されている。記録実行中及び記録実行後の記録紙Pは、排紙駆動ローラ55と排紙従動ローラ56とで挟持され、PFモータ57の回転駆動力が無端ベルト58を介してプーリ59へ伝達され、プーリ59の回転が図示していない中間歯車等を介して伝達されて駆動回転する排紙駆動ローラ55の回転によって副走査方向Yへフロントパネル2を開いた開口部から排出される。また、光記録ディスクDを装着可能なディスクトレイ7は、給紙カセット8の上方に配置されている。ディスクトレイ7は、側端にラック71(図2参照)が形成されており、ラック71と噛合する図示していないピニオン歯車の回動によって略水平な姿勢で真っ直ぐに移動できるように配設されている。そして、ディスクトレイ7は、ピニオン歯車の回動によって先端が搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54とに挟持されるまで搬送された後、以降は搬送駆動ローラ53を双方向へ回転させることによって、副走査方向Y、或いは逆送方向YRに送られる。また、ディスクトレイ7へ光記録ディスクDを着脱する際には、フロントパネル2を開いた開口部から突出した位置(図2の仮想線で示した位置)まで副走査方向Yへ搬送される。
続いて、図4を参照しながら制御部100の構成について説明する。
制御部100は、インクジェット式記録装置50に記録制御データを送信するホスト・コンピュータ200とデータ送受信可能に接続される。制御部100は、ROM101、RAM102、インタフェース部103、MPU104、DCユニット105、PFモータドライバ106、CRモータドライバ107、及びヘッドドライバ108を備えている。MPU104およびDCユニット105には、搬送駆動ローラ53の回転量を検出する「回転量検出手段」としてのロータリエンコーダ31、キャリッジ61の移動量を検出する「キャリッジ移動量検出手段」としてのリニアエンコーダ32、搬送される記録紙Pの始端及び終端を検出する紙検出器33、キャリッジ61に搭載された記録紙Pの副走査方向Yの幅を検出するPWセンサ34、インクジェット式記録装置50の電源をON/OFFするための電源SW35、及びディスクトレイ7の出し入れ操作を行うためのトレイSW36の出力信号が入力される。尚、当該実施例においては、PWセンサ34は、キャリッジ61の底部に設けられた光学センサであり、キャリッジ61の主走査によって記録紙Pの副走査方向Yの幅を検出するとともに、ディスクトレイ7に付された識別マーク(図示せず)を認識することにより、ディスクトレイ7の送り位置を検出する為に用いられる。さらに、ディスクトレイ7上のディスクDの有無や、ディスクDの中心位置の検出にも用いられる。
MPU104はインクジェット式記録装置50の制御プログラムを実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行う。ROM101には、インクジェット式記録装置50を制御する為に必要な制御プログラム(ファームウェア)および処理に必要なデータ等が格納されている。RAM102は、MPU104の作業領域やインタフェース部103を介してホスト・コンピュータ200から受信した記録制御データを含む各種データの一次格納領域として用いられる。DCユニット105は、DCモータであるPFモータ57及びCRモータ63の速度制御を行う為の制御回路である。DCユニット105は、MPU104から送られてくる制御命令、ロータリエンコーダ31の出力信号、及びリニアエンコーダ32の出力信号、並びに紙検出器33の出力信号に基づいて、PFモータ57及びCRモータ63の速度制御を行う為の各種演算を行い、その演算結果に基づくモータ制御信号をPFモータドライバ106及びCRモータドライバ107へ送出する。PFモータドライバ106は、DCユニット105からのモータ制御信号に基づいてPFモータ57を駆動制御する。PFモータ57は、当該実施例においては、給紙ローラ83、搬送駆動ローラ53、排紙駆動ローラ55、及びディスクトレイ7の側端に形成されたラック71(図2参照)と噛合してディスクトレイ7の搬送を行うピニオン歯車(図示せず)の回転駆動力源となる。CRモータドライバ107は、DCユニット105からのモータ制御信号に基づいてCRモータ63を駆動制御することによりキャリッジ61を主走査方向に往復動させ、または停止保持させる。ヘッドドライバ59は、MPU104からのヘッド制御信号に基づいて記録ヘッド62を駆動制御する。
以上がインクジェット式記録装置50の概略構成であり、以下、本発明に係る「自動給紙装置」について、さらに詳細に説明する。まず、給紙カセット8内のホッパ81の上に積重された記録紙Pを給紙ローラ83へ押圧する位置までホッパ81を移動(揺動)させる機構について説明する。
図5は、ホッパ81を揺動させる機構の要部を示した側面図であり、記録紙Pを自動給紙する前の給紙待機状態を示したものである。
給紙カセット8側に配設されているホッパ81の下側には、中継揺動体84が軸841を揺動軸として揺動可能にインクジェット式記録装置50側に配設されており、中継揺動体84が符号Aで示した方向へ揺動することによって、ホッパ81が中継揺動体84に押し上げられて符号Aで示した方向へ揺動するように配設されている。中継揺動体84は、中継揺動体84の下側に縮設された「ホッパ付勢手段」としてのばね843のばね力によって、符号Aで示した方向へ付勢されており、ホッパ81は、中継揺動体84を介して符号Aで示した方向へ付勢されていることになる。中継揺動体84にはホッパカム85のカムフォロア842が一体に配設されており、中継揺動体84は、カムフォロア842がホッパカム85のカム部852に当接して符号Aで示した方向へ付勢された状態で係止されている。ホッパカム85は、軸851に回転可能に軸支されており、PFモータ57の回転駆動力が常時伝達されて回転する「回転駆動軸」としての給紙ローラ軸91に後述する回転クラッチ機構を介して配設されている歯車86と回転伝達可能に係合している。給紙ローラ軸91には、給紙ローラ83(図3参照)が歯車86と同様に後述する回転クラッチ機構を介して配設されており、回転クラッチ機構がクラッチON状態でPFモータ57の回転駆動力が給紙ローラ軸91へ伝達されると、歯車86とともに給紙ローラ83も同じ回転方向へ回転する。また、PFモータ57の回転駆動力が歯車89と中間歯車88を介して常時伝達されて回転する回転軸92には、回転クラッチ機構を構成する切換レバー87が軸支されている。切換レバー87は、中間歯車88に押圧されることによって一定の回転抵抗を付加された状態で従動回転可能に回転軸92に軸支されており、詳細は後述する。
図6は、ホッパ81を揺動させる機構の要部を示した側面図であり、給紙待機状態から給紙ローラ83が回転し始めた状態を示したものである。図7は、ホッパ81を揺動させる機構の要部を示した側面図であり、ホッパ81が給紙ローラ83側へ揺動した状態を示したものである。
給紙待機状態からPFモータ57が回転し始めて給紙動作が開始されることによって、歯車89は符号Cで示した回転方向へ回転し、歯車89と回転伝達可能に係合している中間歯車88は、符号Eで示した回転方向へ回転し、切換レバー87が符号Eで示した回転方向へ回動して後述する回転クラッチ機構がクラッチON状態となる。また、給紙ローラ軸91が回転し始めると、給紙ローラ軸91の回転がON状態の回転クラッチ機構を介して歯車86が符号Fで示した回転方向へ回転し始める。歯車86に回転伝達可能に係合しているホッパカム85は、符号Gで示した回転方向へ回転し始め、カム部852がばね853に当接し、ホッパカム852に対してカムフォロア842を介して符号Aで示して方向へ作用しているばね843のばね力と略対向する方向の力として、符号Bで示した方向へばね853のばね力が作用し始める。さらにホッパカム85が符号Gで示した回転方向へ回転すると、中継揺動体84がばね843のばね力によって符号Aで示した方向へ揺動し、ホッパ81が中継揺動体84に押し上げられて符号Aで示した方向へ揺動して給紙カセット8内に積重されている記録紙Pが給紙ローラ83の外周面に押圧されることになる。そして、さらにホッパカム85が符号Gで示した方向へ回転していくことによって、カム部852がカムフォロア842から離間してばね853からも離間した後、再びカムフォロア843と係合して中継揺動体84を符号Aで示した方向と反対方向へ押し下げる。それによって、ホッパ81が下降して図5に示した状態に戻る。この時点で後述する回転クラッチ機構は、クラッチOFF状態となり、以降PFモータ57が回転し続けても給紙待機状態が継続されることになる。
このように、ホッパカム85に作用しているばね843のばね力(符号Aで示した方向)と略対向する方向(符号Bで示した方向)へばね852のばね力がホッパカム85に作用するので、ばね843のばね力によってホッパカム85が符号Gで示した回転方向へ勢い良く回転させられてしまうことを防止することができる。それによって、ホッパ81が給紙ローラ83側へ揺動する際に、ホッパ81の揺動によって押し上げられる記録紙Pが給紙ローラ83の外周面に衝突する衝突音を低減させることができる。
つづいて、回転クラッチ機構について説明する。
図8は、回転クラッチ機構の要部正面図であり、クラッチON状態を示したものである。
前述した回転クラッチ機構は、給紙ローラ83(図3)へ回転伝達可能に係合している「第1の歯車」としての歯車86と、「回転駆動軸」としての給紙ローラ軸91へ回転伝達可能に係合している「第2の歯車」としての歯車94と、歯車86に揺動可能に配設され、第1の揺動位置において、歯車94に係合して歯車86と歯車94とを回転伝達可能に連結し、第2の揺動位置において、歯車94から離間して歯車86と歯車94との連結を解除するクラッチ部材93と、クラッチ部材93を第1の揺動位置へ付勢する「クラッチ部材付勢手段」としてのばね932と、PFモータ57(図2)が正転方向へ回転している間は、クラッチ部材93の外周面に押圧されて摺接し、PFモータ57が反転方向へ回転している間は、クラッチ部材93の外周面から離間する如く移動可能に配設され、クラッチ部材93の揺動位置を規定して歯車86と歯車94との連結状態を切り換える切換レバー87とを有している。クラッチ部材93が第1の揺動位置にある状態では、歯車86と歯車94とが回転伝達可能に連結してクラッチON状態となり、クラッチ部材93が第2の揺動位置にある状態では、歯車86と歯車94とが離間してクラッチOFF状態となる。クラッチ部材93は、図示の如く略リング状の形状を成しており、歯車86に形成されている軸861を揺動軸として揺動可能に支持部931が嵌合して歯車86に軸支されている。内側には、歯車94と係合可能な凸部934が形成されており、第1の揺動位置において、歯車94と凸部934とが係合し、歯車94の回転がクラッチ部材93を介して歯車86へ伝達され、第2の揺動位置において、歯車94から凸部934が離間し、歯車94の回転がクラッチ部材93を介して歯車86へ伝達されなくなる。歯車86に形成されている凸部862とクラッチ部材93に形成されている凸部933との間にばね932伸設されており、クラッチ部材93は、ばね932のばね力によって第1の揺動位置へ付勢されて配設されている。
図9は、回転クラッチ機構の要部正面図であり、クラッチON状態からクラッチOFF状態へ切り換わる直前の状態を示したものである。図10は、回転クラッチ機構の要部正面図であり、クラッチOFF状態を示したものである。図11は、回転クラッチ機構の要部正面図であり、クラッチOFF状態からクラッチON状態へ切り換わった直後の状態を示したものである。
切換レバー87は、クラッチ部材93の揺動位置を第1の揺動位置から第2の揺動位置へ或いは第2の揺動位置から第1の揺動位置へ切り換えて、クラッチON状態とクラッチOFF状態とを切り換える役割を成す。クラッチ部材93が第1の揺動位置にある状態では、PFモータ57を正転方向へ回転させて歯車94を符号Fで示した回転方向へ回転させると、クラッチ部材93及び歯車86も符号Fで示した回転方向へ回転する。また、PFモータ57を正転方向へ回転させると、切換レバー87を軸支している回転軸92も符号Eで示した回転方向へ回転し、回転軸92に一定の回転抵抗を付加した状態で従動回転可能に軸支されている切換レバー87は、符号Hで示した方向へ回動して腕部871の先端に形成された爪部872がクラッチ部材93の外周面に押圧されて摺接する。さらにPFモータ57を正転方向へ回転させると、クラッチ部材93の外周面935の所定位置に形成された突起部932と、クラッチ部材93の外周面935に摺接している切換レバー87の腕部871の先端に形成された爪部872とが係合する(図9)。その状態からさらにPFモータ57を正転方向へ回転させると、クラッチ部材93が切換レバー87の爪部872に係止された状態で歯車86が符号Fで示した回転方向へ回転し、突起部932が切換レバー87の腕部871の先端に形成された爪部872とが係合した状態のクラッチ部材93は、符号Jで示した方向へ揺動して第1の揺動位置から第2の揺動位置へ揺動し、歯車94からクラッチ部材93の凸部934が離間して、クラッチON状態からクラッチOFF状態へ切り換わる(図10)。そして、クラッチ部材93が第2の揺動位置にある状態では、PFモータ57を反転方向へ回転させることによって、切換レバー87を軸支している回転軸92が符号Kで示した回転方向へ回転し、回転軸92に一定の回転抵抗を付加した状態で従動回転可能に軸支されている切換レバー87が符号Lで示した方向へ回動する。それによって、クラッチ部材93の突起部932に係合していた切換レバー87の爪部872が突起部932から離間し、クラッチ部材93がばね932のばね力によって、符号Mで示した揺動方向へ揺動して第2の揺動位置から第1の揺動位置へ揺動し、歯車94とクラッチ部材93の凸部934とが再び係合して回転クラッチ機構は、クラッチOFF状態からクラッチON状態へ切り換わる(図11)。
図12は、回転クラッチ機構の要部斜視図である。
クラッチ部材93が第1の揺動位置にある状態において、クラッチ部材93の外周面935に押圧されて摺接している切換レバー87の押圧方向の移動位置を規制する「切換レバー位置規制手段」としての壁部873が切換レバー87の爪部872の横に形成されている。壁部873は、切換レバー87の押圧方向の移動位置を規制して第1の揺動位置にあるクラッチ部材93が切換レバー87の押圧力によって第2の揺動位置へ揺動してしまうことを防止し、歯車86と一体に形成された回転体863に摺接しながら切換レバー87の符号Hで示した方向の回動位置を規制する。このように、クラッチ部材93の外周面935に押圧されて摺接している切換レバー87の押圧方向の移動位置を規制することによって、第1の揺動位置にあるクラッチ部材93が切換レバー87の押圧力によって第2の揺動位置へ揺動してしまうことを防止することができるので、切換レバー87の押圧力が強すぎて切換レバー87の押圧力でクラッチ部材93が揺動してしまい、予期せぬ回転位置においてクラッチON状態からクラッチOFF状態となってしまうことを防止することができる。したがって、回転クラッチ機構の対向する2つの押圧力、つまり、歯車86と歯車94とを係合させる揺動方向へクラッチ部材93を付勢しているばね95のばね力と、歯車86と歯車94とが係合してクラッチON状態で回転しているクラッチ部材93の外周面935に押圧付勢される切換レバー93の押圧力(回転軸92に対する切換レバー87の回転抵抗)とのバランスを高い精度で適正に保たなくても切換レバー87の押圧力でクラッチ部材93が揺動してクラッチOFF状態となってしまう誤動作を防止することができる。
つづいて、本発明に係る「自動給紙装置」において、給紙時に給紙カセット8から先端が突出してしまった状態の記録紙Pを給紙カセット8内へ押し戻す動作について説明する。
図13は、「紙戻し揺動体」としての紙戻しレバーと紙戻しレバーの揺動位置を規制する「紙戻し揺動体カム」としての紙戻しレバーカムを示した要部側面図であり、給紙動作開始直後の状態を示したものである。
紙戻しレバー42は、軸421を揺動軸として揺動可能に軸支されており、紙戻し方向となる揺動方向(符号Nで示した揺動方向と反対方向)へ図示していない付勢手段によって付勢されており、かつ後述する「紙戻し位置」より付勢方向へ揺動しないように揺動位置が規制されている。給紙ローラ軸91には、前述した回転クラッチ機構(図8〜図11参照)を介してクラッチON状態で給紙ローラ軸91の回転が伝達される如く配設されており、紙戻しレバー42には、紙戻しレバーカム41のカムフォロアとなるカムフォロア部422が一体に形成されている。紙戻しレバーカム41は、図示の如く回転軸を中心とした同一円周上の円弧形状を成す第1カム領域411と、直線形状の第2カム領域412及び第4カム領域414と、第2カム領域412と第4カム領域414との間に形成された第3カム領域とを有しており、この第1カム領域411〜第4カム領域414によってカムプロフィールが設定されている。紙戻しレバーカム41は、1回の給紙動作で給紙ローラ83が1回転する間に給紙ローラ83と同じ回転方向(符号Fで示した回転方向)へ1回転する。
紙戻しレバー42は、ホッパ81によって給紙ローラ83の外周面に表面が押圧された記録紙Pが給紙ローラ83の駆動回転によって給紙される際に他の記録紙Pが重なった状態で重送されることを防止する「分離手段」としての分離パッド423を有している。分離パッド423は、紙戻しレバー42が給紙経路から退避する揺動位置に揺動した状態で、紙戻しレバー42の給紙経路に面している部分に一体に配設されている。分離パッド423は、給紙ローラ83の外周面と記録紙Pとの摩擦抵抗より小さく、かつ重なった記録紙P同士の摩擦抵抗より大きい摩擦抵抗を有しており、紙戻しレバー42を紙戻し方向へ付勢している図示していない付勢手段の付勢力によって、重なった状態の記録紙Pの裏側から給紙ローラ83へ押圧される。このような摩擦抵抗を有する分離パッド423によって、給紙ローラ83の外周面に接している給紙すべき記録紙Pに引きずられて給紙されようとする他の記録紙Pを給紙すべき記録紙Pから分離させることができ、複数枚の記録紙Pが重なった状態で給紙されてしまうことを防止することができる。
ここで、紙戻しレバー42が給紙経路から退避する揺動位置(同図に示した揺動位置)を退避位置とし、給紙されるべき記録紙Pから分離パッド423によって分離されて、記録紙Pが積重されている給紙カセット8から給紙経路へ一部突出した状態の記録紙Pの先端を紙戻しレバー42が給紙カセット8へ向けて押動する方向へ揺動して給紙経路へ進出した揺動位置を「紙戻し位置」とする。尚、符号PRで示した二点鎖線は、ホッパ81の揺動にともなう記録紙Pの軌跡を示している。以下、図13〜図17を参照しながら説明する。
図14は、紙戻しレバー42と紙戻しレバーカム41を示した要部側面図であり、記録紙Pが給紙ローラ83(図3)の回転によって給紙され、給紙された記録紙Pが搬送駆動ローラ53(図3)へ到達した直後の状態を示したものである。
給紙待機状態には、紙戻しレバー42は、「紙戻し位置」まで揺動した状態であり、給紙ローラ83が回転し始めて給紙動作が開始されると、紙戻しレバー42が「紙戻し位置」から符号Nで示した方向へ揺動して、給紙経路から退避する退避位置まで揺動する(図13)。給紙ローラ83の回転によって給紙されるべき記録紙Pが給紙されている間、つまり、紙戻しレバーカム41の第1領域411に紙戻しレバー42のカムフォロア部422が当接している間(図14)、紙戻しレバー42の揺動位置が退避位置に規制される。給紙されるべき記録紙Pに引きずられて給紙カセット8から給紙方向へ引きずり出され、分離パッド423によって給紙すべき記録紙Pから分離された記録紙P1の先端が図示の如く分離パッド423近傍に位置している。
図15は、紙戻しレバー42と紙戻しレバーカム41を示した要部側面図であり、1回目の紙戻し動作が行われた状態を示したものである。
給紙ローラ軸91がさらに符号Fで示した方向へ回転し、紙戻しレバー42のカムフォロア部422に当接している領域が紙戻しレバーカム41の第1領域411から第2領域412へ遷移すると、紙戻しレバー42は、図示していない付勢手段の付勢力によって、符号Rで示した揺動方向へ「紙戻し位置」まで揺動して1回目の紙戻し動作が行われる(図15)。先端が分離パッド423の近傍に位置していた記録紙P1は、紙戻しレバー42の揺動による1回目の紙戻し動作によって、給紙カセット8へ押し戻される。ところが、紙戻しレバー42の一部がホッパ81の揺動による記録紙Pの軌跡PRより図示の如く給紙カセット8側へ入り込んでしまっているために、紙戻しレバー42の揺動によって給紙カセット8側へ押し戻された記録紙P1の先端が紙戻しレバー42に図示の如く引っ掛かってしまう虞がある。
図16は、紙戻しレバー42と紙戻しレバーカム41を示した要部側面図であり、1回目の紙戻し動作が行われた後、紙戻しレバー42が給紙経路から退避した状態を示したものである。図17は、紙戻しレバー42と紙戻しレバーカム41を示した要部側面図であり、2回目の紙戻し動作が行われた後の状態を示したものである。
給紙ローラ軸91がさらに符号Fで示した方向へ回転し、紙戻しレバー42のカムフォロア部422に当接している領域が紙戻しレバーカム41の第2領域412から第3領域413へ遷移すると、紙戻しレバー42は、カムフォロア部422が紙戻しレバーカム41に押されて再び符号Nで示した揺動方向へ退避位置まで揺動する(図16)。それによって、軌跡PRより図示の如く給紙カセット8側へ入り込んでしまっていた紙戻しレバー42が軌跡PRより外側へ揺動し、紙戻しレバー42に先端が引っ掛かっていた記録紙P1が紙戻しレバー42から離間する(符号S)。そして、給紙ローラ軸91がさらに符号Fで示した方向へ回転し、紙戻しレバー42のカムフォロア部422に当接している領域が紙戻しレバーカム41の第3領域413から第4領域414へ遷移すると、紙戻しレバー42は、図示していない付勢手段の付勢力によって、符号Rで示した揺動方向へ「紙戻し位置」まで揺動して2回目の紙戻し動作が終了する。そして、給紙ローラ軸91が1回転した時点で給紙動作が終了し、前述した回転クラッチ機構がクラッチOFF状態となって再び給紙待機状態となる(図17)。
このように、1回の給紙動作の間に2回の紙戻し動作を行うことによって、分離パッド423によって分離された後、給紙カセット8から先端が突出している状態の記録紙P1を確実に給紙カセット8へ押し戻すことができるので、紙戻しレバー42に記録紙P1が引っ掛かってしまっても確実に給紙カセット8へ戻すことができる。
つづいて、前述した「副走査駆動手段」についてさらに説明する。
図18は、「副走査駆動手段」の要部を示した斜視図である。
搬送駆動ローラ53へ押圧付勢される搬送従動ローラ54は、図示の如く8個配設されており、2つの第1紙案内ユニット21、第2紙案内ユニット24、及び第3紙案内ユニット26に2個ずつ軸支されて配設されている。第1紙案内ユニット21、第2紙案内ユニット24、及び第3紙案内ユニット26は、図示の如く捻りコイルばね27によって搬送駆動ローラ53へ押圧付勢されている。第2紙案内ユニット24は、図示の如く給紙ローラ83と重なる位置に配置されて、孔241へ給紙ローラ83が入り込んだ状態で配置されている。また、前述したディスクトレイ7は、図示の如く、2つの第1搬送従動ローラ21に軸支されている4つの搬送従動ローラ54と、第2紙案内ユニット24に軸支されている搬送従動ローラ54の1個との計5個の搬送従動ローラ54によって搬送駆動ローラ53へ押圧付勢されて搬送される。そのため、第1紙案内ユニット21、及び第2紙案内ユニット24は、第3紙案内ユニット26と異なる形状、及び構成を有している。
図19は、第1紙案内ユニット21の斜視図であり、図20は、第1紙案内ユニット21の側面図である。
第1紙案内ユニット21は、搬送従動ローラホルダ22と第1可動案内部材23とで構成されている。搬送従動ローラホルダ22は、軸28に揺動可能に軸支されており、図示の如く2つの搬送従動ローラ54を記録紙Pやディスクトレイ7の搬送方向(副走査方向Y)へ従動回転可能に軸支して、捻りコイルばね27のばね力によって搬送駆動ローラ53へ押圧付勢される。第1可動案内部材23は、搬送従動ローラホルダ22と同様に軸28に揺動可能に軸支されている。また、第1可動案内部材23は、搬送従動ローラホルダ22のばね収容部221内に縮設された図示していないコイルばねのばね力によって、記録紙Pやディスクトレイ7の搬送経路へ向けて、爪部233が搬送従動ローラホルダ22の腕部223に、爪部234が搬送従動ローラホルダ22の腕部224に、それぞれ図示の如く係止された状態で搬送従動ローラホルダ22に押圧付勢されている。第1可動案内部材23には、案内ローラ231が記録紙Pやディスクトレイ7の搬送方向(副走査方向Y)へ従動回転可能に軸支されている。案内ローラ231の副走査方向Yの下流側には、紙案内リブ232が形成されており、紙案内リブ232より副走査方向Yの下流側の搬送従動ローラホルダ22には、紙案内リブ222が形成されている。
記録紙Pに記録が実行される際には、前述した「自動給紙装置」によって給紙される記録紙Pの先端は、第1可動案内部材23を押し上げることなく、第1可動案内部材23の紙案内リブ232に案内され、さらに、搬送従動ローラホルダ22の紙案内リブ222に案内されて搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との当接点へ導かれる。そして、記録紙Pは、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に進入して搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挟持され、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向Yへ搬送されながら記録が実行される。第1可動案内部材23に形成されている紙案内リブ232は、搬送従動ローラホルダ22に形成されている紙案内リブ222より記録紙Pの搬送経路側(図20において下側)へややオフセットされた位置に配置されている。それによって、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との当接点向けて給紙される記録紙Pの先端が搬送従動ローラホルダ22と第1可動案内部材23との間の隙間(紙案内リブ222と紙案内リブ232との間の隙間)に進入して引っ掛かってしまう虞を少なくすることができる。
また、ディスクトレイ7に装着した光記録ディスクDのラベル面に記録を実行する際には、前述したラックピニオン機構によって搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との当接点向けて搬送されるディスクトレイ7は、まず、ディスクトレイ7の先端が案内ローラ231を従動回転させながら第1可動案内部材23を押し上げる。それによって、ディスクトレイ7は、大きな負荷を要することなく第1可動案内部材23を押し上げながら第1可動案内部材23の下側へ導かれる。そして、ディスクトレイ7は、さらに搬送従動ローラ54を従動回転させながら搬送従動ローラホルダ22を押し上げて、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に進入して搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挟持され、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向Yへ搬送されながら光記録ディスクDのラベル面へ記録が実行される。
第2紙案内ユニット24及び第3紙案内ユニット26は、上述した第1紙案内ユニット21と基本的な構成は同じであり、第1紙案内ユニット21と同じ搬送従動ローラホルダ22をそれぞれ有している。しかし、第3紙案内ユニット26は、ディスクトレイ7の搬送経路の外に配置されているので、第1紙案内ユニット21の第1可動案内部材23に相当する部分が固定の紙案内部材となっている。また、前述したように、第2紙案内ユニット24は、図示の如く給紙ローラ83と重なる位置に配置されて、孔241へ給紙ローラ83が入り込んだ状態で配置されている。そのため、第2紙案内ユニット24は、第1紙案内ユニット21の第1可動案内部材23とは異なる形状を有する第2可動案内部材25を有しており、以下、図21〜図26を参照しながら説明する。
図21は、第2紙案内ユニット24の斜視図であり、図22は、第2紙案内ユニット24の側面図である。
第2紙案内ユニット24は、搬送従動ローラホルダ22と第2可動案内部材25とで構成されている。搬送従動ローラホルダ22は、前述した第1紙案内ユニット21と同様なので説明は省略する。第2可動案内部材25は、搬送従動ローラホルダ22と同様に軸28に揺動可能に軸支されている。また、第2可動案内部材25は、搬送従動ローラホルダ22のばね収容部221内に縮設された図示していないコイルばねのばね力によって、記録紙Pやディスクトレイ7の搬送経路へ向けて、爪部253が搬送従動ローラホルダ22の腕部223に、爪部254が搬送従動ローラホルダ22の腕部224に、それぞれ図示の如く係止された状態で搬送従動ローラホルダ22に押圧付勢されている。第2可動案内部材25には、案内ローラ251が記録紙Pやディスクトレイ7の搬送方向(副走査方向Y)へ従動回転可能に軸支されている。案内ローラ251の副走査方向Yの下流側には、紙案内リブ252が形成されており、紙案内リブ252より副走査方向Yの下流側の搬送従動ローラホルダ22には、紙案内リブ222が形成されている。
記録紙Pに記録が実行される際には、前述した「自動給紙装置」によって給紙される記録紙Pの先端は、第2可動案内部材25を押し上げることなく、第2可動案内部材25の紙案内リブ252に案内され、さらに、搬送従動ローラホルダ22の紙案内リブ222に案内されて搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との当接点へ導かれる。そして、記録紙Pは、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に進入して搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挟持され、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向Yへ搬送されながら記録が実行される。第1可動案内部材23と同様に、第2可動案内部材25に形成されている紙案内リブ252は、搬送従動ローラホルダ22に形成されている紙案内リブ222より記録紙Pの搬送経路側(図22において下側)へややオフセットされた位置に配置されている。それによって、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との当接点向けて給紙される記録紙Pの先端が搬送従動ローラホルダ22と第2可動案内部材25との間の隙間(紙案内リブ222と紙案内リブ252との間の隙間)に進入して引っ掛かってしまう虞を少なくすることができる。
また、ディスクトレイ7に装着した光記録ディスクDのラベル面に記録を実行する際には、前述したラックピニオン機構によって搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との当接点向けて搬送されるディスクトレイ7は、まず、ディスクトレイ7の先端が案内ローラ251を従動回転させながら第2可動案内部材25を押し上げる。それによって、ディスクトレイ7は、大きな負荷を要することなく第2可動案内部材25を押し上げながら第2可動案内部材25の下側へ導かれる。そして、ディスクトレイ7は、さらに搬送従動ローラ54を従動回転させながら搬送従動ローラホルダ22を押し上げて、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に進入して搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挟持され、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向Yへ搬送されながら光記録ディスクDのラベル面へ記録が実行される。
図23は、搬送従動ローラホルダ22の斜視図であり、図24は、搬送従動ローラホルダ22の側面図である。図25は、第2可動案内部材25の斜視図であり、図26は、第2可動案内部材25の側面図である。
搬送従動ローラホルダ22は、孔225、孔226、及び孔227に軸28が挿通されて揺動可能に軸支される。また、搬送従動ローラホルダ22には、第2可動案内部材25と組み合わせて第2紙案内ユニット24を構成した際に給紙ローラ83が入り込むための孔241が形成されている。この搬送従動ローラホルダ22と組み合わせて第2紙案内ユニット24を構成する第2可動案内部材25は、第2紙案内ユニット24を構成した際に給紙ローラ83が孔241に入り込んだ状態で配置されることから図示の如く細くて特に中央部分が撓みやすい形状となってしまい、ばね27(図18)のばね力で第2紙案内ユニット24が搬送駆動ローラ53へ押圧付勢される付勢力によって撓んでしまう虞がある。そこで、第2可動案内部材25は、爪部255が図示の如く形成されており、爪部253及び爪部254に加えて爪部255も搬送従動ローラホルダ22に当接して搬送従動ローラホルダ22に係止された状態で搬送従動ローラホルダ22に押圧付勢される。第2可動案内部材25の撓みやすい中央部分が爪部255によって搬送従動ローラホルダ22へ係止されるので、ばね27のばね力で第2可動案内部材25の中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。
第2可動案内部材25は、孔257、及び孔258に軸28が挿通されて揺動可能に軸支され、搬送従動ローラホルダ22のばね収容部221内に縮設されるコイルばね29のばね力によって、記録紙Pやディスクトレイ7の搬送経路へ向けて搬送従動ローラホルダ22へ押圧付勢されている。当該実施例においては、そのコイルばね29の付勢力は、約100グラムに設定されており、第2紙案内ユニット24は、第2可動案内部材25が必要最小限の付勢力で搬送従動ローラホルダ22へ付勢されている。それによって、ディスクトレイ7の先端が第2可動案内部材25を押し上げる際の負荷を小さくすることができるので、ディスクトレイ7を搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に押し入れる際のモータ負荷(PFモータ57の負荷)を小さくすることができる。また、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54とディスクトレイ7を挟持して副走査方向Y搬送する際の搬送負荷も小さくすることができるので、ディスクトレイ7の搬送精度を向上させることができる。図示していないが第1紙案内ユニット21においても同様である。さらに、第2紙案内ユニット24は、第2可動案内部材25に図示の如く複数の凸部256が形成されており、この凸部256が搬送従動ローラホルダ22に当接することによって、第2可動案内部材25の押し上げ方向の揺動位置が規制され、図示していないが第1紙案内ユニット21においても同様である。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
7 ディスクトレイ、8 給紙カセット、22 搬送従動ローラホルダ、24 第2紙案内ユニット、25 第2可動案内部材、41 紙戻しレバーカム、42 紙戻しレバー、50 インクジェット式記録装置、51 キャリッジガイド軸、52 プラテン、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排紙駆動ローラ、56 排紙従動ローラ、57 PFモータ、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、63 CRモータ、81 ホッパ、83 給紙ローラ、84 中継揺動体、85 ホッパカム、87 切換レバー、91 給紙ローラ軸、93 クラッチ部材、101 ROM、102 RAM、103 インタフェース部、104 MPU、105 DCユニット、106 PFモータドライバ、107 CRモータドライバ、108 ヘッドドライバ、P 記録紙、X 主走査方向、Y 副走査方向