JP4006309B2 - 乾式トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法などを利用した記録方法に用いられる乾式トナーに関するものである。詳しくは、本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、プロッター等に利用し得る画像記録装置に用いられるマゼンタトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルフルカラー複写機やプリンターが実用化され、解像力、階調性はもとより色むらのない色再現性に優れた高画質画像が得られるようになってきた。
【0003】
デジタルフルカラー複写機においては、色画像原稿を、B(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)の各色フィルターで色分解した後、オリジナル画像に対応した20μm乃至70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の各色トナーを用い、白黒複写機と比べ多量のトナーを感光体から中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写させる必要がある。
【0004】
カラートナーの中でも、マゼンタトナーは、肌色を再現するのに重要であり、さらに、人物像における肌の色調はハーフトーンであることから、優れた現像性も要求される。
【0005】
従来、電子写真方式には熱可塑性樹脂と共に着色剤である顔料と帯電制御剤などとを混練し粉砕したトナーが一般に用いられている。この場合、特にマゼンタトナーにおいては、着色剤である顔料が分散されにくいため、分散粒子が光を散乱させ、トナーの透明性を低下させるという問題を生じやすかった。このため、複数のカラートナーを重ね合わせて形成した多色画像の色再現性が劣り、またオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用の透明シートに転写、定着して形成した画像の投影画像は、暗く、彩度が低くなるという欠点を有していた。さらにマゼンタトナーにおいては、着色度が低い、或いは色調が理想的なマゼンタ色とはならない等の欠点があった。
【0006】
これらの問題に対しては、主にマゼンタトナーに用いる顔料や染料の改良、顔料や染料の併用による改良が提案されている。例えば特許文献1にはキナクリドン系顔料及びキサンテン系染料を併用することにより鮮明なマゼンタ色のトナーが得られ、耐光性が向上することが開示されている。また特許文献2にはキナクリドン系顔料及びメチン系顔料を併用することにより定着ローラーを汚染することなく鮮明なカラー画像が得られることが開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの提案によっても、1)色再現する為に分光反射特性に優れ、鮮明なマゼンタ色を有すること、2)着色剤の樹脂に対する分散性が良好で高着色を有すること、3)環境において安定した摩擦帯電特性を有すること、4)透明性が良好である、などの全ての要求特性を十分に満足する電子写真用マゼンタトナーは得られていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−224777号
【特許文献2】
特開平2−13968号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決した乾式トナーを提供するものである。
【0010】
即ち本発明の目的は、高画像濃度で極めて鮮明な色彩が得られるマゼンタトナーを提供することにある。
【0011】
本発明のさらなる目的は、安定した摩擦帯電特性を有するマゼンタトナーを提供することにある。
【0012】
本発明のさらなる目的は、長期使用に際しても、感光体上のフィルミングを防止できるマゼンタトナーを提供することにある。
【0013】
本発明のさらなる目的は、OHPシートの定着画像において透明性に優れたマゼンタトナーを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂、及び下記式(1)で示されるモノアゾ系顔料を含有する乾式トナーであって、該モノアゾ系顔料が、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子を3個数%以上で、且つ、4≦長径/短径である顔料一次粒子を40個数%以下含有することを特徴とする乾式トナーに関する。
【0015】
【化6】
Figure 0004006309
【0016】
上記式中、R1、R2、R3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基のいずれかから選ばれる置換基を示し、R4は下記の群より選ばれ、下記の群中の置換基R5〜R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基のいずれかから選ばれる置換基を示す。
【0017】
【化7】
Figure 0004006309
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の乾式トナーは、少なくとも結着樹脂、及び下記式(1)で示されるモノアゾ系顔料を含有し、該モノアゾ系顔料が、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子を3個数%以上で、且つ、4≦長径/短径である顔料一次粒子を40個数%以下含有することを特徴とするものである。
【0019】
【化8】
Figure 0004006309
【0020】
上記式中、R1、R2、R3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基のいずれかから選ばれる置換基を示し、R4は下記の群より選ばれ、下記の群中の置換基R5〜R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基のいずれかから選ばれる置換基を示す。
【0021】
【化9】
Figure 0004006309
【0022】
本発明者らは、鋭意検討の結果、モノアゾ系顔料の粒子形状を規定することにより、トナーの発色性、透明性、及び帯電特性等を向上させ、さらには、画像形成装置とのマッチングを良好なものとし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
本発明者らの知見によれば、トナー中のモノアゾ系顔料の粒子形状を上記の如く規定することにより、トナー粒子中の顔料の分散性が著しく向上し、トナーの現像特性、色調、及び帯電特性等がバランス良く改善される。これらの理由については必ずしも明らかではないが、上記の如く規定された一次粒子の存在により、トナー粒子中に生じるモノアゾ系顔料の再凝集をモノアゾ系顔料自身が抑制することによって、顔料自身が元来有している能力を大幅に発揮出来る状況を作り出していることに起因すると考えられる。即ち、トナー中における顔料の再凝集を抑制することによって、結着樹脂への顔料の分散性を向上させることができる。これによって、トナー粒子に望ましい発色性や透明性、さらには、帯電特性が付与されたものと推定される。
【0024】
特に、帯電特性の改善に関しては、モノアゾ系顔料の粒子形状を上記の如く規定したことによる顔料の分散性の向上が起因になっているのみならず、モノアゾ系顔料の粒子形状そのものが大きく寄与しているものと推測される。顔料一次粒子の長径/短径が大きい場合は、顔料の両先端部で静電分極を生じるため、電荷がリークしやすくなりトナーの帯電特性が不安定となる。従って、前記の顔料の分散性との兼ね合いから、トナーに望ましい帯電特性を付与するためには、上記の如く粒子形状を規定したモノアゾ系顔料を用いることが適当である。
【0025】
また、本発明者らの知見によれば、本発明のトナーは、上記の如くモノアゾ系顔料の粒子形状を規定することにより、トナー粒子中の顔料の分散性が著しく向上し、トナーの発色性、透明性、及び帯電特性がバランス良く改善されるだけでなく、長期使用に際しても、画像形成装置とのマッチングが良好なものとなり、特に、感光体上のフィルミングを防止することができる。
【0026】
転写材上に転写されずに感光体上に残ったトナー粒子は、クリーニング工程により感光体上より除去される。このクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等が用いられていた。いずれの方法も力学的に転写残余のトナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと捕集するものであるが、このような部材が感光体表面に押し当てられることに起因して、トナーや遊離したシリカ等の外添剤が感光体表面に付着する(フィルミング)等の問題が生じていた。
【0027】
本発明のトナーは、上記の如くモノアゾ系顔料の粒子形状を規定することにより、トナー粒子中の顔料の分散性が著しく向上するが、顔料一次粒子の長径/短径が大きい場合は、顔料二次粒子の存在個数%が増加し、トナー粒子中において顔料の均一分散が困難になる。トナーの製造から、粉砕トナーの場合は、粉砕面に顔料の二次粒子が存在しやすく、重合トナーの場合は、顔料粒子の静電分極によりトナー表面に移行しやすい傾向がある。即ち、顔料一次粒子の長径/短径を上記の如き範囲でコントロールすることによって、トナーや遊離したシリカ等の外添剤が感光体表面に付着する(フィルミング)といった問題が生じた場合、トナー表面近傍に存在するモノアゾ系顔料が、感光体表面に付着したトナーや遊離したシリカ等の外添剤を掻き落とすといったトナー自身による適度な研磨効果が発現され、上記の如く発生する感光体上のフィルミングを抑制し、良好な状態を保持しながら画像形成を長期にわたり行うことができると、本発明者らは考察している。
【0028】
本発明にかかる該モノアゾ系顔料の粒子形状は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)を用い、以下のように観察、及び計測できる。
【0029】
トナー粒子中のモノアゾ系顔料の粒子形状については、
(1)常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分に分散させた後、40℃の雰囲気温度の中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトームを用いて切り出し、薄片状のサンプルとし、
(2)透過電子顕微鏡(TEM)を用い、倍率10,000倍で観察、
(3)観察像を4倍に拡大したプリントアウト画像を用い、トナー粒子中に分散しているモノアゾ系顔料の一次粒子100個について、長径、及び短径を計測、(長径/短径)値を算出し、4≦長径/短径≦6、及び4≦長径/短径である一次粒子の個数%を導く。
【0030】
また、モノアゾ系顔料そのものの粒子形状については、
(1)モノアゾ系顔料を直接コロジオン膜貼付メッシュ上にサンプリングし、
(2)透過電子顕微鏡(TEM)を用い、倍率50,000倍で観察、
(3)観察像を4倍に拡大したプリントアウト画像を用い、顔料一次粒子100個について長径、及び短径を計測、(長径/短径)値を算出し、4≦長径/短径≦6、及び4≦長径/短径である一次粒子の個数%を導く。
【0031】
モノアゾ系顔料が、4≦長径/短径である顔料一次粒子(針状結晶)を40個数%を超えて含有する場合、トナー自身による感光体上の研磨効果に留まらず、感光体の損傷或いは感光体への固着等を引き起こしてしまう。一方、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子が3個数%に満たない場合は、感光体上のトナー自身による研磨効果が発揮されず、感光体上のフィルミングを抑制できない。
【0032】
本発明に係るモノアゾ系顔料は、上記した式(1)で示される顔料を単独、もしくは併用して用いることができるが、中でも、C.I.ピグメントレッド5、31、146、147、150、176、184、185、269(それぞれカラーインデックス第4版記載の名称による)が、トナー粒子中の分散性の改善、さらには発色性や帯電特性の向上等の点から好ましく用いられる。
【0033】
本発明に係るモノアゾ系顔料は、下記式(2)で示されるβ−ナフトール誘導体と下記式(3)で示される芳香族アミンを原料とし、少なくとも、1)該芳香族アミンのジアゾニウム塩を含有するジアゾニウム塩溶液調製工程、2)該ジアゾニウム塩とカップリング反応を行うβ−ナフトール誘導体を含有するカップラー液調製工程、3)該ジアゾニウム塩溶液と該カップラー液とを混合するカップリング反応工程、を経て生成される。
【0034】
【化10】
Figure 0004006309
【0035】
上記式中、R4は下記の群より選ばれ、下記の群中の置換基R5〜R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基のいずれかから選ばれる置換基を示す。
【0036】
【化11】
Figure 0004006309
【0037】
【化12】
Figure 0004006309
【0038】
上記式中、R1、R2、R3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基のいずれかから選ばれる置換基を示す。
【0039】
本発明に係るモノアゾ系顔料は、上記カップラー液調製工程において、該β−ナフトール誘導体を塩基性水溶液に溶解後、該β−ナフトール誘導体の一部を析出させてカップリング反応に用いるカップラー液とすることが望ましい。該β−ナフトール誘導体の一部を析出させる手法としては、酸を添加することで該β−ナフトール誘導体を塩析させるといった方法等が挙げられる。
【0040】
本発明に係るモノアゾ系顔料は、上記カップリング反応工程において、該カップラー液にジアゾニウム塩溶液を滴下する方法、或いは、ジアゾニウム塩溶液にカップラー液を滴下する方法のどちらを用いても良いが、上記の如く該β−ナフトール誘導体の一部を析出させたカップラー液を用いる場合は、操作上該カップラー液にジアゾニウム塩溶液を滴下する方法を用いることが望ましい。
【0041】
上記カップリング反応工程において、該β−ナフトール誘導体の一部を析出させたカップラー分散液にジアゾニウム塩溶液を滴下する方法を用いることにより、モノアゾ系顔料の粒子形状をコントロールすることができる。また、系内に分散している該β−ナフトール誘導体の表面から該ジアゾニウム塩が反応するため、カップリング反応に寄与しなかったジアゾニウム塩が残存する場合、該残存ジアゾニウム塩が生成した顔料中に取り込まれてしまうことを大幅に抑制することができる。
【0042】
また、上記カップリング反応工程において、ジアゾニウム塩溶液調製工程で酸性雰囲気に調整されているジアゾニウム塩溶液と混合するカップラー液は、pH、及びそのイオン強度を調整することが可能であるが、該カップラー液のpH、及びイオン強度は、カップリング反応を塩基性雰囲気下で完結させるような条件であることが望ましい。
【0043】
さらに、本発明に係るモノアゾ系顔料は、従来公知の方法により、その表面を処理することができるが、特にロジン化合物による処理が顔料の再凝集を防止し、トナー粒子中での顔料の分散性が向上し、さらにはトナーの帯電性を好ましい状態にすることができるので、上記の如き特性が一層改善される。
【0044】
本発明に係るモノアゾ系顔料を好ましく処理できるロジン化合物としては、天然ロジン(トール油ロジン、ガムロジン、ロッドロジンなど)、或いは天然ロジンから抽出して得られる精製ロジン(アビエチン酸など)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、合成ロジン(スチレンアクリルロジン酸など)、さらには、上記ロジンのアルカリ金属塩やエステル化合物を挙げることができる。
【0045】
上記の如きロジン化合物により、顔料を処理する方法としては、(1)ロジン化合物と顔料を乾式混合した後、必要に応じて溶融混練等の熱処理を施す乾式混合法、(2)顔料製造時の着色剤の合成溶液中にロジンのアルカリ水溶液を加えた後、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、またはマンガン等のレーキ金属塩を添加し、ロジンを不溶化することで着色剤表面に被覆処理を施す湿式処理法、等が挙げられる。
【0046】
本発明においては、顔料中にロジン化合物を1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%含有させることによって、上記の如き特性を一層良好なものとすることができる。
【0047】
本発明のトナーは、上記式(1)で示されるモノアゾ系顔料を結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部含有しているのが良い。1質量部未満の場合には、画像濃度が十分出ず、貧弱な画像となる。20質量部を超える場合には、トナー中での分散が不十分となり、帯電が不均一となる。また、該モノアゾ系顔料を単独で用いても良いし、必要に応じて、他の着色剤と併用しても良い。
【0048】
併用できる着色剤としては、従来公知の着色剤が併用できるが、具体的にはキナクリドン系着色剤、チオインジゴ系着色剤、キサンテン系着色剤、ペリレン系着色剤、ジケトピロロピロール系着色剤等が挙げられる。
【0049】
本発明に係るトナーを製造する方法としては、結着樹脂、本発明に係るモノアゾ系顔料、ワックス成分等を加圧ニーダー等により溶融混練した後、冷却した混練物を所望のトナー粒径に微粉砕し、さらに微粉砕物を分級して粒度分布を調整してトナーにする粉砕法;特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報及び特開昭59−61842号公報に記載されている懸濁重合法を用いて直接トナーを製造する方法;特公昭56−13945号公報等に記載のディスクまたは多流体ノズルを用いて溶融混練物を空気中に霧化して球状トナーを製造する方法;及びソープフリー重合法に代表される乳化重合法等、公知の方法を用いることが可能であるが、懸濁重合法によりトナーを製造することが好ましい。
【0050】
懸濁重合法により製造されるトナーは、結着樹脂、本発明に係るモノアゾ系顔料、極性樹脂、ワックス成分、荷電制御樹脂、及び重合開始剤を混合して重合性単量体組成物を調製し、重合性単量体組成物を水系媒体中へ分散して重合性単量体組成物の粒子を生成し、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子中のスチレンモノマーを重合して生成される。
【0051】
モノアゾ系顔料は、親水性の官能基を有しているため、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の造粒粒子を重合してトナー粒子を形成する際、分散質である重合性単量体組成物と水系媒体の界面に向け移行する傾向がある。本発明に係るモノアゾ系顔料を用いる場合は、粒子形状を規定することによってトナー粒子中の顔料の分散性が改善されるため、適量のモノアゾ系顔料がトナー表面近傍に存在し、上記の如く感光体上のフィルミング防止に効果的である。
【0052】
本発明に用いられるトナーの結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらを形成するための単量体が用いられる。具体的にはスチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合はトナーのフルカラー画像形成の場合において、OHP画像の透明性が低下する。
【0053】
本発明において、上述の結着樹脂と共にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂等の極性樹脂を併用することができる。
【0054】
例えば、懸濁重合法等により直接トナーを製造する場合には、分散工程から重合工程に至る重合反応時に極性樹脂を添加すると、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系分散媒体の呈する極性のバランスに応じて、添加した極性樹脂がトナー粒子の表面に薄層を形成したり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在するように制御することができる。
【0055】
上記極性樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜25質量部使用するのが好ましく、より好ましくは2〜15質量部である。1質量部未満ではトナー粒子中での極性樹脂の存在状態が不均一となり、逆に25質量部を超えるとトナー粒子表面に形成される極性樹脂の薄層が厚くなるため、好ましくない。
【0056】
本発明に用いられる極性樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。特にピーク分子量が3,000〜10,000のポリエステル樹脂がトナー粒子の流動性、負摩擦帯電特性、透明性を良好にすることができるので好ましい。
【0057】
本発明において使用し得るワックス成分としては、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びそれらの誘導体等が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールの如きアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪族或いはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併せて用いることができる。
【0058】
本発明に用いられるワックス成分としては、「ASTM D3418−82」に準じて測定されたDSC曲線における主体吸熱ピーク温度(融点)が30〜120℃、より好ましくは40〜90℃の範囲にある化合物が、定着性、さらには透明性を良好にすることができ好ましい。
【0059】
さらに、本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナー分子の分子量を制御するために、結着樹脂の合成時に架橋剤を用いることが好ましい。
【0060】
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(日本化薬社製「MANDA」)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0061】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0062】
これらの架橋剤は、前記単量体100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部用いることが良い。
【0063】
本発明のトナーを懸濁重合法により製造する場合、重合開始剤としては、具体的には、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、重合性ビニル系単量体100質量部に対して5〜20質量部用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独または混合して使用される。
【0064】
本発明のトナーを懸濁重合法により製造する場合、水系分散媒体調製時に使用する分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。具体的には、無機系の分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。また、有機系の分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを用いることができる。
【0065】
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムを用いることができる。
【0066】
本発明のトナーを懸濁重合法により製造する場合、水系分散媒体調製時に使用する分散剤としては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散剤を用いるとよい。また、本発明においては、難水溶性無機分散剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散剤が重合性ビニル系単量体100質量部に対して、0.2〜2.0質量部となるような割合で使用することが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300〜3,000質量部の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
【0067】
本発明において、上記したような難水溶性無機分散剤が分散された水系分散媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよいが、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水等の液媒体中で、高速撹拌下、上記したような難水溶性無機分散剤を生成させて調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散剤を得ることができる。
【0068】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0069】
(モノアゾ系顔料の製造例1)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド50部を水1000部に分散させ、氷を加えて0〜5℃の温度条件に設定し、35%HCl水溶液60部を加えて20分間撹拌した。その後、30%亜硝酸ナトリウム水溶液50部を加えて60分間撹拌後、スルファミン酸2部を加えて亜硝酸を消去した。さらに酢酸ナトリウム50部、90%酢酸75部を添加し、ジアゾニウム塩溶液とした。
【0070】
これとは別に、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキサミド40部を水1000部、水酸化ナトリウム25部と共に温度80℃以下で溶解させた後、0〜5℃の温度条件に設定した状態で、pH=3となるように35%HCl水溶液を添加し、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキサミドの一部を塩析させた。これに、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、系内がpH=9となるように調整し、カップラー分散液とした。
【0071】
系内をpH=9に調整されたカップラー分散液に上記ジアゾニウム塩溶液を10℃以下の温度条件で添加し、30分攪拌しカップリング反応を行った(反応終了時:pH=8)。これに、10%アビエチン酸水溶液100部を加え30分攪拌し、塩化カルシウム水和物100部を水1000部に溶解した液を加え、さらに60分攪拌しレーキ化反応を行った。99℃の加熱処理後、濾過、水洗を行い、これを100℃で乾燥し、粉砕を行うことにより式(1)で示した本発明に係るモノアゾ系顔料(A)(C.I.ピグメントレッド150)を得た。透過電子顕微鏡(TEM)にて、得られたモノアゾ系顔料は4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子を20個数%含有することを確認した。
【0072】
(モノアゾ系顔料の製造例2〜9)
製造例1において、芳香族アミン、β−ナフトール誘導体の種類、及び添加部数、カップラー液調製工程、カップリング反応終了時のpH、ロジン処理の有無を変更する以外は、製造例1と同一条件及び同一操作を行い、モノアゾ系顔料(B)〜(I)を得た。これらの4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子の含有量は、表1に示した。
【0073】
(モノアゾ系顔料の比較製造例1)
製造例1において、カップリング反応の際、ジアゾニウム塩溶液を50℃の温度条件で非常にゆっくり添加し、その後のロジン処理を行わないこと以外は、製造例1と同一条件及び同一操作を行い、モノアゾ系顔料(a)を得た。得られたモノアゾ系顔料(a)を透過電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子を60個数%含有し、6<長径/短径である針状の一次粒子も多数観察された。
【0074】
(モノアゾ系顔料の比較製造例2)
製造例1のカップラー液調製工程において、ミネライト100を3部添加し、35%HCl水溶液を添加し3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキサミドの一部を塩析させるといった操作を行わず、カップリング反応工程においては、ジアゾニウム塩溶液の添加速度、及び系内の攪拌速度を大きくする以外は、製造例1と同一条件及び同一操作を行い、モノアゾ系顔料(b)を得た。得られたモノアゾ系顔料(b)を透過電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子は観察されず、全ての一次粒子が長径/短径<4であった。
【0075】
(トナーの製造例1)
高速撹拌装置クレアミックス(エムテクニック社製)を具備した2リットル用4つ口フラスコ中に、イオン交換水470部とNa3PO43.3部を投入し、高速撹拌装置の回転数を10,000rpmに設定し、65℃に加温せしめた。ここにCaCl2水溶液を添加し、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。さらに希塩酸により水系分散媒体のpHが5.2になるように調整した。
【0076】
一方、分散質として、
・スチレン 83部
・n−ブチルアクリレート 17部
・ジビニルベンゼン 0.2部
・モノアゾ系顔料(A) 5部
・ポリエステル樹脂(ピーク分子量=7000) 5部
・荷電制御剤(サリチル酸のアルミニウム化合物) 2部
・エステルワックス(融点=60℃) 12.5部
からなる混合物をアトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、65℃にて2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を添加、1分間攪拌し、重合性単量体組成物を調製した。
【0077】
重合性単量体組成物調製後、高速撹拌装置の回転数を15,000rpmに高めた前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温60℃のN2雰囲気下で、3分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌装置をパドル撹拌羽根を具備したものに換え、200rpmで撹拌しながら同温度に保持し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで第1反応工程を終了した。さらに反応温度を80℃に昇温し、重合転化率がほぼ100%になったところで第2反応工程を終了し、重合工程を完了した。
【0078】
重合終了後、冷却した後に希塩酸を添加して難水溶性分散剤を溶解せしめた。さらに加圧ろ過器にて水洗浄を数回繰り返した後、乾燥処理を行い、重合体粒子(A)を得た。
【0079】
上記重合体粒子(A)100部と疎水性オイル処理シリカ微粉体(BET比表面積:200m2/g)2部をヘンシェルミキサー(三井金属社製)で乾式混合して、本発明のトナー(A)とした。
【0080】
このトナー(A)の断面を透過電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、トナー(A)中に分散しているモノアゾ系顔料は、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子が15個数%であった。
【0081】
(トナーの製造例2〜6、比較用トナーの製造例1)
モノアゾ系顔料の種類と添加量を変更する以外は、前記トナーの製造例1と同様の方法でトナー(B)〜(F)、及び比較用トナー(a)を調製した。
【0082】
(トナーの製造例7)
・スチレン−ブチルアクリレート共重合樹脂 100部
(ガラス転移温度65℃)
・モノアゾ系顔料(G) 4部
・荷電制御剤(サリチル酸のアルミニウム化合物) 2部
・エステルワックス(融点=60℃) 7部
を混合し、二軸エクストルーダーで溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した。さらに、ハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)を用いて球形化した後に分級し、トナー粒子(G)を得た。
【0083】
このトナー粒子(G)100部に対して、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET:250m2/g)1.5部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、トナー(G)を得た。
【0084】
このトナー粒子(G)の断面を透過電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、トナー粒子(G)中に分散しているモノアゾ系顔料は、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子が10個数%であった。
【0085】
(トナーの製造例8、9、比較用トナーの製造例2)
モノアゾ系顔料の種類と添加量を変更する以外は、前記トナーの製造例1と同様の方法でトナー(B)〜(F)、及び比較用トナー(a)を調製した。
【0086】
(比較用トナーの製造例3)
着色剤として「C.I.ピグメントレッド57:1」5部を用いた以外は、前記トナーの製造例7と同様の方法で比較用トナー(c)を調製した。
【0087】
上記トナーの製造例及び比較用トナーの製造例の主な処方内容について、表2にまとめた。
【0088】
(トナーの製造例10)
着色剤として「C.I.ピグメントブルー15:3」5部を用いた以外は、前記トナーの製造例1と同様にして重合体粒子を得た後、シアントナーを調製した。
【0089】
(トナーの製造例11)
着色剤として「C.I.ピグメントイエロー93」7部を用いた以外は、前記トナーの製造例1と同様にして重合体粒子を得た後、イエロートナーを調製した。
【0090】
(実施例1)
画像形成装置として、レーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−2160)の改造機を用いた。このプロセスカートリッジにトナーの製造例1で得られたトナー(A)を投入し、転写材として複写機用普通紙(75g/m2)を用い、単色モードにて印字面積比率4%の文字画像を28枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で10,000枚分をプリントアウトした後、画像濃度、画像カブリを評価したところ、画像濃度、画像カブリ抑制はいずれもプリント初期と同等であり良好であった。
【0091】
感光体表面の観察を行ったところ、感光体表面のフィルミング、残留トナーの固着、及び損傷は発生しておらず、非常に良好な状態であった。
【0092】
また、トナーのトリボ電荷量を常温常湿下、高温高湿下で測定したところ、有意差は見られず、環境帯電安定性に優れていた。
【0093】
上記画像評価と同様に画像形成装置としてレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−2160)の改造機を用い、このプロセスカートリッジにトナーの製造例1で得られたマゼンタトナー(A)、及びトナーの製造例10で得られたシアントナー、トナーの製造例11で得られたイエロートナーを投入し、複写機用普通紙(75g/m2)を用いフルカラー画像をプリントアウトしたところ、2色以上の重ね合わせにおいても良好であり、色再現性の優れた画像であった。また、OHPシート「CG3700」(3M社製)上にプリントアウトしOHP投影画像を評価したところ、透明性に優れ、さらに2色以上の重ね合わせにおいても良好であった。
【0094】
これらの評価結果を表3にまとめて示した。
【0095】
尚、評価方法及びその評価基準は次の通りであり、後述の実施例2〜9及び比較実施例1〜3もこれらに従っている。
【0096】
(評価方法)
(1)画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に一辺が5mmの正方形のベタ画像をプリントアウトし、「X−Rite 504」(X−Rite社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
A:1.40以上
B:1.30以上、1.40未満
C:1.20以上、1.30未満
D:1.20未満
【0097】
(2)画像カブリ
ベタ白画像形成時の感光体上の転写残余のトナーをマイラーテープによってテーピングして剥ぎ取り、それを紙上に貼ったものについて反射濃度を「X−Rite 504」で測定した。得られた反射濃度から、マイラーテープをそのまま紙上に貼った時の反射濃度を差し引いた数値を用いて評価した。数値が小さいほど、画像カブリが抑制されていることになる。
A:0.03未満
B:0.03以上、0.07未満
C:0.07以上、0.15未満
D:0.15以上
【0098】
(3)感光体とのマッチング
感光体表面のフィルミング、残留トナーの固着、及び損傷の発生状況とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(わずかに傷の発生が見られるが、画像への影響はない)
C:普通(固着や傷があるが、画像への影響が少ない)
D:悪い(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じる)
【0099】
(4)トナーの環境帯電安定性
図1はトナーのトリボ電荷量を測定する装置の概略的説明図である。トナー(外添剤なし)とキャリアの混合物を50〜100ml容量のポリエチレン製のビンに入れ、500回手で振とうして摩擦帯電させる。該キャリアはシリコーン樹脂コートされたフェライトキャリア(平均粒径35μm)を使用し、トナーとキャリアの混合重量比は7:93とする。底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に、該混合物(トナーとキャリア)W0(g:約0.5−1.5g)を入れ金属製のふた4をする。このときの測定容器2全体の重量を秤りW1(g)とする。次に吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁性)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を2450(hpa)とする。この状態で2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。このときのトナーの摩擦帯電量Q(mC/kg)は、トナー100%補正をすると下記のように定義される。
【0100】
【数1】
Figure 0004006309
【0101】
上記式中、V(ボルト)は電位計9の電位を示し、C(μF)はコンデンサー8の容量を示し、W2(g)は吸引後の測定容器2の重量を示し、Tはトナー/キャリアの重量比を示す。
【0102】
トナーの環境帯電安定性は、該トナーの摩擦帯電量Qを高温高湿(35℃、90%RH)、常温常湿(23℃、60%RH)で測定した。
【0103】
(5)普通紙上色再現性
複写機用普通紙(75g/m2)上のフルカラー画像を、「X−Rite SP68」(X−Rite社製)にて測定し、国際照明委員会で規格されたL***表色系の明度L*、赤または緑の度合いを表すa*、黄または青の度合いを表すb*で決定される色空間立体の体積を求めた。数値が大きいほど色空間が広く、小さいほど色再現性が乏しいことを意味する。
A:色空間体積が250万以上
B:色空間体積が200万以上250万未満
C:色空間体積が150万以上200万未満
D:色空間体積が150万未満
【0104】
(6)フルカラー投影画像色再現性及び透明性
OHPシート「CG3700」(3M社製)上のフルカラー画像をOHP「9550」(3M社製)にて透過画像とし、白色壁面に投影した画像を目視評価すると共に、分光放射輝度計「PR650」(フォトリサーチ社製)にて測定し、国際照明委員会で規格されたL***表色系の明度L*、赤または緑の度合いを表すa*、黄または青の度合いを表すb*で決定される色空間立体の体積を求めた。数値が大きいほど色空間が広く、小さいほど色再現性が乏しいことを意味する。
【0105】
<色空間体積>
A:250万以上
B:200万以上250万未満
C:150万以上200万未満
D:150万未満
【0106】
<目視評価>
A:鮮やかで、且つ透明性に優れる。
B:透明性は良好で、マゼンタの色再現性は優れるが、2次色(赤色、青色)はやや劣る。
C:透明性はやや劣り、マゼンタ、2次色(赤色、青色)いずれの色再現性もやや劣る。
D:くすみがあり、マゼンタ、2次色(赤色、青色)いずれの色再現性も劣る。
【0107】
(実施例2〜9及び比較例1〜3)
トナーとして、トナー(B)〜(I)、及び比較用トナー(a)〜(c)を使用する以外は実施例1と同様にして評価した。結果を表3に示した。
【0108】
【表1】
Figure 0004006309
【0109】
【化13】
Figure 0004006309
【0110】
【表2】
Figure 0004006309
【0111】
【表3】
Figure 0004006309
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、モノアゾ系顔料の粒子形状を規定することによって、トナー粒子中での該顔料の発色性や分散性を向上させることを可能とし、極めて鮮明な色彩と透明性、及び安定した摩擦帯電特性を有すると共に、耐フィルミング性に優れたトナーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーのトリボ電荷量を測定する装置の説明図である。
【符号の説明】
1 吸引機
2 測定装置
3 スクリーン
4 ふた
5 真空計
6 風量調節弁
7 吸引口
8 コンデンサ
9 電位計

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂、及び下記式(1)で示されるモノアゾ系顔料を含有する乾式トナーであって、該モノアゾ系顔料が、4≦長径/短径≦6である顔料一次粒子を3個数%以上で、且つ、4≦長径/短径である顔料一次粒子を40個数%以下含有することを特徴とする乾式トナー。
    Figure 0004006309
    〔R1、R2、R3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基のいずれかから選ばれる置換基を示し、R4は下記の群より選ばれ、下記の群中の置換基R5〜R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基のいずれかから選ばれる置換基を示す。〕
    Figure 0004006309
  2. モノアゾ系顔料が、下記式(2)で示されるβ−ナフトール誘導体と下記式(3)で示される芳香族アミンから合成され、少なくとも、該β−ナフトール誘導体を塩基性水溶液に溶解後、該β−ナフトール誘導体の一部を析出させるカップラー分散液調製工程を経て得られることを特徴とする請求項1に記載の乾式トナー。
    Figure 0004006309
    〔R4は下記の群より選ばれ、下記の群中の置換基R5〜R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基のいずれかから選ばれる置換基を示す。〕
    Figure 0004006309
    Figure 0004006309
    〔R1、R2、R3はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基のいずれかから選ばれる置換基を示す。〕
  3. モノアゾ系顔料が、少なくとも、カップリング反応を塩基性雰囲気下で完結させるカップリング反応工程を経て得られることを特徴とする請求項1または2に記載の乾式トナー。
  4. モノアゾ系顔料が、ロジン化合物で処理されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の乾式トナー。
  5. モノアゾ系顔料が、C.I.ピグメントレッド5、31、146、147、150、176、184、185、269(それぞれカラーインデックス第4版記載の名称による)の群から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乾式トナー。
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