JP4005193B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱して使用される内視鏡用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用処置具は、一般に、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シースの先端に処置部材を設け、シース内に挿通された操作ワイヤをシースの手元側端部に連結された操作部から牽引操作して、先端処置部材を動作させるように構成されている。
【0003】
そのような可撓性シースとして、密着巻きのコイルパイプが広く用いられている。密着巻きコイルパイプは、可撓性を有しながら直線保持性が良いので、目標に対する優れた狙撃能を得ることができる。また、軸線方向に縮まず耐圧縮性に優れているので、操作ワイヤを牽引操作する際に強い力が加わる処置具のシースに用いるのに適している。
【0004】
しかし、コイルパイプには電気絶縁性がなく、また表面の滑りも良くないので、高周波電流を用いる処置具や挿通抵抗の軽さが重視される処置具のシースとしては、コイルパイプの外面に可撓性チューブを被覆したものが用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そのようにコイルパイプの外面に可撓性チューブを被覆した構成のシースは、内側のコイルパイプに付着した汚物を使用後に洗浄するのが非常に困難であり、衛生面での問題発生を完全に回避するためには使い捨てにせざるを得ないため、非常に経済性が悪い欠点があった。
【0006】
そこで本発明は、可撓性及び直線保持性や耐圧縮性等コイルパイプの長所を維持し、しかも使用時にコイルパイプに汚物が付着しない衛生的な内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用処置具は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シースを有する内視鏡用処置具において、上記シースが、金属細線をほぼ一定の径で螺旋状に巻いて形成されたコイルパイプの内外両面に、可撓性チューブを水密状態に被覆して形成されていることを特徴とする。
【0008】
なお、上記シース内に操作ワイヤが軸線方向に進退自在に挿通されていて、その操作ワイヤが上記シースに対して挿脱自在であるとよく、上記シースの先端に、処置部材が着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具を示しており、シース1の手元側端部(基端部)から操作部が取り外された状態を示している。
【0010】
この内視鏡用処置具は、生検鉗子の組織採取カップ201に高周波電流を通じることができるようにした内視鏡用ホットバイオプシー鉗子であり、先端処置部200には、支軸202によって先端本体203に回転自在に支持された一対の組織採取カップ(先端処置部材)201が、操作ワイヤ204の進退動作によって駆動されるリンク機構205の先端側に連結されて構成されている。
【0011】
操作ワイヤ204は、例えばステンレス鋼線の撚り線によって形成されており、先端が、リンク機構205の後端側に連結されたワイヤつなぎ206にロー付け又ははんだ付け等によって固着、連結されていて、シース1内に軸線方向に進退自在に配置されている。
【0012】
このような構成により、先端処置部200をシース1に連結した状態で操作ワイヤ204を軸線方向に進退動作させることにより、リンク機構205が駆動されて組織採取カップ201が開閉動作をする。
【0013】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱されるシース1は、ステンレス鋼線をほぼ一定の径で螺旋状に密着させて巻いて形成された密着巻きのコイルパイプ11の内外面を、可撓性チューブ13,12で水密に被覆して構成されている。可撓性チューブ13,12としては、電気絶縁性を有するフッ素樹脂チューブやポリエチレンチューブ等を用いることができる。
【0014】
外面側の可撓性チューブ12は、コイルパイプ11との密着性を良くするために、コイルパイプ11の外径より小さな内径のチューブを用いて圧入するとよく、熱収縮チューブを用いてもよい。
【0015】
内面側の可撓性チューブ13は、組み立て時に軸線方向に引っ張って外径を細めた状態でコイルパイプ11内に位置させた後、引っ張り力を解除してコイルパイプ11の内面に密着させてもよく、熱膨張チューブを用いてもよい。また、コイルパイプ11内に緩く嵌挿されるサイズのチューブをそのまま用いてもよい。
【0016】
内外両可撓性チューブ13,12の前後両端は、コイルパイプ11の端部より延長して形成されて水密に接合されており、両可撓性チューブ13,12の間にサンドイッチ状に挟まれた状態のコイルパイプ11が、外部から完全に遮蔽されている。
【0017】
両可撓性チューブ13,12の先端側部分は互いが直接接合されていて、その部分が、先端本体203の後端に形成された筒状部分203aに被嵌されて、緊縛接着により固定連結されている。
【0018】
シース1の後端部分1aにおいては、、コイルパイプ11の後端に固着された金属製のテーパ筒15の表裏両面に可撓性チューブ13,12が接合されて、全体として外方に向かって広がるテーパ状になっている。このテーパ形状は、一般の注射筒と針との接続部に用いられるいわゆる注射テーパと同形状に形成されている。
【0019】
図2は、シース1の基端に操作部100が連結された状態を示している。操作部100の本体101の先端部分には先細りのテーパ状突起部102が真っ直ぐに突設されており、そこにシース1の後端テーパ部1aが食い込み接続されて、摩擦力によりその状態が維持されている。
【0020】
操作ワイヤ204の手元側端部(後端部)には、固定用端部204bが形成された補強パイプ204aが取り付けられている。そして、操作部本体101の中間部分に大きく形成された長溝108内には、操作ワイヤ204の固定用端部204bを固定するためのワイヤ連結部材109が長手方向にスライド自在に嵌め込まれていて、ワイヤ連結部材109に形成された孔内に操作ワイヤ204の固定用端部204bが差し込まれている。
【0021】
113は、図示されていない高周波電源との接続を行うために側方に突設された端子である。その端子113の裏側に突設されたネジ部(押さえネジ)114がワイヤ連結部材109にねじ込まれていて、操作ワイヤ204の固定用端部204bに押さえネジ114の端面が側方から当接するようになっている。
【0022】
その結果、端子113を摘んで押さえネジ114をワイヤ連結部材109にきつくねじ込むと、操作ワイヤ204の固定用端部204bがワイヤ連結部材109に押圧固定される。
【0023】
端子113を逆方向に回転させて押さえネジ114を緩めれば、その押圧状態が解かれて操作ワイヤ204が操作部100から外れる状態になる。なお、端子113を高周波電源に接続してスイッチオンにすると、高周波電流が押さえネジ114から操作ワイヤ204を通って先端側の組織採取カップ201に伝達され、いわゆるホットバイオプシーを行うことができる。
【0024】
ワイヤ連結部材109には、操作部本体101の長手方向にスライド操作自在なスライダー110が連結されており、操作部本体101の端部に取り付けられた親指かけ111に親指をかけ、スライダー110を人指し指と中指とで挟んでスライド操作することにより、操作ワイヤ204を軸線方向に進退操作することができる。
【0025】
そして使用後には、端子113を回転させて押さえネジ114を緩め、操作ワイヤ204が操作部100から外れる状態にして、操作部100からシース1と操作ワイヤ204を分離することができる。
【0026】
このように構成された内視鏡用処置具においては、シース1がコイルパイプ11の特性による可撓性及び直線保持性、耐圧縮性等を有していて、狙撃性や耐久性に優れている。
【0027】
しかも、そのコイルパイプ11が外部から遮蔽されていて汚染されず、汚液等に触れるのは内外の可撓性チューブ13,12の表面なので、使用後の洗浄によって容易に洗浄することができる。
【0028】
図3は、本発明の第2の実施の形態の内視鏡用処置具を示しており、先端処置部300にスネアループワイヤ301を配置した高周波スネアに本発明を適用したものである。
【0029】
スネアループワイヤ301は、接続パイプ302を介して操作ワイヤ204の先端に連結されていて、図3に示されるようにシース1の先端部分から突出した状態ではループ状に膨らみ、操作ワイヤ204を牽引操作するとシース1内に引き込まれて窄まるようになっている。
【0030】
また、シース1の先端部分には先端処置部300が連結されないので、内外両可撓性チューブ13,12の先端部分の間に円筒状の金属リング16が配置されて、可撓性チューブ13,12はその金属リング16の内外面に水密に接着されている。シース1の後端側の構造は第1の実施の形態と同じであり、図2に示される操作部100に連結して使用することができる。
【0031】
このような構成の処置具においては、操作ワイヤ204をシース1から抜去することができるので、使用後に、シース1の内面部分の洗浄をより容易かつ確実に行うことができる。
【0032】
図4は、本発明の第3の実施の形態の内視鏡用処置具を示しており、先端処置部400にバスケット型ループワイヤ401を配置した内視鏡用把持具に本発明を適用したものである。
【0033】
この実施の形態の形態においては、高周波電流を用いないので、操作部100に端子等が不要であるが、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。このように本発明は各種の内視鏡用処置具に適用することができる。
【0034】
図5は、本発明の第4の実施の形態の内視鏡用処置具を示しており、第1の実施の形態と同じホットバイオプシー生検鉗子において、シース1の先端から先端処置部200を取り外せるようにしたものである。
【0035】
互いに水密に接合された内外の可撓性チューブ13,12の先端部分には、内面に雌ネジが形成された金属製の先端口金17が接着緊縛されて固定されており、その雌ネジに対して先端本体203側に形成された雄ネジが螺脱自在になっている。
【0036】
このように構成することにより、ホットバイオプシー生検鉗子の場合でも、シース1から先端処置部200を取り外して、それと共に操作ワイヤ204を抜去することができるので、第2の実施の形態と同様に、使用後に、シース1の内面の洗浄をより容易かつ確実に行うことができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、コイルパイプの内外両面に可撓性チューブを水密状態に被覆して内視鏡用処置具のシースを形成したので、シースが可撓性、直線保持性及び耐圧縮性等を有していて、狙撃性や耐久性に優れており、しかもコイルパイプが外部から遮蔽されていて汚染されず、汚液等に触れるのは内外の可撓性チューブの表面なので、使用後に容易に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の操作部を除いた側面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の操作部の側面断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態の内視鏡用処置具の全体構成の側面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【符号の説明】
1 シース
11 コイルパイプ
13,12 可撓性チューブ
100 操作部
200 先端処置部
204 操作ワイヤ
Claims (3)
- 内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性のシースとそのシースの後端に連結された操作部とを有する内視鏡用処置具において、
上記シースが、金属細線をほぼ一定の径で螺旋状に巻いて形成されたコイルパイプの内外両面に、可撓性チューブを水密状態に被覆して形成されると共に、上記シースの後端部分に、上記操作部に対し係脱自在な後方に向かって径が広がった金属製のテーパ筒が固着されて、そのテーパ筒の内外両面に上記可撓性チューブが接合されていることを特徴とする内視鏡用処置具。 - 上記シース内に操作ワイヤが軸線方向に進退自在に挿通されていて、その操作ワイヤが上記シースに対して挿脱自在である請求項1記載の内視鏡用処置具。
- 上記シースの内外両面に被覆された可撓性チューブどうしが、上記シースの先端部分において直接接合されている請求項1又は2記載の内視鏡用処置具。
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1997
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