JP4003093B2 - 糖類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固定化された糖転移酵素を利用した、任意の糖鎖構造を有するオリゴ糖、糖ペプチド、糖脂質などの糖類、例えばスフィンゴ糖脂質の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖は核酸や蛋白質と並んで生体を構成する主要な成分であるが、核酸や蛋白質と比べ、その構造あるいは機能はあまりよく知られていない。糖は通常、糖鎖を連ねた重合体を形成し、また、それらが蛋白質や脂質と結合して糖蛋白質、糖脂質あるいはプロテオグリカンと総称される極めて複雑な複合分子を形成している。さらに、核酸あるいは蛋白質がその構成単位であるヌクレオチドあるいはアミノ酸が直線的に結合した高分子であるのに対して、糖鎖は分子内に複数の分岐点があるばかりでなく、その構成単位である単糖の結合様式も多様であるため、その構造は核酸や蛋白質と比較にならないほど複雑である。これら構造の複雑さが研究の遅れの大きな原因の一つである。
【0003】
しかし、細胞認識、免疫、分化、受精、老化、ガン化などに関与することが最近、徐々にわかってくるにつれて、非常に注目される研究分野となってきた。このような状況から、天然の構造を有する糖鎖や新規な糖鎖を合成する試みが盛んになされている。核酸や蛋白質については自動合成技術が確立されており、このことにより、この分野の研究が著しく進歩したことは誰もが認めるところであり、糖鎖についても、その自動合成技術の確立は切望されている。しかしながら、種々の有効な保護・脱保護方法や高収率、かつ、立体選択的なグリコシル化反応が十分に開発されておらず、未だ確立していない。
【0004】
近年、Danishefsky らはグリカールを利用する糖類の固相合成法を提案しており(Science, 260, 1307 (1993)) 、高収率かつ選択的なグリコシル化に関する問題についてある程度の解決がなされた。この方法は、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に、ジフェニルシリル基を介して、グリカールを結合し、該グリカールと3,3−ジメチルジオキシランを反応させ、グリカールを1,2−アンヒドロ糖とする。該アンヒドロ糖を糖供与体とし、別の適当に保護されたグリカールと反応させ、グリコシドグリカールを形成させ、これを繰り返すというものである。しかし、この方法では、新たに形成されるグリコシド結合は立体選択的に形成されるが、供与体側の2位の水酸基とはトランス配位のものしか形成できないという欠点がある。
【0005】
一方、保護基が不要であり、かつ、立体選択的にグリコシド結合を形成することが可能である糖転移酵素を利用した糖鎖の固相合成法も提案されるようになってきた。これは従来、入手できる糖転移酵素の種類が少なく、かつ、高価であるということであまり検討されなかったが、最近、各種糖転移酵素の遺伝子が単離され、遺伝子組換えによる糖転移酵素の大量生産が可能になってきたという背景がある。
【0006】
そのような例としては、U. Zehaviらはアミノヘキシル基を結合させたポリアクリルアミドゲルを固相担体とした糖転移酵素による固相合成を報告している(Carbohydr. Res., 124, 23 (1983), Carbohydr. Res., 228, 255 (1992))。この方法は、適当な単糖を4−カルボキシ−2−ニトロベンジルグリコシドとした後、上記担体のアミノ基と結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素により糖鎖伸長反応を行ない、その後、光分解によりオリゴ糖を遊離させるというものである。しかし、この方法の糖転移収率は低く、10%にも満たない。
【0007】
これまで、糖転移酵素は固相担体上に結合させた糖あるいはオリゴ糖とはあまり反応せず、糖鎖伸長反応を効率よく行うことは困難であるとされてきた。最近、4−カルボキシ−2−ニトロベンジルグリコシドと固相担体との間をヘキサメチレン基やオクタメチレン基など鎖長の長いリンカーで結合させることにより糖転移収率を最大51%まで向上したとの報告があった(React. Polym., 22, 171 (1994), Carbohydr. Res., 265, 161 (1994)) 。
【0008】
さらに、C.-H. Wongらはアミノ化シリカに、下記化4の基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用い、糖鎖を伸長させた後、α−キモトリプシンの加水分解作用を利用し、伸長させた糖鎖を切り出す方法を報告している(J. Am. Chem. Soc., 116, 1136 (1994)) 。この方法では糖転移収率は55%である。さらに、C.-H. Wongらは固相担体に結合させる基を下記化5に改良し、糖転移酵素により糖鎖を伸長した後、ヒドラジン分解により糖鎖を遊離させる方法を報告しており、ほぼ定量的に糖転移反応が進行したと報告している(J. Am. Chem. Soc., 116, 11315 (1994))。
【0009】
【化4】
(式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基、Acはアセチル基を示す。)
【0010】
【化5】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0011】
その他の方法として、M. Meldal らはジアミノ化ポリエチレングリコールのモノおよびジアクリロイル化体の重合体に、下記化6の基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用い、糖鎖を伸長させた後、トリフロロ酢酸により糖鎖を遊離させる方法を報告しており、ここでも糖転移反応はほぼ定量的に進行したと報告している(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1849 (1994)) 。
【0012】
【化6】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0013】
上述したように、固相担体上で糖転移酵素による糖鎖伸長反応を行うとき、固相担体と糖鎖伸長反応開始点となる糖残基との間を、どのような基(リンカー)で結合させるかにより、その糖転移収率は大きく影響される。また、糖鎖を担体から遊離させるとき、リンカー内に選択的に開裂させることのできる結合が含まれているということは非常に有利である。
【0014】
糖転移酵素を利用し、糖鎖伸長反応を行おうとすると、遺伝子組換えにより大量生産が可能になってきたとはいえ、まだまだ糖転移酵素は非常に高価であり、繰り返して使用できる固定化糖転移酵素の利用が望まれる。しかし、上記の方法はいずれも不溶性担体上で糖鎖伸長反応を行うため、固定化糖転移酵素を利用できないという欠点がある。
【0015】
固定化糖転移酵素を利用するためには、不溶性担体ではなく、水溶性担体上で糖鎖伸長反応を行う必要がある。
ところが、水溶性担体を利用した糖鎖合成法としては、本発明者らがポリアクリルアミドのアミド態窒素原子に、下記化7に示した基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用い、糖鎖を伸長させた後、α−キモトリプシンの加水分解作用を利用し、伸長させた糖鎖を切り出す方法を報告しているが(Tetrahedron Lett., 35, 5657 (1994))、この方法でも用いられている糖転移酵素は遊離の酵素であり、固定化酵素ではない。水溶性担体を利用し、固定化糖転移酵素による糖鎖合成を行った例は、これまでのところ見当たらない。
【0016】
【化7】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0017】
糖転移酵素の固定化については、C. Auge らは臭化シアンで活性化させたアガロースゲルにガラクトース転移酵素を固定化し、これを用いたオリゴ糖合成を報告している(Pure & Appl. Chem., 59, 1501 (1987)) 。さらに、J. Thiemらはアミノプロピルシリカにグルタルアルデヒドを用いて、ガラクトース転移酵素を固定化し、オリゴ糖合成への利用を報告している(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 25, 1096 (1986))。しかし、いずれも基質は通常の単糖あるいはオリゴ糖であり、糖鎖が連なった高分子基質と固定化糖転移酵素との反応は、これまで報告されていない。さらに、一般に固定化酵素は遊離酵素と比較して、高分子基質に対して反応性が劣るとされている。これは、固定化酵素は高分子基質との接触が遊離酵素に比べ、困難になるためと考えられている。従って、固定化糖転移酵素を用いて、高分子基質である水溶性担体上で効率よく糖鎖伸長反応を行うことができれば非常に有用である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、固定化糖転移酵素を利用した糖鎖を合成する方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、水溶性ポリマーの側鎖に適当な条件で選択的に開裂することのできる結合を含むリンカーを介して適当な糖残基を結合させたものをプライマーとし、これを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化された糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から糖残基をプライマーへ転移させ、適当な回数、この糖転移反応を繰り返した後、必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類などを除去し、糖鎖の伸長した該プライマーから適当な条件でリンカーに含まれる選択的に開裂できる結合を選択的に開裂させ、糖鎖を遊離させることにより、前記問題点が解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明は下記工程を含むことを特徴とする糖類の製造方法である。(1)水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化された糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基を該プライマーの糖残基へ転移させる工程、
(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、
(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類または未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、
および
(4)工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーから、上記リンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合を開裂させることにより、伸長した糖鎖を遊離させる工程。
【0021】
また、本発明は下記工程を含むことを特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法である。
(1)水溶性ポリマーの側鎖に一般式(I)で表される基を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基をプライマーの糖残基へ転移させる工程、
【0022】
【化8】
(R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。)
(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、
(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類または未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、
および
(4)工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーに、セラミドの存在下、セラミドグリカナーゼを作用させ、該プライマーより複数の糖残基が伸長したオリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程。
【0023】
【発明の実施態様】
本発明のプライマーとは、水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させた物質である。
【0024】
本発明で使用する水溶性ポリマーとは、水媒体中で溶解性を有するポリマーであれば、材質を問わないが、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはこれらの誘導体からなるアクリル系またはメタクリル系モノマーの重合体または共重合体、またはこれらのアクリル系またはメタクリル系モノマーと他のビニル化合物との共重合体がある。他のビニル系化合物としては、ビニルアルコール、酢酸ビニル、スチレン、ビニルピリジンなどが例示される。さらに、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのビニル系重合体または共重合体も使用できる。
【0025】
本発明において、水溶性ポリマーの側鎖とは、上記水溶性ポリマーの重合反応により形成されたポリアルキレン鎖以外の部分をいう。例えば、ポリアクリルアミドの場合は、−CONH2 基が側鎖となる。
【0026】
本発明において、選択的に開裂可能な結合とは、糖転移酵素の作用により伸長した糖鎖のグリコシド結合を開裂あるいは異性化させない条件下で、開裂することのできる結合のことであり、該結合が開裂することにより、糖鎖を水溶性ポリマーから遊離させることができる。このような結合としては、例えば、弱酸性あるいは弱アルカリ性で開裂できる結合、接触還元反応で開裂できる結合、光反応により開裂できる結合あるいはプロテアーゼまたはセラミドグリカナーゼなどの酵素により開裂できる結合などが挙げられる。その中でも反応の特異性や簡便性などから考えて、プロテアーゼまたはセラミドグリカナーゼなどの酵素により開裂できる結合が好ましい。
【0027】
選択的に開裂可能な結合、例えば、フェニルアラニンアルキルエステルのエステル結合は、α−キモトリプシンにより選択的に開裂することができる。また、O−グリコシル−N−アシルセリンアルキルアミドのグリコシド結合はセラミドグリカナーゼにより選択的に開裂することができる。
また、該結合はセラミド存在下、セラミドグリカナーゼを作用させると、セリン残基に結合している単糖あるいはオリゴ糖をセラミドの1位の水酸基に転移させることもできる。
【0028】
本発明において、選択的に開裂可能な結合を含むリンカーとは、両端に化学結合することができる官能基、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基などを有し、該官能基を介して水溶性ポリマーの側鎖の官能基および糖鎖の水酸基と結合しており、その分子内に上記のような選択的な開裂可能な結合を含んでいるものをいう。
【0029】
本発明において、水溶性ポリマーの側鎖にリンカーを介して結合させる糖残基とは、糖転移酵素の受容体となるものであれば、特に制限はなく、グルコース残基、ガラクトース残基、N−アセチルグルコサミン残基、N−アセチルガラクトサミン残基、マンノース残基、グルクロン酸残基、ラクトース残基などが挙げられる。
【0030】
本発明のプライマーは、糖残基を有する一般式(III)(後記化17) あるいは(IV) (後記化18) で表される重合性モノマーとアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーなどを、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を触媒とし、共重合させることにより製造することができる。
【0031】
次に、プライマーの一例として、ポリアクリルアミドのアミド態窒素原子に一般式(I)あるいは(II)で示される基が結合したものを詳しく説明する。
【0032】
【化9】
(R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。)
【0033】
【化10】
(R4 は炭素数2〜20のアルキレン基、R5 は炭素数5〜19のアルキレン基を示し、Acはアセチル基を示す。)
【0034】
R2 の炭素数6〜20のアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基などが例示され、アルケニル基としては、シス−9−オクタデセニル基などが例示される。
R3 の炭素数5〜19のアルキレン基としては、例えば、ペンチレン基、ヘプチレン基、ノニレン基、ヘプタデシレン基などが例示される。
R4 の炭素数2〜20のアルキレン基としては、エチレン基、ブチレン基、ヘキレン基、ドデシレン基、オクタデシレン基などが例示される。
R5 の炭素数5〜19のアルキレン基としては、ペンチレン基、ヘプチレン基、ウンデシレン基、ヘプタデシレン基などが例示される。
【0035】
本発明に使用できるプライマーとしては、R1 、R2 およびR3 またはR4 およびR5 を任意に組み合わせることができる。
【0036】
一般式(II)で表される基は、例えば下記式で表される基などが挙げられる。
【0037】
【化11】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0038】
【化12】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0039】
【化13】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0040】
一般式(I) で表される基は、例えば下記式で表される基などが挙げられる。
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】
本発明では、一般式(III) あるいは(IV)で表される重合性モノマーとアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーとを例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を触媒とし、共重合させることにより、本発明のプライマーを製造することができる。
【0045】
【化17】
(R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。)
【0046】
【化18】
(R4 は炭素数2〜20のアルキレン基、R5 は炭素数5〜19のアルキレン基を示し、Acはアセチル基を示す。)
【0047】
一般式(III) で表される重合性モノマーは、一般式(V) で表される活性化糖と一般式(VI)で表されるセリン誘導体とを適当な触媒存在下、縮合反応させた後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去し、一般式(VII) で表されるアクリルアミドと縮合反応させ、さらに糖部分の保護基を除去することにより得られる。
【0048】
【化19】
(式中、R1 、R2 およびR4 はそれぞれ独立して、アシル型保護基またはエーテル型保護基を示し、R3 は水酸基をアシル型保護基またはエーテル型保護基したβ−ガラクトース残基、アシル型保護基またはエーテル型保護基を示し、Xは活性化基を示す。)
【0049】
【化20】
(式中、R5 は保護基を示し、R6 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
【0050】
【化21】
(式中、R7 は炭素数5〜19のアルキレン基を示し、Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示す。)
【0051】
一般式(V) において、アシル型保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基などが例示され、エーテル型保護基としては、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、アリル基などが例示される。
Xの活性化基としては、臭素(Br)、フッ素(F)、トリクロロアセトイミデート基などが挙げられる。
【0052】
一般式(V) で表される活性化糖は、従来より行われている化学的な合成で得たものを利用することができる。例えば、2,3,4,6−テトラ−O−アセチルグルコシルブロミドや2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチルラクトシルブロミドなどが挙げられる。
【0053】
一般式(VI)で表されるセリン誘導体は、式中、R5 は保護基を示し、R6 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示す。保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基などの基がある。
このようなセリン誘導体の例としては、例えば、N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)セリンステアリルアミドなどが例示される。
【0054】
活性化糖とセリン誘導体の縮合に用いることのできる触媒は、活性化基Xに応じて適宜選択すればよく、例えば、活性化基が臭素(Br)の場合は、通常、銀、水銀などの重金属塩、第4級アンモニウム塩などを用いることができ、フッ素(F)の場合は塩化スズ(II)と銀塩の組合せ、ジルコノセン錯体やハフノセン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルなどを、トリクロロアセトイミデート基の場合はBF3 OEt2 、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルなどを用いることができる。
【0055】
また、この縮合反応は通常、無水条件下で行い、モレキュラシーブや無水硫酸カルシウム存在下で反応させることが多い。
溶媒としては、用いる基質(活性化糖およびセリン誘導体)に応じて適宜選択すればよく、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテルなどがよく用いられる。
【0056】
反応温度は活性化糖の反応性により、通常、−70℃〜100℃前後であるが、反応に差し障りのない限り低温で行うのが望ましい。
セリン残基部分のアミノ基の保護基の除去方法は、保護基の種類により適宜選択され、例えばベンジルオキシカルボニル基の場合は水素化分解、t−ブトキシカルボニル基の場合はHBr/酢酸やHF処理で、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基の場合はジエチルアミンなどの塩基処理で除去することができる。
【0057】
一般式(VII) で表されるアクリルアミド誘導体との縮合は、通常、カルボジイミド類やN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリンなどの縮合試薬を用いることにより行うことができる。
【0058】
次に、オリゴ糖部分の保護基の除去も、除去したい保護基の種類に応じて適宜その脱離条件を選択すればよく、例えばアセチル基やベンゾイル基はメタノール中ナトリウムメトキシドで処理することにより、ベンジル基は水素化分解により、p−メトキシベンジル基は水素化分解や2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンあるいは硝酸セリウムアンモニウムなどの酸化剤で処理することにより、アリル基はカリウムt−ブトキシドまたはWilkinson 錯体でプロペニル基へ異性化させた後、酸、水銀塩もしくはヨウ素で処理することにより除去することができる。
【0059】
一般式(IV)で表される重合性モノマーは、一般式(VIII)で表される糖オキサゾリン誘導体と一般式(IX)で表されるフェニルアラニン誘導体を適当な触媒存在下に縮合させた後、保護基を除去し、一般式(VII)で表されるアクリルアミド誘導体と反応させ、さらに糖部分の保護基を除去することにより得られる。
【0060】
【化22】
(式中、R1 、R2 およびR3はそれぞれ独立して、アシル型保護基またはエーテル型保護基を示す。)
【0061】
【化23】
(式中、R4 は保護基を示し、R5 は炭素数2〜20のアルキレン基を示す。)
【0062】
【化24】
(式中、R7 は炭素数5〜19のアルキレン基を示し、Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示す。)
【0063】
一般式(VIII)において、アシル型保護基およびエーテル型保護基は一般式(V) と同意義である
【0064】
一般式(IX)で表されるフェニルアラニン誘導体は、式中、R4 は保護基を示し、R5 は炭素数2〜20アルキレン基を示す。保護基は一般式(VI)と同意義である。
【0065】
このようなフェニルアラニン誘導体の例としては、例えば、N−ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン6−ヒドロキシヘキシルアミド、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)フェニルアラニン12−ヒドロキシドデシルアミドなどが例示される。
【0066】
糖オキサゾリン誘導体とフェニルアラニン誘導体を縮合させる触媒としては、例えば、D−カンファー−10−スルホン酸などを挙げることができる。
保護基の除去、一般式(VII) で表されるアクリルアミド誘導体との反応および糖部分の保護基の除去は上述した方法により行うことができる。
【0067】
得られた重合性モノマーは、通常、カラムクロマトグラフィーなどの精製方法により精製することができる。
【0068】
本発明の第1工程は、水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化された糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基を該プライマーの糖残基へ転移させる。
【0069】
糖ヌクレオチド類よりプライマー高分子への糖残基の転移は、通常、上記プライマーと糖ヌクレオチド類とを含む中性の緩衝液中で、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で、1〜120時間好ましくは2〜72時間、固定化糖転移酵素と接触させることにより行われる。
【0070】
また、反応液中には必要に応じて金属塩を添加してもよい。添加できる金属イオンとしては、例えばマグネシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などがあり、通常塩化物などの形で添加することができる。
【0071】
本発明で用いる糖ヌクレオチド類は、糖転移酵素が作用するものであれば、特に限定されず、例えば、ウリジン−5’−ジホスホガラクトース、ウリジン−5’−ジホスホ−N−アセチルグルコサミン、ウリジン−5’−ジホスホ−N−アセチルガラクトサミン、ウリジン−5’−ジホスホグルクロン酸、ウリジン−5’−ジホスホキシロース、グアノシン−5’−ジホスホフコース、グアノシン−5’−ジホスホマンノース、シチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸およびこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
例えば、β1,4−ガラクトース転移酵素は、糖ヌクレオチドであるウリジン−5’−ジホスホガラクトース(UDP−Gal)以外に、UDP−4−−デオキシグルコースなどの誘導体を供与体とすることが可能である。
本発明でいう副生したヌクレオチド類とは、具体的には、糖ヌクレオチド類から生成したウリジン−5’−ジホスフェート(UDP)、グアノシン−5’−ジホスフェート(GDP)、シチジン−5’−モノホスフェート(CMP)などのことである。
【0072】
本発明で用いる糖転移酵素は、糖ヌクレオチド類を糖供与体として利用できるものであればよく、特に限定されない。このような酵素としてLeloir経路の糖転移酵素類が挙げられ、例えば、ガラクトース転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、N−アセチルガラクトサミン転移酵素、フコース転移酵素、シアル酸転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移酵素、グルクロン酸転移酵素などが挙げられる。
【0073】
本発明で用いる固定化糖転移酵素は、上記糖転移酵素を適当な担体に固定化したものであればよく、特に限定されない。例えば、担体に酵素を物理的に吸着させる物理的吸着法、イオン交換基をもつ担体に酵素をイオン的に結合させるイオン結合法、担体に酵素を共有結合によって結合させる共有結合法、酵素同士を多価架橋剤により架橋し不溶化させる架橋法、高分子ゲルの細かい格子の中に酵素を取り込ませる包括法などにより固定化することができる。これらの中でも酵素の漏出が少ないと考えられる共有結合法による固定化が好ましい。
【0074】
担体としては、酵素を共有結合できるものであれば、特に制限はなく、架橋デキストラン、架橋アガロースまたはこれらにジエチルアミノエチル基やカルボキシメチル基などのイオン交換基を結合させたものが例示される。さらに、酵素固定化用あるいはリガンド固定化用として、予め、上記担体をBrCN処理、エポキシ化、N−ヒドロシキスクシンイミド化などの活性化処理を行ったものが市販されており、これらを使用することにより、簡便に固定化酵素を調製することができる。
【0075】
本発明の第2工程は、工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる。
【0076】
本発明の第3工程は、必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する。副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類などを除去する方法は、プライマー高分子とヌクレオチド類および糖ヌクレオチド類などとを分離できる方法であれば、特に限定されず、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0077】
本発明の第4工程は、工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーから、上記リンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合を開裂させることにより、伸長した糖鎖を遊離させる。糖鎖の伸長したプライマーから糖鎖の遊離は、選択的に開裂可能な結合を選択的に開裂できる方法であれば、特に制限はない。
【0078】
例えば、一般式(I)で表される基が結合したプライマーの場合は、中性の緩衝液中で、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で、1〜72時間、好ましくは2〜24時間、セラミドグリカナーゼと接触させることにより行われる。反応液中には必要に応じて、トリトンCF−54、トリトンX−100などの界面活性剤を添加してもよい。また、糖鎖の伸長したプライマーからセラミドへの糖鎖の転移は、上記反応をセラミド共存下で実施することにより行うことができる。
【0079】
ここでいうセラミドグリカナーゼは、スフィンゴ糖脂質のオリゴ糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する作用を有する酵素全般を指し、「セラミドグリカナーゼ」あるいは「エンドグリコセラミダーゼ」として市販されているものを利用することができる。例えば、ヒル由来のセラミドグリカナーゼやロドコッカス属菌由来のエンドグリコセラミダーゼなどが挙げられる。
【0080】
本発明の一実施態様は、下記工程を含むことを特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法である。
(1)水溶性ポリマーの側鎖に一般式(I)で表される基を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から糖残基をプライマーへ転移させる工程、
(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、
(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、
および
(4)工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーに、セラミドの存在下、セラミドグリカナーゼを作用させ、該プライマーより複数の糖残基が伸長したオリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程。
【0081】
本発明において用いるセラミドとしては、スフィンゴシンあるいはその誘導体に脂肪酸が酸アミド結合しているものであれば、特に制限はなく、製造するスフィンゴ糖脂質の目的にあったものを適宜選択すればよい。例えば、スフィンゴシン誘導体としてはジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシンなどが挙げられ、脂肪酸としては炭素数8〜24の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、α−ヒドロキシ酸などが挙げられる。
【0082】
例えば、N−ステアロイルスフィンゴシン(下記化25)、N−パルミトイルスフィンゴシン、N−リグノセロイルスフィンゴシン、N−オレオイルスフィンゴシン、N−リノレオイルスフィンゴシン、N−アラキノイルスフィンゴシン、N−ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、N−パルミトイルジヒドロスフィンゴシン、N−リグノセロイルジヒドロスフィンゴシン、N−オレオイルジヒドロスフィンゴシン、N−リノレオイルジヒドロスフィンゴシン、N−アラキノイルジヒドロスフィンゴシン、N−ステアロイルフィトスフィンゴシン、N−パルミトイルフィトスフィンゴシンなどが挙げられる。
【0083】
【化25】
【0084】
一般式(II)で表される基が結合したプライマーの場合は、セラミドグリカナーゼの代わりにα−キモトリプシンを用いることにより、プライマーから糖鎖を遊離させることができる。
得られた糖鎖あるいはスフィンゴ糖脂質は、各種カラムクラマトグラフィーなどの一般的な精製方法により分離精製することができる。
【0085】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、固定化された糖転移酵素を利用して、任意の糖鎖構造有するオリゴ糖、糖ペプチド、糖脂質を容易に迅速に製造することができる。
【0086】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
参考例1
2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリンの合成
2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノシド6.0gを1,2−ジクロロエタン40mlに溶かし、ここにトリメチルシリルトリフロロメタンスルホン酸(以下、TMSOTfと略する)3.2mlを加え、50℃で7時間撹拌しながら反応させた。反応後、室温まで冷却した後、トリエチルアミン10.8mlを加えた。反応液を減圧濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;トルエン:酢酸エチル:トリエチルアミン=100:200:1)を用いて目的物を分離し、目的物を5.0g得た。2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリンは下記構造式を有する。
【0087】
【化26】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0088】
参考例2
N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−6−アミノ−1−ヘキサノールの合成
N−ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン11.96gと6ーアミノ−1−ヘキサノール5.2gをベンゼン:エタノール=1:1の混合溶媒40mlに溶解し、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(以下EEDQと略する)9.9gを加えて、室温で24時間撹拌した。反応後、反応液を減圧乾固し、残渣をベンゼンで再結晶し、目的物13.6gを得た。N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−6−アミノ−1−ヘキサノールは下記構造式を有する。
【0089】
【化27】
【0090】
参考例3
N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドの合成
参考例1で得た2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリン2.96gと参考例2で得たN−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−6−アミノ−1−ヘキサノール7.17gをジクロロエタン35mlに溶解させ、70℃に保ちながらD−カンファー−10−スルホン酸(以下、CSAと略する)をpH2〜3になるまで加えた。30分間反応させた後、室温まで冷却し、反応液をクロロホルムで希釈して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した。有機溶媒層を無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた。セライトろ過により硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(移動相;クロロホルム)で目的物2.37gを単離した。N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドは下記構造式を有する。
【0091】
【化28】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0092】
参考例4
6−アクリロイルアミノカプロン酸の合成
6−アミノカプロン酸30.0gを1.27M水酸化ナトリウム水溶液180mlに溶解し、塩化アクリロイル23.2mlを10mlのテトラヒドロフラン(以下THFと略する)に溶かしたものを氷冷下で滴下した。このとき、pH8〜9になるように4N水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。滴下後、徐々に室温に戻しながら2時間撹拌した。次いで、反応液に1N塩酸をpH3になるまで加えた後、酢酸エチルで生成物を抽出した。抽出液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を少量の酢酸エチルに溶かし、ヘキサンで再結晶し、目的物13.0gを得た。6−アクリロイルアミノカプロン酸は下記構造式を有する。
【0093】
【化29】
【0094】
参考例5
N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドの合成
参考例3で得たN−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド1.5gをメタノール40mlに溶かし、10%パラジウム−炭素150mgを加えて、水素気流下、50℃で2時間撹拌した。触媒をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣と参考例4で得た6−アクリルアミドカプロン酸0.42gをエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶媒に溶解し、EEDQ0.55gを加えて室温で24時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をエタノールで再結晶し、目的物1.2gを得た。N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドは下記構造式を有する。
【0095】
【化30】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0096】
参考例6
N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドの合成
参考例5で得たN−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド590mgをTHF:メタノール=1:1の混合溶媒20mlに溶解し、ナトリウムメトキシド16.9mgを加えて、室温で24時間撹拌した。H+型の陽イオン交換樹脂Dowex50WX−8(ダウケミカル社製)をpH7になるまで加えた。イオン交換樹脂をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶媒で再結晶し、目的物413mgを得た。N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドは下記構造式を有する。
【0097】
【化31】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0098】
参考例7
N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド−アクリルアミド共重合物の合成
参考例6で得たN−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド150mgをジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する)に溶解させ、これにアクリルアミド67.2mgを水1mlに溶かしたものを加えた。続いて、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TEMEDと略する)14.3ul、過硫酸アンモニウム8.6mgを加え、50℃で24時間共重合させた。反応溶液は減圧濃縮し、DMSOを留去してからセファデックスG−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー(移動相;10mM酢酸アンモニウム)で分離し、目的物の溶出画分を凍結乾燥し、目的物(分子量約380,000)202mgを得た。得られたポリマー中のN−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド残基は、下記構造式を有する。その含有量は20モル%であった。また、得られたポリマーのH−NMRスペクトルを図1に示した。
【0099】
【化32】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0100】
参考例8
N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドの合成
N−ベンジルオキシカルボニルセリン12gをエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶媒120mlに溶解させた後、EEDQ13.6gおよびオクチルアミン11.1mlを加えて室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、トルエンで再結晶し、目的物12.64gを得た。N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドは下記構造式を有する。
【0101】
【化33】
【0102】
参考例9
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドの合成
よく乾燥させた参考例8で得たN−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド4.0gをジクロロエタン80mlに溶解させ、活性化させたモレキュラーシーブ4A8.0gと2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチルラクトシルブロミド12.0gを加えた。氷冷下、トリフルオロメタンスルホン酸銀4.40gを加え、徐々に室温に戻しながら、窒素気流下で一晩撹拌した。反応液をセライトでろ過し、ろ液を飽和食塩水で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相、トルエン:酢酸エチル=5:1)にて目的物を分離した。目的物を含む溶出画分を減圧濃縮し、目的物5.32gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0103】
【化34】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0104】
参考例10
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシルセリンオクチルアミドの合成
参考例9で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド4.0gをメタノール60mlに溶解させ、5%パラジウム−炭素を触媒とし、室温下常圧で接触水素化還元を行った。反応後触媒をろ別し、反応液を減圧濃縮し、目的物3.42gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0105】
【化35】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0106】
参考例11
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドの合成
6−アクリロイルアミノカプロン酸278mgとEEDQ371mgをエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶媒40mlに加え、十分溶解させ、参考例10で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシルセリンオクチルアミド1.14gを加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相、クロロホルム:メタノール=100:1)により目的物を分離した。目的物を含む溶出画分を減圧濃縮し、目的物1.06gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0107】
【化36】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0108】
参考例12
O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドの合成
参考例11で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド400mgをテトラヒドロフラン:メタノール=1:1の混合溶媒に溶解させ、ナトリウムメトキシド8.49mgを加え、室温で2時間撹拌した。H+型の陽イオン交換樹脂Dowex50W(ダウケミカル社製)を加えて中和した。ろ過によりイオン交換樹脂を除き、ろ液を減圧濃縮し、エタノールで再結晶し、目的物270mgを得た。O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0109】
【化37】
【0110】
参考例13
O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルア ミド−アクリルアミド共重合物の合成
参考例12で得たO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド150mgとアクリルアミド60.25mgをDMSO:水=1:1の混合溶媒に溶解し、TEMED12ulと過硫酸アンモニウム7.67mgを加え、50℃で一晩重合させた。目的物を蒸留水で平衡化したセファデックスG−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィーで精製した。目的物の溶出画分を凍結乾燥し、目的物200mg(分子量約500,000)を得た。得られたポリマー中のO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基は、下記構造式を有する。その含有量は20モル%であった。
【0111】
【化38】
【0112】
参考例14
固定化β1,4−ガラクトース転移酵素の調製
CNBr活性化セファロース4B(ファルマシア社製)0.5gをとり、1mM HCl100mlを3回に分けて洗浄した。これに牛乳由来β1,4−ガラクトース転移酵素(シグマ社製)5U、ウリジン−5’−ジホスホガラクトース(以下UDP−Galと略する)1mM、N−アセチルグルコサミン5mM、塩化マンガン25mMおよびNaCl0.5Mを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.0)5mlを加え、4℃で一晩穏やかに振とうした。固定化β1,4−ガラクトース転移酵素をガラスフィルターでろ別し、β1,4−ガラクトース転移酵素を除いた上記緩衝液5mlで洗浄した。0.1MTris−HCl緩衝液(pH8.0)5mlを加え、担体中の未反応の活性化基をブロックした。1M塩化ナトリウム水溶液次いで水で洗浄し、固定化β1,4−ガラクトース転移酵素をUDP−Gal1mMおよび塩化マンガン5mMを含む25mMカコジル酸緩衝液(pH7.4)中に浸漬し、4℃で保存した。
【0113】
参考例15
固定化α2,3−シアル酸転移酵素の調製
CNBr活性化セファロース4B(ファルマシア社製)0.5gをとり、1mM HCl100mlを3回に分けて、樹脂を洗浄した。これにブタ肝臓由来α2,3−シアル酸転移酵素1U、シチジン−5’−ジホスフェート1mMを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.0)5mlを加え、4℃で一晩、穏やかに振とうした。固定化α2,3−シアル酸転移酵素をガラスフィルターでろ別し、α2,3−シアル酸転移酵素を除く上記緩衝液5mlで洗浄した。参考例14と同様な方法で、担体中の未反応の活性化基をブロックし、さらに洗浄した後、α2,3−シアル酸転移酵素をシチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸(以下CMP−NeuAcと略する)1mMを含む25mMカコジル酸緩衝液(pH7.4)中に浸漬し、4℃で保存した。
【0114】
参考例16
固定化α2,6−シアル酸転移酵素の調製
α2,3シアル酸転移酵素1Uの代わりに、ラット肝臓由来α2,6−シアル酸転移酵素0.5Uを用い、参考例15と同様の方法で目的物を調製し、4℃で保存した。
【0115】
実施例1
固定化β1,4−ガラクトース転移酵素によるプライマーへのガラクトースの転移
参考例7で得たN−(アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド−アクリルアミド共重合物40mg、UDP−Gal32mg、塩化マンガン10mM、α−ラクトアルブミン0.26mg/mlを含む50mM HEPES(pH6.0)1mlに、参考例14で得た固定化β1,4−ガラクトース転移酵素1mlを加え、37℃で48時間反応させた。反応後、遠心分離により固定化β1,4−ガラクトース転移酵素を除き、得られた反応液からセファデックスG−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー(移動相;50mMギ酸アンモニウム)により生成物画分を分離し、凍結乾燥することにより生成物37mgを得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、ガラクトースが転移した生成物であることを確認した。H−NMRスペクトルを図2に示した。ガラクトースが転移したポリマー中のN−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド残基は、下記構造式を有する。
【0116】
【化39】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0117】
実施例2
固定化α2,6−シアル酸転移酵素によるプライマーへのN−アセチルノイラミン酸の転移
実施例1で得たガラクトースが転移したプライマー30mg、CMP−NeuAc30mg、牛血清アルブミン1mg、塩化マンガン1.2mg、仔牛由来アルカリフォスファターゼ20Uを含む50mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)2mlに、参考例16で得た固定化α2,6−シアル酸転移酵素1mlを加え、37℃で72時間反応させた。反応後、実施例1と同様の方法で生成物28mgを得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、N−アセチルノイラミン酸が転移した生成物であることを確認した。ガラクトースが転移した後、さらにN−アセチルノイラミン酸が転移したポリマー中のN−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド残基は、下記構造式を有する。
【0118】
【化40】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0119】
実施例3
固定化α2,3−シアル酸転移酵素によるプライマーへのN−アセチルノイラミン酸の転移
参考例13で得たO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合物30mg、CMP−NeuAc30mg、ウシ血清アルブミン8mg、塩化マンガン1.2mg、仔ウシ由来アルカリフォスファターゼ20Uを含む50mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)2mlに、参考例15で得た固定化α2,3−シアル酸転移酵素1mlを添加し、37℃で72時間反応させた。反応後、遠心分離により固定化α2,3−シアル酸転移酵素を除き、得られた反応液からセファデックスG−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー(移動相;50mMギ酸アンモニウム)により生成物を分離し、凍結乾燥することにより生成物27mgを得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、N−アセチルノイラミン酸が転移した生成物であることを確認した。N−アセチルノイラミン酸が転移したポリマー中のO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基は、下記構造式を有する。
【0120】
【化41】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0121】
実施例4
プライマーからα−キモトリプシンによる糖鎖の切り出し
実施例2で得たポリマー20mg、α−キモトリプシン0.6mgを80mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8、0.1M塩化カルシウム含有)2mlに溶かし、40℃で24時間反応させた。反応液をセファデックスG−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー(移動相;50mMギ酸アンモニウム)により生成物画分を分離し、凍結乾燥することにより生成物18mgを得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、生成物が下記構造式を有することを確認した。
【0122】
【化42】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0123】
実施例5
プライマーからセラミドグリカナーゼによるN−ステアロイルスフィンゴシンへの糖鎖の転移
実施例3で得たポリマー20mg、N−ステアロイルスフィンゴシン50mg、トリトンCF−54を20ul含む50mMクエン酸緩衝液(pH6.0)1mlに、ヒル由来セラミドグリカナーゼ0.01Uを添加し、37℃で17時間反応させた。反応後クロロホルム:メタノール:水=60:30:5で平衡化したセファデックスLH−20(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィーにより生成物を分離した。生成物を含む溶出画分を減圧乾固し、生成物18mgを得た。HPLCによる分析より生成物が1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンであることを確認した。1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンは下記構造式を有する。
【0124】
【化43】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【図面の簡単な説明】
【図1】 N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド−アクリルアミド共重合物(参考例7)のH−NMRスペクトルチャート図である。
【図2】 ガラクトースが転移した生成物(実施例1)のH−NMRスペクトルチャート図である。
Claims (8)
- 下記工程を含むことを特徴とする糖類の製造方法。
(1)水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化された糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基を該プライマーの糖残基へ転移させる工程、
(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、
(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類または未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、
および
(4)工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーから、上記リンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合を開裂させることにより、伸長した糖鎖を遊離させる工程。 - 水溶性ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはこれらの誘導体からなるアクリル系またはメタクリル系モノマーの重合体または共重合体、またはこれらのアクリル系またはメタクリル系モノマーと他のビニル系化合物との共重合体である請求項1記載の糖類の製造方法。
- リンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合が、水系溶媒中で加水分解酵素により開裂できる結合である請求項1記載の糖類の製造方法。
- リンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合が、水系溶媒中でプロテアーゼまたはセラミドグリカナーゼにより開裂できる結合である請求項1記載の糖類の製造方法。
- 固定化された糖転移酵素が、共有結合により担体に固定化された転移酵素である請求項1記載の糖類の製造方法。
- 担体が、架橋デキストラン、架橋アガロースまたはこれらの物質にイオン交換基を結合させた物質である請求項6記載の糖類の製造方法。
- 下記工程を含むことを特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法。
(1)水溶性ポリマーの側鎖に一般式(I)で表される基を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基をプライマーの糖残基へ転移させる工程、
(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、
(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類または未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、
および
(4)工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーに、セラミドの存在下、セラミドグリカナーゼを作用させ、該プライマーより複数の糖残基が伸長したオリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程。
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