JPH1142096A - 糖類の製造方法 - Google Patents

糖類の製造方法

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JPH1142096A
JPH1142096A JP9203443A JP20344397A JPH1142096A JP H1142096 A JPH1142096 A JP H1142096A JP 9203443 A JP9203443 A JP 9203443A JP 20344397 A JP20344397 A JP 20344397A JP H1142096 A JPH1142096 A JP H1142096A
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    • C12P19/18Preparation of compounds containing saccharide radicals produced by the action of a glycosyl transferase, e.g. alpha-, beta- or gamma-cyclodextrins

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Abstract

(57)【要約】 【課題】固定化糖転移酵素を利用した糖鎖を合成する方
法を提供する。 【解決手段】下記工程を含むことを特徴とする糖鎖の製
造方法。 (1)水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結
合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させた物質を
プライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共
存下、固定化された糖転移酵素と接触させることによ
り、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基
を該プライマーの糖残基へ転移させる工程、(2)工程
(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基
を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、(3)
必要に応じて、副生したヌクレオチド類又は未反応の糖
ヌクレオチド類を除去する工程、および(4)工程
(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基
が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーから、上記リ
ンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合を開裂させる
ことにより、伸長した糖鎖を遊離させる工程、ならびに
スフィンゴ糖脂質の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固定化された糖転移
酵素を利用した、任意の糖鎖構造を有するオリゴ糖、糖
ペプチド、糖脂質などの糖類、例えばスフィンゴ糖脂質
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】糖は核酸や蛋白質と並んで生体を構成す
る主要な成分であるが、核酸や蛋白質と比べ、その構造
あるいは機能はあまりよく知られていない。糖は通常、
糖鎖を連ねた重合体を形成し、また、それらが蛋白質や
脂質と結合して糖蛋白質、糖脂質あるいはプロテオグリ
カンと総称される極めて複雑な複合分子を形成してい
る。さらに、核酸あるいは蛋白質がその構成単位である
ヌクレオチドあるいはアミノ酸が直線的に結合した高分
子であるのに対して、糖鎖は分子内に複数の分岐点があ
るばかりでなく、その構成単位である単糖の結合様式も
多様であるため、その構造は核酸や蛋白質と比較になら
ないほど複雑である。これら構造の複雑さが研究の遅れ
の大きな原因の一つである。
【0003】しかし、細胞認識、免疫、分化、受精、老
化、ガン化などに関与することが最近、徐々にわかって
くるにつれて、非常に注目される研究分野となってき
た。このような状況から、天然の構造を有する糖鎖や新
規な糖鎖を合成する試みが盛んになされている。核酸や
蛋白質については自動合成技術が確立されており、この
ことにより、この分野の研究が著しく進歩したことは誰
もが認めるところであり、糖鎖についても、その自動合
成技術の確立は切望されている。しかしながら、種々の
有効な保護・脱保護方法や高収率、かつ、立体選択的な
グリコシル化反応が十分に開発されておらず、未だ確立
していない。
【0004】近年、Danishefsky らはグリカールを利用
する糖類の固相合成法を提案しており(Science, 260, 1
307 (1993)) 、高収率かつ選択的なグリコシル化に関す
る問題についてある程度の解決がなされた。この方法
は、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に、ジフ
ェニルシリル基を介して、グリカールを結合し、該グリ
カールと3,3−ジメチルジオキシランを反応させ、グ
リカールを1,2−アンヒドロ糖とする。該アンヒドロ
糖を糖供与体とし、別の適当に保護されたグリカールと
反応させ、グリコシドグリカールを形成させ、これを繰
り返すというものである。しかし、この方法では、新た
に形成されるグリコシド結合は立体選択的に形成される
が、供与体側の2位の水酸基とはトランス配位のものし
か形成できないという欠点がある。
【0005】一方、保護基が不要であり、かつ、立体選
択的にグリコシド結合を形成することが可能である糖転
移酵素を利用した糖鎖の固相合成法も提案されるように
なってきた。これは従来、入手できる糖転移酵素の種類
が少なく、かつ、高価であるということであまり検討さ
れなかったが、最近、各種糖転移酵素の遺伝子が単離さ
れ、遺伝子組換えによる糖転移酵素の大量生産が可能に
なってきたという背景がある。
【0006】そのような例としては、U. Zehaviらはア
ミノヘキシル基を結合させたポリアクリルアミドゲルを
固相担体とした糖転移酵素による固相合成を報告してい
る(Carbohydr. Res., 124, 23 (1983), Carbohydr. Re
s., 228, 255 (1992))。この方法は、適当な単糖を4−
カルボキシ−2−ニトロベンジルグリコシドとした後、
上記担体のアミノ基と結合させたものをプライマーと
し、糖転移酵素により糖鎖伸長反応を行ない、その後、
光分解によりオリゴ糖を遊離させるというものである。
しかし、この方法の糖転移収率は低く、10%にも満た
ない。
【0007】これまで、糖転移酵素は固相担体上に結合
させた糖あるいはオリゴ糖とはあまり反応せず、糖鎖伸
長反応を効率よく行うことは困難であるとされてきた。
最近、4−カルボキシ−2−ニトロベンジルグリコシド
と固相担体との間をヘキサメチレン基やオクタメチレン
基など鎖長の長いリンカーで結合させることにより糖転
移収率を最大51%まで向上したとの報告があった(Rea
ct. Polym., 22, 171(1994), Carbohydr. Res., 265, 1
61 (1994)) 。
【0008】さらに、C.-H. Wongらはアミノ化シリカ
に、下記化4の基を結合させたものをプライマーとし、
糖転移酵素を用い、糖鎖を伸長させた後、α−キモトリ
プシンの加水分解作用を利用し、伸長させた糖鎖を切り
出す方法を報告している(J. Am. Chem. Soc., 116, 113
6 (1994)) 。この方法では糖転移収率は55%である。
さらに、C.-H. Wongらは固相担体に結合させる基を下記
化5に改良し、糖転移酵素により糖鎖を伸長した後、ヒ
ドラジン分解により糖鎖を遊離させる方法を報告してお
り、ほぼ定量的に糖転移反応が進行したと報告している
(J. Am. Chem. Soc., 116, 11315 (1994))。
【0009】
【化4】 (式中、Bocはt−ブトキシカルボニル基、Acはア
セチル基を示す。)
【0010】
【化5】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0011】その他の方法として、M. Meldal らはジア
ミノ化ポリエチレングリコールのモノおよびジアクリロ
イル化体の重合体に、下記化6の基を結合させたものを
プライマーとし、糖転移酵素を用い、糖鎖を伸長させた
後、トリフロロ酢酸により糖鎖を遊離させる方法を報告
しており、ここでも糖転移反応はほぼ定量的に進行した
と報告している(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1849
(1994)) 。
【0012】
【化6】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0013】上述したように、固相担体上で糖転移酵素
による糖鎖伸長反応を行うとき、固相担体と糖鎖伸長反
応開始点となる糖残基との間を、どのような基(リンカ
ー)で結合させるかにより、その糖転移収率は大きく影
響される。また、糖鎖を担体から遊離させるとき、リン
カー内に選択的に開裂させることのできる結合が含まれ
ているということは非常に有利である。
【0014】糖転移酵素を利用し、糖鎖伸長反応を行お
うとすると、遺伝子組換えにより大量生産が可能になっ
てきたとはいえ、まだまだ糖転移酵素は非常に高価であ
り、繰り返して使用できる固定化糖転移酵素の利用が望
まれる。しかし、上記の方法はいずれも不溶性担体上で
糖鎖伸長反応を行うため、固定化糖転移酵素を利用でき
ないという欠点がある。
【0015】固定化糖転移酵素を利用するためには、不
溶性担体ではなく、水溶性担体上で糖鎖伸長反応を行う
必要がある。ところが、水溶性担体を利用した糖鎖合成
法としては、本発明者らがポリアクリルアミドのアミド
態窒素原子に、下記化7に示した基を結合させたものを
プライマーとし、糖転移酵素を用い、糖鎖を伸長させた
後、α−キモトリプシンの加水分解作用を利用し、伸長
させた糖鎖を切り出す方法を報告しているが(Tetrahedr
on Lett., 35, 5657 (1994))、この方法でも用いられて
いる糖転移酵素は遊離の酵素であり、固定化酵素ではな
い。水溶性担体を利用し、固定化糖転移酵素による糖鎖
合成を行った例は、これまでのところ見当たらない。
【0016】
【化7】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0017】糖転移酵素の固定化については、C. Auge
らは臭化シアンで活性化させたアガロースゲルにガラク
トース転移酵素を固定化し、これを用いたオリゴ糖合成
を報告している(Pure & Appl. Chem., 59, 1501 (198
7)) 。さらに、J. Thiemらはアミノプロピルシリカにグ
ルタルアルデヒドを用いて、ガラクトース転移酵素を固
定化し、オリゴ糖合成への利用を報告している(Angew.
Chem. Int. Ed. Engl.,25, 1096 (1986))。しかし、い
ずれも基質は通常の単糖あるいはオリゴ糖であり、糖鎖
が連なった高分子基質と固定化糖転移酵素との反応は、
これまで報告されていない。さらに、一般に固定化酵素
は遊離酵素と比較して、高分子基質に対して反応性が劣
るとされている。これは、固定化酵素は高分子基質との
接触が遊離酵素に比べ、困難になるためと考えられてい
る。従って、固定化糖転移酵素を用いて、高分子基質で
ある水溶性担体上で効率よく糖鎖伸長反応を行うことが
できれば非常に有用である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固定
化糖転移酵素を利用した糖鎖を合成する方法を提供する
ことにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、水溶性ポリマーの側
鎖に適当な条件で選択的に開裂することのできる結合を
含むリンカーを介して適当な糖残基を結合させたものを
プライマーとし、これを糖ヌクレオチド類の共存下、固
定化された糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌク
レオチド類から糖残基をプライマーへ転移させ、適当な
回数、この糖転移反応を繰り返した後、必要に応じて、
副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類な
どを除去し、糖鎖の伸長した該プライマーから適当な条
件でリンカーに含まれる選択的に開裂できる結合を選択
的に開裂させ、糖鎖を遊離させることにより、前記問題
点が解決できることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0020】すなわち、本発明は下記工程を含むことを
特徴とする糖類の製造方法である。 (1)水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結
合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させた物質を
プライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共
存下、固定化された糖転移酵素と接触させることによ
り、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基
を該プライマーの糖残基へ転移させる工程、(2)工程
(1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基
を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、(3)
必要に応じて、副生したヌクレオチド類または未反応の
糖ヌクレオチド類を除去する工程、および(4)工程
(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基
が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーから、上記リ
ンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合を開裂させる
ことにより、伸長した糖鎖を遊離させる工程。
【0021】また、本発明は下記工程を含むことを特徴
とするスフィンゴ糖脂質の製造方法である。 (1)水溶性ポリマーの側鎖に一般式(I)で表される基
を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖
ヌクレオチド類の共存下、固定化糖転移酵素と接触させ
ることにより、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド
類の糖残基をプライマーの糖残基へ転移させる工程、
【0022】
【化8】 (R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数
6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素
数5〜19のアルキレン基を示す。) (2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複
数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる工
程、(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類また
は未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および
(4)工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複
数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマー
に、セラミドの存在下、セラミドグリカナーゼを作用さ
せ、該プライマーより複数の糖残基が伸長したオリゴ糖
残基をセラミドに転移させる工程。
【0023】
【発明の実施態様】本発明のプライマーとは、水溶性ポ
リマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結合を含むリンカ
ーを介して、糖残基を結合させた物質である。
【0024】本発明で使用する水溶性ポリマーとは、水
媒体中で溶解性を有するポリマーであれば、材質を問わ
ないが、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リルアミド、メタクリルアミドまたはこれらの誘導体か
らなるアクリル系またはメタクリル系モノマーの重合体
または共重合体、またはこれらのアクリル系またはメタ
クリル系モノマーと他のビニル化合物との共重合体があ
る。他のビニル系化合物としては、ビニルアルコール、
酢酸ビニル、スチレン、ビニルピリジンなどが例示され
る。さらに、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコールなどのビニル系重合
体または共重合体も使用できる。
【0025】本発明において、水溶性ポリマーの側鎖と
は、上記水溶性ポリマーの重合反応により形成されたポ
リアルキレン鎖以外の部分をいう。例えば、ポリアクリ
ルアミドの場合は、−CONH2 基が側鎖となる。
【0026】本発明において、選択的に開裂可能な結合
とは、糖転移酵素の作用により伸長した糖鎖のグリコシ
ド結合を開裂あるいは異性化させない条件下で、開裂す
ることのできる結合のことであり、該結合が開裂するこ
とにより、糖鎖を水溶性ポリマーから遊離させることが
できる。このような結合としては、例えば、弱酸性ある
いは弱アルカリ性で開裂できる結合、接触還元反応で開
裂できる結合、光反応により開裂できる結合あるいはプ
ロテアーゼまたはセラミドグリカナーゼなどの酵素によ
り開裂できる結合などが挙げられる。その中でも反応の
特異性や簡便性などから考えて、プロテアーゼまたはセ
ラミドグリカナーゼなどの酵素により開裂できる結合が
好ましい。
【0027】選択的に開裂可能な結合、例えば、フェニ
ルアラニンアルキルエステルのエステル結合は、α−キ
モトリプシンにより選択的に開裂することができる。ま
た、O−グリコシル−N−アシルセリンアルキルアミド
のグリコシド結合はセラミドグリカナーゼにより選択的
に開裂することができる。また、該結合はセラミド存在
下、セラミドグリカナーゼを作用させると、セリン残基
に結合している単糖あるいはオリゴ糖をセラミドの1位
の水酸基に転移させることもできる。
【0028】本発明において、選択的に開裂可能な結合
を含むリンカーとは、両端に化学結合することができる
官能基、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チ
オール基などを有し、該官能基を介して水溶性ポリマー
の側鎖の官能基および糖鎖の水酸基と結合しており、そ
の分子内に上記のような選択的な開裂可能な結合を含ん
でいるものをいう。
【0029】本発明において、水溶性ポリマーの側鎖に
リンカーを介して結合させる糖残基とは、糖転移酵素の
受容体となるものであれば、特に制限はなく、グルコー
ス残基、ガラクトース残基、N−アセチルグルコサミン
残基、N−アセチルガラクトサミン残基、マンノース残
基、グルクロン酸残基、ラクトース残基などが挙げられ
る。
【0030】本発明のプライマーは、糖残基を有する一
般式(III)(後記化17) あるいは(IV)(後記化18) で表さ
れる重合性モノマーとアクリル系モノマーまたはメタク
リル系モノマーなどを、例えば過硫酸アンモニウムや過
硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を触媒とし、共重合
させることにより製造することができる。
【0031】次に、プライマーの一例として、ポリアク
リルアミドのアミド態窒素原子に一般式(I)あるいは(I
I)で示される基が結合したものを詳しく説明する。
【0032】
【化9】 (R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数
6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素
数5〜19のアルキレン基を示す。)
【0033】
【化10】 (R4 は炭素数2〜20のアルキレン基、R5 は炭素数
5〜19のアルキレン基を示し、Acはアセチル基を示
す。)
【0034】R2 の炭素数6〜20のアルキル基として
は、例えば、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オ
クタデシル基などが例示され、アルケニル基としては、
シス−9−オクタデセニル基などが例示される。R3
炭素数5〜19のアルキレン基としては、例えば、ペン
チレン基、ヘプチレン基、ノニレン基、ヘプタデシレン
基などが例示される。R4 の炭素数2〜20のアルキレ
ン基としては、エチレン基、ブチレン基、ヘキレン基、
ドデシレン基、オクタデシレン基などが例示される。R
5 の炭素数5〜19のアルキレン基としては、ペンチレ
ン基、ヘプチレン基、ウンデシレン基、ヘプタデシレン
基などが例示される。
【0035】本発明に使用できるプライマーとしては、
1 、R2 およびR3 またはR4 およびR5 を任意に組
み合わせることができる。
【0036】一般式(I) で表される基は、例えば下記式
で表される基などが挙げられる。
【0037】
【化11】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0038】
【化12】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0039】
【化13】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0040】一般式(II)で表される基は、例えば下記式
で表される基などが挙げられる。
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】本発明では、一般式(III) あるいは(IV)で
表される重合性モノマーとアクリル系モノマーまたはメ
タクリル系モノマーとを例えば、過硫酸アンモニウムや
過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を触媒とし、共重
合させることにより、本発明のプライマーを製造するこ
とができる。
【0045】
【化17】 (R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数
6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素
数5〜19のアルキレン基を示す。)
【0046】
【化18】 (IV)(R4 は炭素数2〜20のアルキレン基、R5 は炭
素数5〜19のアルキレン基を示し、Acはアセチル基
を示す。)
【0047】一般式(III) で表される重合性モノマー
は、一般式(V) で表される活性化糖と一般式(VI)で表さ
れるセリン誘導体とを適当な触媒存在下、縮合反応させ
た後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去し、一
般式(VII) で表されるアクリルアミドと縮合反応させ、
さらに糖部分の保護基を除去することにより得られる。
【0048】
【化19】 (式中、R1 、R2 およびR4 はそれぞれ独立して、ア
シル型保護基またはエーテル型保護基を示し、R3 は水
酸基をアシル型保護基またはエーテル型保護基したβ−
ガラクトース残基、アシル型保護基またはエーテル型保
護基を示し、Xは活性化基を示す。)
【0049】
【化20】 (式中、R5 は保護基を示し、R6 は炭素数6〜20の
アルキル基またはアルケニル基を示す。)
【0050】
【化21】 (式中、R7 は炭素数5〜19のアルキレン基を示し、
Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示す。)
【0051】一般式(V) において、アシル型保護基とし
ては、アセチル基、ベンゾイル基などが例示され、エー
テル型保護基としては、ベンジル基、p−メトキシベン
ジル基、アリル基などが例示される。Xの活性化基とし
ては、臭素(Br)、フッ素(F)、トリクロロアセト
イミデート基などが挙げられる。
【0052】一般式(V) で表される活性化糖は、従来よ
り行われている化学的な合成で得たものを利用すること
ができる。例えば、2,3,4,6−テトラ−O−アセ
チルグルコシルブロミドや2,3,6,2’,3’,
4’,6’−ヘプタ−O−アセチルラクトシルブロミド
などが挙げられる。
【0053】一般式(VI)で表されるセリン誘導体は、式
中、R5 は保護基を示し、R6 は炭素数6〜20のアル
キル基またはアルケニル基を示す。保護基としては、ベ
ンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル
基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基などの
基がある。このようなセリン誘導体の例としては、例え
ば、N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミ
ド、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)
セリンステアリルアミドなどが例示される。
【0054】活性化糖とセリン誘導体の縮合に用いるこ
とのできる触媒は、活性化基Xに応じて適宜選択すれば
よく、例えば、活性化基が臭素(Br)の場合は、通
常、銀、水銀などの重金属塩、第4級アンモニウム塩な
どを用いることができ、フッ素(F)の場合は塩化スズ
(II)と銀塩の組合せ、ジルコノセン錯体やハフノセン錯
体、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルな
どを、トリクロロアセトイミデート基の場合はBF3
Et2 、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリ
ルなどを用いることができる。
【0055】また、この縮合反応は通常、無水条件下で
行い、モレキュラシーブや無水硫酸カルシウム存在下で
反応させることが多い。溶媒としては、用いる基質(活
性化糖およびセリン誘導体)に応じて適宜選択すればよ
く、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンな
どのハロゲン化炭化水素、トルエン、ベンゼンなどの芳
香族炭化水素、ジエチルエーテルなどがよく用いられ
る。
【0056】反応温度は活性化糖の反応性により、通
常、−70℃〜100℃前後であるが、反応に差し障り
のない限り低温で行うのが望ましい。セリン残基部分の
アミノ基の保護基の除去方法は、保護基の種類により適
宜選択され、例えばベンジルオキシカルボニル基の場合
は水素化分解、t−ブトキシカルボニル基の場合はHB
r/酢酸やHF処理で、9−フルオレニルメチルオキシ
カルボニル基の場合はジエチルアミンなどの塩基処理で
除去することができる。
【0057】一般式(VII) で表されるアクリルアミド誘
導体との縮合は、通常、カルボジイミド類やN−エトキ
シカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリ
ンなどの縮合試薬を用いることにより行うことができ
る。
【0058】次に、オリゴ糖部分の保護基の除去も、除
去したい保護基の種類に応じて適宜その脱離条件を選択
すればよく、例えばアセチル基やベンゾイル基はメタノ
ール中ナトリウムメトキシドで処理することにより、ベ
ンジル基は水素化分解により、p−メトキシベンジル基
は水素化分解や2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−
p−ベンゾキノンあるいは硝酸セリウムアンモニウムな
どの酸化剤で処理することにより、アリル基はカリウム
t−ブトキシドまたはWilkinson 錯体でプロペニル基へ
異性化させた後、酸、水銀塩もしくはヨウ素で処理する
ことにより除去することができる。
【0059】一般式(IV)で表される重合性モノマーは、
一般式(VIII)で表される糖オキサゾリン誘導体と一般式
(IX)で表されるフェニルアラニン誘導体を適当な触媒存
在下に縮合させた後、保護基を除去し、一般式(VII)で
表されるアクリルアミド誘導体と反応させ、さらに糖部
分の保護基を除去することにより得られる。
【0060】
【化22】 (式中、R1 、R2 およびR3はそれぞれ独立して、ア
シル型保護基またはエーテル型保護基を示す。)
【0061】
【化23】 (式中、R4 は保護基を示し、R5 は炭素数2〜20の
アルキレン基を示す。)
【0062】
【化24】 (式中、R7 は炭素数5〜19のアルキレン基を示し、
Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示す。)
【0063】一般式(VIII)において、アシル型保護基お
よびエーテル型保護基は一般式(V)と同意義である
【0064】一般式(IX)で表されるフェニルアラニン誘
導体は、式中、R4 は保護基を示し、R5 は炭素数2〜
20アルキレン基を示す。保護基は一般式(VI)と同意義
である。
【0065】このようなフェニルアラニン誘導体の例と
しては、例えば、N−ベンジルオキシカルボニルフェニ
ルアラニン6−ヒドロキシヘキシルアミド、N−(9−
フルオレニルメチルオキシカルボニル)フェニルアラニ
ン12−ヒドロキシドデシルアミドなどが例示される。
【0066】糖オキサゾリン誘導体とフェニルアラニン
誘導体を縮合させる触媒としては、例えば、D−カンフ
ァー−10−スルホン酸などを挙げることができる。保
護基の除去、一般式(VII) で表されるアクリルアミド誘
導体との反応および糖部分の保護基の除去は上述した方
法により行うことができる。
【0067】得られた重合性モノマーは、通常、カラム
クロマトグラフィーなどの精製方法により精製すること
ができる。
【0068】本発明の第1工程は、水溶性ポリマーの側
鎖に、選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介し
て、糖残基を結合させた物質をプライマーとし、該プラ
イマーを糖ヌクレオチド類の共存下、固定化された糖転
移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチド類から
該糖ヌクレオチド類の糖残基を該プライマーの糖残基へ
転移させる。
【0069】糖ヌクレオチド類よりプライマー高分子へ
の糖残基の転移は、通常、上記プライマーと糖ヌクレオ
チド類とを含む中性の緩衝液中で、10〜60℃、好ま
しくは20〜40℃で、1〜120時間好ましくは2〜
72時間、固定化糖転移酵素と接触させることにより行
われる。
【0070】また、反応液中には必要に応じて金属塩を
添加してもよい。添加できる金属イオンとしては、例え
ばマグネシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、
亜鉛などがあり、通常塩化物などの形で添加することが
できる。
【0071】本発明で用いる糖ヌクレオチド類は、糖転
移酵素が作用するものであれば、特に限定されず、例え
ば、ウリジン−5’−ジホスホガラクトース、ウリジン
−5’−ジホスホ−N−アセチルグルコサミン、ウリジ
ン−5’−ジホスホ−N−アセチルガラクトサミン、ウ
リジン−5’−ジホスホグルクロン酸、ウリジン−5’
−ジホスホキシロース、グアノシン−5’−ジホスホフ
コース、グアノシン−5’−ジホスホマンノース、シチ
ジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸お
よびこれらのナトリウム塩などが挙げられる。例えば、
β1,4−ガラクトース転移酵素は、糖ヌクレオチドで
あるウリジン−5’−ジホスホガラクトース(UDP−
Gal)以外に、UDP−4−−デオキシグルコースな
どの誘導体を供与体とすることが可能である。本発明で
いう副生したヌクレオチド類とは、具体的には、糖ヌク
レオチド類から生成したウリジン−5’−ジホスフェー
ト(UDP)、グアノシン−5’−ジホスフェート(G
DP)、シチジン−5’−モノホスフェート(CMP)
などでことである。
【0072】本発明で用いる糖転移酵素は、糖ヌクレオ
チド類を糖供与体として利用できるものであればよく、
特に限定されない。このような酵素としてLeloir
経路の糖転移酵素類が挙げられ、例えば、ガラクトース
転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、N−ア
セチルガラクトサミン転移酵素、フコース転移酵素、シ
アル酸転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移
酵素、グルクロン酸転移酵素などが挙げられる。
【0073】本発明で用いる固定化糖転移酵素は、上記
糖転移酵素を適当な担体に固定化したものであればよ
く、特に限定されない。例えば、担体に酵素を物理的に
吸着させる物理的吸着法、イオン交換基をもつ担体に酵
素をイオン的に結合させるイオン結合法、担体に酵素を
共有結合によって結合させる共有結合法、酵素同士を多
価架橋剤により架橋し不溶化させる架橋法、高分子ゲル
の細かい格子の中に酵素を取り込ませる包括法などによ
り固定化することができる。これらの中でも酵素の漏出
が少ないと考えられる共有結合法による固定化が好まし
い。
【0074】担体としては、酵素を共有結合できるもの
であれば、特に制限はなく、架橋デキストラン、架橋ア
ガロースまたはこれらのジエチルアミノエチル基やカル
ボキシメチル基などのイオン交換基を結合させたものが
例示される。さらに、酵素固定化用あるいはリガンド固
定化用として、予め、上記担体をBrCN処理、エポキ
シ化、N−ヒドロシキスクシンイミド化などの活性化処
理を行ったものが市販されており、これらを使用するこ
とにより、簡便に固定化酵素を調製することができる。
【0075】本発明の第2工程は、工程(1)を1回ま
たは2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させるこ
とにより糖鎖を伸長させる。
【0076】本発明の第3工程は、必要に応じて、副生
したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去
する。副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチ
ド類などを除去する方法は、プライマー高分子とヌクレ
オチド類および糖ヌクレオチド類などとを分離できる方
法であれば、特に限定されず、例えば、ゲルろ過クロマ
トグラフィーなどが挙げられる。
【0077】本発明の第4工程は、工程(1)〜(3)
を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖
が伸長した上記プライマーから、上記リンカーに含まれ
る選択的に開裂可能な結合を開裂させることにより、伸
長した糖鎖を遊離させる。糖鎖の伸長したプライマーか
ら糖鎖の遊離は、選択的に開裂可能な結合を選択的に開
裂できる方法であれば、特に制限はない。
【0078】例えば、一般式(I)で表される基が結合し
たプライマーの場合は、中性の緩衝液中で、10〜60
℃、好ましくは20〜40℃で、1〜72時間、好まし
くは2〜24時間、セラミドグリカナーゼと接触させる
ことにより行われる。反応液中には必要に応じて、トリ
トンCF−54、トリトンX−100などの界面活性剤
を添加してもよい。また、糖鎖の伸長したプライマーか
らセラミドへの糖鎖の転移は、上記反応をセラミド共存
下で実施することにより行うことができる。
【0079】ここでいうセラミドグリカナーゼは、スフ
ィンゴ糖脂質のオリゴ糖とセラミドとの間のグリコシド
結合を加水分解する作用を有する酵素全般を指し、「セ
ラミドグリカナーゼ」あるいは「エンドグリコセラミダ
ーゼ」として市販されているものを利用することができ
る。例えば、ヒル由来のセラミドグリカナーゼやロドコ
ッカス属菌由来のエンドグリコセラミダーゼなどが挙げ
られる。
【0080】本発明の一実施態様は、下記工程を含むこ
とを特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法である。 (1)水溶性ポリマーの側鎖に一般式(I)で表される基
を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖
ヌクレオチド類の共存下、固定化糖転移酵素と接触させ
ることにより、糖ヌクレオチド類から糖残基をプライマ
ーへ転移させる工程、(2)工程(1)を1回または2
回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることによ
り糖鎖を伸長させる工程、(3)必要に応じて、副生し
たヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去す
る工程、および(4)工程(1)〜(3)を複数回、繰
り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上
記プライマーに、セラミドの存在下、セラミドグリカナ
ーゼを作用させ、該プライマーより複数の糖残基が伸長
したオリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程。
【0081】本発明において用いるセラミドとしては、
スフィンゴシンあるいはその誘導体に脂肪酸が酸アミド
結合しているものであれば、特に制限はなく、製造する
スフィンゴ糖脂質の目的にあったものを適宜選択すれば
よい。例えば、スフィンゴシン誘導体としてはジヒドロ
スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンなどが挙げら
れ、脂肪酸としては炭素数8〜24の飽和脂肪酸、不飽
和脂肪酸、α−ヒドロキシ酸などが挙げられる。
【0082】例えば、N−ステアロイルスフィンゴシン
(下記化25)、N−パルミトイルスフィンゴシン、N
−リグノセロイルスフィンゴシン、N−オレオイルスフ
ィンゴシン、N−リノレオイルスフィンゴシン、N−ア
ラキノイルスフィンゴシン、N−ステアロイルジヒドロ
スフィンゴシン、N−パルミトイルジヒドロスフィンゴ
シン、N−リグノセロイルジヒドロスフィンゴシン、N
−オレオイルジヒドロスフィンゴシン、N−リノレオイ
ルジヒドロスフィンゴシン、N−アラキノイルジヒドロ
スフィンゴシン、N−ステアロイルフィトスフィンゴシ
ン、N−パルミトイルフィトスフィンゴシンなどが挙げ
られる。
【0083】
【化25】
【0084】一般式(II)で表される基が結合したプライ
マーの場合は、セラミドグリカナーゼの代わりにα−キ
モトリプシンを用いることにより、プライマーから糖鎖
を遊離させることができる。得られた糖鎖あるいはスフ
ィンゴ糖脂質は、各種カラムクラマトグラフィーなどの
一般的な精製方法により分離精製することができる。
【0085】
【発明の効果】本発明の製造方法では、固定化された糖
転移酵素を利用して、任意の糖鎖構造有するオリゴ糖、
糖ペプチド、糖脂質を容易に迅速に製造することができ
る。
【0086】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるもので
はない。参考例1 2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−1,
2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,1−
d]−2−オキサゾリンの合成 2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−O−アセ
チル−2−デオキシ−D−グルコピラノシド6.0gを
1,2−ジクロロエタン40mlに溶かし、ここにトリ
メチルシリルトリフロロメタンスルホン酸(以下、TM
SOTfと略する)3.2mlを加え、50℃で7時間
撹拌しながら反応させた。反応後、室温まで冷却した
後、トリエチルアミン10.8mlを加えた。反応液を
減圧濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶出液;トルエン:酢酸エチル:トリエチルアミン
=100:200:1)を用いて目的物を分離し、目的
物を5.0g得た。2−メチル−(3,4,6−トリ−
O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピ
ラノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリンは下記構造
式を有する。
【0087】
【化26】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0088】参考例2 N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−
6−アミノ−1−ヘキサノールの合成 N−ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン11.
96gと6ーアミノ−1−ヘキサノール5.2gをベン
ゼン:エタノール=1:1の混合溶媒40mlに溶解
し、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−
ジヒドロキノリン(以下EEDQと略する)9.9gを
加えて、室温で24時間撹拌した。反応後、反応液を減
圧乾固し、残渣をベンゼンで再結晶し、目的物13.6
gを得た。N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルア
ラニル)−6−アミノ−1−ヘキサノールは下記構造式
を有する。
【0089】
【化27】
【0090】参考例3 N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−
6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−
トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピ
ラノシドの合成 参考例1で得た2−メチル−(3,4,6−トリ−O−
アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラ
ノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリン2.96gと
参考例2で得たN−(ベンジルオキシカルボニルフェニ
ルアラニル)−6−アミノ−1−ヘキサノール7.17
gをジクロロエタン35mlに溶解させ、70℃に保ち
ながらD−カンファー−10−スルホン酸(以下、CS
Aと略する)をpH2〜3になるまで加えた。30分間
反応させた後、室温まで冷却し、反応液をクロロホルム
で希釈して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄し
た。有機溶媒層を無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥させ
た。セライトろ過により硫酸マグネシウムを除去し、ろ
液を減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(移
動相;クロロホルム)で目的物2.37gを単離した。
N−(ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル)−
6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−3,4,6−
トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−D−グルコピ
ラノシドは下記構造式を有する。
【0091】
【化28】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0092】参考例4 6−アクリロイルアミノカプロン酸の合成 6−アミノカプロン酸30.0gを1.27M水酸化ナ
トリウム水溶液180mlに溶解し、塩化アクリロイル
23.2mlを10mlのテトラヒドロフラン(以下T
HFと略する)に溶かしたものを氷冷下で滴下した。こ
のとき、pH8〜9になるように4N水酸化ナトリウム
水溶液を用いて調整した。滴下後、徐々に室温に戻しな
がら2時間撹拌した。次いで、反応液に1N塩酸をpH
3になるまで加えた後、酢酸エチルで生成物を抽出し
た。抽出液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
させた。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液を減圧濃縮し
た。残渣を少量の酢酸エチルに溶かし、ヘキサンで再結
晶し、目的物13.0gを得た。6−アクリロイルアミ
ノカプロン酸は下記構造式を有する。
【0093】
【化29】
【0094】参考例5 N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニル
アラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−
3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β−
D−グルコピラノシドの合成 参考例3で得たN−(ベンジルオキシカルボニルフェニ
ルアラニル)−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド
−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β
−D−グルコピラノシド1.5gをメタノール40ml
に溶かし、10%パラジウム−炭素150mgを加え
て、水素気流下、50℃で2時間撹拌した。触媒をろ別
し、ろ液を減圧濃縮した。残渣と参考例4で得た6−ア
クリルアミドカプロン酸0.42gをエタノール:ベン
ゼン=1:1の混合溶媒に溶解し、EEDQ0.55g
を加えて室温で24時間撹拌した。反応液を減圧濃縮
し、残渣をエタノールで再結晶し、目的物1.2gを得
た。N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェ
ニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド
−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−β
−D−グルコピラノシドは下記構造式を有する。
【0095】
【化30】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0096】参考例6 N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニル
アラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2
−デオキシ−β−D−グルコピラノシドの合成 参考例5で得たN−(6’−アクリロイルアミノカプロ
イル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−ア
セトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デ
オキシ−β−D−グルコピラノシド590mgをTH
F:メタノール=1:1の混合溶媒20mlに溶解し、
ナトリウムメトキシド16.9mgを加えて、室温で2
4時間撹拌した。H+型の陽イオン交換樹脂Dowex
50WX−8(ダウケミカル社製)をpH7になるまで
加えた。イオン交換樹脂をろ別し、ろ液を減圧濃縮し
た。残渣をエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶媒で
再結晶し、目的物413mgを得た。N−(6’−アク
リロイルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−ア
ミノヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−
D−グルコピラノシドは下記構造式を有する。
【0097】
【化31】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0098】参考例7 N−(6’−アクリロイルアミノカプロイル)フェニル
アラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトアミド−2
−デオキシ−β−D−グルコピラノシド−アクリルアミ
ド共重合物の合成 参考例6で得たN−(6’−アクリロイルアミノカプロ
イル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−ア
セトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド
150mgをジメチルスルホキシド(以下、DMSOと
略する)に溶解させ、これにアクリルアミド67.2m
gを水1mlに溶かしたものを加えた。続いて、N,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以
下、TEMEDと略する)14.3ul、過硫酸アンモ
ニウム8.6mgを加え、50℃で24時間共重合させ
た。反応溶液は減圧濃縮し、DMSOを留去してからセ
ファデックスG−25(ファルマシア社製)カラムクロ
マトグラフィー(移動相;10mM酢酸アンモニウム)
で分離し、目的物の溶出画分を凍結乾燥し、目的物(分
子量約380,000)202mgを得た。得られたポ
リマー中のN−(6’−アクリロイルアミノカプロイ
ル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセ
トアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド残
基は、下記構造式を有する。その含有量は20モル%で
あった。また、得られたポリマーのH−NMRスペクト
ルを図1に示した。
【0099】
【化32】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0100】参考例8 N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドの
合成 N−ベンジルオキシカルボニルセリン12gをエタノー
ル:ベンゼン=1:1の混合溶媒120mlに溶解させ
た後、EEDQ13.6gおよびオクチルアミン11.
1mlを加えて室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮
した後、トルエンで再結晶し、目的物12.64gを得
た。N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミ
ドは下記構造式を有する。
【0101】
【化33】
【0102】参考例9 O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−
O−アセチル)ラクトシル−N−ベンジルオキシカルボ
ニルセリンオクチルアミドの合成 よく乾燥させた参考例8で得たN−ベンジルオキシカル
ボニルセリンオクチルアミド4.0gをジクロロエタン
80mlに溶解させ、活性化させたモレキュラーシーブ
4A8.0gと2,3,6,2’,3’,4’,6’−
ヘプタ−O−アセチルラクトシルブロミド12.0gを
加えた。氷冷下、トリフルオロメタンスルホン酸銀4.
40gを加え、徐々に室温に戻しながら、窒素気流下で
一晩撹拌した。反応液をセライトでろ過し、ろ液を飽和
食塩水で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥
させた。乾燥後、硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液を減
圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動
相、トルエン:酢酸エチル=5:1)にて目的物を分離
した。目的物を含む溶出画分を減圧濃縮し、目的物5.
32gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,
6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−ベンジ
ルオキシカルボニルセリンオクチルアミドは、下記構造
式を有する。
【0103】
【化34】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0104】参考例10 O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−
O−アセチル)ラクトシルセリンオクチルアミドの合成 参考例9で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,
6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−ベンジ
ルオキシカルボニルセリンオクチルアミド4.0gをメ
タノール60mlに溶解させ、5%パラジウム−炭素を
触媒とし、室温下常圧で接触水素化還元を行った。反応
後触媒をろ別し、反応液を減圧濃縮し、目的物3.42
gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’
−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシルセリンオクチルア
ミドは、下記構造式を有する。
【0105】
【化35】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0106】参考例11 O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−
O−アセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルア
ミノ)カプロイルセリンオクチルアミドの合成 6−アクリロイルアミノカプロン酸278mgとEED
Q371mgをエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶
媒40mlに加え、十分溶解させ、参考例10で得たO
−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−ヘプタ−O
−アセチル)ラクトシルセリンオクチルアミド1.14
gを加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮し、
シリカゲルクロマトグラフィー(移動相、クロロホル
ム:メタノール=100:1)により目的物を分離し
た。目的物を含む溶出画分を減圧濃縮し、目的物1.0
6gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,
6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−(6−
アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド
は、下記構造式を有する。
【0107】
【化36】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0108】参考例12 O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプ
ロイルセリンオクチルアミドの合成 参考例11で得たO−(2,3,6,2’,3’,
4’,6’−ヘプタ−O−アセチル)ラクトシル−N−
(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチル
アミド400mgをテトラヒドロフラン:メタノール=
1:1の混合溶媒に溶解させ、ナトリウムメトキシド
8.49mgを加え、室温で2時間撹拌した。H+型の
陽イオン交換樹脂Dowex50W(ダウケミカル社
製)を加えて中和した。ろ過によりイオン交換樹脂を除
き、ろ液を減圧濃縮し、エタノールで再結晶し、目的物
270mgを得た。O−ラクトシル−N−(6−アクリ
ロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドは、下
記構造式を有する。
【0109】
【化37】
【0110】参考例13 O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプ
ロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合物
の合成 参考例12で得たO−ラクトシル−N−(6−アクリロ
イルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド150m
gとアクリルアミド60.25mgをDMSO:水=
1:1の混合溶媒に溶解し、TEMED12ulと過硫
酸アンモニウム7.67mgを加え、50℃で一晩重合
させた。目的物を蒸留水で平衡化したセファデックスG
−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー
で精製した。目的物の溶出画分を凍結乾燥し、目的物2
00mg(分子量約500,000)を得た。得られた
ポリマー中のO−ラクトシル−N−(6−アクリロイル
アミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基は、下記
構造式を有する。その含有量は20モル%であった。
【0111】
【化38】
【0112】参考例14 固定化β1,4−ガラクトース転移酵素の調製 CNBr活性化セファロース4B(ファルマシア社製)
0.5gをとり、1mM HCl100mlを3回に分
けて洗浄した。これに牛乳由来β1,4−ガラクトース
転移酵素(シグマ社製)5U、ウリジン−5’−ジホス
ホガラクトース(以下UDP−Galと略する)1m
M、N−アセチルグルコサミン5mM、塩化マンガン2
5mMおよびNaCl0.5Mを含む0.1Mホウ酸緩
衝液(pH8.0)5mlを加え、4℃で一晩穏やかに
振とうした。固定化β1,4−ガラクトース転移酵素を
ガラスフィルターでろ別し、β1,4−ガラクトース転
移酵素を除いた上記緩衝液5mlで洗浄した。0.1M
Tris−HCl緩衝液(pH8.0)5mlを加え、
担体中の未反応の活性化基をブロックした。1M塩化ナ
トリウム水溶液次いで水で洗浄し、固定化β1,4−ガ
ラクトース転移酵素をUDP−Gal1mMおよび塩化
マンガン5mMを含む25mMカコジル酸緩衝液(pH
7.4)中に浸漬し、4℃で保存した。
【0113】参考例15 固定化α2,3−シアル酸転移酵素の調製 CNBr活性化セファロース4B(ファルマシア社製)
0.5gをとり、1mM HCl100mlを3回に分
けて、樹脂(?) を洗浄した。これにブタ肝臓由来α2,
3−シアル酸転移酵素1U、シチジン−5’−ジホスフ
ェート1mMを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.
0)5mlを加え、4℃で一晩、穏やかに振とうした。
固定化α2,3−シアル酸転移酵素をガラスフィルター
でろ別し、α2,3−シアル酸転移酵素を除く上記緩衝
液5mlで洗浄した。参考例14と同様な方法で、担体
中の未反応の活性化基をブロックし、さらに洗浄した
後、α2,3−シアル酸転移酵素をシチジン−5’−モ
ノホスホ−N−アセチルノイラミン酸(以下CMP−N
euAcと略する)1mMを含む25mMカコジル酸緩
衝液(pH7.4)中に浸漬し、4℃で保存した。
【0114】参考例16 固定化α2,6−シアル酸転移酵素の調製 α2,3シアル酸転移酵素1Uの代わりに、ラット肝臓
由来α2,6−シアル酸転移酵素0.5Uを用い、参考
例15と同様の方法で目的物を調製し、4℃で保存し
た。
【0115】実施例1 固定化β1,4−ガラクトース転移酵素によるプライマ
ーへのガラクトースの転移 参考例7で得たN−(アクリロイルアミノカプロイル)
フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセトア
ミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド−アク
リルアミド共重合物40mg、UDP−Gal32m
g、塩化マンガン10mM、α−ラクトアルブミン0.
26mg/mlを含む50mM HEPES(pH6.
0)1mlに、参考例14で得た固定化β1,4−ガラ
クトース転移酵素1mlを加え、37℃で48時間反応
させた。反応後、遠心分離により固定化β1,4−ガラ
クトース転移酵素を除き、得られた反応液からセファデ
ックスG−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグ
ラフィー(移動相;50mMギ酸アンモニウム)により
生成物画分を分離し、凍結乾燥することにより生成物3
7mgを得た。得られた生成物のH−NMRスペクトル
を測定し、ガラクトースが転移した生成物であることを
確認した。H−NMRスペクトルを図2に示した。ガラ
クトースが転移したポリマー中のN−(6’−アクリロ
イルアミノカプロイル)フェニルアラニル−6−アミノ
ヘキシル−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−
グルコピラノシド残基は、下記構造式を有する。
【0116】
【化39】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0117】実施例2 固定化α2,6−シアル酸転移酵素によるプライマーへ
のN−アセチルノイラミン酸の転移 実施例1で得たガラクトースが転移したプライマー30
mg、CMP−NeuAc30mg、牛血清アルブミン
1mg、塩化マンガン1.2mg、仔牛由来アルカリフ
ォスファターゼ20Uを含む50mMカコジル酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.4)2mlに、参考例16で得た
固定化α2,6−シアル酸転移酵素1mlを加え、37
℃で72時間反応させた。反応後、実施例1と同様の方
法で生成物28mgを得た。得られた生成物のH−NM
Rスペクトルを測定し、N−アセチルノイラミン酸が転
移した生成物であることを確認した。ガラクトースが転
移した後、さらにN−アセチルノイラミン酸が転移した
ポリマー中のN−(6’−アクリロイルアミノカプロイ
ル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセ
トアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド残
基は、下記構造式を有する。
【0118】
【化40】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0119】実施例3 固定化α2,3−シアル酸転移酵素によるプライマーへ
のN−アセチルノイラミン酸の転移 参考例13で得たO−ラクトシル−N−(6−アクリロ
イルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリ
ルアミド共重合物30mg、CMP−NeuAc30m
g、ウシ血清アルブミン8mg、塩化マンガン1.2m
g、仔ウシ由来アルカリフォスファターゼ20Uを含む
50mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)2
mlに、参考例15で得た固定化α2,3−シアル酸転
移酵素1mlを添加し、37℃で72時間反応させた。
反応後、遠心分離により固定化α2,3−シアル酸転移
酵素を除き、得られた反応液からセファデックスG−2
5(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー(移
動相;50mMギ酸アンモニウム)により生成物を分離
し、凍結乾燥することにより生成物27mgを得た。得
られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、N−ア
セチルノイラミン酸が転移した生成物であることを確認
した。N−アセチルノイラミン酸が転移したポリマー中
のO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カ
プロイルセリンオクチルアミド残基は、下記構造式を有
する。
【0120】
【化41】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0121】実施例4 プライマーからα−キモトリプシンによる糖鎖の切り出
実施例2で得たポリマー20mg、α−キモトリプシン
0.6mgを80mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
8、0.1M塩化カルシウム含有)2mlに溶かし、4
0℃で24時間反応させた。反応液をセファデックスG
−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー
(移動相;50mMギ酸アンモニウム)により生成物画
分を分離し、凍結乾燥することにより生成物18mgを
得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定
し、生成物が下記構造式を有することを確認した。
【0122】
【化42】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【0123】実施例5 プライマーからセラミドグリカナーゼによるN−ステア
ロイルスフィンゴシンへの糖鎖の転移 実施例2で得たポリマー20mg、N−ステアロイルス
フィンゴシン50mg、トリトンCF−54を20ul
含む50mMクエン酸緩衝液(pH6.0)1mlに、
ヒル由来セラミドグリカナーゼ0.01Uを添加し、3
7℃で17時間反応させた。反応後クロロホルム:メタ
ノール:水=60:30:5で平衡化したセファデック
スLH−20(ファルマシア社製)カラムクロマトグラ
フィーにより生成物を分離した。生成物を含む溶出画分
を減圧乾固し、生成物18mgを得た。HPLCによる
分析より生成物が1−O−(N−アセチルノイラミニル
−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフ
ィンゴシンであることを確認した。1−O−(N−アセ
チルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−
ステアロイルスフィンゴシンは下記構造式を有する。
【0124】
【化43】 (式中、Acはアセチル基を示す。)
【図面の簡単な説明】
【図1】 N−(6’−アクリロイルアミノカプロイ
ル)フェニルアラニル−6−アミノヘキシル−2−アセ
トアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド−
アクリルアミド共重合物(参考例7)のH−NMRスペ
クトルチャート図である。
【図2】 ガラクトースが転移した生成物(実施例1)
のH−NMRスペクトルチャート図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程を含むことを特徴とする糖類の
    製造方法。 (1)水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂可能な結
    合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させた物質を
    プライマーとし、該プライマーを糖ヌクレオチド類の共
    存下、固定化された糖転移酵素と接触させることによ
    り、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド類の糖残基
    を該プライマーの糖残基へ転移させる工程、(2)工程
    (1)を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基
    を転移させることにより糖鎖を伸長させる工程、(3)
    必要に応じて、副生したヌクレオチド類または未反応の
    糖ヌクレオチド類を除去する工程、および(4)工程
    (1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基
    が転移して糖鎖が伸長した上記プライマーから、上記リ
    ンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合を開裂させる
    ことにより、伸長した糖鎖を遊離させる工程。
  2. 【請求項2】 水溶性ポリマーが、アクリル酸、メタク
    リル酸、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはこれ
    らの誘導体からなるアクリル系またはメタクリル系モノ
    マーの重合体または共重合体、またはこれらのアクリル
    系またはメタクリル系モノマーと他のビニル系化合物と
    の共重合体である請求項1記載の糖類の製造方法。
  3. 【請求項3】 リンカーに含まれる選択的に開裂可能な
    結合が、水系溶媒中で加水分解酵素により開裂できる結
    合である請求項1記載の糖類の製造方法。
  4. 【請求項4】 リンカーに含まれる選択的に開裂可能な
    結合が、水系溶媒中でプロテアーゼまたはセラミドグリ
    カナーゼにより開裂できる結合である請求項1記載の糖
    類の製造方法。
  5. 【請求項5】 水溶性ポリマーの側鎖に、選択的に開裂
    可能な結合を含むリンカーを介して、糖残基を結合させ
    た物質が、水溶性ポリマーの側鎖に、一般式(I) または
    (II)で表される基を結合させた物質である請求項1記載
    の糖類の製造方法。 【化1】 (R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数
    6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素
    数5〜19のアルキレン基を示す。) 【化2】 (R4 は炭素数2〜20のアルキレン基、R5 は炭素数
    5〜19のアルキレン基を示し、Acはアセチル基を示
    す。)
  6. 【請求項6】 固定化された糖転移酵素が、共有結合に
    より担体に固定化された転移酵素である請求項1記載の
    糖類の製造方法。
  7. 【請求項7】 担体が、架橋デキストラン、架橋アガロ
    ースまたはこれらの物質にイオン交換基を結合させた物
    質である請求項6記載の糖類の製造方法。
  8. 【請求項8】 下記工程を含むことを特徴とするスフィ
    ンゴ糖脂質の製造方法。 (1)水溶性ポリマーの側鎖に一般式(I)で表される基
    を結合させた物質をプライマーとし、該プライマーを糖
    ヌクレオチド類の共存下、固定化糖転移酵素と接触させ
    ることにより、糖ヌクレオチド類から該糖ヌクレオチド
    類の糖残基をプライマーの糖残基へ転移させる工程、 【化3】 (R1 はβ−ガラクトース残基またはH、R2 は炭素数
    6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R3 は炭素
    数5〜19のアルキレン基を示す。) (2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、複
    数の糖残基を転移させることにより糖鎖を伸長させる工
    程、(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類また
    は未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および
    (4)工程(1)〜(3)を複数回、繰り返した後、複
    数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した上記プライマー
    に、セラミドの存在下、セラミドグリカナーゼを作用さ
    せ、該プライマーより複数の糖残基が伸長したオリゴ糖
    残基をセラミドに転移させる工程。
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