JP3991240B2 - スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーおよびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセリン誘導体の配糖体モノマー、該モノマーから製造されるスフィンゴ糖脂質製造に有用な高分子プライマーおよびこれらの製造法、ならびにスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーを使用したスフィンゴ糖脂質を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖は核酸や蛋白質と並んで生体を構成する主要な成分であるが、核酸や蛋白質と比べ、その構造あるいは機能はあまりよく理解されていない。糖は通常、糖鎖と呼ばれる重合体を形成し、さらに、それらが蛋白質や脂質と結合して糖蛋白質、糖脂質あるいはプロテオグリカンと総称される極めて複雑な複合分子を形成している。さらに、核酸あるいは蛋白質がその構成単位であるヌクレオチドあるいはアミノ酸が直線的に結合した高分子であるのに対して、糖鎖は分子内に複数の分岐点があるばかりでなく、その構成単位である単糖の結合様式も多様であるため、その構造は核酸や蛋白質と比較にならないほど複雑である。これら構造の複雑さが研究の遅れの大きな原因の一つである。
【0003】
しかし、細胞認識、免疫、分化、受精、老化、ガン化などに関与することが最近、徐々にわかってくるにつれて、非常に注目される研究分野となってきた。このような現状より、天然の構造を有する糖鎖や新規な糖鎖を合成する試みが盛んになされている。核酸や蛋白質については自動合成技術が確立されており、このことによりこの分野の研究が著しく進歩したことは誰もが認めるところであり、糖鎖についてもその自動合成技術の確立は切望されている。
【0004】
これまでに自動合成を試みたいくつかの報告があり、その手法は大きく分けて2つある。1つは化学合成によるものであるが、糖残基と糖残基を立体選択的に結合させる方法が十分確立されておらず、さらに保護基を結合させたり、あるいは脱離させたりと工程が煩雑であるという問題がある。もう1つは酵素合成によるものであり、保護基を必要とせず、また糖残基と糖残基を立体選択的に結合させることができるので化学合成に比べ、非常に有利である。C.-H. Wongらはアミノ化シリカに下記式15の基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用い、糖鎖を伸長させた後、α−キモトリプシンの加水分解作用を利用し、伸長させた糖鎖を切り出す方法を報告しているが(J. Am. Chem. Soc., 116, 1136 (1994)) 、得られるオリゴ糖鎖は糖ペプチドであり、スフィンゴ糖脂質を得ることはできない。
【0005】
【化15】
(式中、Acはアセチル基、Bocはt−ブトキシカルボニル基を示す)
【0006】
これ以外にもU. Zehavi ら(Reactive Polymers, 22, 171 (1994)) あるいはM. Meldal(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1849 (1994))らも糖転移酵素を利用した方法を報告しているが、いずれも得られるのはオリゴ糖あるいは糖ペプチドであり、スフィンゴ糖脂質を得ることはできない。スフィンゴ糖脂質合成用のプライマーやプライマーを利用したスフィンゴ糖脂質の製造方法は未だ知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スフィンゴ糖脂質合成に利用できるプライマーおよび該プライマーを利用したスフィンゴ糖脂質の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記問題点を解決するために鋭意検討した結果、新規なスフィンゴ糖脂質合成用プライマーを合成し、これに適当な糖ヌクレオチド類の共存下、糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチド類より該プライマーに糖残基を転移させ、適当な回数この糖転移反応を繰り返した後、必要に応じて副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類などを除去し、セラミド共存下、スフィンゴ糖脂質のオリゴ糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する作用を有する酵素と反応させ、糖鎖の伸長した該プライマーよりオリゴ糖残基をセラミドに転移させることにより、前記問題点を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は高分子担体上に一般式(I)で表される基が結合していることを特徴とするスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーである。
【0010】
【化16】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。)
【0011】
また、本発明は高分子担体上に、一般式(II)で表される基が結合していることを特徴とするスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーである。
【0012】
【化17】
(式中、R1 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基、R2 は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。)
【0013】
また、本発明はアクリルアミド残基および/またはメタクルアミド残基および一般式(III) で表される残基から構成されるビニル系共重合体において、一般式(III) で表される残基が全ビニル系共重合体中、5〜95モル%であるスフィンゴ糖脂質合成用水溶性高分子プライマーである。
【0014】
【化18】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4 はHまたはメチル基を示す。)
【0015】
また、本発明はアクリルアミド残基および/またはメタクルアミド残基および一般式(IV)で表される残基から構成されるビニル系共重合体において、一般式(IV)で表される残基が全ビニル系共重合体中、5〜95モル%であるスフィンゴ糖脂質合成用水溶性高分子プライマーである。
【0016】
【化19】
(式中、R1 、炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 はHまたはメチル基を示す。)
【0017】
また、本発明は一般式(V)で表されるセリン誘導体の配糖体モノマーである。
【0018】
【化20】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4 はHまたはメチル基を示し、nは5〜19の整数を示す。)
【0019】
また、本発明は一般式(VI)で表されるセリン誘導体の配糖体モノマーである。
【0020】
【化21】
(式中、R1 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 はHまたはメチル基を示し、nは5〜19の整数を示す。)
【0021】
また、本発明は一般式(VII) で表される活性化オリゴ糖と一般式(VIII)で表されるセリン誘導体とを触媒存在下、縮合反応させた後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去し、一般式(IX)で表されるアクリルアミド誘導体あるいはメタクリルアミド誘導体と縮合反応させ、さらにオリゴ糖部分の保護基を除去することにより、一般式(V) で示されるセリン誘導体の配糖体モノマーを製造することを特徴とするセリン誘導体の配糖体モノマーを製造方法である。
【0022】
【化22】
(式中、R5 およびR6 はそれぞれ独立してアシル型保護基、エーテル型保護基または水酸基を前記保護基で保護した単糖残基あるいは水酸基を前記保護基で保護したオリゴ糖残基を示し、R7 、R8 、R9 、R10およびR11はそれぞれ独立してアシル型保護基またはエーテル型保護基を示し、Xは活性化基を示す。)
【0023】
【化23】
(式中、R12は保護基を示し、R13は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
【0024】
【化24】
(式中、R14はHまたはメチル基を示し、Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示し、nは5〜19の整数を示す。)
【0025】
【化25】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4 はHまたはメチル基を示し、nは5〜19の整数を示す。)
【0026】
また、本発明は一般式(X) で表される活性化糖と一般式(VIII)で表されるセリン誘導体とを触媒存在下、縮合反応させた後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去し、一般式(IX)で表されるアクリルアミド誘導体あるいはメタクリルアミド誘導体と縮合反応させ、さらに活性化糖部分の保護基を除去することにより、一般式(VI)で示されるセリン誘導体の配糖体モノマーを製造することを特徴とするセリン誘導体の配糖体モノマーを製造方法である。
【0027】
【化26】
(式中、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立して、アシル型保護基またはエーテル型保護基を示し、Xは活性化基を示す。)
【0028】
【化27】
(式中、R12は保護基を示し、R13は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
【0029】
【化28】
(式中、R14はHまたはメチル基を示し、Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示し、nは5〜19の整数を示す。)
【0030】
【化29】
(式中、R1 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 はHまたはメチル基を示し、nは5〜19の整数を示す。)
【0031】
また、本発明は上記セリン誘導体の配糖体モノマーとアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドとを適当な触媒存在下、共重合させることを特徴とするスフィンゴ糖脂質合成用水溶性高分子プライマーの製造方法である。
【0032】
本発明はスフィンゴ糖脂質を製造する方法であって
(1)上記スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下、糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより、糖残基を該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに転移させる工程、
および
(2)工程(1)で得た糖残基が転移したスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、セラミドの存在下、スフィンゴ糖脂質の糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する酵素を作用させ、該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーより、オリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程
を含むことをと特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法である。
【0033】
さらに、本発明はスフィンゴ糖脂質を製造する方法であって
(1)上記スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下、糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより、糖残基を該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに転移させる工程、
(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、糖鎖を伸長させる工程、
(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除
去する工程、
および
(4)工程(1)〜工程(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して伸長したスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、セラミドの存在下、スフィンゴ糖脂質の糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する酵素を作用させ、該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーより、複数の糖残基が伸長したオリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程を含むことを特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法。
【0034】
【発明の実施態様】
本発明のスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーは、高分子担体上に一般式(I) で表される基が結合しているものであり、式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4 は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。
【0035】
R1 の単糖残基としては、αおよびβ−ガラクトース残基、β−N−アセチルグルコサミン残基、β−N−アセチルガラクトサミン残基またはα−シアル酸残基などが例示され、R2 の単糖残基としては、αおよびβ−ガラクトース残基、β−N−アセチルガラクトサミン残基などが例示される。ここでいうシアル酸はノイラミン酸のアシル誘導体の総称であり、N−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、9−O−アセチル−N−アセチルノイラミン酸などが含まれる。
【0036】
R1 のオリゴ糖残基としては、例えば、Siaα2→8Siaα2→、Galβ1→3GlcNAcβ1→、Fucα1→2Galβ1→3GlcNAcβ1→、Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→4GlcNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Siaα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Siaα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、Siaα2→6Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→などが例示される。
【0037】
R2 のオリゴ糖残基としては、例えば、Galβ1→3GalNAcβ1→、Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→、Galα1→3Galβ1→3Galα1→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Siaα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Siaα2→8Siaα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcα1→3GalNAcβ1→3Galα1→などが例示される。
式中、Fucはフコース残基、Galはガラクトース残基、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基、Siaはシアル酸残基を示す。
【0038】
R3 の炭素数6〜20のアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基などが例示され、アルケニル基としては、シス−9−オクタデセニル基などが例示される。
【0039】
R4 の炭素数5〜19のアルキレン基としては、ペンチレン基、ヘプチレン基、ノニレン基、ヘプタデシレン基などが例示される。
【0040】
本発明のスフィンゴ糖脂質合成用プライマー高分子としては、R1 、R2 、R3 およびR4 は任意に組み合わせることができる。
一般式(I) で表される基は、例えば、以下の式で表される基などが挙げられる。
【0041】
【化30】
【0042】
【化31】
【0043】
【化32】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0044】
【化33】
【0045】
本発明の高分子担体上に一般式(II)で表される基が結合しているスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーは、式中、R1 は一般式(I)のR3 と同じ基であり、炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 は一般式(I)のR4 と同じ基であり、炭素数5〜19のアルキレン基を示す。
【0046】
本発明のスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーとしては、R1 およびR2 は任意に組み合わせることができる。
【0047】
本発明で利用できる高分子担体は、一般式(I)あるいは(II)で表される基を結合させることができ、かつ、結合後、以下で述べるような糖転移酵素の作用により一般式(I)あるいは(II)で表される基の糖残基、例えばグルコース残基またはオリゴ糖残基に糖残基を転移させることができるものであれば、特に制限はなく、例えばアルキルアミノ化ガラス、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、アクリルアミドとメタクリルアミドの共重合体またはアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドと他のビニル系モノマーとの共重合体、ジアミノ化ポリエチレングリコールのモノおよびジアクリロイル化体の重合体あるいは共重合体、N−アクリロキシスクシンイミドの重合体あるいは共重合体などが挙げられ、また、これらポリマーは適当な架橋剤で架橋されていてもよい。他のビニル系モノマーとしては、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸などが例示される。
ここでいう高分子担体は必ずしも水不溶性である必要はなく、水溶性であってもよい。一般的な分子量は約10,000〜約5,000,000 である。その形態は、水不溶性担体の場合、ビーズ状、繊維状、膜状、フィルム状などが挙げられる。
【0048】
本発明の高分子担体上に一般式(I)あるいは(II)で表される基が結合しているスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーは、一般式(I)あるいは(II)で表される基を有する重合性モノマーを重合させたり、または他の重合性モノマーと共重合させることにより得ることができる。
【0049】
また、高分子担体の側鎖官能基と一般式(XI)あるいは(XII) で表されるセリン誘導体の配糖体を反応させることによっても得ることができる。また、ポリマーの側鎖官能基と一般式(XI)あるいは(XII) との結合に際しては、必要に応じて適当なリンカーを用いてもよい。
【0050】
側鎖官能基を有する高分子担体としては、アルキルアミノ化ガラス、N−アクリロキシスクシンイミドの重合体あるいは共重合体、アクリル酸の重合体あるいは重合体あるいは共重合体、ジアミノ化ポリエチレングリコールのモノおよびジアクリロイル化体の共重合体などが挙げられる。
【0051】
【化34】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4 は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。Xはアミノ基、チオール基、カルボキシル基またはそれらの塩などの官能基を示す。)
【0052】
【化35】
(式中、R1 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 は炭素数5〜19のアルキレン基を示す。Xはアミノ基、チオール基、カルボキシル基またはそれらの塩などの官能基を示す。)
前者の方法をアクリルアミド残基および/またはメタクルアミド残基および一般式(III) で表される残基から構成されるビニル系共重合体であるスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーを例に、詳しく説明する。ここで、一般式(III) で表される残基は全ビニル系共重合体中、5〜95モル%である。
【0053】
【化36】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4 はHまたはメチル基を示す。)
【0054】
一般式(III) で表される残基を含むビニル系共重合体であるスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーは、通常、一般式(V)で表されるセリン誘導体の配糖体モノマーとアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドと過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を触媒とし、共重合させることにより得られる。
【0055】
【化37】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して、Hまたは単糖残基あるいはオリゴ糖残基を示し、R3 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R4 はHまたはメチル基を示し、nは5〜19を整数示す。)
【0056】
一般式(V) で表されるセリン誘導体の配糖体モノマーは、一般式(VII) で表される活性化オリゴ糖と一般式(VIII)で表されるセリン誘導体とを適当な触媒存在下、縮合反応させた後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去し、一般式(IX)で表されるアクリルアミドあるいはメタクリルアミド誘導体と縮合反応させ、さらにオリゴ糖部分の保護基を除去することにより得られる。
【0057】
【化38】
(式中、R5 およびR6 はそれぞれ独立して、アシル型保護基、エーテル型保護基または水酸基を前記保護基で保護した単糖残基あるいは水酸基を前記保護基で保護したオリゴ糖残基を示し、R7 、R8 、R9 、R10およびR11はそれぞれ独立して、アシル型保護基またはエーテル型保護基を示し、Xは活性化基を示す。)
【0058】
【化39】
(式中、R12は保護基を示し、R13は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
【0059】
【化40】
(式中、R14はHまたはメチル基を示し、Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示し、nは5〜19を整数を示す。)
【0060】
一般式(VII) において、アシル型保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基などが例示される。エーテル型保護基としては、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、アリル基などが例示される。
【0061】
一般式(VII) において、水酸基を前記保護基で保護した単糖残基とは、下記R1 およびR2 の単糖残基またはオリゴ糖残基の水酸基に上記保護基が結合したものである。
【0062】
R1 の単糖残基としては、αおよびβ−ガラクトース残基、β−N−アセチルグルコサミン残基、β−N−アセチルガラクトサミン残基、α−シアル酸残基などが例示され、R2 の単糖残基としては、αおよびβ−ガラクトース残基、β−N−アセチルガラクトサミン残基などが例示される。
【0063】
R1 のオリゴ糖残基としては、例えば、Siaα2→8Siaα2→、Galβ1→3GlcNAcβ1→、Fucα1→2Galβ1→3GlcNAcβ1→、Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→4GlcNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Siaα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Siaα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、Siaα2→6Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→などが例示される。
【0064】
R2 のオリゴ糖残基としては、例えば、Galβ1→3GalNAcβ1→、Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→、Galα1→3Galβ1→3Galα1→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Siaα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Siaα2→8Siaα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcα1→3GalNAcβ1→3Galα1→などが例示される。
式中、Fucはフコース残基、Galはガラクトース残基、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基、Siaはシアル酸残基を示す。
【0065】
Xの活性化基としては、臭素(Br)、フッ素(F)、トリクロロアセトイミデート基などが挙げられる。
【0066】
一般式(VII)で表される活性化オリゴ糖は、従来より行われている化学的な合成で得たものを利用することができる。例えば、2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチルラクトシルブロミド(下記式41)、2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチルラクトシルトリクロロアセトイミデート(下記式42)などが挙げられる。
【0067】
【化41】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0068】
【化42】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0069】
一般式(VIII)で表されるセリン誘導体は、式中、R12は保護基を示し、R13は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示す。保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基などの基がある。
【0070】
このようなセリン誘導体としては、例えば、N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド(下記式43、参考例1)、N−ベンジルオキシカルボニルセリンラウリルアミド、N−ベンジルオキシカルボニルセリンステアリルアミド、N−t−ブトキシカルボニルセリンオクチルアミド、N−t−ブトキシカルボニルセリンラウリルアミド、N−t−ブトキシカルボニルセリンステアリルアミド、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)セリンオクチルアミド、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)セリンラウリルアミド、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)セリンステアリルアミドなどが例示される。
【0071】
【化43】
【0072】
活性化オリゴ糖とセリン誘導体の縮合に用いることのできる触媒は、活性化基Xに応じて適宜選択すればよく、例えば活性化基が臭素(Br)の場合は、通常、銀、水銀などの重金属塩、第4級アンモニウム塩などを用いることができ、フッ素(F)の場合は塩化スズ(II)と銀塩の組合せ、ジルコノセン錯体やハフノセン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルなどを、トリクロロアセトイミデート基の場合はBF3 OEt2 、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルなどを用いることができる。
【0073】
また、この縮合反応は通常、無水条件下で行い、モレキュラシーブや無水硫酸カルシウム存在下で反応させることが多い。
【0074】
溶媒としては、用いる基質(活性化オリゴ糖およびセリン誘導体)に応じて適宜選択すればよく、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテルなどがよく用いられる。
【0075】
反応温度は活性化オリゴ糖の反応性により、通常、−70℃〜100℃前後であるが、反応に差し障りのない限り低温で行うのが望ましい。
【0076】
セリン残基部分のアミノ基の保護基の除去方法は、保護基の種類により適宜選択され、例えばベンジルオキシカルボニル基の場合は水素化分解、t−ブトキシカルボニル基の場合はHBr/酢酸やHF処理で、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基の場合はジエチルアミンなどの塩基処理で除去することができる。
【0077】
一般式(IX)で表されるアクリルアミドあるいはメタクリルアミド誘導体との縮合は、通常カルボジイミド類やN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリンなどの縮合試薬を用いることにより行うことができる。
【0078】
【化44】
(式中、R14はHまたはメチル基を示し、Yは水酸基、臭素原子または塩素原子を示し、nは5〜19の整数を示す。)
【0079】
次に、オリゴ糖部分の保護基の除去も、除去したい保護基の種類に応じて、適宜、その脱離条件を選択すればよく、例えばアセチル基やベンゾイル基はメタノール中ナトリウムメトキシドで処理することにより、ベンジル基は水素化分解により、p−メトキシベンジル基は水素化分解や2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンあるいは硝酸セリウムアンモニウムなどの酸化剤で処理することにより、アリル基はカリウムt−ブトキシドまたはWilkinson 錯体でプロペニル基へ異性化させた後、酸、水銀塩もしくはヨウ素で処理することにより除去することができる。
【0080】
得られたモノマーは通常、カラムクロマトグラフィーなどの精製方法により精製することができる。
【0081】
一般式(IV)で表される残基を含むビニル系共重合体であるスフィンゴ糖脂質合成用プライマー高分子も上記方法と同様の方法により得ることができる。すなわち、上記方法で一般式(V) で表されるセリン誘導体の配糖体モノマーの代わりに、一般式(VI)で表されるセリン誘導体の配糖体モノマーを用いることにより得ることができ、一般式(VI)で表されるセリン誘導体の配糖体モノマーは一般式(VIII)で表される活性化オリゴ糖の代わりに、一般式(X)で表される活性化糖を用いることにより得ることができる。
【0082】
【化45】
(式中、R1 は炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 はHまたはメチル基を示し、nは5〜19の整数である。)
【0083】
【化46】
(式中、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立して、アシル型保護基またはエーテル型保護基を示し、Xは活性化基を示す。)
【0084】
次に、後者の方法について、高分子担体がアルキルアミノ化ガラスの場合を例にとり説明する。上記の方法と同様にして、一般式(VIII)で表される活性化オリゴ糖あるいは一般式(X) で表される活性化糖と一般式(IX)で表されるセリン誘導体とを適当な触媒存在下、縮合させた後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去した後、一般式(IX)で表されるアクリルアミドあるいはメタクリルアミド誘導体の代わりに一般式(XIII)で表される二塩基酸を同様の方法で縮合させる。
【0085】
【化47】
(式中、Rは炭素数4〜18のアルキレン基を示す。)
【0086】
縮合反応させた後、同様にオリゴ糖部分の保護基を除去し、水溶液中で化学量論的に等量の炭酸セシウムなどのセシウム塩と接触させ、遊離のカルボキシル基をセシウム塩とする。一方、アルキルアミノ化ガラスはモノヨード酢酸とカルボジイミド類やN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリンなどの縮合試薬を用いヨードアセトアミド化する。上記セシウム塩とヨードアセトアミド化したアルキルアミノ化ガラスとをジメチルホルムアミドなどの溶媒中で接触させることにより縮合させ、目的とする高分子プライマーを得ることができる。
【0087】
本発明のスフィンゴ糖脂質を製造する方法は、(1)上記スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下、糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより、糖残基を該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに転移させる工程および(2)工程(1)で得た、糖残基が転移したスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、セラミドの存在下、スフィンゴ糖脂質の糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する酵素を作用させ、該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーより、オリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程を含む。
【0088】
また、本発明のスフィンゴ糖脂質を製造する方法は、(1)上記スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下、糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより、糖残基を該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに転移させる工程、(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、糖鎖を伸長させる工程、(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類または未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および(4)工程(1)〜工程(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して伸長したスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、セラミドの存在下、スフィンゴ糖脂質の糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する酵素を作用させ、該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーより、複数の糖残基が伸長したオリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程を含む。
【0089】
糖ヌクレオチドより高分子プライマーへの糖の転移は、通常、高分子プライマーと糖ヌクレオチドとを含む中性の緩衝液中で、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で、1〜72時間好ましくは2〜24時間、糖転移酵素と接触させることにより行われる。
【0090】
本発明で用いる糖転移酵素は、糖ヌクレオチドを糖供与体として利用できるものであればよく、特に限定されない。このような酵素としてLeloir経路の糖転移酵素類が挙げられ、例えばガラクトース転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、N−アセチルガラクトサミン転移酵素、フコース転移酵素、シアル酸転移酵素などが挙げられる。本発明で用いる糖ヌクレオチド類は上記酵素が利用できるものであれば、特に限定されず、例えばウリジン−5’−ジリン酸−ガラクトース、ウリジン−5’−ジリン酸−N−アセチルグルコサミン、ウリジン−5’−ジリン酸−N−アセチルガラクトサミン、グアノシン−5’−ジリン酸−フコース、シチジン−5’−モノリン酸−N−アセチルノイラミン酸およびこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
【0091】
また、反応液中には必要に応じて金属塩を添加してもよい。添加できる金属イオンとしては、例えばマグネシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などがあり、通常、塩化物などの形で添加することができる。
【0092】
必要に応じて副生したヌクレオチド類または未反応の糖ヌクレオチド類を除去する方法は、高分子プライマーとヌクレオチドおよび糖ヌクレオチドとを分離できる方法であれば、特に限定されず、例えばゲルろ過クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0093】
複数の糖酸基を転移させ、伸長させるには、例えば水不溶性担体の場合、まず上記のような糖転移酵素を作用させ、糖残基を1つ伸長させる。次いで、高分子プライマーを洗浄することにより、ヌクレオチドおよび糖ヌクレオチドを除く。これを繰り返すことにより、複数の糖残基を転移させ、伸長させることができる。
【0094】
糖鎖が伸長した高分子プライマーから、オリゴ糖残基のセラミドへの転移は、通常、該高分子プライマーとセラミドとを界面活性剤を含む中性の緩衝液中で、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で、1〜72時間、好ましくは2〜24時間、スフィンゴ糖脂質のオリゴ糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する作用を有する酵素と接触させることにより行われる。
【0095】
本発明において用いるセラミドとしては、スフィンゴシンあるいはその誘導体に脂肪酸が酸アミド結合しているものであれば、特に制限はなく、製造するスフィンゴ糖脂質の目的にあったものを適宜選択すればよい。例えば、スフィンゴシン誘導体としてはジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシンなどが挙げられ、脂肪酸としては炭素数8〜24の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、α−ヒドロキシ酸などが挙げられる。
【0096】
例えば、N−ステアロイルスフィンゴシン(下記化48)、N−パルミトイルスフィンゴシン(下記化49)、N−リグノセロイルスフィンゴシン、N−オレオイルスフィンゴシン、N−リノレオイルスフィンゴシン、N−アラキノイルスフィンゴシン、N−ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、N−パルミトイルジヒドロスフィンゴシン、N−リグノセロイルジヒドロスフィンゴシン、N−オレオイルジヒドロスフィンゴシン、N−リノレオイルジヒドロスフィンゴシン、N−アラキノイルジヒドロスフィンゴシン、N−ステアロイルフィトスフィンゴシン、N−パルミトイルフィトスフィンゴシンなどが挙げられる。
【0097】
【化48】
【0098】
【化49】
【0099】
本発明において用いるスフィンゴ糖脂質のオリゴ糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する作用を有する酵素とは、該作用を有するものであれば、特に制限はなく、「セラミドグリカナーゼ」あるいは「エンドグリコセラミダーゼ」として市販しているものを用いることができる。例えば、ヒル由来のセラミドグリカナーゼやロドコッカス属菌由来のエンドグリコセラミダーゼなどが挙げられる。
【0100】
本発明において用いる界面活性剤としては、特に制限はないが、トリトンCF−54、トリトンX−100などを挙げることができる。
【0101】
得られたスフィンゴ糖脂質は、各種カラムクラマトグラフィーなどの一般的な精製方法により分離精製することができる。
【0102】
【発明の効果】
本発明の糖脂質合成用高分子プライマーを利用することにより容易に任意のスフィンゴ糖脂質を得ることができ、スフィンゴ糖脂質の生理機能の解明に利用することができる。
【0103】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0104】
参考例1
N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドの合成
N−ベンジルオキシカルボニルセリン12g(50.2mmole)をエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶媒120mlに溶解させた後、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(以下、EEDQと略する)13.6g(55.0mmole)およびオクチルアミン11.1ml(55.0mmole)を加えて室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、トルエンから目的物を再結晶した。得られた結晶を乾燥し、目的物12.64gを得た。
【0105】
参考例2
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドの合成
よく乾燥させた参考例1で得たN−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド4.0g(11.4mmole)をジクロロエタン80mlに溶解させ、活性化させたモレキュラーシーブ4A8.0gと2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチルラクトシルブロミド12.0g(17.2mmole)を加えた。氷冷下、トリフルオロメタンスルホン酸銀4.40g(17.2mmole)を加え、徐々に室温に戻しながら、窒素気流下で一晩撹拌した。反応液をセライトでろ過し、ろ液を飽和食塩水で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相、トルエン:酢酸エチル=5:1)にて目的物を分離した。目的物を含む溶出画分を減圧乾固し、目的物5.32gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0106】
【化50】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0107】
参考例3
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシルセリンオクチルアミドの合成
参考例2で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド4.0gをメタノール60mlに溶解させ、5%パラジウム−炭素を触媒とし、室温下常圧で接触水素化還元を行なった。反応後触媒をろ別し、反応液を減圧乾固し、目的物3.42gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0108】
【化51】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0109】
参考例4
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドの合成
6−アクリロイルアミノカプロン酸278mg(1.5mmole)とEEDQ371mg(1.5mmole)をエタノール:ベンゼン=1:1の混合溶媒40mlに加え、十分溶解させ、参考例3で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシルセリンオクチルアミド1.14g(1.37mmole)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相、クロロホルム:メタノール=100:1)により目的物を分離した。目的物を含む溶出画分を減圧乾固し、目的物1.06gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0110】
【化52】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0111】
実施例1(セリン誘導体の配糖体モノマー)
O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドの合成
参考例4で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド400mg(0.4mmole)をテトラヒドロフラン:メタノール=1:1の混合溶媒に溶解させ、ナトリウムメトキシド8.49mg(0.157mmole)を加え、室温で2時間撹拌した。H+型の陽イオン交換樹脂Dowex50W(ダウケミカル社製)を加えていき、中和した。ろ過によりイオン交換樹脂を除き、ろ液を減圧濃縮し、エタノールで再結晶し、目的物270mgを得た。O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0112】
【化53】
【0113】
実施例2(スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマー)
O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体の合成
実施例1で得たO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド150mg(0.21mmole)とアクリルアミド60.25mg(0.84mmole)をジメチルスルホキシド:水=1:1の混合溶媒に溶解し、テトラエチレンジアミン12.ul(84umole)と過硫酸アンモニウム7.67mg(33.6umole)を加え、50℃で一晩重合させた。目的物を蒸留水で平衡化したセファデックスG−25カラムクロマトグラフィーで精製した。目的物の溶出画分を凍結乾燥し、目的物(分子量約500,000 )200mgを得た。得られたポリマー中のO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基は、下記構造式を含有する。その含有量は20モル%である。
【0114】
【化54】
【0115】
実施例3(高分子プライマーへの糖転移反応)
O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体へのα2,3シアル酸転移酵素によるN−アセチルノイラミン酸の転移
実施例2にて合成したO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体22mg、シチジン−5’−モノリン酸−N−アセチルノイラミン酸15mg、ウシ血清アルブミン4mg、塩化マンガン0.64mg、仔ウシ由来アルカリフォスファターゼ20単位、トリトンCF−54を10ul含む50mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)2mlに、ブタ肝臓由来のα2,3シアル酸転移酵素0.3単位を添加し、37℃で3日間反応させた。目的物を蒸留水で平衡化したセファデックスG−25カラムクロマトグラフィーで精製した。目的物の溶出画分を凍結乾燥し、目的物であるN−アセチルノイラミン酸が転移したポリマー22mgを得た。得られたポリマー中の1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基は、構造式を有する。その含有量は20モル%である。
【0116】
【化55】
(式中、Acは、アセチル基を示す。)
【0117】
実施例4(スフィンゴ糖脂質)
1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンの合成
実施例3で得たN−アセチルノイラミン酸が転移したポリマー22mg、N−ステアロイルスフィンゴシン50mg、トリトンCF−54を20ul含む50mMクエン酸緩衝液(pH6.0)1mlに、ヒル由来セラミドグリカナーゼ0.01単位を添加し、37℃で17時間反応させた。反応後クロロホルム:メタノール:水=60:30:5で平衡化したセファデックスLH−20カラムを用いて、1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンを分離した。目的物を含む溶出画分を減圧乾固して、1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシン13mgを得た。該化合物は下記構造式を有する。
【0118】
【化56】
(式中、Acは、アセチル基を示す。)
【0119】
参考例5
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドの合成
6−アクリロイルアミノカプロン酸278mgの代わりにアジピン酸219mg(1.5mmole)を用い、参考例4と同様の方法で合成し、目的物0.85gを得た。O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0120】
【化57】
(式中、Acは、アセチル基を示す。)
【0121】
参考例6
O−ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドの合成
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド400mgの代わりに、参考例5で得たO−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミド385mg(0.4mmole)を用い、実施例1と同様の方法で合成し、目的物260mgを得た。O−ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0122】
【化58】
【0123】
参考例7
O−ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドセシウム塩の合成
参考例6で得たO−ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミド200mg(0.21mmole)を蒸留水10mlに溶かし、1M炭酸セシウム水溶液で液が中性になるまで加えた。。反応液を凍結乾燥させ、目的物228mgを得た。
【0124】
参考例8
アルキルアミノ化ガラスのヨードアセチル化
long chain alkylamine controlled pore glass (シグマ社)1gとモノヨード酢酸50mgを水10ml中に加え、ここに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩55mgを加え、24時間室温で振とうした。振とう後、ガラスビーズを蒸留水でよく洗浄した。得られたガラスビーズをよく乾燥させた後、ピリジン10mlを加え、さらに無水酢酸1mlを振とうしながら滴下し、4時間反応させることにより、未反応のアミノ基をアセチル化した。反応後、ガラスビーズを蒸留水でよく洗浄し、目的物1gを得た。ヨードアセチル化されたアルキルアミノ化ガラスは、下記モデル構造式を有する。
【0125】
【化59】
【0126】
実施例5(スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマー)
ヨードアセチル化したアルキルアミノ化ガラスへのO−ラクトシル−N−(ω−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドの結合
参考例8で得たヨードアセチル化したガラスビーズ100mgと参考例7で得たO−ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドセシウム塩32mgをジメチルホルムアミド5mlに加え、室温で48時間振とうした。振とう後、ジメチルホルムアミド、水、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンの順でガラスビーズを洗浄し、目的物128mgを得た。O−ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドが結合したアルキルアミノ化ガラスは、下記モデル構造式を有する。
【0127】
【化60】
【0128】
実施例6(高分子プライマーへの糖転移反応)
アルキルアミノ化ガラスを担体とする高分子プライマーへのα2,3シアル酸転移酵素によるN−アセチルノイラミン酸の転移
O−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体22mgの代わりに、実施例5で得た、O−ラクトシル−N−(5−カルボキシ)ペンタノイルセリンオクチルアミドが結合したアルキルアミノ化ガラスビーズ60mgを用い、実施例3と同様の反応を行った。反応後、ガラスビーズを蒸留水でよく洗浄し、目的物67mgを得た。該N−アセチルノイラミン酸の転移した生成物は、下記モデル構造式を有する。
【0129】
【化61】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0130】
実施例7(スフィンゴ糖脂質)
1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンの合成
実施例3で得たポリマー22mgの代わりに、実施例6で得たガラスビーズ67mgを用いて、実施例4と同様の反応を行った。反応後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにて分析し、1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンが生成していることを確認した。
【0131】
参考例9
O−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドの合成
2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチルラクトシルブロミド12.0gの代わりに、2,3,4,6−O−テトラアセチルグルコシルブロミド7.07g(17.2mmole)を用い、参考例2と同様の反応を行い、目的物3.56gを得た。O−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0132】
【化62】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0133】
参考例10
O−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシルセリンオクチルアミドの合成
2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチルラクトシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド4.0gの代わりに、参考例9で得たO−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシル−N−ベンジルオキシカルボニルセリンオクチルアミド3.0gを用い、参考例3と同様の反応を行い、目的物2.21gを得た。O−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0134】
【化63】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0135】
実施例8(セリン誘導体の配糖体のモノマーの前駆体)
O−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドの合成
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシルセリンオクチルアミド1.14gの代わりに、参考例10で得たO−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシルセリンオクチルアミド0.75g(1.37mmole)を用い、参考例4と同様の反応を行い、目的物0.73gを得た。O−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0136】
【化64】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
【0137】
実施例9(セリン誘導体の配糖体モノマー)
O−グルコシル−N−(6−アクリルアミド)カプロイルセリンオクチルアミドの合成
O−(2,3,6,2’,3’,4’,6’−O−ヘプタアセチル)ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド400mgの代わりに、実施例8で得たO−(2,3,4,6−O−テトラアセチル)グルコシル−N−(6−アクリルアミド)カプロイルセリンオクチルアミド285mg(0.4mmole)を用い、実施例1と同様の反応を行ない、目的物205mgを得た。O−グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミドは、下記構造式を有する。
【0138】
【化65】
【0139】
実施例10(スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマー)
O−グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体の合成
O−ラクトシル−N−(6−アクリルロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド150mgの代わりに、実施例9で得たO−グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド115mg(0.21mmole)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、目的物165mgを得た。得られたポリマー中のO−グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基は、下記構造式を有する。その含有量は20モル%である。
【0140】
【化66】
【0141】
実施例11(プライマー高分子への糖転移反応)
O−グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体へのβ1,4ガラクトース転移酵素によるガラクトースの転移
O−グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体17mg、ウリジン−ジリン酸−ガラクトース・2ナトリウム塩16mg、α−ラクトアルブミン0.5mg、塩化マンガン0.64mg、仔ウシ由来アルカリフォスファターゼ20unit、トリトンCF−54を10ul含む50mMHEPES緩衝液(pH6.0)2mlに、牛乳由来のβ1,4ガラクトース転移酵素1.0unitを添加し、37℃で3日間反応させた。実施例3と同様の方法で精製し、目的物を17mg得た。該ポリマー中のO−ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基は、下記構造式を有する。その含有量は20モル%である。
【0142】
【化67】
【0143】
実施例12(スフィンゴ糖脂質)
1−O−ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンの合成
実施例3で得たポリマー22mgの代わりに、実施例11で得たポリマー17mgを用い、実施例4と同様の反応を行った。反応後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにて分析し、1−O−ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンが生成していることを確認した。1−O−ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンは、下記構造式を有する。
【0144】
【化68】
【0145】
実施例13(高分子プライマーへの糖転移反応)
ガラクトースが転移したO−グルコシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド−アクリルアミド共重合体へのα2,3シアル酸転移酵素によるN−アセチルノイラミン酸の転移
実施例2で得たポリマー22mgの代わりに、実施例11で得たポリマー17mgを用い、実施例3と同様な反応を行い、目的物18mgを得た。得られたポリマー中の1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−(6−アクリロイルアミノ)カプロイルセリンオクチルアミド残基の含有量は20モル%であった。
【0146】
実施例14(スフィンゴ糖脂質)
1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンの合成
実施例3で得たポリマー22mgの代わりに、実施例13で得たポリマー18mgを用い、実施例4と同様な反応を行った。反応後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにて分析し、1−O−(N−アセチルノイラミニル−α−(2→3))ラクトシル−N−ステアロイルスフィンゴシンが生成していることを確認した。
Claims (13)
- 高分子担体が、アルキルアミノ化ガラス、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドまたはアクリルアミドとメタクリルアミドの共重合体またはアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドと他のビニル系モノマーとの共重合体である請求項1記載のスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマー。
- 高分子担体が、アルキルアミノ化ガラス、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドまたはアクリルアミドとメタクリルアミドの共重合体またはアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドと他のビニル系モノマーとの共重合体である請求項3記載のスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマー。
- 一般式(VII) で表される活性化オリゴ糖と一般式(VIII)で表されるセリン誘導体とを触媒存在下、縮合反応させた後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去し、一般式(IX)で表されるアクリルアミド誘導体あるいはメタクリルアミド誘導体と縮合反応させ、さらにオリゴ糖部分の保護基を除去することにより、一般式(V) で示されるセリン誘導体の配糖体モノマーを製造することを特徴とするセリン誘導体の配糖体モノマーの製造方法。
- 一般式(X) で表される活性化糖と一般式(VIII)で表されるセリン誘導体とを触媒存在下、縮合反応させた後、セリン残基部分のアミノ基の保護基を除去し、一般式(IX)で表されるアクリルアミド誘導体あるいはメタクリルアミド誘導体と縮合反応させ、さらに糖部分の保護基を除去することにより、一般式(VI)で示されるセリン誘導体の配糖体モノマーを製造することを特徴とするセリン誘導体の配糖体モノマーの製造方法。
- 請求項7または請求項8記載のセリン誘導体の配糖体モノマーとアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドとを適当な触媒存在下、共重合させることを特徴とするスフィンゴ糖脂質合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
- スフィンゴ糖脂質を製造する方法であって
(1)請求項1〜6のいずれか1項記載のスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより、糖残基を該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに転移させる工程、
および
(2)工程(1)で得た糖残基が転移したスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、セラミドの存在下、スフィンゴ糖脂質の糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する酵素を作用させ、該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーより、オリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程
を含むことをと特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法。 - スフィンゴ糖脂質を製造する方法であって
(1)請求項1〜6のいずれか1項記載のスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに糖ヌクレオチドの存在下に転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより、糖残基を該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに転移させる工程、
(2)工程(1)を1回または2回以上繰り返して、糖鎖を伸長させる工程、
(3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、
および
(4)工程(1)〜工程(3)を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して伸長したスフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーに、セラミドの存在下、スフィンゴ糖脂質の糖とセラミドとの間のグリコシド結合を加水分解する酵素を作用させ、該スフィンゴ糖脂質合成用高分子プライマーより、複数の糖残基が伸長したオリゴ糖残基をセラミドに転移させる工程
を含むことを特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法。
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